JP2019137615A - 抗癌剤耐性抑制剤 - Google Patents

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栄津子 原田
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Abstract

【課題】免疫チェックポイント分子等の免疫系で抑制的に作用するタンパク質に対して阻害的に作用し、癌に対する免疫能を向上させることができる天然由来の成分を提供する。【解決手段】オオイチョウタケ(Leucopaxillus giganteus (Sow.:Fr.) Sing.)抽出物及び/又はショウゲンジ(Cortinarius caperatus)抽出物を有効成分として含有する、抗癌剤耐性抑制剤を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、免疫チェックポイント阻害機能を有する抗癌剤耐性抑制剤に関し、より具体的には、オオイチョウタケ(Leucopaxillus giganteus (Sow.:Fr.) Sing.)抽出物又はショウゲンジ(Cortinarius caperatus)抽出物を有効成分として含有する、免疫チェックポイント分子等の免疫系で抑制的に作用するタンパク質の発現・機能に対して阻害的に作用する抗癌剤耐性抑制剤に関する。
日本の原因疾患別死亡者数で最も多いのは悪性腫瘍(癌)であり、現在2人に1人が癌を発症し、3人に1人が癌により死亡するといわれている。世界保健機構(WHO)によれば、2005年の世界の5800万人の死亡のうち、悪性腫瘍による死亡は13%(760万人)を占める。死亡原因になった悪性腫瘍のうち、最多のものは肺癌(130万人)で、胃癌(100万人)、肝癌、大腸癌、乳癌などが続く。日本では、約7万人が肺癌で亡くなっていると報告されている。
近年、癌細胞が免疫の働きにブレーキをかけて、免疫細胞の活性化を阻害していることが判明してきている。免疫細胞の攻撃を阻止するこのブレーキを解除し、免疫細胞を再び活性化して、癌細胞を攻撃するようにする新たな治療法が注目されている。
上記の癌細胞のメカニズムにおいて免疫抑制性シグナルを誘導し得る分子は「免疫チェックポイント分子」と呼ばれており、PD-1(Programmed cell death-1)リガンド経路に関与するT細胞上のPD-1受容体及び癌細胞上で発現するリガンドPD-L1(Programmed cell death ligand 1)及びPD-L2(Programmed cell death ligand 2)、CTLA4(負の補助刺激受容体)経路に関与するT細胞上のCTLA4受容体等が知られている(非特許文献1及び2)。
PD-1分子は、CD28(正の補助刺激受容体)ファミリーに属する免疫抑制性補助シグナル受容体であり、活性化したT細胞、B細胞及び骨髄系細胞に発現し、そのリガンドとの結合によって、抗原特異的にT細胞活性を抑制することが示された(非特許文献1)。PD-1のリガンドとしては、B7ファミリーに属するPD-L1及びPD-L2が知られている。PD-1経路は、癌細胞に対する免疫の抑制に関与しているとされており、この経路を標的とした抗PD-1抗体や抗PD-L1抗体が癌治療薬候補として期待され、抗体医薬の開発が進んでいる(特許文献1〜3)。
また、それぞれの癌に特有な遺伝子変異が存在することがわかってきている。肺癌では「ALK融合遺伝子変異」、「EGFR遺伝子変異」といった遺伝子変異がみられ、これら以外にもさまざまな遺伝子変異のタイプが存在することが判明している。EGFR(上皮増殖因子受容体)は、癌細胞表面に存在し、癌細胞が増殖するためのスイッチのような役割を果たしている。このEGFRを構成する遺伝子の一部(チロシナーゼ部位)に変異があると、癌細胞を増殖させるスイッチが常にオンとなっているような状態となり、癌細胞が限りなく増殖してしまう。肺癌では、これらの遺伝子変異をターゲットとした「個別化治療」を行うことができるようになりつつあり、EGFRチロシナーゼ阻害剤(EGFR−TKI)や抗EGFR抗体等が開発されているが、投与を続けると耐性をもち、効果が弱まるなどの問題も指摘されている。
最近、受容体チロシンキナーゼであるAXLキナーゼの活性化が新たなEGFR-TKI耐性機序となることが報告された。さらに、AXLと上皮間葉転換(EMT)との関連が指摘され、予後の悪化や腫瘍増大、転移にも関与することが報告されている。AXLは様々な癌において過剰発現し、増殖や進展に関与しており、また、AXLの活性化はEGFR-TKIの他、抗癌剤シスプラチンやHER2標的薬ラパチニブ等、種々の抗癌剤の耐性獲得に関与していることが知られている。
一方、キノコ類は、古来より東洋医学にも使用されており、悪性腫瘍の予防や治療に対しても、免疫強化やアポトーシスの誘導などにより有益であるとされている。
しかしながら、キノコから得られる化合物で、上述のAXLの阻害効果や免疫チェックポイント阻害効果等に関する報告はされていない。
特許第4409430号 特許第5159730号 特許第5885764号
