JP2019127602A - 磁心用粉末の製造方法 - Google Patents

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真二郎 三枝
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Naoki Iwata
直樹 岩田
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Jonhan Fan
ジョンハン ファン
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将士 大坪
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Abstract

【課題】本開示の目的は、最適インダクタンスと低鉄損を両立できる磁心用粉末の製造方法を提供することである。【解決手段】本実施形態は、Fe−Si−Al系合金粉末を不活性雰囲気中にて1000℃以上1300℃以下の温度で熱処理し、結晶粒を成長させる粒成長熱処理工程と、前記粒成長熱処理工程後、前記合金粉末を酸化雰囲気中にて800℃以上1000℃未満の温度で加熱し、酸化皮膜を形成する酸化熱処理工程と、を含む、磁心用粉末の製造方法である。【選択図】なし

Description

本開示は、磁心用粉末の製造方法に関する。
従来から、磁心用粉末を圧粉成形することにより、圧粉磁心(圧粉成形体)が製造されている。該圧粉磁心は、磁心用粉末を構成する軟磁性粉末同士の絶縁性を確保しつつ、用途に合わせた磁気特性を確保することが重要であり、多くの研究・開発が成されている。
圧粉磁心は、交番磁界中において高磁気特性を発揮するのみならず、交番磁界中で使用する際に鉄損が少ないことが求められる。鉄損として、渦電流損失、ヒステリシス損失及び残留損失などが挙げられるが、特に交番磁界の周波数と共に高くなる渦電流損失の低減が強く求められている。
そこで、酸化皮膜からなる絶縁層で被覆された軟磁性粉末を加圧成形した圧粉磁心の開発が行われている。このような圧粉磁心は、絶縁層の存在により高比抵抗で低鉄損を得ることができる。例えば、下記特許文献には、このような絶縁層で被覆された軟磁性粉末からなる磁心用粉末を開示している。
特許文献1には、圧粉磁心の製造に用いられる磁心用粉末の製造方法であって、Al及びSiを含む鉄合金の軟磁性粉末からなり該軟磁性粉末の表面近傍に酸化鉄を有する酸化粒子を、非酸化雰囲気で加熱することにより酸化アルミニウムからなる絶縁層により少なくとも一部表面が被覆された絶縁被覆粒子を得る非酸化処理工程を備え、前記磁心用粉末は該絶縁被覆粒子からなることを特徴とする磁心用粉末の製造方法が開示されている。また、特許文献1において、非酸化処理工程の前提として、酸化処理工程が行われることが記載されている。
特許文献2には、軟磁性粉末と、該軟磁性粉末の表面を被覆する酸化アルミニウムからなる第1被覆層と、該軟磁性粉末の焼鈍温度よりも低い軟化点を有する低融点ガラスからなり該第1被覆層の少なくとも一部の表面を被覆する第2被覆層と、を有することを特徴とする圧粉磁心が開示されている。特許文献2において、酸化粒子に非酸化処理工程が行われることが記載されている。
特開2015−088529号公報 特開2015−103770号公報
特許文献1においては、不活性ガスの気流中に酸化粒子を配置して非酸化雰囲気中での熱処理が行われており、実施例では900℃でこの熱処理が行われている。しかし、このような温度では、温度が低いため、結晶粒の成長による鉄損低減効果が十分に得られない場合がある。また、非酸化処理工程の前に行われる酸化処理の温度としては、800〜1100℃が記載されている(特許文献1、段落[0040])。この酸化処理温度を高くした場合(例えば1000℃以上)、結晶粒成長による鉄損低減効果は得られると考えられるが、酸化条件下で高温で加熱すると、酸化膜が厚くなり過ぎてしまう。酸化膜が厚くなりすぎると、圧粉磁心にした際のインダクタンスが最適値から低下し過ぎてしまう場合がある。なお、インダクタンスは酸化皮膜の膜厚に主に依存する。
