JP2019123686A - プロテオグリカン含有軟骨エキスとグルコサミンを含有する錠剤 - Google Patents
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Abstract
Description
近年プロテオグリカンの臨床的効果が注目されている。
代表的な作用としては、表皮角化細胞の活性化(特許文献1)、関節機能改善作用(特許文献2)、脂質代謝改善作用(特許文献3)、変形性関節症予防・治療作用(特許文献4)などを例示できる。
しかし、プロテオグリカン含有軟骨エキスは、非常に成形性の悪い粉体特性を有しており、プロテオグリカン含有軟骨エキス含有量の高い錠剤とするためには、賦形剤として乳糖や結晶セルロースなどの希釈剤を70質量%以上と大量に配合する必要があった。
工業的には、カニ、エビなどの甲殻を水酸化ナトリウム水溶液内で熱処理し、タンパク質を除去したのち、塩酸で灰分を除いて得られるキチンを原料とし、これを塩酸加水分解してグルコサミンを生成させ、次いでこれを無水酢酸でアセチル化することにより製造される。その他の方法としては、アルカリによる脱タンパク工程、及び塩酸による脱カルシウム工程を経て得られるキチンを濃塩酸で加水分解して得る方法(特許文献7参照)、キチンを30%以上の濃塩酸を用いて、反応温度5℃以上30℃以下にて加水分解し、反応時間を48時間以上96時間以下に設定して、N−アセチルグルコサミンを得る方法(特許文献8参照)、キチンの酸による部分加水分解後、N−アセチルグルコサミンとキチンオリゴ糖とを90重量%以上含有する混合物から、冷却晶析によりN−アセチルグルコサミンを選択的に得る方法(特許文献9参照)等がある。
特許文献10には、賦形剤としてセルロース粉末と乳糖を配合し、N−アセチルグルコサミンを40質量%含有する錠剤が記載されている。特許文献11には、結晶セルロースとN−アセチルグルコサミンを配合し、N−アセチルグルコサミンを39.1質量%含有する口腔内速崩壊錠が記載されている。しかし、N−アセチルグルコサミンは、非常に成形性の悪い粉体特性を有しており、N−アセチルグルコサミン含有量の高い錠剤とするためには、賦形剤として乳糖や結晶セルロースなどの希釈剤を30質量%以上と大量に配合する必要があった。
本発明は、プロテオグリカン含有軟骨エキスとN−アセチルグルコサミン以外には賦形剤を実質的に含有しない錠剤を提供することを課題とする。
(1)プロテオグリカン含有軟骨エキスを0.5〜40質量%、N−アセチルグルコサミンを60質量%以上含有する錠剤。
(2)錠剤の硬度が6.5kgf以上である(1)に記載の錠剤。
(3)プロテオグリカン含有軟骨エキスを0.5〜40質量%、N−アセチルグルコサミンを60質量%以上含有する複合粒子からなる粉末と賦形剤の混合物を打錠成形することを特徴とするプロテオグリカン含有軟骨エキスとN−アセチルグルコサミン含有錠剤の製造方法。
(4)プロテオグリカン含有軟骨エキスを0.5〜40質量%と、N−アセチルグルコサミンを60質量%以上含有する複合粒子は、プロテオグリカン含有軟骨エキス及び/又はN−アセチルグルコサミン粒子が物理的に結合した状態を有しているものである(3)に記載の錠剤の製造方法。
(5)プロテオグリカン含有軟骨エキスを0.5〜40質量%と、N−アセチルグルコサミンを60質量%以上含有する複合粒子が、プロテオグリカン含有軟骨エキスとN−アセチルグルコサミンの混合物を、衝撃、圧縮、せん断の繰り返しにより複合化した粉末である(3)に記載の製造方法。
本発明の錠剤は、従来提供することが困難であったプロテオグリカン含有軟骨エキスとN−アセチルグルコサミン以外の賦形剤を実質的に含有しない錠剤となる。また錠剤に配合する賦形剤が実質的に含有されていないため、高濃度含有錠剤であっても小粒の錠剤を提供することが可能となる。
