JP2019124216A - 流体ポンプ - Google Patents

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Abstract

【課題】流体の脈動を抑えたコンパクトな流体ポンプを得る。【解決手段】流体吸入・吐出する三つ以上の容積室Bと、容積室Bと相対移動する移動子Dと、移動子Dを駆動するカムCと、移動子D及びカムCの少なくとも何れかを駆動する駆動部Gとを備え、移動子DとカムCとの相対回転の一周期回転角をZとし、流体Wを吐出させる間のカムCの吐出回転角をαとし、容積室Bの数をM、2乃至(M−1)の何れかの整数をNとしてα=(Z/M)×Nであり、特定の容積室Bからの吐出終了時に、これに続くN番目の容積室Bが吐出を開始し、カムCの位相が流体Wの吐出開始である開始位相から第1中間位相を経て吐出最大の中央位相となり終了位相に至るとき、開始位相から中央位相までは第1中間位相を挟んで増加傾向が反転し、開始位相から終了位相までは中央位相を挟んで増加・減少傾向とが対称となる。【選択図】図1

Description

本発明は、車両等に搭載されて作動油などの各種流体を供給する際に吐出圧力の脈動を大幅に低減する流体ポンプに関する。
従来、このような吐出圧力の脈動低減を図った流体ポンプとしては例えば以下の特許文献1に記載されたものがある。
特許文献1に記載された流体ポンプは、船舶の推進用のプロペラを回す二つの油圧モータに作動油を供給するものである。ここでは、ディーゼルエンジンの回転軸に二つの斜板式ピストンポンプを同軸状に取り付け、互いに逆位相で作動油を吐出するように構成されている。
逆位相で吐出された作動油は別々の圧力配管を介して各油圧モータに送られるが、圧力配管の途中にはこれら配管を互いに接続する管路が設けられている。この管路にはフリーピストンが挿入され、二つの油圧ポンプで発生する脈動圧力が一方側から他方側に伝播される。これにより双方の脈動波が互いに打ち消し合い、油圧脈動がほぼ取り除かれて、ディーゼルエンジンの運転時における振動や騒音が低減されるというものである。
また、吐出圧力の脈動低減を図った別のポンプとしては、例えば特許文献2に記載されたベーンポンプがある。
このベーンポンプは、ハウジングと、カムリング、複数個のベーンを有するロータを備え、ロータとベーンとカムリングとの間に形成されるベーン室に対して流体を供給・吐出する吸込ポートと吐出ポートとを備えたものであり、特にベーン室が膨張する区間においてカムリングの内周面の最大傾き角を基準カム曲線の膨張区間における傾き角に対して0.9ないし1.7に設定するというものである。
ここで、カムリングの「最大傾き角」は、当該カムリングが有するカム面の形状をグラフに表したときの曲線の傾きをいう。例えば、横軸をロータの回転角度とし、縦軸をベーンの突出量変化としたときの曲線は略台形状となる。つまり、ロータの回転に際して、ベーンがロータに最も進入した状態をベーンの突出量がゼロの状態とし、そこからロータが180度回転した位置でベーンの飛び出し量が最大となる。この二つの領域の中間をつなぐと全体として略台形のグラフとなる。「最大傾き角」は、このようにして得たグラフの傾きが最大となる角度のことをいう。つまり、最大傾き角が大きいほどロータの単位回転角度に対してベーンの突出量が大きいこととなる。
一方、「基準カム曲線」も、ロータが一周する工程を四つの区間に分けたものである。ただし、ここでのグラフは完全に台形となる。即ち、ベーンの1ピッチ分の区間をベーンの突出量がゼロの領域とし、これと180度離間した位置にベーン1ピッチ分の区間につきベーンの突出量が最大となる領域を設け、残りはこれらの領域どうしを直線で結んだものである。よって、この「基準カム曲線」の膨張区間における傾き角は、当該区間のグラフが直線であるため単に一つの定数となる。
特許文献2に係る技術は、カムリングの最大傾き角を基準カム曲線の傾き角に対して0.9ないし1.7にするというものである。下限値を設定したのは、下限値が小さくなり過ぎると、ベーンが飛び出す膨張区間が長くなって他の領域が狭くなり、流体に脈動が増えることを防止するものである。一方、上限値を設定したのは、上限値が大きくなり過ぎると、膨張区間におけるベーンの最大飛び出し速度が大きくなり、ベーン室の拡大速度が過大となって流体の流入が円滑に行われず脈動が増えることを防止するためである。
ただし、これだけの構成では、カムリングの最大傾き角を基準カム曲線の傾き角と同じ1.0にすることも含まれるため、より以前の従来技術と何ら差異はない。しかし、特許文献2には、基準カム曲線の夫々の区間どうしのつなぎの部分に丸みを持たせ、ベーンの飛び出し加速度が過大となるのを防ぎ、膨張区間の中央部でベーンの飛び出し速度を一定として脈動を低減する旨が記載されている。この、「つなぎの部分に丸みを持たせる」ための具体的構成については特許文献2には記載がないが、カム面に対して何らかの整形を施すことが推測できる。
このような構成により、特許文献2の技術は、瞬時吐出流量の脈動の低減を図り、吐出管路内の流量脈動及び圧力脈動を低減し、流体圧力ポンプを中心に流体システムにて発生する騒音及び振動を低減しようとするものである。
特開2002−48055号公報 特開昭59−162380号公報
特許文献1の流体ポンプは、単に二つの流体ポンプの駆動位相を逆に設定しただけである。その場合、二つの流体ポンプが発生させる全体の振動や騒音はある程度低減される。しかし、夫々の流体ポンプが発生させる脈動が解消されるわけではない。
特許文献1の技術では、流体ポンプとして斜板式ピストンポンプが用いられる。一つの斜板式ピストンポンプには複数のピストンが備えてあり、これらのピストンから順次吐出される作動油が一つの配管にまとめられて油圧モータに供給される。しかし、特許文献1の技術では、夫々の流体ポンプについての改良案は何ら示されていない。
車両等に流体ポンプが搭載される場合、求められる作動油の吐出量や搭載スペース等の都合から、上記特許文献1の技術のように常に複数の流体ポンプを組み合わせ得るとは限らない。むしろ、単一の流体ポンプの設置が余儀なくされる事態が多いとも予想される。そのため、流体ポンプから生じる油圧の脈動を低減化するにも限界がある。
一方、特許文献2の流体ポンプは、ベーンの突出量を示すグラフに関し、膨張区間とこれを挟む両区間との境界の曲線を滑らかに繋いでベーンの飛び出し速度を規制し、膨張区間における流体の供給量の急変を低減する技術であると理解できる。
しかしながら、ここで開示されているのは、一つのベーンについて飛び出し速度に留意すべきことだけである。例えば、明細書中の図2下段、図5,6の上段などに記されたグラフは、ベーンの突出速度が最大となる一部分の瞬間吐出量を示すもののみである。よって、仮に、ベーンポンプの吐出ポートに複数のベーン室が連通している場合に、夫々のベーン室から吐出される流体の総量について脈動をどのように解消するかは何ら記載されていない。
このように、上記従来の何れの技術にあっても一定の脈動の発生は避けられないものであり、さらに脈動の発生を抑えた流体ポンプが求められている。
(特徴構成)
本発明に係る流体ポンプの特徴構成は、
流体を順に吸入し吐出する三つ以上の容積室と、
前記容積室の夫々に設けられて前記容積室と相対移動し、前記流体を前記容積室に対して吸入・吐出する移動子と、
前記移動子を当接駆動させるカムと、
前記移動子および前記カムのうち少なくとも何れか一方を駆動して、前記移動子と前記カムとを相対回転させ、当該相対回転の一周期において前記流体を前記容積室の夫々から一回吐出させる駆動部と、を備え、
前記容積室の夫々について、前記流体を吸引・吐出する際に、前記一周期に係る一周期回転角Zのうち前記流体の瞬間吐出量がゼロである開始位相となったのち前記瞬間吐出量が最大となる中央位相となり再び前記瞬間吐出量がゼロである終了位相となるまでの吐出回転角αが、前記容積室の数がMであり、2乃至(M−1)の何れかの整数をNとして、
α=(Z/M)×N
であり、
前記容積室の何れか一つが前記終了位相となったとき、当該容積室に続くN番目の前記容積室が前記開始位相となるように構成され、
前記開始位相と前記中央位相とのちょうど中間の位相を第1中間位相とするとき、前記開始位相から前記第1中間位相までの前記瞬間吐出量の増加傾向と、前記第1中間位相から前記中央位相までの前記増加傾向が、前記第1中間位相を挟んで反転し、
前記開始位相から前記中央位相までの前記増加傾向と、前記中央位相から前記終了位相までの前記流体の減少傾向とが、前記中央位相を挟んで対称となる点にある。
(効果)
流体ポンプが、容積室と移動子とを相対移動させて流体の吸入・吐出を行う形式の場合、容積室に出入りする流体の流量は通常周期的に変化することが多い。そのため、容積室が振動し、流体配管の流体圧が変化して脈動が生じる。
そこで、本発明のように、容積室および移動子を三つ以上備えることで、夫々の容積室に発生する流体圧の変動を互いに打ち消し合い、全体として脈動のない流体ポンプを得ることができる。
本構成の流体ポンプにおいて、カムが一周期の回転動作を行う角度を一周期回転角Zとし、当該一周期回転角Zのうち流体が容積室から吐出される状態となる角度を吐出回転角αとすると、
吐出回転角α=(Z/M)×N と表すことができる。
ここで、Mは容積室の数を表す3以上の整数であり、Nは2乃至(M−1)のうちの何れかの整数である。
