JP2019124226A - 燃料噴射弁 - Google Patents

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泰介 杉井
石井 英二
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英二 石井
一樹 吉村
Kazuki Yoshimura
一樹 吉村
義人 安川
Yoshito Yasukawa
義人 安川
清隆 小倉
Kiyotaka Ogura
清隆 小倉
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Takeo Miyake
威生 三宅
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Abstract

【課題】噴孔出口近傍に残留した燃料が炭化してデポジットとして付着することによる、噴霧形状および噴射流量の変化や、排気中の粒子状物質の増大を防止する。【解決手段】変位可能な弁体と、前記弁体と当接して燃料をシートする弁座面と、前記弁座面と前記弁体とが当接する位置よりも弁体先端側に複数の噴孔が形成された燃料噴射弁において、前記複数の噴孔のうち、中心軸線に対して第1の噴孔軸角度で傾斜する第1の噴孔の下流側に設けられた座グリによって形成される開口面積に対して、中心軸線に対して前記第1の噴孔軸角度よりも大きい第2の噴孔軸角度で傾斜する第2の噴孔の下流側に設けられた座グリによって形成される開口面積が小さいことを特徴とする燃料噴射弁。【選択図】 図2

Description

本発明は、ガソリンエンジン等の内燃機関に用いられる燃料噴射弁であって、弁が弁座と当接することで燃料の漏洩を防止し、弁が弁座から離れることによって噴射を行なう、燃料噴射弁に関する。
自動車エンジン用燃料噴射装置では、燃料噴射中もしくは噴射後に、噴孔出口近傍に残留した燃料が炭化してデポジットとして付着する問題がある。このデポジットは、噴射装置の使用時間と伴に噴孔の出口の一部を塞ぐまで成長し、噴霧形状や噴射流量の変化を引き起こす要因となる。また、このデポジットが不完全燃焼を引き起こし、排気中の粒子状物質の増大の要因ともなる。そこで、燃料噴射中もしくは噴射後に、噴孔出口近傍に残留する燃料を低減する必要がある。
これに対して、例えば特許文献1においては、板状の噴孔部材において、中心軸線に垂直な方向のうち特定の方向からみた場合の中心軸線からの距離が近いほど、噴孔テーパ角度を大きくする構造が開示されている。
特開2005−106006号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載されている構造では、残留燃料量が多い噴孔でもテーパ角度が小さくなり、噴孔の開口面積が小さくなるため、残留燃料が弁座表面に付着し、デポジットが形成してしまうという問題がある。
そこで本発明の目的は、上記特許文献に記載の構造によるデポジットの形成という問題を解消し、デポジットを防止することとする。
本発明では、上記目的を達成するために、以下の様な手段を用いることとした。
請求項1に記載の発明によると、変位可能な弁体と、前記弁体と当接して燃料をシートする弁座面と、前記弁座面と前記弁体とが当接する位置よりも弁体先端側に複数の噴孔が形成された燃料噴射弁において、
前記複数の噴孔のうち、中心軸線に対して第1の噴孔軸角度で傾斜する第1の噴孔の下流側開口面積に対して、中心軸線に対して前記第1の噴孔軸角度よりも大きい第2の噴孔軸角度で傾斜する第2の噴孔の下流側開口面積が小さく形成されることを特徴とする燃料噴射弁が提供される。
また、請求項2に記載の発明によると、変位可能な弁体と、前記弁体と当接して燃料をシートする弁座面を備えた燃料噴射弁において、
前記弁座面と前記弁体とが当接する位置よりも弁体先端側において中心軸線に対して第1の噴孔軸角度で傾斜する第1の噴孔群と中心軸線に対して前記第1の噴孔軸角度よりも大きい第2の噴孔軸角度で傾斜する第2の噴孔群とが形成され、
前記第1の噴孔群の何れかの噴孔の下流側開口面積に対して、前記第2の噴孔群の何れかの噴孔の下流側開口面積が小さく形成されることを特徴とする燃料噴射弁が提供される。
