JP2019121712A - 光増幅器の励起光パワー及び利得過渡応答の計算方法 - Google Patents

光増幅器の励起光パワー及び利得過渡応答の計算方法 Download PDF

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Abstract

【課題】クラッド励起・マルチコア光増幅器の励起光パワー及び過渡応答を簡便に計算する方法を提供する。【解決手段】増幅媒体とするダブルクラッド・マルチコアエルビウム添加ファイバの第1クラッドを励起光が伝搬し、第1クラッドを伝搬する励起光のパワーは、第1クラッドの断面に対して一様に分布しているか、またはガンマ分布で表される強度分布である光ファイバ増幅器において、励起光のパワーとエルビウム添加コアとの重ね合わせ積分をエルビウム添加コアの断面積と第1クラッドの断面積に基づいて計算し、ダブルクラッド・マルチコアエルビウム添加ファイバの当該コアのファイバ長手方向の反転分布率を平均化してる光ファイバ増幅器の励起光パワーを計算する。過渡応答を計算する場合には、励起光のファイバ背景損失に他のコアによる影響を加える。【選択図】図1

Description

本発明は、光ファイバ通信に利用される光増幅器の励起光パワー及び利得過渡応答の計算方法に関する。
従来、光伝送システムの伝送容量を飛躍的に増大するために、1本の光ファイバに複数コアを有するマルチコアファイバを伝送路に用いた、マルチコア光伝送システムの開発が進められている。マルチコアファイバの各コアに、それぞれ異なる情報を伝送する波長分割多重(WDM)信号を伝搬させることで、従来の1本に1コアを有する光ファイバを伝送路とする場合と比較して、飛躍的に伝送容量を増大させることができる。
長距離のマルチコア光伝送システムでは、従来の単一コアファイバを伝送路とする光伝送システムと同様に、伝送中に強度が小さくなった信号光を増幅するため、マルチコアファイバ光増幅器が必要不可欠である。
マルチコアファイバ光増幅器の構成の一形態として、エルビウムイオンを添加した複数のコアがダブルクラッド構造(コアを含む内側の第1クラッドと外側の第2クラッドからなる二層構造)を有し、第1クラッド材の屈折率がコアガラスの屈折率より小さく第2クラッド材の屈折率より大きいダブルクラッド・マルチコアエルビウム添加ファイバを増幅媒体として、高出力マルチモード励起光源からの励起光で励起して増幅するマルチコアファイバ光増幅器があり、クラッド励起マルチコアエルビウム添加ファイバ増幅器と呼ばれる(特許文献1および非特許文献1を参照)。
このクラッド励起マルチコアエルビウム添加ファイバ増幅器により光ネットワークの省電力化が期待されており、光ネットワークへ適用した場合の消費電力の検討が進められている(非特許文献2)。この検討においては、光増幅器の消費電力は一定値として仮定されて光ネットワーク全体の消費電力が計算されている。クラッド励起マルチコアエルビウム添加ファイバ増幅器についても、その消費電力は一定として取り扱いがなされている。
しかし、一般的に光増幅器の消費電力は、その構成や動作状態により変化する。特に、ダブルクラッド・マルチコアエルビウム添加ファイバの場合は、コアの個数、コア半径、第1クラッド半径、比屈折率差等のファイバ構成パラメータや、入力信号光パワー、利得チルト(波長に対する利得スペクトル平均値の傾斜)等の動作状態により、所要の励起光パワーは大きく変化する。
その結果、光増幅器全体の消費電力も、これらのパラメータや動作状態に対して変化することになり、それらの光増幅器の消費電力の総和としての光ネットワーク全体の消費電力も変化する。したがって、クラッド励起マルチコアエルビウム添加ファイバ増幅器を使用した光ネットワーク全体の消費電力を計算するためには、クラッド励起マルチコアエルビウム添加ファイバ増幅器をモデル化して励起光パワーを簡便に計算する方法が必要となる。