Annu Rev Immunol, 26: 677-704, 2008 Nature 328: 267-270, 1987
上記の免疫チェックポイント分子に対して阻害的に作用する薬剤、いわゆる「免疫チェックポイント阻害剤」は、臨床的にも効果が認められつつある。しかしながら、抗体医薬による治療は非常に費用がかかるために、患者にとっての負担は過度なものとなり得る。
本発明の目的は、免疫チェックポイント分子等の、その発現の上昇によって免疫系で抑制的に作用するタンパク質に対して阻害的に作用し、癌に対する免疫能を向上させることができる天然由来の成分を提供することである。
本発明者等は、食用キノコ由来の様々な抽出画分における薬理効果について長年にわたって研究を継続している。その中で、驚くべきことに、オオイチョウタケ及びショウゲンジの抽出物中に免疫チェックポイント分子及びAXLの発現を阻害する有効成分が含まれることを見出した。
すなわち、本発明は以下を提供するものである。
1. オオイチョウタケ(Leucopaxillus giganteus (Sow.:Fr.) Sing.)抽出物及び/又はショウゲンジ(Cortinarius caperatus)抽出物を有効成分として含有する、抗癌剤耐性抑制剤。
2. 抽出物が酢酸エチル可溶画分である、上記1記載の抗癌剤耐性抑制剤。
3. 免疫チェックポイント分子の発現を阻害する、上記1又は2記載の抗癌剤耐性抑制剤。
4. 免疫チェックポイント分子がPD-L1及び/又はPD-L2である、上記3記載の抗癌剤耐性抑制剤。
5. AXLの発現を阻害する、上記1〜4のいずれか記載の抗癌剤耐性抑制剤。
6. 前記抽出物が、(S)-3-ヒドロキシ-4-ブタノリド、(S)-5-(ヒドロキシメチル)ジヒドロフラン-2(3H)-オン、5-ヒドロキシ-4-オキソペンチルアセテート、N-(2-(メチルスルフニル)エチル)アセタミド、3-ピリジンカルボン酸(ニコチン酸)、及び4-ヒドロキシ安息香酸(p-ヒドロキシ安息香酸)の少なくとも1種を含む、上記1〜5のいずれか記載の抗癌剤耐性抑制剤。
7. 上記1〜6のいずれか記載の抗癌剤耐性抑制剤を含有する、癌治療剤。
8. (S)-3-ヒドロキシ-4-ブタノリド、(S)-5-(ヒドロキシメチル)ジヒドロフラン-2(3H)-オン、5-ヒドロキシ-4-オキソペンチルアセテート、N-(2-(メチルスルフニル)エチル)アセタミド、3-ピリジンカルボン酸(ニコチン酸)、及び4-ヒドロキシ安息香酸(p-ヒドロキシ安息香酸)の少なくとも1種を含む抗癌剤耐性抑制剤。
本発明により、免疫チェックポイント分子等の免疫系で抑制的に作用するタンパク質に対して阻害的に作用し、癌に対する免疫応答を促進させ得る天然由来の薬剤が提供される。
オオイチョウタケから化合物(1)〜(4)及び(9)を単離する分画スキームの1例を示す。 ショウゲンジから化合物(5)〜(10)を単離する分画スキームの1例を示す。 オオイチョウタケ抽出物から単離された化合物(1)〜(4)及びショウゲンジ抽出物から単離された化合物(5)〜(10)によるヒト肺癌細胞株A549におけるAXL発現抑制効果を示す。縦軸は、AXL mRNAの発現をグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)の発現に対する比として示す(mRNAの発現はcDNA量を測定)。 オオイチョウタケ抽出物から単離された化合物(1)〜(4)及びショウゲンジ抽出物から単離された化合物(5)〜(10)によるヒト肺癌細胞株A549におけるPD-L1発現抑制効果を示す。縦軸は、PD-L1 mRNAの発現をグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)の発現に対する比として示す。 オオイチョウタケ抽出物から単離された化合物(1)〜(4)及びショウゲンジ抽出物から単離された化合物(5)〜(10)によるヒト肺癌細胞株A549におけるPD-L2発現抑制効果を示す。縦軸は、PD-L2 mRNAの発現をグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)の発現に対する比として示す。
本発明は、オオイチョウタケ(Leucopaxillus giganteus (Sow.:Fr.) Sing.)抽出物及び/又はショウゲンジ(Cortinarius caperatus)抽出物を有効成分として含有する、抗癌剤耐性抑制剤を提供する。本発明において、「抗癌剤耐性抑制剤」とは、抗癌剤治療に対して耐性を発揮するように作用し得るメカニズム、例えば免疫チェックポイント分子の発現の上昇や、AXLの活性化を抑制し得る効果を有する物質を意図する。本発明の抗癌剤耐性抑制剤は、オオイチョウタケ抽出物及びショウゲンジ抽出物のいずれか、又は双方の抽出物を含むものとすることができる。
オオイチョウタケ抽出物
本発明で使用するオオイチョウタケ(Leucopaxillus giganteus (Sow.:Fr.) Sing.)は、ハラタケ目キシメジ科オオイチョウタケ属に属するキノコであり、例えば山梨県鳴沢村で採取することができ、人工的に栽培することもできる。