Z/Mは、一周期のうち、夫々の容積室が吐出動作を行う回転角の差である。例えば、容積室=4、一周期回転角Z=360度の場合、夫々の容積室の吐出動作は、カムが90度回転する毎に行われる。
一方、Nは、あるタイミングで、いくつの容積室が吐出状態にあるかを示している。よって、N値が大きくなるほど、一つの容積室は長い回転角に亘って流体を吐出することになる。
N=1であることはなく、また、N=Mであることもない。N=1の場合、常に一つの容積室が流体を吐出させていることになり、上記の如く一つの容積室の吐出動作にあっては必ず脈動が生じるから、そのような容積室の吐出を連続させても脈動の解消が不可能だからである。
一方、N=Mということは、全ての容積室から流体が常に吐出されているということであり、これでは夫々の容積室について流体を吸入する期間が確保できない。
さらに、N値は整数である。つまり、一つの容積室が半分だけ吐出状態になることはありえないから、N値が少数になるということは、ある瞬間は例えば三つの容積室が吐出状態にあり、別の瞬間には二つの容積室が吐出状態にあるということになって、吐出状態が一定とはならず、脈動は解消されない。よって、Nは、2乃至(M−1)の間の整数となる。
以上の条件を満たしたうえで、容積室の何れか一つが終了位相となったとき、この容積室に続いてN番目に吐出が開始される容積室が開始位相となることが必要である。例えば、N=2の場合、ある瞬間には、特定の容積室は自身よりも先に吐出を開始した他の容積室と共に吐出状態にある。夫々の容積室の吐出開始および吐出終了の時点で全体の吐出量を一定にしようとすると、特定の容積室が吐出を開始したばかりの時には、他の容積室は所定の吐出量を確保している必要がある。
そうすると、特定の容積室の吐出作業は、自身の一つ前に吐出を始めた容積室の吐出作業に途中から加わり、当該一つ前の容積室の吐出作業が終了したあと、自身の一つ後に吐出作業を始める容積室がこれに替わり、自身の吐出量が減少するのを当該一つ後の容積室の吐出が補うこととなる。さらに、自身の吐出が終了した時、自身に二つ遅れて吐出を開始する容積室と入れ替わることとなる。
このように、常にN個の容積室が吐出作業を行うためには、特定の容積室が終了位相となるとき、自身の次の容積室を1番目としてN番目の容積室が開始位相となる必要がある。
さらに、同時に吐出作業を行う容積室の吐出量の合計が一定となるには、それぞれの容積室が持つ瞬間吐出量の増減態様につき、開始位相と中央位相とのちょうど中間の位相を第1中間位相とするとき、開始位相から第1中間位相までの瞬間吐出量の増加傾向と、第1中間位相から中央位相までの増加傾向が、第1中間位相を挟んで反転し、開始位相から中央位相までの増加傾向と、中央位相から終了位相までの流体の減少傾向とが、中央位相を挟んで対称となればよい。例えば、回転位相を横軸にとり、瞬間吐出量を縦軸にとったグラフをイメージすると、連続する吐出曲線がサインカーブや三角波のようになるものが好都合である。
このように構成することで、容積室の設置個数の自由度を高めながら、全体として吐出脈動のない流体ポンプを得ることができる。
(特徴構成)
本発明に係る流体ポンプは、
前記容積室が前記流体の給排に係る少なくとも一つの開口を有するシリンダであると共に、
前記移動子が前記シリンダの内部で往復移動するピストンであり、
前記カムおよび前記シリンダの少なくとも何れか一方が、前記ピストンを下死点と上死点とに亘って繰り返し駆動するよう回転可能であり、
前記開始位相が、前記カムが前記ピストンを前記下死点に位置させる位相であり、
前記終了位相が、前記カムが前記ピストンを前記上死点に位置させる位相であると好都合である。
(効果)
このように、シリンダとピストンを用いることで、カムによるピストンの駆動態様の決定が容易となる。また、シリンダは長尺状の形状ゆえ、カムの周囲に複数のシリンダを配置することも容易であり、流体ポンプの設計の自由度が高まる。
(特徴構成)
本発明に係る流体ポンプは、
前記カムのカム面のうち、前記ピストンを前記下死点に位置させる下死対応点を含む領域と、前記ピストンを前記上死点に位置させる上死対応点を含む領域とに、前記カムの単位回転に対する前記ピストンの位置変化を少なくして、前記シリンダからの瞬間吐出量の変化を緩和する吐出量調節面を備えることで、
前記開始位相から前記第1中間位相までの領域で前記瞬間吐出量が急増すると共に、前記第1中間位相から前記中央位相までの領域で前記瞬間吐出量が漸増し、
前記中央位相から前記中央位相と前記終了位相とのちょうど中間の第2中間位相までの領域で前記瞬間吐出量が急減すると共に、前記第2中間位相から前記終了位相までの領域で前記瞬間吐出量が漸減するように構成することができる。
(効果)
本構成では、カム面のうち下死対応点を含む領域と上死対応点を含む領域とに吐出量調節面を設け、開始位相付近と終了位相付近における流体の瞬間吐出量の変化を緩和している。これにより、一つのシリンダが終了位相に達する際には、流体の瞬間吐出量の減少程度が緩くなる。つまり、流体の吐出がなかなか終わらない状態となる。一方、当該一つのシリンダに入れ替わる後続のシリンダが開始位相となる場合には、流体の瞬間吐出量の増加程度が抑えられる。これにより、特定のシリンダから他のシリンダに吐出作業を交代する際の流体の圧力変動が低減され脈動が解消される。
(特徴構成)
本発明に係る流体ポンプにおいては、前記カムを回転軸芯の周りに回転可能とし、前記カムのカム面を前記回転軸芯の周囲に位置する筒状の側面に形成することができる。
(効果)
本構成の流体ポンプは例えばラジアルポンプとなる。本構成の場合、中心に配置したカムを一周させることでピストンを1周期だけ動作させることができる。シリンダは、サイズに応じてカムの周りに所定数を設置することができる。本構成であれば、各シリンダの配置が容易であり、主にカム面を所定形状に構成するだけで、吐出流量の安定した流体ポンプを得ることができる。
(特徴構成)
本発明に係る流体ポンプにあっては、前記カムを回転軸芯の周りに回転可能とし、前記カムのカム面を前記回転軸芯の延出方向に向く面に環状に形成してもよい。
(効果)
本構成の流体ポンプは例えばアキシャルポンプである。本構成の場合、各シリンダを平行に配置できるからコンパクトな流体ポンプを得ることができる。
また、本構成のアキシャルポンプにおいては、例えば、シリンダに対して環状のカム面と反対側に流体の吐出口および吸入口を有するポート部を設けておき、カム面とポート部とは固定しつつ、四つのシリンダを回転させる構成にすることもできる。この場合、四つのシリンダが回転して、シリンダの連通部が吐出口と吸入口とに順次連通する。よって、各シリンダから流路を突出させて、それら流路を合流させる必要が無く、よりコンパクトな構成を得ることができる。
(特徴構成)
本発明に係る流体ポンプは、
前記移動子が、回転軸芯の周りに回転するロータおよび当該ロータに複数設けられた前記ロータに対して出退可能なベーンであり、
前記容積室が、前記ロータおよび前記ベーンと、前記ロータおよび前記ベーンを内包するケーシングとで形成され、前記回転軸芯の周りに分散配置された吸入室と吐出室であり、
前記カムが、前記ベーンと摺接可能に前記ケーシングの内面に設けられ、
前記ケーシングには、前記流体を吐出する吐出口が前記吐出室に連通して設けられ、
前記吐出口において、前記ロータの回転方向の上手側を上手縁部とし、前記回転方向の下手側を下手縁部とし、
前記ベーンのうち隣接する二つを先行ベーンおよび後行ベーンとして、
前記開始位相が、前記ロータが前記先行ベーンを前記上手縁部に位置させたときの位相であり、
前記終了位相が、前記ロータが前記後行ベーンを前記下手縁部に位置させたときの位相であるように構成することができる。
(効果)
本構成のように、流体吐出時の脈動を抑えたポンプとしてベーンポンプを構成することもできる。ベーンポンプにおける一つの容積室は、隣接するベーンどうしの間の空間によって形成される。このベーンは、上記のシリンダやピストンに比べて寸法が小さく、ベーンやロータは一つのケーシングの内部に備えることができる。よって、流体の吐出能力に対して全体サイズのコンパクト化が可能である。
また、ロータの周辺には比較的多くのベーンを配置することができ、容積室の数Mと、同時に吐出状態となる容積室の数Nとの組み合わせの自由度も高い。
さらにベーンポンプの場合、複数の容積室に対向する形で一つの吐出口が形成されている。よって、上記ラジアルポンプのように流体の吐出路を別途集合させる必要がないなど、従来のベーンポンプの形状を大幅に変更することなく、本発明の流体ポンプを容易に得ることができる。
(特徴構成)
本発明に係る流体ポンプは、
前記カムのうち、前記開始位相において前記先行ベーンが摺接する第1位置を含む領域と、前記終了位相において前記後行ベーンが摺接する第2位置を含む領域とに、前記回転方向に沿って内径変化の少ない吐出量調節面を備え、
前記開始位相から前記第1中間位相までの領域で前記瞬間吐出量が急増すると共に、前記第1中間位相から前記中央位相までの領域で前記瞬間吐出量が漸増し、
前記中央位相から前記中央位相と前記終了位相とのちょうど中間の第2中間位相までの領域で前記瞬間吐出量が急減すると共に、前記第2中間位相から前記終了位相までの領域で前記瞬間吐出量が漸減するように構成することができる。
(効果)
