JP2019135996A - 害虫捕獲用粘着シート - Google Patents

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Abstract

【課題】温室や畜舎などに生息する害虫に対する誘引効果を高め、より多くの害虫を誘引でき、誘引された害虫をシート表面の粘着剤層で物理的に動けなくし、より多くの害虫類を捕獲することを実現できる、簡易で且つ経済的な害虫捕獲用粘着シートの提供。【解決手段】シート状の基材と、該基材の少なくとも一方の表面に設けられた害虫を誘引するための着色層と、該着色層上の一部又は全部に形成された粘着剤層とを有してなり、前記着色層は、害虫に対する第1の誘引色を反射する第1害虫誘引色反射領域と、前記誘引色とは異なる反射率曲線を示す第2の誘引色を反射する第2害虫誘引色反射領域の、少なくとも2つの領域を有し、前記着色層が設けられている全領域に対する、前記第2害虫誘引色反射領域の占有面積割合が1.5%〜40%であり、且つ、前記全領域中に、前記第2害虫誘引色反射領域を形成する複数の図柄が配置された構成を有する害虫捕獲用粘着シート。【選択図】図1

Description

本発明は、害虫捕獲用粘着シートに関し、さらに詳しくは、温室やビニールハウスや畜舎などに生息する種々の害虫に対する誘引効果を高め、より効果的に、より多くの害虫を誘引でき、誘引された害虫をシート表面に設けた粘着剤層で動けなくして、より多くの害虫(昆虫)類を捕獲することを実現可能にできる害虫捕獲用粘着シートに関する。
経験則から、害虫(昆虫)は、黄色などに着色された物に誘引する傾向があることが知られており、基材シートを黄色や青色に着色し、且つ、その表面に粘着剤層を配置した粘着シートを用い、害虫(昆虫)を捕獲することが行われている。また、例えば、特許文献1及び2では、昆虫の種によって誘引される色が異なるため、捕虫効率に差が生じるとして、種の異なる昆虫のそれぞれにあった2以上の異なる色を組み合わせた構成とすることで、異なる種類の昆虫に対する誘引効率の差を少なくすることを可能にした害虫捕獲装置や飛翔害虫誘引捕獲粘着シ−トの提案がされている。さらに、生物の色覚に則した分光分布を有する光を利用した生物誘引システムが開示されている(特許文献3参照)。そして、これらの技術を利用することで、農薬の使用量や作業工数を低減できるので、その利用が期待されている。中でも、光源や電源等の特有機材を必要としない簡便で安価な害虫誘引捕獲粘着シ−トの利用が期待されている。
特開2000−60404号公報 特開平11−32648号公報 特開2007−31号公報
しかしながら、上記した先行技術において問題とされているように、害虫(昆虫)の種類によって最適な誘引色が相違するという課題があり、本発明者らの検討によれば、従来技術で提案されている手段によっても、多くの種類の害虫(昆虫)のいずれに対しても好適な誘引効果を示す害虫捕獲装置や害虫捕獲用粘着シートを得ることは難しかった。ここで、昆虫の可視波調域は、人間の可視光の範囲(400〜700nm)よりも、紫外領域(250〜400nm)にずれていて、概ね350〜650nmであるといわれており、昆虫は、人間には見えない紫外線を色として認識し、紫外線、青色及び黄色で外界を認識していると考えられている。そして、例えば、コナジラミ類は、紫外線及び黄色に誘引され、アザミウマ類は、紫外線及び青色や紫色に誘引されることが知られており、害虫の種類によって誘引色が同じでない場合もある。
これに対し、本発明者らの検討によれば、特に、最近、捕獲の対象となる害虫の種類が増加してきたこともあって、害虫の誘引色として従来から利用されてきた色では、誘引効果が期待したよりも不足する場合が増えてきている。このため、得られる効果を予測して農薬の使用量を低減した際に、期待した通りの効果が得られない場合があり、深刻な害虫被害をもたらすことが懸念される。
また、例えば、黄色に誘引されることが報告されている害虫(昆虫)類において、使用する黄色の、色相、彩度及び明度等の違いによって誘引のされ方が一様でなく変化し、誘引効率が異なり、このことが原因し、害虫の捕獲効果の違いに無視できない程度に影響する場合もある。具体的には、例えば、黄色に誘引されるとされている害虫(昆虫)であっても、使用した黄色の種類によって誘引効率に有意なバラつきが生じ、1種類の黄色だけでは、多種の害虫(昆虫)のいずれに対しても効果的に誘引することができない場合がある。そのため、捕獲対象となる多種の害虫を、より多く効率よく捕獲するには、同じ黄色でも、青みがかった黄色とか、橙色がかった黄色を用いるなど、害虫の種類に応じて、誘引色の色味を個々の害虫に対してより最適なものに変えることが望まれる。しかし、上記したように、対象となる害虫(昆虫)の種類は極めて多く、それぞれの害虫に最適に設計した害虫捕獲用粘着シートを個々に作製することは現実的でないし、不可能である。
従って、本発明の目的は、温室やビニールハウスや畜舎などに生息する種々の害虫に対する誘引効果を高め、より効果的に、より多くの害虫を誘引でき、誘引された害虫をシート表面に設けた粘着剤層で物理的に動けなくして、より多くの害虫(昆虫)類を捕獲することを実現できる、簡易で且つ経済的な害虫捕獲用粘着シートを提供することにある。
上記目的は、以下の本発明によって達成される。
[1]シート状の基材と、該基材の少なくとも一方の表面に設けられた害虫を誘引するための着色層と、該着色層上の一部又は全部に形成された前記害虫を動けなくするための粘着剤層とを有してなる害虫捕獲用粘着シートであって、前記着色層は、害虫に対する第1の誘引色を反射する第1害虫誘引色反射領域と、前記誘引色とは異なる反射率曲線を示す第2の誘引色を反射する第2害虫誘引色反射領域の、少なくとも2つの領域を有し、前記着色層が設けられている全領域に対する、前記第2害虫誘引色反射領域の占有面積割合が1.5%〜40%であり、且つ、前記全領域中に、前記第2害虫誘引色反射領域を形成する複数の図柄が配置された構成を有することを特徴とする害虫捕獲用粘着シート。
[2]前記第1害虫誘引色反射領域の第1の誘引色の反射率に対する、前記第2害虫誘引色反射領域の第2の誘引色の反射率の比率を、第1の誘引色の550nm〜600nmの波長範囲にある反射率曲線と波長の横線で囲む面積を分母とし、前記第2の誘引色の550nm〜600nmの波長範囲にある反射率曲線と波長の横線で囲む面積を分子として算出した場合に、比率が9.5%〜98%となるように構成されている前記[1]に記載の害虫捕獲用粘着シート。
[3]前記着色層によって形成されている全領域が、前記第1害虫誘引色反射領域と、前記第2誘引色反射領域の2つ領域からなり、且つ、面状の前記第1害虫誘引色反射領域の中に、分岐を有する線状の図柄、三角形を形づくる図柄及び菱形を形づくる図柄からなる群から選ばれる少なくともいずれかの図柄によって前記第2誘引色反射領域が形成されている前記[1]又は[2]に記載の害虫捕獲用粘着シート。
[4]前記分岐を有する線状の図柄又は前記三角形を形づくる図柄又は前記菱形を形づくる図柄が、前記面状の第1害虫誘引色反射領域の中に、整列した状態で複数、並置されて前記第2誘引色反射領域を形成している前記[3]に記載の害虫捕獲用粘着シート。
[5]前記菱形を形づくる図柄が、面状の三角形の図柄と、平行する細線で形成された模様を有する前記三角形と輪郭が合同の図柄又はグラデーション模様を有する前記三角形と輪郭が合同の面状の三角形の図柄との組合せからなる前記[3]又は[4]に記載の害虫捕獲用粘着シート。
