ここに開示される本発明概念を詳細に述べる前に認められるべきことだが、ここに開示される本発明概念は、コンポーネント及び回路の新規な構造的組み合せを含むがこれらに限られないし、特定の詳細な構成にも限られない。したがって、コンポーネント及び回路の構造、方法、機能、制御及び配列は、大部分が、当業者には容易に明らかとなる本開示の構造的な詳細を不明りょうにすることのないように、ここでの記載の利点を有する容易に理解可能なブロック表現及び模式的な図によって図面に例示されている。さらに、ここに開示される本発明概念は、本開示において与えられる図に描かれた特定の実施形態に限られず、特許請求の範囲における文言に従って解釈されるべきである。
ここに記載の方法及びシステムにより、正確な、相対的に速い(例えば従来の試験技法と比べて)、効率的なフェーズドアンテナアレイ試験方法が許容される。従来のアンテナの試験方法が、一日当たり一つの又は極めて少数のフェーズドアンテナアレイ試験を許容する一方、ここに記載の方法及びシステムは、一日当たり多くのフェーズドアンテナアレイの試験を許容する。例えば、図3及び図7に関して以下に記載される方法により、数時間の代わりに約7秒でフェーズドアンテナアレイの放射パターンを決定することが許容される。試験速度の増加により、相対的に少数の試験システム(又は試験機器)により所与数(例えば数千)のフェーズドアンテナアレイを試験することが許容されるので、使用される試験空間が低減される。無響室が非常に高コストでありそのコストはサイズに応じて増加するので、使用される試験機器の数が低減されることにより試験コストが低減され、試験空間も低減される。
また、従来のアンテナの試験方法及びシステムは通常、メンテナンスを必要とする動く機械的部品(例えばモータ)を用いる。こうした動く機械的部品は、試験方法の複雑さを増加させ、試験プロセスを遅延させる。特に、ローブアンテナ又はフェーズドアンテナアレイを回転又は動かすべくモータを使用することは、一セットのf時間遅延又は位相シフトを適用することによってフェーズドアンテナアレイのアンテナ素子を操舵することと比べ、遅くかつ不正確になり得る。
ここで図面を参照する。図1は、本開示の発明概念に係るフェーズドアンテナアレイ試験環境100の、一実施形態例を例示する図を示す。簡単に概観すると、フェーズドアンテナアレイ試験環境100は、アンテナ試験室102、アンテナ試験制御システム104、フェーズドアンテナアレイ106、及び一以上のプローブアンテナを含み得る。プローブアンテナは例えば、個別又は組み合わせのいずれかでプローブアンテナ108と以下で称されるプローブアンテナ108a〜108cである。アンテナ試験制御システム104、フェーズドアンテナアレイ106及び一以上のプローブアンテナ108は、アンテナ試験室102の中に配列することができる。アンテナ試験制御システム104、及び一以上のプローブアンテナ108は、フェーズドアンテナアレイ106の試験を目的とするフェーズドアンテナアレイ試験システム110を形成するとみなせる。図1は一つのフェーズドアンテナアレイ106の試験を示しているが、フェーズドアンテナアレイ試験システム110は、以下に詳述するように複数のフェーズドアンテナアレイ106を試験するべく使用することができる。
アンテナ試験室102は、無線周波数(RF)無響室を含み得る。RF無響室は、フェーズドアンテナアレイ106又は一以上のプローブアンテナ108によって放射された電磁波の反射を完全に又は実質的に吸収するように設計された部屋としてよい。例えば、RF無響室の壁、天井及び床は、電磁波吸収材料から作られ又は当該材料によりライニングされる。RF無響室壁及び天井はまた、周囲環境における電磁波が無響室に侵入するのをブロックするように設計することもできる。試験室102は、フェーズドアンテナアレイ試験システム110及び被試験フェーズドアンテナアレイ106を受け入れるサイズとすることができる。例えば、試験室102のサイズは、フェーズドアンテナアレイ試験システム110のコンポーネントのサイズ、被試験フェーズドアンテナアレイ106のサイズ、(例えば所与の継続時間当たりの)被試験フェーズドアンテナアレイの数、フェーズドアンテナアレイ106とプローブアンテナ108との間の距離、又はこれらの組み合せに基づいて画定することができる。
いくつかの実装において、フェーズドアンテナアレイ試験システム110及び被試験フェーズドアンテナアレイ106は、開空間(又は屋外)に配列してよい。特に、本開示に記載のフェーズドアンテナアレイを試験する実施形態は、(試験室102の中にはない)開空間環境で行うことができる。例えば、電磁波吸収材料は、地面の反射を防止又は軽減するべく、フェーズドアンテナアレイ106とプローブアンテナ108との間にある地面の一部の上に置くことができる。開空間試験環境内のバックグラウンド雑音をなくし又は軽減するべく、他の技法も用いることができる。
オペレータは、フェーズドアンテナアレイ106の一以上の性能パラメータを測定することによりフェーズドアンテナアレイ106を試験するべく、フェーズドアンテナアレイ試験システム110を使用することができる。フェーズドアンテナアレイ106は、電子走査アレイ(ESA)アンテナ又はアクティブESA(AESA)アンテナとしてよい。フェーズドアンテナアレイ106は、一アレイを形成する複数のアンテナ素子(放射素子とも称する)112を含んでよい。アンテナ素子112のアレイは、一次元(1D)アレイ、二次元(2D)アレイ、又は三次元(3D)アレイとしてよい。アンテナ素子112はそれぞれが、無線周波数(RF)信号を受信し、送信し、又は当該送信及び受信を交互に行う別個のアンテナとして作用することができる。フェーズドアンテナアレイ106は、複数のアンテナ素子112に通信可能に結合されたRF増幅器及びフェーズシフタ(又は時間遅延素子)のネットワークを含み得る。RF増幅器及びフェーズシフタ(又は時間遅延素子)のネットワークにより、フェーズドアンテナアレイ106が受信又は送信するビームを操舵することができる。
製造時、フェーズドアンテナアレイ106は、利得(G)、指向性、放射パターン、ビーム幅、放射電力(又は実効輻射電力(EIRP))、相互相関弁別、利得対雑音温度(G/T)、エラーベクトル振幅(EVM)、隣接チャネル電力比(ACPR)、パルス品質、サイドローブレベル、信号対雑音比(SNR)、又はこれらの組み合せのような、特定の性能パラメータ(又は無線特性)を有するように設計することができる。しかしながら、製造及び/又は設計のエラーゆえに、フェーズドアンテナアレイ106は所望どおりに動作し、フェーズドアンテナアレイ106の実際の性能パラメータが、例えばフェーズドアンテナアレイ106の設計プロセス中に画定された対応する理論上の性能パラメータとは異なることがある。ここに記載のフェーズドアンテナアレイ試験プロセスによれば、フェーズドアンテナアレイ106の実際の性能パラメータ(又は無線特性)を測定することが許容される。
ここに記載の試験プロセス中、フェーズドアンテナアレイ106が送信アンテナとして動作(又は作用)する一方でプローブアンテナ108は受信アンテナとして動作し、又はプローブアンテナ108が送信アンテナとして動作する一方でフェーズドアンテナアレイ106は受信アンテナとして動作(又は作用)することができる。例えば、アンテナ試験制御システム104がプローブアンテナ108に電磁波を放射させ、フェーズドアンテナアレイ106は当該電磁波の送信に応答して、対応RF信号を受信することができる。アンテナ試験制御システム104がフェーズドアンテナアレイ106に特定の電磁波を放射させ、プローブアンテナ108は当該電磁波の送信に応答して、対応受信RF信号を受信することができる。アンテナ試験制御システム104は、受信RF信号に基づいてフェーズドアンテナアレイ106の一以上の実際の性能パラメータを決定(又は計算)することができる。
プローブアンテナ108は、ホーンアンテナ、ループプローブアンテナ、矩形アンテナ、ダイポールアンテナプローブ、又は当業者に知られた他のタイプのアンテナを含んでよい。プローブアンテナ108は、一重偏波又は二重偏波となり得る。一以上のプローブアンテナ108は、フェーズドアンテナアレイ106に対して固定された位置に配列することができる。一以上のプローブアンテナ108は、フェーズドアンテナアレイ106の、アンテナ素子112が配列される前面(平面又は曲面)に直交する軸114に対して異なる角度に配列又は位置決めすることができる。例えば、プローブアンテナ108aを角度θ0=0°に配列し、プローブアンテナ108bを角度θ1=45°に配列し、プローブアンテナ108bを角度θ2=60°に配列することができる。点116は、一以上のプローブアンテナ108が配列され得る様々な角度又は位置を示し得る。軸114は、フェーズドアンテナアレイ106の中心点を向く(又は当該中心点を通過する)。プローブアンテナ108が位置決めされ得る軸114に対する角度(又は点116)は、三次元(3D)空間内に画定することができる。プローブアンテナ108の位置決め又は配列が可能な軸114に対する潜在的な角度を画定する点116は、半球又は二次元(2D)平面を形成することができる。
