JP2019136015A - 育苗マット及び育苗マットの製造方法並びに育苗マットを用いた野菜苗移植方法 - Google Patents

育苗マット及び育苗マットの製造方法並びに育苗マットを用いた野菜苗移植方法 Download PDF

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Abstract

【課題】容易かつ安価に形成でき、しかも、運搬時あるいは作業時の取り扱いが良好な育苗マット及び育苗マットの製造方法並びに育苗マットを用いた野菜苗移植方法を提供する。【解決手段】育苗マット11は、育苗箱12の内底部に載置されてやし殻繊維に含まれる細短繊維13aを材料とする支持層13と、該支持層の上側に積層されてやし殻繊維に含まれる粉末分14a及び木質部分14bを材料とする培地層14とに区分けされている。【選択図】図1

Description

本発明は、育苗マット及び育苗マットの製造方法並びに育苗マットを用いた苗移植方法に関し、詳しくは、野菜苗の移植に好適な育苗マット及び育苗マットの製造方法並びに育苗マットを用いた野菜苗移植方法に関する。
既に知られているように、水稲育苗の作業には、多数の育苗箱が用いられており、育苗資材に培土を使用する場合、その重量の重さから苗運搬の作業負担が大きくなるため、ロックウールマット(例えば、特許文献1参照。)や、もみ殻成型マット(例えば、特許文献2参照。)などの軽量な育苗マットが開発されてきた。これらの育苗マットを用いることにより、苗が成長するにつれて根も成長して育苗箱の内壁などに遮られて網状に巻き始め、ルートマットとなって育苗マットが補強される。したがって、移植時に育苗箱から取り出した状態であっても育苗マットの形状が崩れることはなく、軽量でありながら、田植機に安定して装着することができ、かつ、田植機に備えられた苗植付爪による掻き取りも良好に行える育苗マットとして普及している。
一方、野菜や花卉などの育苗にも、作業の省力化、機械化が進められてきた。その一つとして、小さな容器で育てた苗を専用の移植機で根鉢ごと容器から抜き取り、畑地や菜園などの圃場に自動的に植え付ける方法が普及している。この方法による場合は、「セル」又は「ポット」と称される小さな区画に仕切られたプラスチックからなる容器、例えば、セルトレーなどに培土を詰めた後に、種子を播いて所定期間育苗し、この苗を移植機のリンク機構により昇降する苗取出爪で挟んで根鉢ごと一つずつ取り出すとともに、畝に設けた移植用凹部に根鉢を挿入することによって圃場に植え付けている(例えば、特許文献3参照。)。
ところが、ポットから苗を根鉢ごと引き抜くためには、根を充分に伸長させてある程度根鉢が形成された状態まで生育しなければならず、例えば、キャベツなどの野菜苗の場合、根張りが水稲苗に比較して弱く、特に、発芽して間もない幼苗状態では、苗をつまんで引き上げようとすると根が培土から露出してしまい、また、苗取出爪で上から培土を突き刺してつまみ出そうにも培土が崩れてしまうため、苗を安定して移植することができず、移植適期の柔軟性を確保することが困難であった。そこで、移植時に培土が崩れることを防止するために、パルプを原料とした筒状体(根鉢部保形体)をポットの内部に嵌め込んで、その中で育苗した土付苗を筒状体ごと取り出して移植する方法が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。
特開2002−153139号公報 特開平11−103661号公報 特開2003−235311号公報 特開平10−84716号公報
上述の特許文献3及び4に記載されたセル成型苗での移植技術のように、野菜苗を移植する場合には、専用の移植機や育苗容器などを用意する必要がある上に、省力化のニーズも高いことから研究開発が進められているものの、まだ低調な状況である。課題の一つとして、例えば、市販の移植機でキャベツを移植する場合には、苗を同時に2条までしか植え付けることができず、4条植え付けるには、移植機を畝の長手方向に1往復又は2往復させる他なく、これでは、畝を走行させることが多くなり、植え付け能率が悪くなる。しかしながら、同時に4条植え付けようとすれば、移植機の構成が複雑になるとともにコストが嵩む。