[6]前記分岐を有する線状の図柄が、L字形状、X字形状、Y字形状及びアスタリスク形状からなる群から選ばれる少なくともいずれかの形状の図柄である前記[3]又は[4]に記載の害虫捕獲用粘着シート。
[7]前記害虫に対する第1の誘引色及び第2の誘引色の色相が、それぞれ独立に、黄色、緑色、青色、桃色及び蛍光白色からなる群から選ばれる少なくともいずれかである前記[1]〜[6]のいずれかに記載の害虫捕獲用粘着シート。
[8]前記シート状の基材が、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂及びポリウレタン樹脂からなる群から選ばれるいずれかの合成樹脂、これらの合成樹脂を主原料としてなる合成紙、紙、金属及び不織布からなる群から選ばれるいずれかの材料で構成されてなる前記[1]〜[7]に記載の害虫捕獲用粘着シート。
本発明によれば、多くの害虫(昆虫)類に対し、より高い誘引効果を実現でき、その結果、より高い害虫(昆虫)類の捕獲効果を実現できる、簡易で且つ経済的な害虫捕獲用粘着シートの提供が実現される。具体的には、基材の少なくとも一方の表面に設けた、害虫を誘引する害虫に固有の誘引色を反射する着色層の構成を、害虫に対する第1の誘引色を反射する第1害虫誘引色反射領域と、前記誘引色とは異なる反射率曲線を示す第2の誘引色を反射する第2害虫誘引色反射領域の、少なくとも2つの区画された領域を有するものとし、さらに、着色層が設けられている全領域に対する、前記第1害虫誘引色反射領域又は前記第2害虫誘引色反射領域の占有面積割合を特定の範囲内となるようにし、且つ、前記全領域中に、前記第2害虫誘引色反射領域を形成する複数の図柄が配置された構成を有するものとするという極めて簡単な構成によって、上記した顕著な効果の実現を可能としている。
本発明の害虫捕獲用粘着シートの一例の、第2の誘引色を反射する領域として、一部を同じ太さの細線で表現した菱形形状の図柄を配置した平面図である。 本発明の害虫捕獲用粘着シートの別の一例の、第2の誘引色を反射する領域として、一部を太さの異なる線で表現した菱形形状の図柄を配置した平面図である。 本発明の害虫捕獲用粘着シートの構成の一例を説明するための模式的な断面図である。 本発明の害虫捕獲用粘着シートの構成の別の一例を説明するための模式的な断面図である。 実施例1の害虫捕獲用粘着シートの、第2の誘引色を反射する領域としてL字形状の図柄を配置した平面図である。 本発明の害虫捕獲用粘着シートを構成する誘引色についての説明をするための各色材の反射率曲線である。 実施例13及び14の害虫捕獲用粘着シートで使用した、第1の誘引色と第2の誘引色の反射率曲線である。 実施例14の害虫捕獲用粘着シートを構成する各部分の反射率曲線である。 実施例29〜34の害虫捕獲用粘着シートで、第1の誘引色と第2の誘引色として使用したものの、それぞれの反射率曲線である。 検討試験で使用した、蛍光白色と明るい青色(スカイブルー)の反射率曲線である。 検討試験で使用した、色彩が近い、青紫色(バヂターブルー)と濃紺(コバルトブルー)の反射率曲線である。 検討試験で使用した、深い青色(ウルトラマリン塗料)と濃紺(コバルトブルー)の反射率曲線である。 実施例15〜28の害虫捕獲用粘着シートを用いて行った捕獲試験結果を示すグラフである。 実施例29〜34の害虫捕獲用粘着シートを用いて行った捕獲試験の結果を、第1害虫誘引色反射領域の第1の誘引色の反射率に対する、第2害虫誘引色反射領域の第2の誘引色の反射率の比率と、捕獲数の比率との相関をグラフ化しものである。 本発明の害虫捕獲用粘着シートの一例の、第2の誘引色を反射する領域を構成する複数の図柄の形状をアスタリスク形状としたものの模式図である。 実施例36〜45の各害虫捕獲用粘着シートを用いて行った捕獲試験結果を示すグラフである。 本発明の害虫捕獲用粘着シートの一例の、第2の誘引色を反射する領域を構成する複数の図柄の形状をX字形状としたものの模式図である。 本発明の害虫捕獲用粘着シートの一例の、第2の誘引色を反射する領域を構成する複数の図柄の形状をY字形状としたものの模式図である。
次に、好ましい実施の形態を挙げて本発明を更に詳しく説明する。本発明者らは、前記した従来技術の課題を解決し、先述の目的を達成するため、昆虫の視覚生理学を基礎に、昆虫(害虫)の光によるコントラスト効果について鋭意研究した。その結果、最表面に粘着剤層を有する害虫捕獲用粘着シートの構成を、同一の面から、少なくとも2種の異なる害虫の誘引色を反射する構成とすることで、粘着シートの反射光面に、反射光の濃淡が生じ、これにより、害虫が強く誘引される光のコントラスト部分が多く出現し、害虫の誘引効果が抜群に向上することを見出し、本発明を完成させた。より具体的には、害虫が強く誘引される光のコントラスト部分が多く出現する構成として、基材上に、害虫に対する第1の誘引色を反射する第1害虫誘引色反射領域と、前記誘引色とは異なる反射率曲線を示す第2の誘引色を反射する第2害虫誘引色反射領域の少なくとも2つの領域を有し、前記第2害虫誘引色反射領域の占有面積割合を1.5%〜40%、より好ましくは、5%〜30%程度とし、且つ、前記全領域中に、前記第2害虫誘引色反射領域を形成する複数の図柄が配置された構成とすることがより効果的であり、高い害虫捕獲率を安定して達成できることを見出した。
上記構成を有する本発明の害虫捕獲用粘着シートは、害虫を誘引することができる特有の反射光を生じる着色層の構成が、害虫に対する第1の誘引色を反射する第1害虫誘引色反射領域と、第1の誘引色とは異なる反射率曲線を示す第2の誘引色を反射する第2害虫誘引色反射領域とによって区画される部分を複数有することを特徴とする。本発明者らは、上記のように構成されてなる本発明の害虫捕獲用粘着シートは、従来技術で生じていた、害虫を誘引するための誘引色の色調等のブレによる捕獲効果の低下の問題に対し、上記した反射光が互いに異なる第1及び第2の誘引色によって生じる、反射光の強烈なコントラストによって誘引効果を上昇させることを可能にし、これによって、色相、彩度及び明度等のズレを克服することができ、高い害虫の捕獲効果を達成できたものと考えている。
以下に、本発明を完成させる過程で行った予備検討で得られた試験結果について説明する。
1.誘引色の色調の相違による捕獲効果の違いについての検討
試験には、ミカンキイロアザミウマ、ヒラズハナアザミウマ及びハナアザミウマの、いずれもアザミウマ類に分類される3種の害虫(昆虫)を用い、下記のようにして作製した着色層の構成がそれぞれ異なる各害虫捕獲用粘着シートを用い、害虫の捕獲数の違いについて調べた。害虫捕獲用粘着シートを構成する基材には、10cm×25cm、厚み0.3mmのシート状の紙カップ原紙を用いた。この基材の両面に設ける着色層は、上記アザミウマ類の誘引色である青色〜桃色の色調の異なる5種の絵の具を用い、それぞれに着色することで形成した。また、着色層の上に用いる粘着剤層は、ゴム系の粘着剤を用い、いずれも同様の厚みと塗布面積になるように調製して粘着剤層を形成した。上記で用いた着色層を形成する絵の具には、目視でほぼ同じ色調と認識できる2種類の市販の絵の具をそれぞれに用い、10種類の害虫捕獲用粘着シートを作製し、これらの粘着シートを用いて、同様の条件で捕獲数に違いがあるかを調べた。表1に得られた結果を示した。
