JP2019133837A - 無極性溶媒を含む電解液を備える二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】金属リチウム負極における反応可逆性を大幅に向上させ、高い充放電効率を実現することにより、高容量及び高エネルギー密度を有する二次電池の提供。【解決手段】正極、負極、及び電解液を備える二次電池であって、電解液が、アルカリ金属塩、無極性溶媒、及びその他の溶媒を含み、電解液中におけるアルカリ金属塩、無極性溶媒、及びその他の溶媒のモル比をM1:M2:M3とした場合に、M3/M1が1<(M3/M1)<4の範囲であり、かつ、M2>M3を満たす二次電池。【選択図】なし
Description
本発明は、無極性溶媒を含む電解液を備える二次電池、特にリチウム金属二次電池に関する。
高いエネルギー密度を有するリチウムイオン電池は、携帯電話やノートパソコンなどの小型携帯機器用途に加えて、電気自動車や電力蓄電用途などの大型蓄電池としての大規模な普及が期待されている。しかしながら、例えば、電気自動車用途においては、1回の充電で走行可能な距離(航続距離)が既存のガソリン自動車の場合に比して短いため、航続距離の大幅な延長を可能にすることが求められている等、更なる高容量二次電池の開発が強く望まれている。
これに対し、リチウムイオン電池の高容量化のための方策として、従来のリチウムイオンの挿入脱離反応を用いる黒鉛等の負極に代えて、金属リチウムの析出溶解反応を用いる金属リチウムを負極として利用する研究が広く行われている(例えば、特許文献1)。
しかしながら、金属リチウムの析出溶解反応は、一般に充放電効率が極めて悪く(概ね70%以下)、二次電池の負極として用いた場合には、充放電を重ねることで電池容量が急激に劣化してしまうという問題があった。また、継続使用により金属リチウムが樹枝状(デンドライト)に析出して、セパレータを破損する等の現象が生じ、最終的に短絡するという問題もあった。
そこで、本発明は、金属リチウム負極の高度な反応可逆性を実現し、高容量を有する二次電池を提供することを課題とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、従来は二次電池用の電解液溶媒としてほとんど検討されてこなかった無極性溶媒を主溶媒とし、かつ特定のアルカリ金属塩を含む電解液を用いることで、負極として金属リチウムを用いた場合でも高効率かつ高容量の二次電池を提供できることを新たに見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、一態様において
<1>正極、負極、及び電解液を備える二次電池であって、前記電解液が、アルカリ金属塩、無極性溶媒、及びその他の溶媒を含み、前記電解液中における前記アルカリ金属塩、無極性溶媒、及びその他の溶媒のモル比をM1:M2:M3とした場合に、M3/M1が1<(M3/M1)<4の範囲であり、かつ、M2>M3を満たすことを特徴とする、該二次電池;
<2>前記電解液において、M1/(M1+M2+M3)が0.03〜0.3の範囲である、上記<1>に記載の二次電池;
<3>前記電解液において、M2/M3が1<(M2/M3)<10の範囲である、上記<1>に記載の二次電池;
<4>前記無極性溶媒が2.5以下の比誘電率を有する、上記<1>〜<3>のいずれか1に記載の二次電池;
<5>前記無極性溶媒が、芳香族化合物及びそれらのフッ素化物;鎖状炭化水素及びそのフッ素化物;鎖状エーテル類;環状エーテル類;フッ素化した鎖状又は環状エーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム、及びテトラクロロメタンよりなる群から選択される少なくとも1の有機溶媒である、上記<1>〜<3>のいずれか1に記載の二次電池;
<6>前記その他の溶媒が、非プロトン性極性有機溶媒である、上記<1>〜<5>のいずれか1に記載の二次電池;
<7>前記アルカリ金属塩を構成するアニオンが、フルオロスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、及びパーフルオロエタンスルホニル基よりなる群から選択される1以上の基を含むアニオンである、上記<1>〜<6>のいずれか1に記載の二次電池;
<8>前記アルカリ金属塩が、リチウム塩である、上記<1>〜<7>のいずれか1に記載の二次電池;
<9>前記正極が、リチウム元素を有する金属酸化物又はポリアニオン系化合物より選択される活物質を含む、上記<1>〜<8>のいずれか1に記載の二次電池;及び
<10>前記負極が、リチウム金属の析出溶解反応を伴う活物質を含む、上記<1>〜<9>のいずれか1に記載の二次電池