図2A〜2Cを参照すると、本開示の発明概念に係る様々な配列のプローブアンテナ108が例示される。図2Aに例示されるように、フェーズドアンテナアレイ試験システム110は、水平偏波プローブアンテナ108−1及び垂直偏波プローブアンテナ108−2、又はさらに一般には少なくとも2つの異なる偏波のプローブアンテナを含み得る。プローブアンテナ108−1及び108−2はまた、以下では個別に又はまとめてプローブアンテナ108と称する。異なる偏波のプローブアンテナ108−1及び108−2は、(例えば0°〜3°又は0°〜5°だけ異なる軸114に対する対応角度で)互いに相対的に近くなるように、又は(例えば10°以上だけ異なる軸114に対する対応角度で)互いから実質的に離間するように、配列又は位置決めすることができる。異なる偏波のプローブアンテナ108−1及び108−2は、(例えば地面、又はアンテナ試験室102の床に対して)異なる高度に、又は同じ高度に沿って位置決めすることができる。異なる偏波のプローブアンテナ108−1及び108−2により、二重偏波電磁波の放射又は受信が許容され、ひいてはフェーズドアンテナアレイ106の別々の偏波コンポーネントに関連付けられる性能パラメータを測定することが許容される。フェーズドアンテナアレイ試験システム110は、複数対の異なる偏波のプローブアンテナを含んでよい。
図2Bを参照すると、フェーズドアンテナアレイ試験システム110は、異なる中心周波数f1,f2,…,fnに関連付けられた異なる周波数帯域で動作する複数のプローブアンテナ108−1〜108−n(ここで別個に又は組み合せでプローブアンテナ108と称する)を含み得る。ここで、nは1よりも大きい整数である。各プローブアンテナ108−i(ここで、i=1,2,…,n)は、周波数f1,f2,…,fnの対応する中心周波数fiで動作するように構成することができる。プローブアンテナ108−1〜108−nは、(例えば0°〜3°又は0°〜5°だけ異なる軸114に対する対応角度で)互いに相対的に近くなるように、又は(例えば10°以上だけ異なる軸114に対する対応角度で)互いから実質的に離間するように、配列又は位置決めすることができる。プローブアンテナ108−1〜108−nは、(例えば地面、又はアンテナ試験室102の床に対して)異なる高度に、又は同じ高度に沿って位置決めすることができる。フェーズドアンテナアレイ試験システム110は、複数のnタプルのプローブアンテナ(例えばnタプル108−1〜108−n)を含み得る。例えば、複数のnタプルのプローブアンテナの少なくとも2つを、異なる偏波とすることができる(例えば一方のnタプルを水平偏波とし、他方を垂直偏波とすることができる)。所与の中心周波数fiで動作するプローブアンテナ108−iを、異なる箇所に(例えば軸114に対して異なる角度で)位置決めすることができる。別々の周波数帯域で動作するプローブアンテナ108−1〜108−nを使用することにより、異なる周波数の電磁波を放射又は受信し、広い周波数帯域(例えばプローブアンテナ108−1〜108−nが動作する周波数帯域の組み合せ)にわたってフェーズドアンテナアレイ106の性能パラメータを評価することが許容される。別々の周波数帯域で動作するプローブアンテナ108−1〜108−nの使用により、フェーズドアンテナアレイ106の動作周波数帯域を決定することを許容することができる。
図2Cを参照すると、フェーズドアンテナアレイ試験システム110は、フェーズドアンテナアレイ106に対して動くように構成されたプローブアンテナ108を含み得る。位置決めシステム(図1及び図2A〜2Cには示さず)が、プローブアンテナ108を、例えば所定経路(例えば一以上の直線又は曲線)に沿って、又は所定位置(例えば図1に点116により示された位置)間で、動かすことができる。位置決めシステムは、フェーズドアンテナアレイ106を、又はプローブアンテナ108及びフェーズドアンテナアレイ106の双方を、対応する所定経路に従って又は対応する所定位置間で動かすことができる。動くプローブアンテナ108及び/又は動くフェーズドアンテナアレイ106を使用することにより、複数のフェーズドアンテナアレイ106の性能パラメータを測定すること、又はフェーズドアンテナアレイ106の付加的な性能パラメータ(例えば放射パターン又は一以上のサイドローブレベル)を測定することが容易となる。例えば、複数のフェーズドアンテナアレイ106を試験するとき、アンテナ試験制御システム104は、複数のフェーズドアンテナアレイ106を一回に一つずつアクティブにして、プローブアンテナ108又は複数のフェーズドアンテナアレイ106が所定の動きパターンに従って動くようにする。例えば、アクティブなフェーズドアンテナアレイ106が、プローブアンテナ108に対して所定の箇所に位置決めされるようにする。例えば、アンテナ試験制御システム104は、(1)フェーズドアンテナアレイ106が所定経路に沿って特定の距離ごとに配置されるようにし、(2)特定の位置に配置されたフェーズドアンテナアレイ106をアクティブにし、(3)アクティブなフェーズドアンテナアレイとプローブアンテナ108との間に電磁波の放射を引き起こし、(4)すべてのフェーズドアンテナアレイ106が試験に対してアクティブになるまでステップ(1)〜(4)を繰り返す。他の例において、アンテナ試験制御システム104は、プローブアンテナ108を複数の所定変位に従って動かし、各変位の後に別々のフェーズドアンテナアレイ106を、すべてのフェーズドアンテナアレイ108が試験されるまでアクティブにしてよい。
他の配列のプローブアンテナ108もまた、本開示によって考慮される。例えば、フェーズドアンテナアレイ試験システム110は、図2A〜2Cに関して上述された配列の組み合せに従う一以上のプローブアンテナ108を含み得る。例えば、フェーズドアンテナアレイ試験システム110は、フェーズドアンテナアレイ106に対して動くように構成された少なくとも一対の異なる偏波のプローブアンテナ108を含み得る。フェーズドアンテナアレイ試験システム110は、異なる周波数帯域で動作するとともにフェーズドアンテナアレイ106に対して動くように構成されたnタプルのプローブアンテナ108を含み得る。フェーズドアンテナアレイ試験システム110は、異なる偏波の(例えば一つのnタプルが水平偏波を有し、他のnタプルが垂直偏波を有する)少なくとも2つのnタプルのプローブアンテナ(各nタプルのプローブアンテナ108が異なる周波数帯域で動作する)を含み得る。少なくとも2つのnタプルのプローブアンテナは、フェーズドアンテナアレイ106に対して動くように構成することができる。
図1に戻ると、アンテナ試験制御システム104が、フェーズドアンテナアレイ106及びプローブアンテナ108に通信可能に結合され得る。アンテナ試験制御システム104は、一以上の電子デバイスと一以上の電気/電子回路との組み合せを含んでよい。例えば、アンテナ試験制御システム104は、信号生成器回路、ネットワーク分析器、信号分析器、コントローラ、プロセッサ、メモリ、コンピューティングデバイス、又はこれらの組み合せを含んでよい。アンテナ試験制御システム104は、フェーズドアンテナアレイ106又はプローブアンテナ108による電磁波放射を制御することができる。例えば、アンテナ試験制御システム104は、フェーズドアンテナアレイ106又はプローブアンテナ108により電磁波として送信されるRF信号を生成して与えることができる。アンテナ試験制御システム104は、フェーズドアンテナアレイ106の構成スキーム(又はビーム操舵)を制御することができる。アンテナ試験制御システム104は、構成スキーム(又は位相構成スキーム)を示す命令をフェーズドアンテナアレイ106に送信することができる。構成スキーム(又は位相構成スキーム)は、アクティブにされるフェーズドアンテナアレイ106の一群のアンテナ素子112、様々なアンテナ素子112(例えばアクティブにされるアンテナ素子112又は一群のアンテナ素子すべて)の位相シフト(又は時間遅延)、様々なアンテナ素子112の減衰値又は電力増幅値、又はこれらの組み合せを示すことができる(又は定義することができる)。アンテナ試験制御システム104は、フェーズドアンテナアレイ106により位相構成スキームが実装される順序及びタイミングを制御することができる。