表1に示したように、同じ青色でも色調が相違すると、捕獲効果にバラツキが生じることが分かった。表1中に、各青色の製品に捕獲された害虫の種類別の捕獲数についての表示はしなかったが、「濃い青色」及び「コバルトブルー」には、ミカンキイロアザミウマが多く捕獲され、「冴えた青」及び「ブルーグレー」には、ヒラズハナアザミウマが多く捕獲され、「明るい青」及び「スカイブルー」には、ハナアザミウマが多く捕獲されていた。また、「冴えた桃色」及び「ピンク」には、ミカンキイロアザミウマが多く捕獲されていた。上記の結果から、同じアザミウマ類に分類されている害虫であっても、上記したように捕獲効果にバラツキがあり、害虫毎に最適な色調を求めていくとすると、使用する誘引色の種類が増加してしまうことが分かった。
2.誘引色の組合せによる捕獲効果の向上についての検討
上記した試験の結果、同じ青色でも色調が相違すると、その違いが微妙であっても害虫の捕獲効果にバラツキが生じること、さらに、同じアザミウマ類に分類されている害虫であっても、最適な捕獲効果が得られる色調は害虫毎に異なることが分かった。しかし、捕獲対象のそれぞれの害虫に最適な色調の青色を見つけ出すのは、実験等の大変な手間が掛かる上、新たに害虫が出現するたびに青色の最適な色調を探索しなければならないことになり、製品の種類が膨大になることを意味し、現実的でない。そこで、本発明者らは、上記課題を解決する手段として、害虫が、光のコントラストに強く誘引されるという昆虫の視覚生理学をベースに、この問題を検討することが有効であるとの認識の下、従来の害虫誘引捕獲粘着シートにおける害虫捕獲効果をより向上させることについて、鋭意検討を行った。
具体的には、害虫誘引捕獲粘着シートの基材に設けた誘引色で着色された着色層の構成に、害虫の誘引効果を高める光のコントラスを作り出すことができれば、より多くの害虫を誘引することができ、害虫捕獲効果をより向上させることができるとの仮定の下、検討を進めた。着色層の形成に使用する誘引色、例えば、青色において、誘引効果を高める光のコントラスを作り出す方法としては、例えば、(1)蛍光白色と明るい青色(スカイブルー)との組合せ、(2)色彩が近い、濃い青色(コバルトブルー)と青色(バヂターブルー)との組合せ、(3)濃い青色(コバルトブルー)と深い青色(ウルトラマリン塗料)との組合せが考えられる。そこで、これらの3つの組合せからなる着色領域を設けた着色層を有する害虫誘引捕獲粘着シートを作製して、予備検討を行った。
上記予備検討の際に、第1の誘引色と、該第1の誘引色の反射率曲線とは異なる反射率曲線を有する第2の誘引色とでそれぞれ形成される、第1害虫誘引色反射領域と第2害虫誘引色反射領域との配置を、より光のコントラストが生じる部分が多くなるようにし、しかも、害虫(昆虫)が物品の隅や角に集まる習性があることを考慮し、例えば、第1害虫誘引色反射領域中に、第2害虫誘引色反射領域をL字形状の線状の図柄として多数配置することが有効であると考えて、害虫誘引捕獲粘着シートを作製して試験した。具体的には、図5に示したように、10cm×25cmで、厚み0.3mmのシート状の基材の上に、第1害虫誘引色反射領域と、ゴシック体の幅5mmの太文字からなるL字形状を2個の第2害虫誘引色反射領域を有する、上記3つの組合せからなる着色領域をそれぞれに設け、その上に同様の厚み及び面積となるように粘着剤層を形成して、異なる着色領域を有する害虫誘引捕獲粘着シートを作製して試験を行った。
図10〜図12に、上記した着色領域が異なる3つの組合せで使用した色材の反射率曲線をそれぞれ示した。これらの3つの組合せからなる着色領域をそれぞれに設けた上記の構成の着色層を有する各害虫誘引捕獲粘着シートを用い、アザミウマ類に分類される害虫(昆虫)を用いて捕獲試験を行った。その結果、以下のことが分かった。図10に示したそれぞれの反射率曲線から、蛍光白色と明るい青色(スカイブルー)とからなる着色領域の組合せの場合、青色の波長は435〜480nmであるが、蛍光白色の反射率曲線と明るい青色の反射率曲線は、後述する図12の場合と比べて上記波長領域において曲線の高さが接近している。このことから、上記波長領域における2種の反射領域の反射率の差が小さく、色相間のコントラストも低い。蛍光白色のみで着色した粘着シートと、蛍光白色に着色した面に、明るい青色の図柄を複数配置させてなる粘着シートとを用いて害虫の捕獲試験を行った。その結果、両シート間の害虫捕獲数の差は大きく、蛍光白色の着色面に明るい青色のL字形状の図柄を2個配置させた粘着シートを用いた場合の方が、捕獲数が多くなり、捕獲効果が向上することが確認できた。また、図11に示した、反射率曲線の傾向が図10と同様である濃い青色(コバルトブルー)と青色(バヂターブルー)との組合せの場合も、上記したと同様の結果が得られた。
これに対し、図12に示した濃い青色(コバルトブルー)と深い青色(ウルトラマリン塗料)との組合せの場合は、青色の波長領域で、図10及び図11に示した場合と比較して、両者の反射率曲線の高さに大きな差がある。このため、色調間のコントラストが大きい。先に行ったと同様に、濃い青色のみで着色した粘着シートと、濃い青色の着色面に深い青色のL字形状の図柄を2個配置した粘着シートとを用いて害虫の捕獲試験を行ったところ、両シート間の害虫捕獲数の差が小さいことが認められた。上記検討試験の結果は、害虫の捕獲効果の向上が得られる誘引色の組合せとして、反射率の差が小さいもの同士の組合せが有効であることを示している。
本発明者らは、上記した試験の結果、粘着シートの反射光面に、反射光の濃淡を生じ、これにより害虫(昆虫)が強く誘引される光のコントラスト部分を多く出現させる構成とすることで、より顕著な捕獲向上効果が得られるのではないかと考えた。このような認識の下、さらなる詳細な検討をした結果、下記の構成を有する害虫捕獲用粘着シートとすることで、より安定して害虫の捕獲向上効果が得られることを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明で規定するように、本発明の害虫捕獲用粘着シートは、反射光を発する着色層の構成を、害虫に対する第1の誘引色を反射する第1害虫誘引色反射領域と、第1の誘引色とは異なる第2の誘引色を反射する第2害虫誘引色反射領域とを設け、着色層が設けられている全領域に対する、第2害虫誘引色反射領域の占有面積割合が1.5%〜40%となるように構成したものであることを特徴とする。1.5%未満であると、粘着シートの反射光面に、反射光の濃淡が殆ど生じず、光のコントラストが生じる部分少なすぎて、第2の誘引色を反射する第2害虫誘引色反射領域を設けたことによる効果が殆ど得られない。一方、上記範囲が40%を超えると、第2の誘引色を反射する第2害虫誘引色反射領域からの反射が強まり過ぎて、基本となる害虫に対する第1の誘引色を反射する第1害虫誘引色反射領域を設けた効果が十分に得られなくなる。また、後述するように、捕獲効果の向上をより安定したものにするためには、形成する図柄にもよるが、第2害虫誘引色反射領域の占有面積割合が5%〜10%程度となるように構成するか、或いは、12%〜30%程度となるように構成することが好ましい。すなわち、本発明者らの詳細な検討によれば、本発明で規定する上記1.5%〜40%の範囲において、一律に均一な捕獲効果が得られるのではなく、第2害虫誘引色反射領域を、むしろまばらに設けた場合と、比較的に緻密の設けた場合のいずれかの場合に、より高い害虫の捕獲効果が得られることが確認された。この傾向は、図柄の模様を種々に変更して繰り返し試験を行ったが、いずれの場合にも同様の傾向が得られることが確認された。