請求項3に記載の発明によると、請求項1に記載の燃料噴射弁において、前記複数の噴孔は中心軸線に対する噴孔軸角度が大きいほど、前記下流側開口面積が小さく形成されることを特徴とした。
請求項4に記載の発明によると、請求項1に記載の燃料噴射弁において、前記第1の噴孔及び前記第2の噴孔のうち少なくとも一方は下流側に座グリが形成されており、前記下流側開口面積は前記座グリにより形成されることを特徴とした。
請求項5に記載の発明によると、請求項1に記載の燃料噴射弁において、前記第1の噴孔の下流側に座グリが形成されており、前記下流側開口面積は前記座グリにより形成されることを特徴とした。
請求項6に記載の発明によると、請求項1に記載の燃料噴射弁において、前記第1の噴孔及び前記第2の噴孔のうち少なくとも一方は下流に向けて末広がりのテーパ状に形成されており、前記下流側開口面積は前記テーパ状の下流側端部により形成されることを特徴とした。
請求項7に記載の発明によると、請求項1に記載の燃料噴射弁において、前記第1の噴孔及び前記第2の噴孔のうち少なくとも一方の下流側には、下流に向けて末広がりのテーパ状の座グリが形成されており、前記下流側開口面積は前記座グリにより形成されることを特徴とした。
請求項8に記載の発明によると、請求項1に記載の燃料噴射弁において、前記第1の噴孔及び前記第2の噴孔は下流に向けて末広がりのテーパ状に形成されており、前記下流側開口面積は前記テーパ状の下流側端部により形成され、前記第1の噴孔と燃料との接触角がθ11、前記第2の噴孔と燃料との接触角がθ22であるときに、前記第1の噴孔のテーパ開き角度φおよび前記第2の噴孔の開き角度φは、φ > 180−2θ11およびφ < 180−2θ22からなる関係を満たすことを特徴とした。
請求項9に記載の発明によると、請求項1に記載の燃料噴射弁において、前記第1の噴孔及び前記第2の噴孔の下流には、下流に向けて末広がりのテーパ状の座グリが形成されており、前記下流側開口面積は前記テーパ状の下流側端部により形成され、前記第1の噴孔と燃料との接触角がθ11、前記第2の噴孔と燃料との接触角がθ22であるときに、前記第1の噴孔のテーパ開き角度φおよび前記第2の噴孔の開き角度φは、φ > 180−2θ11およびφ < 180−2θ22からなる関係を満たすことを特徴とした。
請求項10に記載の発明によると、請求項2に記載の燃料噴射弁において、
前記第1の噴孔群の全ての噴孔の下流側開口面積に対して、前記第2の噴孔群の全ての噴孔の下流側開口面積が小さく形成されることを特徴とした。
本発明によれば、噴孔内および噴孔出口の近傍に発生するデポジットを防止して、噴霧形状や噴射流量の経時変化が無く、粒子状物質の排出が少ない燃料噴射装置を実現することで、排気性能や燃費性能を高めた内燃機関を実現することが可能となる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明に係る燃料噴射弁の実施例を示す断面図である。 本発明の第1実施例に係る燃料噴射弁において、弁体先端の近傍を拡大した断面図である。 本発明の第1実施例に係る燃料噴射弁において、燃料が噴射された直後における弁体先端の近傍を拡大した断面図である。 本発明の第1実施例に係る燃料噴射弁において、噴霧終了時における弁体先端の近傍を拡大した断面図である。 従来の燃料噴射弁における、噴霧終了時の噴孔の周辺を模式的に示した図である。 従来の燃料噴射弁における、弁座表面に液膜が付着した時の噴孔の周辺を模式的に示した図である。 従来の燃料噴射弁における、座グリ部に液膜が付着した時の噴孔の周辺を模式的に示した図である。 本発明の第1実施例に係る燃料噴射弁において、座グリ部にメニスカスが形成された時の噴孔の周辺を模式的に示した図である。 本発明の第2実施例に係る燃料噴射弁において、弁体先端の近傍を拡大した断面図である。 本発明の第2実施例に係る燃料噴射弁において、噴霧終了後、残留燃料が座グリ部に移動した際の断面図である。 本発明の第3実施例に係る燃料噴射弁において、弁体先端の近傍を拡大した断面図である。 本発明の第4実施例に係る燃料噴射弁において、弁体先端の近傍を拡大した断面図である。 本発明の第5実施例に係る燃料噴射弁おいて、噴霧終了時における弁体先端の近傍を拡大した断面図である。 本発明の第1実施例に係る燃料噴射弁において、座グリ部を第1の噴孔のみに形成した場合の弁体先端の近傍を拡大した断面図である。 本発明の第2実施例に係る燃料噴射弁において、座グリ部の形状を変更した場合の弁体先端の近傍を拡大した断面図である。 座グリ部の内部における残留燃料の界面付近を示す模式図である。