を提供するものである。
<1>正極、負極、及び電解液を備える二次電池であって、前記電解液が、アルカリ金属塩、無極性溶媒、及びその他の溶媒を含み、前記電解液中における前記アルカリ金属塩、無極性溶媒、及びその他の溶媒のモル比をM1:M2:M3とした場合に、M3/M1が1<(M3/M1)<4の範囲であり、かつ、M2>M3を満たすことを特徴とする、該二次電池;
<2>前記電解液において、M1/(M1+M2+M3)が0.03〜0.3の範囲である、上記<1>に記載の二次電池;
<3>前記電解液において、M2/M3が1<(M2/M3)<10の範囲である、上記<1>に記載の二次電池;
<4>前記無極性溶媒が2.5以下の比誘電率を有する、上記<1>〜<3>のいずれか1に記載の二次電池;
<5>前記無極性溶媒が、芳香族化合物及びそれらのフッ素化物;鎖状炭化水素及びそのフッ素化物;鎖状エーテル類;環状エーテル類;フッ素化した鎖状又は環状エーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム、及びテトラクロロメタンよりなる群から選択される少なくとも1の有機溶媒である、上記<1>〜<3>のいずれか1に記載の二次電池;
<6>前記その他の溶媒が、非プロトン性極性有機溶媒である、上記<1>〜<5>のいずれか1に記載の二次電池;
<7>前記アルカリ金属塩を構成するアニオンが、フルオロスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、及びパーフルオロエタンスルホニル基よりなる群から選択される1以上の基を含むアニオンである、上記<1>〜<6>のいずれか1に記載の二次電池;
<8>前記アルカリ金属塩が、リチウム塩である、上記<1>〜<7>のいずれか1に記載の二次電池;
<9>前記正極が、リチウム元素を有する金属酸化物又はポリアニオン系化合物より選択される活物質を含む、上記<1>〜<8>のいずれか1に記載の二次電池;及び
<10>前記負極が、リチウム金属の析出溶解反応を伴う活物質を含む、上記<1>〜<9>のいずれか1に記載の二次電池
を提供するものである。
本発明の二次電池によれば、従来は二次電池用の電解液溶媒として用いられていなかった無極性溶媒を主溶媒した電解液を用いることで、金属リチウム負極における反応可逆性を大幅に向上させることでき、高い充放電効率が得られる。これにより、従来のリチウムイオン二次電池に比して、高容量化及び高エネルギー密度の二次電池を提供することができる。
本発明の二次電池では、上記電解液を用いることによって、粘度が小さく(分極が小さく)安定な充放電を達成できるのみならず、アルカリ金属塩の使用を比較的低濃度に抑えることができ、また電極表面におけるデンドライトの析出も抑制することができるという効果を奏するものである。
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更し実施することができる。
1.電解液
本発明の二次電池は、正極及び負極と、電解液を備えるものである。本発明の二次電池に用いられる電解液は、以下の1)及び2)を満たすことを特徴とする:
1)アルカリ金属塩、無極性溶媒、及びその他の溶媒を含む
2)当該電解液中における前記アルカリ金属塩、無極性溶媒、及びその他の溶媒のモル比をM1:M2:M3とした場合に、M3/M1が1<(M3/M1)<4の範囲であり、かつ、M2>M3を満たす。
本発明の二次電池は、正極及び負極と、電解液を備えるものである。本発明の二次電池に用いられる電解液は、以下の1)及び2)を満たすことを特徴とする:
1)アルカリ金属塩、無極性溶媒、及びその他の溶媒を含む
2)当該電解液中における前記アルカリ金属塩、無極性溶媒、及びその他の溶媒のモル比をM1:M2:M3とした場合に、M3/M1が1<(M3/M1)<4の範囲であり、かつ、M2>M3を満たす。
(A)溶媒成分
上記1)において、無極性溶媒とは、当該技術分野において一般的に用いられる定義によるものであり、非極性溶媒に加え極低極性の溶媒が含まれる。かかる無極性溶媒は、典型的には、トルエン、クメン、キシレン、ベンゼンなどの芳香族化合物及びそれらのフッ素化物、ヘキサンをはじめとする鎖状炭化水素及びそのフッ素化物、ジエチルエーテルをはじめとする鎖状エーテル類、ジオキサンをはじめとする環状エーテル類、フッ素化した鎖状及び環状エーテル類、ジクロロメタン、クロロホルム、及びテトラクロロメタン等の有機溶媒である。より好ましくは、トルエン、ベンゼン、ヘキサン、ジエチルエーテル、ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、又はテトラクロロメタンである。また、当該無極性溶媒は、好ましくは、4.0以下、より好ましくは2.5以下の比誘電率を有するものである。当該比誘電率の下限値は、例えば、1.0とすることができる。
