JP2019129147A - 非水電解質電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】繰り返しの充電が可能であり、かつ高温環境下での貯蔵特性が良好な非水電解質電池の提供。【解決手段】本発明の非水電解質電池は、リチウム、リチウム合金、リチウムと合金化可能な元素および前記元素を含む化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の負極活物質を含有した負極12と、正極11とがセパレータ13を介して重ねられた電極体と、非水電解質とを有し、前記セパレータは、熱可塑性樹脂を主体とする多孔質膜(I)の両面に、耐熱温度が150℃以上のフィラーを主体として含む多孔質層(II)とを有していることを特徴とする。【選択図】図2

Description

本発明は、繰り返しの充放電が可能で、貯蔵特性と低温放電特性が良好な非水電解質電池に関するものである。
非水電解質電池は、高容量、高電圧などの特性を生かして、種々の用途に利用されている。特に近年では電気自動車の実用化などに伴い、車載用の非水電解質電池の需要が伸びている。
非水電解質電池の車載用途としては、電気自動車のモーターの駆動電源への適用が主である一方で、それ以外への適用も進められている。例えば、現在、車両が事故などに遭遇した際に、それを関係各所へ通報するための緊急通報システムの開発が進行中であるが、その電源として、非水電解質電池の適用が検討されている。
そのようなシステムは、実際に作動する機会が限られているものの、緊急時に確実に作動することが必要とされる。そのため、電源となる電池には、長期にわたって貯蔵しても、その特性を良好に維持できる信頼性が要求される。そこで、こうした用途には、電子機器の電源として汎用されている非水電解質二次電池よりも貯蔵特性が良好で、数年以上の長期にわたって貯蔵しても、容量低下がほとんどない非水電解質一次電池が利用されている。
前記非水電解質一次電池の負極活物質には、Li(金属リチウム)や、Li−Al(リチウム−アルミニウム)合金などのリチウム合金が用いられているが、非水電解質二次電池においても、負極活物質としてリチウム合金を用いることができるため、リチウムを吸蔵、放出可能な金属とリチウムの吸蔵、放出能力のない異種金属とのクラッド材を用いて負極を構成することにより、電池特性の安定化を実現することも提案されている(特許文献1、2)。さらには、Li、Li合金、Liと合金化可能な元素および前記元素を含む化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の負極活物質を含有した前記負極と、非水電解質としてリン酸化合物を8質量%以下の範囲で含有した非水電解質電池(特許文献3)やLi−Al合金を含有する負極と、正極のバインダとしてイミド系バインダまたはアミド系バインダを含有した非水電解液電池が提案されている(特許文献4)。
一方、電池が高温下に曝されたときにセパレータが収縮することによる内部短絡を抑制するために、耐熱性の高いセパレータが種々提案されており、例えば特許文献5および6においては、それぞれ異なる無機微粒子をポリオレフィン膜の両面に積層したセパレータが提案されている。また、特許文献7には、200℃における熱収縮率が10%未満である非水電解質電池用セパレータが提案されている。
特開平8−293302号公報 国際公開第WO2016/039323号公報 国際公開第WO2017/002981号公報 特開2017−73834号公報 特開2011−65849号公報 特開2011−65850号公報 特開2012−49052号公報
一般には、前記のようなシステムを車両に搭載する場合、電池が高温環境下に曝される可能性が高く、電池に優れた耐熱性が要求されることになるが、一方、車両が寒冷地で使用されることもあり、高温環境下に長時間置かれた後においても特性劣化が少なく、低温環境下で良好な負荷特性を発揮できる電池が必要とされる。
また、車載用の電池には、高温環境下で長期にわたって貯蔵されても十分な出力特性を維持でき、かつこうした貯蔵を経た後に低温環境下に置かれても、良好に放電し得るような貯蔵特性を確保することへ要請が強く、電池構成の更なる改良が望まれている。前述のように車両緊急通報システムにおいては、非水電解質一次電池が電源として用いられている一方で、メンテナンスの容易さなどの理由から数十回程度の充放電が可能な二次電池の適用要請がある。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、繰り返しの充放電が可能であり、かつ高温環境下での貯蔵特性および低温放電特性が良好な非水電解質電池を提供することにある。
前記目的を達成し得た本発明の非水電解質電池は、リチウム、リチウム合金、リチウムと合金化可能な元素および前記元素を含む化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の負極活物質を含有した負極と、正極とがセパレータを介して重ねられた電極体と、非水電解質とを有する非水電解質電池であって、前記セパレータは熱可塑性樹脂を主体とする多孔質膜(I)の両面に、耐熱温度が150℃以上のフィラーを主体として含む多孔質層(II)を有していることを特徴とするものである。
本発明によれば、繰り返しの充放電が可能であり、かつ高温環境下での貯蔵特性および低温放電特性が良好な非水電解質電池を提供することができる。
本発明の非水電解質電池に使用される負極(負極前駆体)の一例を模式的に表す断面図である。 本発明の非水電解質電池の一例を模式的に表す部分縦断面図である。 図2の斜視図である。
以下、本発明の非水電解質電池について、詳細に説明する。
<負極>
非水電解質電池の負極には、Li(金属Li)、Li合金、Liと合金化可能な元素および前記元素を含む化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の負極活物質を含有するものが使用される。
(Liを負極活物質とする負極)
負極活物質をLiとする場合には、例えば、Li箔をそのまま負極としてもよく、また、集電体の片面もしくは両面にLi箔を貼り付けた構造の負極としてもよい。
集電体を使用する場合、その集電体には、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、ステンレス鋼などを素材とするものが挙げられ、その形態としては、平織り金網、エキスパンドメタル、ラス網、パンチングメタル、金属発泡体、箔(板)などが例示できる。集電体の厚みは、例えば、10〜50μmであることが好ましく、40μm以下であることがより好ましい。
(Li合金を負極活物質とする負極)
負極活物資として使用可能なLi合金としては、Li−Al合金が挙げられる。
負極活物質をLi−Al合金とする場合には、例えば、表面にLi−Al合金が形成されたAl箔(Al合金箔を含む。以下同じ。)を負極として使用できる。また、Al箔などで構成されるAl層(Alを含む層)の表面にLi−Al合金を形成するためのLi層(Liを含む層)を圧着するなどして積層した積層体を使用し、この積層体を電池内で非水電解質と接触させることで、前記Al層の表面にLi−Al合金を形成させて負極とすることもできる(非水電解質電池内でLi−Al合金を有する負極を形成する第1の方法)。このような負極の場合、Al層の片面のみにLi層を有する積層体を用いてもよく、Al層の両面にLi層を有する積層体を用いてもよい。前記積層体は、例えば、Al箔と金属Li箔(Li合金箔を含む。以下同じ。)とを圧着することで形成することができる。
更に、負極には、Al箔などで構成されるAl層を有する負極前駆体を使用し、この負極前駆体を用いて組み立てた電池を充電することで、Al層の表面にLi−Al合金を形成させて負極とすることもできる(非水電解質電池内でLi−Al合金を有する負極を形成する第2の方法)。すなわち、負極前駆体に係るAl層の少なくとも表面側のAlを、電池の充電によって非水電解質中のLiイオンと電気化学的に反応させることにより、少なくとも表面側にLi−Al合金が形成された負極とすることも可能である。このような負極は、例えばリチウムイオン二次電池の正極活物質として使用されるLiを含有する金属酸化物を正極とし、充電時に正極から溶出したLiイオンを前記負極のAl層の表面に析出させることで作製できる。
