JP2019137672A - 有機化合物及びエレクトロクロミック素子 - Google Patents

有機化合物及びエレクトロクロミック素子 Download PDF

Info

Publication number
JP2019137672A
JP2019137672A JP2019004490A JP2019004490A JP2019137672A JP 2019137672 A JP2019137672 A JP 2019137672A JP 2019004490 A JP2019004490 A JP 2019004490A JP 2019004490 A JP2019004490 A JP 2019004490A JP 2019137672 A JP2019137672 A JP 2019137672A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
substituent
electrochromic
organic compound
compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019004490A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7166939B2 (ja
Inventor
井川 悟史
Satoshi Igawa
悟史 井川
山田 憲司
Kenji Yamada
憲司 山田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to US16/261,756 priority Critical patent/US10907091B2/en
Priority to CN201910107431.0A priority patent/CN110117281A/zh
Priority to EP19155218.1A priority patent/EP3521398B1/en
Publication of JP2019137672A publication Critical patent/JP2019137672A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7166939B2 publication Critical patent/JP7166939B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Abstract

【課題】酸化還元反応により500nm付近の領域の光を吸収して着色、消色可能であり、酸化還元反応の繰り返しに対して安定性が高い有機化合物を提供する。【解決手段】下記一般式(1)で表わされる有機化合物。(X1及びX2は、置換基を有していてもよいアルキル基等である。R11乃至R18は、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基等である。R21及びR22は、水素原子、置換基を有していていもよいアルキル基等である。A1-及びA2-は、それぞれ独立に一価のアニオンを表す。)【選択図】なし