本発明の抽出物は、特に限定するものではないが、例えば、オオイチョウタケを粉砕し、70%エタノール、アセトンで抽出し、減圧濃縮後、ヘキサン、酢酸エチル、ブタノールで抽出し、それらの可溶画分を減圧濃縮して得ることができる。本発明において好適に使用できる抽出物は、上記のヘキサン可溶画分、酢酸エチル可溶画分、ブタノール可溶画分のいずれを用いても良く、特に限定するものではないが、特に酢酸エチル可溶画分を好適に使用することができる。酢酸エチル可溶画分に抽出される成分が本発明の抗癌剤耐性抑制効果を有し得ることから、上記に関わらず、オオイチョウタケを粉砕後、酢酸エチルで抽出する工程を含む製法であれば、本発明のオオイチョウタケ抽出物を取得することができる。
本発明の抽出物を得るためには、上記の工程に加えて、更なる工程、例えば粉砕工程・分離工程・精製工程・濃縮工程・乾燥工程等を含めることができる。
本発明者等は更に、上記の工程で得られた酢酸エチル可溶画分から、更に有効成分となる化合物を単離した。特に限定するものではないが、オオイチョウタケ抽出物中の有効成分である化合物は、例えば酢酸エチル可溶画分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー、順相HPLC、逆相HPLC等の当分野で通常用いられる手段を用いて分画することで、単離することができる。
本発明のオオイチョウタケ抽出物には、以下の化合物(1)〜(4)及び(9)が含有される。
式(1)の化合物(本明細書において化合物(1)と記載する)は、(S)-3-ヒドロキシ-4-ブタノリドの化学名を有し、実施例に記載する工程を用い、オオイチョウタケの酢酸エチル可溶画分を各種クロマトグラフィーに供することによって、オオイチョウタケ子実体20.6kgから3.0mgの収量で単離することができた。しかしながら、オオイチョウタケが天然物であることから、化合物(1)の含有量は、オオイチョウタケを採取する場所・時期、あるいは栽培条件等によって異なり得る。
Figure 2019137615
式(2)の化合物(本明細書において化合物(2)と記載する)は、4-エトキシ-2-ヒドロキシ-4-オキソブタン酸の化学名を有し、実施例に記載する工程を用い、オオイチョウタケの酢酸エチル可溶画分を各種クロマトグラフィーに供することによって、オオイチョウタケ子実体20.6kgから31.9mgの収量で単離することができた。しかしながら、化合物(2)の含有量は、オオイチョウタケを採取する場所・時期、あるいは栽培条件等によって異なり得る。
Figure 2019137615
式(3)の化合物(本明細書において化合物(3)と記載する)は、(S)-5-(ヒドロキシメチル)ジヒドロフラン-2(3H)-オンの化学名を有し、実施例に記載する工程を用い、オオイチョウタケの酢酸エチル可溶画分を各種クロマトグラフィーに供することによって、オオイチョウタケ子実体20.6kgから2.3mgの収量で単離することができた。しかしながら、化合物(3)の含有量は、オオイチョウタケを採取する場所・時期、あるいは栽培条件等によって異なり得る。
Figure 2019137615
式(4)の化合物(本明細書において化合物(4)と記載する)は、5-ヒドロキシ-4-オキソペンチルアセテート又はカタテラスモルDと呼ばれ、実施例に記載する工程を用い、オオイチョウタケの酢酸エチル可溶画分を各種クロマトグラフィーに供することによって、オオイチョウタケ子実体20.6kgから5.8mgの収量で単離することができた。しかしながら、化合物(4)の含有量は、オオイチョウタケを採取する場所・時期、あるいは栽培条件等によって異なり得る。
Figure 2019137615
ショウゲンジ抽出物にも含まれる式(9)の化合物(化学式はショウゲンジ抽出物についての記載箇所に記載し、本明細書において化合物(9)と記載する)は、実施例に記載する工程を用い、オオイチョウタケの酢酸エチル可溶画分を各種クロマトグラフィーに供することによって、オオイチョウタケ子実体20.6kgから18.5mgの収量で単離することができた。しかしながら、化合物(9)の含有量は、オオイチョウタケを採取する場所・時期、あるいは栽培条件等によって異なり得る。
下記の実施例では、上記の化合物(1)〜(4)及び(9)において、化合物(1)((S)-3-ヒドロキシ-4-ブタノリド)、(3)((S)-5-(ヒドロキシメチル)ジヒドロフラン-2(3H)-オン)及び(9)(3-ピリジンカルボン酸又はニコチン酸)がin vitroにおいてAXLの発現上昇を抑制し、化合物(3)、(4)(5-ヒドロキシ-4-オキソペンチルアセテート又はカタテラスモルD)及び(9)が免疫チェックポイント分子の発現上昇を抑制することが確認された。従って、特に限定するものではないが、本発明において使用されるオオイチョウタケ抽出物は、化合物(1)、化合物(3)、化合物(4)、及び化合物(9)のいずれか1種以上を含むように製造することが好ましい。