上記1)において、無極性溶媒とは、当該技術分野において一般的に用いられる定義によるものであり、非極性溶媒に加え極低極性の溶媒が含まれる。かかる無極性溶媒は、典型的には、トルエン、クメン、キシレン、ベンゼンなどの芳香族化合物及びそれらのフッ素化物、ヘキサンをはじめとする鎖状炭化水素及びそのフッ素化物、ジエチルエーテルをはじめとする鎖状エーテル類、ジオキサンをはじめとする環状エーテル類、フッ素化した鎖状及び環状エーテル類、ジクロロメタン、クロロホルム、及びテトラクロロメタン等の有機溶媒である。より好ましくは、トルエン、ベンゼン、ヘキサン、ジエチルエーテル、ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、又はテトラクロロメタンである。また、当該無極性溶媒は、好ましくは、4.0以下、より好ましくは2.5以下の比誘電率を有するものである。当該比誘電率の下限値は、例えば、1.0とすることができる。
また、電解液において無極性溶媒とともに溶媒として用いられる「その他の溶媒」としては、二次電池用電解液として使用可能なものとして従来知られている公知の溶媒を用いることができ、特に限定されるものではない。かかるその他の溶媒の例示としては、エチルメチルエーテル、ジプロピルエーテル等のエーテル類;メトキシプロピオニトリルのニトリル類;酢酸メチル等のエステル類;トリエチルアミン等のアミン類;メタノール等のアルコール類;アセトン等のケトン類;含フッ素アルカン等を挙げることができる。好ましくは、好ましくは、非プロトン性の極性有機溶媒である。より好ましくは、その他の溶媒として、テトラヒドロフラン(THF)、アセトン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸エチル、及びプロピレンカーボネート(PC)を用いることができる。
無極性溶媒とその他の溶媒の組成については、無極性溶媒が主溶媒である、すなわち、その 他の溶媒よりも高い比率で含まれることが好ましい。そのため、本発明の二次電池に用いられる電解液は、上記2)に規定されるように、当該電解液中におけるアルカリ金属塩、無極性溶媒、及びその他の溶媒のモル比をM1:M2:M3とした場合に、M2>M3の関係を満たす。好ましくは、M2/M3のモル比は、1<(M2/M3)<10、より好ましくは、1<(M2/M3)<5、特に好ましくは1<(M2/M3)<3の範囲である。
(B)アルカリ金属塩
本発明の二次電池に用いられる電解液は、アルカリ金属塩を含むことを特徴とする。これによって、優れた可逆性を示す二次電池を実現することができる。
本発明の二次電池に用いられる電解液は、アルカリ金属塩を含むことを特徴とする。これによって、優れた可逆性を示す二次電池を実現することができる。
かかるアルカリ金属塩は、好ましくは、リチウム塩であるが、2種類以上のアルカリ金属塩を組み合わせた混合物を用いることもできる。
当該アルカリ金属塩を構成するアニオンは、好ましくはフルオロスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、及びパーフルオロエタンスルホニル基よりなる群から選択される1以上の基を含むアニオンである。例えば、ビス(フルオロスルホニル)アミド([N(FSO2)2]−)、(フルオロスルホニル)(トリフルオロスルホニル)アミド([N(CF3SO2)(FSO2)]−)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド([N(CF3SO2)2]−)、ビス(パーフルオロエタンスルホニル)アミド([N(C2F5SO2)2]−)又は(パーフルオロエタンスルホニル)(トリフルオロエタンメタンスルホニル)アミド([N(C2F5SO2)(CF3SO2)]−)が好適である。
したがって、当該アルカリ金属塩の具体例としては、リチウムビス(フルオロスルホニル)アミド(LiFSA)、リチウム(フルオロスルホニル)(トリフルオロスルホニル)アミド、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(LiTFSA)、リチウムビス(パーフルオロエタンスルホニル)アミド−)(LiBETA)又はリチウム(パーフルオロエタンスルホニル)(トリフルオロエタンメタンスルホニル)アミド;或いは、ナトリウムビス(フルオロスルホニル)アミド(NaFSA)、ナトリウム(フルオロスルホニル)(トリフルオロスルホニル)アミド、ナトリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(NaTFSA)、ナトリウムビス(パーフルオロエタンスルホニル)アミド−)(NaBETA)又はナトリウム(パーフルオロエタンスルホニル)(トリフルオロエタンメタンスルホニル)アミドが挙げられる。