Description

本発明は、有機化合物、それを有するエレクトロクロミック素子、光学フィルタ、レンズユニット、撮像装置、窓材に関する。
エレクトロクロミック素子は、一対の電極とこの一対の電極の間に配置されているエレクトロクロミック層を有する素子である。一対の電極に電圧を印加することで、エレクトロクロミック層を通過する光の光量を調整することができる。
電気化学的な酸化還元反応により、物質の光学吸収の性質(呈色状態や光透過度)が変化するエレクトロクロミック(以下「EC」と省略する場合がある)材料は無機材料、高分子材料、有機低分子材料など種々の材料が知られている。
これらの材料を用いて、自動車の調光ミラーや、電子ペーパー等にEC素子を応用することが行われてきた。これらの装置は、材料の選択によって多様な色調の表示が可能であるという特性を利用している。EC素子を利用する上で、多様な色調の材料を開発することが広汎な用途への可能性を示唆している。
例えば、フルカラーディスプレイ等への応用を考えた場合にはシアン、マゼンタ、黄色に着色する材料が必要となる。さらに広汎な用途への応用を考えた場合、多様な色調の着色材料が必要になる。また、着色および消色の安定性や長時間の使用による繰り返し耐久性に関しても改善の余地がある。
特許文献1には、還元状態で着色するピリジン誘導体の有機化合物が記載されており、シアン、マゼンタ、黄色に着色するエレクトロクロミック素子が記載されている。
また、EC材料のフルカラーディスプレイやカラーフィルター等への応用を考えた場合、使用環境温度に関わらず、同じ色で着色することが望まれている。特許文献2には、種々のビオロゲン誘導体のエレクトロクロミック素子が記載されている。
国際公開第2011/046222号 特表2001−519922号
エレクトロクロミック素子の実用化に向けて、応用するデバイスの種類や用途によって様々な特性を有する化合物が必要であり、特許文献1や2に記載されている化合物だけでは不十分である。
本発明は、酸化還元反応により500nm付近の領域の光を吸収して着色、消色可能であり、酸化還元反応の繰り返しに対して安定性が高い有機化合物を提供することを目的とする。
本発明は下記一般式(1)で表わされることを特徴とする有機化合物を提供する。
Figure 2019137672
(一般式(1)おいて、X1及びX2は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基からそれぞれ独立に選ばれる。
11乃至R18は、水素原子、置換基からそれぞれ独立に選ばれる。前記R11乃至R18で表される置換基は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい複素環基、ハロゲン原子、シアノ基のいずれかである。
21及びR22は、水素原子、置換基からそれぞれ独立に選ばれる。前記R21及び前記R22で表される置換基は、置換基を有していていもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、水酸基のいずれかである。
1 -及びA2 -は、それぞれ独立に一価のアニオンを表す。)
本発明によれば、酸化還元反応により500nm付近の領域の光を吸収して着色、消色可能であり、酸化還元反応の繰り返しに対して安定性が高い有機化合物を提供できる。
実施形態に係るエレクトロクロミック素子の一例の断面模式図である。 実施形態に係るエレクトロクロミック素子に接続される駆動装置の一例を示す模式図である。 実施形態に係る撮像装置の一例を示す模式図である。 実施形態に係る窓材の一例を示す模式図である。 実施例3のエレクトロクロミック素子の着色状態と消色状態の紫外可視吸収スペクトルである。 実施例5のエレクトロクロミック素子の着色状態と消色状態の紫外可視吸収スペクトルである。 実施例7のエレクトロクロミック素子の着色状態と消色状態の紫外可視吸収スペクトルである。
≪有機化合物≫
本発明の有機化合物は、エレクトロクロミック性を有する有機化合物である。エレクトロクロミック性を有する有機化合物は、エレクトロクロミック化合物とも呼ばれる。本実施形態においては、エレクトロクロミック化合物をEC化合物と称することがある。また、本実施形態において、着色するとは、特定の波長の透過率が低くなることである。
本発明に係る有機化合物は、下記一般式(1)で表わされる。
Figure 2019137672
(一般式(1)おいて、X1及びX2は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基からそれぞれ独立に選ばれる。
11乃至R18は、水素原子、置換基からそれぞれ独立に選ばれる。前記R11乃至R18で表される置換基は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい複素環基、ハロゲン原子、シアノ基のいずれかである。
21及びR22は、水素原子、置換基からそれぞれ独立に選ばれる。前記R21及び前記R22で表される置換基は、置換基を有していていもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、水酸基のいずれかである。
1 -及びA2 -は、それぞれ独立に一価のアニオンを表す。)
1及びX2、R11乃至R18、R21及びR22で表されるアルキル基は、炭素原子数1以上8以下が好ましく、直鎖状でも、分岐状でも、環状でもよい。また、水素原子がハロゲン原子、好ましくはフッ素原子に置き換わってもよい。また、アルキル基が有する炭素原子が、エステル基、シアノ基に置き換わってもよい。アルキル基として、具体的には、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、ターシャリーブチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。
また、X1及びX2で表わされるアルキル基の末端は、多孔質電極へ吸着するための吸着基またはその酸エステル基を有していてもよい。吸着基またはその酸エステル基の具体例としては、カルボキシル基及びカルボキシルエステル基、スルホン酸基及びスルホン酸エステル基、ホスホン酸基及びホスホン酸エステル基、トリアルコキシシリル基等が挙げられる。さらに、有機溶媒への溶解性を向上するため、アルキル基の末端がピリジニウム、キノリニウム等のイオン性基を有していてもよい。
1及びX2、R21及びR22で表されるアラルキル基は、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。アラルキル基は、置換基を有していてもよく、具体的には、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基を有してよい。アルキル基、アルコキシ基が有する水素原子は、ハロゲン原子、好ましくはフッ素原子に置き換わってもよい。また、X1及びX2で表わされるアラルキル基がアルキル基、アルコキシ基を有する場合、その末端は、多孔質電極へ吸着するための吸着基またはその酸エステル基を有していてもよく、有機溶媒への溶解性を向上するためにイオン性基を有していてもよい。吸着基またはその酸エステル基、イオン性基の具体例は、X1及びX2で表わされるアルキル基で挙げた例と同様である。
11乃至R18、R21及びR22で表されるアルコキシ基は、炭素原子数1以上8以下が好ましく、直鎖状でも、分岐状でも、環状でもよい。アルコキシ基として具体的には、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、ターシャリーブチルオキシ基、オクチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、トリフルオロメチルオキシ基等が挙げられる。また、アルコキシ基が有する水素原子がハロゲン原子に置き換わってもよい。ハロゲン原子に置き換わる場合は、フッ素原子が好ましい。
1及びX2、R11乃至R18、R21及びR22で表されるアリール基は、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、フルオランテニル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基、テトラセニル基、ペンタセニル基、トリフェニレニル基、ペリレニル基等が挙げられる。アリール基が置換基を有する場合は、ハロゲン原子、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基の少なくともいずれかを有してよい。アルキル基、アルコキシ基が有する水素原子は、ハロゲン原子、好ましくはフッ素原子に置き換わってもよい。また、X1及びX2で表わされるアリール基がアルキル基、アルコキシ基を有する場合、その末端は、多孔質電極へ吸着するための吸着基またはその酸エステル基を有していてもよく、有機溶媒への溶解性を向上するためにイオン性基を有していてもよい。吸着基またはその酸エステル基、イオン性基の具体例は、X1及びX2で表わされるアルキル基で挙げた例と同様である。
