JP2004159652A - 植生マットとその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 法面に早期に在来多年生草本類の群落を造成することができる植生マットとその製造方法を提供する。
【解決手段】 圃場に敷設した可撓性ネット10を内包するように育成している在来多年生草本類2または地被植物4のいずれか一方の中に他方を適当間隔で移植し、在来多年生草本類2の地下茎3と地被植物4の根5とが絡み合った後、両者2,4を圃場から可撓性ネット10ごとマット状に剥ぎ取って、植生マットAを製造する。
【選択図】 図3
【解決手段】 圃場に敷設した可撓性ネット10を内包するように育成している在来多年生草本類2または地被植物4のいずれか一方の中に他方を適当間隔で移植し、在来多年生草本類2の地下茎3と地被植物4の根5とが絡み合った後、両者2,4を圃場から可撓性ネット10ごとマット状に剥ぎ取って、植生マットAを製造する。
【選択図】 図3
Description
本発明は、例えば、チガヤ、ススキ等の在来多年生草本類を利用した河川堤防等の法面の侵食防止対策に関するものである。
河川堤防等の法面の侵食防止対策の一つとして、野芝、高麗芝、ティフトン等の洋芝をロール状に巻いて運搬することが可能な植生マットとして作製しておき、これらの植生マットを法面に張り付ける工法が、従来より広く知られている。また、芝の根を引張強度の高い可撓性ネットに絡み付けることによって、マット形状が崩れ難くし、河川堤防の冠水域にも強固に張り付けることができるようにした植生マットとその製造方法も、特開2001−8547号公報により提案されている。
これらの植生マットを法面に張り付ける工法は、施工直後から法面が緑化されるため、景観的に非常に優れた工法である。しかしながら、植生マットには、芝の栽培中に外部から飛散した多くの帰化植物(セイタカアワダチソウなど)の種子や元々圃場にあった帰化植物の根茎等が混入している。このような植生マットでは、施工後、大型の帰化植物が繁茂するようになり、次第に芝地から帰化植物よりなる雑草地に変わってしまうことがある。従って、繁茂した大型帰化植物を定期的に刈り取るといった維持管理が必要とされることになり、毎年、多大の維持管理費用が必要とされているのが実情である。
そのため、維持管理を軽減できる法面の緑化方法が求められている。この緑化方法として、近年、チガヤなどの在来多年生草本類の群落の造成をめざした試みがなされている。例えば、チガヤは、これまで雑草として扱われ、緑化工事に殆ど使用されていないが、太い地下茎を有し、根茎による無性繁殖と種子による有性繁殖とが可能で、旺盛な繁殖力を有する上、他の植物の発芽を抑制する他感作用が強く、しかも、上記文献「雑草の自然史」に記載されている通り、長い根茎は1mあまりまで伸長し、個体当りの根茎の総延長は約12mにも達するので、土壌緊縛力が強くて、法面の侵食防止に好適であり、景観的にも、白い穂をたなびかせた群落をなす姿には美しいものがあり、緑化用の草資源として有望である。
法面に在来多年生草本類の群落を造成する方法としては、種子をシートに付着させたものを法面に張り付けたり、種子を肥料や保水材等の植物生育基盤材とともに法面に吹き付ける方法等が試みられているが、これらの方法では、次のような問題点があった。
すなわち、在来多年生草本類の種子には非常に小さいものがあり、小さい種子は、工事現場の厳しい環境(特に、乾燥)の影響を受けやすく、法面に播種しても発芽しない場合が多い。また、在来多年生草本類の種子にはチガヤの種子など高温で発芽するものがあり、法面で発芽させる方法では、施工時期が限定されることになる。
特開2001−8547号公報(図1〜図3)
山口裕文編著「雑草の自然史」北海道大学図書刊行会出版、1997年6月10日発行(第142頁〜第149頁)
本発明は、上記の問題点をふまえてなされたものであって、法面に早期に在来多年生草本類の群落を造成できる植生マットとその製造方法を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために、本発明では、次のような技術的手段を講じている。即ち、請求項1に記載した発明では、在来多年生草本類の地下茎と地被植物の根とを絡み合わせて一体とし、かつマット状として成る植生マットを構成している。