アンテナ試験制御システム104は、受信アンテナ(プローブアンテナ108又はフェーズドアンテナアレイ106)が受信するRF信号を取得し、受信したRF信号を、フェーズドアンテナアレイ106の性能パラメータを決定又は計算するべく処理することができる。アンテナ試験制御システム104は、フェーズドアンテナアレイ106の性能パラメータを計算し、計算された性能パラメータを、フェーズドアンテナアレイ試験システム110に通信可能に結合されたメモリ若しくは遠隔データベースに格納するべく、又はディスプレイデバイスに表示するべく、与えることができる。フェーズドアンテナアレイ106及びプローブアンテナ108の位置を制御する位置決めシステムに通信可能に結合することもできる。
アンテナ試験制御システム104はさらに、位置決めシステム(図1に図示せず)を含み得る。位置決めシステムは、アンテナ試験制御システム104に通信可能に結合される。位置決めシステムは、フェーズドアンテナアレイ106又はプローブアンテナ108を機械的に支持する一以上の機械的構造物を含み得る。位置決めシステムは、フェーズドアンテナアレイ106又はプローブアンテナ108を、異なる位置間で又は所定の経路に沿って自動的に動かすモータ、ホイール、又は他の機械的コンポーネントを含み得る。例えば、位置決めシステムは、アンテナ試験制御システム104から命令(又は命令を示す信号)を受信し、フェーズドアンテナアレイ106又はプローブアンテナ108を、例えば上述したように、異なる所定位置間で又は所定経路に沿って動かすことができる。
図3を参照すると、本開示の発明概念に係る、フェーズドアンテナアレイを試験する方法300を例示するフローチャートが示される。簡単に概観すると、方法300は、フェーズドアンテナアレイ及びアンテナプローブを、これらの一方が送信アンテナとして作用し、他方が受信アンテナとして作用するように、互いに対する相対位置に位置決めすることと(ブロック302)、送信アンテナに複数の電磁波を順次に放射させることと(ブロック304)を含み得る。方法300は、複数の電磁波の各電磁波の送信中に、対応構成スキームに従ってフェーズドアンテナアレイを動作させることと(ブロック306)、放射された電磁波それぞれに応答して、受信アンテナによって一以上の対応受信無線周波数(RF)信号を受信することと(ブロック308)を含み得る。方法300は、受信RF信号を使用して対応信号を、複数のアンテナ素子の各アンテナ素子に対して決定することと(ブロック310)、決定された信号応答を使用して当該複数のアンテナ素子に対しフェーズドアンテナアレイの一以上の性能パラメータを決定することと(ブロック312)を含み得る。
方法300は、フェーズドアンテナアレイ106及びアンテナプローブ108を、これらの一方が送信アンテナとして作用し、他方が受信アンテナとして作用するように、互いに対する相対位置に位置決めすること(ブロック302)を含み得る。フェーズドアンテナアレイ106を試験するプロセス中、フェーズドアンテナアレイ106は、(プローブアンテナ108が受信アンテナとして作用することができる間)送信アンテナとして又は(プローブアンテナ108が送信アンテナとして作用することができる間)受信アンテナとして作用することができる。相互性の原理のもと、フェーズドアンテナアレイ106の受信特性と送信特性とは同一である。例えば、フェーズドアンテナアレイ106の放射パターンは、送信モードと受信モードとでは同じである。したがって、フェーズドアンテナアレイ106の性能パラメータを測定するとき、当該フェーズドアンテナアレイは、送信アンテナ又は受信アンテナとして動作するように配列してよい。
アンテナ試験制御システム104は、試験スケジュール(又は試験計画)を含み、又はそれにアクセスすることができる。試験スケジュールは、フェーズドアンテナアレイ106及びプローブアンテナ108のうちどのエンティティが送信アンテナとして作用するか、どのエンティティが受信エンティティとして作用するか、使用されるプローブアンテナ108の数、フェーズドアンテナアレイ106とプローブアンテナ108との相対位置、(例えば放射電磁波として)送信される一連の送信RF信号、タイミング情報(例えば各送信RF信号の送信時刻、若しくは送信RF信号の連続送信間の時間間隔)、フェーズドアンテナアレイの複数の構成スキーム、動き情報(例えばプローブアンテナ108又はフェーズドアンテナアレイ106が動かされる場所及び/又は時刻)、又はこれらの組み合せの指示を含み得る。アンテナ試験制御システム104は、プローブアンテナ108の特性(例えば性能パラメータ、サイズ及び形状のような幾何学的パラメータ、プローブアンテナ108のタイプ、又はこれらの組み合せ)の指示を含み、又はそれにアクセスすることができる。アンテナ試験制御システム104は、フェーズドアンテナアレイ106の設計上の特性の指示、例えば、フェーズドアンテナアレイ106におけるアンテナ素子112の数、アンテナ素子112の配列(例えば当該アレイにおける列及び行の数、各列又は各行におけるアンテナ素子の数)、アンテナ素子112間の間隔、三次元空間におけるアンテナ素子の位置、アンテナ素子の配向、フェーズドアンテナアレイ106の形状(例えば平面又は曲面)、又はこれらの組み合せ、を含み又はそれにアクセスすることができる。
フェーズドアンテナアレイ106を試験するプロセスの開始時、ユーザ(例えば技師)は手動で、フェーズドアンテナアレイ106及びプローブアンテナ108を対応機械的支持素子上に位置決めし又は取り付けることができる。機械的支持素子は、所定の試験位置に位置決め(例えば固定)することができる。機械的支持素子の位置は、調整可能とすることができるので、アンテナ試験制御システム104は、位置決めシステムに対し、プローブアンテナ108、フェーズドアンテナアレイ106又は対応機械的支持素子を、フェーズドアンテナアレイ106及びプローブアンテナ108が試験されるべき所定位置へと動かすように命令することができる。フェーズドアンテナアレイ106は、プローブアンテナ108(又は2つ以上が使用される場合はプローブアンテナ108の一つ)に面するように、例えば図1に例示されるように、位置決めすることができる。
プローブアンテナ108を位置決めすることは、プローブアンテナ108を、フェーズドアンテナアレイ106に対する近距離場箇所に位置決めすることを含み得る。例えば、フェーズドアンテナアレイ106とプローブアンテナ108との間の距離を、送信RF信号(又は放射電磁波)の主波長λ未満、2×λ未満、3×λ未満、又は5×λ未満としてよい。このような配列により、相対的に小さなアンテナ試験室102を使用することを許容することができる。いくつかの場合、ユーザ又は位置決めシステムは、プローブアンテナ108を、フェーズドアンテナアレイ106に対する遠距離場箇所に位置決めすることができる。かかる場合、フェーズドアンテナアレイ106とプローブアンテナ108との間の距離は、例えば、5×λ超過、10×λ超過、又はそれ以外の所定距離超過としてよい。
プローブアンテナ108を位置決めすることは、図2Aに関して上述したように、一つの二重偏波プローブアンテナ108を位置決めすること、又は別々の偏波(例えば一つの水平偏波プローブアンテナ及び一つの垂直偏波プローブアンテナ)を備えた少なくとも2つのプローブアンテナ108を位置決めすることを含み得る。例えば、ユーザ又は位置決めシステムは、図2Aに関して上述したように、別々に偏波される一対のアンテナ108−1及び108−2、又は複数のそのような対を、位置決めすることができる。図2Aのプローブアンテナ108−1及び108−2のような、二重偏波プローブアンテナ108又は一対の別々の偏波のプローブアンテナを使用することにより、フェーズドアンテナアレイ106の共偏波及び交差偏波の応答又は性能の評価を許容することができる。
プローブアンテナ108を位置決めすることは、図1に関して上述したように、複数のプローブアンテナ108を、フェーズドアンテナアレイ106に対して異なる位置に位置決めすることを含み得る。複数のプローブアンテナは、図2Bを参照して上述されたように、それぞれが別々の動作中心周波数f1,f2,…,fnに関連付けられた一以上のnタプルを含み得る。様々な中心周波数で動作する複数のプローブアンテナを使用することにより、フェーズドアンテナアレイ106の性能パラメータを、相対的に広い周波数帯域にわたって評価することが許容される。例えば、一つのプローブアンテナ108が使用されるとき、フェーズドアンテナアレイ106の試験は、当該プローブアンテナ108の動作周波数帯域に拘束される。いくつかの場合、プローブアンテナ108及び/又はフェーズドアンテナアレイ106は、図2Cに関して上述されたように動くべく構成することができる。