それゆえ、特許文献1の方法では、鉄損を十分に低減するために軟磁性粉末を高温で加熱すると、酸化皮膜が厚くなり過ぎてしまい、圧粉磁心にした際に所望のインダクタンスを得ることができないという課題があった。換言すると、特許文献1の方法では、インダクタンスが最適となる条件を選択すると、鉄損を十分に低減できないという課題があった。特許文献2においても同様の問題が存在する。
そこで、本開示の目的は、最適インダクタンスと低鉄損を両立できる磁心用粉末の製造方法を提供することである。
本実施形態は、以下の通りである。
Fe−Si−Al系合金粉末を不活性雰囲気中にて1000℃以上1300℃以下の温度で熱処理し、結晶粒を成長させる粒成長熱処理工程と、
前記粒成長熱処理工程後、前記合金粉末を酸化雰囲気中にて800℃以上1000℃未満の温度で加熱し、酸化皮膜を形成する酸化熱処理工程と、
を含む、磁心用粉末の製造方法。
本開示により、最適インダクタンスと低鉄損を両立できる磁心用粉末の製造方法を提供することができる。
本実施形態に係る磁心用粉末の製造方法に用いることができる熱処理装置の構成例を示す模式的概念図である。 本実施形態に係る磁心用粉末の製造方法における加熱炉内の温度プロファイルの例を示すグラフである。 本実施形態に係る磁心用粉末の製造方法における加熱炉内の温度プロファイルの例を示すグラフである。
本実施形態は、Fe−Si−Al系合金粉末を不活性雰囲気中にて1000℃以上1300℃以下の温度で熱処理し、結晶粒を成長させる粒成長熱処理工程と、前記粒成長熱処理工程後、前記合金粉末を酸化雰囲気中にて800℃以上1000℃未満の温度で加熱し、酸化皮膜を形成する酸化熱処理工程と、を含む、磁心用粉末の製造方法である。
本実施形態では、主に結晶粒を成長させるための熱処理(粒成長熱処理)を行った後に、主に酸化皮膜を形成するための熱処理(酸化熱処理)を行う。また、粒成長熱処理は非酸化雰囲気中にて選択した温度範囲にて行われ、酸化熱処理は酸化雰囲気中にて選択した温度範囲にて行われる。本実施形態では、初めに行われる粒成長熱処理工程において、Fe−Si−Al系合金粉末を不活性雰囲気中にて1000℃以上1300℃以下の温度で熱処理し、これにより結晶粒を十分に成長させ、鉄損を十分に低減させる。そして、続いて行われる酸化熱処理において、粒成長熱処理が施された合金粉末を酸化雰囲気中にて800℃以上1000℃未満の温度で加熱し、これにより酸化皮膜を所望のインダクタンスが得られる膜厚となるように形成する。本実施形態では、粒成長を促進するための粒成長熱処理の加熱温度としては、結晶粒を十分に促進できるように比較的高い温度(1000℃以上1300℃以下)を選択し、酸化皮膜を形成するための酸化熱処理の加熱温度としては、酸化皮膜が厚くなり過ぎないように、比較的低い温度範囲(800℃以上1000℃未満)を選択する。本実施形態により、最適インダクタンスと低鉄損を両立できる磁心用粉末の製造方法を提供することができる。
以下、本実施形態についてより詳しく説明する。
[軟磁性粉末]
本実施形態において、軟磁性粉末としては、Fe−Si−Al系合金粉末を用いる。Fe−Si−Al系合金粉末は、Al及びSiを含む鉄合金である。その主成分であるFeの一部は、強磁性元素であるCo又はNiなどで置換されていてもよい。Alの存在により、軟磁性粉末の表面近傍に酸化アルミニウムを含む酸化皮膜(絶縁層)を形成することができる。Siは、軟磁性粉末の電気抵抗率の向上、圧粉磁心の比抵抗の向上(渦電流損失の低減)又は強度向上などに寄与し得る。
Fe−Si−Al系合金粉末の組成は、特に制限されるものではないが、圧粉磁心の磁気特性、磁心用粉末の成形性、酸化アルミニウムを含む酸化皮膜の形成性などを考慮して、合金粉末全体を100質量%とした場合、Alが、0.5〜5.0質量%、1.0〜4.5質量%又は1.5〜4.0質量%であり、Siが、0.5〜9.0質量%、1.0〜7.0質量%又は1.5〜6.5質量%であり、残部が主にFeからなることが好ましい。