従って、本発明はまた、化合物(1)、化合物(3)、化合物(4)、及び化合物(9)の少なくとも1種を含有する抗癌剤耐性抑制剤を提供する。これらの化合物は、オオイチョウタケ抽出物から単離されたものであっても、化学的に合成されたものであっても良い。
ショウゲンジ抽出物
本発明で使用するショウゲンジ(Cortinarius caperatus)は、ハラタケ目フウセンタケ科フウセンタケ属に属するキノコであり、例えば山梨県鳴沢村で採取することができ、人工的に栽培することもできる。
本発明の抽出物は、特に限定するものではないが、例えば、ショウゲンジを粉砕し、70%エタノール、アセトンで抽出し、減圧濃縮後、ヘキサン、酢酸エチル、ブタノールで抽出し、それらの可溶画分を減圧濃縮して得ることができる。本発明において好適に使用できる抽出物は、上記のヘキサン可溶画分、酢酸エチル可溶画分、ブタノール可溶画分のいずれを用いても良く、特に限定するものではないが、特に酢酸エチル可溶画分を好適に使用することができる。酢酸エチル可溶画分に抽出される成分が本発明の抗癌剤耐性抑制効果を有し得ることから、上記に関わらず、ショウゲンジを粉砕後、酢酸エチルで抽出する工程を含む製法であれば、本発明のショウゲンジ抽出物を取得することができる。
本発明の抽出物を得るためには、上記の工程に加えて、更なる工程、例えば粉砕工程・分離工程・精製工程・濃縮工程・乾燥工程等を含めることができる。
本発明者等は更に、上記の工程で得られた酢酸エチル可溶画分から、更に有効成分となる化合物を単離した。特に限定するものではないが、オオイチョウタケ抽出物中の有効成分である化合物は、例えば酢酸エチル可溶画分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー、ODSゲルカラムクロマトグラフィー、順相HPLC、逆相HPLC、中圧MPLC等の当分野で通常用いられる手段を用いて分画することで、単離することができる。
ショウゲンジ抽出物には、以下の化合物(5)〜(10)が含有される。
式(5)の化合物(本明細書において化合物(5)と記載する)は、5-(1-ヒドロキシエチル)ジヒドロフラン-2(3H)-オンの化学名を有し、実施例に記載する工程を用い、ショウゲンジの酢酸エチル可溶画分を各種クロマトグラフィーに供することによって、ショウゲンジ子実体38.4kgから7.8mgの収量で単離することができた。しかしながら、ショウゲンジが天然物であることから、化合物(5)の含有量は、ショウゲンジを採取する場所・時期、あるいは栽培条件等によって異なり得る。
Figure 2019137615
式(6)の化合物(本明細書において化合物(6)と記載する)は、4-エトキシ-4-オキソブタン酸の化学名を有し、実施例に記載する工程を用い、ショウゲンジの酢酸エチル可溶画分を各種クロマトグラフィーに供することによって、ショウゲンジ子実体38.4kgから9.9mgの収量で単離することができた。しかしながら、化合物(6)の含有量は、ショウゲンジを採取する場所・時期、あるいは栽培条件等によって異なり得る。
Figure 2019137615
式(7)の化合物(本明細書において化合物(7)と記載する)は、4-オキソノナン酸の化学名を有し、実施例に記載する工程を用い、ショウゲンジの酢酸エチル可溶画分を各種クロマトグラフィーに供することによって、ショウゲンジ子実体38.4kgから9.1mgの収量で単離することができた。しかしながら、化合物(7)の含有量は、ショウゲンジを採取する場所・時期、あるいは栽培条件等によって異なり得る。
Figure 2019137615
式(8)の化合物(本明細書において化合物(8)と記載する)は、N-(2-(メチルスルフニル)エチル)アセタミドの化学名を有し、実施例に記載する工程を用い、ショウゲンジの酢酸エチル可溶画分を各種クロマトグラフィーに供することによって、ショウゲンジ子実体38.4kgから1.5mgの収量で単離することができた。しかしながら、化合物(8)の含有量は、ショウゲンジを採取する場所・時期、あるいは栽培条件等によって異なり得る。
Figure 2019137615
式(9)の化合物(本明細書において化合物(9)と記載する)は、3-ピリジンカルボン酸又はニコチン酸として知られ、実施例に記載する工程を用い、ショウゲンジの酢酸エチル可溶画分を各種クロマトグラフィーに供することによって、ショウゲンジ子実体38.4kgから6.4mgの収量で単離することができた。しかしながら、化合物(9)の含有量は、ショウゲンジを採取する場所・時期、あるいは栽培条件等によって異なり得る。上記の通り、化合物(9)はまた、オオイチョウタケ抽出物中にも、その酢酸エチル可溶画分中に含まれることが確認されている。
Figure 2019137615
式(10)の化合物(本明細書において化合物(10)と記載する)は、4-ヒドロキシ安息香酸又はp-ヒドロキシ安息香酸として知られ、実施例に記載する工程を用い、ショウゲンジの酢酸エチル可溶画分を各種クロマトグラフィーに供することによって、ショウゲンジ子実体38.4kgから10.7mgの収量で単離することができた。しかしながら、化合物(10)の含有量は、ショウゲンジを採取する場所・時期、あるいは栽培条件等によって異なり得る。
