以下、本発明を適用した電子写真方式で画像を形成する電子写真方式の画像形成装置について説明する。
まず、実施形態に係る画像形成装置の基本的な構成について説明する。図1は、実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。同図において、本画像形成装置は、潜像担持体としての感光体1や、本体筐体50に対して着脱可能に構成された給紙カセット100などを備えている。給紙カセット100の内部には、複数の記録媒体たる記録シートSをシート束の状態で収容している。
給紙カセット100内の記録シートSは、後述する給送ローラ35の回転駆動によってカセット内から送り出されて、後述する分離ニップを経た後に給送路42内に至る。その後、一対の給送中継ローラ41の搬送ニップに挟み込まれて、給送路42内を搬送方向の上流側から下流側に向けて搬送される。給送路42の末端付近には、一対のレジストローラ49が配設されている。記録シートSは、このレジストローラ49のレジストニップに先端を突き当てた状態で搬送が一時中止される。その突き当ての際、記録シートSのスキューが補正される。
レジストローラ49は、記録シートSを後述する転写ニップで感光体1の表面のトナー像に重ね合わせ得るタイミングで回転駆動を開始して、記録シートSを転写ニップに向けて送り出す。この際、給送中継ローラ41が同時に回転駆動を開始して、一時中止していた記録シートSの搬送を再開する。
本体筐体50の上部には、画像読取部60が取り付けられている。また、画像読取部60には、自動原稿搬送装置61が取り付けられている。自動原稿搬送装置61は、原稿トレイ61aに載置された原稿束から原稿を1枚ずつ分離して画像読取部60上のコンタクトガラスに自動給紙するものである。画像読取部60は、自動原稿搬送装置61によってコンタクトガラス上に搬送された原稿を読み取る。
図2は、本画像形成装置における感光体1とその周囲の構成とを拡大して示す拡大構成図である。図中反時計回り方向に回転駆動せしめられるドラム状の感光体1の周囲には、回収スクリュウ3、クリーニングブレード2、帯電ローラ4、潜像形成手段たる潜像書込装置7、現像手段たる現像装置8、転写手段たる転写ローラ10などが配設されている。導電性ゴムローラ部を具備する帯電ローラ4は、感光体1に接触しながら回転して帯電ニップを形成している。この帯電ローラ4には、電源から出力される帯電バイアスが印加されている。これにより、帯電ニップにおいて、感光体1の表面と帯電ローラ4の表面との間で放電が発生することで、感光体1の表面が一様に帯電せしめられる。
潜像書込装置7は、LEDアレイを具備しており、感光体1の一様帯電した表面に対して、パーソナルコンピュータから入力される画像データや、画像読取部60によって読み取った原稿の画像データに基づくLED光による光照射を行う。感光体1の一様帯電した地肌部のうち、光照射された領域は、電位を減衰させる。これにより、感光体1の表面に静電潜像が形成される。
静電潜像は、感光体1の回転駆動に伴って、現像装置8に対向する現像領域を通過する。現像装置8は、循環搬送部や現像部を有しており、循環搬送部には、トナーと磁性キャリアとを含有する現像剤を収容している。循環搬送部は、後述する現像ローラ8aに供給するための現像剤を搬送する第1スクリュウ8bや、第1スクリュウ8bの直下に位置する独立した空間で現像剤を搬送する第2スクリュウ8cを有している。更には、第2スクリュウ8cから第1スクリュウ8bへの現像剤の受け渡しを行うための傾斜スクリュウ8dも有している。現像ローラ8a、第1スクリュウ8b、及び第2スクリュウ8cは、互いに平行な姿勢で配設されている。これに対し、傾斜スクリュウ8dは、それらから傾いた姿勢で配設されている。
第1スクリュウ8bは、自らの回転駆動に伴って現像剤を同図の紙面に直交する方向における奥側から手前側に向けて搬送する。この際、自らに対向配設された現像ローラ8aに一部の現像剤を供給する。第1スクリュウ8bによって同図の紙面に直交する方向における手前側の端部付近まで搬送された現像剤は、第2スクリュウ8cの上に落とし込まれる。
第2スクリュウ8cは、現像ローラ8aから使用済みの現像剤を受け取りながら、受け取った現像剤を自らの回転駆動に伴って同図の紙面に直交する方向における奥側から手前側に向けて搬送する。第2スクリュウ8cによって同図の紙面に直交する方向における手前側の端部付近まで搬送された現像剤は、傾斜スクリュウ8dに受け渡される。そして、傾斜スクリュウ8dの回転駆動に伴って、同図の紙面に直交する方向における手前側から奥側に向けて搬送された後、同方向における奥側の端部付近で、第1スクリュウ8bに受け渡される。
現像ローラ8aは、筒状の非磁性部材からなる回転可能な現像スリーブと、現像スリーブに連れ回らないようにスリーブ内に固定されたマグネットローラとを具備している。そして、第1スクリュウ8bによって搬送されている現像剤の一部をマグネットローラの発する磁力によって現像スリーブの表面で汲み上げる。現像スリーブの表面に担持された現像剤は、現像スリーブの表面に連れ周りながら、スリーブとドクターグレードとの対向位置を通過する際に、その層厚が規制される。その後、感光体1に対向する現像領域で、感光体1の表面に摺擦しながら移動する。
現像スリーブには、トナーや感光体1の地肌部電位と同極性の現像バイアスが印加されている。この現像バイアスの絶対値は、潜像電位の絶対値よりも大きく、且つ、地肌部電位の絶対値よりも小さくなっている。このため、現像領域においては、感光体1の静電潜像と現像スリーブとの間にトナーをスリーブ側から潜像側に静電移動させる現像ポテンシャルが作用する。この一方で、感光体1の地肌部と現像スリーブとの間には、トナーを地肌部側からスリーブ側に静電移動させる地肌ポテンシャルが作用する。これにより、現像領域では、感光体1の静電潜像にトナーが選択的に付着して静電潜像が現像される。
現像領域を通過した現像剤は、現像スリーブの回転に伴って、スリーブと第2スクリュウ8cとの対向領域に進入する。この対向領域では、マグネットローラに具備される複数の磁極のうち、互いに極性の異なる2つの磁極によって反発磁界が形成されている。対向領域に進入した現像剤は、反発磁界の作用によって現像スリーブ表面から離脱して、第2スクリュウ8c上に回収される。