本発明の害虫捕獲用粘着シートでは、害虫(昆虫)が強く誘引される光のコントラスト部分が多く出現する構成とするため、上記に加えて、着色層が設けられている全領域中に、第2の誘引色を反射する第2害虫誘引色反射領域を形成する複数の図柄が配置された構成としたものであることを要する。具体的には、前記第2誘引色反射領域が、例えば、分岐を有する線状の図柄、三角形を形づくる図柄及び菱形を形づくる図柄からなる群から選ばれる少なくともいずれかの図柄によって形成されているものであることが好ましい。分岐を有する線状の図柄としては、例えば、L字形状、X字形状、Y字形状及びアスタリスク(*)形状などが挙げられる。しかし、これらに限定されるわけではなく、例えば、星形や花弁形状のように構成してもよい。要するに、前記した第1誘引色反射領域と前記第2誘引色反射領域とによって区画される光のコントラストが生じる部分が多く現れるような図形であれば、いずれの図柄でもよい。
本発明者らの検討によれば、上記に例示したような分岐を有する線状の図柄以外であっても、三角形を形づくる図柄或いは菱形を形づくる図柄によって第2誘引色反射領域を形成してなる着色層の構成を有する害虫捕獲用粘着シートも、捕獲効果を向上させることができる。中でも特に、第2誘引色反射領域を形成する複数の図柄を、図1に示したような、面状の三角形の図柄と、平行する細線で形成された前記三角形と輪郭が合同の図柄、或いは、図2に示したような、平行する細線の太さを順次変更させた前記三角形と輪郭が合同の図柄や、グラデーション模様(不図示)を有する前記三角形と輪郭が合同の面状の三角形の図柄との組合せからなる構成とした場合に、著しい捕獲効果の向上がみられた。第2誘引色反射領域を形成するこれらの図柄は、面状の三角形の図柄に、互いに平行する線やグラデーションをつけた輪郭が上記と同様の三角形を組み合わせたことで、組み合わせた三角形の部分が、いわば、面状の三角形の図柄の部分の影のように見える構成のものである。このことから、本発明者らは、このような著しい捕獲効果の向上が得られた理由について、下記のように考えている。圃場で経験することであるが、検討対象としたコナジラミは、葉の表に定位するが、すぐ葉の裏に移動しており、また、枝に定位しても光の影になっている枝へ移動することが多くみられることからも、光の薄明りの部分に誘引されると考えられ、上記したような、面状の図柄と、その図形の影のように見える図柄との組合せからなる光のコントラストが生じる領域を形成した粘着シートでは、この習性をうまく利用できたためと推察している。結果の詳細については、後述する実施例で詳細を説明する。
本発明者らは、さらなる詳細な検討の結果、害虫(昆虫)が強く誘引される上記したような光のコントラストを生じさせることができる具体的な構成とするためには、第1害虫誘引色反射領域を構成する第1の誘引色の反射率曲線と、第2害虫誘引色反射領域を構成する第1の誘引色とは異なる反射率曲線を示す第2の誘引色の反射率曲線との関係が、下記の要件を満たす構成の害虫捕獲用粘着シートとした場合に、より顕著な害虫捕獲効果が得られることを見出した。具体的には、第1害虫誘引色反射領域の第1の誘引色の反射率に対する、前記第2害虫誘引色反射領域の第2の誘引色の反射率の比率を、第1の誘引色の波長550nm〜600nm範囲にある反射率曲線と波長の横線で囲む面積を分母とし、前記第2の誘引色の波長550nm〜600nm範囲にある反射率曲線と波長の横線で囲む面積を分子として算出した場合に、この比率が9.5%〜98%となるように構成することが好ましい。後述する実施例で詳細を述べるが、より好ましくは、上記比率が、20%前後となるように、或いは、上記反射比率を42%〜98%の範囲、より好ましくは70%〜98%、更に好ましくは92%〜95%の高い範囲となるように、第1の誘引色と第2の誘引色の組み合わせを選択することが好ましい。
本発明者らの検討によれば、上記範囲未満であると、第1害虫誘引色反射領域と第2害虫誘引色反射領域との間に生じる光のコントラストが小さくなり、一方、上記範囲を超えると光のコントラスト不明瞭になり、いずれも誘引効果が落ちてくる。第1害虫誘引色反射領域の第1の誘引色の反射率に対する、第2害虫誘引色反射領域の第2の誘引色の反射率の比率が、例えば、42%〜98%となる組合せとしては、例えば、第2の誘引色の反射率を、第1の誘引色の反射率より低い反射率とした構成が挙げられる。具体的には、色見本帳(DICグラフィックス社製)の、黄色系のDIC568とDIC571との組合わせなど、を挙げることができる。
本発明の害虫捕獲用粘着シートを構成する着色剤層の形成に使用する第1の誘引色及び第2の誘引色として利用できる誘引色の色相としては、従来より、害虫の誘引効果があるとされているものが挙げられる。例えば、黄色、青色、緑色及び桃色などが使用できる。より具体的には、マンセル表色値を用いた反射色で、黄色は、色相:4Y、明度:7、彩度:14、また、青色は、色相:3.0PB、明度:5.4、彩度:10.6、また、桃色は、色相:5R、明度:6.5、彩度:8の範囲のものであることが好ましい。これらの色相を用いて本発明で規定する第1害虫誘引色反射領域と第2害虫誘引色反射領域を有する着色層を形成する具体的な方法としては、特に限定されない。例えば、前記した基材上に上記したいずれかの色相を有する顔料を印刷方式で、シート状の基材の少なくとも一方の表面に、重ね塗り(図3参照)或いは並置塗り(図4参照)して塗膜層を形成することで、本発明で規定し、本発明を特徴づける着色層を簡便に得ることができる。また、上記の方法に限らず、場合によっては、上記に挙げた色相を有するいずれかの顔料を、シート状の基材を作製する際に練り込むことで着色して、第1害虫誘引色反射領域を基材と一体に形成し、その後に、第2害虫誘引色反射領域を上記印刷方式で形成してもよい(不図示)。
上記したように、本発明によって得られる顕著な害虫の誘引・捕獲効果は、粘着シートの反射光面に、反射光の濃淡が生じ、これにより害虫(昆虫)が強く誘引される光のコントラスト部分が多く出現する構成としたことによって達成される。その詳細な構成及びかかる構成によって得られる顕著な効果については、実施例を挙げて詳細に説明する。本発明の害虫捕獲用粘着シートを構成する着色層以外の構成は、いずれも従来より、提供或いは提案されている害虫捕獲用粘着シートと同様のものが利用できる。
本発明の害虫捕獲用粘着シートを構成するシート状の基材は、害虫を誘引するための着色層と、該着色層上に形成された前記害虫を動けなくするための粘着剤層とを、確実且つ簡便に保持することができるものであれば特に制限はない。具体的には、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂及びポリウレタン樹脂からなる群から選ばれるいずれかの合成樹脂、これらの合成樹脂を主原料としてなる合成紙、紙カップ原紙などの紙、金属及び不織布からなる群から選ばれるいずれかの材料からなるシート状の基材が挙げられる。
また、シート状の基材の形状も特に限定されるものでなく、従来より、提供或いは提案されている害虫捕獲用粘着シートと同様のものであればよく、図1に示したような枚葉のものであっても、使用時に、任意の長さに適宜に切断して用いる長尺の巻物状であってもよい。
本発明の害虫捕獲用粘着シートを構成する粘着剤層は、少なくとも本発明を特徴づける第1害虫誘引色反射領域と第2害虫誘引色反射領域とを有する着色層の表面の少なくとも一部を被覆するように配設された、透明粘着剤からなるものであることが好ましい。具体的には、従来より、提供或いは提案されている害虫捕獲用粘着シートを構成している粘着剤と同様のもので形成すればよい。例えば、アクリル樹脂系、ゴム系及びシリコーン樹脂系からなる群から選ばれる少なくとも一種の粘着剤を用いて形成した粘着剤層が挙げられる。