特に好ましいアルカリ金属塩は、リチウムビス(フルオロスルホニル)アミド(LiFSA)又はナトリウムビス(フルオロスルホニル)アミド(NaFSA)である。これらの塩は、カチオン−アニオン相互作用が弱く、高濃度とした場合でも高いイオン電導性を有するためである。
電解液中のアルカリ金属塩の濃度については、上記2)に規定されるように、当該電解液中におけるアルカリ金属塩、無極性溶媒、及びその他の溶媒のモル比をM1:M2:M3とした場合に、M3/M1が1<(M3/M1)<4、好ましくは、1<(M3/M1)<3範囲であることができる。また、電解液全体に対するモル比として表すと、M1/(M1+M2+M3)が、好ましくは、0.03〜0.3、より好ましくは、0.05〜0.2の範囲であることができる。アルカリ金属塩が過剰に低濃度の場合はイオン伝導性が低く、過剰に高濃度の場合には高粘度化等の弊害が生じる可能性があるため、これらの範囲内であることが望ましい。
(C)他の成分
上記アルカリ金属塩に加えて、当該技術分野において公知の支持電解質を含むことができる。そのような支持電解質は、例えば、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiNO3、LiCl、Li2SO4及びLi2S等及びこれらの任意の組み合わせから選択されるものが挙げられる。
上記アルカリ金属塩に加えて、当該技術分野において公知の支持電解質を含むことができる。そのような支持電解質は、例えば、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiNO3、LiCl、Li2SO4及びLi2S等及びこれらの任意の組み合わせから選択されるものが挙げられる。
また、本発明の二次電池では、その機能の向上等の目的で、必要に応じて他の成分を電解液に含むこともできる。他の成分としては、例えば、従来公知の過充電防止剤、脱水剤、脱酸剤、高温保存後の容量維持特性およびサイクル特性を改善するための特性改善助剤が挙げられる。
過充電防止剤としては、例えば、ビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロヘキシルベンゼン、t−ブチルベンゼン、t−アミルベンゼン、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の芳香族化合物;2−フルオロビフェニル、o−シクロヘキシルフルオロベンゼン、p−シクロヘキシルフルオロベンゼン等の前記芳香族化合物の部分フッ素化物;2,4−ジフルオロアニソール、2,5−ジフルオロアニソールおよび2,6−ジフルオロアニオール等の含フッ素アニソール化合物が挙げられる。過充電防止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
当該電解液が過充電防止剤を含有する場合、電解液中の過充電防止剤の含有量は、0.01〜5質量%であることが好ましい。電解液に過充電防止剤を0.1質量%以上含有させることにより、過充電による二次電池の破裂・発火を抑制することがさらに容易になり、二次電池をより安定に使用できる。
脱水剤としては、例えば、モレキュラーシーブス、芒硝、硫酸マグネシウム、水素化カルシウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化リチウムアルミニウム等が挙げられる。本発明の電解液に用いる溶媒は、前記脱水剤で脱水を行った後に精留を行ったものを使用することもできる。また、精留を行わずに前記脱水剤による脱水のみを行った溶媒を使用してもよい。