また、可撓性ネットを内包しているとしてもよい(請求項2)。
請求項3に記載の発明による植生マットの製造方法は、圃場で育成している在来多年生草本類または地被植物のいずれか一方の中に他方を間隔をおいて移植し、在来多年生草本類の地下茎と地被植物の根とが絡み合った後、両者を圃場からマット状に剥ぎ取って、植生マットを製造することを特徴としている。
請求項4に記載の発明による植生マットの製造方法は、圃場に敷設した可撓性ネットを内包するように育成している在来多年生草本類または地被植物のいずれか一方の中に他方を適当間隔で移植し、在来多年生草本類の地下茎と地被植物の根とが絡み合った後、両者を圃場から可撓性ネットごとマット状に剥ぎ取って、植生マットを製造することを特徴としている。
在来多年生草本類の種子を、植物生育基盤材が詰め込まれたセルトレイに播種して生育させることにより、地被植物の中に移植する在来多年生草本類の苗を得るとしてもよい(請求項5)。
また、在来多年生草本類の種子を発芽させ、幼芽・幼根が伸長をはじめたら、植物生育基盤材が詰め込まれたセルトレイに移植して生育させることにより、地被植物の中に移植する在来多年生草本類の苗を得るとしてもよい(請求項6)。
請求項1に記載した発明では、在来多年生草本類の地下茎と地被植物の細くて密な根とが絡むことによって両者がマット状に保形されることになる。従って、在来多年生草本類だけからなるマットを形成する場合には、在来多年生草本類の根茎が太く疎であると、根茎が相互に絡み合ってマットを形成するようになるまでには多くの年数がかかるおそれがあるが、在来多年生草本類と地被植物とからなるこの発明の植生マットは、在来多年生草本類の育成期間が短くて済み、短期間のうちに河川堤防等の法面の侵食防止対策に供し得る。また、上記植生マットを法面に設置した後、在来多年生草本類が成長すると、地被植物が被圧されて衰退し、これにより、植生遷移が進み、在来多年生草本類による植物群落が容易にかつ短い期間で形成されることとなる。
また、在来多年生草本類の種子が、工事現場の厳しい環境の影響を受けやすく、法面に直接播種しても発芽しないようなものであったり、チガヤの種子など高温でなければ発芽しないものであったとしても、この発明の植生マットは、在来多年生草本類の種子の発芽に適する環境となるように構成された場所において、在来多年生草本類の種子を発芽させて予め形成しておくことができるので、この植生マットを用いて施工する場合、その施工に関する場所や時期が限定されることがない。また、この発明の植生マットは、使用する在来多年生草本類の種類をほとんど問わないので、例えば、法面の周辺に存在する在来多年生草本類の種子を用いて植生マットを形成し、この植生マットを法面に設置すれば、生態系の破壊の発生を生じさせることなく、法面の緑化および侵食防止を図ることが可能となる。
上記の植生マットを河川堤防等の法面に張り付けると、施工直後から法面が地被植物と在来多年生草本類とによって継続的に緑化・浸食防止されることになる。そして、在来多年生草本類の旺盛な繁殖力によって、純粋な在来多年生草本類の群落を法面に早期に造成することができ、帰化植物の繁茂が抑制され、ひいては維持管理(刈り込み、施肥等)の手間と費用が大幅に軽減される。
尚、請求項2に記載した発明のように、在来多年生草本類および地被植物からなるマットに可撓性ネットを内包させれば、植物の根が可撓性ネットに絡み合って、マット形状が崩れ難くなり、河川堤防の冠水域にも、容易に流失しないように強固に張り付けることができる。
請求項3に記載した方法によれば、請求項1に記載の発明に係る植生マットを製造でき、請求項4に記載の方法によれば、請求項2に記載の発明に係る植生マットを製造できる。
なお、請求項3,4に記載の発明による植生マットの製造方法では、在来多年生草本類および地被植物を圃場からマット状に剥ぎ取る際、在来多年生草本類の地下茎がある程度切断されるが、例えば、在来多年生草本類としてチガヤを用いた場合、このチガヤについて、上記文献「雑草の自然史」には「春に萌芽した新しい株を直径20cm、深さ19cmの素焼鉢に1株ずつ移植し、栽培すると、1年間に1つの親株にはおおよそ23個、最高45株の子株がつくられる。根茎が何らかの原因で切断されると、子株は独立した個体となる。」という報告もあり、このようなチガヤなどの在来多年生草本類の性質上、地下茎の切断は問題にならない。