以下、図面を用いて本発明の実施例について説明する。
まず、図1および図2を用いて、本発明の第1の実施例の構造を説明する。
図1は、本発明に係る燃料噴射装置の例として、電磁式燃料噴射装置の例を示す断面図である。図1を用いて噴射装置の基本的な動作を説明する。図1において、燃料は燃料供給口112から供給され、燃料噴射弁の内部に供給される。図1に示す電磁式燃料噴射弁100は、通常時閉型の電磁駆動式であって、コイル108に通電がないときには、弁体101がスプリング110によって付勢され、ノズル体104に溶接などで接合されたシート部材102に押し付けられ、燃料がシールされるようになっている。このとき、筒内噴射用燃料噴射弁では、供給される燃料圧力がおよそ1MPaから50MPaの範囲である。
図2は弁体の先端を拡大した断面図である。燃料噴射弁が閉弁状態にあるときには、弁体101はノズル体104に溶接などで接合されたシート部材102に設けられた円錐面からなる弁座面203と当接することによって燃料のシールを保つようになっている。このとき、弁体101側の接触部は曲面202によって形成されており、弁座面203と曲面202の接触はほぼ線接触の状態になっている。図1に示したコイル108に通電されると、電磁弁の磁気回路を構成するコア107、ヨーク109、アンカー106に磁束密度を生じて、空隙のあるコア107とアンカー106の間に磁気吸引力を生じる。磁気吸引力が、スプリング110の付勢力と前述の燃料圧力による力よりも大きくなると、弁体101はガイド部材103、弁体ガイド105にガイドされながらアンカー106によってコア107側に吸引され、開弁状態となる。
開弁状態となると、弁座面203と弁体の曲面部202との間に隙間を生じ、燃料の噴射が開始される。燃料の噴射が開始されると、燃料圧力として与えられたエネルギは運動エネルギに変換されて、燃料は噴孔301に至り空気中に噴射される。
噴孔301の中心軸801は、弁体101の中心軸204に対して、傾き角を有して形成されている。ここで、噴孔軸801は噴孔上流開口面302の中心と噴孔下流開口面303の中心とを結ぶ直線で形成される。なお、本実施例の噴孔301には座グリ部401が形成されており、噴孔軸801を結ぶ直線として、噴孔下流開口面303の中心ではなくてザグリ部401の開口部901の中心を用いても良い。また、弁体101の中心軸204と、噴孔301の中心軸801がなす傾き角を、噴孔軸角度θと定義する。噴孔軸角度θによって、噴霧形状が決定されるため、要求される噴霧形状に応じて、それぞれの噴孔の噴孔軸角度θが決定される。燃料噴射装置の取り付け位置や、ピストンの位置などが考慮され、噴霧はある一定の方向に向けて噴射される。したがって、通常、噴孔軸角度θはすべての噴孔で同じではなく、複数の角度をもって形成される。本実施例においては、第1の噴孔301aと、第2の噴孔301bは、それぞれ異なる噴孔軸角度θ、θを有している。ここで、θ<θであり、噴霧は中心軸204に対して第2の噴孔301b側に噴射される。また、第1の噴孔301aと、第2の噴孔301bは、それぞれ噴射方向下流側に座グリ部401aおよび401bを有している。燃料は、噴孔301および座グリ部401を通過した後、空気中に噴射される。また、座グリ部401aおよび401bは、弁座表面121上に、それぞれ開口部901aおよび901bを有している。本実施例においては、開口部901aの面積をS1、開口部901bの面積をS2としたときに、S1>S2となるように開口部が形成されている。