Figure 2019137615
下記の実施例では、上記の化合物(5)〜(10)において、化合物(8)(N-(2-(メチルスルフニル)エチル)アセタミド)及び(9)(3-ピリジンカルボン酸又はニコチン酸)がin vitroにおいてAXLの発現上昇を抑制し、化合物(8)〜(10)が免疫チェックポイント分子の発現上昇を抑制することが確認された。従って、特に限定するものではないが、本発明において使用されるショウゲンジ抽出物は、化合物(8)、化合物(9)、及び化合物(10)(4-ヒドロキシ安息香酸又はp-ヒドロキシ安息香酸)のいずれか1種以上を含むように製造することが好ましい。
従って、本発明はまた、化合物(8)、化合物(9)、及び化合物(10)の少なくとも1種を含有する抗癌剤耐性抑制剤を提供する。これらの化合物は、ショウゲンジ抽出物から単離されたものであっても、化学的に合成されたものであっても良い。
免疫チェックポイント分子
本発明のオオイチョウタケ抽出物又はショウゲンジ抽出物に含まれる化合物は、免疫チェックポイント分子の発現を阻害することができる。特に、本発明において、その発現が阻害される免疫チェックポイント分子としては、PD-L1及びPD-L2が挙げられる。
PD-L1(CD274とも呼ばれる)及びPD-L2(CD273とも呼ばれる)は免疫グロブリンファミリーに属する55kDのI型膜タンパク質であるPD-1(programmed cell death 1)のリガンドとして知られている。ヒトPD-L1 cDNAの塩基配列情報等はGenBank accession No. AF233516(NCBIデータベース等でGene ID: 29126)又はNM_014143、ヒトPD-L2 cDNAの塩基配列情報等はGenBank accession No.NM_025239(Gene ID: 80380)からそれぞれ取得することができる。
AXL
本発明のオオイチョウタケ抽出物又はショウゲンジ抽出物に含まれる化合物はまた、AXLの発現を阻害することができる。
AXL(AXL receptor tyrosine kinase)は、受容体チロシンキナーゼファミリーのメンバーで、細胞増殖や分化の制御に関与する複雑なシグナル伝達ネットワークに関わっており、発癌にも関与することが知られている。ヒトAXL cDNAの塩基配列情報等はNCBIデータベース等でGenBank accession No. NM_001699(Gene ID: 558)として取得することができる。
発現の阻害の評価
上記の分子の発現の阻害は、これらの分子を発現する細胞を含むin vitro又はin vivoの系で確認することができる。in vitroの系としては、PD-L1又はPD-L2を発現する標的細胞を含む系を利用することができる。AXLについても、AXL分子を発現する標的細胞を含む系を利用することができる。
あるいはまた、これらの分子の発現の阻害は、例えば癌を発症させた動物モデルを用いて確認することができる。
本発明者等のグループでは、ヒトEGFR変異型(ヒト[L858R]EGFR)肺癌モデルマウスを独自に開発し、研究を行っている。このマウスは、ドキシサイクリンの存在下において肺特異的にヒト[L858R]EGFRが活性化するため、人為的に肺癌を発症させることができ、本発明の効果の確認に使用することができる(WO 2017/026383 A1)。
しかしながら、意図的に癌を発症させた動物モデルは数多く知られており、使用可能な動物モデルは、上記のものに限定されるものではない。このようなマウスの作製は、例えばPoliti K. et al., Genes & Development 20: 1496-1510, 2006; Ji H. et al., Cell 2006 Jun; 9(6): 485-95に記載されている。
in vitro及びin vivoにおける遺伝子の発現は、特に限定するものではないが、例えば上記のin vitro又はin vivoの実験系を用いて本発明の抽出物を添加(投与)したサンプル及び添加(投与)していないサンプルからmRNAを抽出し、逆転写反応によってcDNA化する。目的の遺伝子をコードするポリヌクレオチドの塩基配列情報に基づいて作製したプライマーを用いたPCR法によるcDNAの増幅を行った後、その発現量を確認することができる。プライマーはまた、プライマーセットとして市販されているものを使用することもできる。この場合、当分野において通常行われているように、発現量が一定であると考えられるグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)の発現に対する比として発現量を表すことができる。本発明の抽出物によるこれらの分子の発現の阻害の有無は、本発明の抽出物を添加(投与)しない場合との比較によって決定することができる。
また、in vitro又はin vivoにおける実験系において、上記の発現の阻害が認められた場合の免疫応答を、例えば活性化T細胞からのサイトカインの放出、標的細胞の生存率の変化、腫瘍組織の顕微鏡画像等によって確認することで、これらの分子の機能の阻害の有無を決定することもできる。