方法300は、送信アンテナに複数の電磁波を順次放射させること(ブロック304)を含み得る。アンテナ試験制御システム104は、送信アンテナに複数の電磁波のそれぞれを、例えば試験スケジュールに従って放射させる命令を、送信アンテナ(フェーズドアンテナアレイ106又はプローブアンテナ108)に送ることができる。アンテナ試験制御システム104は、各電磁波が送信アンテナにより放射されるように別個の命令若しくは指令を送ること、又は送信アンテナに対して特定の時間スケジュールに従って電磁波を送信若しくは放射するように指令する一つの命令を送ることができる。複数の電磁波は、一つの送信RF信号又は複数の別々の送信RF信号(例えば、別々の帯域幅又は中心周波数に関連付けられた送信RF信号)に対応し得る。例えば、複数の電磁波を放射することは、送信アンテナが一つの送信RF信号を複数の時間インスタンスで繰り返し送信すること、一つの送信RF信号の時間シフトバージョンを複数の時間インスタンスで送信すること、又は別々の送信RF信号を複数の時間インスタンスで送信すること、を含み得る。一般に、アンテナ試験制御システム104は、送信アンテナにより送信される送信RF信号、各電磁波の放射時間、当該複数の電磁波が送信される順序、又はこれらの組み合せを制御することができる。
送信アンテナとして作用する複数のプローブアンテナ108が(例えば図1、2A及び2Bに関して説明したように)使用される場合、プローブアンテナ108の送信は、同時に又は一回に一つずつ順次にすることができる。さらに、(例えば図2Cに関して述べたような)動くプロービングアンテナ108が送信アンテナとして使用される場合、プローブアンテナ108は、一の箇所に存在する間に一以上の送信を行い、他の箇所へと動いて一以上の他の送信を行い、その後第3の箇所へと動いて等というようにすることができる。プローブアンテナ108は、動いている間に電磁波を送信(又は放射)することができる。アンテナ試験制御システム104は、電磁波が送信アンテナにより放射され又は受信アンテナにより受信される各インスタンスにおいて、動くプローブアンテナ108の箇所(又は動くフェーズドアンテナアレイ106の箇所)にアクセスすることができる。
方法300は、フェーズドアンテナアレイ106を、複数の電磁波の各電磁波の送信中に、対応構成スキームに従って動作させること(ブロック306)を含み得る。各構成スキームは、アクティブにされるべきフェーズドアンテナアレイ106のアンテナ素子112(例えばアンテナ素子112のすべて又はサブセット)、各アンテナ素子に適用されるべき位相シフト(又は時間遅延)、各アンテナ素子112に適用されるべき電力増幅、又はこれらの組み合せ、を示すことができる。各構成スキームは、送信アンテナが放射する対応電磁波に関連付けることができる。アンテナ試験制御システム104は、(例えば送信アンテナが対応電磁波を放射する前に)適用されるべき各構成スキームのための別個の命令をフェーズドアンテナアレイ106に送ることができ、又は当該複数の構成スキーム及び当該構成スキームのそれぞれが適用される時間スケジュールを示す一つの命令を送ることができる。
フェーズドアンテナアレイ106が送信アンテナとして動作する場合、フェーズドアンテナアレイ106は、対応電磁波を放射する前に各構成スキームを適用又は実装することができる。例えば、フェーズドアンテナアレイ106は、送信RF信号の指示及び構成スキームの指示を受信することができる。フェーズドアンテナアレイ106は、構成スキームを(例えば一以上のアンテナ素子112をアクティブにすること、一以上のアンテナ素子112に対応位相シフト若しくは時間遅延を適用すること、一以上のアンテナ素子112に対応電力増幅を適用すること、又はこれらの組み合せにより)適用し、アクティブなアンテナ素子112のそれぞれによって当該送信RF信号を送信することができる。フェーズドアンテナアレイ106が放射又は送信する電磁波は、アクティブなアンテナ素子112が放射/送信する当該波の合計となり得る。フェーズドアンテナアレイ106はその後、他の構成スキームを適用して、今回のアクティブなアンテナ素子112のそれぞれが同じ(又は他の)送信RF信号を送信するときに新たな電磁波を放射することができる。フェーズドアンテナアレイ106は、各電磁波が送信/放射されるように異なる構成スキームを適用することができる。
フェーズドアンテナアレイ106が受信アンテナとして動作する場合、フェーズドアンテナアレイ106は、プローブアンテナ108が対応電磁波を放射する前に(又は間に)各構成スキームを適用又は実装することができる。例えば、アンテナ試験制御システム104は、(例えば送信RF信号の指示を与えることによって)電磁波を送信又は放射するようにプローブアンテナ108に指示するとともに、構成スキームを適用するようにフェーズドアンテナアレイ106に指示することができる。フェーズドアンテナアレイ106は、プローブアンテナ108による電磁波の送信又は放射の前に、(例えば一以上のアンテナ素子112をアクティブにすること、一以上のアンテナ素子112に対応位相シフト又は時間遅延を適用すること、一以上のアンテナ素子112に対応電力増幅を適用すること、又はこれらの組み合せによって)構成スキームを適用することができる。フェーズドアンテナアレイ106(又はアクティブなアンテナ素子108)は、放射された電磁波を、適用された構成スキームに従って動作している間に受信することができる。フェーズドアンテナアレイ106はその後、プローブアンテナ108が放射又は送信した他の電磁波を受信するべく他の構成スキームを適用することができる。このプロセスは、毎回フェーズドアンテナアレイ106が適用する異なる(又は別個の)構成スキームによって繰り返すことができる。プローブアンテナ108は、(例えば送信RF信号に対応する)同じ電磁波を繰り返して放射又は送信することができる。換言すれば、プローブアンテナ108が送信する複数の電磁波は、異なる時間インスタンスにおける同じ送信RF信号の複数回送信を含み得る(又は表し得る)。
複数の電磁波の各電磁波の送信中に、フェーズドアンテナアレイ106を対応構成スキームに従うように動作させることは、複数のアンテナ素子112を、各アンテナ素子が当該複数の電磁波の対応電磁波の送信中にアクティブにされるように、一回に一つずつアクティブにすることを含み得る。各構成スキームは、アクティブにされるべきフェーズドアンテナアレイ106の複数のアンテナ素子の対応アンテナ素子112を示すことができる。例えば、フェーズドアンテナアレイ106は、送信アンテナとして動作するときに第1アンテナ素子112をアクティブにし、アクティブにされた第1アンテナ素子112に、アンテナ素子112のリセットがアクティブ解除にされている間に送信RF信号を送信させることができる。フェーズドアンテナアレイ106はその後、(第1アンテナ素子112をアクティブ解除にしている間に)第2アンテナ素子112をアクティブにし、第2アンテナ素子112に送信RF信号(又は他の送信RF信号)を送信させることができる。フェーズドアンテナアレイ106は、例えば、フェーズドアンテナアレイ106のすべてのアンテナ素子112がアクティブにされて送信RF信号を送信し終えるまで、続けてアンテナ素子112を一回に一つずつアクティブにし、アクティブにされたアンテナ素子112に、送信RF信号(又は対応送信RF信号)を送信させることができる。
フェーズドアンテナアレイ106は、受信アンテナとして動作するとき、(例えばアンテナ試験制御システム104からの命令又は指令に基づいて)アンテナ素子112をアクティブにし、アクティブにされたアンテナ素子112に、プローブアンテナ108が放射した第1電磁波を受信させることができる。フェーズドアンテナアレイ106はその後、(先にアクティブにされたアンテナ素子112をアクティブ解除にしている間に)他のアンテナ素子112をアクティブにし、今回アクティブにされたアンテナ素子112に、プローブアンテナ108が放射した第2電磁波を受信させることができる。フェーズドアンテナアレイ106は、例えば、フェーズドアンテナアレイ106のすべてのアンテナ素子112がアクティブにされるまで、アンテナ素子112を一回に一つずつアクティブにし、それぞれのアクティブにされたアンテナ素子112に、プローブアンテナ108が放射した電磁波を受信させることができる。