傾斜スクリュウ8dによって搬送される現像剤は、現像ローラ8aから回収された現像剤を含有しており、その現像剤は現像領域で現像に寄与していることからトナー濃度を低下させている。現像装置8は、傾斜スクリュウ8dによって搬送される現像剤のトナー濃度を検知するトナー濃度センサーを具備している。トナー濃度センサーによる検知結果に基づいて、必要に応じて、傾斜スクリュウ8dによって搬送される現像剤にトナーを補給するための補給動作を実行する。
現像装置8の上方には、トナーカートリッジ9が配設されている。このトナーカートリッジ9は、内部に収容しているトナーを、回転軸部材9aに固定されたアジテータ9bによって撹拌している。そして、トナー補給部材9cが本体制御部52(図5参照)から出力される補給動作信号に応じて回転駆動されることで、回転駆動量に応じた量のトナーを現像装置8の第1スクリュウ8bに補給する。
現像によって感光体1上に形成されたトナー像は、感光体1の回転に伴って、感光体1と、転写手段たる転写ローラ10とが当接する転写ニップに進入する。転写ローラ10には、感光体1の潜像電位とは逆極性の帯電バイアスが印加されており、これにより、転写ニップ内には転写電界が形成されている。
上述したように、レジストローラ49は、記録シートSを転写ニップ内で感光体1上のトナー像に重ね合わせうるタイミングで転写ニップに向けて送り出す。転写ニップでトナー像に密着せしめられた記録シートSには、転写電界やニップ圧の作用により、感光体1上のトナー像が転写される。
転写ニップを通過した後の感光体1の表面には、記録シートSに転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは感光体1に当接しているクリーニングブレード2によって感光体1の表面から掻き落とされた後、回収スクリュウ3により、ユニットケーシングの外に向けて送られる。ユニットケーシングから排出された転写残トナーは、廃トナー搬送装置によって廃トナーボトルに送られる。
クリーニングブレード2によってクリーニングされた感光体1の表面は、除電手段によって除電された後、帯電ローラ4によって再び一様に帯電せしめられる。感光体1の表面に当接している帯電ローラ4には、トナー添加剤や、クリーニングブレード2で除去し切れなかったトナーなどの異物が付着する。この異物は、帯電ローラ4に当接しているクリーニングローラ5に転移した後、クリーニングローラ5に当接しているスクレーパー6によってクリーニングローラ5の表面から掻き落とされる。掻き落とされた異物は、上述した回収スクリュウ3の上に落下する。
図1において、感光体1と転写ローラ10とが当接する転写ニップを通過した記録シートSは、定着装置44に送られる。定着装置44は、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ44aと、これに向けて押圧される加圧ローラ44bとの当接によって定着ニップを形成している。定着ニップに挟み込まれた記録シートSの表面には、加熱や加圧の作用によってトナー像が定着せしめられる。その後、定着装置44を通過した記録シートSは、排紙路45を経た後、排紙ローラ46の排紙ニップに挟み込まれ、排紙ローラ46により機外へ排出される。排出された記録シートSは、本体筐体50の上面に設けられたスタック部51にスタックされる。
図3は、潜像書込装置7と感光体1とを示す斜視図である。
潜像書込装置7が備えるLEDアレイは、焦点距離が短いため、図3に示すように、潜像書込装置7を感光体1に近接配置する必要がある。本実施形態においては、感光体1、帯電ローラ4、現像装置8、クリーニングブレード2などを一体的に構成したプロセスカートリッジとして、本体筐体50から着脱可能に構成している。図3に示すように、潜像書込装置7を感光体1に近接配置するため、プロセスカートリッジを装置本体に対して着脱するとき邪魔となる。そのため、本実施形態においては、感光体1に近接した潜像形成位置と、感光体1から離間した退避位置との間を、潜像書込装置7を移動させる退避機構を備えている。
図4は、退避機構200の概略構成図である。図4は、潜像書込装置7が感光体1に潜像を形成する潜像形成位置に位置しているときを示している。
図4に示すように、退避機構200は、装置本体に回動自在に支持された第一リンク部材201と、潜像書込装置7を保持し、装置本体に回動自在に支持された第二リンク部材202とを備えている。また、第一リンク部材201と第二リンク部材202とを連結する連結手段としての連結機構203を備えている。
連結機構203は、第一連結部材203aと、第二連結部材203bとを有している。第一連結部材203aは、一端が第一リンク部材201に回動自在に支持され、他端が、連結軸203cに回動自在に支持されている。また、第二連結部材203bは、一端が連結軸203cに回動自在に支持され、他端が第二リンク部材202に回動自在に支持されている。連結軸203cは、カバー部材205に設けられた図中左右に延びる連結案内孔205aを貫通している。
第二リンク部材202は、潜像書込装置7のLEDアレイ74を保持するホルダ75の長手方向両端部に設けられた支持突起72が貫通し、第二リンク部材202の回動の支点A1に向かって延びる長孔状の支持孔202aが設けられている。潜像書込装置7の支持突起72がこの支持孔202aを貫通することにより、潜像書込装置7が退避機構200に支持される。また、支持突起72は、カバー部材205に設けられたガイド部たる露光案内孔205bを貫通している。また、潜像書込装置7のホルダ75には、案内突起73が設けられており、この案内突起73も、露光案内孔205bを貫通している。
第一リンク部材201は、中心角が略90°の扇形状をしており、第一リンク部材201の円周方向一端に第一連結部材203aが回動自在に支持されている。第一リンク部材201の円周方向他端には、ボス部201aが設けられている。
第二リンク部材202には、付勢手段としてトーションスプリング204の一端を引っ掛けるための引っ掛け部202bが設けられている。トーションスプリング204は、一端がこの引っ掛け部202bに引っ掛けられて、他端をカバー部材205に引っ掛けられることで、第二リンク部材202を図中矢印S方向に付勢している。