また、光ネットワークの設計では静的な特性だけではなく、光パワーの時間変動などの動的な特性も考慮する必要がある。一般的にエルビウム添加ファイバ増幅器は、入力信号光のパワー変化に対して時間的に利得が変動する利得過渡応答を有し、これはクラッド励起マルチコアエルビウム添加ファイバ増幅器でも同様である。従って、クラッド励起マルチコアエルビウム添加ファイバをモデル化して、光増幅器の利得過渡応答を計算できる方法も必要とされている。
特許第5635654号公報
S. Takasaka, et al., "Cladding Pumped Seven-Core EDFA Using an Absorption-Enhanced Erbium Doped Fibre", Proc. ECOC 2016, September 18-22 2016, Dusseldorf, paper M.2.A.2., pp.91-93 Md. Nooruzzaman et al., "Power Consumption in Multi-core Fibre Networks", Proc. ECOC 2017, paper Tu.2.F. H. Ono et al.,"Wide-Range Variable Gain Fiber Amplifier With Erbium-Doped Fiber Switching", Journal of Lightwave Technology, VOL. 31, NO. 12, pp. 1965-1972, JUNE 15 2013
本発明は上記の事情に鑑み発明されたもので、その目的は、クラッド励起・マルチコア光増幅器の励起光パワー及び利得過渡応答を簡便に計算する方法を提供することにある。
本発明は、このような目的を達成するために、以下のような構成を備えることを特徴とする。
(発明の構成1)
ダブルクラッド・マルチコアエルビウム添加ファイバを増幅媒体とし、前記ダブルクラッド・マルチコアエルビウム添加ファイバの第1クラッドを励起光が伝搬し、
前記ダブルクラッド・マルチコアエルビウム添加ファイバの前記第1クラッドを伝搬する前記励起光のパワーは、前記第1クラッドの断面において一様に分布しているか、またはガンマ分布で表される強度分布である光ファイバ増幅器において、
前記励起光のパワーと前記エルビウム添加コアとの重ね合わせ積分を前記エルビウム添加コアの断面積と前記第1クラッドの断面積に基づいて計算し、
前記ダブルクラッド・マルチコアエルビウム添加ファイバの当該エルビウム添加コアのファイバ長手方向の反転分布率を平均化する、
ことにより光ファイバ増幅器の励起光のパワーを計算する方法。
(発明の構成2)
前記励起光のパワーと前記エルビウム添加コアとの前記重ね合わせ積分Γは、前記エルビウム添加コアの断面積Scoと前記第1クラッドの断面積Sclの比として、
Γ = Sco/Scl
により計算する
ことを特徴とする発明の構成1に記載の計算する方法。
(発明の構成3)
前記励起光のパワーPin は、
ただし、
ここで、
2:規格化励起状態密度関数
20:定常状態における規格化励起状態密度
τ:励起状態からの緩和時間
ρ:エルビウムイオン密度
S:ファイバコア断面積
L:エルビウム添加ファイバの長さ
σε j:波長λjに対する誘導放出断面積
σa j:波長λjに対する吸収断面積
Δνk:自然放出光帯域幅
k:吸収係数
k:利得係数
in k:入力自然放出光パワー
in s:入力信号光パワー
により計算する
ことを特徴とする発明の構成2に記載の計算する方法。
(発明の構成4)
前記ダブルクラッド・マルチコアエルビウム添加ファイバの前記第1クラッド内のコアの個数をMとして、コア番号mのコアについてコア番号n(m,n≦M)として、励起光のファイバ背景損失を
として、第1クラッドにコアが一つ(シングルコア)の場合の背景損失apに他のコアによる影響として
を加算し、ここで
ρnはコア番号nのコアのエルビウムイオン添加密度
Γp,nはコア番号nのコアの励起光に対する重なり積分
はコア番号nの規格化励起状態密度関数
として光ファイバ増幅器の過渡応答を計算する