図5および図6を用いて、従来例において燃料500がデポジットになる過程を説明する。図5は、噴霧終了時の従来の燃料噴射装置の噴孔301の周辺を模式的に示した図である。図5に示したように、噴射が終了した時点において、噴孔301内、座グリ部401内、および空気中には、残留燃料502が存在する。残留燃料502は、慣性力によって噴射方向に飛び出そうとする力と、表面張力によって噴孔301方向に戻ろうとする力が働いている。ここで、閉弁によって残留燃料502の速度が小さくなり、噴孔301方向に戻ろうとする力の方が大きくなったとき、残留燃料502は噴孔301方向に引っ張られる。図6は、従来例において、残留燃料502が噴孔301方向に引っ張られた結果、弁座表面121上に液膜503として付着した状態の模式図である。座グリ部401内部には、残留燃料502の界面501が形成されている。液膜503は、時間経過によって乾燥、変質し、弁座表面121上にデポジットが形成される。
次に、図3および図4を用いて、本実施例においてデポジットが低減するメカニズムを説明する。図3は、図2に示した燃料噴射装置において、燃料500が噴射された直後における断面図である。弁体101は弁座面203とほぼ接触した状態になっている。図3に示した実施例においても、噴孔301aおよび噴孔301bの内部および下流には、残留燃料502aおよび502bが存在する。本発明者らが鋭意検討した結果、残留燃料502の量は、噴孔軸角度θと関連があり、噴孔軸角度θが大きいほど、残留燃料502の量が少なくなる傾向があるということを見出した。このような傾向になる主なメカニズムとしては、以下の2つが挙げられる。1つは、噴孔軸角度θが大きい場合は、流路抵抗が大きくなるため、噴孔301に流れ込む燃料流量が少なくなり、残留燃料502の量が少なくなりやすいためである。もう1つは、噴孔軸角度θが大きい場合、噴孔301の入口部分での流れ込み角度が大きいため、燃料が噴孔301内部で剥離しやすい。したがって、実効的な噴孔面積が小さくなっており、速度の速い燃料が流入するため、閉弁時に慣性力によって空気中に流れ出す量が多くなり、結果として残留燃料502の量が少なくなりやすいためである。したがって、図3に示したように、噴孔軸角度θが大きい噴孔301bの残留燃料502bの量は、噴孔軸角度θが小さい噴孔301aの残留燃料502aの量よりも少なくなる。図4は、本実施例における、噴霧終了時の断面図である。本発明においては、噴孔軸角度θが小さい噴孔301aにおける座グリ部401aの面積が大きいため、残留燃料502の量が多くても、弁座表面121にはみ出すことなく、座グリ部401a内で受け止めることができる。したがって、図6で示したような弁座表面121上の液膜503の量が少なくなり、デポジットの生成が抑制できる。ここで、座グリ部401は、残留燃料502の量に応じて、適切な大きさに設計される必要がある。例えば、残留燃料502の量に対して座グリ部401が大きすぎる場合、図7に示すように、座グリ部401内部で界面501がメニスカスを形成せず、液膜503が座グリ部401の内部に残り、デポジットが形成されやすくなる。液膜503が噴孔301のエッジ部のごく近傍に残留した場合には、次回の噴射とともに押し流され、クリーニングされるが、図7のように噴孔301と離れて残留した場合、クリーニングされにくい。さらに、座グリ部401が大きすぎる場合、座グリ部401内に保持される残留燃料502の量が多いため、不必要に多くのデポジットが座グリ部401内に形成される。一方、座グリ部401が、残留燃料502の量に対して小さすぎる場合、図6で示したように、残留燃料502が弁座表面121にはみ出してしまい、弁座表面121にデポジットが形成されてしまう。
また、図4に示した例においては、残留燃料502aは、座グリ部401a内部で界面501aを形成し、残留燃料502bは、座グリ部401b内部で界面501bを形成している。このとき、噴孔301aと噴孔301bは燃料噴射装置内部で連通しているため、毛細管効果によって、噴孔301aから噴孔301bに残留燃料502が移動する。すなわち、界面501aは弁体方向へ後退し、界面501bは噴射方向に前進する。結果として、座グリ部401a内部の残留燃料502aの量は減少し、座グリ部401b内部の残留燃料502bの量は増加する。