Li−Al合金を負極活物質とする負極にも集電体を使用することもできる。あらかじめ表面にLi−Al合金が形成されたAl箔を負極に使用する場合には、Al箔の、Li−Al合金が形成されていない側の表面に集電体となる金属箔や金属網などを圧着すればよい。
また、電池内でLi−Al合金を形成して負極とする場合、Li層を有する積層体を使用するときには、例えば、負極集電体の片面にAl層を有し、かつAl層の負極集電体とは反対側の面にLi層を有する積層体を用いてもよく、負極集電体の両面にAl層を有し、かつ各Al層の負極集電体とは反対側の面にLi層を有する積層体を用いてもよい。更に、負極前駆体を用いて組み立てた電池を充電することでLi−Al合金を形成して負極とする場合では、例えば、負極集電体の片面にAl層を有する積層体を負極前駆体として用いてもよく、負極集電体の両面にAl層を有する積層体を負極前駆体として用いてもよい。負極集電体とAl層(Al箔)とは、圧着などにより積層すればよく、銅やニッケルなどで構成された負極集電体(金属箔)とAl層(Al箔)とのクラッド材などの、Li−Al合金を形成するためのAl金属層と集電体として作用する金属基材層との接合体(積層金属箔など)を用いることもできる。
負極を形成するための前記積層体および前記負極前駆体に係るAl層の厚み(ただし、集電体を使用する場合であって、その集電体の両面にAl層を設ける場合は、片面あたりの厚み)は、10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましく、30μm以上であることが更に好ましく、また、150μm以下であることが好ましく、70μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることが更に好ましい。
負極を形成するための前記積層体に係るLi層の厚み(ただし、集電体を使用する場合であって、その集電体の両面にAl層を設け、各Al層の表面にLi層を設ける場合や、集電体を使用せずにAl層の両面にLi層を設ける場合には、片面あたりの厚み)は、20μm以上であることが好ましく、30μm以上であることがより好ましく、また、80μm以下であることが好ましく、70μm以下であることがより好ましい。
Li合金を負極活物質とする負極における集電体には、Liを負極活物質とする負極に使用可能な集電体として先に例示したものと同じものを用いることができる。
なお、Li−Al合金を形成するためのAl金属層(Al箔など)と、集電体として作用するLiと合金化しない金属基材層(Cu箔など)とをあらかじめ接合して用い、更に、そのAl金属層の表面にLi層(Li箔など)を積層させ、前記Li層のLiと前記Al金属層のAlとを反応させる方法、あるいは、前記Al金属層と前記金属基材層との接合体をそのまま電池の組み立てに用い、組み立て後の充電によって、前記Al金属層のAlを非水電解質中のLiイオンと電気化学的に反応させる方法などにより、前記Al金属層の少なくとも表面側をLi−Al合金とし、前記金属基材層の表面にLi−Al合金を含むAl活性層が接合された負極とすることで、例えば、集電体となる金属箔などとAl箔とを単に重ねて形成した負極を使用した場合に比べて、非水電解質電池の貯蔵時の内部抵抗の増大をより抑えることができる。
前記Al金属層と前記金属基材層との接合体を用いて、前記第1の方法で負極を形成する場合、Liと合金化しない金属基材層(以下、単に「基材層」という)とAl金属層(以下、単に「Al層」という)とを接合して形成した積層金属箔の、Al層の表面に、Li箔を貼り合わせるなどの方法によってLi層が形成された積層体を使用する。
前記基材層は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、鉄(Fe)などの金属、またはそれら元素と他の元素との合金(ただし、ステンレス鋼などの、Liと反応しない合金)により構成することができる。具体的には、前記金属または合金の箔や蒸着膜、めっき膜などにより構成される。
前記Al層は、純Al、または、強度の向上などを目的とする添加元素を有するAl合金により構成することができ、具体的には、それらの箔や蒸着膜、めっき膜などにより構成される。
前記Li層の形成には、前記Al層の表面にLi箔を貼り合わせる方法や、蒸着膜を形成する方法などを用いることができる。
図1に、本発明の非水電解質電池に使用される負極を形成するための積層体(負極前駆体)の一例を模式的に表す断面図を示している。図1の負極前駆体100は、基材層101aの両面にAl層101b、101bを接合して構成した積層金属箔101の、Al層101b、101bの表面に、Li箔102、102が貼り合わされて形成された積層体である。
前記の負極前駆体を用いて負極を形成する非水電解質電池では、非水電解質の共存下でLi箔のLiとAl層のAlとが反応して、Al層のLi箔が貼り合わされた側(セパレータ側)の表面にLi−Al合金が形成され、Al活性層に変化する。すなわち、前記負極のAl活性層の少なくとも表面側(Li箔側)には、非水電解質電池内で形成されたLi−Al合金が存在する。
基材層とAl層とを接合して形成した積層金属箔においては、基材層の片面にAl層を接合してもよく、また、図1に示すように基材層の両面にAl層を接合していてもよい。そして、基材層とAl層とを接合して形成した積層金属箔と、Li箔とが貼り合わされて形成された積層体においては、基材層の片面にAl層が接合している場合には、そのAl層の表面(基材層と接合していない面)にLi箔を貼り合わせればよく、図1に示すように基材層の両面にAl層が接合している場合には、両方のAl層の表面(基材層と接合していない面)にLi箔を貼り合わせればよい。
なお、基材層の両面にAl層を接合し、かつ両方のAl層の表面側でLi−Al合金の形成を行った場合には、基材層の片面にAl層を接合し、そのAl層の表面側でLi−Al合金の形成を行う場合に比べて、負極の変形(湾曲など)や、それに伴う電池の特性劣化を更に抑制することが可能となる。
以下では、基材層がNi(Ni箔)である場合を例示して説明するが、基材層がNi以外の材料である場合も同様である。
Ni層とAl層とを接合して形成した積層金属箔としては、Ni箔とAl箔とのクラッド材、Ni箔上にAlを蒸着してAl層を形成した積層膜などが挙げられる。
Ni層とAl層とを接合して形成した積層金属箔に係るNi層としては、Ni(および不可避不純物)からなる層や、合金成分としてジルコニウム(Zr)、クロム(Cr)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、鉄(Fe)、ケイ素(Si)、リン(P)などを合計で20質量%以下の量で含み、残部がNiおよび不可避不純物であるNi合金からなる層などが挙げられる。
また、Ni層とAl層とを接合して形成した積層金属箔に係るAl層としては、Al(および不可避不純物)からなる層や、合金成分として鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、バナジウム(V)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)などを合計で50質量%以下の量で含み、残部がAlおよび不可避不純物であるAl合金からなる層などが挙げられる。
Ni層とAl層とを接合して形成した積層金属箔においては、負極活物質となるLi−Al合金の割合を一定以上とするために、Ni層の厚みを100としたときに、Al層の厚み(ただし、Ni層の両面にAl層を接合させる場合には、片面あたりの厚み。以下同じ。)は、20以上であることが好ましく、50以上であることがより好ましく、70以上であることが特に好ましい。また、集電効果を高め、Li−Al合金を十分に保持するために、Ni層とAl層とを接合して形成した積層金属箔において、Ni層の厚みを100としたときに、Al層の厚みは、180以下であることが好ましく、150以下であることがより好ましく、120以下であることが特に好ましく、100以下であることが最も好ましい。