ことを特徴とする発明の構成3記載の計算する方法。
(発明の構成5)
発明の構成1ないし4のいずれか1項に記載の方法により計算された励起光のパワーまたは過渡応答に基づいて光ファイバ増幅器の消費電力を計算し、前記光ファイバ増幅器の消費電力の総和として光ネットワーク全体の消費電力を計算する
ことを特徴とする計算する方法。
以上記載したように、本発明によれば、クラッド励起・マルチコア光増幅器の励起光パワー及び利得過渡応答を簡便に計算する方法を提供することができ、これに基づいて光増幅器や光ネットワーク全体の消費電力や過渡応答を計算して、省電力化を図ることが可能となる。
本願発明の対象とするクラッド励起マルチコアエルビウム添加ファイバ増幅器のブロック図である。 本願発明の実施例1の対象とするクラッド励起マルチコアエルビウム添加ファイバ増幅器(ファイバ長3m)における利得スペクトルを示す図である。 本願発明の実施例1における第1クラッドの励起光パワー分布を観察したイメージ図である。 本願発明の実施例1における第1クラッドの励起光パワーの確率密度分布を示す図である。 本願発明の実施例1における励起光パワーの実験値と、本発明による計算値を示す図である。 本願発明の実施例2の対象とするクラッド励起マルチコアエルビウム添加ファイバ増幅器(ファイバ長4m)における利得スペクトルを示す図である。 本願発明の実施例2における第1クラッドの励起光パワー分布を観察したイメージ図である。 本願発明の実施例2における第1クラッドの励起光パワーの確率密度分布を示す図である。 本願発明の実施例2における励起光パワーの実験値と、本発明による計算値を示す図である。 本願発明の実施例2における利得過渡応答の実験値と、本発明による計算値を示す図である。 本願発明の実施例3の対象とするクラッド励起マルチコアエルビウム添加ファイバ増幅器(ファイバ長25m)における利得スペクトルを示す図である。 本願発明の実施例3における第1クラッドの励起光パワー分布を観察したイメージ図である。 本願発明の実施例3における第1クラッドの励起光パワーの確率密度分布を示す図である。 本願発明の実施例3における励起光パワーの実験値と、本発明による計算値を示す図である。 本願発明の実施例3における利得過渡応答の実験値と、本発明による計算値を示す図である。
本発明のマルチコア光増幅器のシミュレーションの計算方法は、以下の事項を主要な特徴として含む。
(a)マルチコア光増幅器は、ダブルクラッド・マルチコアエルビウム添加ファイバを増幅媒体とし、励起光はダブルクラッド・マルチコアエルビウム添加ファイバの第1クラッドを伝搬する。
(b)ダブルクラッド・マルチコアエルビウム添加ファイバの第1クラッドを伝搬する励起光パワーは、第1クラッドの断面において一様に分布しているか、またはガンマ分布で表される強度分布となっている。
(c)励起光パワーとエルビウム添加コアとの重ね合わせ積分は、エルビウム添加コアの面積と第1クラッドの面積の比で表される。
(d)ダブルクラッド・マルチコアエルビウム添加ファイバの当該コアのファイバ長手方向の反転分布率は平均化される。
(e)なお、励起光のファイバ背景損失の計算に当たっては、他のコアによる影響を加える必要がある。
(エルビウム添加ファイバ増幅器の数理モデル)
ここで、一般的にエルビウム添加ファイバ増幅器の動作時におけるエルビウム添加ファイバ長手方向の反転分布率を平均化した平均反転分布率を用いたエルビウム添加ファイバ増幅器モデルにおいて、平均反転分布率の時間微分は次式(1)-(3)で与えられる(非特許文献3)。
ここで、
(1)−(3)式において、各記号の意味は下記による。(非特許文献3)
2:規格化励起状態密度関数
τ:励起状態からの緩和時間
ρ:エルビウムイオン密度
S:ファイバコア断面積
L:エルビウム添加ファイバの長さ
σε j:波長λjに対する誘導放出断面積
σa j:波長λjに対する吸収断面積
Δνk:自然放出光帯域幅
k:吸収係数
k:利得係数
in k:入力自然放出光パワー