なお、この合金粉末には、Fe以外の残部として、不可避不純物が当然含まれ得る。また、合金粉末は、圧粉磁心の磁気特性や比抵抗、磁心用粉末の成形性、酸化皮膜の形成性などを改善し得る改質元素を1種以上含有し得る。このような改質元素として、例えばMn、Cr、Mo、Ti、Niなどが考えられる。通常、改質元素量は微量であり、その合計量は、好ましくは3.0%以下であり、より好ましくは1.0%以下である。
軟磁性粉末の製法は、特に制限されるものではない。軟磁性粉末は、例えば、アトマイズ粉であっても、粉砕粉であってもよい。アトマイズ粉は、水アトマイズ粉、ガスアトマイズ粉、ガス水アトマイズ粉のいずれでもよい。略球状をした粒子からなるアトマイズ粉を用いると、粒子相互間の攻撃性が低くなり、絶縁層の破壊などによる比抵抗値の低下などを抑制し得る。粉砕粉は、例えば、合金インゴットをボールミルなどで粉砕して得ることができる。
軟磁性粉末の粒径(メディアン径D50)は、特に限定されるものではないが、30〜250μmであることが好ましい。粒径が30μm以上である場合、圧粉磁心のヒステリシス損失の増加を抑制し易くなる。さらに、粒径が250μm以下である場合、圧粉磁心の渦電流損失の増加や圧粉磁心の強度低下を抑制し易くなる。
[粒成長熱処理工程]
本実施形態において、まず、Fe−Si−Al系合金粉末を不活性雰囲気中にて1000℃以上1300℃以下の温度で熱処理し、結晶粒を成長させる。
粒成長熱処理工程は、主に軟磁性粉末の結晶粒を成長させる工程である。不活性雰囲気中にて1000℃以上1300℃以下という比較的高温で軟磁性粉末を加熱することにより、結晶粒を十分に成長させることができ、これにより十分に鉄損を低減させることができる。
不活性雰囲気としては、不活性ガス雰囲気及び真空雰囲気が挙げられる。不活性ガス雰囲気に用いられる不活性ガスとしては、例えば、He、Arなどが挙げられる。不活性ガスは、Nではないことが好ましい。不活性ガス雰囲気の露点は、好ましくは−40℃以下、より好ましくは−50℃以下である。
粒成長熱処理の加熱温度は、好ましくは、1000℃超であり、1050℃以上であり、1080℃以上である。粒成長熱処理の加熱温度は、好ましくは、1300℃未満であり、1250℃以下であり、1200℃以下である。
粒成長熱処理の加熱時間は、加熱温度にも依るが、例えば、0.1〜5時間、0.3〜4時間、0.5〜3時間である。粒成長熱処理の時間は、所望の鉄損低減効果を考慮して適宜選択することができる。
[酸化熱処理工程]
本実施形態において、粒成長熱処理工程後、合金粉末を酸化雰囲気中にて800℃以上1000℃未満の温度で加熱し、酸化皮膜を形成する。
酸化熱処理工程は、主に酸化皮膜を粒子表面に形成させる工程である。酸化雰囲気中にて800℃以上1000℃未満という比較的低い温度で粒成長熱処理後の合金粉末を加熱することにより、酸化皮膜が厚くなり過ぎないように制御しながら酸化皮膜を形成することができる。
酸化雰囲気は、特に制限されるものではなく、適度な酸素(特にO)を含む環境であればよい。酸化雰囲気は、混合ガスで構成されてもよく、例えば、Oと不活性ガス(例えばN、He、Arなど)の混合ガス(気流)を用いることができる。この場合、混合ガス中のO量は、例えば、0.1〜30体積%、0.5〜25体積%である。酸化熱処理工程は、大気中で行ってもよい。酸化雰囲気の露点は、好ましくは−40℃以下であり、より好ましくは−50℃以下である。
酸化熱処理の加熱温度は、好ましくは800℃超であり、850℃以上である。酸化熱処理の加熱温度は、好ましくは950℃以下である。
酸化熱処理の加熱時間は、酸化雰囲気中の酸素濃度や加熱温度にも依るが、例えば、0.1〜5時間、0.3〜4時間、0.5〜3時間である。酸化熱処理の時間は、形成される酸化皮膜の厚さを考慮して適宜選択することができる。
ところで、酸化熱処理工程において、絶縁層としての酸化皮膜が形成される理由は必ずしも定かではないが、以下のように推測される。Fe−Si−Al合金を酸化雰囲気にて酸化物生成と元素拡散が生じる温度で加熱すると、Fe、Al、Siの酸化物のうち最も標準生成自由エネルギーが低いアルミニウムの酸化膜が優先的に形成される。この際、主にアルミニウムが粒子内部から拡散して表面に集まることにより粒子表面に酸化膜が形成される。