ベーンポンプに脈動が生じる一つの原因は、例えば一つのベーンを挟んで両側にある吐出室の吐出流量の変動がバランスしないことによる。一つのベーンが吐出口の中央付近にあるとき、当該ベーンの回転方向下手側の吐出室からの吐出量は減少過程であることが多く、回転方向上手側の吐出室からの吐出量は増加過程にあることが多い。つまり、一方の吐出室に係る吐出量の減少と他方の吐出室に係る吐出量の増加とがバランスすれば脈動は減少する。
また、特定の吐出室からの流体の吐出が終了し、これに続いて他の吐出室から流体が吐出し始めるとき、瞬間吐出流量の減少と増加が円滑に変化すると流体の脈動が減少する。
そのため、本構成では、カム面の形状として第1位置の近傍および第2位置の近傍に吐出量を調節する吐出量調節面を設けることで、吐出終了時には流体吐出量の急激な減少を抑え、吐出開始時には流体吐出量の急激な増大を抑えることで、吐出室が交代する際の吐出圧の変動を少なくしている。これにより、脈動の少ないベーンポンプを得ることができる。
また、このような吐出量調節面を設けて、吐出終了時と吐出開始時の瞬間吐出量の変化を調節することで、開始位相から第1中間位相までの瞬間吐出量の変化態様と、第1中間位相から中央位相までの瞬間吐出量の変化態様とが、第1中間位相を境に反転したものとなり易い。このことは、瞬間吐出量が中央位相から第2中間位相を介して終了位相に至る場合も同様である。しかも、開始位相から中央位相までの瞬間吐出量の変化態様と、中央位相から終了位相までの瞬間吐出量の変化態様とが、中央位相を境に反転したものとなり易い。この結果、複数の吐出室に係る瞬間吐出量を足し合わせた際には増加分と減少分とが補完し合い、全体として脈動の少ない流体ポンプを得ることができる。
(特徴構成)
本発明に係る流体ポンプにおいては、前記カムのうち、前記第1位置と前記第2位置とのちょうど中間の位置を挟んだ領域に、前記回転方向に沿って内径変化の少ない第2吐出量調節面を備え、前記先行ベーンが前記第2吐出量調節面に摺接するあいだ、前記瞬間吐出量が最大値に維持されるように構成することができる。
(効果)
本構成のように瞬間吐出量が最大となる位相を広げることで、ロータの回転に際して、瞬間吐出量の変化する位相領域が狭くなり、瞬間吐出量が一定となる時間が長くなる。その結果、ベーンポンプ全体から発生する脈動がさらに小さくなる。
(特徴構成)
本発明に係る流体ポンプにおいては、前記カムのうち、前記第1位置と前記第2位置とのちょうど中間の位置に変曲点を設け、前記先行ベーンが前記変曲点を通過する際に、前記瞬間吐出量が増加状態から減少状態に急変するように構成することができる。
(効果)
本構成のように、カム面の途中に変曲点を設ける場合、変曲点の前後においてロータに対するベーンの出退動作が急変するため、一定の機械振動が発生する場合がある。ただし、変曲点での瞬間吐出量の変化が大きい分、変曲点に至るまでの領域と、変曲点を通過した後の領域において、瞬間吐出量の変化を小さくすることができる。
この結果、カム面の形状の設定が容易になり、また、夫々の領域において吐出圧の急変が抑制されて流体のキャビテーションの発生が抑えられるなど、脈動発生の低減効果が期待できるうえに装置構成が簡略化されコスト削減も可能となる。
第1実施形態に係るラジアルポンプの構成を示す説明図 第1実施形態に係るカムの詳細形状を示す説明図 従来例に係るピストンのストローク変化を示すグラフ 従来例に係るシリンダの容積変化を示すグラフ 従来例に係る各プランジャの瞬間吐出量の変化を示すグラフ 従来例に係る流体の瞬間吐出総量の変化を示すグラフ 第1実施形態に係るピストンのストローク変化を示すグラフ 第1実施形態に係るシリンダの容積変化を示すグラフ 第1実施形態に係る各プランジャの瞬間吐出量の変化を示すグラフ 第1実施形態に係る流体の瞬間吐出総量の変化を示すグラフ 第2実施形態に係るラジアルポンプの構造を示す説明図 第2実施形態に係るラジアルポンプの各部の構成を示す説明図 第3実施形態のベーンポンプの構成を示す説明図 第3実施形態のベーンポンプの動作態様を示す説明図 第3実施形態のベーンポンプの動作態様を示す説明図 第3実施形態のベーンポンプのベーン間容積の変化を示すグラフ 第3実施形態のベーンポンプの瞬間吐出吸入量の変化を示すグラフ 第3実施形態のベーンポンプの瞬間吐出量の変化を示すグラフ 第4実施形態のベーンポンプの構成を示す説明図 第5実施形態のベーンポンプの構成を示す説明図 第5実施形態のベーンポンプの瞬間吐出量の変化を示すグラフ 第6実施形態のベーンポンプの構成を示す説明図 第6実施形態のベーンポンプの瞬間吐出量の変化を示すグラフ 従来のベーンポンプの動作態様を示す説明図 従来のベーンポンプのベーン間容積の変化を示すグラフ 従来のベーンポンプの瞬間吐出吸入量の変化を示すグラフ 従来のベーンポンプの瞬間吐出量の変化を示すグラフ 容積室数が3の流体ポンプにおける瞬間吐出量の変化を示すグラフ 容積室数が4の流体ポンプにおける瞬間吐出量の変化を示すグラフ 容積室数が5の流体ポンプにおける瞬間吐出量の変化を示すグラフ
(全体概要)
本発明に係る流体ポンプSは、流体Wを吐出する際に、吐出圧の変動などに伴う流体Wの脈動や、流体ポンプSあるいは接続配管などの振動を防止しようとするものである。当該流体ポンプSの構成としては、流体Wを順に吸入し吐出する三つ以上の容積室Bと、容積室Bの夫々に設けられて容積室Bと相対移動し、流体Wを容積室Bに対して吸入・吐出する移動子Dと、を備えている。
移動子Dと、これに当接するカムCとは相対回転し、移動子DおよびカムCのうち少なくとも何れか一方が駆動部Gによって駆動される。移動子DとカムCとが一周期の相対回転を行うことで、夫々の容積室Bからは流体Wが一回吐出される。
このように複数の容積室Bを備えた流体ポンプSにおける脈動を抑えるためには、特定の容積室Bにおける流体吐出の特性と、他の容積室Bにおける流体吐出の特性とを上手く調和させる必要がある。そのために、本発明の流体ポンプSでは、夫々の容積室Bにおける流体Wの瞬間吐出量の変化態様を厳密に規定し、各容積室Bにおける瞬間吐出量の増減が上手く補完し合うように構成してある。
以下には、本発明に係る流体ポンプSとして、ピストン1とシリンダ2を有するプランジャPを用いた実施形態と、ベーンVを有するロータrを用いた実施形態とを示しつつ、当該流体ポンプSの特徴構成について説明する。
〔第1実施形態〕
本発明に係る流体ポンプSの第1実施形態について図1乃至図10を参照しながら説明する。この流体ポンプSは、容積室Bであるシリンダ2と、移動子Dであるピストン1とを有するプランジャPを複数備えた所謂ラジアルポンプS1である。図1および図2に示すように、例えば、一周の回転でプランジャPのピストン1を1周期だけ動作させることのできるカムCを中心位置に一つ配置してある。カムCの回転軸芯Xの周りには、例えば第1プランジャP1乃至第4プランジャP4が90度の回転角を持たせて配置されている。このカムCにより、夫々のプランジャPが順に駆動され、ピストン1が往復移動する。これにより、シリンダ2の内部に作動油等の流体Wが給排され、流体Wを所定の個所に搬送する。
プランジャPを用いるラジアルポンプS1は従来から広く用いられている。シリンダ2には少なくとも一つの流路Rが接続される。流路Rが一つの場合、流路Rの先は二方向に分岐しており、夫々に例えばチェック弁4が設けられる。これにより、ピストン1がばね部材3によって押し出される場合には一方のチェック弁4のみが開き動作して吸入口5aからシリンダ2の内部に流体Wが流入する。続いてピストン1がカムCによって押し込まれる場合には、他方のチェック弁4のみが開き動作して吐出口5bから流体Wが吐出される。このようにして、簡便な構造のラジアルポンプS1が形成される。
ただし、一つのプランジャPのみを用いるラジアルポンプS1では、流体Wの給排が交互に行われるため、流体Wの流通に際しては流通脈動が生じる。そこで、本実施形態では、複数のプランジャPを組み合わせ、且つ、カムCの形状を工夫することで脈動の解消を図っている。
(シリンダ)
図1に示すように、本実施形態では第1プランジャP1乃至第4プランジャP4の四つのプランジャPを備えている。各プランジャP1〜P4はシリンダ2とピストン1とを有する。これらのプランジャPはカムCの回転軸芯Xの周りに90度毎に配置され、カムCの1周の周期に対して4分の1周期ずつ位相差が設けられている。各シリンダ2には、例えば、流体Wの吸入口5aと吐出口5bとが別に形成される。これにより流体Wの吸入・吐出を円滑に行うことができる。
(ピストン)
各シリンダ2には、内面に沿って往復移動するピストン1が挿入されている。ピストン1の一部とシリンダ2の一部とに亘ってばね部材3が設けられており、ピストン1が常にカムCの側に付勢されて、ピストン1の外部端面1aとカムCとの当接状態が維持される。
(流路)
各シリンダ2の吸入口5aには流体Wをシリンダ2の内部に供給する流路Rとしての供給路R1が接続されている。一方の吐出口5bには、流体Wを他の流体供給先に搬送する流路Rとしての吐出路R2が接続されている。各シリンダ2に接続された四本の供給路R1は、例えば1本の大径の配管から分岐されるものであっても良い。また、四本の吐出路R2も一本に纏められて大径の配管とされても良い。
図1に示すように、夫々の供給路R1および吐出路R2には、例えばチェック弁4が設けてある。これにより、流体Wの流れ方向が供給路R1から吐出路R2に至る一方向に規制される。尚、このチェック弁4は一方向弁の機能を有するものであれば何れの構成であっても良い。