このトーションスプリング204の付勢力により、第二リンク部材202及び連結軸203c(第一、二連結部材a,b)は、第一リンク部材201側へ移動するような力を受ける。このとき、第一リンク部材201の回動の支点A2と連結軸203cとを結んだ線分Aよりも第一連結部材203aの第一リンク部材支持位置A3が図中下側にある。その結果、連結軸203cの第一リンク部材201側へ移動するような力によって、支持位置A3に矢印T1方向に移動させようとする力が生じ、第一リンク部材201が、図中反時計回りに回動させようとする力が生じる。これにより潜像書込装置7を感光体1側へ付勢させ、潜像形成位置に位置させている。
プロセスカートリッジを着脱するための本体筐体50の開閉カバーを開いていくと、開閉カバーに設けられた引っ掛けレバーが、第一リンク部材201のボス部201aに当接し、第一リンク部材101がトーションスプリング204の付勢力に抗して図中時計回りに回動する。トーションスプリング204の付勢力に抗して第一リンク部材201を回動させていき、第一リンク部材201の回転の支点A2と、連結軸203cとを結ぶ線分A上に第一リンク部材101の第一連結部材支持位置A3よりも上方に移動すると、トーションスプリング204の付勢力による第一リンク部材101を回転させようとする方向が、図中反時計回りから、図中時計回りに切り替わる。その結果、第一リンク部材201が、トーションスプリング204の付勢力により潜像書込装置7を退避位置へ移動させる回動方向(図中反時計回り)に自動的に回転し、潜像書込装置7を退避位置へ移動させる。
LEDアレイ74においては、各LED素子74bの形状、特性等にばらつきがあったり、LEDチップの配列に微小なズレがあったり、レンズアレイの光学特性に周期的又は非周期的な変化があったりすることにより、各LED素子74bに同一の駆動電力を印加しても発光光量が同一とならない。その結果、記録シートSに形成された画像に、記録シートSの幅方向(以下、主走査方向という)に濃度ムラが生じる。このように、主走査方向に濃度ムラがあると、記録シートSの搬送方向(以下、副走査方向という)に延びる縦スジ、縦帯等が発生し、画像品質が低下しまう。
そこで、予め所定の装置を用いて、各LED素子74bの光量を測定し、各LED素子74bが同じ発光光量となるように、各LED素子74bに印加する駆動電力を補正する第一の光量補正値を求め記憶しておく。そして、かかる第一の光量補正値に基づいて、LEDアレイ74を制御することで、LEDアレイ74に起因する主走査方向の濃度ムラを抑えることができる。
しかし、主走査方向の濃度ムラは、LEDアレイ74に起因するだけではなく、感光体1、帯電ローラ4、現像装置8、転写ローラ10、定着装置44などの作像エンジンを起因にして発生する場合がある。そこで、本実施形態においては、作像エンジンを起因にして発生する主走査方向の濃度ムラを解消するために、第一の光量補正値に基づいてLEDアレイ74を制御してテストパターンを記録シートSに形成し、記録シートSに形成したテストパターンを画像読取部60で読み取る。次に、画像読取部60で読み取った読み取りデータに基づいて、作像エンジンを起因にして発生する主走査方向の濃度ムラを求める。次に、求めた主走査方向の濃度ムラに基づいて、各LED素子の発光光量(印加電力)を補正する第二の光量補正値を算出する。そして、LEDアレイ74に起因する主走査方向の濃度ムラを抑える第一の光量補正値と、作像エンジンを起因にして発生する主走査方向の濃度ムラを抑える第二の光量補正値とに基づいて、第三の光量補正値を算出する。画像形成時は、この第三の光量補正値に基づいて、LEDアレイ74を制御して感光体1に潜像を書き込むことにより、LEDアレイ74に起因する主走査方向の濃度ムラ、作像エンジンを起因に起因する主走査方向の濃度ムラの両方が抑えられた、良好な画像を形成できるようにしている。
図5は、主走査方向の濃度ムラ補正制御の電気回路の一部を示すブロック図である。
図5に示すように、潜像書込装置7が備えるLEDアレイ74には、主走査方向に並べて配置された複数のLED素子74b、各LED素子を駆動するためのIC(Integrated Circuit)ドライバ74a、LEDアレイ74の発光光量のバラツキを補正するための第一光量補正値を記憶するROM(Read Only Memory)74cを有している。
画像形成装置の全体の制御を司る本体制御部52には、画像読取部60で読み取った記録シートSに形成したテストパターンの読み取りデータに基づいて、主走査方向の画像濃度情報を取得する画像濃度取得部86、画像濃度取得部86により取得された画像濃度情報を示す濃度データを記憶する記憶部87、記憶部87に記憶された画像濃度情報に基づいて、各LED素子の発光光量を補正する第二光量補正値を算出する光量補正値算出部88を有している。
また、本体制御部52には、LEDアレイ74から、第一光量補正値を取得する第一光量補正値取得部85、第一光量補正値取得部85で取得した第一光量補正値と、光量補正値算出部88で算出した第二光量補正値とに基づいて、画像形成時に用いる第三光量補正値を演算する演算部82も備えている。また、本体制御部52は、画像形成時に、演算部82で演算した第三光量補正値をLEDアレイ74へ転送する補正値転送部83を有している。また、本体制御部52は、感光体1、帯電ローラ4、現像装置8、転写ローラ10、定着装置44などの作像エンジンを制御して、記録シートSに画像を形成する画像形成処理部84を備えている。この画像形成処理部84は、記録シートSにテストパターンを形成する制御も行うものであり、後述するように、長さ情報取得手段たる操作表示部89が取得した記録シートの副走査方向長さ情報と、記録シートを搬送する搬送部材間の記録シート搬送距離とに基づいて、テストパターンを形成する位置や、テストパターンの副走査方向長さを設定するものである。
図6は、主走査方向の濃度ムラ取得制御の制御フロー図である。
まず、本体制御部52の第一光量補正値取得部85が、LEDアレイ74のROM74cに記憶されている第一光量補正値を取得する(S1)。かかる第一光量補正値は、上述したように、予め所定の装置を用いて、LEDアレイ74の各LED素子の光量を測定し、各LED素子が同じ発光光量となるように、各LED素子74bに印加する駆動電力を補正するデータである。