11乃至R18で表される複素環基は、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、ターチエニル基、キノリル基、イソキノリル基、カルバゾリル基等が挙げられる。複素環基が置換基を有する場合は、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基の少なくともいずれかを有してよい。アルキル基、アルコキシ基が有する水素原子は、ハロゲン原子、好ましくはフッ素原子に置き換わってもよい。
11乃至R18で表されるハロゲン原子として、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
1 -及びA2 -は、同じでも異なっていてもよく、PF6 -、ClO4 -、BF4 -、AsF6 -、SbF6 -、CF3SO3 -、(CF3SO22-などの陰イオンや、Br-、Cl-、I-などのハロゲン陰イオンから選ばれる。好ましくはPF6 -、ClO4 -、BF4 -、CF3SO3 -、(CF3SO22-のいずれかである。また、より好ましくはA1 -とA2 -が同一のアニオンである。
本発明に係る有機化合物を製造する方法については特に制限はないが、例えば、以下に示す方法によって製造することができる。X1、X2がアルキル基及びアラルキル基の場合、下記一般式(2)で表わされる有機化合物とハロゲン化物を所定の溶媒中で反応させた後、所望のアニオンを含む塩と所定の溶媒中でアニオン交換反応させることにより得ることができる。X1、X2がアリール基の場合、2,4−ジニトロフェニルハライドと反応し、2,4−ジニトロフェニル−2,7‘−ジアザフルオレニウムを合成した後、アリールアミンと反応させ、アニオンを含む塩と所定の溶媒中でアニオン交換反応させることにより得ることができる。また、溶媒と反応温度を選択することによって、片側のイミンだけ反応させることもでる。反応を繰り返すことによって、二つのイミンに互いに異なる置換基を導入することも可能である。
Figure 2019137672
上記一般式(2)で表わされる有機化合物の製造方法は特に制限はないが、例えば、以下に示す製造方法に従い製造することができる。合成ルート内のR11乃至R18、R21及びR22は一般式(1)と同様に水素原子または置換基を表わし、Xはハロゲン原子を表す。
Figure 2019137672
中間体1は、N,N−ジエチルニコチンアミド誘導体と4−ハロゲノ−キノリン誘導体とのカップリングにより合成することができる。中間体1にLDA(リチウムジイソプロピルアミド)を用いて環化反応することで中間体2を合成することができる。さらに、中間体2をウォルフ・キッシュナー還元することで中間体3を合成することができる。一般式(2)で表わされる有機化合物は、塩基存在下、中間体3と所望のハロゲン体と反応することで合成できる。
以下に本発明に係る有機化合物の具体的な構造式を例示する。但し、本発明に係る化合物はこれらに限定されるものではない。
Figure 2019137672
Figure 2019137672
Figure 2019137672
Figure 2019137672
本発明に係る有機化合物は、一般式(1)で表わされる構造であるため、溶媒に溶解させた場合、高い透明性を有する化合物である。また、本発明に係る有機化合物は還元状態において着色する化合物である。還元状態で着色する化合物とは、還元状態における可視光の透過率が、酸化状態における可視光の透過率よりも低い化合物である。本発明に係る有機化合物は、周辺温度に対して安定な着色を示すエレクトロクロミック材料であり、EC素子、それを用いた光学フィルタ、レンズユニットおよび撮像装置等に利用することができる。
≪EC素子≫
本発明に係るEC化合物は、エレクトロクロミック素子のエレクトロクロミック層として用いることができる。以下、図面を参照しながら本実施形態に係るエレクトロクロミック素子について説明する。以下ではエレクトロクロミック素子をEC素子と表記する場合がある。
図1のEC素子1は、一対の透明電極11と、この一対の電極の間に配置されている電解質と本発明に係るEC化合物とを有するEC層12と、を有するEC素子である。一対の電極は、スペーサー13によって、電極間距離が一定となっている。このEC素子1は、一対の電極が一対の透明基板10の間に配置されている。
EC層12は、本発明に係るEC化合物を有している。このEC層12は、EC化合物からなる層と、電解質からなる層とを有していてもよい。また、EC化合物と電解質とを有する溶液としてEC層12を設けてもよい。本実施形態に係るEC素子は、EC層12が溶液であるEC素子であることが好ましい。
次に、本実施形態に係るEC素子1を構成する部材について説明する。
電解質としては、イオン解離性の塩であり、かつ溶媒に対して良好な溶解性、固体電解質においては高い相溶性を示すものであれば限定されない。中でも電子供与性を有する電解質が好ましい。これら電解質は、支持電解質と呼ぶこともできる。電解質としては、例えば、各種のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などの無機イオン塩や4級アンモニウム塩や環状4級アンモニウム塩などがあげられる。具体的にはLiClO4、LiSCN、LiBF4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiPF6、LiI、NaI、NaSCN、NaClO4、NaBF4、NaAsF6、KSCN、KCl等のLi、Na、Kのアルカリ金属塩等や、(CH34NBF4、(C254NBF4、(n−C494NBF4、(n−C494NPF6、(C254NBr、(C254NClO4、(n−C494NClO4等の4級アンモニウム塩および環状4級アンモニウム塩等が挙げられる。
EC化合物および電解質を溶かす溶媒としては、EC化合物や電解質を溶解できるものであれば特に限定されないが、特に極性を有するものが好ましい。具体的には水や、メタノール、エタノール、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、プロピオンニトリル、ベンゾニトリル、ジメチルアセトアミド、メチルピロリジノン、ジオキソラン等の有機極性溶媒が挙げられる。
さらに、EC層12に、さらにポリマーやゲル化剤を含有させて粘稠性が高いもの若しくはゲル状としたもの等を用いることもできる。ポリマーとしては、特に限定されず、例えばポリアクリロニトリル、カルボキシメチルセルロース、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアミド、ポリアクリルアミド、ポリエステル、ナフィオン(登録商標)などが挙げられる。
次に、透明基板および透明電極について説明する。透明基板10としては、例えば、無色あるいは有色ガラス、強化ガラス等が用いられる他、無色あるいは有色の透明性樹脂が用いられる。なお、本実施形態において透明とは、可視光の透過率が90%以上の透過率であることを示す。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリノルボルネン、ポリアミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート等が挙げられる。
透明電極11の材料としては、例えば、酸化インジウムスズ合金(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化スズ(NESA)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化銀、酸化バナジウム、酸化モリブデン、金、銀、白金、銅、インジウム、クロムなどの金属や金属酸化物、多結晶シリコン、アモルファスシリコン等のシリコン系材料、カーボンブラック、グラファイト、グラッシーカーボン等の炭素材料などを挙げることができる。また、ドーピング処理などで導電率を向上させた導電性ポリマー、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とポリスチレンスルホン酸の錯体なども好適に用いられる。
さらに、電極上に多孔質電極を有していてもよい。多孔質電極は表面及び内部に微細孔を有した多孔質形状、ロット形状、ワイヤ形状等表面積が大きい材料が好ましい。多孔質電極の材料は、例えば、金属、金属酸化物、カーボン等が適用できる。より好ましくは酸化チタン、酸化スズ、酸化鉄、酸化ストロンチウム、酸化タングステン、酸化亜鉛、酸化タンタル、酸化バナジウム、酸化インジウム、酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化コバルト等の金属酸化物である。
スペーサー13は、一対の透明電極11の間に配置されており、本発明のEC化合物を有するEC層12を収容するための空間を与えるものである。具体的には、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム、エポキシ樹脂等を用いることができる。このスペーサーにより、EC素子1の電極間距離を保持することが可能である。