いずれにしても、本実施形態に係る酸化熱処理工程により、Fe−Si−Al系合金粉末の表面に、高比抵抗及び高耐熱性を有する酸化皮膜を形成できることは確かである。
酸化皮膜の主な構成成分としては酸化アルミニウムが挙げられる。また、酸化皮膜は、酸化アルミニウム以外にも、酸化ケイ素又は酸化鉄などを含んでもよい。酸化皮膜は、絶縁性、磁気特性及びガラスとの相性などの観点から、実質的に酸化アルミニウムからなることが好ましい。酸化皮膜を軟磁性粉末の表面に形成することで、絶縁性を向上できる。
酸化皮膜の膜厚は、厚すぎると透磁率が低くなる場合があるので、0.01〜2μmであることが好ましく、0.1〜1μmであることがより好ましい。酸化皮膜の膜厚は、例えば以下のような方法で測定できる。まず、酸化皮膜が形成された軟磁性粉末を樹脂に埋め込んだ後、鏡面研磨して粉末断面を露出させる。そして、粉末断面を例えばFE−SEMを用いて観察し、膜厚を測定する。複数の粒子(例えば100個)について膜厚を測定し、その平均値を酸化皮膜の膜厚とすることができる。
粒成長熱処理工程及び酸化熱処理工程は、例えば、加熱炉を用いて行うことができる。図1は、本実施形態に係る磁心用粉末の製造方法に用いることができる装置の構成例を示す模式的概念図である。図1において、まず、加熱炉51内に、軟磁性粉末Pが配置される。不活性ガスを導入する前に、加熱炉51内は真空排気される。そして、加熱炉51内に、不活性ガス供給源41aから、露点調整装置42、露点計43を介して、露点調整装置42で調整された不活性ガスを供給する。不活性ガス供給源41aには、不活性ガス(たとえばAr、Heなど)が充填されている。加熱炉51内の出口側にも露点計44が配置されている。具体的には、軟磁性粉末を加熱する際には、露点調整装置42を用いて、加熱炉51内のガス雰囲気下における露点を例えば−40℃以下に管理しながら、不活性ガス供給源41aから、加熱炉51内に不活性ガスを送り込む。次に、ヒータ52を用いて加熱炉51内を加熱し、加熱炉51内に配置された温度計53の計測温度に基づいて、軟磁性粉末Pの均熱時の加熱温度が1000℃以上1300℃以下となるように、炉内温度を所定の時間管理する。このようにして粒成長熱処理工程が行われる。粒成長熱処理が終わった後、不活性ガスを加熱炉51内から排気する。次に、酸素を含む混合ガスを混合ガス供給源41bから加熱炉51内に供給する。混合ガスは、露点を例えば−40℃以下に管理しながら加熱炉51内に送達される。次に、ヒータ52を用いて加熱炉51内を加熱し、温度計53の計測温度に基づいて、軟磁性粉末Pの加熱温度が800℃以上1000℃未満となるように、炉内温度を所定の時間管理する。このようにして酸化熱処理工程が行われる。
粒成長熱処理工程から酸化熱処理工程に移行する際、一旦軟磁性粉末を冷却してもよい。すなわち、本実施形態は、粒成長熱処理工程と酸化熱処理工程の間に、冷却工程を含んでもよい。冷却工程を行う場合は、加熱炉中の温度プロファイルは、例えば、図2に示すようになる。また、本実施形態において、冷却工程を行わずに、粒成長熱処理工程からそのまま酸化熱処理工程に移行してもよい。この場合、例えば、図3に示すように、炉内温度を酸化熱処理の加熱温度よりも下げずに連続的に酸化熱処理工程を行うことができる。
本実施形態において、酸化熱処理工程の後、解砕処理を行ってもよい。すなわち、本実施形態において、酸化熱処理工程の後、粉末に凝集が発生した場合、粉末を適宜解砕することができる。
以上説明した工程により磁心用粉末を得ることができる。
[圧粉磁心の製造]
本実施形態で得られた磁心用粉末を用いて、圧粉磁心を製造することができる。圧粉磁心の製造方法は、所望形状のキャビティを有する金型へ磁心用粉末を充填する充填工程と、磁心用粉末を加圧成形して成形体とする成形工程と、成形体を焼鈍する焼鈍工程と、を含む。
磁心用粉末は、焼鈍温度よりも低い軟化点温度を有する低融点ガラスを含んでもよい。すなわち、低融点ガラスを上記熱処理が行われた軟磁性粉末に添加し、軟磁性粉末の表面を被覆するように低融点ガラスからなる低融点ガラス皮膜を形成してもよい。