(カム)
図1に示すように、本実施形態のカムCは円形状に近い断面を有し、偏心した回転軸芯Xの周りに回転する。図示は省略してあるが、このカムCに駆動部Gからの回転駆動が伝達される。ピストン1はカムCに対して回転軸芯Xと垂直な方向から当接する。本構成であれば、各プランジャPの配置が容易であり、主にカムCのカム面C1を所定の形状に構成するだけで吐出流量の安定したラジアルポンプS1を得ることができる。
本構成のカムCの説明に先立ち、図2に点線で示すようにカムCの断面が真円である場合の例を説明する。このカムCを用いたラジアルポンプS1の特性を図3乃至図6に示す。
図3は、横軸がカムCの回転角度であり、縦軸がピストン1のストロークである。ピストンストロークは、ピストン1が下死点にある時にゼロとして、上死点に向かうほどストロークが大きくなる設定である。カムCが一周しピストン1が一往復するとき、各プランジャP1〜P4に係るピストン1のストロークは順次4分の1周期遅れる。ピストン1の移動曲線はサイン曲線となる。
図4は、シリンダ2の容積変化を示す曲線である。シリンダ容積は、ピストン1が往復移動するときの容積変化の分量である。シリンダ容積がゼロとは、ピストン1が上死点にある場合をいう。この位置からピストン1が下死点に向かうほどシリンダ容積は増加する。縦軸の値は、例えばシリンダ2の断面積にピストン1のストローク距離を掛け合わせて算出することができる。この曲線もサイン曲線となる。
図5は、プランジャPに吸入され或いは吐出される流体Wの瞬間流量を示す。つまり、図4の曲線をカムCの回転角度で微分したものと同義である。
図6は、図5に示す曲線のうち、流体Wが四つのシリンダ2に吸入される部分は省略し、流体Wが吐出される瞬間吐出量のみを記したものである。さらに、図中の波形に変化している太線はこれら四本の曲線を足し合わせた瞬間吐出総量を示している。この瞬間吐出総量が上下に変化することが、即ち脈動の存在を表している。
カムCの断面形状が真円である場合には、図6に示すように瞬間吐出総量を示す曲線は略円弧状の曲線を単純に繋ぎ合わせた形状となる。この場合、特に吐出量が減少して再び増加に転じる瞬間に曲線が鋭角に折れ曲がっている。ここでは瞬間吐出総量が急激に変化し一定の脈動が発生する。
この脈動を低減化するには、例えば、プランジャPの数を増やすとよい。そうすることで、各プランジャPが吐出する流体Wの増減幅が緩和され、脈動の周期が短くなる。ただし、単にプランジャPの数を増やすだけでは完全に脈動を解消することはできない。そこで、本実施形態では、以下に示すように真円であるカムCの断面形状を修正することとした。
図10は、図1に示す本実施形態のカムCを用いた場合の各プランジャPの瞬間吐出量および瞬間吐出総量を示す。この例のように瞬間吐出総量を一定にするために、各プランジャPの瞬間吐出量の曲線が適切に設定される必要がある。具体的には、瞬間吐出量がゼロになるとき、および、最大になるときに、瞬間流量の変化度合いを小さくする。図10に示したように、例えば各プランジャPの瞬間吐出量を表した時、夫々の曲線が、瞬間吐出量ゼロの横軸と瞬間吐出総量を示す横軸とに接する形状とする。
このような瞬間吐出量の曲線を得るには、例えば、図2中に波線で強調したように、カム面C1のうちピストン1を上死点に位置させる上死対応点Cuを含む領域と、ピストン1を下死点に位置させる下死対応点Cdを含む領域とに、カムCの単位移動に対するピストン1の位置変化を少なくする吐出量調節面C2を形成する。より具体的には、上死対応点Cuと下死対応点Cdとを径方向に含む真円カムC0(点線で表示)を基本構成とし、上死対応点Cuの両側は、真円カムC0に対して径方向の外側に膨らみを持たせる。この膨らみは、カムCの外周面のうち上死対応点Cuと下死対応点Cdとのちょうど真ん中の中間位置Cmまでは至らないものとする。一方、下死対応点Cdの両側は、真円カムC0に対して径方向内側に凹ませる。この凹みも、カムCの外周面のうち前記中間位置Cmまでは至らない。
カムCの形状をこのように構成することで、カム面C1の下死対応点Cdから上死対応点Cuに至る個々の作用位置におけるカムCの単位移動量に対するピストン1の容積変化量(プランジャPの瞬間吐出量)が、下死対応点Cdと上死対応点Cuとの間の位置で最大となる。例えば中間位置Cmがその位置となる。カムCの中間位置Cmが瞬間吐出量最大位置とすると、図9に示すように、例えば第1プランジャP1の瞬間吐出量を示す実線について、下死対応点Cdであるa点から瞬間吐出量最大位置であるc点までの領域は前後二つの領域に分けられる。前半は、a点から瞬間吐出量が徐々に増えたのち急増して曲線の勾配が最大となるb点までの領域であり、後半は、b点から曲線の勾配が緩くなって瞬間吐出量は漸増するものの次第に増加分が少なくなり瞬間吐出量が最大になるc点までの領域である。このc点は、カムCにおいて下死対応点Cdと上死対応点Cuとのちょうど中間あたりである。
一方、瞬間吐出量最大位置であるc点から上死対応点Cuであるe点までの領域も、前後に二つの領域に分けられる。即ち、前半は、c点から瞬間吐出量が徐々に減少したのち急減して曲線の勾配が最大となるd点までの領域であり、後半は、d点から曲線の勾配が緩くなって次第に減少分が少なくなり瞬間吐出量がゼロになるe点までの領域である。尚、このようなa点からe点までの瞬間吐出量の変化は、ピストン1がシリンダ2の内部に入り込む流体Wの吸引の際にも同様に生じる。
このように、カム面C1に吐出量調節面C2を備えることで、第1プランジャP1と第3プランジャP3との一組、および、第2プランジャP2と第4プランジャP4との一組によって夫々得られる流体Wの吐出量の変化が非常に滑らかになる。よって、流体ポンプSの流体吐出総量を得るべく、各組のプランジャPによる吐出量を加える場合に、吐出総量の変化も滑らかなものとなり脈動が大幅に改善される。
尚、図9に示すように、第1プランジャP1に係る実線のa点からc点までの領域の設定に際しては、流体Wの所定の吐出量が維持されなければならない。つまり、この領域に係る流体Wの体積は、シリンダ2の断面積とピストン1の行程とを掛け合わせて求まるから、カムストロークが同じである以上、吐出量は等しくなる。よって、図5におけるハッチング領域の面積と、図9におけるハッチング領域の面積とは等しく設定される。図5における曲線形状と、図9における曲線形状とは異なるから、瞬間吐出量の最大位置(図9のc点)での高さは図9の方が若干高くなる。
このような点に留意してカムCを形成した結果、図10に示すように、2本の瞬間吐出量の曲線が得られる。このうち一本は、互いに位相が反対となる第1プランジャP1と第3プランジャP3とによる合成曲線であり、もう一本は、互いに反対位相を有する第2プランジャP2と第4プランジャP4とによる合成曲線である。このような曲線形状であれば、両合成曲線の流量を加えた瞬間吐出総量が略一定となる。
ただし、両合成曲線の流量を加えた瞬間吐出総量が常に一定となるためには、さらに両合成曲線の形状が限定される必要がある。つまり、図9に示すように、カムCが下死対応点Cdにあるa点から瞬間吐出量最大位置であるc点まで回転する際の瞬間吐出量の増加態様が、a点とc点との中央位置であるb点を挟んで反転するものとする。b点およびd点が変曲点となり、a点からb点までの曲線とb点からc点までの曲線とがb点に対して点対称に構成される。また、c点からd点までの曲線とd点から上死対応点Cuであるe点までの曲線とをd点に対して点対称に構成する。
これに加えて、図9におけるカムCがa点からc点まで回転する際の瞬間吐出量の増加態様と、c点からe点まで回転する際の瞬間吐出量の減少態様とが、c点を挟んで対称となるようにする。つまり、a点からc点までの曲線は、c点からe点までの曲線と、c点を挟んで左右対称の形状に構成する。このように構成することで、第1プランジャP1乃至第4プランジャP4の瞬間吐出量を合計した瞬間吐出総量は、図10に示すように略一定になり脈動が解消される。図10における瞬間吐出総量を示す横線の高さは、図6における波形の瞬間吐出総量の平均的な高さ位置となる。
尚、このような構成の流体ポンプSは、一つのカムCを挟んで反対方向に配置された第1プランジャP1および第3プランジャP3の第1組と、これに対して、カムCを挟んで互いに反対に配置されると共に第1組のプランジャP1,P3に対してカムCの4分の1周期の位相差を有する第2プランジャP2および第4プランジャP4の第2組との組み合わせるものが基本となる。よって、別実施形態として、このような四つのプランジャPを一組とし、互いにカムCの8分の1周期の位相差を有する他の四つのプランジャPを設けることもできる。
〔第2実施形態〕
図11および図12には、本発明に係る流体ポンプSの第2実施形態を示す。この流体ポンプSは、例えば、第1プランジャP1乃至第4プランジャP4の四つを基本構成とするアキシャルポンプS2である。図12(a)は、図11のI-I断面からみたカムCを示す斜視図であり、図12(b)は、図11のII-II断面からみたケーシングKの底壁部Kcを示す平面図である。
第1プランジャP1乃至第4プランジャP4は、回転軸芯Xの周りに回転するプランジャホルダHに設けられている。夫々のプランジャPは、同じ形状のシリンダ2、ピストン1、ばね部材3を備えており、回転軸芯Xの周りに90度の角度差をもって配置されている。このうちシリンダ2は、例えばプランジャホルダHに設けた四つの筒状孔に内挿された状態で構成される。これらのシリンダ2には、内部にばね部材3を配置した状態でピストン1が挿入される。