なお、Ni層の厚みは、10〜50μmであることが好ましく、40μm以下であることがより好ましい。また、Al層の厚み(ただし、Ni層の両面にAl層を接合させる場合には、片面あたりの厚み)は、5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましく、15μm以上であることが特に好ましく、一方、150μm以下であることが好ましく、70μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることが特に好ましい。
Ni層とAl層とが接合して形成された積層金属箔の厚みは、負極の容量を一定以上とするために、50μm以上であることが好ましく、60μm以上であることがより好ましく、また、正極活物質との容量比を適切な範囲とするために、200μm以下であることが好ましく、150μm以下であることがより好ましく、120μm以下であることが特に好ましい。
なお、基材層を、Ni層に代えてCu層とする場合、そのCu層としては、Cu(および不可避不純物)からなる層や、合金成分としてZr、Cr、Zn、Ni、Si、Pなどを合計で1質量%以下の量で含み、残部がCuおよび不可避不純物であるCu合金からなる層などが挙げられる。Cu層の好適厚み(Cu層の厚みを100とした場合のAl層の好適厚み)やCu層を用いた場合の積層金属箔の好適厚みは、Ni層を用いた場合と同様である。
負極前駆体(基材層とAl層とが接合された積層金属箔で構成された負極前駆体と、前記積層金属箔以外で構成された負極前駆体とを含む)に使用するLi箔としては、Ll(および不可避不純物)からなる箔や、合金成分としてFe、Ni、Co、Mn、Cr、V、Ti、Zr、Nb、Moなどを合計で40質量%以下の量で含み、残部がLiおよび不可避不純物であるLi合金からなる箔などが挙げられる。
また、積層金属箔の表面にLi箔が貼り合わされて形成された前記の積層体を負極前駆体として用いて負極のAl活性層を形成する方法以外に、前記積層金属箔をそのまま負極前駆体として使用して電池を組み立て、組み立て後の電池を充電する前記第2の方法によっても、負極を構成するAl活性層を形成することができる。
すなわち、前記積層金属箔のAl金属層の少なくとも表面側のAlを、電池の充電によって非水電解質中のLiイオンと電気化学的に反応させることにより、少なくとも表面側にLi−Al合金が形成されたAl活性層とすることも可能である。
Li箔が貼り合わされていない前記積層金属箔を負極前駆体として用いる第2の方法によれば、電池の製造工程を簡略化することができる。ただし、負極前駆体を用いてAl活性層を形成することにより、Li−Al合金の不可逆容量を、負極前駆体のLi層のLiが相殺することになることから、高容量化のためには、第1の方法で負極を形成(負極のAl活性層を形成)することが好ましく、また、第1の方法に係る負極前駆体を用いて電池を組み立て、更に充電を行って負極を形成(負極のAl活性層を形成)してもよい。
基材層とAl層との接合体(前記積層金属箔など)を負極前駆体として使用する非水電解質電池においては、負極活物質として作用する物質の結晶構造を良好に保って負極の電位を安定化させて、より優れた貯蔵特性を確保する観点から、第1の方法および第2の方法のいずれの方法によって負極のAl活性層を形成する場合であっても、負極のAl活性層におけるLiとAlとの合計を100原子%としたときのLiの含有量が、48原子%以下である範囲において電池を使用することが好ましい。すなわち、電池の充電時に、Al活性層のLiの含有量が48原子%を超えない範囲で充電を終止することが好ましい。また、Li−Al合金形成時の反応斑抑制の観点においては、Liの含有量が、29原子%以下である範囲において充電を終止することがより好ましく、20原子%以下である範囲において充電を終止することが特に好ましい。
前記積層金属箔のAl層は、全体がLiと合金化して活物質として作用してもよいが、Al層のうちの基材層側をLiと合金化させず、Al活性層を、表面側のLi−Al合金層と基材側に残存するAl層との積層構造とすることがより好ましい。
すなわち、前記の状態で充電を終止することにより、前記Al層のセパレータ側(正極側)を、Liと反応させてLi−Al合金(α相とβ相との混合相またはβ相)とし、一方、前記基材層との接合部付近のAl層は、実質的にLiと反応させずに元のAl層のまま残存するか、あるいは、セパレータ側よりもLiの含有量が低くなると推測され、元のAl層と基材層との優れた密着性を維持することができ、セパレータ側に形成されたLi−Al合金を基材層上に保持しやすくなると考えられる。特に、前記Al層のセパレータ側に形成されるLi−Al合金に、α相が混在した状態で充電を終止することがより好ましい。
なお、上記の「実質的にLiと反応させない」とは、Liを数原子at%以下の範囲で固溶した状態も含め、Alがα相の状態のままで維持されることを指すものとする。
また、非水電解質電池においては、LiとAlとの合計を100原子%としたときのLiの含有量が、7原子%以上となる範囲まで電池を充電することが好ましい。この範囲であれば、Li−Al合金形成時の反応斑の問題が生じ難い。
負極におけるLiとAlとの合計を100原子%としたときのLiの含有量は、例えば誘導結合プラズマ(ICP)元素分析によって求めることができる。前記Liの含有量を求める負極を有する電池をArボックス中で分解して負極を取り出し、その正極と対向していた部分を略10mm四方に切り取って酸に溶解させ、これをICPによって元素分析することでAlとLiとの比を求め、その値から前記Liの含有量を算出する。
前記のような電池の使用状況を実現しやすくするために、非水電解質電池において、第1の方法により負極を形成する場合に使用する負極前駆体では、電池組み立て時における、Al層の厚みを100としたときの前記Al層に貼り合せるLi層の厚みを、20以上とすることが望ましく、30以上とすることがより望ましく、一方、80以下とすることが望ましく、70以下とすることがより望ましい。
具体的なLi箔の厚みは、前記積層体の片面あたり20μm以上であることが好ましく、30μm以上であることがより好ましく、また、80μm以下であることが好ましく、70μm以下であることがより好ましい。
(Liと合金化可能な元素または前記元素を含む化合物を負極活物質とする負極)
負極活物質として使用可能なLiと合金化可能な元素としては、ケイ素(Si)、スズ(Sn)などが挙げられる。また、負極活物質として使用可能なLiと合金化可能な元素を含む化合物としては、Si、Snなどの酸化物などが挙げられる。
Liと合金化可能な元素または前記元素を含む化合物を負極活物質とする場合、負極活物質を含有する負極合剤層を集電体の片面または両面に形成した構造の負極を用いることができる。
負極合剤層を有する負極は、負極活物質およびバインダ、更には必要に応じて使用される導電助剤を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)や水などの溶剤に分散させたペースト状やスラリー状の負極合剤含有組成物を調製し(ただし、バインダは溶剤に溶解していてもよい)、これを集電体の片面または両面に塗布し、乾燥した後に、必要に応じてカレンダ処理などのプレス処理を施す工程を経て製造することができる。
負極合剤層を形成する場合のバインダとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)などが挙げられる。また、負極合剤層に導電助剤を含有させる場合、その導電助剤としては、天然黒鉛(鱗片状黒鉛など)、人造黒鉛などの黒鉛(黒鉛質炭素材料);アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカ−ボンブラック;炭素繊維;などの炭素材料などが挙げられる。
なお、Liと合金化可能な元素または前記元素を含む化合物を負極活物質とする負極においては、前記負極活物質にあらかじめLiイオンをドープしておき、これを負極の製造に用いてもよく、また、前記負極活物質を用いて製造した負極中の前記負極活物質にLiイオンをドープし、この状態の負極を電池の製造に用いてもよい。
負極合剤層の組成としては、例えば、負極活物質を80〜99.8質量%とし、バインダを0.1〜10質量%とすることが好ましい。更に、負極合剤層に導電助剤を含有させる場合には、負極合剤層における導電助剤の量を0.1〜10質量%とすることが好ましい。また、負極合剤層の厚み(集電体の片面あたりの厚み)は、10〜100μmであることが好ましい。