そこで、効率的な水稲苗の移植技術に着目して、育苗マットで育てた野菜苗を苗植付爪によって掻き取る方法も考えられるが、あいにく、市販の育苗マットに適当なルートマットを形成させることは期待できない。しかも、特許文献1に記載されているロックウールマットのような鉱物繊維を原料とした育苗マットでは、発芽障害や生育不良を防止するために、繊維方向を上下方向、つまりマットの厚み方向に揃えて形成されている。そのため、衝撃に対して脆弱であり、根を充分に張ることができない状態では、わずかな衝撃によっても割れや欠けが生じ易く、このままでは安定して移植機に装着することができないといった課題があった。
そこで本発明は、容易かつ安価に形成でき、しかも、運搬時あるいは作業時の取り扱いが良好な育苗マット及び育苗マットの製造方法並びに育苗マットを用いた野菜苗移植方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明の育苗マットは、やし殻を粉砕して得られたやし殻繊維をあらかじめ設定した厚さの板状に圧縮成形し、使用時に吸水によって膨張させた培地に複数の野菜苗を根張りさせて生育させる育苗マットであって、育苗箱の内底部に載置されて前記やし殻繊維に含まれる細短繊維を材料とする支持層と、該支持層の上側に積層されて前記やし殻繊維に含まれる粉末分及び木質部分を材料とする培地層とに区分けされていることを特徴としている。また、膨張後における前記支持層の厚さが0.5mm〜3mmの範囲内にあり、前記培地層の厚さが7mm〜19mmの範囲内にあることを特徴としている。
さらに、本発明の育苗マットの製造方法は、やし殻を粉砕して得られたやし殻繊維をあらかじめ設定した厚さの板状に圧縮成形し、使用時に吸水によって膨張させた培地に複数の野菜苗を根張りさせて生育させる育苗マットであって、育苗箱の内底部に載置されて前記やし殻繊維に含まれる細短繊維を材料とする支持層と、該支持層の上側に積層されて前記やし殻繊維に含まれる粉末分及び木質部分を材料とする培地層とに区分けされている育苗マットの製造方法において、前記やし殻繊維に含まれる前記細短繊維と前記粉末分と前記木質部分とを選別する選別工程と、前記粉末分と前記木質部分とを混ぜ合わせて混合物を生成する混合工程と、前記細短繊維と前記混合物とを重ねて加圧することにより、前記支持層の厚さが0.5mm〜3mmの範囲内にあり、前記培地層の厚さが1mm〜4mmの範囲内にあるように圧縮成形されるとともに、前記支持層と前記培地層との境界部を絡合させて一体的に結合する圧縮行程とを順に行うことを特徴としている。
また、本発明の野菜苗移植方法は、やし殻を粉砕して得られたやし殻繊維をあらかじめ設定した厚さの板状に圧縮成形し、使用時に吸水によって膨張させた培地に複数の野菜苗を根張りさせて生育させる育苗マットであって、育苗箱の内底部に載置されて前記やし殻繊維に含まれる細短繊維を材料とする支持層と、該支持層の上側に積層されて前記やし殻繊維に含まれる粉末分及び木質部分を材料とする培地層とに区分けされている育苗マットを用いて生育させた前記野菜苗を圃場に移植する野菜苗移植方法において、生育させた前記複数の野菜苗を前記育苗マットと共に前記育苗箱から取り出すマット取出工程と、取り出した前記複数の野菜苗を前記育苗マットと共に移植機に装着するマット装着工程と、前記移植機に備わる苗植付爪で、あらかじめ設定した区画にある前記野菜苗を前記支持層及び前記培地層と一体で掻き取る苗掻取工程と、掻き取った前記野菜苗を畝に植え付ける苗植付工程とを順に行うことを特徴としている。
本発明によれば、育苗マットがやし殻を原材料とした支持層と培地層とに区分けされているので、野菜苗の育苗と育苗後の移植に適した培地を形成することができる。すなわち、培地層では、粉末分や木質部分の繊維構造そのものが吸水性及び保水性において優れており、高密度に圧縮しても吸水によって均一にほぐれ、種まきが容易な育苗培地となる。したがって、水不足による根の乾燥や枯死を防止して野菜苗の生育を促進させることができる。