本発明で用いるプロテオグリカン含有軟骨エキスの由来に特に制限はなく、ほ乳類(ヒト、ウシ、ブタ等)、鳥類(ニワトリ等)、魚類(サメ、鮭等)、甲殻類(カニ、エビ等)等の各種動物由来の中から適宜選択することができる。魚類軟骨から抽出されたものが広く流通しており入手が容易である。プロテオグリカン含有軟骨エキスは上記原料から抽出されたエキス末を指し、プロテオグリカン複合体、プロテオグリカン、II型コラーゲンを含む。例えば、プロテオグリカン複合体80(プロテオグリカン複合体80%以上、プロテオグリカン40%以上、II型コラーゲン40%以上含有:日本薬品株式会社製)を例示することができる。
また、本発明で用いるN−アセチルグルコサミンは、通常甲殻類の殻を構成するキチンを化学的又は酵素的に加水分解して生産される。結晶の粒度が50メッシュ以下のものが広く用いられる。このようなN−アセチルグルコサミンは、市販品(例えば甲陽ケミカル株式会社など)として入手することができる。
なお、本発明でいう複合粒子とは、複数の粒子が物理的な力で結合した状態を呈しているものを言う。
また、衝撃、圧縮、せん断の繰り返しによって微小粒子を調製しながら同時に複合化する装置は、乾式複合化装置の名称で市販されており、この装置を使用することができる。乾式複合化装置としては、ホソカワミクロン株式会社製の「ノビルタNOB(製品名)」を例示することができる。ノビルタNOBは、混合容器内でロータが高速回転しながら、原料に衝撃、圧縮、せん断の力を作用させ、原料を微細化し、この微細化粒子の表面形状を加工しながら自動的に複合粒子を製造する装置である(特開2010−180099号公報参照)。
また、通常の造粒法により再度造粒して用いることもできる。
打錠法による製剤の原料とするためには、粒径が10〜750μmになるように篩い分けして分級し、薬効成分とその他の成分を添加・混合し、打錠して必要な硬度を有する錠剤を得ることができる。
打錠は、錠剤の製造に用いるロータリー式打錠機など一般的な打錠成形装置であれば良い。なお直径8〜9mmの錠剤の場合、打錠する際の打錠圧は、1000kgf以下が望ましく、このような条件で製造された錠剤は、6.5kgf以上の錠剤硬度を示す。さらに、本発明の複合粉末を配合した錠剤は、生産時にキャッピング等の打錠障害が発生しない。
<製剤原末の製造例:プロテオグリカン含有軟骨エキスとN−アセチルグルコサミンの複合粒子の製造>
1.使用原料
プロテオグリカン含有軟骨エキス粉末:プロテオグリカン複合体80 平均粒径(メジアン径D50)145μm(日本薬品株式会社)
N−アセチルグルコサミン粉末:コーヨーN−アセチルグルコサミンPG 平均粒径(メジアン径D50)122.8μm(甲陽ケミカル株式会社)
ノビルタNOB−MINI(ホソカワミクロン株式会社)(実験用装置)
方法
プロテオグリカン含有軟骨エキスとN−アセチルグルコサミンを下記表1の配合割合%で物理混合し、この混合物を乾式複合化装置で処理することで、プロテオグリカン含有軟骨エキス又はN−アセチルグルコサミンの粒子表面に、微小粒子からなるプロテオグリカン含有軟骨エキス及び微小粒子からなるN−アセチルグルコサミンが凝集した複合粒子を製造した。
なお、製造装置としてホソカワミクロン株式会社製乾式複合化装置「ノビルタNOB−MINI」を使用した。「ノビルタNOB−MINI」は、水平円筒状の混合容器内で、ブレードを有するロータが周速40m/s以上の高速で回転して、衝撃、圧縮、せん断の力が粒子個々に均一に作用するように設計されている。回転数と運転時間の調節により、微粒子化と複合化を同時に進行させることが可能な装置である。本体ケーシングは水冷ジャケット構造になっており、高いエネルギーを加えても品温の上昇を抑制できる。この装置の使用マニュアルに従い、ジャケット温度15℃、負荷量16W・min/gの処理条件で、衝撃、圧縮、せん断を繰り返し、複合粒子を調製した。負荷量とは、処理装置に投入された原料1gに加えられたエネルギー量、又は、電力量(W・min)を示す。
なお、ここでいう負荷量は 原料にどの程度エネルギーをかけたかの指標となる。
<走査型電子顕微鏡による構造観察>