高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を改善するための特性改善助剤としては、例えば、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、無水ジグリコール酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、フェニルコハク酸無水物等のカルボン酸無水物;エチレンサルファイト、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、メタンスルホン酸メチル、ブスルファン、スルホラン、スルホレン、ジメチルスルホン、ジフェニルスルホン、メチルフェニルスルホン、ジブチルジスルフィド、ジシクロヘキシルジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、N,N−ジメチルメタンスルホンアミド、N,N−ジエチルメタンスルホンアミド等の含硫黄化合物;ヘプタン、オクタン、シクロヘプタン等の炭化水素化合物;フルオロ炭酸エチレン(FEC)、フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、ベンゾトリフルオライド等の含フッ素芳香族化合物が挙げられる。これら特性改善助剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。電解液が特性改善助剤を含有する場合、電解液中の特性改善助剤の含有量は、0.01〜5質量%であることが好ましい。
2.正極及び負極
上述のように、本発明の二次電池は、正極及び負極と、本発明の電解液を備えるものである。以下、本発明の二次電池における正極及び負極について説明する。
上述のように、本発明の二次電池は、正極及び負極と、本発明の電解液を備えるものである。以下、本発明の二次電池における正極及び負極について説明する。
(A)負極
本発明の二次電池における負極としては、リチウム金属の析出溶解反応を伴う活物質を含むものであることが好適である。上述の無極性溶媒を含む電解液を用いることで、金属リチウムを負極として用いる、いわゆるリチウム金属二次電池における反応可逆性を大幅に向上させ、高い充放電効率を得ることができる。これにより、従来の黒鉛等を負極に用いるリチウムイオン二次電池に比して、高容量化及び高エネルギー密度の二次電池を提供することができる。リチウム金属の析出溶解反応を伴う活物質としては、リチウム金属、リチウム元素を有する合金、又は金属窒化物のような金属化合物が挙げられる。例えば、リチウム元素を有する合金としては、例えばリチウムアルミニウム合金、リチウムスズ合金、リチウム鉛合金、リチウムケイ素合金等を挙げることができる。また、リチウム元素を含有する金属窒化物としては、例えばリチウムコバルト窒化物、リチウム鉄窒化物、リチウムマンガン窒化物等を挙げることができる。
本発明の二次電池における負極としては、リチウム金属の析出溶解反応を伴う活物質を含むものであることが好適である。上述の無極性溶媒を含む電解液を用いることで、金属リチウムを負極として用いる、いわゆるリチウム金属二次電池における反応可逆性を大幅に向上させ、高い充放電効率を得ることができる。これにより、従来の黒鉛等を負極に用いるリチウムイオン二次電池に比して、高容量化及び高エネルギー密度の二次電池を提供することができる。リチウム金属の析出溶解反応を伴う活物質としては、リチウム金属、リチウム元素を有する合金、又は金属窒化物のような金属化合物が挙げられる。例えば、リチウム元素を有する合金としては、例えばリチウムアルミニウム合金、リチウムスズ合金、リチウム鉛合金、リチウムケイ素合金等を挙げることができる。また、リチウム元素を含有する金属窒化物としては、例えばリチウムコバルト窒化物、リチウム鉄窒化物、リチウムマンガン窒化物等を挙げることができる。
しかし、上述の無極性溶媒を含む電解液を用いることで優れた電池特性が得られる点は、負極としてリチウム金属等を用いた場合に限従されず、従来のリチウムイオン二次電池において利用されている負極構造の場合でも十分有益である。したがって、本発明の二次電池における負極としては、当該技術分野において公知の他の電極構成を用いることができる。例えば、二次電池がリチウムイオン電池の場合には、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵・放出できる負極活物質を含む電極が挙げられる。公知のリチウムイオン二次電池用負極活物質としては、例えば、天然グラファイト(黒鉛)、高配向性グラファイト(Highly Oriented Pyrolytic Graphite;HOPG)、非晶質炭素等の炭素質材料が挙げられる。これら負極活物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記負極は、負極活物質のみを含有するものであっても良く、負極活物質の他に、導電性材料および結着材(バインダ)の少なくとも一方を含有し、負極合材として負極集電体に付着させた形態であるものであっても良い。例えば、負極活物質が箔状である場合は、負極活物質のみを含有する負極とすることができる。一方、負極活物質が粉末状である場合は、負極活物質および結着材(バインダ)を有する負極とすることができる。粉末状の負極活物質を用いて負極を形成する方法としては、ドクターブレード法や圧着プレスによる成型方法等を用いることができる。