夫々のプランジャPにおいてピストン1が往復移動する往復軸芯X1は互いに平行である。また、回転軸芯Xと夫々の往復軸芯X1との距離は、図11の例では全て同じに設定されている。ただし、ピストン1はプランジャホルダHの回転角速度に対応して所期の突出・引退動作を行えばよいため、環状カム面C1’の直径方向におけるピストン1の位置は任意である。
プランジャホルダHの外面のうち回転軸芯Xに沿った一方の第1端面H1からは、四つのピストン1が突出量を変更可能な状態で露出している。一方、プランジャホルダHの外面のうち回転軸芯Xに沿った他方の第2端面H2には、図11および図12に示すように、各シリンダ2に連通する開口5が四つ形成されてある。これらのポートが流体Wの吸入口6aおよび吐出口6bとなる。
図11に示すように、プランジャホルダHはケーシングKに内包されている。プランジャホルダHの第2端面H2からは、ケーシングKの底壁部Kcを貫通する状態に回転軸H3が突出している。この回転軸H3はケーシングKの底壁部Kcに形成された軸受部Kbを貫通して外部に突出している。回転軸H3の端部には、図外の駆動部Gから回転駆動力を受けるギヤなどの駆動伝達部H4が設けられている。
ケーシングKのうちプランジャホルダHの第1端面H1が対向する第1内面Kaには、環状カムC’が配置されている。環状カムC’には、各ピストン1の回転軌跡に沿って環状カム面C1’が形成されている。環状カム面C1’は、回転軸芯Xに対して直角な方向視においては、例えば図11に示すように傾斜している。このように傾斜させることで、特定のプランジャPが回転軸芯Xの周りを一周する度に、ピストン1による流体Wの給排が一回行われる。
図11および図12に示すように、本実施形態の環状カム面C1’は単純な傾斜面ではなく、第1実施形態と同様の吐出量調節面C2’(図12(a)におけるハッチング領域)を設けてある。例えば、プランジャホルダHが回転するとき、図12(a)において、特定のプランジャPがa点からe点まで移動する場合に流体Wが吐出される。a点では緩やかに環状カム面C1’の高さが増大し、b点を介してc点で最大傾斜角となる。そのあとd点で傾斜が緩くなり、e点で再び傾斜がゼロとなる。吸入行程を形成する環状カム面C1’の反対側の領域は、a点とe点とを結ぶ直線に対して線対象に構成される。
このように構成することで、流体Wの吸入態様と吐出態様とが先の第1実施形態に示したのと同様になり、流体Wの吐出流量が一定となる。
また、本構成であれば、四つのプランジャP1〜P4が回転して、シリンダ2の開口5が吸入口6aと吐出口6bとに順次連通する。よって、供給路R1および吐出路R2は、ケーシングKに少なくとも一つずつ形成すればよく、配管敷設の構造が簡便になる。さらに、第1実施形態のように、夫々の供給路R1および吐出路R2に逆止弁を設ける必要がなく、さらに構造が簡略化される。
本構成の流体ポンプSであれば、プランジャホルダHの回転速度を変更することで流体Wの吐出流量が変更できる。また、プランジャホルダHの回転方向を逆転することで、吸入口6aと吐出口6bとを入れ替えることもできる。さらには、プランジャホルダHに備えるピストン1の数を、例えば、8本、12本等と基本構成である4本の倍数に設定することで、脈動を抑えながら吐出流量が異なる流体ポンプSを得ることもできる。
〔第3実施形態〕
(全体概要)
本実施形態では、流体ポンプSの一つとしてベーンポンプS3を用いる例を示す。このベーンポンプS3は、特に流体Wを吐出する場合の吐出流量を一定に維持し、流体Wを流通させる配管内での脈動を無くして、振動や騒音の発生を低減しようとするものである。以下、当該ベーンポンプS3について図13乃至図18を参照しながら説明する。
(全体構成)
本実施形態のベーンポンプS3は、少なくとも四枚のベーンVを備えたロータrと、夫々のベーンVの先端が摺動するカム面Caを有するカムリングCrと、をケーシングKの内部に備えている。これらべ―ンVとロータrとで移動子Dが形成される。
(ロータ)
図13に示すように、ロータrは例えば円柱状の側面と二面の平端面を有し、回転軸芯Xを中心に回転可能である。回転方向は、ベーンポンプS3の設置個所に応じて変更することができる。外周部には、ベーンVを出退自在に収容する溝部r1を四つ備えている。回転方向に隣接する二枚のベーンVを一組とするとき、回転方向に沿って先行するベーンVを先行ベーンV1と称し、後から追随するベーンVを後行ベーンV2と称する。ベーンVは、例えば、矩形状の平板部材であり、溝部r1に沿って径方向に滑らかにスライドすることができる。ベーンVの外縁部がカムリングCrのカム面Caに摺接する。ベーンVの数は、本発明のベーンポンプS3においては、例えば8枚や16枚に設定するなど4の倍数に設定すると好都合である。
(カムリング)
図13に示すように、カムリングCrは、例えば環状の部材であり、内周面にベーンVが摺接するカム面Caが形成されている。カム面Caは略円形であり、その中心は、ロータrの回転軸芯Xとは偏心した位置に設けてある。カムリングCrは、ロータrとベーンVとの間で流体Wを吐出する吐出室11と流体Wを吸入する吸入室21とを形成する。これらのうち特に吐出室11が容積室Bとして機能する。
(ケーシング)
ケーシングKは、内面にカムリングCrが固定され、このカムリングCrに対して偏心した状態でロータrを回転させるための軸受部(図外)を備えている。ロータrの軸部はロータrの外部に延出しており、図外の駆動部Gによって回転駆動されるよう駆動ギヤ等が接続されている。
また、ケーシングKは、例えばロータrの外面であって回転軸芯Xに垂直な平面と同一平面で分割構成される。一方のケーシングK1には、ロータrが設置される凹状部K3が形成される。他方のケーシングK2には、図13に2点鎖線で示したように、ロータrの外周面r2とカム面Caとの間の空間に開口する吐出口10と吸入口20とが形成されている。吐出口10には、吐出室11に連通して流体Wを吐出する図外の吐出路が接続される。吸入口20には、吸入室21に連通して流体Wを吸入する図外の吸入路が接続される。また、特に、吐出口10において、回転方向上手側の縁部を上手縁部10aとし、回転方向下手側の縁部を下手縁部10bとする。
図13に示すように、カム面Caに対してロータrの回転軸芯Xが偏心している方向、即ち、カム面Caとロータrの外周面r2とが最も近付く位置をロータrの回転角度にして180度の位置とすると、吐出口10は、45度位置から135度の範囲に亘って形成する。同じく、吸入口20は、225度から315度の範囲に亘って形成する。これにより、ロータrが図13の状態にあるとき、0度および180度の位置にあるベーン室Aは瞬間的に遮蔽状態となり、90度の位置にあるベーン室Aは吐出状態となり、270度の位置にあるベーン室Aは吸入状態となる。
このように形成したベーンポンプS3において、流体Wの吐出が開始される状態と、終了する状態とを夫々図14(a)(b)に示した。図14(a)は、一つのベーンVが吐出口10に重なり、第1ベーン室A1の流体W1が吐出されていると共に、第2ベーン室A2の流体W2が吐出され始めた状態である。一方、図14(b)は、当該ベーンVが吐出口10の終端部に近付き、第2ベーン室A2からの流体W2の吐出量が増加すると共に第1ベーン室A1の流体W1の吐出が終了する直前の状態を示している。
(吐出量調節面)
本実施形態では、図13に示すように、カム面Caは真円を基本としつつ、カム面Caのうち所定領域を真円とは異なる形状にしている。カム面Caのうち、吐出口10の上手縁部10aに対応する位置を第1位置C10とし、下手縁部10bに対応する位置を第2位置C20として、少なくとも第1位置C10から回転方向下手側の近傍位置に至る領域と、第2位置C20から回転方向上手側の近傍位置に至る領域とに、波線で示したようにベーンVの移動方向に沿って内径変化を少なくした吐出量調節面C3を備える。
尚、図13では、カム面Caのうち第1位置C10を挟んで周方向に沿った両側、および、第2位置C20を挟んで周方向に沿った両側に吐出量調節面C3が設けられた例を示している。
図15は、ロータrの回転に伴って吐出室11が体積変化を伴いながら移動する様子を示している。一つのベーン室Aを形成する2枚のベーンVにつき、ロータrの回転方向に沿って先行するものを先行ベーンV1とし、後行するものを後行ベーンV2とする。図15(a)は第1ベーン室A1の先行ベーンV1がカム面Caの第1位置C10にある状態であり、このときのロータrの位相を第1位相とする。また、図15(e)は、第1ベーン室A1の後行ベーンV2がカム面Caの第2位置C20に移動した状態であり、このときのロータrの位相を第2位相とする。つまり、ロータrが第1位相から第2位相に移行する間に第1ベーン室A1の流体Wが吐出口10から吐出される。
(真円カム面を有する従来のベーンポンプ)
尚、本実施形態のベーンポンプS3の動作を説明する前に、従来の真円形状のカム面Caを有するベーンポンプS3の動作につき説明する。図24は、ロータrが第1位相から第2位相に移行する様子を示したものである。また、図25は各ベーン室Aの容積の変化を示すグラフであり、図26は各ベーン室Aの瞬間吐出吸入量の変化を示すグラフであり、図27は各ベーン室Aの瞬間吐出量の変化とベーンポンプS3の全体の瞬間吐出総量を示すグラフである。