また、支持層では、圧縮成形する際に多数の細短繊維同士が変形して複雑に絡み合って連結されるので、吸水膨張後に細短繊維の絡みが解けることはなく、厚みを小さくしても引張り強度を満足させて育苗マット全体の強度を確保することができる。したがって、根の張り方に依存せずに育苗マットの形状崩れを防止して育苗箱からの取り出しや移植機への装着を容易に行うことができる。一方、移植機の苗植付爪によって育苗マットが分断される力に対して細短繊維は簡単に切断されるため、植え付ける対象の苗以外の周辺の苗をもぎ取ることはなく、野菜苗の移植を効率よく安定して行うことができる。
さらに、支持層と培地層との境界部では、圧縮成形する際に細短繊維と粉末分と木質部分とが相互に変形して複雑に絡み合うとともに、粉末分同士を強固に結び付けて割れにくくしているので、育苗マットの取り出し時や装着時の衝撃によって支持層と培地層とが分離してしまうことを防止できる。加えて、細短繊維、粉末分及び木質部分は、入手性に優れたやし殻を共通の材料としているので、安価に製造することできるだけでなく、圧縮成形されることによって少ないスペースで輸送及び保管することもできる。
本発明の一形態例を示す育苗マットの一部拡大断面図並びに育苗マット及び育苗箱の斜視図である。 同じく、野菜苗を生育した状態を示す育苗マットの一部拡大断面図である。 同じく、育苗マットの引張り強度を示す図である。
まず、本発明において、やし殻とは、やしの実の果皮から外果皮及び内果皮を除去し、取り出された中果皮に由来する繊維状物及び木質部分から得られたもので、本発明の育苗マットは、やし殻全体に裁断粉砕などの処理を施して、有用部分(剛長繊維及び中短繊維)を除いた残りの細短繊維と、粉末分及び木質部分(中果皮の繊維間を埋めるように構成している残滓物)からなるコイアダストとを主要材料としたものである。
コイアダストは、有用部分である繊維の採取工程で大量に発生するもので、別名コイア、ピスなどとも呼ばれており、保水性に優れ、固相、液相、気相の三相構造を確保していることから、土壌改良剤としてココピート(登録商標、以下同じ)の商品名で広く使用されている。つまり、やしの実の中果皮からロープ、ブラシ及びマットなどに使用される剛長繊維、中短繊維及び細短繊維を取り除いた残りの部分がコイアダストである。
図1乃至図3は、本発明の育苗マットを野菜苗に適用したもので、育苗マット11は、図1及び図2に示すように、やし殻を粉砕して得られたやし殻繊維をあらかじめ設定した厚さT1の板状に圧縮成形し、使用時に吸水によって膨張させた培地に複数の野菜苗を根張りさせて生育するもので、育苗箱12の内底部に載置される支持層13と該支持層13の上側に積層されて発芽した種子の根が伸長可能な培地層14とに区分けされている。つまり、育苗マット11の圧縮状態における厚さT1は、支持層13の厚さT2と培地層14の厚さT3とを合計した厚さである。
支持層13は、図1(A)に示すように、やし殻繊維に含まれる細短繊維13aを材料としている。また、圧縮状態における支持層13の厚さT2は、特に限定されるものではないが、好ましくは0.5mm〜3mm、より好ましくは0.8mm〜2.7mm、特に好ましくは1.1mm〜2.4mmの範囲内にある。厚さT2が0.5mmよりも小さい場合には、細短繊維13a同士の絡まりが弱くなり、吸水膨張後にばらけ易くなる。一方、厚さT2が3mmよりも大きい場合には、細短繊維13a同士の絡まりが強くなりすぎるため、移植機の苗植付爪によって植え付ける対象の苗以外の周辺の苗までもがもぎ取られてしまうおそれが生じる。
細短繊維13aは、支持層13の全体に亘って均一に分布しており、その方向性は不規則である。この細短繊維13aの太さは、例えば0.05mm〜0.6mmである。また、細短繊維13aの繊維長さは、特に限定されるものではないが、好ましくは5mm〜30mmの範囲内にある。繊維長さが5mmよりも短い場合には、細短繊維13a同士の絡まりが弱くなり、吸水膨張後にばらけ易くなる。一方、繊維長さが30mmよりも長い場合には、細短繊維13a相互の絡まりが強くなりすぎるため、移植機の苗植付爪によって植え付ける対象の苗以外の周辺の苗までもがもぎ取られてしまうおそれが生じる。また、少量であれば、上記に規定した太さ、長さ以外のやし殻繊維が含まれてもよい。