本実施形態に係るEC素子1は、一対の電極とスペーサーとによって、形成される液体注入口を有していてもよい。液体注入口からEC化合物を有する組成物を封入したのちに、封止部材により注入口を覆い、さらに接着剤等で密閉することで素子とすることができる。封止部材は、接着剤とEC化合物が接触しないように隔離する役割も担っている。封止部材の形状は、特に限定されないが、楔形等の先細り形状が好ましい。
本実施形態に係るEC素子1の形成方法は特に限定されず、一対の電極基板の間に設けた間隙に、真空注入法、大気注入法、メニスカス法等によって予め調製したEC化合物を含有する液体を注入する方法を用いることができる。
本実施形態に係るEC素子1は、本発明に係る有機化合物と、この有機化合物とは別種の有機化合物(第2の有機化合物)とを有してもよい。第2の有機化合物は、一種類でも複数種類でもよく、酸化状態で着色する化合物でも、還元状態で着色する化合物でも、その双方の性質を有する化合物であってもよい。本発明に係る有機化合物は還元状態において着色する化合物なので、第2の有機化合物は、酸化状態で着色する化合物であることが好ましい。酸化状態で着色する化合物とは、酸化状態における可視光の透過率が、還元状態における可視光の透過率よりも低い化合物である。
本発明に関わる有機化合物は、他の色の着色材料と組み合わせることによって、EC素子として所望の色を発色することができる。着色時における別種の有機化合物は、400nm以上800nm以下の範囲に吸収波長を有することが好ましく、より好ましくは、420nm以上700nm以下に吸収波長を有することである。吸収波長を特定の範囲に有するとは、吸収スペクトルのピークが特定の範囲にあればよい。本発明の有機化合物と他の材料を複数組み合わせることによって、可視領域を全て吸収し、黒色着色するEC素子1を作製することもできる。
本実施形態に係る第2の有機化合物として、例えば、下記の化合物があげられる。
酸化状態で着色する化合物としては、5,10−ジヒドロ−5,10−ジメチルフェナジン、5,10−ジヒドロ−5,10−ジエチルフェナジンなどのフェナジン化合物、フェロセン、テトラ−t−ブチルフェロセン、チタノセンなどのメタロセン化合物、N,N’,N,N’−テトラメチル−p−フェニレンジアミンなどのフェニレンジアミン化合物、1−フェニル−2−ピラゾリンなどのピラゾリン化合物などが挙げられる。
還元状態で着色する化合物としては、N,N’−ジヘプチルビピリジニウムジパークロレート、N,N’−ジヘプチルビピリジニウムジテトラフフオロボレート、N,N’−ジヘプチルビピリジニウムジヘキサフルオロホスフェート、N,N’−ジエチルビピリジニウムジパークロレート、N,N’−ジエチルビピリジニウムジテトラフルオロボレート、N,N’−ジエチルビピリジニウムジヘキサフルオロホスフェート、N,N’−ジベンジルビピリジニウムジパークロレート、N,N’−ジベンジルビピリジニウムジテトラフルオロボレート、N,N’−ジベンジルビピリジニウムジヘキサフルオロホスフェート、N,N’−ジフェニルビピリジニウムジパークロレート、N,N’−ジフェニルビピリジニウムジテトラフロロボレート、N,N’−ジフェニルビピリジニウムジヘキサフロロホスフェートなどのビオロゲン化合物、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノンなどのアントラキノン化合物、フェロセニウムテトラフルオロボレート、フェロセニウムヘキサフルオロホスフェートなどのフェロセニウム塩化合物、スチリル化合物などが挙げられる。
第2の有機化合物としては、上記の中でもフェナジン化合物、メタロセン化合物、フェニレンジアミン化合物、ピラゾリン化合物のいずれかであることが好ましい。
本実施形態に係るEC素子1が有するEC層12に含まれる化合物は、公知の方法により抽出し、分析することで、EC素子1に含まれていることを確認することができる。例えば、クロマトグラフィーにより抽出し、NMRで分析することが挙げられる。また、エレクトロクロミック層が固体である場合は、TOF−SIMSなどにより、分析することができる。
≪EC素子の用途≫
本実施形態に係るEC素子1は、光学フィルタ、レンズユニット、撮像装置、窓材等に用いることができる。
<光学フィルタ>
本実施形態に係る光学フィルタは、EC素子1とEC素子1に接続されている能動素子を有する。能動素子は、EC素子を駆動し、EC素子を通過する光の光量を調整する能動素子である。能動素子は、例えば、トランジスタやMIM素子が挙げられる。トランジスタは活性領域に、InGaZnOなどの酸化物半導体を有していてもよい。
光学フィルタは、本実施形態に係るEC素子1と、EC素子1に接続されている駆動装置とを有している。図2は、EC素子1の駆動装置20と、駆動装置20が駆動するEC素子1の一例を示す模式図である。本実施形態のEC素子1の駆動装置20は、駆動電源8、抵抗切替器9、および制御器7を有する。
駆動電源8は、EC層12に含まれるEC材料が電気化学反応を生じるのに必要な電圧をEC素子1に印加する。駆動電圧は一定電圧であることがより好ましい。これは、EC材料が複数種類の材料で構成される場合は、材料の酸化還元電位差やモル吸光係数の差に起因して吸収スペクトルが変化する場合があるため、一定電圧であることが好ましいからである。駆動電源8の電圧印加開始あるいは印加状態の保持は制御器7の信号で行われ、EC素子1の光透過率を制御する期間においては、一定電圧の印加状態が保持されている。
抵抗切替器9は、駆動電源8とEC素子1を含む閉回路中に、不示図の抵抗R1と抵抗R1よりも大きな抵抗R2とを切り替えて直列に接続するものである。抵抗R1の抵抗値としては、少なくとも素子閉回路の最も大きなインピーダンスよりも小さいことが好ましく、好ましくは10Ω以下である。抵抗R2の抵抗値としては、素子閉回路の最も大きなインピーダンスよりも大きいことが好ましく、好ましくは1MΩ以上である。なお、抵抗R2は空気であっても良い。この場合、厳密には閉回路は開回路となるが、空気を抵抗R2と見なすことで閉回路と考えることができる。
制御器7は、抵抗切替器9に切替信号を送り、抵抗R1と抵抗R2のスイッチングを制御する。
<レンズユニット>
本実施形態に係るレンズユニットは、複数のレンズを有する撮像光学系と、EC素子1を有する光学フィルタとを有している。光学フィルタは、複数のレンズの間またはレンズの外側のいずれに設けられていてもよい。光学フィルタは、レンズの光軸上に設けられることが好ましい。
<撮像装置>
本実施形態の撮像装置は、光学フィルタと、この光学フィルタを通過した光を受光する受光素子と、を有する。撮像装置とは、具体的には、カメラ、ビデオカメラ、カメラ付き携帯電話等が挙げられる。撮像装置は、受光素子を有する本体と、レンズを有するレンズユニットとが分離できる形態であってもよい。ここで撮像装置が、本体と、レンズユニットとで分離できる場合は、撮像時に撮像装置とは別体の光学フィルタを用いる形態も本発明に含まれる。なお、係る場合、光学フィルタの配置位置としては、レンズユニットの外側、レンズユニットと受光素子との間、複数あるレンズの間(レンズユニットが複数のレンズを有する場合)等が挙げられる。
図3は、本実施形態の光学フィルタを用いた撮像装置100の構成の一例を説明する模式図である。
撮像装置100は、レンズユニット102と、撮像ユニット103と、を有する撮像装置である。レンズユニット102は、光学フィルタ101と、複数のレンズ又はレンズ群を有する撮像光学系と、を有する。光学フィルタ101は、上述の本実施形態の光学フィルタである。
レンズユニット102は、例えば、図3(a)において、絞りより後でフォーカシングを行うリアフォーカス式のズームレンズを表している。物体側より順に正の屈折力の第1のレンズ群104、負の屈折力の第2のレンズ群105、正の屈折力の第3のレンズ群106、正の屈折力の第4のレンズ群107の4つのレンズ群を有する。第2のレンズ群105と第3のレンズ群106の間隔を変化させて変倍を行い、第4のレンズ群107の一部のレンズ群を移動させてフォーカスを行う。
レンズユニット102は、例えば、第2のレンズ群105と第3のレンズ群106との間に開口絞り108を有し、また、第3のレンズ群106と第4のレンズ群107との間に光学フィルタ101を有する。レンズユニットを通過する光は、各レンズ群104〜107、絞り108および光学フィルタ101を通過するよう配置されており、開口絞り108および光学フィルタ101を用いた光量の調整を行うことができる。
レンズユニット102は、マウント部材(不図示)を介して撮像ユニット103に着脱可能に接続されている。
なお、本実施形態では、レンズユニット102内の第3のレンズ群106と第4のレンズ群107との間に光学フィルタ101が配置されているが、撮像装置100はこの構成に限定されない。例えば、光学フィルタ101は、開口絞り108の前(被写体側)あるいは後(撮像ユニット103側)のいずれにあってもよく、また、第1〜第4のレンズ群104〜107のいずれの前、後、レンズ群の間にあってもよい。なお、光学フィルタ101を光の収束する位置に配置すれば、光学フィルタ101の面積を小さくできるなどの利点がある。