ここで、毛細管効果によって、燃料が移動する原理は、概ね以下のとおりである。一般的に、2種類の流体の界面においては、圧力差ΔPが生じる。この圧力差は、ラプラス圧と言われ、数1によって表わされる。ここで、γは表面張力であり、R、R’は界面の主曲率半径である。本実施例の場合は、界面は残留燃料502と空気とで形成される。残留燃料502が座グリ部401と濡れ易い場合、図16に示すように座グリ部401の内部で凹面のメニスカスを形成する。
図16は、座グリ部401の内部における残留燃料502の界面付近における模式図である。ただし、図16においては、主曲率半径R’は省略して表示している。この場合、残留燃料502において、ラプラス圧だけの減圧が生じる。減圧量は、数1により、界面の主曲率半径Rが小さいほど大きい。
Figure 2019124226
図4に示した実施例の場合、大きな座グリ部401aに形成された界面501aよりも、小さな座グリ部401bに形成された界面501bの方が主曲率半径Rが小さいため、減圧量が大きい。したがって、界面501a付近と界面501b付近を比較すると、界面501b付近の方が圧力が低くなる。このため、この差圧を駆動力として、残留燃料502は座グリ部401aから座グリ部401bに移動する。移動に伴い、残留燃料502aは減少し、残留燃料502bは増加する。このような移動が生じると、以下の2つの理由から、形成されるデポジットの量は少なくなる。1つ目の理由は、座グリ部401bの方が開口面積が小さく、残留燃料502が噴孔301の近くに存在するため、1度目の噴射によって燃料が残留しても、2度目の噴射時に噴射される燃料とともに残留燃料502が噴射され、クリーニングされやすくなるためである。もう1つの理由は、座グリ部401bの方が開口面積が小さいため、噴孔外に保持される残留燃料502の量が少なく、デポジットの量が少なくなるためである。
以上のように、本発明による実施例においては、まず、残留燃料502の量に応じた大きさの開口部901を有する座グリ部401を形成することで、座グリ部401で残留燃料502を受け止めている。さらに、毛細管効果によって大きな座グリ部401aから小さな座グリ部401bに残留燃料502を移動させている。その結果、上記で説明した理由から、デポジットの生成量を減らすことが可能となる。
なお、本実施例においては、界面501bは座グリ部401b内部に形成されるとしたが、残留燃料502bの量が少ない場合、噴孔301b内部に形成されてもよい。この場合に、デポジットが低減されるメカニズムは、界面501bが座グリ部401b内部に形成された場合と同様である。
また、本実施例においては、第1の噴孔と第2の噴孔のみを示したが、これ以外にも噴孔が形成されていてもよい。また、その噴孔軸角度θは、θやθと等しくてもよい。
また、座グリ部401は、すべての噴孔に形成されている必要はない。例えば、図14に示すように、噴孔301aの下流のみに形成されていてもよい。
図9は、本発明の第2の実施例に関して、弁体の先端を拡大した断面図である。また、図10は、第2の実施例に関して、噴霧終了後、残留燃料502が座グリ部401bに移動した際の断面図である。本実施例においては、座グリ部401は、噴射方向下流に向けて末広がりのテーパ状に形成されている。また、第1の実施例と同様に、第1の噴孔301aの座グリ部401aが形成する開口部901aの面積S1は、第2の噴孔301bの座グリ部401bが形成する開口部901bの面積S2よりも大きくなっている。本実施例では、図10に示したように、座グリ部401aに形成された残留燃料502aの界面501aおよび座グリ部401bに形成された残留燃料502bの界面501bは、残留燃料502の移動後はそれぞれ界面501c、501dとなる。界面501c、501dの曲率半径R1およびR2が等しくなったときに、残留燃料502の移動は終了する。すなわち、第1の実施例と同様に、座グリ部401で残留燃料502を受けとめ、毛細管効果で残留燃料502を第2の噴孔301bへ移動させることが可能となる。したがって、上述した理由によりデポジットの量を低減することが可能となる。