培地層14は、やし殻繊維に含まれる粉末分14a及びチップ(小片)などの木質部分14bを材料としている。また、膨張後における培地層14の厚さT3’は、特に限定されるものではないが、好ましくは7mm〜19mmの範囲内にある。厚さT3’が7mmよりも小さい場合には、充分な水分を保持しておくことができず、種子が乾燥して発芽障害や生育不良をもたらす。一方、厚さT3’が19mmよりも大きい場合には、吸水膨張後に育苗箱12から溢れて流出したりする事態となる。また、植え付ける野菜苗の種類に応じて厚さT3’を適宜に調節することができる。
粉末分14aは、培地層14の全体に亘って均一に分布しており、JISZ8801に基づく目の開きが0.5mmの篩を通過せず、目の開きが1.2mmの篩を通過するものが好ましい。この粉末分14aは、圧縮されることにより木質部分14bと密着して変形し、支持層13と培地層14との境界部15においては、細短繊維13aとも絡んで密着して変形する。また、少量であれば、目の開きが0.5mmの篩を通過する粉末分14aが含まれてもよい。
木質部分14bは、培地層14の全体に亘って均一に分布しており、JISZ8801に基づく目の開きが1.2mmの篩を通過せず、目の開きが2.5mmの篩を通過するものが好ましい。この木質部分14bは、圧縮されることにより粉末分14aと密着して変形し、支持層13と培地層14との境界部15においては、細短繊維13aとも絡んで密着して変形する。また、少量であれば、目の開きが2.5mmの篩を通過しない木質部分14bが含まれてもよい。
また、育苗マット11は、図1(B)に示すように、一般に普及している育苗箱12の内底面の形状である縦580mm×横280mmの長方形に対応させて、圧縮状態における平面視形状が縦L=580mm×横W=270mmの長方形に形成されている。そして、吸水膨張後に、育苗箱12の内周壁と育苗マット11との隙間が程よく埋まり、かつ、所定の嵩になるように膨張性能を考慮した外形寸法になっている。
このように、育苗マット11は、吸水膨張後の外形寸法を考慮して圧縮成形されるため、吸水膨張後の厚さT1’は材料の種類や量だけでなく、圧縮成形時における圧縮率にも依存している。圧縮された育苗マット11を膨張させると圧縮方向と反対方向に大きく膨張するため、上下方向から圧縮された育苗マット11は、水平方向よりも、上下方向に大きく膨張する傾向がある。好ましい膨張性能は、例えば、100%〜300%の範囲とすることができる。例えば、育苗マット11の厚さT1=4mmを厚さT1’=20mmに膨張させる場合、上下方向への膨張率は400%である「(20−4)/4」。このように、材料の種類、量及び圧縮率を適宜に調節することにより、育苗マット11を厚さ方向に4倍〜6倍に膨張させることができる。
また、育苗マット11の圧縮率は、材料の嵩比重に影響される。これは、育苗マット11の材料であるやし殻繊維の粒度分布や粒子形状に影響されることを意味する。例えば、同じやし殻繊維であっても、粒度の細かい粉末分14aを多く使用した場合には、空気の入り込む隙間が小さくなり、嵩比重は大きくなる。逆に、粒度の粗い木質部分14bを多く使用した場合には、空気の入り込む隙間が大きくなり、嵩比重は小さくなる。また、粒子の形状が均一な球状の場合には、細密充填が可能となるため、嵩比重は大きくなる。逆に、粒子の形状が不均一な場合には、隙間ができやすく嵩比重が小さくなる。さらに、繊維質の材料、例えば、細短繊維13aの場合には、繊維長さを変えることにより嵩比重を調節することができる。このように、育苗マット11を圧縮成形する際には、どの程度圧縮するかを考慮に入れて嵩比重を調節することが好ましい。
続いて、本発明の育苗マット11の製造方法について説明する。この育苗マット製造方法は、やし殻繊維に含まれる細短繊維13aと粉末分14aと木質部分14bとを選別する選別工程と、粉末分14aと木質部分14bとを混ぜ合わせて培地層14を形成するための混合物を生成する混合工程と、細短繊維13aと混合物とを重ねて加圧することにより、支持層13と培地層14との境界部15を絡合させて一体的に結合する圧縮行程とを順に行うものである。
選別工程は、やし殻を粉砕して得られたやし殻繊維に含まれる細短繊維13aと粉末分14aと木質部分14bとを選別する工程である。この工程により、細短繊維13aと粉末分14aと木質部分14bとが混ざり合った状態で目の開きの異なる篩に順番にかけられ、細短繊維13a、粉末分14a及び木質部分14bの選別が連続的に行われる。