導電性材料としては、例えば、炭素材料、金属繊維等の導電性繊維、銅、銀、ニッケル、アルミニウム等の金属粉末、ポリフェニレン誘導体等の有機導電性材料を使用することができる。炭素材料として、黒鉛、ソフトカーボン、ハードカーボン、カーボンブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、グラファイト、活性炭、カーボンナノチューブ、カーボンファイバー等を使用することができる。また、芳香環を含む合成樹脂、石油ピッチ等を焼成して得られたメソポーラスカーボンを使用することもできる。
結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)等のフッ素系樹脂、或いは、ポリエチレン、ポリプロピレンなどを好ましく用いることができる。負極集電体としては、銅、ニッケル、アルミニウム、ステンレススチール等を主体とする棒状体、板状体、箔状体、網状体等を使用することができる。
(B)正極
本発明の二次電池の正極としては、当該技術分野において公知の電極構成を用いることができる。例えば、正極活物質としては、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、マンガン酸リチウム(LiMn2O4)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)等の1種類以上の遷移金属を含むリチウム含有遷移金属酸化物、遷移金属硫化物、金属酸化物、リン酸鉄リチウム(LiFePO4)やピロリン酸鉄リチウム(Li2FeP2O7)などの1種類以上の遷移金属を含むリチウム含有ポリアニオン系化合物などが挙げられる。当該正極には、導電性材料や結着剤を含有してもよい。好ましくは、マンガン酸リチウムである。
本発明の二次電池の正極としては、当該技術分野において公知の電極構成を用いることができる。例えば、正極活物質としては、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、マンガン酸リチウム(LiMn2O4)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)等の1種類以上の遷移金属を含むリチウム含有遷移金属酸化物、遷移金属硫化物、金属酸化物、リン酸鉄リチウム(LiFePO4)やピロリン酸鉄リチウム(Li2FeP2O7)などの1種類以上の遷移金属を含むリチウム含有ポリアニオン系化合物などが挙げられる。当該正極には、導電性材料や結着剤を含有してもよい。好ましくは、マンガン酸リチウムである。
導電性材料及び結着剤(バインダ)としては、上記負極と同様のものを用いることができる。
正極集電体金属としては、例えば、銅、ニッケル、アルミニウム、ステンレススチール等を用いることができる。
3.セパレータ
本発明の二次電池において用いられるセパレータとしては、正極層と負極層とを電気的に分離する機能を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、セルロース、ポリアミド等の樹脂からなる多孔質シートや、不織布、ガラス繊維不織布等の不織布等の多孔質絶縁材料等を挙げることができる。
本発明の二次電池において用いられるセパレータとしては、正極層と負極層とを電気的に分離する機能を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、セルロース、ポリアミド等の樹脂からなる多孔質シートや、不織布、ガラス繊維不織布等の不織布等の多孔質絶縁材料等を挙げることができる。
4.電池の形状等
本発明の二次電池の形状は、正極、負極、及び電解液を収納することができれば特に限定されるものではないが、例えば、円筒型、コイン型、平板型、ラミネート型等を挙げることができる。
本発明の二次電池の形状は、正極、負極、及び電解液を収納することができれば特に限定されるものではないが、例えば、円筒型、コイン型、平板型、ラミネート型等を挙げることができる。
なお、本発明の電解液及び二次電池は、二次電池としての用途に好適ではあるが、一次電池として用いることを除外するものではない。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
1.充放電効率の測定