さらに、本実施例においては、座グリ部401がテーパ状になっており、座グリ部401と噴孔301の間に大きな段差がないため、残留燃料502が座グリ部401aから噴孔301aに移動する際に、座グリ部401内部に残留しにくい。さらに、座グリ部401bにおいても、大きな段差がないため、次の噴霧で残留燃料502をクリーニングしやすい。このように、噴孔301と座グリ部401の間に段差がない場合や、次に示す第3の実施例のように噴孔301と比較して段差が小さい場合、より効果的にデポジットを低減することが可能となる。また、本発明は、座グリ部401の形状を規定するものではなく、座グリ部401はテーパ状でなくてもよい。例えば、図15に示すように、噴孔301付近で急激に径が増大し、開口部901付近で緩やかに径が増大していてもよい。
図11は、本発明の第3の実施例に関して、弁体の先端を拡大した断面図である。本実施例においては、噴孔301と、座グリ部401の間に、段差部701を設けている。これにより、座グリ401をプレス加工等により形成したあとに、噴孔301を穴あけ加工によって形成する際の加工が容易になる。デポジットの形成が抑制されるメカニズムは、第1の実施例や第2の実施例と同様である。また、段差部701が噴孔301の径に対して小さく、段差部701に残留する燃料は少なくなるため、デポジットが形成されにくい。また、本実施例では、第1の噴孔301aおよび第2の噴孔301bの両方に段差部701を設けたが、どちらか1つに設けてもよい。
図12は、本発明の第4の実施例に関して、弁体の先端を拡大した断面図である。本実施例においては、噴孔301の下流に、座グリ部401を形成していない。この場合においても、座グリ部401の代わりに噴孔301において残留燃料502を受け止め、また毛細管効果によって残留燃料502を移動させることができる。デポジットの形成が抑制されるメカニズムは上記実施例と同様である。また、本実施例においては、噴孔301は下流方向に末広がりのテーパ状としたが、本発明は噴孔301の形状を規定するものではなく、テーパ状に形成されていなくてもよい。
図13は、本発明の第5の実施例に関して、噴霧終了時の弁体の先端を拡大した断面図である。本実施例においては、噴孔301aの下流に形成されたテーパ状の座グリ部401aは、開き角φを有している。また、噴孔301bの下流に形成されたテーパ状の座グリ部401bは、開き角φを有している。ここで、燃料500と座グリ部401aとの接触角をθ11、燃料500と座グリ部401bとの接触角をθ22としたときに、φ > 180−2θ11およびφ < 180−2θ22の関係を満たしている。これにより、界面501aは凸形状になり、界面502bは凹形状となる。ラプラス圧は、凸形状の場合には正圧に、凹形状の場合は負圧になるため、界面501a付近では正圧、界面501b付近では負圧となる。したがって、双方の界面が凹形状である場合と比べて、本実施例では界面501aと界面501bの差圧が大きくなりやすい。すなわち、座グリ部401aから座グリ部401bへの燃料の移動が容易に起きやすい。これにより、上述したメカニズムにより、デポジットの量を低減することが可能となる。
100・・・電磁式燃料噴射弁
101・・・弁体
102・・・弁座部材
103・・・ガイド部材
104・・・ノズル体
105・・・弁体ガイド
106・・・可動子
107・・・磁気コア
108・・・コイル
109・・・ヨーク
110・・・付勢スプリング
111・・・コネクタ
112・・・燃料供給口
121・・・弁座表面
202・・・弁体の曲面
203・・・弁座面
204・・・燃料噴射弁の鉛直方向の中心軸
301・・・噴孔
302・・・噴孔の上流開口面
303・・・噴孔の下流開口面
401・・・座グリ部
500・・・燃料
501・・・残留燃料の界面
502・・・残留燃料
503・・・液膜
701・・・段差部
801・・・噴孔軸
901・・・開口部
本発明では、上記目的を達成するために、以下の様な手段を用いることとした。