複数の電磁波の各電磁波の送信中に、フェーズドアンテナアレイ106を対応構成スキームに従うように動作させることは、フェーズドアンテナアレイ106が(例えばアンテナ試験制御システム104からの命令又は指令に基づいて)複数のアンテナ素子112を、各電磁波の送信中に、それぞれの位相符号化スキームに従って位相操舵することを含み得る。各位相符号化スキームは、対応電磁波の送信中に複数のアンテナ素子112に適用される位相シフトの対応セット(又は時間遅延の対応セット)を定義することができる。すなわち、各位相符号化スキームは、各アンテナ素子112に対し、当該アンテナ素子112が動作することとなる対応位相シフト(又は対応時間遅延)を定義することができる。各位相符号化スキームはまた、対応電磁波の送信中に複数のアンテナ素子112に適用される一セットの電力増幅を定義することもできる。すなわち、各位相符号化スキームは、各アンテナ素子112に対し、当該アンテナ素子112が動作することとなる対応電力増幅を定義することができる。
例えば、フェーズドアンテナアレイ106は、送信アンテナとして動作するとき、アンテナ素子112を第1位相符号化スキームに従うように位相操舵し、当該アンテナ素子112に、第1位相符号化スキームに従って動作している間に送信RF信号を送信させることができる。このように、アンテナ素子112は、送信RF信号の様々な時間遅延(又は位相シフト)バージョンを同時に送信することができる。これらのバージョンは合計されて、フェーズドアンテナアレイにより放射される電磁波を形成する。フェーズドアンテナアレイ106は、第2位相符号化スキームに従ってアンテナ素子112を位相操舵し、当該アンテナ素子112に、第2位相符号化スキームに従って動作している間に送信RF信号(又は他の送信RF信号)を送信させることができる。フェーズドアンテナアレイ106は、すべての位相符号化スキームがアンテナ素子112に適用されるまで、続けてアンテナ素子112を位相操舵し、当該アンテナ素子112に送信RF信号を送信させることができる。送信RF信号の送信時に様々な位相符号化スキームを適用することにより、フェーズドアンテナアレイ106は、複数の電磁波を順次に放射することができる。フェーズドアンテナアレイ106が放射する電磁波は、例えば、別々の位相符号化スキームがアンテナ素子112に適用される場合、互いに異なり得る。
フェーズドアンテナアレイ106は、受信アンテナとして動作するとき、プローブアンテナ108が放射する電磁波を受信するべく、第1位相符号化スキームに従ってアンテナ素子112を位相操舵することができる。異なる位相シフト(又は時間遅延)が別個のアンテナ素子112に適用できるとの前提のもと、すべてのアンテナ素子112が(プローブアンテナ108が放射する)同じ電磁波にさらされている間、アンテナ素子112は、電磁波(又は対応RF信号)の、異なる位相シフト(又は時間遅延)バージョンを受信することができる。フェーズドアンテナアレイ106は、プローブアンテナ108が放射する他の電磁波を受信するべく、第2位相符号化スキームに従ってアンテナ素子112を位相操舵することができる。フェーズドアンテナアレイ106は、プローブアンテナ108が順次に放射した複数の電磁波を受信するべく、(例えば所定のセットの符号化スキームの)すべての位相符号化スキームが順次にアンテナ素子112に適用されるまで、続けてアンテナ素子112を位相操舵することができる。プローブアンテナ108が順次に放射した複数の電磁波は、プローブアンテナ106が繰り返し送信した一つの送信RF信号に関連付けることができ、又は別々の送信RF信号に関連付けることもできる。
いくつかの例において、複数の電磁波の各電磁波の送信中に、フェーズドアンテナアレイ106を対応構成スキームに従うように動作させることは、複数のアンテナ素子112の一群のアンテナ素子をアクティブにして当該アクティブにされた群のアンテナ素子を位相操舵することを含み得る。例えば、(送信アンテナ又は受信アンテナのいずれかとして動作する)フェーズドアンテナアレイ106は、複数のアンテナ素子112を一群(例えば一ブロックのアンテナ素子)として一度にアクティブにすることができる。フェーズドアンテナアレイ106は、アクティブにされた各群のアンテナ素子に、対応する複数の位相符号化スキームを順次に適用することができる。例えば、4つの別々の位相符号化スキームを、一群の4つのアクティブにされたアンテナ素子112に順次に適用することができる。各符号化スキームは、対応群のアクティブなアンテナ素子の当該アンテナ素子に適用される位相シフト(又は時間遅延)及び/又は電力増幅を定義する。各構成スキームは、アクティブにされるべき一群のアンテナ素子と、当該一群のアンテナ素子に適用されるべく位相符号化スキームとを定義することができる。各構成スキームが、アクティブにされるべき対応群(又はブロック)のアンテナ素子と当該群のアクティブなアンテナ素子に適用されるべき対応位相符号化スキームとを定義するこのアプローチにより、複数ブロックのアンテナ素子を別個に試験することが許容される。
方法300は、受信アンテナ(フェーズドアンテナアレイ106又はプローブアンテナ108)が、送信アンテナが放射する各電磁波に応答して対応受信RF信号を受信すること(ブロック308)を含み得る。フェーズドアンテナアレイ106が受信アンテナとして動作するとき、受信RF信号は、アクティブなアンテナ素子112が受信する信号の合計となり得る。例えば、アンテナ素子112が一回に一つずつアクティブにされる場合、各受信RF信号は、アクティブなアンテナ素子112に関連付けられた任意の位相シフト(時間遅延)値により位相遅延された(又は時間遅延された)対応するアクティブなアンテナ素子が受信する信号、及び/又は当該アクティブなアンテナ素子に関連付けられた振幅/電力増幅値により増幅された信号となり得る。アンテナ素子112が一回に一群ずつアクティブにされる場合、各受信RF信号は、対応アクティブ群のアンテナ素子が受信した信号の、(例えば当該群のアンテナ素子に適用された位相符号化スキームに従って)位相シフトされた(時間遅延された)及び/又は増幅されたバージョンの合計となり得る。別個の位相符号化スキームがすべてのアンテナ素子112に、一回に一つの位相符号化スキームずつ適用されると、各受信RF信号は、フェーズドアンテナアレイ106の複数のアンテナ素子112が受信した信号の(例えば適用される位相符号化スキームに従って)位相シフトされた(又は時間遅延された)及び/又は増幅されたバージョンの合計となり得る。これらの位相シフト(又は時間遅延)及び/又は増幅は、フェーズドアンテナアレイ106のRF増幅器及びフェーズシフタ(又は時間遅延素子)のネットワークによって、又はフェーズドアンテナアレイ106のプロセッサ(又はコントローラ)によって、適用することができる。
フェーズドアンテナアレイ106が送信アンテナとして動作するとき、各受信RF信号は、プローブアンテナアレイ108に関連付けられた任意の振幅/電力増幅により増幅された(フェーズドアンテナアレイ106が放射した対応電磁波に応答して)プローブアンテナ108が受信した信号を表し得る。(例えば図1、2A及び2Bに関して述べたように)受信アンテナとして作用する複数のプローブアンテナ108が使用される場合、プローブアンテナ108は、電磁波を同時に又は順次に(例えば一回に、アクティブにされた一つずつ)受信することができる。さらに、(例えば図2Cに関して述べたような)動くプロービングアンテナ108が受信アンテナとして使用される場合、プローブアンテナ108は、一の箇所に存在する間に一以上の放射電磁波を受信し、他の箇所へと動いて受信一以上の他の波を受信し、その後第3の箇所へと動いて等というようにすることができる。プローブアンテナ108は、動いている間に電磁波を受信することができる。アンテナ試験制御システム104は、電磁波が送信アンテナにより放射され又は受信アンテナにより受信される各インスタンスにおいて、動くプローブアンテナ108の箇所(又は動くフェーズドアンテナアレイ106の箇所)にアクセスすることができる。
方法300は、受信RF信号を使用して、複数のアンテナ素子112の各アンテナ素子112に対し、対応信号応答を決定すること(ブロック310)ができる。アンテナ試験制御システム104は、受信アンテナから複数の受信RF信号を取得することができる。上述したように、複数の受信RF信号のそれぞれは、(送信器として又は受信器として作用する)対応アンテナ素子112、(送信器として又は受信器として作用する)対応群のアクティブなアンテナ素子、及び、当該群のアクティブなアンテナ素子に適用される対応位相符号化スキーム、又は当該フェーズドアンテナアレイの(送信器として又は受信器として作用する)複数のアンテナ素子112に適用される対応位相符号化スキーム、に関連付けることができる。