Liと合金化可能な元素または前記元素を含む化合物を負極活物質とする負極における集電体には、Liを負極活物質とする負極に使用可能な集電体として先に例示したものと同じものを用いることができる。
負極には、常法に従って、電池内の他の部材と電気的に接続するためのリード体を取り付けることができる。なお、負極を形成する第1の方法および第2の方法で用いる負極前駆体として前記積層体を使用する場合、負極リード体は、そのNi層に設けることができる。
<正極>
本発明の非水電解質電池に係る正極には、例えば、正極活物質、導電助剤およびバインダなどを含有する正極合剤層を、集電体の片面または両面に有する構造のものが使用できる。正極活物質には、リチウム含有複合酸化物(Liイオンを吸蔵および放出可能なリチウム含有複合酸化物)や、リチウム含有複合酸化物以外の正極活物質を使用することができる。ただし、第2の方法で負極を形成する場合には、正極活物質にはリチウム含有複合酸化物などのリチウムを放出可能な化合物を使用する。
正極活物質として使用されるリチウム含有複合酸化物としては、Li1+x(−0.1<x<0.1、M:Co、Ni、Mn、Al、Mgなど)で表される層状構造のリチウム含有複合酸化物、LiMnやその元素の一部を他元素で置換したスピネル構造のリチウムマンガン酸化物、LiMPO(M:Co、Ni、Mn、Feなど)で表されるオリビン型化合物などが挙げられる。前記層状構造のリチウム含有複合酸化物としては、LiCoOなどのコバルト酸リチウムやLiNi1−aCoa−bAl(0.1≦a≦0.3、0.01≦b≦0.2)などの他、少なくともCo、NiおよびMnを含む酸化物(LiMn1/3Ni1/3Co1/3、LiMn5/12Ni5/12Co1/6、LiNi3/5Mn1/5Co1/5など)などを例示することができる。
また、リチウム含有複合酸化物以外の正極活物質としては、二酸化マンガン、五酸化バナジウム、クロム酸化物などの金属酸化物や、二硫化チタン、二硫化モリブデンなどの金属硫化物を例示することができる。
正極活物質には、前記例示の化合物のうちの1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよいが、高容量で貯蔵安定性に優れていることから、リチウム含有複合酸化物を使用することが好ましく、特に好ましくは下記一般組成式(1)、
Li1+xNi1−y−z (1)
〔前記一般組成式(1)中、MはCo、Mn、Al、Mg、Zr、Mo、Ti、Ba、WおよびErのうちの少なくとも1種の元素を含み、MはLi、NiおよびM以外の元素であり、−0.1≦x≦0.1、0≦y≦0.5、0≦z≦0.05である。〕で表せられるNiを含有するリチウム含有複合酸化物である。
正極合剤層に係る導電助剤には、例えば、アセチレンブラック;ケッチェンブラック;チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック類;炭素繊維;などの炭素材料の他、金属繊維などの導電性繊維類;フッ化カーボン;銅、ニッケルなどの金属粉末類;ポリフェニレン誘導体などの有機導電性材料;などを用いることができる。
正極合剤層に係るバインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)などが挙げられる。
正極は、例えば、正極活物質、導電助剤およびバインダなどを含有する正極合剤を、溶剤(NMPなどの有機溶剤や水)に分散させて正極合剤含有組成物(ペースト、スラリーなど)を調製し、この正極合剤含有組成物を集電体の片面または両面などに塗布して乾燥し、必要に応じてプレス処理を施す工程を経て製造することができる。
また、前記正極合剤を用いて成形体を形成し、この成形体の片面の一部または全部を正極集電体と貼り合わせて正極としてもよい。正極合剤成形体と正極集電体との貼り合わせは、プレス処理などにより行うことができる。
正極の集電体としては、AlやAl合金などの金属の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタルなどを用い得るが、通常、Al箔が好適に用いられる。正極集電体の厚みは、10〜30μmであることが好ましい。
正極合剤層の組成としては、例えば、正極活物質を80.0〜99.8質量%とし、導電助剤を0.1〜10質量%とし、バインダを0.1〜10質量%とすることが好ましい。また、正極合剤層の厚みは、集電体の片面あたり、30〜300μmであることが好ましい。
正極の集電体には、常法に従って正極リード体を設けることができる。
前記負極と組み合わせる正極の容量比は、充電終了時の負極におけるLiとAlとの合計を100原子%としたときのLiの含有量が7〜48原子%となるように設定すればよく、更に、放電終了時に、負極にLi−Al合金のβ相が残存するように正極の容量比を設定することが望ましい。
<セパレータ>
セパレータには、熱可塑性樹脂を主体とする多孔質膜(I)の両面に、耐熱温度が150℃以上のフィラーを主体として含む多孔質層(II)を積層したセパレータを使用する。
本明細書において、「耐熱温度が150℃以上」とは、少なくとも150℃において軟化などの変形が見られないことを意味している。
セパレータに係る多孔質層(II)は、Liイオンの局所的な析出の抑制効果や、自己放電後の電池におけるサイクル特性の悪化も抑制する機能を備えたものである。さらに、電池の内部温度が上昇した際にも正極と負極との直接の接触による短絡を防止する機能も備えたものであり、耐熱温度が150℃以上のフィラーによって、その機能を確保している。すなわち、電池が高温となった場合には、たとえ多孔質膜(I)が収縮しても、両面に配置された収縮し難い多孔質層(II)によって、セパレータが熱収縮した場合に発生し得る正負極の直接の接触による短絡を防止することができる。また、この耐熱性の多孔質層(II)がセパレータの骨格として作用するため、多孔質膜(I)の熱収縮、すなわちセパレータ全体の熱収縮自体も抑制できる。
そして、多孔質層(I)の両面に多孔質層(II)を積層することでセパレータ全体の機械的強度が高くなり、電池の充放電を行ってもセパレータによれが生じ難く、負極−セパレータ−正極間の密着性を保つことができると考えられる。電極とセパレータとの密着性を保つことで、電池のサイクル特性などを向上させることができると考えられる。
通常の非水電解質電池を充電状態で放置すると自己放電するのが一般的である。特に高温環境下で放置すると自己放電がより進行する傾向にある。自己放電をする際、負極から溶出したLiイオンが局所的に析出してセパレータを貫通して正極と導通し電池が微短絡することがあった。また、負極の集電体として例えばCuを金属基材層としたクラッド材を用いた場合、非水電解液電池が自己放電する際に、Cuイオンが溶出して、再充電時に電極上などに析出し、セパレータを貫通して負極と正極とが導通し電池が微短絡することもあった。さらに、自己放電後の電池における負極は、劣化してLiイオンの受け入れ性が低下している場合が多く、自己放電したエネルギーを補填するために、電池を再充電しても十分な電気量を充電できず、結果として充放電のサイクル特性が悪化する問題もあった。
本発明の非水電解質電池では、使用されるセパレータの多孔質層(II)の作用によって、Liイオンの局所的な析出の抑制効果や、自己放電後の電池における充放電サイクル特性の悪化も抑制する効果がある。
また、前記積層型セパレータは、前記耐熱性(耐熱収縮性)、Liイオンの析出による微短絡や、正極および負極との接触による短絡を防止する機能の他に、シャットダウン特性を兼ね備えていてもよい。
前記積層型セパレータにシャットダウン特性を兼ね備える場合、例えば係る多孔質膜(I)に、主にシャットダウン機能を確保させればよい。電池が多孔質膜(I)の主体となる成分である熱可塑性樹脂の融点以上に達したときには、多孔質膜(I)に係る熱可塑性樹脂が溶融してセパレータの空孔を塞ぎ、電気化学反応の進行を抑制するシャットダウンを生じる。