また、レンズユニット102の構成も上述の構成に限定されず、適宜選択可能である。例えば、リアフォーカス式の他、絞りより前でフォーカシングを行うインナーフォーカス式であっても良く、その他方式であっても構わない。また、ズームレンズ以外にも魚眼レンズやマクロレンズなどの特殊レンズも適宜選択可能である。
撮像ユニット103は、ガラスブロック109と、受光素子110と、を有する。ガラスブロック109は、ローパスフィルタやフェースプレートや色フィルタ等のガラスブロックである。また、受光素子110は、レンズユニットを通過した光を受光するセンサ部であって、CCDやCMOS等の撮像素子が使用できる。また、フォトダイオードのような光センサであっても良く、光の強度あるいは波長の情報を取得し出力するものを適宜利用可能である。
図3(a)のように、光学フィルタ101がレンズユニット102に組み込まれている場合、駆動装置はレンズユニット102内に配置されてもよく、レンズユニット102外に配置されてもよい。レンズユニット102外に配置される場合は、配線を通してレンズユニット102の内のEC素子1と駆動装置を接続し、駆動制御する。
また、上述の撮像装置100の構成では、光学フィルタ101がレンズユニット102の内部に配置されている。しかし、本発明はこの形態に限らず、光学フィルタ101は、撮像装置100内部の適当な箇所に配置され、受光素子110は光学フィルタ101を通過した光を受光するよう配置されていればよい。
例えば、図3(b)に示したように、撮像ユニット103が光学フィルタ101を有していてもよい。図3(b)は、本実施形態の撮像装置の別の一例の構成を説明する図であり、光学フィルタを撮像ユニット103に有する撮像装置の構成の模式図である。図3(b)においては、例えば光学フィルタ101は受光素子110の直前に配置されている。撮像装置自体が光学フィルタ101を内蔵する場合、接続されるレンズユニット102自体が光学フィルタ101を持たなくてもよいため、既存のレンズユニット102を用いた調光可能な撮像装置を構成することが可能となる。
本実施形態の撮像装置100は、光量調整と受光素子の組合せを有する製品に適用可能である。例えばカメラ、デジタルカメラ、ビデオカメラ、デジタルビデオカメラに使用可能であり、また、携帯電話やスマートフォン、PC、タブレットなど撮像装置を内蔵する製品にも適用できる。
本実施形態の撮像装置100によれば、光学フィルタ101を調光部材として用いることにより、調光量を一つのフィルタで適宜可変させることが可能となり、部材点数の削減や省スペース化といった利点がある。
<窓材>
本実施形態に係る窓材は、EC素子1とEC素子1に接続されている能動素子を有する。能動素子は、EC素子を駆動し、EC素子を通過する光の光量を調整する能動素子である。能動素子は、例えば、トランジスタやMIM素子が挙げられる。トランジスタは活性領域に、InGaZnOなどの酸化物半導体を有していてもよい。
図4(a)は本実施形態に係るEC素子1を用いた窓材としての調光窓を示す概観図であり、図4(b)は図4(a)のX−X’断面図を示す模式である。本実施形態の調光窓111は、EC素子1(光学フィルタ)と、それを挟持する透明板113と、全体を囲繞して一体化するフレーム112とから成る。EC素子1は不示図の駆動装置を有しており、駆動装置はフレーム112内に一体化されていても良く、フレーム112外に配置され配線を通してEC素子1と接続されていても良い。
透明板113は光透過率が高い材料であれば特に限定されず、窓としての利用を考慮すればガラス素材であることが好ましい。フレーム112は材質は問わないが、EC素子1の少なくとも一部を被覆し、一体化された形態を有するもの全般をフレームとして見なして構わない。図4においてEC素子1は透明板113とは独立した構成部材であるが、例えば、EC素子1の透明基板10を透明板113と見なしても構わない。
係る調光窓は、例えば日中の太陽光の室内への入射量を調整する用途に適用できる。太陽の光量の他、熱量の調整にも適用できるため、室内の明るさや温度の制御に使用することが可能である。また、シャッターとして、室外から室内への眺望を遮断する用途にも適用可能である。このような調光窓は、建造物用のガラス窓の他に、自動車や電車、飛行機、船など乗り物の窓にも適用可能である。
このように、一般式(1)で表わされる有機化合物をEC層12に含むEC素子1を、光学フィルタ、レンズユニット、撮像装置、窓材等に用いることができる。本実施形態の光学フィルタ、レンズユニット、撮像装置、窓材のそれぞれは、一般式(1)で表わされる有機化合物単独、あるいは他の波長帯域の着色吸収を有するEC化合物と組み合わせることにより、様々な吸収色を提供することが可能となる。また、本実施形態の光学フィルタ、レンズユニット、撮像装置、窓材のそれぞれは、一般式(1)で表わされる有機化合物を含むため、消色状態における透明性を向上することができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明していくが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1(例示化合物A−3の合成)]
Figure 2019137672
反応器にテトラヒドロフラン(80ml)、ジイソプロピルアミン(16ml、110mmol)を加え−70℃に冷却した。この溶液にゆっくりと1.6Mブチルリチウムヘキサン溶液(70ml、110mmol)滴下した後、0℃まで昇温し、LDA溶液を調整した。別途、N,N−ジエチルニコチンアミド(18g、100mmol)、ホウ酸トリイソプロピル(25ml、110mmol)、テトラヒドロフラン(80ml)を仕込み、−10℃まで冷却した。この溶液に、先に調整したLDA溶液をゆっくりと滴下し、室温で2時間撹拌を行った後、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン付加物(1.7g、2mmol)、4−ブロモキノリン(13.7g、66mmol)、テトラヒドロフラン(160ml)、リン酸カリウム(139g、250mmol)、水(150ml)を加え、60℃で14時間撹拌を行った。反応溶液を室温に放置した後、セライトろ過、酢酸エチルで抽出を行った。無水硫酸ナトリウムにて乾燥、濃縮し茶色固体を得た。これをカラム精製(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=1/2)し黄色の固体である中間体11(16g、収率80%)を得た。
反応器にテトラヒドロフラン(40ml)、ジイソプロピルアミン(8ml、55mmol)を加え−70℃に冷却した。この溶液にゆっくりと1.6Mブチルリチウムヘキサン溶液(35ml、55mmol)滴下した後、0℃まで昇温し、LDA溶液を調整した。この溶液に中間体11(15g、50mmol)のテトラヒドロフラン(40ml)溶液をゆっくりと滴下した後、室温に戻し、16時間撹拌を行った。飽和塩化アンモニウム溶液を加え、30分撹拌を行った後、ろ過により得られた結晶を水、メタノールで順次洗浄を行い灰色粉末の中間体12(7.4g、収率64%)を得た。
Figure 2019137672
反応容器に中間体12(4.6g、20mmol)、1−ブタノ−ル(70mL)、ヒドラジン一水和物(10ml,200mmol)を加え100℃で12時間加熱撹拌した。放冷後この溶液に水加えた後、濃縮し固体を得た。これをカラム精製(溶離液:酢酸エチル/メタノール=10/1)し薄褐色の固体である中間体13(2.8g、収率64%)を得た。
反応容器に中間体13(2.2g、10mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド(15mL)を加え氷浴で5℃に冷却した。この溶液にカリウムtert−ブトキシド(2.2g、20mmol)を加え同温で30分間撹拌後、N,N−ジメチルホルムアミド(5mL)に希釈したヨードメタン(3.1g、22mmol)を滴下した。同温で30分間撹拌後冷却バスを外し室温下で3時間撹拌した。反応液に飽和重曹水に加え、酢酸エチルにて抽出、有機層を合わせ、水、飽和食塩水で順次洗浄をおこない、無水硫酸ナトリウムにて乾燥、濃縮し黒黄色固体を得た。これをカラム精製(溶離液:酢酸エチル/メタノール=10/1)しベージュ色の固体である中間体14(150mg、収率3%)を得た。
反応容器に中間体14(98mg、0.4mmol)、1−ヨードヘプタン(203mg、0.9mmol)、DMF10mlを反応容器に仕込み、加熱還流下、8時間撹拌を行った。反応終了後、析出した結晶をろ過、アセトニトリルで洗浄し例示化合物A−3を223mg(収率:80%)得た。
NMR測定によりこの化合物の構造を確認した。