フェーズドアンテナアレイ106がK個の(Kは整数)アンテナ素子を有することと、N個の(Nは整数)受信RF信号がアンテナ試験制御システム104によって取得されることとを仮定すると、(周波数領域にある)各受信RF信号Yi(ω)は以下のように記述することができる。
整数iは、送信アンテナ(又は受信アンテナ)による信号送信(又は受信)事象の一指標、又は受信RF信号の一指標を表す。整数kは、フェーズドアンテナアレイ106のアンテナ素子112の一指標を表す。信号X(ω)は、送信アンテナが使用する(周波数領域にある)送信RF信号を表す。ωは角度周波数である。パラメータWi,kはそれぞれが、k番目のアンテナ素子に関連付けられて、例えば、i番目の送信/受信事象中に適用された位相符号化スキームによって定義された複素重みパラメータとなる。例えば、複素重みパラメータWi,kは、i番目の送信/受信事象中にk番目のアンテナ素子により送信又は受信された信号に対し、フェーズドアンテナアレイ106により適用される時間遅延(又は位相シフト)及び/又は電力増幅を示すことができる。ここで使用されるように、送信又は受信事象とは、送信アンテナ(又は受信アンテナ)による電磁波の送信(又は受信)を言及する。すべてのk=1,…,K及びすべてのi=1,…,Nに対する複素重みパラメータWi,kは、これらのパラメータが、様々な送信/受信事象中にフェーズドアンテナアレイ106に適用される構成スキーム(又は位相符号化スキーム)において所定とされるので、アンテナ試験制御システム104にとって既知である。各パラメータAkは、k番目のアンテナ素子に関連付けられて、k番目のアンテナ素子とフェーズドアンテナアレイとの間の距離、送信若しくは受信の方向におけるプローブアンテナ108の利得、送信若しくは受信の方向におけるk番目のアンテナ素子の利得、又はこれらの組み合せ、に起因する位相シフト及び信号減衰を示すことができる複素重みパラメータとなる。例えば、複素重みパラメータAkは、i番目の送信/受信事象中にk番目のアンテナ素子が送信又は受信する信号に対し、フェーズドアンテナアレイ106により適用される時間遅延(又は位相シフト)及び/又は電力増幅を示すことができる。k=1,…,Kに対する複素重みパラメータAkは、式(1)のセットにおいて未知である。
式(1)のセットにおける定式化は、各受信RF信号Yi(ω)が、周波数領域において送信RF信号X(ω)の加重和として表現できることを例示する。送信/受信事象のそれぞれにおいてフェーズドアンテナアレイ106により適用される別々の位相符号化スキームを備えたフェーズドアンテナアレイ106のすべてのアンテナ素子112がアクティブにされる場合、複素重みパラメータAkは、すべてのk=1,…,Kに対して非ゼロとなり、複素重みパラメータWi,kは、すべてのi=1,…,N及びすべてのk=1,…,Kに対して非ゼロとなる。アンテナ素子112が一回に一群ずつアクティブにされる場合、式(1)のセットは以下のように書き直すことができる。
ここで、Siは、i番目の送信/受信事象中のアクティブなアンテナ素子の指標のセットを表す。アンテナ素子112が一回に一つずつアクティブにされる場合、式(1)のセットは以下に帰着する。
ここで、整数q(i)は、i番目の送信/受信事象中のアクティブなアンテナ素子の指標を表す。
送信RF信号X(ω)及び複素重みパラメータWi,kは既知であるから、アンテナ試験制御システム104は、フェーズドアンテナアレイ106により適用又は実装される構成スキームのタイプに応じて式(1)、(2)又は(3)のセットのいずれかを使用して複素重みパラメータAkを解くことができる。例えば、式(3)を使用して、アンテナ試験制御システム104は、Aq(i)を以下のように計算することができる。
アンテナ試験制御システム104は、N≧K、かつ、N個の式(1)が線形独立である限りにおいて、複合重みパラメータAkについて式(1)のセットを解くことができる。使用される位相符号化スキームは、式(1)のセットがN≧Kについて線形独立となるように(例えばアンテナ試験制御システム104により)選択又は設計される。式(2)のセットに対し、アンテナ試験制御システム104は、アクティブなアンテナ素子の各群(又はブロック)Siに対する式の数が、当該群(又はブロック)におけるアンテナ素子の数以上となるとの前提のもと、対応群のアクティブにされたアンテナ素子に別個に関連付けられた式の各サブセットを解くことができる。アンテナ素子Siの各群(又はブロック)に関連付けられた位相符号化スキームは、当該群(又はブロック)におけるアンテナ素子の数よりも多くなるように(例えばアンテナ試験制御システム104により)選択又は設計することができるので、(式(2)のセットの中の)対応式が線形独立となる。
ひとたび複素重みパラメータAkが決定されると、アンテナ試験制御システム104は、各アンテナ素子112に対する信号応答を決定することができる。アンテナ試験制御システム104は、各複素重みパラメータAkから、(受信された/送信された電磁波の到着/出発の角度に沿った)プローブアンテナ利得の効果、プローブアンテナとk番目のアンテナ素子との間の電磁波伝播に起因する時間遅延、及びプローブアンテナとk番目のアンテナ素子との間の電磁波伝播に起因する電磁波減衰(もしあれば)、を除去することができる。例えば、アンテナ試験制御システム104が新たなセットの複素重みパラメータBkを、以下のように計算することができる。
ここで、Gp(θ,φ)は、電磁波伝播の角度に沿ったプローブアンテナ108の利得を表し、パラメータρkejωδは、プローブアンテナ108とk番目のアンテナ素子との間の電磁伝播に起因する振幅減衰及び位相シフトを表す。いくつかの例において、振幅減衰パラメータρkは1に等しくなり得る。プローブアンテナ108の放射パターンは、アンテナ試験制御システム104に先立って知ることができる。例えば、プローブアンテナ108の放射パターンを、アンテナ試験制御システム104によりアクセス可能なメモリに格納することができる。アンテナ試験制御システム104は、(指標kの各アンテナ素子に対する)パラメータρkejωδを、プローブアンテナ108とk番目のアンテナ素子との間の距離に基づいて予め計算することができる。
アンテナ試験制御システム104は、各アンテナ素子に対する信号応答をBkX(ω)として決定することができる。フェーズドアンテナアレイ106が送信アンテナとして作用している場合、信号応答BkX(ω)は、k番目のアンテナ素子に関連付けられたフェーズドアンテナアレイ106において重みが(例えば位相シフト及び/又は電力増幅として)適用されていないときの、k番目のアンテナ素子の表面におけるRF信号放射とみなすことができる。複素重みパラメータBkは、k番目のアンテナ素子の位相及び振幅応答を表すものとみなすことができる。それゆえ、各アンテナ素子に対して信号応答を決定することは、各アンテナ素子に対して位相及び振幅応答(又は位相パラメータ及び振幅パラメータ)を決定することを含み得る。複素重みパラメータBkにより定義される位相及び振幅応答は、プローブアンテナ108から、及びフェーズドアンテナアレイ106とプローブアンテナ108との間の距離(又はこれらの位置)から独立である。(例えば位相シフト及び/又は電力増幅のような)複素重みWi,kがフェーズドアンテナアレイ106により適用されるとき、k番目のアンテナ素子の表面におけるRF信号放射は、Wi,kBkX(ω)と等しくなり得る。フェーズドアンテナアレイ106が受信アンテナとして作用している場合、信号応答BkX(ω)は、k番目のアンテナ素子に関連付けられたフェーズドアンテナアレイ106に(例えば位相シフト及び/又は電力増幅のような)任意の重みが適用される前にk番目のアンテナ素子の表面で受信されたRF信号とみなすことができる。
いくつかの例において、例えば、複数のプローブアンテナ108を使用するとき、(式(1)と同様の)付加的な式を定式化することができる。複数のプローブアンテナ108は(図1に関して述べたような)別々の箇所、(図2Aに関して述べたような)別々の偏波、(図2Bに関して述べたような)別々の動作中心周波数、又はこれらの組み合せ、に関連付けることができる。かかる例において、(式(1)のセットと同様の)別個のセットの式を各プローブアンテナ108に対して定式化することができる。したがって、アンテナ試験制御システム104は、複数セットの式を解いて、各アンテナ素子に対して複数の信号応答(又は複数の位相及び振幅応答)を決定することができる。例えば、所与のアンテナ素子に対し、アンテナ試験制御システム104は、各中心周波数に対する及び/又は各偏波(例えば水平偏波及び垂直偏波)に対する信号応答を決定することができる。