混合工程は、選別された粉末分14aと木質部分14bとを混合撹拌装置に投入し、均一に混ざり合わせることによって混合物を生成する工程である。この工程により、育苗培地となるココピートが生成される。また、この工程において、粉末分14a及び木質部分14bと共に育苗する野菜苗の生育を補助する肥料などを混ざり合わせてもよい。
圧縮行程は、圧縮機の金型に細短繊維13aを均一に敷いて、その上に前記混合物を重ねた状態で、所望する密度となるように上下方向に加圧する工程である。育苗マット11の圧縮成形に必要とする細短繊維13a、粉末分14a及び木質部分14bの割合は、例えば、細短繊維13aが10重量%、粉末分14aが50重量%、木質部分14bが40重量%の割合とすることができる。この工程により、支持層13と培地層14とが所定の厚さ、例えば、厚さT2=2mm、厚さT3=2mmに圧縮されるとともに、支持層13と培地層14との境界部15を絡合させて一体的に結合される。
上述の製造工程を経て、例えば、平面視形状が縦L=580mm×横W=270mmの長方形であって、厚さT1=4mmの板状に形成された育苗マット11が得られる。また、製造工程には、やし殻散水工程を含めてもよい。このやし殻散水工程は、選別工程の前に行われるもので、細短繊維13a、粉末分14a及び木質部分14bに真水をかけて流すことにより、これらに含まれる塩分が流されて、野菜苗の育苗に適した塩分濃度になる。
この育苗マット11を育苗箱12の中で吸水膨張させることにより、支持層13はほとんど膨張せず、例えば、厚さT2=T2’=2mmであるが、培地層14は、例えば、厚さT3=2mmから厚さT3’=18mmに膨張する。したがって、育苗マット11全体としては、厚さT1=4mmから厚さT1’=20mmに膨張する。これにより、培地層14は均一にほぐれ、ここに育苗される野菜苗の種子を播くと数日で、例えば、5日〜7日程度で発芽する。
図2は、発芽した野菜苗を示すもので、例えば、キャベツの苗である。この野菜苗16は、培地層14に根張りした状態にある。ここから一定の期間で、例えばキャベツは、30日程度で本葉が複数枚に増え、移植時期が到来する。
ここで、育苗後における育苗マット11の引張り強度試験を行い、各種育苗マットとの比較を行った。対象の野菜苗はキャベツ及びタマネギである。また、育苗日数はキャベツが34日間、タマネギが44日間である。
図3は、育苗後の引張り強度試験の結果を示している。本発明の育苗マット11は、引張り強度の測定値が10kgf/10cmであり、他の資材である市販の「セル培土」、「ロックウールマット」及び「ココピート」を用いた場合よりも極めて高い強度であった。このように、育苗マット11は、圧縮成形する際に多数の細短繊維13a同士が変形して複雑に絡み合って連結され、しかも吸水によって細短繊維13aの絡みが解けることはないので、支持層13の厚さが小さくても引張り強度に優れていることが示された。
一方、同じやし殻繊維を材料とする「ココピート」には、若干量の繊維分が含まれているものの、繊維同士が絡んで強度を高めることはできず、しかも繊維分が粒体を補強することもできないので、引張り強度の測定値が、キャベツにおいて1.3kgf/10cmと非常に低い。したがって、育苗マット11と「ココピート」とを比較することにより、積層構造の違いによる引張り強度に与える影響が顕著に示された。また、タマネギは野菜の中でも根の広がりが小さく、培土に固化剤を混合させる手間が生じる。したがって、根の張り方に依存しないで引張り強度を確保できる育苗マット11は、タマネギの育苗に特に有用である。しかもタマネギの根は、水平方向への広がりがとりわけ小さいので、株間は狭くてよいことから、育苗マット11を用いた野菜苗移植方法の機械化を図る上で適している。