本発明の実施例として、無極性溶媒であるトルエンと、非プロトン性極性溶媒であるテトラヒドロフラン(THF)との混合溶媒(THF:トルエン=2:3.6のモル比)に、アルカリ金属塩としてLiFSAを1.6M含む電解液(LiFSA:TFH:トルエン=1:2:3.6モル比)を用いて充放電特性を測定した。測定は、銅電極と金属リチウム電極からなるハーフセルを用いて行った。0.5mA/cm2の電流値で1時間充電を行い、容量0.5mAh/cm2相当のリチウムを銅電極上に析出させた後、電圧が0.5Vに達するまで同電流値で放電を行った。この充放電を300サイクル行った。また、比較例として、トルエンを含まないTHF単独溶媒中にそれぞれ1.1M及び4.1MのLiFSAを含む電解液(LiFSA:THFのモル比はそれぞれ1:10及び1:2)を用いて同様の測定を行った。得られた測定結果を図1に示す。
本発明の実施例として、無極性溶媒であるトルエンと、非プロトン性極性溶媒であるテトラヒドロフラン(THF)との混合溶媒(THF:トルエン=2:3.6のモル比)に、アルカリ金属塩としてLiFSAを1.6M含む電解液(LiFSA:TFH:トルエン=1:2:3.6モル比)を用いて充放電特性を測定した。測定は、銅電極と金属リチウム電極からなるハーフセルを用いて行った。0.5mA/cm2の電流値で1時間充電を行い、容量0.5mAh/cm2相当のリチウムを銅電極上に析出させた後、電圧が0.5Vに達するまで同電流値で放電を行った。この充放電を300サイクル行った。また、比較例として、トルエンを含まないTHF単独溶媒中にそれぞれ1.1M及び4.1MのLiFSAを含む電解液(LiFSA:THFのモル比はそれぞれ1:10及び1:2)を用いて同様の測定を行った。得られた測定結果を図1に示す。
図1に示すように、無極性溶媒であるトルエンを含む本発明の電解液の場合には、98〜99%という高いクーロン効率(充放電効率)が得られた。一方、トルエンを含まない1.1M LiFSA/THFの場合には、十分な充放電効率が得られなかった。また、本発明の電解液は、1.6MのLiFSAという比較低濃度のアルカリ金属塩含有量であるにもかかわらず、4.1MのLiFSAという非常に高濃度のアルカリ金属塩を含むLiFSA/THFの場合よりも優れたクーロン効率が得られることが実証された。この結果は、無極性溶媒を含む電解液を用いることで、リチウム金属負極の析出溶解反応の効率が著しく向上できることを示すものである。
2.析出・溶解反応の分極
図1に示した充放電サイクル試験で得られた充放電曲線(時間・電圧曲線)を図2に示す。トルエンを含む本発明の電解液(1.6M LiFSA/[THF/トルエン](LiFSA:TFH:トルエン=1:2:3.6モル比))と、比較例の4.1M LiFSA/THF電解液(LiFSA:THF=1:2モル比)について、析出・溶解反応における分極の程度を検証した。その結果、本発明の電解液では、比較例の電解液と比べて分極が小さく非常に安定な充放電が可能であることが分かった。
図1に示した充放電サイクル試験で得られた充放電曲線(時間・電圧曲線)を図2に示す。トルエンを含む本発明の電解液(1.6M LiFSA/[THF/トルエン](LiFSA:TFH:トルエン=1:2:3.6モル比))と、比較例の4.1M LiFSA/THF電解液(LiFSA:THF=1:2モル比)について、析出・溶解反応における分極の程度を検証した。その結果、本発明の電解液では、比較例の電解液と比べて分極が小さく非常に安定な充放電が可能であることが分かった。
3.リチウム析出形態
さらに、本発明の電解液(1.6M LiFSA/[THF/トルエン](LiFSA:TFH:トルエン=1:2:3.6モル比))と比較例の4.1M LiFSA/THF電解液(LiFSA:THF=1:2モル比)を用いた場合における、リチウムの析出形態について検証した。図3は、銅電極と金属リチウム電極からなるハーフセルを用い、1.0mA/cm2の電流値で1時間30分充電を行い、容量1.5mAh/cm2相当のリチウムを銅電極上に析出させたのちに、その表面をSEMで観察した画像である。本発明の電解液の場合には、より大きく丸い形状で析出していることから、リチウムと電解液の接触面積がより小さくなり、電解液の分解が抑制されることで高効率の析出溶解反応が可能になったと考えられる。また、内部短絡の原因となる樹枝状(デンドライト状)リチウムの生成が抑制されていることから、電池の安全性の向上にも寄与する。