癌治療剤
本発明は、上記の抗癌剤耐性抑制剤を含有する癌治療剤を提供する。本発明の癌治療剤は、上記のオオイチョウタケ抽出物及び/又はショウゲンジ抽出物、またはその有効成分であることが見出された化合物(1)、化合物(3)、化合物(4)、化合物(8)、化合物(9)、及び化合物(10)の少なくとも1種を含有し得る。
免疫チェックポイントは、あらゆる癌細胞に対する免疫応答において見られるメカニズムである。従って、本発明の癌治療剤は、免疫チェックポイント分子等の免疫系で抑制的に作用するタンパク質の発現を阻害して、標的細胞である癌細胞に対する免疫応答を増強することができる。従って、本発明の癌治療剤の対象となる疾患は、胃癌、肺癌、乳癌、大腸癌、卵巣癌、子宮癌、前立腺癌、膵臓癌、肝臓癌、白血病、リンパ腫、骨髄腫、皮膚癌等が挙げられ、特に限定するものではない。
医薬組成物
本発明の抽出物は、単独で抗癌剤耐性抑制剤又は癌治療剤として使用することも可能であるが、医薬組成物の有効成分として使用することもできる。こうした医薬組成物には、更なる有効成分、例えば限定するものではないが抗癌剤、抗生物質、抗炎症剤、解熱剤、鎮痛剤等を含めることもできる。本発明の抽出物と更なる有効成分とは、別個に投与することもでき、また同時に、例えば単一の医薬組成物として配合することもできる。医薬組成物の形態、投与経路等は特に限定するものではなく、当分野において通常用いられる形態、投与経路を適宜選択することができるが、好ましくは経口投与、静脈注射等である。医薬組成物として製剤化する場合には、調剤において通常使用される賦形剤、増量剤、崩壊剤、防腐剤、着色料、甘味料、香料、被膜形成剤等を適宜配合することができる。本発明の抽出物は、注射剤としての投与も可能である。注射剤としての投与する場合、溶解補助剤等の使用、エマルジョン形態を利用することも可能である。
抗癌剤耐性抑制剤として、又は医薬組成物として投与する場合、投与量は、投与経路、患者の年齢、体重、症状など、種々の要因を考慮して、適宜設定することができ、特に限定されないが、一般に1日当たり0.2〜8mg/kg体重、好ましくは1日当たり0.4〜4mg/kg体重の用量で使用可能である。投与の回数、頻度等は治療・予防が予期される疾患により、また投与対象者の体調等によって適宜調製し得る。
本発明の抗癌剤耐性抑制剤はまた、保健機能食品や病者用食品等の飲食品として、又はサプリメントとして使用することができる。飲食品又はサプリメントとして使用する場合、本発明の抽出物のヒトにおける推奨摂取量は、1日あたり好ましくは1 mg〜5 g、より好ましくは100 mg〜2 gの範囲である。飲食品又はサプリメントの形態は、粉末、錠剤、カプセル剤、液剤等のいずれの形態であっても良く、特に限定するものではない。この場合、医薬組成物と同様に、通常使用される賦形剤、増量剤、崩壊剤、防腐剤、着色料、甘味料、香料、被膜形成剤等を適宜配合することができる。また、一般的な食品と共に摂取するための形態とし、また食品中に混合することも可能である。
以下に本発明を実施例によって更に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1 オオイチョウタケ抽出物の調製]
本発明において使用可能なオオイチョウタケ抽出物は、以下のようにして調製した。
20.6 kgの新鮮なオオイチョウタケを粉砕し、70%エタノールで3回抽出後、濾別し、得られた残渣をアセトンで3回抽出し、抽出された画分を減圧濃縮後、n-ヘキサン、酢酸エチル、n-ブタノールで順次各3回の液-液分配によって抽出し、減圧濃縮して、「ヘキサン可溶画分」、「酢酸エチル可溶画分」、及び「ブタノール可溶画分」のそれぞれをオオイチョウタケ抽出物として取得した(図1)。
[実施例2 ショウゲンジ抽出物の調製]
本発明において使用可能なショウゲンジ抽出物は、以下のようにして調製した。
38.4 kgの新鮮なショウゲンジを粉砕し、70%エタノールで3回抽出後、濾別し、得られた残渣をアセトンで3回抽出し、抽出された画分を減圧濃縮後、n-ヘキサン、酢酸エチル、n-ブタノールで順次各3回の液-液分配によって抽出し、減圧濃縮して「ヘキサン可溶画分」、「酢酸エチル可溶画分」、及び「ブタノール可溶画分」のそれぞれをショウゲンジ抽出物として取得した(図2)。
[実施例3 化合物の単離1]
実施例1で取得したオオイチョウタケ抽出物のうち、酢酸エチル可溶画分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(silica gel 60N(関東化学株式会社), 溶媒:ジクロロメタン(画分1); 90%(画分2), 70%(画分3), 50% (画分4〜6)ジクロロメタン/アセトン; 80%(画分7,8,9), 60% (画分10, 11)ジクロロメタン/メタノール; メタノール(画分12〜14))により溶出させて分画して14画分を取得した。分画した酢酸エチル可溶画分のうち、画分3を順相HPLC(Cosmosil 5SL-II(ナカライテスク株式会社), 内径20 mm×250 mm, 40% ヘキサン/酢酸エチル)に供して、化合物(4)(5.8 mg)を得た(図1)。