上記で得られた複合粒子(試料1)を走査型電子顕微鏡S−3400(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)で観察し、その構造を観察した。図1に試料1のプロテオグリカン含有軟骨エキスとN−アセチルグルコサミンの複合粒子の50倍、500倍、5000倍の観察画像を示す。また、構造を評価するために、図2に、使用したプロテオグリカン含有軟骨エキスおよびN−アセチルグルコサミンの50倍、500倍、5000倍の観察画像を示す。
図1、図2を対比すれば理解できるように、本発明の複合粒子は、微小粒子からなる凝集物の粉末及び微小粒子が相互に粒子表面に結合した構造を有している。一方原料としたプロテオグリカン含有軟骨エキスの粒子は、表面が平滑な状態を呈していた。
試料1の粒子は、N−アセチルグルコサミン粒子表面に微小粒子が被覆していることが観察されるが、微小粒子は、複合粒子化処理によって微細に粉砕されたプロテオグリカン含有軟骨エキスとN−アセチルグルコサミンであることが確認される。プロテオグリカン含有軟骨エキスの微小粒子の粒子径は1μm程度であることから、マイクロレベルで結合していることが予想される。
試料1〜6の粒子及び比較例1〜6の粉末を用いて錠剤の調製を試みた。
<錠剤加工適性の評価>
各試料99質量%に滑沢剤としてステアリン酸カルシウムを1質量%添加して、粉混合した後、単発打錠機N−30E(岡田精工株式会社製)で打錠成形した。錠剤形状はφ8mm、10R、200mg/錠、打錠圧力は1000kgfとした。比較例4〜6は打錠成形できなかった。
得られた錠剤の硬度及び崩壊時間を測定した。硬度の測定はニュースピードチェッカーTS−75N(岡田精工株式会社製)を使用した。崩壊時間は、日本薬局方「崩壊試験方法」に記載された方法に従い、水中における崩壊時間を測定した。測定結果を下記表3、表4に示す。
以上例示の通り、従来の技術では、賦形剤を大量に配合しなければ打錠成形できなかった、プロテオグリカン含有軟骨エキス及びN−アセチルグルコサミンを含有する錠剤を得ることができた。
Claims (5)
- プロテオグリカン含有軟骨エキスを0.5〜40質量%、N−アセチルグルコサミンを60質量%以上含有する錠剤。
- 錠剤の硬度が6.5kgf以上である請求項1に記載の錠剤。
- プロテオグリカン含有軟骨エキスを0.5〜40質量%、N−アセチルグルコサミンを60質量%以上含有する複合粒子からなる粉末と賦形剤の混合物を打錠成形することを特徴とするプロテオグリカン含有軟骨エキスとN−アセチルグルコサミン含有錠剤の製造方法。
- プロテオグリカン含有軟骨エキスを0.5〜40質量%と、N−アセチルグルコサミンを60質量%以上含有する複合粒子は、プロテオグリカン含有軟骨エキス及び/又はN−アセチルグルコサミン粒子が物理的に結合した状態を有しているものである請求項3に記載の錠剤の製造方法。
- プロテオグリカン含有軟骨エキスを0.5〜40質量%と、N−アセチルグルコサミンを60質量%以上含有する複合粒子が、プロテオグリカン含有軟骨エキスとN−アセチルグルコサミンの混合物を、衝撃、圧縮、せん断の繰り返しにより複合化した粉末である請求項3に記載の製造方法。
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CN112156077A (zh) * | 2020-10-26 | 2021-01-01 | 上海纳为生物技术有限公司 | 一种n-乙酰氨基葡萄糖片剂及其制备方法 |
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CN112156077B (zh) * | 2020-10-26 | 2023-01-24 | 上海纳为生物技术有限公司 | 一种n-乙酰氨基葡萄糖片剂及其制备方法 |
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