次に、本体制御部52は、取得した第一光量補正値を、補正値転送部83によりLEDアレイ74のICドライバ74aへ転送する(S2)。また、画像形成処理部84は、作像エンジンを構成する各装置に制御信号を送信して、テストパターンの形成する画像形成処理を実行する(S3)。LEDアレイ74のICドライバ74aは、画像形成処理部84から制御信号と、テストパターンデータとを受信したら、補正値転送部83から受信した第一光量補正値に基づいて各LED素子74bを制御し、感光体1の表面にテストパターンの潜像を形成する。また、後述するように、設定したテストパターンの形成位置や副走査方向長さに基づいて、LEDアレイ74の照射タイミングや、照射終了タイミングを制御する。
図7(a)は、第一光量補正値の一例を示すグラフであり、図7(b)は、第一光量補正値に基づいて、各LED素子74bを制御したときの主走査方向の光量分布を示すグラフである。
図7(a)に示すように、主走査方向において、光量補正値が大きい箇所は、発光光量が少ない箇所である。よって、かかる箇所では光量補正値(駆動電力)を大きくし、光量を基準の光量にする。一方、光量補正値(補正駆動電力)が小さい箇所は、発光光量が多い箇所である。よって、かかる箇所では光量補正値(補正駆動電力)を小さくして、光量を基準の光量にする。これにより、図7(b)に示すように、発光光量が、主走査方向でほぼ均一にすることができる。
その後、そのテストパターンの潜像が現像装置8により現像され、転写ローラ10により記録シートSの所定の位置に転写され、定着装置44により記録シートSに定着される。そして、このテストパターンが形成された記録シートSが排出されて印刷が終了したら(S4のYes)、テストパターンの濃度データの取得処理に移行する(S5)。
図8は、記録シートSに形成されるテストパターン171の一例を示す図である。
図8に示すように、テストパターン171は記録シートSの副走査方向(搬送方向)及び主走査方向(幅方向)の全てに均一なハーフトーンの画像である。テストパターンをハーフトーン画像とすることで、規定の明るさより明るく(画像濃度が薄く)なる箇所、規定の明るさより暗く(画像濃度が濃く)なる箇所の両方を、良好に検知することができ好ましい。また、テストパターンを形成する記録シートの主走査方向長さは、本画像形成装置が形成可能な主走査方向の最大サイズ以上にし、テストパターン171を主走査方向に一杯に形成するのが好ましい。これにより、主走査方向端のほうに対しても補正がかかるようにすることができる。
このようなテストパターン171に主走査方向の濃度ムラがあると、副走査方向に延びる縦スジ、縦帯等が発生する。上記テストパターン171は、先の図7(a)に示した、第一光量補正値に基づいて、各LED素子74bを制御して潜像を形成したものであり、図7(b)に示したように、各LED素子74bから感光体表面に照射される光量は、主走査方向でほぼ均一となっている。従って、主走査方向において、感光体表面は、ある電位にほぼ均一に減衰されるため、テストパターンの主走査方向の濃度ムラが、LEDアレイ74とは別の要因を主要因とするものになる。
記録シートSにテストパターン171を印刷したら、本体制御部52は、画像形成装置の操作表示部89などに、テストパターン171が形成された記録シートSを画像読取部60にセットして、テストパターン171の読み込みを指示する。作業者が、操作表示部の指示に基づいて、テストパターン171が形成された記録シートSを画像読取部60にセットして画像の読み込みを開始すると、本体制御部52の画像濃度取得部86において、画像濃度情報たる主走査方向の画像濃度データが取得される(S5)。そして、取得した画像濃度データは、記憶部87に記憶される(S6)。
画像濃度取得部86における画像濃度データの取得方法の一例としては、図8に示すように、テストパターン171を所定の面積(Xdot×Ydot)を有する複数のエリア1〜nに分割し、エリア1〜n毎に平均濃度を取得する方法が挙げられる。
例えば、Xdot=1dotとし、A4サイズの記録シートSの主走査方向(幅方向)の濃度データを600dpiの解像度で取得する場合、210mm×(600dpi/25.4mm)≒4960個分のエリアの画像濃度データが得られる。画像濃度データが8bit(0−255)で表現される場合、4960×8bit=4.96kByteの記憶容量が必要となる。Xdot=2dot又は4dotとすれば、必要な記憶容量は1/2又は1/4となり、記憶部87(図5参照)を安価に構成することができる。しかし、Xdotを大きくし過ぎると、広い面積の濃度が平均化されるため、濃度情報の精度が低下する。Xdotの値や、画像濃度データの解像度は、画像形成装置に応じて適宜決めればよい。例えば、Xdotの値は、主走査方向の濃度ムラが高周期の濃度ムラが支配的なのか、低周期の濃度ムラが支配的なのか把握した上で決めればよい。
一方、各エリア1〜nのYdotの値は記憶容量に影響しないため、Ydotの値は対象となる画像形成装置において副走査方向(搬送方向)の濃度ムラ(感光体1の一回転周期、転写ローラ10の一回転周期、現像ローラ8aの一回転周期等に起因する周期的な濃度ムラ、又は非周期の濃度ムラ)を加味し、濃度の検出結果に大きな差が生じないように設定すればよい。しかしながら、Ydotの値が大き過ぎると濃度データの取得に時間がかかるため、Ydotの値は要求される精度とデータの取得時間(処理能力)とのバランスを考慮して決定するのが好ましい。
図6に示す主走査方向の濃度ムラ取得制御は、ユーザーやサービスマンにより任意のタイミング、感光体1や潜像書込装置7などの作像エンジンを構成する部材が交換されたタイミング、画像形成装置に電源投入されたタイミングなどで行う。電源投入の都度、実施することにより、常に主走査方向に濃度ムラのない画像を出力することができるという利点がある。一方で、本実施形態の濃度ムラ取得制御は、ユーザーが、テストパターン171が形成された記録シートSを画像読取部60にセットして、テストパターン171を読みこませるという作業が生じる。そのため、電源投入の都度、実施するのを、煩わしく感じるユーザーもいる。よって、電源投入時の濃度ムラ取得制御を実施しないようにユーザーが設定できるようにするのが好ましい。
図9は、本実施形態の画像形成処理の制御フロー図である。
図9に示すように、画像形成開始信号を、本体制御部52が受信したら、まず、記憶部87に記憶されている濃度データを読み出し、光量補正値算出部88で読み出した濃度データに基づいて、第二光量補正値を算出する(S11)。