1H NMR(DMSO−d6,500MHz) σ(ppm):10.22(s,1H),9.81(s,1H),9.48(d,1H),9.41(d,1H),9.31(d,1H),8.82(d,1H),8.40(t,1H),8.27(t,1H),5.17(t,2H),4.74(t,2H),2.06(m,4H),1.79(s,6H),1.50−1.22(m,16H),0.87(m,6H).
[実施例2(例示化合物A−2の合成)]
例示化合物A−3を(210mg、0.3mmol)を水に溶解した。ヘキサフルオロリン酸カリウム500mgを溶解した水溶液を滴下し、室温で3時間撹拌を行った。析出した結晶をろ過、イソプロピルアルコール、ジエチルエーテルで順次で洗浄し、例示化合物A−2を212mg(収率:96%)得た。
NMR測定によりこの化合物の構造を確認した。
1H NMR(DMSO−d6,500MHz) σ(ppm):10.22(s,1H),9.81(s,1H),9.48(d,1H),9.41(d,1H),9.31(d,1H),8.82(d,1H),8.40(t,1H),8.27(t,1H),5.17(t,2H),4.74(t,2H),2.06(m,4H),1.79(s,6H),1.50−1.22(m,16H),0.87(m,6H).
[実施例3(エレクトロクロミック素子の作製および特性評価)]
電解質として過塩素酸テトラブチルアンモニウムを0.1Mの濃度で炭酸プロピレンに溶解させ、次いで実施例2の例示化合物A−2を40.0mMの濃度で溶解させ、EC媒体を得た。
次いで一対の透明導電膜(ITO)付きのガラス基板の四方の端部に絶縁層(SiO2)を形成した。基板間隔を規定するPETフィルム(帝人デュポンフィルム社製メリネックス(登録商標)S、125μm厚)を一対の透明電極膜付きガラス基板の間に配置した。その後、EC媒体注入用の注入口を残してエポキシ系接着剤により基板とPETフィルムを接着し、封止した。以上のように、注入口付き空セルを作製した。
次に前述の注入口より、上で得られたEC媒体を真空注入法により注入後、注入口をエポキシ系接着剤により封止し、EC素子とした。
作製直後の本EC素子は可視光領域全域にわたり、80%前後の透過率を示し、高い透明性を有していた。
この素子に電圧を2.0V印加すると、例示化合物A−2の還元種に由来する吸収(λmax=490nm)を示し、素子は着色した。さらに−0.5V印加すると消色した。この素子は着色状態と、消色状態と、を可逆的に変化できる。図5は、本実施例で作製した素子の紫外可視吸収スペクトルである。光源には、オーシャンオプティクス社のDH‐2000S重水素、ハロゲン光源を用いた。
[実施例4(例示化合物A−42の合成)]
Figure 2019137672
窒素気流下、反応容器に中間体12(697mg,3mmol)、THF9mLを仕込んだ。−5℃に冷却した後、メチルマグネシウムブロミド(約1M,THF溶液)12mlを約5分かけて滴下し、このまま1時間撹拌を行った。反応終了後、2M塩酸5mLを滴下してした後、10M水酸化ナトリウム水溶液5mL加えた。吸引ろ過により沈殿物をろ別し、酢酸エチルで洗い込み、水層を酢酸エチルでさらに2回抽出した。有機層を濃縮し、カラム精製することにより、反応容器に中間体15(534mg、収率72%)を粉末として得た。
反応容器に中間体15(99mg、0.4mmol)、1−ヨードヘプタン(452mg、2.0mmol)、アセトニトリル10mlを反応容器に仕込み、加熱還流下、48時間撹拌を行った。反応終了後、析出した結晶をろ過、アセトニトリルで洗浄した。得られた結晶を水に溶解した。ヘキサフルオロリン酸アンモニウム500mgを溶解した水溶液を滴下し、室温で3時間撹拌を行った。析出した結晶をろ過し、2−プルパノール/ジイソプロピルエーテルで再結晶を行うことにより、例示化合物A−42を118mg(収率:40%)得た。
NMR測定によりこの化合物の構造を確認した。
1H NMR(DMSO−d6,500MHz) σ(ppm):10.12(s,1H),9.66(s,1H),9.42(m,2H),9.26(d,1H),8.82(d,1H),8.42(t,1H),8.26(t,1H),5.22(m,2H),4.76(t,2H),2.13(m,4H),1.96(s,3H),1.50−1.21(m,16H),0.85(m,6H).
[実施例5(エレクトロクロミック素子の作製および特性評価)]
実施例3において、例示化合物A−2の代わりに例示化合物A−42を使用した以外は、実施例3と同様の方法により素子を作製した。本実施例の素子に電圧を2.0V印加すると、例示化合物A−42の還元種に由来する吸収(λmax=501nm)を示した。さらに−0.5V印加すると消色し、可逆的な着消色を示した。発色スペクトルを図6に示した。
[実施例6(例示化合物A−45の合成)]
Figure 2019137672
窒素気流下、反応容器にDMF10mL、水素化ナトリウム(85mg、2.1mmol)、を仕込んだ。0℃に冷却した後、中間体15(420mg,1.7mmol)のDMF溶液を滴下した。30分撹拌後、EtI(ヨウ化エチル)(316mg,2.0mmol)をゆっくりと加え室温に戻し、12時間撹拌を行った。反応終了後、飽和食塩水を加え、酢酸エチルで抽出を行った。有機層を濃縮し、カラム精製することにより、反応容器に中間体16(360mg、収率77%)を粉末として得た。
反応容器に中間体16(110mg、0.4mmol)、ジクロロメタン5ml、アセトニトリル5mlを仕込み、窒素気流下、トリメチルオキソニウムテトラフルオロボラート(473mg、3.2mmol)を加え、室温で12時間撹拌を行った。反応終了後、イソプロプロピルエーテルを加え、結晶を得た。得られた結晶を水に溶解し、ヘキサフルオロリン酸アンモニウム500mgを溶解した水溶液を滴下し、室温で3時間撹拌を行った。析出した結晶をろ過し、アセトニトリル/ジイソプロピルエーテルで再結晶を行うことにより、例示化合物A−45を131mg(収率:55%)得た。
NMR測定によりこの化合物の構造を確認した。
1H NMR(DMSO−d6,500MHz) σ(ppm):10.07(s,1H),9.58(s,1H),9.44(d,1H),9.38(d,1H),9.27(d,1H),8.72(d,1H),8.45(m,1H),8.28(t,1H),4.78(s,3H),4.51(s,3H),3.51(q,4H),1.92(s,3H),1.06(t,3H).
[実施例7(エレクトロクロミック素子の作製および特性評価)]
実施例3において、例示化合物A−2の代わりに例示化合物A−45を使用した以外は、実施例3と同様の方法により素子を作製した。本実施例の素子に電圧を2.0V印加すると、例示化合物A−45の還元種に由来する吸収(λmax=495nm)を示した。さらに−0.5V印加すると消色し、可逆的な着消色を示した。発色スペクトルを図7に示した。
[実施例8(例示化合物A−41の合成)]
Figure 2019137672
反応容器に中間体12(241mg、1.04mmol)、アニソール(1.2mL)、3−メルカプトプロピオン酸(0.9μl,0.01mmol)を加えた。これを0℃まで冷却した後、濃硫酸0.6mlを滴下した後、70℃で5時間加熱撹拌した。放冷後この溶液に水酸化ナトリウム水溶液を加え、反応系をアルカリ性とした。これに水を加え、クロロホルムで抽出した後、濃縮し固体を得た。これをカラム精製(溶離液:ヘキサン/クロロホルム)し薄黄色の固体である中間体17(310mg、収率69%)を得た。
反応容器に中間体17(270mg、0.63mmol)、1−ヨードブタン(1.15g、6.3mmol)、2−メトキシエタノール(1mL)を加え、100℃で24時間撹拌を行った。放冷後酢酸エチルを加え、析出した固体をろ過し、さらに酢酸エチルで洗浄し、中間体18(240mg、収率48%)を得た。
中間体18(240mg、0.3mmol)を水に溶解した。ヘキサフルオロリン酸アンモニウム200mgを溶解した水溶液を滴下し、室温で3時間撹拌を行った。析出した結晶をろ過、イソプロピルアルコール、ジエチルエーテルで順次で洗浄し、例示化合物A−41を212mg(収率:85%)得た。
NMR測定によりこの化合物の構造を確認した。
1H NMR(CD3CN,500MHz) δ(ppm):9.31(s,1H),9.12(d,1H),9.08(d,1H),8.98(s,1H),8.97(d,1H),8.58(d,1H),8.39(t,1H),8.30(t,1H),7.25(d,4H),6.93(d,4H),5.01(t,2H),4.61(t,1H),3.80(s,6H),2.02(m,4H),1.37(m,4H),0.96(t,3H),0.94(t,3H).
[実施例9(エレクトロクロミック素子の作製および特性評価)]
実施例3において、例示化合物A−2の代わりに例示化合物A−41を使用した以外は、実施例3と同様の方法により素子を作製した。本実施例の素子に電圧を2.0V印加すると、例示化合物A−41の還元種に由来する吸収(λmax=505nm)を示した。さらに−0.5V印加すると消色し、可逆的な着消色を示した。
1:EC素子、10:透明基板、11:透明電極、12:EC層、13:シール材