また、在来多年生草本類または地被植物を、圃場に敷設した可撓性ネットを内包するように育成するにあたっては、可撓性ネットの上に播種、覆土して発芽・発根させる場合と、別の圃場でマット状になるまで育成した在来多年生草本類マットまたは地被植物マットを可撓性ネットの上に敷き詰めて、在来多年生草本類の地下茎または地被植物の根が可撓性ネットに絡みつくまで育成する場合とがある。また、圃場から在来多年生草本類および地被植物を剥ぎ取った後に可撓性ネットを敷設し、地中に残っている在来多年生草本類の地下茎および/または地被植物の根から在来多年生草本類および/または地被植物を再生・生育させて可撓性ネットを在来多年生草本類および/または地被植物に内包させることも可能である。
地被植物の中に在来多年生草本類を移植して植生マットを形成する場合、その在来多年生草本類の苗を得るにあたっては、切断した根茎の2〜3節を植物生育基盤材が詰め込まれた鉢部の幅と深さが3〜5cm程度のセルトレイに植え込んで萌芽させ、セルトレイで草丈が5cm程度になるまで生育させてもよいが、請求項5に記載の発明のように、在来多年生草本類の種子を、植物生育基盤材が詰め込まれたセルトレイに播種して生育させることにより、地被植物の中に移植する在来多年生草本類の苗を得る方が、地下茎の採取地が侵食等によって荒廃するという問題を回避できる点で、好ましい。
また、請求項6に記載の発明のように、在来多年生草本類の種子を発芽させ、幼芽、幼根が5mm程度に伸長をはじめた後にセルトレイに移植して生育させるようにすれば、在来多年生草本類の種子の発芽率が低い場合にも歩留りを悪くすることなく植生マットを製造することが可能となる。
尚、セルトレイで草丈が5cm程度になるまで生育させた在来多年生草本類の苗を地被植物の中に移植するにあたっては、セルトレイが合成樹脂製、金属製、木製等である場合、セルトレイの各々の鉢部から在来多年生草本類の苗を抜き取って移植することになるが、水により脆弱化する材料、腐食性材料等によって作製され、且つ、鉢部ごとに分離可能に構成されたセルトレイで生育させた在来多年生草本類の苗を地被植物の中に適当間隔で鉢部ごと移植するようにしてもよい。このようにすれば、鉢部が在来多年生草本類の苗の根茎の一時的な保護膜となり、移植作業中における根茎の乾燥、根切れ等を防止できる利点がある。
ここで、例えば、在来多年生草本類としてチガヤを用いる場合、チガヤの発芽は、温度及び湿度の人為的な管理下で、25〜35°Cの湿潤条件下とするのが望ましい。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1、図2は、本発明に係る植生マットAの一例を示す。この植生マットAは、地被植物マットとしての芝マット1に在来多年生草本類の苗としてのチガヤ苗2が間隔(例えば20cm〜30cm間隔が好ましい)をおいて植え付けられて成るものであり、矩形状に形成されている。詳しくは、植生マットAは、チガヤ苗2の根茎3を、地被植物としての芝4のマット状に絡み合った細くて密な根5と絡み合わせることにより、チガヤ苗2と芝4とを一体とし、かつマット状としたものである。植生マットAの縦横の寸法は、人力による小運搬が可能な重量、トラック輸送に際しロール状に巻くことが可能であること等を考慮して、適当に設定される。
河川堤防等の法面Sへの植生マットAの施工方法は、従来の植生マット張り付け工法と同じであり、表面を整地した後、図1に示す如く、根が接地するように植生マットAを展開して、アンカー釘6等で固定する。活着を良くするために、隙間を塞ぐ目土を施し、散水することもある。
以上のように施工すると、施工直後から法面Sが芝4とチガヤ苗2とによって緑化されることになる。そして、チガヤの旺盛な繁殖力と他の植物の発芽や生育を抑制する他感作用とによって、純粋なチガヤ群落を法面Sに早期に造成することができ、帰化植物や雑草の繁茂が抑制されるので、維持管理の手間と費用が大幅に軽減されると共に、チガヤ群落の長い根茎による強い土壌緊縛力により、法面の侵食が確実に防止されることになる。
次に、植生マットAの製造方法を図3〜図5に基づいて説明する。まず、チガヤの種子を発芽させるのであるが、この実施例では、図3に示すように、採取したチガヤの穂aを細かく刻んで置床し、温度及び湿度を人為的に管理して、25〜35°Cの湿潤条件下で発芽させる。