in p:入力励起光パワー
in s:入力信号光パワー
また、以下の式を含め各式で、添え字j、kは光チャンネルのインデックスであり、上記の記号に上線が付された記号は、それぞれの記号の示す量をファイバ長方向の長さLの区間について平均した量を意味する。
さらに式(2)で、光パワーとエルビウム添加コアとの重なり積分(閉じこめ係数)Γは次式で表される。
この重なり積分の式(4)で、r、θはそれぞれファイバ断面の径、回転方向の変数であり、ξ(r,θ)はピーク値を1としたコア断面におけるエルビウム添加分布、
は規格化光パワー包絡関数である。
定常状態では、式(1)の左辺の時間微分は0となるから、励起光パワーPin pは次式により計算することができる。
ただし、
なお、N20は、定常状態における規格化励起状態密度である。
上記(5)-(6)式を用いることにより、ダブルクラッド・エルビウム添加ファイバのコア半径、第1クラッド半径、比屈折率差等のファイバパラメータについて任意の値、および入力信号光パワー、利得チルト(波長に対する利得スペクトル平均値の傾斜)等の動作状態において任意の値に対して、エルビウム添加ファイバ増幅器の必要とする励起光パワーが計算できる。
また、(1)式を用いることにより、ダブルクラッド・エルビウム添加ファイバのコア半径、第1クラッド半径、比屈折率差等のファイバパラメータについて任意の値、および入力信号光パワー、利得チルト(波長に対する利得スペクトル平均値の傾斜)等の動作状態において任意の値に対して、エルビウム添加ファイバ増幅器の利得過渡応答を計算することができる。
(重なり積分の計算)
これらの前提の下に、本願発明のクラッド励起・マルチコア光増幅器の励起光パワー及び利得過渡応答の計算方法では、信号光および自然放出増幅光(ASE光)に対する重なり積分は(4)式を用いて計算する一方、励起光に対する重なり積分Γは、コアの断面積と第1クラッドの断面積に基づいて計算されることを特徴とする。具体的には、励起光に対する重なり積分Γは、コアの断面積Scoと第1クラッドの断面積Sclの比として、
Γ = Sco/Scl (7)
によりほぼ簡便に計算することができ、励起光に対する重なり積分の計算を大幅に簡略化することができる。
上記の(7)式で表される励起光の重なり積分は、励起光が第1クラッドに一様に分布している時に用いることができる。また、第1クラッド内の励起光強度が一様でなくとも、励起光パワーの分布がガンマ分布となっていれば励起光パワー期待値が励起光パワー平均値とほぼ一致するので、精度を失うことなく(7)式を用いることができる。
(ファイバ背景損失の計算)
さらに、本願発明のクラッド励起・マルチコア光増幅器の励起光パワー及び利得過渡応答の計算方法では、ダブルクラッド・マルチコアエルビウム添加ファイバの第1クラッド内のコアの本数をMとして、コア番号mのコアのシミュレーションを行う場合には、コア番号n(m,n≦M、n≠m)として、励起光のファイバ背景損失ap
と変更する。
すなわち、第1クラッドにコアが一つ(シングルコア)の場合の背景損失apに他のコアの影響として、
を加算して計算する。
なお、(8)式において、
ρnはコア番号nのコアのエルビウムイオン添加密度
Γp,nはコア番号nのコアの励起光に対する重なり積分
はコア番号nの規格化励起状態密度関数
である。
(励起光パワーおよび利得過渡応答計算方法)
以上により、励起光の重なり積分として(7)式を、励起光のファイバ背景損失として(8)式を用いることで、(5)-(6)式により平均反転分布率の励起光パワーを計算できる。
また、同様に励起光の重なり積分として(7)式を、励起光のファイバ背景損失として(8)式を用い、さらに(1)式を用いることにより、平均反転分布率の過渡応答、すなわちその結果である出力光パワーや利得の過渡応答を計算できる。
以上のように、本願発明では、(1)−(4)式を前提として、(5)−(7)式を用いてクラッド励起マルチコアエルビウム添加ファイバ増幅器の所要励起光パワーが計算でき、さらに(8)式を用いて過渡応答が計算できる。