続いて、本発明の育苗マット11を用いて生育した野菜苗16を圃場に移植する野菜苗移植方法について説明する。この野菜苗移植方法は、生育した複数の野菜苗16を育苗マット11と共に育苗箱12から取り出すマット取出工程と、取り出した複数の野菜苗16を育苗マット11と共に移植機に装着するマット装着工程と、移植機に備わる苗植付爪で、あらかじめ設定した区画にある野菜苗16を支持層13及び培地層14と一体で掻き取る苗掻取工程と、掻き取った野菜苗16を畝に植え付ける苗植付工程とを順に行うものである。また、マット取出工程及びマット装着工程は作業者の手で行われ、苗掻取工程及び苗植付工程は移植機で自動的に行われる。
マット取出工程は、生育した野菜苗16を育苗マット11と共に育苗箱12から取り出す工程である。育苗マット11には、例えば、128株の野菜苗16が所定の間隔で16行8列の行列状に植え付けられている。この工程により、これらの野菜苗16を苗取板などの作業道具を用いて育苗マット11と一体ですくい取るようにして取り出される。
マット装着工程は、取り出した複数の野菜苗16を育苗マット11と共に移植機に装着する工程である。この工程により、移植機における下向き傾斜状に設けられた苗載台に育苗マット11が載置される。また、同時に複数の育苗マット11が載置される場合は、一方の育苗マット11の山側に並べるようにして他方の育苗マット11が載置される。
苗掻取工程は、移植機に備わる苗植付爪で、あらかじめ設定した区画、例えば、35mm×35mmの区画にある野菜苗16を支持層13及び培地層14と一体で掻き取る工程である。この工程により、苗植付爪は、苗載台に載置された育苗マット11の左右一端側から野菜苗16を一株ずつ掻き取ってゆく。
苗植付工程は、掻き取った野菜苗16を畝に植え付ける工程である。この工程により、野菜苗16は、昇降する苗植付爪の下方移動によって支持層13及び培地層14と一体で畝に植え付けられる。
上述の苗掻取工程及び苗植付工程は、移植機を畝に沿って走行させつつ苗植付爪を昇降させながら反復連続して行われ、野菜苗16の植え付けが効率的に進められる。その後、根は水平方向に伸長して野菜苗16の活着を促進させる。一方、支持層13及び培地層14を形成する細短繊維13a、粉末分14a及び木質部分14bは、微生物により数年かけて分解されて腐食物質になり、長期に渡って野菜の生育を促進させる。
このように、育苗マット11がやし殻を原材料とした支持層13と培地層14とに区分けされているので、野菜苗16の育苗と育苗後の移植に適した培地を形成することができる。すなわち、培地層14では、粉末分14aや木質部分14bの繊維構造そのものが吸水性及び保水性において優れており、高密度に圧縮しても吸水によって均一にほぐれ、種まきが容易な育苗培地となる。したがって、水不足による根の乾燥や枯死を防止して野菜苗16の生育を促進させることができる。
また、支持層13では、圧縮成形する際に多数の細短繊維13a同士が変形して複雑に絡み合って連結されるので、吸水膨張後に細短繊維13aの絡みが解けることはなく、厚みを小さくしても引張り強度を満足させて育苗マット11全体の強度を確保することができる。したがって、根の張り方に依存せずに育苗マット11の形状崩れを防止して育苗箱12からの取り出しや移植機への装着を容易に行うことができる。一方、移植機の苗植付爪によって育苗マット11が分断される力に対して細短繊維13aは簡単に切断されるため、植え付ける対象の苗以外の周辺の苗をもぎ取ることはなく、野菜苗16の移植を効率よく安定して行うことができる。
さらに、支持層13と培地層14との境界部15では、圧縮成形する際に細短繊維13aと粉末分14aと木質部分14bとが相互に変形して複雑に絡み合うとともに、粉末分14a同士を強固に結び付けて割れにくくしているので、育苗マット11の取り出し時や装着時の衝撃によって支持層13と培地層14とが分離してしまうことを防止できる。加えて、細短繊維13a、粉末分14a及び木質部分14bは、入手性に優れたやし殻を共通の材料としているので、安価に製造することできるだけでなく、圧縮成形されることによって少ないスペースで輸送及び保管することもできる。
また、移植機の苗載台に複数の育苗マット11を並べると、谷側の育苗マット11が山側の育苗マット11の重みで圧縮される方向に荷重を受けるが、支持層13によって剛性を確保しているので、育苗マット11が凸状に逆反りして形状が崩れてしまうことはない。さらに、野菜苗16を掻き取る際に、培地層14によって苗植付爪が支持層13に当たるときの衝撃を緩衝材のように機能して和らげるため、苗植付爪が磨耗することもない。