粘着剤層の形成方法は、特に制限はないが、例えば、印刷方式、塗装方式、貼付け方式等から任意の方法を用いることができる。粘着剤層の厚さは、例えば、10〜80μm程度が好ましく、25〜70μmがさらに好ましい。
以下に、本発明を、実施例及び比較例を用いてさらに具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例によって、いかなる制限を受けるものではない。
(実施例1)
10cm×23.3cmで、厚さが0.3mmの紙製のシート状の基材の上に、L字形状の第2害虫誘引色反射領域を有する着色層を形成して本実施例の害虫捕獲用粘着シートを作製し、対象とする害虫としてコナジラミを用い、その誘引効果(捕獲効果)を評価した。着色層は、図3に示したように、上記基材上に、第1害虫誘引色反射領域を黄色の誘引色を用いて作成し、この黄色層の表面に、第1の誘引色とは反射率曲線が異なるさえた黄色で、分岐を有する線状の図柄としてL字形状の図柄を、複数印刷して形成した。具体的には、シート状の基材として、上記した厚み0.3mmの厚手の白い紙カップ原紙を用い、第1の誘引色としてプライマリーイエローを用い、その絵の具を全面に印刷して第1害虫誘引色反射領域となる黄色層を形成し、その上に、第2の誘引色として、カドミウムイエローライトの絵の具を用い、図5に示したように、L字形状の図柄が基材の長手向に2個並べて配置されるように印刷して、第2害虫誘引色反射領域を形成した。上記で使用した、プライマリーイエローの絵の具の三刺激値(L***表色系を意味する、以下同様)を測定したところ、L*=892.06、a*=43.37、b*=858.17であり、カドミウムイエローライトの三刺激値は、L*=841.06、a*=83.44、b*=793.46であった。
L字形状のサイズは、図5に示したように、それぞれ、線の幅が5mmで、一辺が20mmのもの(1字の占有面積:1.75cm2)とした。実施例1の害虫捕獲用粘着シートの試験体は、10cm×23.3cmの基材の全領域(233cm2)に対し、第2の誘引色のカドミウムイエローライトで形成した2個のL字形状からなる図柄が設けられており、第2害虫誘引色反射領域の占有面積を算出すると、約1.5%となる。
(実施例2〜5)
実施例1において、カドミウムイエローライトで形成したL字形状からなる第2害虫誘引色反射領域の占有面積を、表2に示すものに替えたこと以外は、実施例1の害虫捕獲用粘着シートの構成と同様にして、実施例2〜8の害虫捕獲用粘着シートの試験体をそれぞれ調製した。
(比較例1〜5)
実施例1〜5の害虫捕獲用粘着シートにおいて、第1害虫誘引色反射領域の作成に使用したプライマリーイエローの絵の具を基材の全面にベタに印刷して粘着シートを形成したこと以外は、実施例と同様にして、比較例1〜5の試験体を得た。なお、比較例1〜5の害虫捕獲用粘着シートは、いずれも粘着シートとしては同じ構成のものであるが、後述するように、実施例1〜5の害虫捕獲用粘着シートのそれぞれと一組にし、同じ条件下で害虫の捕獲試験を行ったため、それぞれの実施例に対応させて、表2中に示したように、比較例1〜5とした。
(評価)
実施例1〜5及び比較例1〜5の害虫捕獲用粘着シートのそれぞれの試験体について、コナジラミの捕獲数(匹)を実測し、捕獲効果の違いについて試験した。実施例1〜5及び比較例1〜5の害虫捕獲用粘着シートの試験体をそれぞれ並べ、具体的には、実施例n及び比較例nを一組みとして隣接並置されるようにして、トマトハウス内に設置して試験を行い、結果を表2にまとめて示した。試験結果は、5反復試験の平均値(すなわち、野外実習の昆虫行動観察をカウントするような試験における平均値)である。また、表2中に、誘引効果の評価基準として、捕獲数の比率[(実施例nの害虫捕獲数)/(隣接並置した比較例nの害虫捕獲数)]を示した。これは、ハウス内の捕獲試験では、害虫が偏在して生息し、捕獲数値にバラツキがでたことから、捕獲数だけでは客観的な評価が難しいことから、実施例の試験体に隣接して配置したプライマリーイエローを基材にベタに印刷して粘着シートとした比較例の試験体への捕獲数に対し、どのような割合で実施例の試験体に害虫が捕獲されたかを判定するために算出したものである。上記捕獲数の比率を用い、下記の基準で評価した。
<評価基準>
◎◎:捕獲数の比率が1.5倍以上
◎ :捕獲数の比率が1.2倍以上1.5倍未満
〇 :捕獲数の比率が1.1倍以上1.2倍未満
△ :捕獲数の比率が1.0倍以上1.1倍未満
× :捕獲数の比率が1.0倍未満
表2に示したように、第2の誘引色のカドミウムイエローライトで形成した2個のL字形状の図柄からなる第2害虫誘引色反射領域を有する各実施例の害虫捕獲用粘着シートを用いた場合は、全面をプライマリーイエローでベタに印刷した比較例の粘着シートを用いた場合に比較して、害虫の捕獲比率が向上することが確認された。また、第2の誘引色のカドミウムイエローライトで形成したL字形状の図柄の割合(占有面積割合)を変化させることで、捕獲の傾向が異なることが確認された。特に、表2に示した例では、捕獲比率に1個のピークの山が7.5%に出現していた。この傾向は、表2に示した試験に用いたコンジラミ限ったことでなく、アザミウマ類やハエ、キノコバエでも同様な結果が得られた。本発明者らは、上記の傾向は、昆虫(害虫)の走光性に由来するもので、すなわち、夜間に灯火の光に向って昆虫が飛来するのと同様に、灯火の光源と、その背景の暗闇との境(暗闇と光との間のコントラスト)に誘引されることに由来したものと考えている。
(実施例6〜12)
実施例1〜5で行った表2の結果から、サイズを線の幅が5mmで、一辺が20mmのL字形状の図柄(1字の占有面積:1.75cm2)によって形成した第2害虫誘引色反射領域の占有面積を、高い捕獲効果が得られた7.5%で一定にし、第2の誘引色を替えて第2害虫誘引色反射領域を形成して、実施例6〜12の害虫捕獲用粘着シートの試験体をそれぞれ調製した。具体的には、第2害虫誘引色反射領域を、第1の誘引色であるプライマリーイエローの反射率に対する、第2害虫誘引色反射領域を形成する第2の誘引色の反射率の比率が表3に示したものになるように、第2の誘引色として色相違いの黄色を用いて形成した。そして、得られた実施例の各試験体と、先に比較例1で得たと同様の粘着シートを比較例6〜12として、対象とする害虫としてコナジラミを用い、実施例1〜5で行ったと同様にして誘引効果(捕獲効果)を評価した。得られた結果を、表3にまとめて示した。評価基準は実施例1〜5で用いたのと同様とした。
表3中に示した反射率比は、第1の誘引色として用いたプライマリーイエローの反射率曲線から求めた反射率と、第2の誘引色として用いた異なる反射率曲線を有する黄色系の色材から求めた反射率との比率である。反射率比は、第1の誘引色の550nm〜600nmの波長範囲にある反射率曲線と波長の横線で囲む面積を分母とし、第2の誘引色の550nm〜600nmの波長範囲にある反射率曲線と波長の横線で囲む面積を分子として算出した値である。上記面積の算出方法は、550nm〜600nm間の反射率の測定データである反射率曲線から、1nm毎の反射率の総和を算出した。すなわち、反射率比は、異なる反射率の第2の誘引色の反射率総和/第1の誘引色のプライマリーイエローの反射率総和で表示した。