図10(a)は、記憶部87に記憶されている濃度データの一例を示したグラフであり、図10(b)は、濃度データ(実線)と濃度平均値(破線)と第二光量補正値(一点鎖線)とを示したグラフである。図10(b)に示す、濃度平均値は画像濃度データが示す画像濃度の平均値を示している。
LEDアレイ以外の要因によって、図10(a)に示すように主走査方向に濃度ムラが生じる。かかる主走査方向の濃度ムラは、作像エンジン(感光体1、帯電ローラ4、現像装置8、転写ローラ10および定着装置44)に起因する主走査方向の濃度ムラである。
図10(b)に示すように、第二光量補正値は画像濃度平均値(テストパターンの画像濃度の平均値)と画像濃度データが示す主走査方向各位置の画像濃度とに基づいて算出される。図10(b)に示すように、図中破線で示す画像濃度が薄い(明るい)位置については、その位置に対応するLED素子74bの発光光量が多くなるように補正し、平均濃度よりも濃い(暗い)位置については、その位置に対応するLED素子の発光光量が少なくなるように補正する。具体的には、平均濃度よりも濃度が薄い(明るい)位置については、その位置に対応するLED素子74bに印加する駆動電力を増加させる補正値を求め、平均濃度よりも濃度が濃い(暗い)位置については、その位置に対応するLED素子74bに印加する駆動電力を減少させる補正値を求める。
このように、光量補正値算出部88で第二光量補正値を算出したら、演算部82で、画像形成に用いる第三光量補正値を演算する(図9のS12)。具体的には、光量補正値算出部88で算出した第二光量補正値と、第一光量補正値取得部85で、LEDアレイ74から取得した第一光量補正値とに基づいて、第三光量補正値を演算する。そして、演算した第三光量補正値を、補正値転送部83によりLEDアレイ74のICドライバ74aへ転送(S13)する。補正値転送部83によりLEDアレイ74のICドライバ74aへ転送したら、画像データに基づいて、画像形成処理を行う(S14)。この画像形成処理において、ICドライバ74aは、補正値転送部83から転送された第三光量補正値と、画像データとに基づいて、感光体表面に潜像を形成する。
図11(a)は、第一光量補正値(破線)と第二光量補正値(一点鎖線)と第三光量補正値(実線)との関係を例示するグラフであり、図11(b)は、第三光量補正値に基づいてテストパターンの潜像を形成したときのテストパターンの濃度を示すグラフである。
図11(a)に示すように、第三光量補正値は、第一光量補正値と第二光量補正値とを加算することにより演算される。なお、第三光量補正値の演算方法は、これに限られるものではなく、第一光量補正値及び第二光量補正値の演算方法により適宜決めればよい。
第三光量補正値は、LEDアレイ74に起因する主走査方向の濃度ムラが補正される第一光量補正値と、作像エンジンに起因する主走査方向の濃度ムラが補正される第二光量補正値に基づいて演算されるものである。従って、かかる第三光量補正値に基づいて、画像形成された画像は、LEDアレイ74および作像エンジンに起因する主走査方向の濃度ムラが抑制された画像となる。よって、第三光量補正値に基づいて、補正された光量で、潜像が形成された画像は、図11(b)に示すように主走査方向の濃度分布が均一な画像となり、縦スジや縦帯のない高品位な画像を得ることができる。
本実施形態においては、先の図6に示した主走査方向の濃度ムラ取得制御においては、テストパターン171の主走査方向の濃度ムラを取得して終了しているが、第二光量補正値の算出まで行ってもよい。第二光量補正値の算出まで行う場合、記憶部87には、第二光量補正値が記憶される。また、主走査方向の濃度ムラ取得制御において、第三光量補正値まで演算してもよい。この第三光量補正値の演算まで行う場合は、記憶部87に第三光量補正値が記憶される。また、この場合、画像形成時においては、LEDアレイから第一光量補正値を取得する必要がなく、記憶部87に記憶された第三光量補正値を、LEDアレイ74のICドライバ74aに送信する。
また、テストパターン171の検知結果に基づいて、主走査方向の濃度ムラの補正が必要であるか否かを判断し、主走査方向の濃度ムラの補正が必要でないと判断した場合は、画像形成時において、第三光量補正値を算出せず、第一光量補正値に基づいて、LEDアレイ74を制御してもよい。
また、ユーザーやサービスマンが、主走査方向の濃度ムラ補正後に出力された画像を見て、主走査方向の濃度ムラが改善されないと判断した場合や悪化していると判断した場合は、第三光量補正値を演算しないようにユーザーやサービスマンが設定できるようにしてもよい。第三光量補正値を演算しないようにユーザーやサービスマンが設定した場合は、例えば、記憶部87に記憶されている濃度データを削除し、第一光量補正値に基づいて、LEDアレイ74を制御するようにする。
また、第一光量補正値を用いずに、テストパターン171を形成し、LEDアレイ74を起因とする主走査方向濃度ムラと、LEDアレイ以外を起因とする主走査方向濃度ムラとが重畳された主走査方向濃度ムラを読み取りデータから取得する。そして、LEDアレイ74を起因とする主走査方向濃度ムラと、LEDアレイ以外を起因とする主走査方向濃度ムラとが重畳された主走査方向濃度ムラに基づいて第三光量補正値を算出してもよい。
しかし、第一光量補正値でLEDアレイ74に起因する主走査方向の濃度ムラを抑制したうえで、テストパターン171を形成し、テストパターン171からLEDアレイ以外の要因による主走査方向の濃度ムラを取得するのが好ましい。これは、第一光量補正値を用いずに、テストパターン171を形成した場合、テストパターン171の主走査方向の濃度ムラは、LEDアレイ74を起因とする主走査方向濃度ムラと、LEDアレイ以外を起因とする主走査方向濃度ムラとが重畳されたものになる。その結果、例えば、LEDアレイ74に起因して濃度が濃くなる箇所と、LEDアレイ以外の要因で濃度が濃くなる箇所とが重なった場合、濃度の上限値に達してしまうおそれがある。具体的に説明すると、例えば、テストパターンを255階調の中間調(127階調)となる画像濃度で形成し、LEDアレイ74に起因して70階調分暗く(濃度が濃く)なる箇所と、LEDアレイ74以外の要因で70階調分暗く(濃度が濃く)なる箇所とが重なった場合、本来、140階調分暗く(濃度が濃く)なる箇所が、上限値(階調値0)に達してしまい、127階調分しか検知できないのである。よって、テストパターンの画像濃度データに基づいて算出した補正データで各LED素子の光量を補正しても、濃度ムラが残ってしまう。