幼芽・幼根bが夫々5mm程度に伸長をはじめたら、肥料、保水材等を一定割合で配合した植物生育基盤材(例えば、堆肥、ピートモス等の短繊維、バーミキュライト等を一定割合で配合した植物生育基盤材)が詰め込まれた鉢部7aの幅と深さが3〜5cmのセルトレイ7に移植して生育させる。
チガヤ苗2の草丈が5cm程度になったら、チガヤ苗2をセルトレイ7の鉢部7aから抜き取り、図3に示すように、圃場で育成している芝4の中に20cm〜30cm間隔で穴8をあけて移植する。穴8の大きさは、セルトレイ7の鉢部7aの大きさよりやや大きめとし、図4に示すように、チガヤ苗2の根茎3と穴8の隙間に目土9を施すことが望ましい。
尚、芝4の中に移植するチガヤ苗2を得るにあたっては、図3の右上部に示すように、切断した根茎3の2〜3節を植物生育基盤材が詰め込まれた鉢部7aの幅と深さが3〜5cmのセルトレイ7に植え込んで萌芽させ、セルトレイ7で草丈が5cm程度になるまで生育させてもよい。
育苗中の芝4の中に植え付けられたチガヤ苗2は、生育にしたがって地下茎を発達させ多くの子株をつくる。また、その地下茎は細く密な芝の根5と絡むようになる。従って、チガヤ苗2の地下茎と芝4の根5とが絡み合った後、換言すれば、20cm〜30cm間隔で植え付けられたチガヤ苗2の地下茎だけでは未だマットを形成できないが、細い根が密に絡み合ってマットを形成できる段階まで生育している芝4と根絡みすることにより、マットを形成できる段階まで生育したら、ソッドカッター等を用いて、図5に示すように、芝4を圃場からマット状に剥ぎ取ることにより、上述した植生マットAが得られることになる。
図6は、本発明に係る植生マットAの他の例を示す。この植生マットAは、芝マット1の下面側に芝4の根5を絡ませる可撓性ネット10が設けられている点に特徴がある。可撓性ネット10は、幅1m当りの引張強度を1.0〜7.0トン程度に設定したものであって、耐久性に富む繊維、例えばナイロン、ポリエステル、アラミド、カーボン、ポリアセタール等の繊維を用いて、目合い2〜15mmの格子状に成型したものであるが、上記繊維の糸を用いて同じ目合いの網状体に編組したものにしてもよく、両者を重ね合わせたものでもよい。
この構成によれば、芝4の根5が引張強度の高い可撓性ネット10に絡みつくことによって、植生マットAに可撓性ネット10が内包されることとなるため、マット形状が崩れ難くなり、河川堤防の冠水域にも、容易に流失しないように強固に張り付けることができる。また、可撓性ネット10の一辺を吊り下げてもマット形状が崩れないので、植生マットAの縦横の寸法を大きくし(例えば200cm×300cm程度とし)、クレーン等を利用して法面に施工するように構成することもできる。
上記の植生マットAは、図7に示すように、草丈が5cm程度のチガヤ苗2を圃場に敷設した可撓性ネット10の上で可撓性ネット10を内包するマット状となるように育成している芝4の中に20〜30cm間隔で移植し、図8に示すように、チガヤ苗2の地下茎と芝4の根5とが絡み合った後、芝4を圃場から可撓性ネット10ごとマット状に剥ぎ取ることによって製造される。
芝4の中に移植するチガヤ苗2を得るまでの方法は、図2で示した植生マットAの場合と同一であり、採取したチガヤの穂aを細かく刻んで置床し、温度及び湿度を人為的に管理して、25〜35°Cの湿潤条件下で発芽させ、幼芽・幼根bが夫々5mm程度に伸長をはじめたら、肥料、保水材等を一定割合で配合した植物生育基盤材(例えば、堆肥、ピートモス等の短繊維、バーミキュライト等を一定割合で配合した植物生育基盤材)が詰め込まれた鉢部7aの幅と深さが3〜5cmのセルトレイ7に移植して草丈が5cm程度になるまで生育させる方法と、図3の右上部に示すように、切断した根茎cの2〜3節を植物生育基盤材が詰め込まれた鉢部7aの幅と深さが3〜5cmのセルトレイ7に植え込んで萌芽させ、セルトレイ7で草丈が5cm程度になるまで生育させる方法があり、何れを選択してもよいが、前者の方が、地下茎の採取地が侵食等によって荒廃するという問題を回避できる点で、好ましい。