前記積層型セパレータにシャットダウン特性を兼ね備える場合、多孔質膜(I)の主体となる熱可塑性樹脂としては、融点が140℃以下の樹脂が好ましく、具体的には、例えばポリエチレンが挙げられる。また、多孔質膜(I)の形態としては、電池用のセパレータとして通常用いられている微多孔膜や、不織布などの基材にポリエチレンの粒子を含む分散液を塗布し、乾燥するなどして得られるものなどのシート状物が挙げられる。ここで、多孔質膜(I)の構成成分の全体積中〔空孔部分を除く全体積。セパレータに係る多孔質膜(I)および多孔質層(II)の構成成分の体積含有率に関して、以下同じ。〕において、主体となる融点が140℃以下の樹脂の体積含有率は、50体積%以上であり、70体積%以上であることがより好ましい。なお、例えば多孔質膜(I)を前記ポリエチレンの微多孔膜で形成する場合は、融点が140℃以下の樹脂の体積含有率が100体積%となる。
セパレータに係る多孔質膜(I)の主体となる熱可塑性樹脂としては、前述した融点が140℃以下の樹脂のほか、ポリプロピレン、ポリエステル(全芳香族ポリエステルに代表される芳香族ポリエステル、ポリブチレンテレフタレートなど)、ポリアセタール、ポリアミド〔全芳香族ポリアミド(アラミド)に代表される芳香族ポリアミド、ナイロンなど〕、ポリエーテル(全芳香族ポリエーテルに代表される芳香族ポリエーテルなど)、ポリケトン(全芳香族ポリケトンに代表される芳香族ポリケトンなど)、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリベンゾイミダゾール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリ(パラ−フェニレンベンゾビスチアゾール)、ポリ(パラ−フェニレン−2,6−ベンゾビスオキサゾール)、ポリウレタン、セルロース、ポリビニルアルコールなどがあげられる。多孔質膜(I)の形状としては、これら熱可塑性樹脂から構成される微多孔膜が好適である。
セパレータに係る多孔質層(II)は、Liイオンの局所的な析出の抑制効果や、自己放電後の電池におけるサイクル特性の悪化も抑制する機能を備えたものである。
多孔質層(II)に係るフィラーは、耐熱温度が150℃以上で、電池の有する非水電解質に対して安定であり、更に電池の作動電圧範囲において酸化還元され難い電気化学的に安定なものであれば無機粒子でも有機粒子でもよいが、分散などの点から微粒子であることが好ましい。
前記フィラーとして用いられる無機粒子は、例えば、酸化鉄、Al(アルミナ)、SiO(シリカ)、TiO、BaTiO、ZrOなどの無機酸化物;窒化アルミニウム、窒化ケイ素などの無機窒化物;フッ化カルシウム、フッ化バリウム、硫酸バリウムなどの難溶性のイオン結晶;シリコン、ダイヤモンドなどの共有結合性結晶;モンモリロナイトなどの粘土;などが挙げられる。ここで、前記無機酸化物は、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、マイカなどの鉱物資源由来物質またはこれらの人造物などであってもよい。また、金属、SnO、スズ−インジウム酸化物(ITO)などの導電性酸化物、カーボンブラック、グラファイトなどの炭素質材料などで例示される導電性材料の表面を、電気絶縁性を有する材料(例えば、前記の無機酸化物など)で被覆することにより電気絶縁性を持たせた粒子であってもよい。特にアルミナ、シリカ、ベーマイトは、耐酸化性が高く、粒径や形状を所望の数値などに調整することが可能であるため、多孔質層(II)の空孔率を精度よく制御することが容易となる。
また機械的強度の高い無機粒子を粒子フィラーとして用いれば、より多孔質層(II)の機械的強度が高くなるので、電池の充放電を行ってもセパレータによれが生じ難く、負極−セパレータ−正極間の密着性を保つことができると考えられる。電極とセパレータとの密着性を保つことで、電池のサイクル特性などを向上させることができると考えられる。
フィラーとして無機粒子を用いる場合、無機粒子の形状には特に制限がなく、球状、多角形状、塊状、板状、鱗片状、針状、繊維状などの各種形状が例示される。特に板状や鱗片状であれば、多孔質層(II)の充填性が向上するとともに、経路長も長くすることができるので、前述した、Liイオンの局所的な析出の抑制効果や、自己放電後の電池におけるサイクル特性の悪化の抑制効果がより高まるものと期待できる。
前記フィラーとして用いられる有機粒子は、例えばポリプロピレン、ポリビニリデンフロライド、SBRなどがあげられる。
なお、前記フィラーは、例えば前記例示のものを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記フィラーの平均粒子径D50%は、例えば、0.01μm以上であることが好ましく、0.3μm以上であることがより好ましく、また、10μm以下であることが好ましく、3μm以下であることがより好ましい。なお、本明細書でいうフィラーのなどの粒子の平均粒子径は、レーザー散乱式の粒度分布計(例えば、日機装株式会社製マイクロトラック粒度分布測定装置「HRA9320」)を使用し、フィラーを溶解しない媒体(純水などの、フィラーを溶解させないもの)に分散させて測定した体積基準の積算分率50%における粒子直径の値であるD50%を意味している。
多孔質層(II)の「耐熱温度が150℃以上のフィラーを主成分として含む」とは、多孔質層(II)の構成成分の全体積中、前記フィラーを70体積%以上含むことを意味している。多孔質層(II)における前記フィラーの量は、多孔質層(II)の構成成分の全体積中、80体積%以上であることが好ましく、90体積%以上であることがより好ましい。多孔質層(II)中の前記フィラーを前記のように高含有量とすることで、前述したLiイオンの局所的な析出の抑制効果や、自己放電後の電池におけるサイクル特性の悪化も抑制する機能が発揮される。
また、多孔質層(II)には、前記フィラー同士を結着したり多孔質層(II)と多孔質膜(I)とを結着したりするために有機バインダを含有させることが好ましく、このような観点から、多孔質層(II)におけるフィラー(B)量の好適上限値は、例えば、多孔質層(II)の構成成分の全体積中、99体積%である。なお、多孔質層(II)におけるフィラー(B)の量を70体積%未満とすると、例えば、多孔質層(II)中の有機バインダ量を多くする必要が生じるが、その場合には多孔質層(II)の空孔が有機バインダによって埋められてしまい、例えばセパレータとしての機能を喪失する虞がある。
多孔質層(II)に用いる有機バインダとしては、前記フィラー同士や多孔質層(II)と多孔質膜(I)とを良好に接着でき、電気化学的に安定で、かつ電気化学素子用の非水電解液に対して安定であれば特に制限はない。具体的には、フッ素樹脂(PVDFなど)、フッ素系ゴム、SBR、CMC、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリN−ビニルアセトアミド、架橋アクリル樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂などが挙げられる。これらの有機バインダは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用しても構わない。
前記セパレータは、例えば、多孔質膜(I)に、前記フィラーや有機バインダなどと溶剤(水やケトン類などの有機溶剤など)とを含有する多孔質層(II)形成用組成物(スラリー、ペーストなど)を塗布した後、所定の温度で乾燥して多孔質層(II)を形成することによって製造することができる。
前記セパレータの厚みは、正極と負極とをより確実に隔離する観点から、6μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましい。他方、セパレータが厚すぎると、電池のエネルギー密度が低下してしまうことがあるため、その厚みは、50μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましい。
また、多孔質膜(I)の厚みは、5〜30μmであることが好ましい。更に、多孔質層(II)の総厚み〔多孔質膜(I)の両面に設けられた多孔質層(II)の両面厚み〕は、2μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましく、4μm以上であることが更に好ましく、また、20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましく、8μm以下であることが更に好ましい。