Figure 2019137615
また、画分14をHPLC(YMC-pack Diol-60-NP(株式会社ワイエムシィ), 内径20 mm×250 mm, 90% クロロフォルム/メタノール)に供して、化合物(1)(3.0 mg)を得た。
Figure 2019137615
そして、画分8を順相HPLC(Cosmosil 5SL-II, 内径20 mm×250 mm, 97% クロロフォルム/メタノール)により24画分(画分8-1〜8-24)に分画した。それらのうち、画分8-13を逆相HPLC(InertSustain Phenylhexyl(ジーエルサイエンス株式会社),内径20 mm×250 mm, 40% メタノール)に供して、化合物(3)(2.3 mg)を得た。
Figure 2019137615
さらに、画分7を逆相HPLC(Cosmosil PBr(ナカライテスク株式会社), 内径20 mm×250 mm, 40% メタノール)に供して、化合物(2)(31.9 mg)を得た。
Figure 2019137615
これらの実験はいずれも室温で実行された。本実施例で行った分画スキームを図1に示す。
[実施例4 化合物の単離2]
実施例2で取得したショウゲンジ抽出物のうち、酢酸エチル可溶画分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(silica gel 60N, 溶媒:ジクロロメタン(画分1); 90%(画分2,3), 70%(画分4〜7), 50%(画分8〜11) ジクロロメタン/アセトン; 80%(画分12〜15), 60%(画分16〜18) ジクロロメタン/メタノール; メタノール(画分19))により溶出させて分画して19画分を取得した(図2)。
それらのうち、画分10(50% ジクロロメタン/アセトン画分)を、ODSゲルカラムクロマトグラフィー(コスモシール 140C18-OPN(ナカライテスク株式会社))(60%, 70%, 80%, 90%, 100% メタノール)により12画分(画分10-1〜12)に分画した。それらのうち、画分10-2を逆相HPLC(Develosil C30-UG-5(野村化学株式会社), 内径20 mm×250 mm, 40% メタノール)に供して、化合物(6)(9.9 mg)と化合物(10)(10.7 mg)を得た。
Figure 2019137615
Figure 2019137615
また、画分10-2から分画された画分10-2-2を逆相HPLC(Cosmosil PBr, 内径20 mm×250 mm, 40% メタノール)に供して、化合物(5)(7.8 mg)を得た。
Figure 2019137615
そして、画分8(50% ジクロロメタン/アセトン画分)をODSゲルカラムクロマトグラフィー(60%, 70%, 80%, 90%, 100% メタノール)により10画分(画分8-1〜8-10)に分画した。それらのうち、画分8-3を逆相HPLC(InertSustain Phenylhexyl, 内径20 mm×250 mm, 40% メタノール)に供して、化合物(7)(9.1 mg)を得た。
Figure 2019137615
さらに、画分11(50% ジクロロメタン/アセトン画分)を中圧MPLC(EPCLC AI-580S(山善株式会社))により9画分(画分11-1〜11-9)に分画した。それらのうち、画分11-3を順相HPLC(Cosmosil 5SL-II, 内径20 mm×250 mm, 90% クロロフォルム/メタノール)に供して、化合物(8)(1.5 mg)を得た。
Figure 2019137615
最後に、画分16(60% ジクロロメタン/アセトン画分)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(silica gel 60N, ジクロロメタン; 90%, 70%, 60%, 50%ジクロロメタン/アセトン; 70%, 60%, 50%, 10% ジクロロメタン/メタノール; メタノール)により7画分(画分16-1〜16-7)に分画した。それらのうち、画分16-4を順相HPLC(Cosmosil 5SL-II, 内径20 mm×250 mm, 95% クロロフォルム/メタノール)に供して、画分16-4-11(13.1 mg)をさらに逆相HPLC(Cosmosil PBr, 内径20 mm×250 mm, 50% メタノール)に供して、化合物(9)(6.4 mg)を得た。
Figure 2019137615
これらの実験はいずれも室温で実行された。本実施例で行った分画スキームを図2に示す。
[実施例5 ヒト肺癌細胞株A549における効果]
ヒト肺癌細胞株A549(the American Type Culture Collection (Rockville, MD, USA, ) CCL185)を10%FBS含有DMEM培地中で37℃、5%CO2下で前培養後、12ウェルプレート上に、1×106個/ウェルの細胞濃度となるように調製した。