上記で用いた550nm〜600nmの間の反射率曲線の反射率は、これまでに知られている昆虫(害虫)の色覚からの関係から設定した。表3に示された結果から、捕獲効果には、反射率比が93.1%にピークの山があり、第1の誘引色として用いたプライマリーイエロー単色で着色した比較例に比べて、1.5倍以上の捕獲効果あることが分かった。このことから、害虫に固有の誘引色として知られているプライマリーイエローだけの単色の反射率を示す比較例の粘着シートに比べて、プライマリーイエローを第1の誘引色とし、第1の誘引色と反射率の異なる第2の誘引色の図柄を組み合わせた実施例の粘着シート、特に反射率が異なることに加え、両者の反射率が近い組合せで構成した粘着シートの方が、害虫の誘引効果が大きいことが分かった。
先に述べたように、圃場で経験することであるが、検討対象としたコナジラミは、葉の表に定位するが、すぐ葉の裏に移動している。また、枝に定位しても光の影になっている枝へ移動することからも、光の薄明りの部分に誘引されると考えられる。さらに、本発明者らの検討によれば、粘着シートを一部折り曲げて凹みを形成させると、その凹み部分により多くの害虫が捕獲される。これも凹み部分が、薄明り状態を形成していることによると考えられる。上記で算出した反射率比が大きい(言い換えれば、各々の黄色の反射率の差が小さい)構成にした場合、L字形状も図柄の近傍は光のコントラストが小さく、薄明り状態になっており、このために害虫をより強く誘引できたものと推測された。表3の結果から、本発明で目的とする害虫の捕獲効果のより顕著な向上がみられた反射率比の範囲としては、70%〜98%が好ましく、特に、92〜95%とすることが好ましいことが分かった。一方、詳細は記載しなかったが、上記のようにして算出した550nm〜600nm間の反射率比が極めて低い、例えば、黄色と黒色との組合せでは、光のコントラストは明瞭になるが(図6参照)、害虫捕獲数は非常に低い結果となった。
図6に、反射率が異なる各種の黄色の反射率曲線を示した。上記した結果と、図6に示したデータとを利用することで、害虫捕獲の高い害虫捕獲用粘着シートを容易に設計することができる。例えば、図6中に1で示したプライマリーイエローを第1の誘引色として用い、これと異なる反射率曲線を示す黄色を第2の誘引色として選択して粘着シートを得る場合に、先に述べたようにして算出される550nm〜600nmの波長間における両者の反射率比が、70%〜98%、特に92〜95%となる第2の誘引色を選択して、第1の誘引色上に、選択した第2の誘引色からなる図柄を重ねた着色層を有する構成の粘着シートを得ることで、捕虫効果が向上した害虫捕獲用粘着シートが容易に提供できる。
(実施例13、実施例14)
10cm×25cmで、厚さが0.3mmの紙製のシート状の基材の表裏面上に、着色層として、黄色の第1の誘引色で第1害虫誘引色反射領域を形成し、その上に、該第1の誘引色とは異なる反射率曲線を示す、さえた緑色の第2の誘引色で、複数の菱形形状の図柄からなる第2害虫誘引色反射領域を形成した。その際に、菱形形状の図柄の構成を下記のように変えたこと以外は同様にして、本実施例13と実施例14の2種類の害虫捕獲用粘着シートをそれぞれ作製し、コナジラミの誘引効果を評価した。
実施例13の害虫捕獲用粘着シートでは、基材である厚み0.3mmの厚手の白い紙カップ原紙に、着色層として、プライマリーイエローの黄色絵の具を全面にべた印刷して、黄色の第1害虫誘引色反射領域を形成し、その上に、上記第1の誘引色とは異なる反射率曲線を示す第2の誘引色を反射する第2害虫誘引色反射領域を形成した。具体的には、第2の誘引色として、さえた緑色のリーフグリーンの絵の具を用い、べた印刷して菱形形状の図柄を26個、2列に整列した状態に印刷して第2害虫誘引色反射領域を形成した。それぞれの菱形形状の図柄は、一辺がいずれも12mmで、なす角が60°と120°のものである。
実施例14の害虫捕獲用粘着シートは、実施例13におけるべた印刷した菱形形状の図柄と輪郭は同じであり、さらに、設けた個数及び配置も同様であるが、それぞれの菱形形状の図柄が、2つの合同の三角形を組合してなる、下記のようにして形成したことで、一方の三角形に対して影のように見える部分がある点で異なるものである。基材である厚手の白紙に、プライマリーイエローの黄色絵の具を全面にべた印刷して、黄色の第1害虫誘引色反射領域を形成し、その上に、図1に示した、特有の菱形形状の図柄を用い、上記第1の誘引色とは異なる反射率曲線を示す第2の誘引色を反射する第2害虫誘引色反射領域を形成した。この第2害虫誘引色反射領域を構成する菱形形状の図柄は、一辺が12mmで、なす角が60°の下記の形態の正三角形が2つ組合されて、全体の輪郭が菱形形状を形づくるものである。具体的には、一方の正三角形は、リーフグリーンの緑色の絵の具でべた印刷されており、この、べた印刷された正三角形の一辺に接したもう一つの三角形は、1mmの細い線8本で、輪郭が三角形を形づくり、全体として菱形形状になる図柄である。この図柄は、図1に示したように、べた印刷され正三角形に隣接して細い線で正三角の形状を形成したことで、この部分がべた印刷され正三角形の影を演出して、この影で正三角形が立体的に見えるようになっており、光のコントラストがより多様な図柄になってる。
ここで、リーフグリーン色の緑色の絵の具で形成した実施例13及び実施例14で使用した上記菱形形状の図柄(1つの面積は1.25cm2)を26個印刷することで形成した第2害虫誘引色反射領域の占有面積割合を算出すると、基材全体の面積10cm×25cm(250cm2)の13%になる。上記のようにしてそれぞれ形成した着色層の上にゴム系の粘着剤層を形成したものを、それぞれ、実施例13及び実施例14の害虫捕獲用粘着シートの試験体とした。
上記で黄色の第1害虫誘引色反射領域の形成に使用した、第1の誘引色のプライマリーイエローの絵の具の三刺激値は、L*=892.06、a*=43.37、b*=858.17であり、また、複数の図柄からなる第2害虫誘引色反射領域の形成に使用した、さえた緑色の第2の誘引色のリーフグリーンの絵の具の三刺激値は、L*=839.55、a*=265.63、b*=522.09であった。図7に、上記で使用したプライマリーイエローと、リーフグリーンの反射率曲線を示した。
また、図8に、1として、上記した第1の誘引色のプライマリーイエローの黄色絵の具でべた印刷した部分の反射率曲線を示し、3として、上記した第2の誘引色のリーフグリーンの緑色絵の具でべた印刷した図柄部分の反射率曲線を示し、2として、上記した第2の誘引色のリーフグリーンの絵の具で、1mmの細い緑色の線8本で印刷した三角形の図柄部分の反射率曲線を示した。図8から、2の緑色の細線からなる部分の反射率は、第1の誘引色の黄色のべた印刷の部分と、第2の誘引色の緑色のべた印刷の正三角形部分の中間の反射率を示し、この2の部分が、緑色のべた印刷の正三角形の影の色合いを実現していることが分かる。
上記で得た実施例13及び実施例14の害虫捕獲用粘着シートの各試験体について、対象とする害虫としてコナジラミを用い、トマトハウス内に設置して捕獲試験を行い、着色層の各領域による誘引効果(捕獲効果)の違いについて調べた。具体的には、これら2種類の粘着シートに捕獲されたコナジラミの数に有意差があるかを調べた。得られた結果を表4に示した。表4に示した捕獲数は、それぞれの害虫捕獲用粘着シート18枚で捕獲したものの総数である。表4に示したように、実施例13の害虫捕獲用粘着シートの害虫捕獲数に対して、実施例14の害虫捕獲用粘着シートの害虫捕獲数は1.3倍以上であり、着色層に、第2の誘引色からなる図柄の影と認識される部分を設けた図柄を配置することの有効性が確認できた。すなわち、べた印刷された緑色の正三角形の一辺に続けて、緑色の細い線からなる正三角形を付けることで、べた印刷された緑色の正三角形の影が再現され、光のコントラストをより鮮明にすることができ、その結果、害虫の捕虫効果が高まることが判明した。