一方で、本実施形態のように、第一光量補正値でLEDアレイ74に起因する主走査方向の濃度ムラを抑制したうえで、テストパターン171を形成することで、テストパターン171の主走査方向の濃度ムラを抑えることができ、濃度が上限値に達するなどの不具合が生じるのを抑制することができる。これにより、良好に主走査方向の濃度ムラを抑制することができるという利点がある。
図12は、変形例の主走査方向濃度ムラ補正制御の制御フロー図であり、図12(a)は、主走査方向濃度ムラ取得制御のフロー図であり、図12(b)は画像形成時の制御フロー図である。
この変形例は、まず、図12(a)に示すように、実施形態と同様にして、第一光量補正値に基づいて形成されたテストパターン171の濃度データ(第一の濃度データ)を記憶部87に記憶する(S21〜S25)。次に、実施形態と同様に、第一の濃度データに基づいて算出した第二光量補正値と、第一光量補正値とに基づいて第三光量補正値を演算する(S26〜S27)。次に、この演算された第三光量補正値に基づいて、再度、記録シートにテストパターン171を形成し、この記録シートSに形成されたテストパターン171を画像読取部60で読み取って、第二の濃度データを、記憶部87に記憶する(S28〜S31)。
画像形成時においては、まず、記憶部87に記憶されている第一の濃度データに基づいて、第二光量補正値を算出する(S41)。次に、記憶部87に記憶されている第二の濃度データに基づいて、第四光量補正値を算出する(S42)。次に、演算部82で、第一光量補正値と、第二光量補正値と、第四光量補正値とを加算して第五光量補正値を算出する(S43)。そして、この第五光量補正値に基づいて、画像を形成する(S44〜S45)。
この変形例では、第三光量補正値では、除去しきれなかった主走査方向の濃度ムラも抑制することができ、更なる主走査方向の濃度ムラの改善を図ることができる。
次に、本実施形態の特徴点について説明する。
従来においては、テストパターン171が形成される位置などが同一であるため、複数のテストパターンが形成された記録シートSが手元にある場合、どの記録シートが、今回の主走査方向濃度ムラ補正制御で出力されたものなのか判別がつかなくなり、過去の主走査方向濃度ムラ補正制御で出力された記録シートSを、画像読取部60にセットするおそれがあった。また、図12に示した変形例の主走査方向濃度ムラ補正制御では、2回、テストパターンが形成された記録シートSを出力し、2回光量補正を行うため、2回目のテストパターンの読取において、1回目に出力された記録シートをセットしまうおそれが高い。
このように、今回、読み取るべきテストパターンとは、別のテストパターンを読み取ってしまうと、誤った光量補正がなされ、画質が悪化するおそれがあった。
そこで、本実施形態では、テストパターンがどのタイミングで形成されたものであるのかが、ユーザーが、テストパターンが形成された記録シートSからわかるようにし、間違った記録シートSが画像読取部60にセットされるのを抑制できるようにした。以下、実施例として、具体的に説明する。
[実施例]
図13は、実施例に係る電気回路の一部を示すブロック図である。
図13に示すように、実施例1においては、先の図5に示したブロック図に対して、カウンター、シート判定部が追加されている。カウンターは、画像の最適化処理である主走査方向濃度ムラ取得制御が実行されるとカウントアップされるものである。シート判定部は、画像読取部にセットされた記録シートが、今回セットされるべき記録シートであるか否かを判定するものである。
図14は、実施例に係る主走査方向の濃度ムラ取得制御の制御フロー図である。
まず、ユーザーが操作表示部89を操作して、主走査方向濃度ムラ取得制御が実行されると、カウンター90のカウント値がカウントアップする(S51)。この実施例では、主走査方向濃度ムラ取得制御開始時にカウンター90のカウント値がカウントアップされるが、主走査方向濃度ムラ取得制御終了時にカウンター90のカウント値がカウントアップされるようにしてもよい。
次に、上述と同様にして、第一光量補正値を取得(S52)し、取得した第一光量補正値を、補正値転送部83によりLEDアレイ74のICドライバ74aへ転送する(S53)。また、カウンター90から、カウント値を取得(S54)し、第一光量補正値に基づいて各LED素子74bを制御し、感光体1の表面にテストパターンの潜像と、カウント値の潜像を感光体1に形成する(S55)。その後、テストパターンと、カウント値が形成された記録シートSが排出され、操作表示部89などに、テストパターン171が形成された記録シートSを画像読取部60にセットして、テストパターン171の読み込みを行なうよう指示をする。
図15は、記録シートSにテストパターンとカウント値とを形成した一例を示す図である。
図15に示すように、記録シートSの規定の位置に、主走査方向(幅方向)の全てに均一なハーフトーンの画像からなるテストパターン171と、画像の最適化処理を行う毎に変化する特徴部としてのカウント値(数字)174が印字される。本実施形態では、記録シートの右隅にカウント値174が印字されているが、これに限られるものではない。
このように、記録シートに、カウント値174が印字されることで、テストパターンが形成された記録シートが複数手元にあっても、印字された数字の最も大きいものが、今回の制御で出力された記録シートであることをユーザーは、判別することができる。これにより、過去の制御で出力された記録シートが誤って画像読取部60にセットされるのを抑制することができる。
また、操作表示部89に、数字X(カウンター90のカウント値)が印字されたテストパターンが形成された記録シートを画像読取部60にセットするように指示してもよい。これにより、ユーザーが、過去の制御で出力された記録シートを誤って画像読取部60にセットするのをより一層抑制することができる。
作業者が、操作表示部89の指示に基づいて、テストパターン171とカウント値とが形成された記録シートSを画像読取部60にセットして画像の読み込みを開始すると、本体制御部52の画像濃度取得部86において、画像濃度情報たる主走査方向の画像濃度データが取得される。また、シート判定部91において、文字認識処理により記録シートに印字された数字が取得される(S58)。次に、シート判定部91は、取得した数字と、カウンター90のカウント値とを比較して、取得した数字とカウンター90のカウント値が一致しているか否かをチェックする(S59)。