さらに、本発明の電解液(1.6M LiFSA/[THF/トルエン](LiFSA:TFH:トルエン=1:2:3.6モル比))と比較例の4.1M LiFSA/THF電解液(LiFSA:THF=1:2モル比)を用いた場合における、リチウムの析出形態について検証した。図3は、銅電極と金属リチウム電極からなるハーフセルを用い、1.0mA/cm2の電流値で1時間30分充電を行い、容量1.5mAh/cm2相当のリチウムを銅電極上に析出させたのちに、その表面をSEMで観察した画像である。本発明の電解液の場合には、より大きく丸い形状で析出していることから、リチウムと電解液の接触面積がより小さくなり、電解液の分解が抑制されることで高効率の析出溶解反応が可能になったと考えられる。また、内部短絡の原因となる樹枝状(デンドライト状)リチウムの生成が抑制されていることから、電池の安全性の向上にも寄与する。
以上、本発明の具体的態様を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。また、特許請求の範囲に記載の発明には、以上の例示した具体的態様を種々変更したものが含まれ得る。
Claims (10)
- 正極、負極、及び電解液を備える二次電池であって、
前記電解液が、アルカリ金属塩、無極性溶媒、及びその他の溶媒を含み、
前記電解液中における前記アルカリ金属塩、無極性溶媒、及びその他の溶媒のモル比をM1:M2:M3とした場合に、M3/M1が1<(M3/M1)<4の範囲であり、かつ、M2>M3を満たす
ことを特徴とする、該二次電池。 - 前記電解液において、M1/(M1+M2+M3)が0.03〜0.3の範囲である、請求項1に記載の二次電池。
- 前記電解液において、M2/M3が1<(M2/M3)<10の範囲である、請求項1に記載の二次電池。
- 前記無極性溶媒が2.5以下の比誘電率を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の二次電池。
- 前記無極性溶媒が、芳香族化合物及びそれらのフッ素化物;鎖状炭化水素及びそのフッ素化物;鎖状エーテル類;環状エーテル類;フッ素化した鎖状又は環状エーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム、及びテトラクロロメタンよりなる群から選択される少なくとも1の有機溶媒である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の二次電池。
- 前記その他の溶媒が、非プロトン性極性有機溶媒である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の二次電池。
- 前記アルカリ金属塩を構成するアニオンが、フルオロスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、及びパーフルオロエタンスルホニル基よりなる群から選択される1以上の基を含むアニオンである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の二次電池。
- 前記アルカリ金属塩が、リチウム塩である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の二次電池。
- 前記正極が、リチウム元素を有する金属酸化物又はポリアニオン系化合物より選択される活物質を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の二次電池。
- 前記負極が、リチウム金属の析出溶解反応を伴う活物質を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の二次電池。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2018015033A JP2019133837A (ja) | 2018-01-31 | 2018-01-31 | 無極性溶媒を含む電解液を備える二次電池 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2020031079A1 (ja) | 2018-08-09 | 2020-02-13 | 積水化成品工業株式会社 | 有機無機複合粒子、その製造方法及びその用途 |
CN114464903A (zh) * | 2022-01-12 | 2022-05-10 | 中南大学 | 一种金属电池电解液及其制备和应用方法 |
-
2018
- 2018-01-31 JP JP2018015033A patent/JP2019133837A/ja active Pending
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