方法300は、複数のアンテナ素子112に対して決定された信号応答(又は決定された位相パラメータ及び振幅パラメータ)を使用して、フェーズドアンテナアレイ106の一以上の性能パラメータを決定することができる。例えば、アンテナ試験制御システム104は、決定された振幅/位相応答(又は振幅及び位相パラメータ)を、アンテナ素子112のそれぞれに対してフェーズドアンテナアレイ106の遠距離場応答を決定するべく使用することができる。アンテナ試験制御システム104は、フェーズドアンテナアレイ106の性能パラメータを決定するべく、フェーズドアンテナアレイ106の遠距離場応答を使用することができる。
いくつかの例において、アンテナ試験制御システム104は、フェーズドアンテナアレイ106の遠距離場応答(又は放射パターン)を決定するべく、アンテナ素子の位相/振幅応答、及び平均個別アンテナ素子放射パターン(例えば同様に振る舞う複数のアンテナ素子112を仮定して各アンテナ素子112の放射パターンを表す)を使用することができる。例えば、フェーズドアンテナアレイの遠距離場応答(又は放射パターン)は、アンテナ素子112の位相/振幅応答によりスケーリングされた平均個別アンテナ素子放射パターンの加重和として計算することができる。
図4を参照すると、本開示の発明概念に係る、アンテナ素子112のそれぞれに対してフェーズドアンテナアレイ106の遠距離場応答を振幅/位相応答(又は振幅パラメータ及び位相パラメータ)に基づいて決定するアプローチを例示するブロック図が示される。各アンテナ素子に対して位相/振幅応答を決定することにより、アンテナ試験制御システム104は、フェーズドアンテナアレイまわりの閉じた表面402にわたる電場(又は磁場)及び/又は電流を決定することができる。特に、閉じた表面402にわたる電場(又は磁場)及び/又は電流は、閉じた表面402の、アンテナ素子112に面する(又は前方の)部分404のみにおいて非ゼロとなる。これは、アンテナ素子112が放射する電磁波は、フェーズドアンテナアレイ106の側面又は背面に沿っては伝播しないからである。
表面等価原理(又は表面等価定理)によれば、当該場/電流が、閉じた表面にわたって一意的に既知の場合(例えば電場E、磁場H、磁束密度Bベクトル又は電流密度ベクトルJの2つ)、当該閉じた表面により画定された容量の内側又は外側の至る所の場/電流を、一意的に特定又は決定することができる。したがって、アンテナ試験制御システム104は、例えば、フェーズドアンテナアレイ106の各アンテナ素子112に対して決定された振幅/位相応答に基づいて、閉じた表面402の部分404に基づく電場E及び電流密度Jベクトルを決定することができる。アンテナ試験制御システム104は、電場E及び電流密度Jベクトルを閉じた表面402の残りにおいてゼロに設定することができる。アンテナ試験制御システム104はその後、表面等価原理に従ってフェーズドアンテナアレイ106の遠距離場応答を決定するべく、アンテナ素子112の決定された位相/振幅応答にフーリエ変換を適用することができる。
図5を参照すると、本開示の発明概念に係る、フェーズドアンテナアレイ106のアンテナ素子112の位相/振幅応答を例示するシミュレーション結果の例が示される。各ダイヤモンド形状のセルが、フェーズドアンテナアレイ106の対応アンテナ素子112を表す。
図6を参照すると、本開示の発明概念に係る、図5に示されるアンテナ素子の位相/振幅応答を使用して決定されたフェーズドアンテナアレイ106の遠距離場応答の一例が示される。図6に示される遠距離場応答は、−100〜100度の方位角範囲及び−100〜100度の仰角範囲に沿ったフェーズドアンテナアレイ106の放射パターンを表す。
フェーズドアンテナアレイ106が位相シフト(又は時間遅延)及び/又は電力増幅を、k=1,…,Kに対する複素重みパラメータVk(又はWi,k)により定義されたアンテナ素子112に適用すると、アンテナ試験制御システム104は、これらの複素重みパラメータをアンテナ素子112の位相/振幅応答に、例えばVkBk(又はWi,kBk)として組み入れることができる。閉じた表面402にわたる電場(又は磁場)/電流を、位相/振幅応答VkBk(又はWi,kBk)に基づいて決定することにより、アンテナ試験制御システム104は、k=1,…,Kに対する複素重みパラメータVk(又はWi,k)に従って位相操舵されるときのフェーズドアンテナアレイ106の遠距離場応答(又は放射パターン)を、フーリエ変換を使用して決定することができる。
フェーズドアンテナアレイ106の決定された放射パターンに基づいて、アンテナ試験制御システム104は、フェーズドアンテナアレイの一以上の他の性能パラメータを決定することができる。これには、フェーズドアンテナアレイ利得(例えば共偏波利得及び交差偏波利得)、共偏波フェーズドアンテナアレイ指向性(例えば共偏波指向性及び交差偏波指向性)、フェーズドアンテナアレイビーム幅、放射電力、交差偏波弁別、アンテナ利得対雑音温度、エラーベクトル振幅、隣接チャネル電力比、パルス品質、一以上のサイドローブレベル、信号対雑音比(SNR)、又はこれらの組み合せが含まれる。例えば、アンテナ試験制御システム104は、ピーク位相のアンテナ利得を、フェーズドアンテナアレイ106の放射パターンの(主要ローブにある)ピーク値に基づいて決定することができる。共偏波利得及び交差偏波利得を決定するべく、(図2Aに関して述べた)別々の偏波の2つのプローブアンテナ108を使用することができる。一のプローブアンテナ108が、(例えば双方が水平偏波の)フェーズドアンテナアレイ106と同様に偏波され、他のプローブアンテナが交差偏波(例えばフェーズドアンテナアレイが水平偏波を有するときの垂直偏波)にされる。アンテナ試験制御システム104は、フェーズドアンテナアレイ106の共偏波遠距離場応答及び交差偏波遠距離場応答を決定することができる。アンテナ試験制御システム104は、決定された共偏波遠距離場応答を使用して共偏波利得を決定し、フェーズドアンテナアレイの決定された交差偏波遠距離場応答を使用して交差偏波利得を決定することができる。
アンテナ試験制御システム104は、次式のように指向性を決定することができる。
ここで、F(θ,φ)は、仰角θ及び方位角φに沿ったフェーズドアンテナアレイ106の遠距離場応答を表す。共偏波指向性及び交差偏波指向性を決定するべく、アンテナ試験制御システム104は、フェーズドアンテナアレイ106の共偏波遠距離場応答及びフェーズドアンテナアレイ106の交差偏波遠距離場応答に対して別個に式(6)を評価することができる。
フェーズドアンテナアレイ106のアンテナビーム幅は、半電力ビーム幅又はヌル・ツー・ヌルビーム幅として定義することができる。アンテナ試験制御システム104は、半電力ビーム幅の場合に、放射パターンの振幅が主要ローブのピークから50%(又は3dB)だけ減少する角度分離を決定することができる。アンテナ試験制御システム104は、ヌル・ツー・ヌルビーム幅の場合に、放射パターンの振幅が主要ローブのピークからゼロまで減少する角度分離を決定することができる。アンテナ試験制御システム104は、放射電力を、アンテナ素子112のそれぞれの放射電力の合計として決定することができる。アンテナ試験制御システム104はまた、フェーズドアンテナアレイの決定された放射パターン及び/又はフェーズドアンテナアレイ106の決定された位相/振幅応答(又は位相/振幅パラメータ)を使用して、交差偏波弁別、アンテナ利得対雑音温度、エラーベクトル振幅、隣接チャネル電力比、パルス品質、一以上のサイドローブレベル、及び信号対雑音比(SNR)も決定することができる。
図7を参照すると、本開示の発明概念に係る、フェーズドアンテナアレイを試験する他の方法700を例示するフローチャートが示される。簡単に概観すると、方法700は、フェーズドアンテナアレイ及びアンテナプローブを、一方が送信アンテナとして作用し他方が受信アンテナとして作用するように互いに対する相対位置に位置決めすることと(ブロック702)、当該フェーズドアンテナアレイのアンテナ素子に、当該アンテナプローブと当該アンテナ素子との間の信号伝播時間の差を補償するべく位相シフトを適用することと(ブロック704)を含み得る。方法700は、送信アンテナに一の電磁波を放射させることと(ブロック706)、当該電磁波の放射に応答してRF信号を受信することと(ブロック708)、受信したRF信号を使用してフェーズドアンテナアレイの一以上の性能パラメータを決定することと(ブロック710)を含み得る。