数字とカウンターのカウント値が一致していないとき(S59のNo)は、不適切なシートがセットされた旨を操作表示部89に表示し(S57)、数字X(カウンターのカウント値)が印字されたテストパターンが形成された記録シートを画像読取部にセットするように指示して、画像の読み込みの開始を待つ。
一方、数字とカウンターのカウント値が一致しているとき(S59のYes)は、取得した画像濃度データを、記憶部87に記憶し(S60)、主走査方向の濃度ムラ取得制御の制御が終了して、通常の画像形成モードに戻る。
これにより、過去の露光値補正制御で使用されたテストパターンの濃度データが、誤って記憶部に記憶されるのを防止することができる。よって、記憶部87に記憶された濃度データから、精度よく第二光量補正値を算出することができ、主走査方向の濃度ムラを良好に抑制することができる。
また、この実施例では、今回の補正値算出に用いるべきテストパターンが形成された記録シートでない場合、操作表示部にその旨を表示し、ユーザーに報知しているが、報知手段としてのスピーカで、音声でユーザーに報知してもよい。また、報知手段としての警告ランプを点灯させて、ユーザーに報知してもよい。
また、この実施例では、特徴部として、このカウンターのカウント値を用いているが、これに限られない。
例えば、画像の最適化処理を行う毎に変化する特徴部として、日時を用いてもよい。具体的には、時計部を設け、主走査方向濃度ムラ取得制御が開始されたときの日時を記憶し、記憶された日時を、テストパターンとともに記録シートに形成する。シート判定部91は、記憶された日時と、画像読取部60で読み取った画像データから取得した日時とを比較し、セットされた記録シートが適切か否かを判定する。
また、カウンターのカウント値や、主走査方向濃度ムラ取得制御が開始されたときの日時情報などをコード化した画像を特徴部としてテストパターンとともに記録シートに形成してもよい。上記コード化した画像としては、図16に示すバーコード172や図17に示すQRコード173が挙げられる。なお、バーコードやQRコードは、主走査方向濃度ムラ取得制御を行う毎に変化するが、その変化は、作業者からは判別が困難であるため、図16、図17に示すように、カウント値など、作業者が判別な特徴部も印字するのが好ましい。
シート判定部91は、画像読取部60で読み取ったバーコード172やQRコード173などのコード化した画像から、カウンターのカウント値や主走査方向濃度ムラ補正が開始されたときの日時情報などを取得して、セットされた記録シートが適切か否かを判定する。このような、バーコード172やQRコード173などのコード化した画像を形成することで、文字認識からカウンターのカウント値や日時情報を取得する場合に比べて、良好に、カウンターのカウント値や日時情報を取得することができる。
また、図18に示すように、主走査方向濃度ムラ取得制御を行う毎にテストパターンの副走査方向(図中y方向)の形成位置を変更してもよい。例えば、1回目の主走査方向濃度ムラ補正のときは、図18(a)に示すy0の位置にテストパターンを形成し、2回目の主走査方向濃度ムラ補正のときは、図18(b)に示すy1の位置にテストパターンを形成する。3回目の主走査方向濃度ムラ補正のときは、図18(a)、(b)に示す位置とは異なるy2の位置にテストパターンを形成する。ユーザーは、主走査方向濃度ムラ取得制御を行う毎に変化する特徴部としてのテストパターンの形成位置から、過去のものか今回のものかを判別することができる。
テストパターンの形成位置y0、y1、y2・・・・yxまで達したら、テストパターンの形成位置をy0に戻し、テストパターンの形成位置をループさせる。
また、画像読取部60に記録シートのセットを指示する旨とともに、セットする記録シートのテストパターンの形成位置を、操作表示部で知らせるようにしてもよい。また、シート判定部91は、テストパターンの形成位置から、セットされた記録シートが適切か否かを判定することができる。
また、テストパターンに副走査方向に延びる横筋状の濃度ムラであるショックジターが生じることがある。このショックジターは、例えば、記録シートSが記録シートを搬送する搬送部材から抜けたり、搬送部材へ突入したりするタイミングにより発生する振動で起こることがあり、記録シートが搬送部材を抜けるタイミングや突入するタイミングが一定であるため、記録シートの副走査方向の規定の位置でショックジターが生じる。テストパターンの形成位置が常に同じである場合、ショックジターの発生位置とテストパターンの形成位置とが同じであると、テストパターンには、常にショックジターが生じた状態となってしまい、精度よく第二光量補正値を算出することができないおそれがある。これに対し、主走査方向濃度ムラ取得制御を行う毎にテストパターンの副走査方向(図中y方向)の形成位置を変更することで、1回目の主走査方向濃度ムラ補正時において、テストパターンにショックジターが生じた場合、再度、主走査方向濃度ムラ取得制御を実行することで、テストパターンにショックジターが生じなくできる。これにより、精度よく第二光量補正値を算出することができ、主走査方向の濃度ムラを良好に抑制することができる。
また、主走査方向濃度ムラ取得制御を行う毎にテストパターンの副走査方向(図中y方向)の形成位置を変更することで、テストパターンが形成された記録シートを、複数回、主走査方向濃度ムラ取得制御で用いることができる。すなわち、補正を行うとき、前回の取得制御に用いた記録シートを手差しトレイにセットし、この記録シートに、再度、テストパターンを形成する。今回の取得制御時のテストパターンの副走査方向の位置は、前回とは異なる位置であり、テストパターンが重なることがない。よって、前回の取得制御に用いた記録シートを再利用しても、精度よく第二光量補正値を算出することができ、主走査方向の濃度ムラを良好に抑制することができる。また、記録シートの無駄を抑制することができる。
また、テストパターンの副走査方向の形成位置を変更するともに、QRコードやバーコードなどのコード化画像や、カウント値も記録シートに形成するようにしてもよい。