低融点ガラスは、例えば、珪酸塩系ガラス、硼酸塩系ガラス、ビスマス珪酸塩系ガラス、硼珪酸塩系ガラス、酸化バナジウム系ガラス、又はリン酸系ガラスなどを挙げることができる。これらの低融点ガラスは、圧粉磁心を焼鈍する際の軟磁性粉末の焼鈍温度よりも低い軟化点温度を有する。
珪酸塩系ガラスには、例えば、SiO−ZnO、SiO−LiO、SiO−NaO、SiO−CaO、SiO−MgO、SiO−Alなどを主成分とするものがある。ビスマス珪酸塩系ガラスには、例えば、SiO−Bi−ZnO、SiO−Bi−LiO、SiO−Bi−NaO、SiO−Bi−CaOなどを主成分とするものがある。硼酸塩系ガラスには、例えば、B−ZnO、B−LiO、B−NaO、B−CaO、B−MgO、B−Alなどを主成分とするものがある。硼珪酸塩系ガラスには、例えば、SiO−B−ZnO、SiO−B−LiO、SiO−B−NaO、SiO−B−CaOなどを主成分とするものがある。酸化バナジウム系ガラスには、例えば、V−B、V−B−SiO、V−P、V−B−Pなどを主成分とするものがある。リン酸系ガラスには、例えば、P−LiO、P−NaO、P−CaO、P−MgO、P−Alなどを主成分とするものがある。これら低融点ガラスは、上述した成分以外に、SiO、ZnO、NaO、B、LiO、SnO、BaO、CaO、Alなどの1種以上を適宜含有し得る。
低融点ガラスの含有量は、磁心用粉末を100質量%としたときに、0.05〜5.0質量%であることが好ましい。低融点ガラスの含有量が0.05質量%以上である場合、十分な低融点ガラス皮膜を形成し易くなり、高比抵抗で高強度な圧粉磁心を得易くなる。低融点ガラスの含有量が5.0質量%以下である場合、圧粉磁心の磁気特性の低下を効果的に抑制することができる。
低融点ガラス皮膜は、軟磁性粉末よりも粒径の小さい微粒子として軟磁性粉末の表面に付着した層であってもよく、軟磁性粉末の表面に連続的に付着した層であってもよい。例えば、低融点ガラス皮膜を形成する際には、低融点ガラスからなる微粒子の粉末と軟磁性粉末とを分散媒中で混合してこれを乾燥してもよく、加熱により軟化した低融点ガラスを軟磁性粉末に付着させてもよい。また、低融点ガラスからなる微粒子の粉末と軟磁性粉末とを、PVA又はPVBなどの結合剤(バインダー)により結合してもよい。低融点ガラス皮膜が、軟磁性粉末よりも粒径の小さい微粒子として軟磁性粉末の表面に付着した層からなる場合、後工程の圧粉成形及び焼鈍を経て、連続的な皮膜となり得る。
得られた圧粉磁心用粉末を圧粉成形して、圧粉成形体を製造し、これを熱処理により焼鈍する。本実施形態では、圧粉磁心用粉末から圧粉成形体を、例えば一般的に知られた金型潤滑や、または内部潤滑剤を含む温間圧縮成形法により成形してもよい。これらの詳細は特開2016−148100号公報や特許第6048378号公報に記載されている。
得られる圧粉磁心は、上述の理由により、最適インダクタンスと低鉄損を両立できる。また、軟磁性粉末の表面に絶縁層としての酸化皮膜が形成されているため、高比抵抗、高強度を発揮し得る。
また、圧粉磁心は、その形態を問わず、各種の電磁機器、例えば、モータ、アクチュエータ、トランス、誘導加熱器(IH)、スピーカ、リアクトルなどに利用され得る。具体的には、電動機又は発電機の界磁又は電機子を構成する鉄心に用いられることが好ましい。中でも、低鉄損が要求される駆動用モータ用の鉄心に、本実施形態で得られる圧粉磁心は好適である。駆動用モータは、例えば自動車などに用いられる。
以下に、本実施形態について実施例に基づき説明する。
[実施例1]
軟磁性粉末として、鉄−シリコン−アルミニウム合金粉末(ガス水アトマイズ粉末)を用意した。
次に、軟磁性粉末を炉内に配置し、1100℃で3時間加熱した(粒成長熱処理工程)。この熱処理は、アルゴンガス(露点:−60℃)を0.5L/minの割合で炉へ流入させる不活性雰囲気中で行った。10℃/分で、常温から1100℃まで軟磁性粉末を昇温し、1100℃で3時間加熱した。加熱終了後、1100℃〜常温まで冷却した。