尚、上述した実施の形態では、何れも、前記セルトレイ7が、耐久性に富む材料で作製され(例えば合成樹脂製、金属製、木製等)、繰り返し使用が可能に構成されているので、セルトレイ7で草丈が5cm程度になるまで生育させたチガヤ苗2を芝4の中に移植するにあたっては、セルトレイ7に形成されている各々の鉢部7aからチガヤ苗2を抜き取って移植しているが、セルトレイ7の材質と構造によっては、セルトレイで生育させたチガヤ苗を芝の中に適当間隔で鉢部ごと移植するようにしてもよい。
例えば、セルトレイ7を紙等の水により脆弱化する材料や有孔の生分解性プラスチック等の腐食性材料等によって作製すると共に、図9(A)に示すように、互いに独立した多数の鉢部7aを密集状態に接着していた水溶性糊剤が育苗時の水分で接着力を失うことにより、鉢部7aを分離できるように構成したり、図9(B)に示すように、格子状に一体成型された鉢部7a同士の連結部に形成された局部的脆弱部7bから折り取ることにより、鉢部7aを分離できるように構成すれば、鉢部7aが時間の経過とともに消失し、チガヤ苗2の根茎の伸長の障害にならないので、チガヤ苗2が草丈5cm程度に育成された段階で、鉢部7aごとに分離し、図10に示すように、チガヤ苗2を芝4の中に鉢部7aごと移植することができる。このようにすれば、鉢部がチガヤ苗の根茎の一時的な保護膜となり、移植作業中における根茎の乾燥、根切れ等を防止できる利点がある。
上記2つの実施例は種々に変形することができる。例えば、チガヤの穂a(種子)を生育させてチガヤ苗2を得た後、芝4(芝マット1)の中に移植することにより植生マットAを得る構成に代えて、例えば、芝マット1の表面を部分的に削り取り、その削り取った部分にチガヤの根茎を埋め込み、この根茎を生育させることにより、植生マットAを得るようにしてもよい。
また、植生マットAは、地被植物マット(芝マット)1に在来多年生草本類(チガヤ苗2)が間隔をおいて植え付けられて成るものに限られず、例えば、図11に示すように、在来多年生草本類としてのチガヤ(チガヤ苗)2からなるマット1’に、在来多年生草本類(チガヤ苗2)の間を埋めるようにして適宜間隔をおいて地被植物(芝4)が植え付けられて成るものでもよい。このように構成した場合には、初期のチガヤが多くなり、植生マットAを敷設した法面がチガヤ群落に推移するスピードが早くなるという効果が得られる。そして、もちろん、この場合にも、植生マットAに可撓性ネット10を内包させてもよいことはいうまでもない。
また、チガヤ以外に、ススキやヨモギなどの在来多年生草本類を用いることもできる。この場合、チガヤに比べてススキやヨモギなどは、その種子の発芽率が高いので、例えば、種子を予め発芽させ、ある程度成長させてからセルトレイ7に移植する構成に代えて、セルトレイ7に直接種子(または穂)を播種する構成を採用してもよい。
A 植生マット
1 芝マット
2 チガヤ
3 根茎
4 芝
5 根
10 可撓性ネット
1 芝マット
2 チガヤ
3 根茎
4 芝
5 根
10 可撓性ネット
Claims (6)
- 在来多年生草本類の地下茎と地被植物の根とを絡み合わせて一体とし、かつマット状として成ることを特徴とする植生マット。
- 可撓性ネットを内包している請求項1に記載の植生マット。
- 圃場で育成している在来多年生草本類または地被植物のいずれか一方の中に他方を間隔をおいて移植し、在来多年生草本類の地下茎と地被植物の根とが絡み合った後、両者を圃場からマット状に剥ぎ取って、植生マットを製造することを特徴とする植生マットの製造方法。
- 圃場に敷設した可撓性ネットを内包するように育成している在来多年生草本類または地被植物のいずれか一方の中に他方を適当間隔で移植し、在来多年生草本類の地下茎と地被植物の根とが絡み合った後、両者を圃場から可撓性ネットごとマット状に剥ぎ取って、植生マットを製造することを特徴とする植生マットの製造方法。
- 在来多年生草本類の種子を、植物生育基盤材が詰め込まれたセルトレイに播種して生育させることにより、地被植物の中に移植する在来多年生草本類の苗を得る請求項3又は4に記載の植生マットの製造方法。
- 在来多年生草本類の種子を発芽させ、幼芽・幼根が伸長をはじめたら、植物生育基盤材が詰め込まれたセルトレイに移植して生育させることにより、地被植物の中に移植する在来多年生草本類の苗を得ることを特徴とする請求項3又は4に記載の植生マットの製造方法。
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