セパレータの空孔率は、30〜70%であることが好ましい。更に、セパレータの平均孔径は、0.01μm以上であることが好ましく、0.05μm以上であることがより好ましく、また、1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましい。
<非水電解質>
非水電解質には、下記の非水系溶媒中に、リチウム塩を溶解させることで調製した溶液が使用できる。
溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、γ−ブチロラクトン(γ−BL)、1,2−ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド(DMSO)、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、蟻酸メチル、酢酸メチル、燐酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、ジエチルエーテル、1,3−プロパンサルトンなどの非プロトン性有機溶媒を1種単独で、または2種以上を混合した混合溶媒として用いることができる。
非水電解質に係るリチウム塩としては、例えば、LiClO、LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbF、LiCFSO、LiCFCO、Li(SO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiC2n+1SO3(n≧2)、LiN(RfOSO[ここでRfはフルオロアルキル基]などから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらのリチウム塩の電解質中の濃度としては、0.6〜1.8mol/lとすることが好ましく、0.9〜1.6mol/lとすることがより好ましい。
また、非水電解質には、添加剤としてニトリル化合物を含有させると好ましい。ニトリル化合物を添加した非水電解質を使用することで、正極活物質の表面にニトリル化合物が吸着して被膜を形成し、この被膜が非水電解質の酸化分解によるガス発生を抑制することから、特に高温環境下で貯蔵した際の電池の膨れを抑えることができる。
非水電解質に添加するニトリル化合物としては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、バレロニトリル、ベンゾニトリル、アクリロニトリルなどのモノニトリル;マロノニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、1,4−ジシアノヘプタン、1,5−ジシアノペンタン(ピメロニトリル)、1,6−ジシアノヘキサン(スベロニトリル)、1,7−ジシアノヘプタン(アゼラオニトリル)、2,6−ジシアノヘプタン、1,8−ジシアノオクタン、2,7−ジシアノオクタン、1,9−ジシアノノナン、2,8−ジシアノノナン、1,10−ジシアノデカン、1,6−ジシアノデカン、2,4−ジメチルグルタロニトリルなどのジニトリル;ベンゾニトリルなどの環状ニトリル;メトキシアセトニトリルなどのアルコキシ置換ニトリル; などが挙げられ、これらのうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。これらのニトリル化合物の中でも、ジニトリルがより好ましく、アジポニトリル、ピメロニトリルおよびスベロニトリルが更に好ましい。
電池に使用する非水電解質における二トリル化合物の含有量は、これらの使用による前記の効果を良好に確保する観点から、0.1質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましい。ただし、非水電解質中のニトリル化合物の量が多すぎると、電池の低温での放電特性が低下する傾向にある。よって、非水電解質中のニトリル化合物の量をある程度制限して、電池の低温での放電特性をより良好にする観点からは、電池に使用する非水電解質中のニトリル化合物の含有量は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
また、これらの非水電解質に電池の各種特性を更に向上させる目的で、ビニレンカーボネート類、1,3−プロパンサルトン、ジフェニルジスルフィド、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、フルオロベンゼン、t−ブチルベンゼンなどの添加剤を適宜加えることもできる。
さらに発明の非水電解質電池においては、前記リン酸化合物を添加した非水電解質を使用した場合には、高温での貯蔵を経た後の低温環境下での負荷特性を高く維持できることから、リン酸化合物を添加することが望ましい。
前記リン酸化合物は、正極表面でSEI(Solid Electrolyte Interface)被膜を形成することが知られている。一方、本発明の非水電解質電池は、高温貯蔵後の低温環境下における負荷特性が良好であることから、前記リン酸化合物は負極にも薄くかつ良質な被膜を形成していると推察した。
また、表面被膜が薄くなることにより、被膜形成の際に必要とされるLiの量が少なくなるため、前記負極活物質を有する二次電池(非水電解質二次電池)においては、負極の不可逆容量が減少して充放電効率の向上につながるものと推測する。
このような前記リン酸化合物としては、例えば、リン酸モノ(トリメチルシリル)、リン酸ジ(トリメチルシリル)、リン酸トリス(トリメチルシリル)、リン酸ジメチルトリメチルシリル、リン酸メチルビス(トリメチルシリル)、リン酸ジエチルトリメチルシリル、リン酸ジフェニル(トリメチルシリル)、リン酸トリス(トリエチルシリル)、リン酸トリス(ビニルジメチルシリル)などを挙げることができ、リン酸モノ(トリメチルシリル)、リン酸ジ(トリメチルシリル)、リン酸トリス(トリメチルシリル)、リン酸ジメチルトリメチルシリル、リン酸メチルビス(トリメチルシリル)が好ましく、リン酸トリス(トリメチルシリル)が、特に好ましいものとして挙げられる。
電池に使用する非水電解質中の、前記リン酸化合物の含有量は、その使用による前記の効果をより良好に確保する観点から、0.1質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましく、0.5質量%以上であることが特に好ましく、0.7質量%以上であることが最も好ましい。また、含有量が多くなりすぎると、電極界面に形成され得るSEI被膜の厚みが増大し、これにより抵抗が大きくなり負荷特性が低下する虞があることから、電池に使用する非水電解質中の、前記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物の含有量は、8質量%以下であることが好ましく、7質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが特に好ましく、3質量%以下であることが最も好ましい。
更に、非水電解質は、公知のポリマーなどのゲル化剤を用いてゲル状(ゲル状電解質)としてもよい。
<電極体>
本発明の非水電解質電池において、正極と負極とは、例えば、セパレータを介して重ねて構成した電極体、前記電極体を更に渦巻状に巻回して形成された巻回電極体、または複数の正極と複数の負極とを交互に積層した積層電極体の形態で使用される。
前記巻回電極体の場合、Al層を含むクラッド材を用いた場合は、クラッド材自身が硬く、巻回内周側において折れてしまい、それがきっかけとなって短絡が発生することもある。そこで、多孔質膜(I)の両面に、耐熱温度が150℃以上のフィラーを主体として含む多孔質層(II)とを有する積層型のセパレータを用いれば、クラッドが巻回内周側において折れた場合でも、多孔質層(II)の作用により、短絡発生の抑制効果を得ることができる。
<非水電解質電池の形態>