上記の試験では、べた印刷された緑色の正三角形の影を再現する手法として、同じ太さの細線で正三角形を描画したが、これに限定されず、例えば、図2に示したような、太さが順次異なる複数の線で正三角形を描画した場合や、グラデーションを付けたべた印刷で正三角形を描画した場合も、上記したと同様の効果が得られることを確認した。
(実施例15〜28)
厚さが0.3mmの7.5cm×16.8cm(126cm2)の大きさの実施例13において使用したと同様の紙製のシート状の基材を用い、第1害虫誘引色反射領域の上に形成する第2害虫誘引色反射領域の図柄を、実施例13の害虫捕獲用粘着シートを構成したと同様の、さえた緑色の第2の誘引色のリーフグリーンの絵の具で形成した菱形形状(一辺がいずれも12mm、なす角が60°と120°)とした。そして、それぞれの第2害虫誘引色反射領域の構成を、粘着シートの全基材表面中における占有面積割合を、菱形形状の図柄の数を替えることで表5に示したように変化させたこと以外は、実施例13と同様の方法で、実施例15〜28の害虫捕獲用粘着シートの試験体をそれぞれ得た。
作製した実施例15〜28の各害虫捕獲用粘着シートと、比較例15〜28の試験体として、それぞれ、実施例13で第1害虫誘引色反射領域の作成に使用したプライマリーイエローの絵の具を基材の全面にベタに印刷して得た粘着シートを用い、同じ番号の実施例の粘着シートと比較例の粘着シートを隣接して配置して、コナジラミに対する誘引効果を、捕獲数を比較することで評価した。評価基準は、先の実施例の場合と同じである。得られた結果を表5にまとめて示し、図13に、グラフを示した。結果は、5反復試験の平均値である。
第2の誘引色であるリーフグリーンの絵の具で形成した菱形形状の図柄の数を変えて、第2害虫誘引色反射領域の占有面積割合を変化させた場合、表5及び図13に示したように、占有面積割合が、8%〜10%でも捕獲比率が向上する傾向がみられたが、特に、第2害虫誘引色反射領域の占有面積割合が24%〜30%である場合に高い捕獲比率が得られることが分かった。
(実施例29〜34)
実施例13において行った、第2の誘引色として、リーフグリーンのさえた緑色の絵の具で形成した26個の菱形形状からなる第2害虫誘引色反射領域の作成を、それぞれ色違いの緑色の絵の具で行って、第1の誘引色の反射率に対する第2の誘引色の反射率の比率が表5に示したようにしたこと以外、実施例13と同様の手法で、実施例29〜34の害虫捕獲用粘着シートの試験体をそれぞれ得た。すなわち、第2害虫誘引色反射領域の占有面積割合(%)は、25.8%で一定である。
図9に、上記で使用した第1の誘引色であるプライマリーイエローの反射率曲線と、第2の誘引色として使用した緑色の絵の具の反射率曲線を示した。
作製した実施例29〜34の各害虫捕獲用粘着シートと、比較例29〜34の試験体として、それぞれ、実施例13で第1害虫誘引色反射領域の作成に使用したプライマリーイエローの絵の具を基材の全面にベタに印刷して得た粘着シートを用い、同じ番号の実施例の粘着シートと比較例の粘着シートを隣接して配置して、コナジラミに対する誘引効果を、捕獲数を比較することで評価した。得られた結果を表6にまとめて示した。また、図14に、捕獲数の比率と、第1害虫誘引色反射領域の第1の誘引色の反射率に対する、第2害虫誘引色反射領域の第2の誘引色の反射率の比率との相関を、グラフ化して示した。
実施例29〜34で第2の誘引色として使用したそれぞれ色相が違う緑色の反射率と、第1の誘引色であるプライマリーイエローの反射率との比率は、いずれも反射率曲線の波長550nm〜600nmの範囲の反射率から算出した。算出方法は、550nmから600nm間の反射率を1nm毎に反射率の測定データーから加算して反射率の総和を算出した。反射率比は、第2の誘引色の緑色の反射率の総和/第1の誘引色のプライマリーイエローの反射率総和で算出した。上記で使用した550nm〜600nmの間の反射率は、昆虫の色覚からの関係から設定した。表6及び図14に示したように、実施例31の反射率比が19.8%となるように構成した粘着シート、実施例34の反射率比が84.2%となるように構成した粘着シートでは、いずれも比較例のプライマリーイエローの単色で着色層を形成した粘着シートを用いた場合に比べて1.4倍程度の高い捕獲効果が得られた。
上記の結果から、捕獲効果の顕著な向上がみられる反射率比の範囲として、先にL字形状の図柄で試験した、表3に示した実施例6〜12の結果によって捕獲効果の向上が確認された70%〜98%の範囲、特に92%〜95%の範囲に加え、反射率比を18%以上とした構成の粘着シートの場合にも、顕著に捕獲効果が向上した粘着シートが得られることが分かった。すなわち、まず、表3に示した結果と同様に、第1の誘引色の反射率と、第2の誘引色の反射率が近いと、誘引効果(捕獲効果)が大きいことが確認できた。さらに、上記の結果は、これに加えて、第1の誘引色の反射率と、第2の誘引色の反射率が大きく異なる反射率が低い領域でも、誘引効果(捕獲効果)の向上効果が得られる反射率比の範囲があることが判明した。例えば、黄色と黒色の組合せでは、先に述べたように、あまり極端に反射率の差が大きすぎて誘引効果(捕獲効果)は劣るが、反射率比の差が小さい場合であっても、誘引効果(捕獲効果)の向上効果が得られる領域があることが分かった。表3と表6の結果から、第1の誘引色の反射率と、第2の誘引色の反射率との反射比率を、15%〜98%の範囲内となるように構成することが好ましいことが確認された。また、特に、上記反射比率を15%〜30%の低い範囲となるように、或いは、上記反射比率を42%〜98%の範囲、より好ましくは70%〜98%、更に好ましくは92%〜95%の高い範囲となるように、第1の誘引色と第2の誘引色の組み合わせを選択することが好ましいことが分かった。
なお、本明細書では詳細な説明を省略するが、京都大学「生物の光反射特性」等資料から、植物の葉と茎の反射率が550nm〜600nmで15%〜30%範囲にあることを鑑みると、ハウス内に害虫捕獲用粘着シートを設置した場合、粘着シートのエッジ側は、光のコントラストが際立ち(エッジ効果)、この部分により多く害虫が誘引されるといえる。このことから、本発明の害虫捕獲用粘着シートを設計する場合の第1の誘引色の反射率と、第2の誘引色の反射率との反射率比における低い範囲としては、上述した15%〜30%の範囲が好適であると考えられる。表6に示した反射率比が低い構成の実施例30及び実施例31の害虫捕獲用粘着シートによって得られた高い捕獲率は、第1の誘引色である黄色に着色された基材表面上に複数配置された、第2の誘引色である緑色の菱形形状の図柄との間に形成される境界線において、上記したエッジ効果が発現した結果と推定される。本発明者らの種々の検討の結果、本発明の害虫捕獲用粘着シートを設計する場合の第1の誘引色の反射率と、第2の誘引色の反射率との反射率比としては、15%〜98%の範囲が挙げられ、より安定して効果の向上がみられた範囲としては、15%〜30%の範囲、或いは、70%〜98%の範囲となるように構成することである。
(実施例35)
先に説明した実施例14で作製した、細線で、輪郭が三角形を形づくることで、べた印刷され正三角形の影を演出し、この影で正三角形が立体的に見えるように構成した害虫捕獲用粘着シートを実施例35の粘着シートとし、これを用いて実施例1で行ったと同様の方法で、害虫の誘引効果を評価した。具体的には、実施例35及び比較例35の害虫捕獲用粘着シートの試験体を隣接並置されるようにして、トマトハウス内及びナスビハウス内に設置して試験を行った。その結果、いずれのハウスにおいても、実施例35の粘着シートでは、比較例35の粘着シートにおける害虫の捕獲数に比較して、最低でも1.6倍以上の害虫が捕獲されることを確認した。また、捕獲された害虫の種類を調べたところ、アザミウマ類やコンジラミやハエ等の多種類の害虫が捕獲されていた。