請求項1に記載の発明によると、変位可能な弁体と、前記弁体と当接して燃料をシートする弁座面と、前記弁座面と前記弁体とが当接する位置よりも弁体先端側に形成される複数の噴孔と、を備え、前記複数の噴孔のうち、中心軸線に対して第1の噴孔軸角度で傾斜する第1の噴孔と、前記中心軸線に対して前記第1の噴孔軸角度よりも大きい第2の噴孔軸角度で傾斜する第2の噴孔と、を含み、前記第1の噴孔よりも大きい開口面積で前記第1の噴孔の下流側に形成される第1の座グリと、前記第2の噴孔よりも大きい開口面積で前記第2の噴孔の下流側に形成される第2の座グリと、を備え、前記第1の座グリの開口面積は、前記第2の座グリの開口面積よりも大きく形成されることを特徴とする燃料噴射弁が提供される。

Claims (10)

  1. 変位可能な弁体と、前記弁体と当接して燃料をシートする弁座面と、前記弁座面と前記弁体とが当接する位置よりも弁体先端側に複数の噴孔が形成された燃料噴射弁において、
    前記複数の噴孔のうち、中心軸線に対して第1の噴孔軸角度で傾斜する第1の噴孔の下流側開口面積に対して、中心軸線に対して前記第1の噴孔軸角度よりも大きい第2の噴孔軸角度で傾斜する第2の噴孔の下流側開口面積が小さく形成されることを特徴とする燃料噴射弁。
  2. 変位可能な弁体と、前記弁体と当接して燃料をシートする弁座面を備えた燃料噴射弁において、
    前記弁座面と前記弁体とが当接する位置よりも弁体先端側において中心軸線に対して第1の噴孔軸角度で傾斜する第1の噴孔群と中心軸線に対して前記第1の噴孔軸角度よりも大きい第2の噴孔軸角度で傾斜する第2の噴孔群とが形成され、
    前記第1の噴孔群の何れかの噴孔の下流側開口面積に対して、前記第2の噴孔群の何れかの噴孔の下流側開口面積が小さく形成されることを特徴とする燃料噴射弁。
  3. 請求項1に記載の燃料噴射弁において、前記複数の噴孔は中心軸線に対する噴孔軸角度が大きいほど、前記下流側開口面積が小さく形成されることを特徴とする燃料噴射弁。
  4. 請求項1に記載の燃料噴射弁において、前記第1の噴孔及び前記第2の噴孔のうち少なくとも一方は下流側に座グリが形成されており、前記下流側開口面積は前記座グリにより形成されることを特徴とする燃料噴射弁。
  5. 請求項1に記載の燃料噴射弁において、前記第1の噴孔の下流側に座グリが形成されており、前記下流側開口面積は前記座グリにより形成されることを特徴とする燃料噴射弁。
  6. 請求項1に記載の燃料噴射弁において、前記第1の噴孔及び前記第2の噴孔のうち少なくとも一方は下流に向けて末広がりのテーパ状に形成されており、前記下流側開口面積は前記テーパ状の下流側端部により形成されることを特徴とする燃料噴射弁。
  7. 請求項1に記載の燃料噴射弁において、前記第1の噴孔及び前記第2の噴孔のうち少なくとも一方の下流側には、下流に向けて末広がりのテーパ状の座グリが形成されており、前記下流側開口面積は前記座グリにより形成されることを特徴とする燃料噴射弁。
  8. 請求項1に記載の燃料噴射弁において、前記第1の噴孔及び前記第2の噴孔は下流に向けて末広がりのテーパ状に形成されており、前記下流側開口面積は前記テーパ状の下流側端部により形成され、前記第1の噴孔と燃料との接触角がθ11、前記第2の噴孔と燃料との接触角がθ22であるときに、前記第1の噴孔のテーパ開き角度φおよび前記第2の噴孔の開き角度φは、φ > 180−2θ11およびφ < 180−2θ22からなる関係を満たすことを特徴とする燃料噴射弁。
  9. 請求項1に記載の燃料噴射弁において、前記第1の噴孔及び前記第2の噴孔の下流には、下流に向けて末広がりのテーパ状の座グリが形成されており、前記下流側開口面積は前記テーパ状の下流側端部により形成され、前記第1の噴孔と燃料との接触角がθ11、前記第2の噴孔と燃料との接触角がθ22であるときに、前記第1の噴孔のテーパ開き角度φおよび前記第2の噴孔の開き角度φは、φ > 180−2θ11およびφ < 180−2θ22からなる関係を満たすことを特徴とする燃料噴射弁。
  10. 請求項2に記載の燃料噴射弁において、
    前記第1の噴孔群の全ての噴孔の下流側開口面積に対して、前記第2の噴孔群の全ての噴孔の下流側開口面積が小さく形成されることを特徴とする燃料噴射弁。
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