実施例3及び4で単離した化合物(1)〜(10)をそれぞれ最終濃度が20μg/mlとなるようにプレート上に添加し、37℃、5%CO2下で24時間培養した。
培養した細胞を1,500rpm、4℃、5分間の遠心分離に供し、A549細胞のペレットを回収した。細胞よりtotal RNAを抽出し、逆転写酵素 ReverTra Ace (Toyobo, Osaka, Japan)を用いてRT-PCRを行い、AXL、PD-L1、及びPD-L2 mRNAの存在を調べた。RT-PCRは、AXL mRNAについては配列番号1(フォワードプライマー:TGCCATTGAGAGTCTAGCTGAC)及び2(リバースプライマー:TTAGCTCCCAGCACCGCGAC)、PD-L1 mRNAについては配列番号3(フォワードプライマー:GGACAAGCAGTGACCATCAAG)及び4(リバースプライマー:CCCAGAATTACCAAGTGAGTCCT)、PD-L2 mRNAについては配列番号5(フォワードプライマー:ACCGTGAAAGAGCCACTTTG)及び6(リバースプライマー:GCGACCCCATAGATGATTATGC)、対照としてのGAPDH mRNAについては配列番号7(フォワードプライマー:GGAGCGAGATCCCTCCAAAAT)及び8(リバースプライマー:GGCTGTTGTCATACTTCTCATGG)のプライマーセットを用いて実施した。
結果を、図3〜5に示す。
その結果、オオイチョウタケから単離された化合物(1)〜(4)を添加したところ、AXLの阻害効果では、化合物(1)及び(3)で効果がみられ、免疫チェックポイント分子であるPD-L1では、化合物(3)及び(4)が認められた。ただし、PD-L2に関してはいずれも有意差が確認できなかった。
ショウゲンジから単離された化合物(5)〜(10)を添加したところ、AXLの阻害効果では、化合物(8)及び(9)で効果がみられ、免疫チェックポイント分子であるPD-L1では、同じく化合物(8)及び(9)で有意差が認められた。さらに、PD-L2に関しては、化合物(8)、(9)及び(10)で効果が確認できた。
尚、本実施例において、化合物はそれぞれオオイチョウタケ又はショウゲンジから単離されているが、効果が確認された化合物(1)((S)-3-ヒドロキシ-4-ブタノリド)、化合物(3)((S)-5-(ヒドロキシメチル)ジヒドロフラン-2(3H)-オン)、化合物(4)(5-ヒドロキシ-4-オキソペンチルアセテート又はカタテラスモルD)、化合物(8)(N-(2-(メチルスルフニル)エチル)アセタミド)、化合物(9)(3-ピリジンカルボン酸又はニコチン酸)、及び(10)(4-ヒドロキシ安息香酸又はp-ヒドロキシ安息香酸)は、実験で示したようにいずれか一種でも有効であり、またいずれも化学的に合成されたものであっても良い。
オオイチョウタケ抽出物やショウゲンジ抽出物は、抗癌剤耐性抑制効果を有する有効成分を含有しており、癌免疫療法において大いに効果がある可能性が示された。さらには、国民の大きな負担になると指摘されているがん治療における医療費問題も解決できる可能性も認められた。

Claims (8)

  1. オオイチョウタケ(Leucopaxillus giganteus (Sow.:Fr.) Sing.)抽出物及び/又はショウゲンジ(Cortinarius caperatus)抽出物を有効成分として含有する、抗癌剤耐性抑制剤。
  2. 前記抽出物が酢酸エチル可溶画分である、請求項1記載の抗癌剤耐性抑制剤。
  3. 免疫チェックポイント分子の発現を阻害する、請求項1又は2記載の抗癌剤耐性抑制剤。
  4. 免疫チェックポイント分子がPD-L1及び/又はPD-L2である、請求項3記載の抗癌剤耐性抑制剤。
  5. AXLの発現を阻害する、請求項1〜4のいずれか1項記載の抗癌剤耐性抑制剤。
  6. 前記抽出物が、(S)-3-ヒドロキシ-4-ブタノリド、(S)-5-(ヒドロキシメチル)ジヒドロフラン-2(3H)-オン、5-ヒドロキシ-4-オキソペンチルアセテート、N-(2-(メチルスルフニル)エチル)アセタミド、3-ピリジンカルボン酸(ニコチン酸)、及び4-ヒドロキシ安息香酸(p-ヒドロキシ安息香酸)の少なくとも1種を含む、請求項1〜5のいずれか1項記載の抗癌剤耐性抑制剤。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項記載の抗癌剤耐性抑制剤を含有する、癌治療剤。
  8. (S)-3-ヒドロキシ-4-ブタノリド、(S)-5-(ヒドロキシメチル)ジヒドロフラン-2(3H)-オン、5-ヒドロキシ-4-オキソペンチルアセテート、N-(2-(メチルスルフニル)エチル)アセタミド、3-ピリジンカルボン酸(ニコチン酸)、及び4-ヒドロキシ安息香酸(p-ヒドロキシ安息香酸)の少なくとも1種を含む抗癌剤耐性抑制剤。
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