Claims (13)

  1. 下記一般式(1)で表わされることを特徴とする有機化合物。
    Figure 2019137672
    (一般式(1)おいて、X1及びX2は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基からそれぞれ独立に選ばれる。
    11乃至R18は、水素原子、置換基からそれぞれ独立に選ばれる。前記R11乃至R18で表される置換基は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい複素環基、ハロゲン原子、シアノ基のいずれかである。
    21及びR22は、水素原子、置換基からそれぞれ独立に選ばれる。前記R21及び前記R22で表される置換基は、置換基を有していていもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、水酸基のいずれかである。
    1 -及びA2 -は、それぞれ独立に一価のアニオンを表す。)
  2. 前記A1 -及び前記A2 -は、同一のアニオンであることを特徴とする請求項1に記載の有機化合物。
  3. 一対の電極と、前記一対の電極の間に配置されているエレクトロクロミック層を有するエレクトロクロミック素子であって、
    前記エレクトロクロミック層は、請求項1または2に記載の有機化合物を含有することを特徴とするエレクトロクロミック素子。
  4. 前記エレクトロクロミック層は、前記有機化合物とは別種の有機化合物を有することを特徴とする請求項3に記載のエレクトロクロミック素子。
  5. 前記別種の有機化合物は、フェナジン化合物、メタロセン化合物、フェニレンジアミン化合物、ピラゾリン化合物のいずれかであることを特徴とする請求項4に記載のエレクトロクロミック素子。
  6. 前記エレクトロクロミック層は、電解質と前記有機化合物とを有する液体であることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子。
  7. 請求項3乃至6のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子と、前記エレクトロクロミック素子に接続されている能動素子と、を有することを特徴とする光学フィルタ。
  8. 前記能動素子は、前記エレクトロクロミック素子を駆動し、前記エレクトロクロミック素子を通過する光の光量を調整する能動素子であることを特徴とする請求項7に記載の光学フィルタ。
  9. 請求項7または8に記載の光学フィルタと、複数のレンズを有する撮像光学系と、を有することを特徴とするレンズユニット。
  10. 複数のレンズを有する撮像光学系と、請求項7または8に記載の光学フィルタと、前記光学フィルタを透過した光を受光する撮像素子と、を有することを特徴とする撮像装置。
  11. 複数のレンズを有する撮像光学系を着脱可能な撮像装置であって、
    請求項7または8に記載の光学フィルタと、前記光学フィルタを透過した光を受光する撮像素子と、を有することを特徴とする撮像装置。
  12. 請求項3乃至6のいずれか一項に記載のエレクトロクロミック素子と、前記エレクトロクロミック素子に接続されている能動素子と、を有することを特徴とする窓材。
  13. 前記能動素子は、前記エレクトロクロミック素子を駆動し、前記エレクトロクロミック素子を通過する光の光量を調整する能動素子であることを特徴とする請求項12に記載の窓材。
JP2019004490A 2018-02-06 2019-01-15 有機化合物及びエレクトロクロミック素子 Active JP7166939B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US16/261,756 US10907091B2 (en) 2018-02-06 2019-01-30 Organic compound and electrochromic element
CN201910107431.0A CN110117281A (zh) 2018-02-06 2019-02-02 有机化合物和电致变色元件
EP19155218.1A EP3521398B1 (en) 2018-02-06 2019-02-04 Organic compound and electrochromic element