図25は、横軸がロータrの回転角度であり、縦軸がベーン室Aの容積である。ベーン室Aの容積は、ロータrが第2位相にある時にゼロとして、第1位相に向かうほど大きくなる設定である。ロータrが一周するときを1周期とすると、各ベーン室Aの容積変化は順次4分の1周期遅れる。ベーン室Aの容積変化の曲線はサイン曲線に似たものとなる。
図26は、ベーン室Aに吸入され或いは吐出される流体Wの瞬間流量を示す。つまり、図25の曲線をロータrの回転角度で微分したものと同義である。
図27は、図26に示す曲線のうち、流体Wが四つのベーン室Aに吸入される部分は省略し、流体Wが吐出される瞬間吐出量のみを記したものである。さらに、図中の波形に変化している太線はこれら四本の曲線を足し合わせた瞬間吐出総量を示している。この瞬間吐出総量が上下に変化することが、即ち脈動の存在を表している。
カム面Caの断面形状が真円である場合には、図27に示すように瞬間吐出総量を示す曲線は略円弧状の曲線を単純に繋ぎ合わせた形状となる。この場合、特に吐出量が減少して再び増加に転じる瞬間に曲線が鋭角に折れ曲がっている。ここでは瞬間吐出総量が急激に変化し一定の脈動が発生する。
この脈動を低減化するには、例えば、ベーン室Aの数を増やすとよい。そうすることで、各ベーン室Aが吐出する流体Wの増減幅が緩和され、脈動の周期が短くなる。ただし、単にベーン室Aの数を増やすだけでは完全に脈動を解消することはできない。そこで、本実施形態では、以下に示すように真円であるカム面Caの断面形状を修正することとした。
(カム面に吐出量調節面を形成したベーンポンプ)
(中央位相で瞬間吐出量が最大となる場合)
ロータrが回転し、第1位相となった直後から第1ベーン室A1の流体Wの吐出が開始され、その後、流体Wの瞬間吐出量が増大し、減少してロータrが第2位相に至るときに流体Wの吐出がゼロとなる。本実施形態では、吐出量調節面C3を形成することで、ロータrが、図15(c)の状態、即ち、ロータrが第1位相と第2位相とのちょうど中央の位相となったときに流体Wの瞬間吐出量が最大となるように構成してある。尚、この中央の位相を最大吐出位相と称する。
図13に示すように、吐出量調節面C3は、具体的には、カム面Caのうち第1位置C10を挟んで周方向の両側、および、第2位置C20を挟んで周方向の両側に形成する。このうち、第1位置C10の側には、図13に示すように、真円の仮想のカム面Cb(点線表示)に対して内径を大きく形成する。特に、第1位置C10の下手側では、カム面Cbよりもやや大径に構成しておき、カム面Cbの縮径割合よりも緩やかに縮径させる。つまり、ベーンVが溝部r1に進入する速度を緩和するようにカム面Caを構成する。
一方、第2位置C20では、図13に示すように、真円の仮想のカム面Cbに対して内径を小さく形成する。特に、第2位置C20の上手側では、カム面Cbよりもやや小径に構成しておく。さらに、第2位置C20の手前の位置から早めに縮径しておくことで、カム面Cbの縮径割合よりも緩やかに縮径するようにする。この場合にも、ベーンVが溝部r1に進入する速度が緩和される。
このように構成することで、第1位置C10を通過したベーンVは暫く移動したのち溝部r1への進入速度が急激に増加する。また、第2位置C20に近付くベーンVは、第2位置C20の手前で溝部r1に進入する速度が緩和される。この結果、第1位置C10の直後および第2位置C20の手前でのベーン室Aの体積の変化が緩和される。その一方で、第1位相と第2位相との中央位置付近では、流体Wの吐出量を確保するために瞬間吐出量が急激に増大しその後に急激に減少する状態が現れる。つまり、ロータrが第1位相から最大吐出位相に至るまでの間に、瞬間吐出量が急増する状態と漸増する状態とが連続して現れ、ロータrが最大吐出位相から第2位相に至るまでの間には、瞬間吐出量が急減する状態と漸減する状態とが連続して現れる。
しかも、本実施形態では、ロータrが第1位相と第2位相とのちょうど中央の位相となったときに、流体Wの瞬間吐出量が最大となるようにカム面Caを形成する。このようなカム面Caの形状は、ロータrおよびベーンVおよびカム面Caとで形成されるベーン室Aの変化をロータrの回転角度に応じて演算することで決定される。
以上の構成につき、具体的にグラフを用いて説明する。図16は図13に示す本実施形態のカムリングCrを用いた場合の各ベーン室Aの容積の変化を示すグラフであり、図17は各ベーン室Aの瞬間吐出吸入量の変化を示すグラフであり、図18は各ベーン室Aの瞬間吐出量および瞬間吐出総量を示すグラフである。
図18に示したように瞬間吐出総量を一定にするために、各ベーン室Aの瞬間吐出量の曲線が適切に設定される必要がある。具体的には、瞬間吐出量がゼロになるとき、および、最大になるときに、瞬間流量の変化度合いを小さくする。図18に示したように、例えば各ベーン室Aの瞬間吐出量を表したとき、夫々の曲線が、瞬間吐出量ゼロの横軸と瞬間吐出総量を示す横軸とに接する形状とする。
このような瞬間吐出量の曲線は、図13に示したように、第1位置C10と第2位置C20とに波線で示したように吐出量調節面C3を形成することで得ることができる。カム面Caの形状をこのように構成することで、ロータrが第1位相から第2位相に至る際に、ロータrの単位回転角度に対するベーン室Aの容積変化量(ベーン室Aからの瞬間吐出量)が、第1位相と第2位相との間の位置で最大となる。つまり、図17に示すように、例えば第1ベーン室A1の瞬間吐出量を示す実線について、第1位相であるa点から第2位相であるe点のちょうど中間位置のc点で最大吐出位相となる。
本構成であれば、流体Wの吐出量が増大する過程と減少する過程とのバランスが最も取り易くなる。特に、最大吐出位相が第1位相と第2位相とのちょうど中間位置にあるため、カム面Caの形状を第1位置C10の近傍および第2位置C20の近傍に吐出量調節面C3を設けることで、ロータrの単位回転角度に対する流体Wの吐出増加量と吐出減少量とをバランスさせ易くなる。よって、流体Wの脈動の少ないベーンポンプS3を得ることができる。
(第1位相と最大吐出位相との中央、最大吐出位相と第2位相との中央で変曲点)
また、吐出量調節面C3の形状については、さらに次のように構成することができる。つまり、ロータrが、第1位相から最大吐出位相まで回転する際には、第1位相と最大吐出位相との中央位相において、瞬間吐出量が急増から漸増に切り替わるように構成する。また、ロータrが、最大吐出位相から第2位相まで回転する際には、最大吐出位相と第2位相との中央位相において、瞬間吐出量が急減から漸減に切り替わるように構成する。
例えば図17に示すように、第1ベーン室A1の瞬間吐出量を示す実線について、第1位相であるa点から最大吐出位相であるc点までの領域が前後二つの領域に分けられる。前半は、a点から瞬間吐出量が徐々に増えたのち急増して曲線の勾配が最大となるb点までの領域であり、後半は、b点から曲線の勾配が緩くなって瞬間吐出量は漸増するものの次第に増加分が少なくなり瞬間吐出量が最大になるc点までの領域である。このc点は最大吐出位相である。
一方、最大吐出位相であるc点から第2位相であるe点までの領域も、前後に二つの領域に分けられる。即ち、前半は、c点から瞬間吐出量が徐々に減少したのち急減して曲線の勾配が最大となるd点までの領域であり、後半は、d点から曲線の勾配が緩くなって次第に減少分が少なくなり瞬間吐出量がゼロになるe点までの領域である。尚、このようなa点からe点までの瞬間吐出量の変化は、ベーン室Aが吸入口20に露出する流体Wの吸引の際にも同様に生じる。
このように、カム面Caに吐出量調節面C3を備えることで、第1ベーン室A1と第3ベーン室A3との一組、および、第2ベーン室A2と第4ベーン室A4との一組によって夫々得られる流体Wの吐出量の変化が非常に滑らかになる。よって、ベーンポンプS3の流体吐出総量を得るべく、各組のベーン室Aによる吐出量を加える場合に、吐出総量の変化も滑らかなものとなり脈動が大幅に改善される。
このような点に留意してカム面Caを形成した結果、図18に示すように、2本の瞬間吐出量の曲線が得られる。このうち一本は、互いに位相が反対となる第1ベーン室A1と第3ベーン室A3とによる合成曲線であり、もう一本は、互いに位相が反対な第2ベーン室A2と第4ベーン室A4とによる合成曲線である。このような曲線形状であれば、両合成曲線の流量を足し合わせた瞬間吐出総量が略一定となる。
本構成のように、流体Wの瞬間吐出量が増加する過程および減少する過程において、ロータrの回転位相におけるちょうど中央位置に増加特性および減少特性の変化点を設けることで、第1位相から最大吐出位相までの瞬間吐出量の変化特性と、最大吐出位相から第2位相までの瞬間吐出量の変化特性とをより対称に近付けることができる。その結果、ロータrの単位回転角度に対する流体Wの吐出増加量と吐出減少量とのバランス状態がより適正なものとなる。よって、さらに脈動の少ないベーンポンプS3を得ることができる。
(第1位相と最大吐出位相との中央で点対称、最大吐出位相を挟んで線対称)