方法700のステップ702は、上述した方法300のステップ302と同様となり得る。方法700はまた、アンテナ試験制御システムが、アンテナプローブ108とアンテナ素子112との間の信号伝播時間の差を補償するべく、フェーズドアンテナアレイ106がアンテナ素子112に位相シフトを適用するようにさせること(ブロック704)を含み得る。すなわち、アンテナ素子112が送信する信号が受信プローブアンテナ108において建設的に合計され、又はアンテナ素子112が受信する信号が受信フェーズドアンテナアレイ106において建設的に合計されるように、位相シフトが適用される。例えば、プローブアンテナと当該アンテナ素子112との間の伝播時間を補償するべく、各アンテナ素子に適用される位相シフト(又は時間遅延)を(例えばアンテナ試験制御システム104により)選択することができる。アンテナプローブ108とアンテナ素子112との間の信号伝播時間の差を補償するべく位相シフトをアンテナ素子112に適用することにより、フェーズドアンテナアレイ106の主要ローブのピークを、プローブアンテナ108に整列させることができる。
方法700のステップ706及び708は、上述した方法300のステップ304及び308と同様であるが、アンテナ試験制御システム104が、共通位相オフセットによりアンテナ素子112に既に適用されている位相シフトを、フェーズドアンテナアレイ106に増加(又は修正)させ、他の送信受信事象を行うことができる。かかる位相オフセットは、フェーズドアンテナアレイ06の主要ローブのピーク(又は主要ローブ)を所定の角度だけ回転させることができる。アンテナ試験制御システム104は、フェーズドアンテナアレイ106の放射パターンをさらに傾斜(又は回転)させるべく、同じ(又は他の)位相オフセット値(又はオフセット較正)によりアンテナ素子112に適用される位相シフト(又は時間遅延)の増加又は修正を繰り返すことができる。例えば、図1に戻ると、オフセット較正により、フェーズドアンテナアレイ106の主要ローブのピーク(又は主要ローブ)が、各オフセット較正による新たな位置点116に整列することができる。かかるアプローチにより、様々な角度において遠距離場応答を決定することを許容することができる。(対応オフセット較正に関連して)各受信RF信号に対し、フェーズドアンテナアレイ106の利得(又は遠距離場応答)は、アンテナ素子の較正された位相に関連付けられた(フェーズドアンテナアレイ106の放射パターンの主要ローブのピークに対する)配向角度に沿って、以下のように決定することができる。
ここで、GAは、配向角度に沿ったフェーズドアンテナアレイの利得(又は遠距離場応答)であり、GRは、基準(又は標準利得)アンテナの同じ配向角度に沿った利得(又は遠距離場応答)であり、PAは、フェーズドアンテナアレイ106の受信電力であり、PRは当該基準アンテナの受信電力である。各配向角度に対する利得GR及び電力PRは、アンテナ試験制御システム104にとって既知(又はアクセス可能)となり得るので、フェーズドアンテナアレイ106の電力PAを、例えば、フェーズドアンテナアレイによる対応受信(又は送信)信号に基づいて、各位相較正(又はフェーズドアンテナアレイ106の放射パターンの配向)に対して計算することができる。したがって、アンテナ試験制御システム104は、位相オフセット較正を適用することによってフェーズドアンテナアレイ106の放射パターンをサンプリングする。
アンテナ試験制御システム104は、フェーズドアンテナアレイ106の放射パターン(又は遠距離場応答)の測定されたサンプルを使用してフェーズドアンテナアレイ106の一以上の性能パラメータを決定することができる。例えば、アンテナ試験制御システム104は、図3に関して上述したように測定された放射パターン(又はそのサンプル)を使用して性能パラメータを決定することができる。性能パラメータは、フェーズドアンテナアレイ利得(例えば共偏波利得及び交差偏波利得)、共偏波フェーズドアンテナアレイ指向性(例えば共偏波指向性及び交差偏波指向性)、フェーズドアンテナアレイビーム幅、放射電力、交差偏波弁別、アンテナ利得対雑音温度、エラーベクトル振幅、隣接チャネル電力比、パルス品質、一以上のサイドローブレベル、信号対雑音比(SNR)、又はこれらの組み合せを含む。位相オフセット較正を適用することにより、アンテナ試験制御システム104は、フェーズドアンテナアレイ106の遠距離場応答を、プローブアンテナ108近くの任意の場所でのビーム走査の必然性なしに決定することができる。
図8を参照すると、本開示の発明概念に係るフェーズドアンテナアレイ試験システム800のブロック図が示される。従来の試験システムが、複雑かつ高価な機器とみなされるネットワーク分析器を用いることが典型的なのに対し、システム800は、フェーズドアンテナアレイ804から受信した信号を中間周波数までダウンコンバートする第1低雑音ブロック(LNB)ダウンコンバータ802(例えば回路)を含み得る。システム800は、第1DVB−T USBデバイス806及びコンピューティングデバイス808を含み得る。第1DVB−T USBデバイス806は、第1(LNB)ダウンコンバータ802をコンピューティングデバイス808に結合することができる。
コンピューティングデバイス808は、例えば、ラップトップ、デスクトップ、ハードウェアサーバ、タブレット、携帯型デバイス、又はプリント回路基板を含み得る。コンピューティングデバイス808は、アンテナ試験制御システム104が行う上述したタスク及びプロセス、例えば、フェーズドアンテナアレイの位相操舵を制御及び監視すること、受信RF信号を処理すること、フェーズドアンテナアレイの性能パラメータを決定すること、又はこれらの組み合せ、を行うように(例えば実行可能ソフトウェア命令を介して)構成することができる。コンピューティングデバイス808は、第2DVB−T USBデバイス810及び第2低雑音ブロック(LNB)ダウンコンバータ812(例えば回路)を介してプローブアンテナ814に通信可能に結合することができる。第2低雑音ブロック(LNB)ダウンコンバータ812は、プローブアンテナ814が取得した受信信号を中間周波数までダウンコンバートすることができる。
システム800は、例えば、ベース帯域送信RF信号を生成する信号生成器回路816を含み得る。信号生成器回路816は、例えば、コンピューティングデバイス808から命令を受信するべく、及び/又は生成されたベース帯域送信RF信号の複製をコンピューティングデバイス808に与えるべく、コンピューティングデバイス808に通信可能に結合することができる。信号生成器回路(又はデバイス)816は、アップコンバータブロック(又は回路)818を介して送信アンテナ(フェーズドアンテナアレイ804又はプローブアンテナ814)に通信可能に結合することができる。アップコンバータブロック816は、信号生成器回路816が与えた信号を中間(又は高)周波数までアップコンバートし、アップコンバートされた信号を送信アンテナに与えることができる。
図9を参照すると、開示の発明概念に係る他のフェーズドアンテナアレイ試験システム900のブロック図が示される。システム900は、システム800と同様であるが、システム800におけるコンピューティングデバイス808が、フェーズドアンテナアレイ904に通信可能に結合されたUSBハブ902によって置換され、当該フェーズドアンテナアレイが、システム800におけるコンピューティングデバイス808が行うタスク又は動作を行うように構成されたプロセッサ906を含む点が異なる。具体的に、プロセッサ906は、(例えば実行可能ソフトウェア命令を介して)上述したような、アンテナ試験制御システム104が行うタスク及びプロセス、例えばフェーズドアンテナアレイ904の位相操舵を制御及び監視すること、受信RF信号を処理すること、フェーズドアンテナアレイ904の性能パラメータを決定すること、又はこれらの組み合せ、を行うように構成することができる。
システム及び方法の構造及び配列が図示例としてここに記載されるが、これらを制限として解釈してはならない。本開示においてわずかな数の実施形態のみが開示されたが、多くの修正例(例えば、様々なサイズ、寸法、構造、様々な要素の形状及び比率、パラメータの値、取り付け配列、材料の使用、色、配向)も可能である。例えば、要素の位置を反転又は変更することができ、個々の要素又は位置の性質又は数は、改変又は変更することができる。したがって、そのような修正はすべて、ここに開示される本発明概念の範囲内に含まれることが意図される。任意の動作フロー又は動作方法の順序又はシーケンスは、代替実施形態に従って変更又は再順序付けしてよい。典型的な実施形態の設計、動作条件及び配列において、ここに開示される本発明概念の広い範囲から逸脱することなく、他の置換、修正、変更及び省略を行うこともできる。