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018019294 2018-02-06
JP2018019294 2018-02-06

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019137672A true JP2019137672A (ja) 2019-08-22
JP7166939B2 JP7166939B2 (ja) 2022-11-08

Family

ID=67693199

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019004490A Active JP7166939B2 (ja) 2018-02-06 2019-01-15 有機化合物及びエレクトロクロミック素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7166939B2 (ja)

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017165708A (ja) * 2016-03-10 2017-09-21 キヤノン株式会社 有機化合物、エレクトロクロミック素子、エレクトロクロミック装置、光学フィルタ、撮像装置、レンズユニット及び窓材

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017165708A (ja) * 2016-03-10 2017-09-21 キヤノン株式会社 有機化合物、エレクトロクロミック素子、エレクトロクロミック装置、光学フィルタ、撮像装置、レンズユニット及び窓材

Also Published As

Publication number Publication date
JP7166939B2 (ja) 2022-11-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6900202B2 (ja) 有機化合物、エレクトロクロミック素子、エレクトロクロミック装置、光学フィルタ、撮像装置、レンズユニット及び窓材
US9701671B2 (en) Organic compound, electrochromic element containing the same, optical filter, lens unit, imaging device, and window component
JP6598693B2 (ja) 有機化合物、それを有するエレクトロクロミック素子、光学フィルタ、レンズユニット、撮像装置、窓材
US10310350B2 (en) Organic compound, electrochromic compound, and electrochromic element, optical filter, lens unit, imaging device, and window component having same
WO2017154681A1 (ja) 有機化合物、エレクトロクロミック素子、エレクトロクロミック装置、光学フィルタ、撮像装置、レンズユニット及び窓材
JP2018024624A (ja) 有機化合物及びそれを有するエレクトロクロミック素子、光学フィルム、レンズユニット、撮像装置
EP3521398B1 (en) Organic compound and electrochromic element
JP6429575B2 (ja) 新規有機化合物およびそれを有するエレクトロクロミック素子
JP7030552B2 (ja) 有機化合物、エレクトロクロミック素子、光学フィルタ、レンズユニット、撮像装置および窓材
JP6991731B2 (ja) 有機化合物、エレクトロクロミック化合物、及びそれを有するエレクトロクロミック素子、光学フィルタ、レンズユニット、撮像装置、窓材
JP2017197477A (ja) 有機化合物、及びそれを有するエレクトロクロミック素子、光学フィルタ、レンズユニット、撮像装置、窓材
US11940704B2 (en) Organic compound, and electrochromic element, optical filter, image pickup apparatus, window, and electrochromic mirror containing the same
US11815778B2 (en) Organic compound and electrochromic element
JP7030632B2 (ja) 有機化合物、有するエレクトロクロミック素子、光学フィルタ、撮像装置、窓およびエレクトロクロミックミラー
JP7166939B2 (ja) 有機化合物及びエレクトロクロミック素子
US20230416222A1 (en) Organic compound and electrochromic element
WO2020004085A1 (ja) 有機化合物およびそれを有するエレクトロクロミック素子、光学フィルタ、レンズユニット、撮像素子及び窓
JP2021109862A (ja) 有機化合物及びエレクトロクロミック素子
JP2022070461A (ja) 有機化合物、エレクトロクロミック素子、光学フィルタ、レンズユニット、撮像装置、および窓
EP3839007B1 (en) Organic compound and electrochromic element
JP6921590B2 (ja) 有機化合物、およびそれを有するエレクトロクロミック素子、光学フィルタ、レンズユニット、撮像装置、窓材
JP2021011441A (ja) 有機化合物、およびそれを有するエレクトロクロミック素子、光学フィルム、レンズユニット、撮像装置、窓材

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20211227

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220621

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220623

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220927

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20221026

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7166939

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151