ただし、図18に示したような両合成曲線の流量を足し合わせた瞬間吐出総量が常に一定となるためには、さらに両合成曲線の形状が限定される必要がある。即ち、本実施形態のベーンポンプS3においては、第1位相から最大吐出位相までの瞬間吐出量の増加態様が、第1位相と最大吐出位相との中央位置を挟んで反転し、第1位相から最大吐出位相までの瞬間吐出量の増加態様と、最大吐出位相から第2位相までの瞬間吐出量の減少態様とが、最大吐出位相を挟んで対称となるよう、吐出量調節面C3が形成されていると好都合である。
つまり、図17に示すように、ロータrが第1位相にあるa点から最大吐出位相であるc点まで回転する際の瞬間吐出量の増加態様が、a点とc点との中央位置であるb点を挟んで反転するものとする。b点およびd点が変曲点となり、a点からb点までの曲線とb点からc点までの曲線とがb点に対して点対称に構成される。また、c点からd点までの曲線とd点から第2位相であるe点までの曲線とをd点に対して点対称に構成する。
これに加えて、図17におけるロータrがa点からc点まで回転する際の瞬間吐出量の増加態様と、c点からe点まで回転する際の瞬間吐出量の減少態様とが、c点を挟んで対称となるようにする。つまり、a点からc点までの曲線は、c点からe点までの曲線と、c点を挟んで左右対称の形状に構成する。このように構成することで、第1ベーン室A1乃至第4ベーン室A4の瞬間吐出量を合計した瞬間吐出総量は、図18に示すように略一定になり脈動が解消される。
〔第4実施形態〕
第3実施形態で示したベーンポンプS3は、図14に示したように、回転軸芯Xを挟んで対向する第1ベーン室A1および第3ベーン室A3の第1組と、これに対して、回転軸芯Xを挟んで互いに反対に配置されると共に第1組の第1ベーン室A1および第3ベーン室A3に対してロータrの4分の1周期の位相差を有する第2ベーン室A2および第4ベーン室A4の第2組とを組み合わせるものが基本となる。
この概念は拡大することができ、例えば図19に示すように、互い4分の1周期離れた四つのベーン室A1〜A4を一組とし、互いにロータrの8分の1周期の位相差を有する他の四つのベーン室A1’〜A4’を設けて、合計8枚のベーンVを有する構造とすることもできる。さらに、四つのベーン室を一組にするものであれば、12枚構成や16枚構成のものなどベーンVの総数を4の倍数に設定することができる。
本構成であれば、例えば吐出口10には複数のベーン室A4’,A4,A3’が開口する。その結果、夫々のベーン室に係る流体Wの瞬間吐出量の増減が相殺されて流体Wの脈動が軽減され、振動や騒音の少ないベーンポンプS3を得ることができる。
〔第5実施形態〕
瞬間吐出量の増減態様としては、例えば、図20および図21に示すように台形状に変化する態様にすることもできる。このためには、カム面Caの一部に内径の縮み量を緩和した領域を形成し、最大瞬間吐出量を一定期間だけ維持できるようにする。
具体的には、ロータrが第1位相から第2位相まで回転する角度を吐出回転角度とするとき、カム面Caのうち、第1位置C10から当該吐出回転角度の半分の角度だけ下流にある位置を特定する。殆どの場合、吐出回転角度は180度であるから、第1位置C10から90度の位置を特定する。図20に示すように、ロータrの回転方向に沿ってこの位置を挟んだ領域に、ロータrの回転軸芯Xを中心としたカム面Caの内径の縮径程度がやや緩くなる吐出量調節面C3(波線の領域)を形成する。
これにより、ベーン室A1を構成する先行ベーンV1が吐出量調節面C3の端部C31に到達すると(図21ではa点)瞬間吐出量の増加がとまり、先行ベーンV1が吐出量調節面C3を通過するあいだ瞬間吐出量は最大値を維持する(図21ではa点乃至b点の領域)。その後、先行ベーンV1が吐出量調節面C3の下流側の端部C32を過ぎ(図21ではb点)、通常態様で縮径するカム面Caに進入すると瞬間吐出量が減少する。さらにロータrが回転し、後行ベーンV2’が第2位置C20を通過すると当該ベーン室A1による瞬間吐出量がゼロとなる。
本構成であれば、瞬間吐出量が最大となる位相を広げることができる。その分、瞬間吐出量の変化する位相領域が狭くなり、ロータrの回転に際して、瞬間吐出量が一定となる時間が長くなって、ベーンポンプS3の全体から発生する脈動が小さくなる。
〔第6実施形態〕
瞬間吐出量の増減態様としては、さらに、図22および図23に示すように三角形状に変化する態様にすることもできる。そのためには、カム面Caの一部に内径の縮み量が変化する変曲点C4を設け、流体Wの瞬間吐出量が変曲点C4において増加から減少に反転するように構成する。
具体的には、カム面Caのうち第1位置C10から下流に、ロータrが第1位相から第2位相まで回転する吐出回転角度(通常は180度)の半分の角度(90度)だけ隔てた位置に変曲点C4を設ける。先行ベーンV1が変曲点C4に至るまでは、ロータrに対する先行ベーンV1の突出量が所定の割合で短くなるようカム面Caに吐出量調整面C3aを形成する。変曲点C4を過ぎれば、この突出量減少の割合がやや緩和されるように吐出量調整面C3b(図22に波線で表示)を形成する。これにより、ベーン室A1の体積の縮小が緩和され、図23のa点に示すように、流体Wの瞬間吐出量が速やかに増加から減少に転ずる。
本構成であれば、カム面Caを形成する際に、瞬間吐出量を増加させる吐出量調整面C3aと減少させる吐出量調整面C3bとを変曲点C4の前後に夫々一つずつ形成すればよい。よって、カム面Caの構成が簡略化され、ベーンポンプS3の製造コストを削減することができる。
尚、図21および図23では、流体Wの瞬間吐出量が最大となる領域あるいは当該最大位置以外の部分は直線で示している。しかし、これらの領域が曲線で構成され、つまり、流体Wの瞬間吐出量の変化がより滑らかにすることはベーンポンプS3の脈動低下のためにより有効である。
〔容積室の数と各容積室の稼働割合の決定〕
上記の各実施形態に示した通り、脈動を無くすためには、シリンダ2やベーン室Aなどの容積室Bにおいて流体Wの吐出が終了する際に他の容積室Bからの流体吐出が開始され、流体Wの瞬間吐出量が連続的に増減する必要がある。このような増減特性は、容積室BやカムCの構成を決定することで複数組が設定される。
例えば、第1実施形態では、四つのシリンダ2を用いたラジアルポンプS1の例を示し、第3実施形態では、四枚のベーンVを用いたベーンポンプS3の例を示した。これらの例では、図9あるいは図17に示したように、夫々のシリンダ2あるいはベーン室Aにおいては、流体Wの吸入に際してのカムCの回転角度あるいはロータrの回転角度と、流体Wの吐出に際しての両角度とが同じである。つまり、吸入・吐出に係る時間が同じであり、このような流体ポンプSは、ピストン1の速度変化やロータrに設けられたベーンVの出入速度の変化が滑らかとなって、機構的に無理のない流体ポンプSを得ることができる。
これ等の例では、図10や図18に示すように、流体Wの吐出は夫々二つのシリンダ2あるいは二つのベーン室Aがペアとなり、夫々のペアが交互に流体Wを吐出している。また、同時に流体Wを吐出しているシリンダ2あるいはベーン室Aの数は夫々二つである。
ただし、本発明の流体ポンプSでは、一つの容積室Bについて吸入時間と吐出時間とを均等に設定する必要はない。例えば、カムCのプロフィールを設定することで、夫々の容積室Bにおいて、吐出時間よりも吸入時間を短く設定することができる。この場合、流体Wは容積室Bに一気に吸い込まれ、その後ゆっくりと吐出される。しかし、特に脈動に影響する吐出過程だけを考えた場合、緩やかな吐出が行われることで脈動が大幅に緩和される。そこで、本発明の流体ポンプSにいては、容積室Bの数と各容積室Bの稼働割合を以下のように以下のように決定している。
本発明の流体ポンプSでは、容積室Bおよび移動子Dを三つ以上備えることで、夫々の容積室Bに発生する流体Wの圧力変動を互いに打ち消し合い、全体として脈動のない流体ポンプSを得ることができる。
まず、一つの容積室Bにつき流体Wを吐出する態様を決定する。流体Wの吐出時間を規定するカムCの一周期回転角Zのうち、一つの容積室Bにおいて流体Wを吐出する状態を規定する回転角を吐出回転角αとする。吐出回転角αは、流体Wの瞬間吐出量がゼロである開始位相から、瞬間吐出量が最大となる中央位相を経て、再び瞬間吐出量がゼロとなる終了位相までの回転角である。
容積室Bの数がMであるとき、2乃至(M−1)の何れかの整数をNとして、
吐出回転角α=(Z/M)×N
のように規定する。
ここで、Mは容積室Bの数を表す3以上の整数であり、Nは2乃至(M−1)のうちの何れかの整数である。
図28には、例えば、三つのシリンダ2を有するラジアルポンプS1における、カム回転角度と瞬間吐出量との関係を示す。同様に、図29(a)(b)(c)は、四つのシリンダ2を有するラジアルポンプS1の場合であり、図30(a)(b)(c)は、五つのシリンダ2を有する場合である。
Z/Mの値は、一周期のうち、夫々の容積室Bが吐出動作を行う回転角の差である。例えば、M=4、一周期回転角Z=360度の場合、夫々の容積室Bの吐出動作は、図29に示すように、カムCが90度回転する毎に行われる。
一方、N値は、あるタイミングで、いくつの容積室Bが吐出状態にあるかを示す。よって、N値が大きくなるほど、一つの容積室Bは長い回転角に亘って流体Wを吐出することになる。
N=1となることはない。N=1の場合、常に一つの容積室Bが流体Wを吐出させていることになり、上記の如く一つの容積室Bの吐出動作にあっては必ず脈動が生じるから、そのような容積室Bの吐出を連続させても脈動の解消が不可能だからである。