(実施例36〜45)
30cm×60cm(1800cm2)で、厚さが0.25mmの大判の紙製のシート状の基材の上に、図15に示したように、下記の構成の着色層を形成した。第1害虫誘引色反射領域を蛍光白色インクで形成し、その上に、第2害虫誘引色反射領域を、分岐を有する線状の図柄である青色のアスタリスク形状を、個数を変えて、それぞれ複数形成して実施例36〜45の害虫捕獲用粘着シートを作製した。具体的には、厚み0.25mmのシート状の紙カップ原紙の白紙に、蛍光白色インキを全面に印刷して第1害虫誘引色反射領域を形成し、この第1害虫誘引色反射領域の上に、青色誘引色であるウルトラマリンブルーの絵の具でアスタリスク形状の図柄を複数印刷して、部分的に配置された第2害虫誘引色反射領域を形成した。
上記で使用した蛍光白色インクのL***表色系は、L*=99.713、a*=25.08、b*=12.32であり、ウルトラマリンブルーのL***表色系は、L*=411.30、a*=25.33、b*=252.63であった。アスタリスク形状の図柄は、図15に示したように、5mm×50mmの長方形3本を、長方形の真中の1本を中心に、60°の均等角度で他の2本を配置させてなる、分岐を有する線状の図柄である。このウルトラマリンブルーのアスタリスク形状の図柄の1個の占有面積は6.75cm2であり、これを複数個印刷して、表7に示したように、それぞれに第2害虫誘引色反射領域の占有面積割合が異なる実施例36〜45の害虫捕獲用粘着シートを得た。
上記で得た実施例36〜45の各害虫捕獲用粘着シートと、着色層を蛍光白色インクのみで形成した比較用36〜45の各害虫捕獲用粘着シートとを用い、両者を隣接並置して、ヒメイエバイ類の誘引・捕獲効果を評価し、先述した評価基準で評価した。結果を表7及び図16に示した。
第2の誘引色であるウルトラマリンブルーの絵の具で形成したアスタリスク形状の図柄の数を変えて、第2害虫誘引色反射領域の占有面積割合を変化させた場合、表7及び図16に示したように、占有面積割合が、8%〜10%でも捕獲比率が向上する傾向がみられたが、特に、第2害虫誘引色反射領域の占有面積割合が12%〜15%である場合に高い捕獲比率が得られることが分かった。
(実施例46〜50)
<第2害虫誘引色反射領域を形成する図柄の違いと捕獲比率についての検討例>
図13及び図16に示されているように、第2害虫誘引色反射領域を形成する図柄のデザインによらず、図柄の数を変えて第2害虫誘引色反射領域の占有面積を変化させた場合に、害虫の捕獲比率が大きく向上する箇所が2つあることを見出している。そこで、同一の基材及び粘着剤を用い、先に検討したデザインが異なる各種の形状図柄で、その数を、それぞれより大きい値を示した占有面積割合となるように調整して、第2害虫誘引色反射領域を形成して、実施例46〜50の害虫捕獲用粘着シートを得た。
具体的には、10cm×25cmのシート状の紙カップ原紙の白紙を基材とし、その上の着色層を、第1害虫誘引色反射領域をプライマリーイエローで形成し、プライマリーイエロー着色の面と異なる反射率の第2の誘引色にリーフグリーン又はイミダゾロンイエローを用い、「菱形形状」、「アスタリスク形状」、「L字形状」、「X字形状」(図17参照)、「Y字形状」(図18参照)、のそれぞれの図柄を複数個印刷して、表8に示した占有面積割合となるように第2害虫誘引色反射領域を形成して、実施例46〜50の粘着シートを得た。「菱形形状」ではリーフグリーンを用い、その他の図柄では、イミダゾロンイエローを用いた。そして、比較例46〜50として、プライマリーイエローのみで着色層を形成した粘着シートを用い、実施例46〜50の粘着シートについて、コナジラミの捕獲試験をした。得られた結果を表8に示した。
表8に示したように、第2害虫誘引色反射領域を形成する図柄のデザインによらず、第2害虫誘引色反射領域を設けることで、捕獲比率を向上できることを確認した。中でも、菱形形状の図柄を設けた場合に、安定して高い捕獲比率を実現できることが確認された。

Claims (8)

  1. シート状の基材と、該基材の少なくとも一方の表面に設けられた害虫を誘引するための着色層と、該着色層上の一部又は全部に形成された前記害虫を動けなくするための粘着剤層とを有してなる害虫捕獲用粘着シートであって、
    前記着色層は、害虫に対する第1の誘引色を反射する第1害虫誘引色反射領域と、前記誘引色とは異なる反射率曲線を示す第2の誘引色を反射する第2害虫誘引色反射領域の、少なくとも2つの領域を有し、前記着色層が設けられている全領域に対する、前記第2害虫誘引色反射領域の占有面積割合が1.5%〜40%であり、且つ、前記全領域中に、前記第2害虫誘引色反射領域を形成する複数の図柄が配置された構成を有することを特徴とする害虫捕獲用粘着シート。
  2. 前記第1害虫誘引色反射領域の第1の誘引色の反射率に対する、前記第2害虫誘引色反射領域の第2の誘引色の反射率の比率を、第1の誘引色の550nm〜600nmの波長範囲にある反射率曲線と波長の横線で囲む面積を分母とし、前記第2の誘引色の550nm〜600nmの波長範囲にある反射率曲線と波長の横線で囲む面積を分子として算出した場合に、比率が9.5%〜98%となるように構成されている請求項1に記載の害虫捕獲用粘着シート。
  3. 前記着色層によって形成されている全領域が、前記第1害虫誘引色反射領域と、前記第2誘引色反射領域の2つ領域からなり、且つ、面状の前記第1害虫誘引色反射領域の中に、分岐を有する線状の図柄、三角形を形づくる図柄及び菱形を形づくる図柄からなる群から選ばれる少なくともいずれかの図柄によって前記第2誘引色反射領域が形成されている請求項1又は2に記載の害虫捕獲用粘着シート。
  4. 前記分岐を有する線状の図柄又は前記三角形を形づくる図柄又は前記菱形を形づくる図柄が、前記面状の第1害虫誘引色反射領域の中に、整列した状態で複数、並置されて前記第2誘引色反射領域を形成している請求項3に記載の害虫捕獲用粘着シート。
  5. 前記菱形を形づくる図柄が、面状の三角形の図柄と、平行する細線で形成された模様を有する前記三角形と輪郭が合同の図柄又はグラデーション模様を有する前記三角形と輪郭が合同の面状の三角形の図柄との組合せからなる請求項3又は4に記載の害虫捕獲粘着シート。
  6. 前記分岐を有する線状の図柄が、L字形状、X字形状、Y字形状及びアスタリスク形状からなる群から選ばれる少なくともいずれかの形状の図柄である請求項3又は4に記載の害虫捕獲用粘着シート。
  7. 前記害虫に対する第1の誘引色及び第2の誘引色の色相が、それぞれ独立に、黄色、緑色、青色、桃色及び蛍光白色からなる群から選ばれる少なくともいずれかである請求項1〜6のいずれか1項に記載の害虫捕獲用粘着シート。
  8. 前記シート状の基材が、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂及びポリウレタン樹脂からなる群から選ばれるいずれかの合成樹脂、これらの合成樹脂を主原料としてなる合成紙、紙、金属及び不織布からなる群から選ばれるいずれかの材料で構成されてなる請求項1〜7のいずれか1項に記載の害虫捕獲用粘着シート。
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