非水電解質電池は、例えば、積層または巻回電極体を外装体内に装填し、更に外装体内に非水電解質を注入して非水電解質を電極体に含浸させた後、外装体の開口部を封止することで製造される。外装体には、スチール製やアルミニウム製、アルミニウム合金製の外装缶や、金属を蒸着したラミネートフィルムで構成される外装体などを用いることができる。外装缶を有する電池としては、より具体的には、外装缶と封口板とをガスケットを介してカシメ封口したり、外装缶と封口板とを溶接して封口したりする電池ケースを有する扁平形(コイン形、ボタン形を含む);有底筒形(円筒形、角筒形など)の外装缶の開口部に蓋体を配し、ガスケットを介してカシメ封口したり、外装缶と蓋体とを溶接して封口したりする筒形;などが挙げられる。
なお、本発明の非水電解質電池は、正極容量規制で構成されるため、充電電気量の制御や、充電電圧の制御などにより、充電終了時期を検出することができることから、あらかじめ充電回路側に充電終了条件を設定しておくことが可能である。
よって、前記態様のいずれかの非水電解質電池と、充電回路とを有する非水電解質電池システムにおいて、前記Al活性層におけるLiとAlとの合計を100原子%としたときのLiの含有量が、充電終了時に、7〜48原子%となるような充電終了条件を設定しておくことで、非水電解質電池の貯蔵特性を良好に発揮させることができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。
実施例1
<負極の作製>
厚み35μmのCu箔の両面に、それぞれ、厚み20μmのAl箔を積層した988mm×44.5mmの大きさのクラッド材(積層金属箔)を負極の作製に用いた。前記クラッド材には、電池外部との導電接続のためのニッケル製のリード体を取り付けて負極(負極前駆体)とした。
<正極の作製>
正極活物質であるLiNi0.8Co0.15Al0.05:97質量部と、導電助剤であるアセチレンブラック:1.5質量部と、バインダであるPVDF:1.5質量部とを、NMPに分散させたスラリーを調製し、これを厚み12μmのAl箔の両面に塗布し、乾燥し、プレス処理を行うことにより、Al箔集電体の片面におよそ15mg/cmの質量の正極合剤層を形成した。更に、正極合剤層のプレス処理を行うと共に、アルミニウム製のリード体を取り付けることにより、長さ974mm、幅43mmの帯状の正極を作製した。
<セパレータの作製>
板状アルミナ5kgに、イオン交換水5kgと、分散剤(水系ポリカルボン酸アンモニウム塩、固形分濃度40質量%)0.5kgとを加え、内容積20L、転回数40回/分のボールミルで10時間解砕処理をして分散液を調製した。この分散液を用いて、前述した方法で板状アルミナの平均粒子径を測定したところ、平均粒子径は1.0μmであった。
前記分散液500gに、増粘剤としてキサンタンガムを0.5g、バインダとして樹脂バインダーディスパージョン(変性ポリブチルアクリレート、固形分含量45質量%)を17g加え、スリーワンモーターで3時間攪拌して均一な多孔質層(II)形成用スラリー(固形分比率50質量%)を調製した。
多孔質膜(I)であるポリエチレン製の微多孔膜(厚み12μm、空孔率40%、平均孔径0.08μm、ポリエチレンの融点135℃)の両面にコロナ放電処理(放電量40W・分/m)を施し、この処理面に上記多孔質層(II)形成用スラリーをマイクログラビアコーターによって塗布し、乾燥して厚みが2μmの多孔質層(II)を多孔質膜(I)の両面にそれぞれ形成した(すなわち、多孔質層(II)の総厚みは4μmである)。板状アルミナの比重を3.9g/cm 、増粘剤およびバインダの比重を1.0g/cmとして算出したセパレータ中の板状アルミナの体積含有率は、両面とも90%であった。
<非水電解質電池の作製>
前記正極と前記負極とを、前記セパレータを介して積層し、渦巻状に巻回した後、押しつぶして扁平状の電極体を形成した。
また、プロピレンカーボネート(PC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジメチルカーボネート(DEC)との体積比20:60:20の混合溶媒に、LiBFを1.0mol/lの濃度で溶解させ、更にアジポニトリル:5質量%およびリン酸トリス(トリメチルシリル)(TMSP):2質量%を添加することにより、非水電解質を調製した。
前記電極体を、厚さ0.8mmのアルミニウム合金製の角形電池容器に挿入し、前記非水電解質を注入した後、電池容器を封止することにより、定格容量が1200mAhであり、図2および図3に示す構造である、103450サイズの角形非水電解質電池を組み立てた。
ここで図2および図3に示す電池について説明すると、図2はその部分断面図であって、正極1と負極2はセパレータ3を介して渦巻状に巻回した後、扁平状になるように加圧して扁平状の巻回電極体6として、角形(角筒形)の電池容器4に非水電解質と共に収容されている。ただし、図2では、煩雑化を避けるため、正極1や負極2の各層や非水電解液などは図示していない。
電池容器4はアルミニウム合金製で電池の外装体を構成するものであり、この電池容器4は正極端子を兼ねている。正極1、負極2およびセパレータ3からなる扁平状巻回電極体6からは、正極1および負極2のそれぞれ一端に接続された正極リード体7と負極リード体8が引き出されている。また、電池容器4の開口部を封口するアルミニウム合金製の封口用蓋板9にはポリプロピレン製の絶縁パッキング10を介してステンレス鋼製の端子11が取り付けられ、この端子11には絶縁体12を介してステンレス鋼製のリード板13が取り付けられている。
そして、この蓋板9は電池容器4の開口部に挿入され、両者の接合部を溶接することによって、電池容器4の開口部が封口され、電池内部が密閉されている。また、図2の電池では、蓋板9に非水電解液注入口14が設けられており、この非水電解液注入口14には、封止部材が挿入された状態で、例えばレーザー溶接などにより溶接封止されて、電池の密閉性が確保されている。更に、蓋板9には、電池の温度が上昇した際に内部のガスを外部に排出する機構として、開裂ベント15が設けられている。
この実施例1の電池では、正極リード体7を蓋板9に直接溶接することによって電池容器4と蓋板9とが正極端子として機能し、負極リード体8をリード板13に溶接し、そのリード板13を介して負極リード体8と端子11とを導通させることによって端子11が負極端子として機能するようになっているが、電池容器4の材質などによっては、その正負が逆になる場合もある。
図3は前記図2に示す電池の外観を模式的に示す斜視図であり、この図3は前記電池が角形電池であることを示すことを目的として図示されたものであって、この図2では電池を概略的に示しており、電池の構成部材のうち特定のものしか図示していない。また、図2においても、電極体の内周側の部分は断面にしていない。
実施例2
厚み35μmのNi箔の両面に、それぞれ、厚み20μmのAl箔を積層した988mm×44.5mmの大きさのクラッド材(積層金属箔)を負極前駆体として用いた以外は、実施例1と同様にして、定格容量1200mAhの非水電解質電池を作製した。
ている。
実施例3
厚み35μmのTi箔の両面に、それぞれ、厚み20μmのAl箔を積層した988mm×44.5mmの大きさのクラッド材(積層金属箔)を負極前駆体として用いた以外は、実施例1と同様にして、定格容量1200mAhの非水電解質電池を作製した。
実施例4
厚み35μmのSUS304箔の両面に、それぞれ、厚み20μmのAl箔を積層した988mm×44.5mmの大きさのクラッド材(積層金属箔)を負極前駆体として用いた以外は、実施例1と同様にして、定格容量1200mAhの非水電解質電池を作製した。
実施例5
板状アルミナのかわりに、粒状ベーマイトを用いて実施例1と同様にして分散液を得た。この分散液を用いて、前述した方法で粒状ベーマイトの平均粒子径を測定したところ、平均粒子径は1.0μmであった。この分散液を用いて多孔質層(II)形成用スラリー調整したこと、このスラリーを用いて厚みが2μmの多孔質層(II)を多孔質膜(I)の両面に形成した(すなわち、多孔質層(II)の総厚みは4μmである)こと以外はすべて実施例1と同様にしてセパレータを得た。粒状ベーマイトの比重を3.0g/cmとして算出したセパレータ中の粒状ベーマイトの体積含有率は、両面とも92%であった。このセパレータを用いたこと以外はすべて実施例1と同様にして、定格容量1200mAhの非水電解質電池を作製した。
実施例6