一方、N=Mであることもない。N=Mということは、全ての容積室Bから流体Wが常に吐出されているということであり、これでは夫々の容積室Bについて流体Wを吸入する期間が確保できない。
よって、図28に示すように、M=3の場合、同時に吐出状態にある容積室Bの数Nは2のみとなる。また、図29に示すように、M=4の場合、同時に吐出状態にある容積室Bの数Nは2または3である。さらに、図30に示すように、M=5の場合、同時に吐出状態にある容積室Bの数Nは2乃至4である。
尚、N値は整数である。つまり、一つの容積室Bが半分だけ吐出状態になることはありえないから、N値が少数になるということは、図29(c)に示すように、ある瞬間は三つの容積室Bが吐出状態にあり、別の瞬間には二つの容積室Bが吐出状態にあるということになって、吐出状態が一定とはならず、脈動は解消されない。よって、Nは、2乃至(M−1)の間の整数となる。
以上の条件を満たしたうえで、容積室Bの何れか一つが終了位相となったとき、この容積室Bに続いてN番目に吐出が開始される容積室Bが開始位相となることが必要である。例えば、N=2の場合、ある瞬間には、特定の容積室Bは自身よりも先に吐出を開始した他の容積室Bと共に吐出状態にある。夫々の容積室Bの吐出開始および吐出終了の時点で全体の吐出量を一定にしようとすると、特定の容積室Bが吐出を開始したばかりの時には、他の容積室Bは所定の吐出量を確保している必要がある。
そうすると、特定の容積室Bの吐出作業は、自身の一つ前に吐出を始めた容積室Bの吐出作業に途中から加わり、当該一つ前の容積室Bの吐出作業が終了したあと、自身の一つ後に吐出作業を始める容積室Bがこれに替わり、自身の吐出量が減少するのを当該一つ後の容積室Bの吐出が補うこととなる。さらに、自身の吐出が終了した時、自身に二つ遅れて吐出を開始する容積室Bと入れ替わることとなる。
このように、常にN個の容積室Bが吐出作業を行うためには、特定の容積室Bが終了位相となるとき、自身の次の容積室Bを1番目としてN番目の容積室Bが開始位相となる必要がある。
さらに、同時に吐出作業を行う容積室Bの吐出量の合計を一定にするには、それぞれの容積室Bが持つ瞬間吐出量の増減態様につき、開始位相と中央位相とのちょうど中間の位相を第1中間位相とするとき、開始位相から第1中間位相までの瞬間吐出量の増加傾向と、第1中間位相から中央位相までの増加傾向が、第1中間位相を挟んで反転するように構成する。さらに、開始位相から中央位相までの増加傾向と、中央位相から終了位相までの瞬間吐出量の減少傾向とが、中央位相を挟んで対称となるようにする。例えば、回転位相を横軸にとり、瞬間吐出量を縦軸にとったグラフをイメージすると、連続する吐出曲線がサインカーブや三角波のようになるものが好都合である。
夫々の容積室Bが持つ瞬間吐出量の増減態様をこのように規定することで、カムCが何れの回転角にある場合でも全体の瞬間吐出量は常に一定となる。よって、容積室Bの設置個数の自由度を高めながら、夫々の容積室Bに発生する流体Wの圧力変動が互いに打ち消され、全体として脈動のない流体ポンプSを得ることができる。
本発明に係る流体ポンプは、複数のシリンダを有するラジアルポンプや、ベーン付きロータを備えたベーンポンプなど、カムを用いて容積室と移動子とを相対移動させる形式のポンプに広く適用することができる。
1 ピストン
2 シリンダ
10 吐出口
10a 上手縁部
10b 下手縁部
11 吐出室
20 吸入口
21 吸入室
C カム
C1 カム面
C1’ 環状カム面
C2 吐出量調節面
C3 吐出量調節面
C4 変曲点
C10 第1位置
C20 第2位置
Ca カム面
Cd 下死対応点
Cr カムリング
Cu 上死対応点
K ケーシング
P プランジャ
R1 供給路
R2 吐出路
r ロータ
S 流体ポンプ
V ベーン
V1 先行ベーン
V2 後行ベーン
W 流体
X 回転軸芯

Claims (9)

  1. 流体を順に吸入し吐出する三つ以上の容積室と、
    前記容積室の夫々に設けられて前記容積室と相対移動し、前記流体を前記容積室に対して吸入・吐出する移動子と、
    前記移動子を当接駆動させるカムと、
    前記移動子および前記カムのうち少なくとも何れか一方を駆動して、前記移動子と前記カムとを相対回転させ、当該相対回転の一周期において前記流体を前記容積室の夫々から一回吐出させる駆動部と、を備え、
    前記容積室の夫々について、前記流体を吸引・吐出する際に、前記一周期に係る一周期回転角Zのうち前記流体の瞬間吐出量がゼロである開始位相となったのち前記瞬間吐出量が最大となる中央位相となり再び前記瞬間吐出量がゼロである終了位相となるまでの吐出回転角αが、前記容積室の数がMであり、2乃至(M−1)の何れかの整数をNとして、
    α=(Z/M)×N
    であり、
    前記容積室の何れか一つが前記終了位相となったとき、当該容積室に続くN番目の前記容積室が前記開始位相となるように構成され、
    前記開始位相と前記中央位相とのちょうど中間の位相を第1中間位相とするとき、前記開始位相から前記第1中間位相までの前記瞬間吐出量の増加傾向と、前記第1中間位相から前記中央位相までの前記増加傾向が、前記第1中間位相を挟んで反転し、
    前記開始位相から前記中央位相までの前記増加傾向と、前記中央位相から前記終了位相までの前記流体の減少傾向とが、前記中央位相を挟んで対称となる流体ポンプ。
  2. 前記容積室が前記流体の給排に係る少なくとも一つの開口を有するシリンダであると共に、
    前記移動子が前記シリンダの内部で往復移動するピストンであり、
    前記カムおよび前記シリンダの少なくとも何れか一方が、前記ピストンを下死点と上死点とに亘って繰り返し駆動するよう回転可能であり、
    前記開始位相が、前記カムが前記ピストンを前記下死点に位置させる位相であり、
    前記終了位相が、前記カムが前記ピストンを前記上死点に位置させる位相である請求項1に記載の流体ポンプ。
  3. 前記カムのカム面のうち、前記ピストンを前記下死点に位置させる下死対応点を含む領域と、前記ピストンを前記上死点に位置させる上死対応点を含む領域とに、前記カムの単位回転に対する前記ピストンの位置変化を少なくして、前記シリンダからの前記瞬間吐出量の変化を緩和する吐出量調節面を備えることで、
    前記開始位相から前記第1中間位相までの領域で前記瞬間吐出量が急増すると共に、前記第1中間位相から前記中央位相までの領域で前記瞬間吐出量が漸増し、
    前記中央位相から前記中央位相と前記終了位相とのちょうど中間の第2中間位相までの領域で前記瞬間吐出量が急減すると共に、前記第2中間位相から前記終了位相までの領域で前記瞬間吐出量が漸減する請求項2に記載の流体ポンプ。
  4. 前記カムが回転軸芯の周りに回転可能であり、前記カムのカム面が前記回転軸芯の周囲に位置する筒状の側面に形成されている請求項2または3に記載の流体ポンプ。
  5. 前記カムが回転軸芯の周りに回転可能であり、前記カムのカム面が前記回転軸芯の延出方向に向く面において環状に形成されている請求項2または3に記載の流体ポンプ。
  6. 前記移動子が、回転軸芯の周りに回転するロータおよび当該ロータに複数設けられた前記ロータに対して出退可能なベーンであり、
    前記容積室が、前記ロータおよび前記ベーンと、前記ロータおよび前記ベーンを内包するケーシングとで形成され、前記回転軸芯の周りに分散配置された吸入室と吐出室であり、
    前記カムが、前記ベーンと摺接可能に前記ケーシングの内面に設けられ、
    前記ケーシングには、前記流体を吐出する吐出口が前記吐出室に連通して設けられ、
    前記吐出口において、前記ロータの回転方向の上手側を上手縁部とし、前記回転方向の下手側を下手縁部とし、
    前記ベーンのうち隣接する二つを先行ベーンおよび後行ベーンとして、
    前記開始位相が、前記ロータが前記先行ベーンを前記上手縁部に位置させたときの位相であり、
    前記終了位相が、前記ロータが前記後行ベーンを前記下手縁部に位置させたときの位相である請求項1に記載の流体ポンプ。
  7. 前記カムのうち、前記開始位相において前記先行ベーンが摺接する第1位置を含む領域と、前記終了位相において前記後行ベーンが摺接する第2位置を含む領域とに、前記回転方向に沿って内径変化の少ない吐出量調節面を備え、
    前記開始位相から前記第1中間位相までの領域で前記瞬間吐出量が急増すると共に、前記第1中間位相から前記中央位相までの領域で前記瞬間吐出量が漸増し、
    前記中央位相から前記中央位相と前記終了位相とのちょうど中間の第2中間位相までの領域で前記瞬間吐出量が急減すると共に、前記第2中間位相から前記終了位相までの領域で前記瞬間吐出量が漸減する請求項6に記載の流体ポンプ。
  8. 前記カムのうち、前記第1位置と前記第2位置とのちょうど中間の位置を挟んだ領域に、前記回転方向に沿って内径変化の少ない第2吐出量調節面を備え、
    前記先行ベーンが前記第2吐出量調節面に摺接するあいだ、前記瞬間吐出量が最大値に維持される請求項7に記載の流体ポンプ。
  9. 前記カムのうち、前記第1位置と前記第2位置とのちょうど中間の位置に変曲点を設け、前記先行ベーンが前記変曲点を通過する際に、前記瞬間吐出量が増加状態から減少状態に急変するように構成してある請求項7に記載の流体ポンプ。
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