この実施例では、主走査方向の濃度ムラ取得制御が、画像の最適化処理に該当する。また、この実施例では、画像の最適化処理としての主走査方向の濃度ムラ取得制御は、テストパターン171の主走査方向の濃度ムラを取得して終了しているが、第二光量補正値の算出まで行ってもよい。この場合は、第二光量補正値が記憶部に記憶されたら、画像の最適化処理である主走査方向の濃度ムラ取得制御が終了する。また、主走査方向の濃度ムラ取得制御で、第三光量補正値まで演算してもよい。この場合、第三光量補正値が記憶部に記憶されたら、画像の最適化処理である主走査方向の濃度ムラ取得制御が終了する。画像の最適化処理である主走査方向の濃度ムラ取得制御は、画像読取部60でテストパターンが読み込まれた後、通常の画像形成モードに移行した時点で、終了したことを判断することができる。
また、実施例では、画像の最適化処理としての主走査方向の濃度ムラ取得制御毎に特徴部(カウンタ値、日時情報、コード化画像、テストパターンの副走査方向の形成位置)を変化させているが、テストパターンの形成毎に特徴部を変化させてもよい。例えば、画像形成処理部84でテストパターンの形成が行われる際に、カウンター90のカウント値がカウントアップされるようにし、テストパターンが形成される毎にカウント値をアップするようにする。これにより、記録シートに印字されるカウント値174を、テストパターンが形成される毎に変化する特徴部とすることができる。
特に、特徴部として、テストパターンの副走査方向の形成位置を用いた場合において、テストパターンが形成される毎に変化させるのが好ましい。これは、主走査方向の濃度ムラ取得制御毎にテストパターンの副走査方向の形成位置を変化させる場合、テストパターンにショックジターが生じたとき、このショックシターが生じているテストパターンを画像読取部で読取処理して濃度ムラ取得制御を一回終了させないと、テストパターンの副走査方向の形成位置が変化しない。一方、テストパターンが形成される毎にテストパターンの副走査方向の形成位置を変更する場合は、テストパターンにショックジターが生じているとき、テストパターンを画像読取部で読取処理することなく、再度、テストパターンの形成を行うことで、テストパターンの副走査方向の形成位置が変化し、ショックジターが生じていないテストパターンを得ることができる。これにより、作業を簡素化することができるという利点が生じるからである。
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
記録シートSなどの記録媒体上に画像を形成する画像形成手段(本実施形態では、感光体1、帯電ローラ4、潜像書込装置7、現像装置8、転写ローラ10、定着装置44などで構成)と、記録媒体上に形成された画像を読み取る画像読取部60などの読取手段と、画像形成手段により記録媒体に形成されたテストパターンを読取手段により読み取り、読み取ったテストパターンの画像データに基づいて画像を最適化するための所定の補正値を算出する補正値算出手段(本実施形態では、光量補正値算出部88および演算部82などで構成)と、を有する画像形成装置において、前記テストパターンを含む画像は、前記テストパターンが形成される毎または前記画像の最適化処理を行う毎に変化する特徴部(本実施形態では、カウンタ値、日時情報、コード化画像、テストパターンの副走査方向の形成位置)を有する。
これによれば、ユーザーは、テストパターンが形成された記録媒体が、今回の補正値算出のために出力したものなのか、過去の補正値算出に用いたものなのかを特徴部から把握することができる。これにより、過去の補正値算出に用いたテストパターンが形成された記録媒体が、読取手段に誤ってセットされるのを抑制することができる。
(態様2)
態様1において、テストパターンを含む画像の画像データに基づいて、今回の補正値算出に用いるべきテストパターンが形成された記録シートSなどの記録媒体が、画像読取部60などの読取手段にセットされたか否かを判断し、今回の補正値算出に用いるべきテストパターンが形成された記録媒体でない場合は、今回の補正値算出に用いるべきテストパターンが形成された記録媒体が、読取手段にセットされていない旨をユーザーに報知する報知手段(本実施形態では、操作表示部89、スピーカ、警告ランプ等が該等)を備えた。
これによれば、過去の補正値算出で用いた不適切な記録シートのテストパターンに基づいて、補正値が算出されるのを防止することができる。また、ユーザーに適切な記録シートを読取手段にセットさせることができる。
(態様3)
態様2において、
前記特徴部が、前記テストパターンが形成されたタイミングを示す情報(カウント値や日時情報)をコード化した画像(バーコードやQRコード)である。
これにより、読取手段でコード化した画像を読み取ることで、今回の補正値算出でセットされるべき適切な記録シートか否かの判定を行うことができる。
(態様4)
態様1乃至3いずれかにおいて、特徴部が、前記テストパターンの形成回数または前記画像の最適化処理の回数を示す数字を含む。
これによれば、図15に示すように、テストパターンの形成回数または画像の最適化処理の回数から、最も数字の大きいものが、今回の最適化処理で出力したものであることを、容易に把握することができる。
(態様5)
態様1乃至4いずれかにおいて、特徴部が、前記テストパターンの形成位置を含む。
これによれば、図18に示すように、テストパターンの形成位置から、今回の最適化処理で出力したものであるか否かを判別することができる。また、テストパターンが形成された記録媒体に、再度、テストパターンを形成することが可能となり、再利用することができる。
(態様6)
態様5において、前記テストパターンの形成位置が、前記テストパターンの副走査方向の位置である
これによれば、前回、テストパターンにショックジターが生じた場合、再度、最適化処理またはテストパターンの形成を行うことで、ショックジターが生じていないテストパターンを形成することができる。
(態様7)
態様1乃至6いずれかにおいて、画像形成手段は、感光体1などの潜像担持体の表面を露光して前記潜像担持体に潜像を形成する潜像書込装置7などの潜像形成手段と、前記潜像を現像する現像装置8などの現像手段と、前記現像手段により現像された画像を、搬送手段により搬送されてきた記録媒体に転写する転写ローラ10などの転写手段とを備え、前記補正値算出手段は、読み取った前記テストパターンの画像データに基づいて前記露光の光量を補正する露光補正値を算出する。
これによれば、実施形態で説明したように、精度の高い露光量補正値を算出することができ、主走査方向の画像濃度ムラを良好に抑えることができる。