板状アルミナのかわりに、板状シリカを用いて実施例1と同様にして分散液を得た。この分散液を用いて、前述した方法で板状シリカの平均粒子径を測定したところ、平均粒子径は1.0μmであった。この分散液を用いて多孔質層(II)形成用スラリー調整したこと、このスラリーを用いて厚みが2μmの多孔質層(II)を多孔質膜(I)の両面に形成した(すなわち、多孔質層(II)の総厚みは4μmである)こと以外はすべて実施例1と同様にしてセパレータを得た。板状シリカの比重を2.2g/cmとして算出したセパレータ中の板状シリカの体積含有率は、両面とも94%であった。このセパレータを用いたこと以外はすべて実施例1と同様にして、定格容量1200mAhの非水電解質電池を作製した。
実施例7
非水電解質にリン酸トリス(トリメチルシリル)を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、定格容量1200mAhの非水電解質電池を作製した。
実施例8
非水電解質にリン酸トリス(トリメチルシリル)を5%添加したこと以外は、実施例1と同様にして、定格容量1200mAhの非水電解質電池を作製した。
実施例9
実施例1で作製した多孔質層(II)形成用スラリーを用いて厚みが4μmの多孔質層(II)を多孔質膜(I)の両面にそれぞれ形成した(すなわち、多孔質層(II)の総厚みは8μmである)こと以外はすべて実施例1と同様にしてセパレータを得た。このセパレータを用いたこと以外はすべて実施例1と同様にして、定格容量1200mAhの非水電解質電池を作製した。
実施例10
厚み100μmで、988mm×44.5mmの大きさのAl箔(JIS規格に定められている1N30番)に、電池外部との導電接続のためのNiタブを超音波溶接したものを負極前駆体とした。以下、実施例1と同様にして定格容量1200mAhの非水電解質電池を作製した。
実施例11
多孔質膜(I)である熱分解温度が500℃以上であるポリイミド樹脂から構成される、厚み:23μm、ガーレー値:197/100ml、平均細孔径:0.2μm、空孔率が48%の微多孔膜の両面にコロナ放電処理(放電量40W・分/m)を施し、この処理面に実施例1で用いたものと同様の多孔質層(II)形成用スラリーをマイクログラビアコーターによって塗布し、乾燥して厚みが2μmの多孔質層(II)を多孔質膜(I)の両面にそれぞれ形成した(すなわち、多孔質層(II)の総厚みは4μmである)。板状アルミナの比重を3.9g/cm 、増粘剤およびバインダの比重を1.0g/cmとして算出したセパレータ中の板状アルミナの体積含有率は、両面とも90%であった。このセパレータを用いたこと以外はすべて実施例1と同様にして、定格容量1200mAhの非水電解質電池を作製した。
比較例1
平均粒子径D50%が22μmである黒鉛:98質量部、CMC:1.0質量部、およびSBR:1.0質量部を、イオン交換水と混合して、水系の負極合剤含有ペーストを調製した。前記の負極合剤含有ペーストを、厚さ30μmのCu箔の両面に塗布し、乾燥した後、カレンダ処理を行って、合剤層の塗膜密度が1.58g/cmとなるように負極合剤層の厚みを調整して負極を得た。更に銅箔の露出部にNiタブを超音波溶接してリード部し、合剤層の面積が25mm×40mmとなるよう切り出した。以下、実施例1と同様にして定格容量1200mAhの非水電解質電池を作製した。
比較例2
実施例1で作製した多孔質層(II)形成用スラリーを用いて厚みが4μmの多孔質層(II)を多孔質膜(I)の片面に形成したこと以外はすべて実施例1と同様にしてセパレータを得た。このセパレータを用いたこと以外はすべて実施例1と同様にして、定格容量1200mAhの非水電解質電池を作製した。
比較例3
多孔質層(II)を多孔質膜(I)に形成していないセパレータを用いたこと以外はすべて実施例1と同様にして、定格容量1200mAhの非水電解質電池を作製した。
<電池の化成処理>
実施例および比較例の電池に対して、0.2C(240mA)の定電流で3.8Vまで充電し、その後、3.8Vの定電圧で0.01C(12mA)に電流値が減少するまで充電を続ける定電流−定電圧充電と、0.2C(240mA)の定電流で電池電圧が2.0Vに低下するまで放電させる定電流放電とからなる充放電を2回行うことにより、化成処理を行った。
<高温貯蔵特性>
化成処理後の実施例および比較例の各電池について、0.2C(240mA)の定電流で3.8Vまで充電し、その後、3.8Vの定電圧で0.01C(12mA)に電流値が減少するまで充電を続ける定電流−定電圧充電をした。
満充電状態とした各電池を、85℃で10日間貯蔵した後、室温まで冷却してから、240mAの定電流で放電(放電終止電圧:2V)させた。更に、前記充電条件での充電と、240mAでの放電(放電終止電圧:2V)を行い、高温貯蔵後の放電容量(回復容量)を測定した。初期放電容量に対する比較例2の電池の回復容量を100%としたときの各電池の回復容量により、各電池の高温貯蔵特性を評価した。結果を表1に示した。
<低温放電特性>
また、回復容量測定後の各電池について、前記充電条件での充電と、−20℃の環境下で1800mAでの放電(放電終止電圧:2V)とを行い、高温貯蔵後の低温環境下での放電容量を測定した。比較例2の電池の放電容量を100%としたときの各電池の放電容量により、各電池の低温放電特性を評価した。結果を表1に示した。
<充放電サイクル特性>
実施例および比較例の各電池について、0.2C(240mA)の定電流で3.8Vまで充電し、その後、3.8Vの定電圧で0.01C(12mA)に電流値が減少するまで充電を続ける定電流−定電圧充電、および1200mAの電流値で24分間の放電による充放電サイクルを繰り返した。放電終了時の電池電圧が2Vより低くなるまでのサイクル数により、各電池の充放電サイクル特性を評価した。結果を表1に示した。
Figure 2019129147
本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で、前記以外の形態としても実施が可能である。本出願に開示された実施形態は一例であって、本発明は、これらの実施形態には限定されない。本発明の範囲は、前記の明細書の記載よりも、添付されている請求の範囲の記載を優先して解釈され、請求の範囲と均等の範囲内での全ての変更は、請求の範囲に含まれる。
本発明の非水電解質電池は、繰り返しの充放電が可能であり、かつ高温環境下での貯蔵特性が良好であることから、こうした特性を生かして、車両緊急通報システムの電源用途のように、高温環境下で長期にわたって容量を良好に維持できることが求められる用途に好ましく適用することができる。
11 正極
12 負極
13 セパレータ
14 電池容器
15 絶縁体
16 巻回電極体
17 正極リード体
18 負極リード体
19 封口用蓋板
20 パッキング
21 端子
22 絶縁体
23 リード板
24 非水電解質注入口
25 開裂ベント

Claims (6)

  1. リチウム、リチウム合金、リチウムと合金化可能な元素および前記元素を含む化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の負極活物質を含有した負極と、正極とがセパレータを介して重ねられた電極体と、非水電解質とを有する非水電解質電池であって、
    前記セパレータは、熱可塑性樹脂を主体とする多孔質膜(I)の両面に、耐熱温度が150℃以上のフィラーを主体として含む多孔質層(II)とを有していることを特徴とする非水電解質電池。
  2. 前記負極は、リチウムと合金化しない金属基材層と、前記金属基材層の少なくとも片方の面に接合されたアルミニウム活性層とを含有する積層体を有していることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質電池。
  3. 前記Liと合金化しない金属基材層が、銅、ニッケル、チタンおよび鉄より選択される金属またはその合金で構成されている請求項1または2に記載の非水電解質電池。
  4. 前記セパレータに用いられるフィラーは、アルミナ、ベーマイト、シリカのうち少なくとも1種を含む請求項1〜3に記載の非水電解質電池。
  5. 前記セパレータの多孔質層(II)の総厚みが、4〜8μmである請求項1〜4に記載の非水電解質電池。
  6. 前記非水電解質は、リン酸化合物を少なくとも含む請求項1〜5に記載の非水電解質電池。
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