なお、本発明は、前記形態例に限るものではなく、育苗マット及び育苗マットの製造方法並びに育苗マットを用いた野菜苗移植方法は、本発明の範囲内で適宜に変更を加えることができる。また、細短繊維、粉末分及び木質部分を採取するやし殻の種類は、特に限定されるものではないが、スリランカ産のココヤシは良質の繊維が採取され、このココヤシがロープ、ブラシ及びマットなどの繊維製品に好適に使用されるので、コイアダストの排出量も多く品質及び安定供給の点で優れている。このため、スリランカ産のココヤシのやし殻繊維が本発明において好適に用いられる。
さらに、育苗マットに用いられる野菜苗としては、キャベツやタマネギに限定されるものではなく、例えば、トマト、ピーマン、カボチャ、キュウリ、スイカ、インゲン豆、メロン、ナス、イチゴ、エンドウ、オクラなどの果菜類、ダイコン、カブ、ゴボウ、ニンジン、ジャガイモ、サツマイモ、サトイモなどの根菜類、ホウレンソウ、ハクサイ、レタス、ネギ、コマツナ、チンゲンサイ、キク、シュンギク、ミツバ、セロリ、アオジソ、シロナ、パセリなどの葉菜類、ブロッコリー、カリフラワーなどの葉茎菜類といったものの中から選択して適用することができる。
11…育苗マット、12…育苗箱、13…支持層、13a…細短繊維、14…培地層、14a…粉末分、14b…木質部分、15…境界部、16…野菜苗

Claims (4)

  1. やし殻を粉砕して得られたやし殻繊維をあらかじめ設定した厚さの板状に圧縮成形し、使用時に吸水によって膨張させた培地に複数の野菜苗を根張りさせて生育させる育苗マットであって、育苗箱の内底部に載置されて前記やし殻繊維に含まれる細短繊維を材料とする支持層と、該支持層の上側に積層されて前記やし殻繊維に含まれる粉末分及び木質部分を材料とする培地層とに区分けされていることを特徴とする育苗マット。
  2. 膨張後における前記支持層の厚さが0.5mm〜3mmの範囲内にあり、前記培地層の厚さが7mm〜19mmの範囲内にあることを特徴とする請求項1記載の育苗マット。
  3. やし殻を粉砕して得られたやし殻繊維をあらかじめ設定した厚さの板状に圧縮成形し、使用時に吸水によって膨張させた培地に複数の野菜苗を根張りさせて生育させる育苗マットであって、育苗箱の内底部に載置されて前記やし殻繊維に含まれる細短繊維を材料とする支持層と、該支持層の上側に積層されて前記やし殻繊維に含まれる粉末分及び木質部分を材料とする培地層とに区分けされている育苗マットの製造方法において、前記やし殻繊維に含まれる前記細短繊維と前記粉末分と前記木質部分とを選別する選別工程と、前記粉末分と前記木質部分とを混ぜ合わせて混合物を生成する混合工程と、前記細短繊維と前記混合物とを重ねて加圧することにより、前記支持層の厚さが0.5mm〜3mmの範囲内にあり、前記培地層の厚さが1mm〜4mmの範囲内にあるように圧縮成形されるとともに、前記支持層と前記培地層との境界部を絡合させて一体的に結合する圧縮行程とを順に行うことを特徴とする育苗マットの製造方法。
  4. やし殻を粉砕して得られたやし殻繊維をあらかじめ設定した厚さの板状に圧縮成形し、使用時に吸水によって膨張させた培地に複数の野菜苗を根張りさせて生育させる育苗マットであって、育苗箱の内底部に載置されて前記やし殻繊維に含まれる細短繊維を材料とする支持層と、該支持層の上側に積層されて前記やし殻繊維に含まれる粉末分及び木質部分を材料とする培地層とに区分けされている育苗マットを用いて生育させた前記野菜苗を圃場に移植する野菜苗移植方法において、生育させた前記複数の野菜苗を前記育苗マットと共に前記育苗箱から取り出すマット取出工程と、取り出した前記複数の野菜苗を前記育苗マットと共に移植機に装着するマット装着工程と、前記移植機に備わる苗植付爪で、あらかじめ設定した区画にある前記野菜苗を前記支持層及び前記培地層と一体で掻き取る苗掻取工程と、掻き取った前記野菜苗を畝に植え付ける苗植付工程とを順に行うことを特徴とする野菜苗移植方法。
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