次に、同じ炉を用いて、粒成長熱処理が施された軟磁性粉末を900℃で2時間加熱した(酸化熱処理工程)。この熱処理は、大気(露点:−60℃)を0.5L/minの割合で炉へ流入させる酸化雰囲気中で行った。10℃/分で、常温から900℃まで軟磁性粉末を昇温し、900℃で2時間加熱した。加熱終了後、900℃〜常温まで冷却した。こうして磁心用粉末E1を得た。なお、この粒成長熱処理工程と酸化熱処理工程の加熱炉内の温度プロファイルは図2のようになる。
[比較例1]
粒成長熱処理工程における加熱温度を950℃としたこと以外は、実施例1と同様にして磁心用粉末C1を得た。
[比較例2]
比較例2では、粒成長熱処理工程を行わず、軟磁性粉末に酸化熱処理工程のみを施した。具体的には、軟磁性粉末を、回転炉内に配置し、大気中で900℃で2時間加熱した(酸化熱処理工程)。この熱処理は、大気(露点:−60℃)を0.5L/minの割合で回転炉へ流入させる酸化雰囲気中で行った。10℃/分で、常温から900℃まで軟磁性粉末を昇温し、900℃で2時間加熱した。加熱終了後、900℃〜常温まで冷却した。こうして磁心用粉末C2を得た。
[比較例3]
加熱温度を850℃としたこと以外は、比較例2と同様にして磁心用粉末C3を得た。
以上の実施例1及び比較例1〜3の製造条件を以下の表1にまとめる。
Figure 2019127602
次に、圧粉成形体を焼鈍する際の焼鈍温度よりも低い軟化点温度を有する低融点ガラスとして、SiO−B−ZnO−BaO系の低融点ガラス粉末(軟化点520℃)を用意した。この低融点ガラス粉末1質量部と、軟磁性粉末99質量部とを乳鉢を用いて混合し、圧粉磁心用粉末を調製した。
[評価]
次に、得られた磁心用粉末E1及びC1〜C3を金型にそれぞれ投入し、金型温度130℃、成形圧力10t/cmの条件で、金型潤滑温間高圧成形法により、外径39mm、内径30mm、厚さ5mmのリング形状の圧粉成形体を作製した。そして、得られた圧粉成形体を、窒素雰囲気下で、750℃で30分の焼鈍(焼結)を行なった。これによりリング試験片としての圧粉磁心E1及びC1〜C3を作製した。
(鉄損及びインダクタンスの測定)
得られた圧粉磁心E1及びC1〜C3について、以下の方法により、鉄損及びインダクタンスを測定した。各圧粉磁心(リング試験片)にφ0.5mmの銅線を用いて、励磁用90ターン及び検出用90ターンの巻き線を巻いた。交流磁気測定装置(IWATSU社製)を用いて、0.1T、20kHzにて鉄損を測定し、10mA、20kHzにてインダクタンスを測定した。結果を表2に示す。なお、表2において、最も鉄損が高かった圧粉磁心C3の鉄損を100%として、圧粉磁心E1及びC1〜C2の鉄損を示す。
大電流が流れるリアクトルの場合、高磁場が印加されるため、この高磁場領域までリアクトルの昇圧性能、すなわちコアのインダクタンスが求められる。Fe系材料の表面に酸化膜などの絶縁膜を付与した粉末の圧粉コアの場合、高磁場領域のインダクタンスを確保しようとすると、低磁場領域、たとえばリング試験片の10mA、20kHzにおけるインダクタンスは1〜1000μH/cmが望ましい。さらには10〜800μH/cm、さらには100〜600μH/cmが望ましい。
Figure 2019127602
以上、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更があっても、それらは本発明に含まれるものである。
P 軟磁性粉末
41a 不活性ガス供給源
41b 混合ガス供給源
42 露点調整装置
43 露点計
44 露点計
51 加熱炉
52 ヒータ
53 温度計

Claims (1)

  1. Fe−Si−Al系合金粉末を不活性雰囲気中にて1000℃以上1300℃以下の温度で熱処理し、結晶粒を成長させる粒成長熱処理工程と、
    前記粒成長熱処理工程後、前記合金粉末を酸化雰囲気中にて800℃以上1000℃未満の温度で加熱し、酸化皮膜を形成する酸化熱処理工程と、
    を含む、磁心用粉末の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113674983A (zh) * 2021-08-20 2021-11-19 合肥工业大学 一种致密的氧化铝包覆的软磁粉末的制备方法

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