以下、図面を参照しながら本発明の具体的な実施形態について詳細に説明する。
(クラッド励起マルチコアエルビウム添加ファイバ増幅器の構成)
図1は、本願発明の実施の対象としたクラッド励起マルチコアエルビウム添加ファイバ増幅器のブロック図である。
図1には、増幅用のマルチコアファイバ1、増幅用のマルチコアファイバに添加された活性イオンを励起するための励起光を発生する励起光源2、励起光と信号光を合波または分波する合分波器3-1、3-2が示されている。増幅用マルチコアファイバ1は、例えばダブルクラッド12コアエルビウム添加ファイバで、複数(12個)のコアが第1クラッド内に、ファイバ中心の周りに等間隔で六角環状に配置されているものを例示するが、必ずしもこの配置やコア数に限定されるものではない。
この場合、増幅用マルチコアファイバ1は例えば、各コアのコア半径は2.3μm、第1クラッド半径107μm、コアと第1クラッドとの比屈折率差1.2%、エルビウム添加濃度1.3x1025-3とすることができる。
図1の励起光源2は、マルチモード980nm帯半導体レーザ(LD)とすることができ、合分波器3-1、3-2に接続されるファイバは、図示しない光アイソレータ側(図1の左端側、または右端側)のファイバがシングルクラッド12コアファイバ、増幅用マルチコアファイバ1側のファイバがダブルクラッド12コアファイバ、励起光源2側のファイバがシングルクラッドマルチモードファイバとすることができる。合分波器3-2で分波された励起光は終端されている。
合分波器3-1、3-2は、レンズ光学系で両マルチコアファイバの対応するコアを結合すると共に、ダイクロイックミラーにより励起光と信号光を合波または分波してマルチコアファイバと結合させる機能を有している。また、光アイソレータを内蔵している。(特許文献1参照)
以下の本発明の実施例1〜3では、図1のクラッド励起マルチコアエルビウム添加ファイバ増幅器において、ダブルクラッド12コアエルビウム添加ファイバの長さおよび動作条件の異なる3つのパターンについて、本発明の方法により励起光パワーを計算して、実験値との比較を実施した。また、実施例2と3においては、利得過渡応答も計算して、実験値との比較を実施した。測定に使用したコアは、全てのパターンについて、コア番号1のコアである。
(実施例1)
実施例1では、ダブルクラッド12コアエルビウム添加ファイバを使用し、ファイバ長3mとして、比較的励起光パワーの小さい状態で図1の光増幅器を動作させた。
図2に示すように、8波WDM信号の利得スペクトルは、短波長側の利得が0 dBを下回る一方、長波長側の利得が0 dBを上回るような動作状態である。このときの平均反転分布率は0.5である。図2はコア1にのみ信号光を入力した状態における利得スペクトルであるが、他の11本のコアにコア1と同じ光パワーの信号光を入力しても利得スペクトルに変化はなかった。すなわちダブルクラッド12コアエルビウム添加ファイバの各コアの増幅動作は独立している。
図3には、第1クラッドの励起光パワー分布を観察したイメージ図を示す。図3においては、黒から白になるにしたがって光パワーが大きくなることを示している。図3から励起光パワーが第1クラッドに一様に分布していることが見て取れる。
図4には、実際に励起光パワー分布の確率密度を、横軸を平均光パワーで規格化した規格化励起光パワーとしてプロットした図を示す。図4に示すように平均光パワーの確率密度は、横軸の規格化励起光パワー1においてほぼ1であり、励起光パワーが第1クラッドに一様に分布していることがわかる。
図5には、この動作状態における入力信号光パワーに対する所要励起光パワー(W)の実験値と、本発明による計算値を示す。○(しろまる)が実験値、□(しろしかく)は本発明の(5)-(7)式を用いて計算した励起光パワーである。同図から本発明による励起光パワーの計算値は実験値とよく一致することがわかる。
(実施例2)
実施例2では、ダブルクラッド12コアエルビウム添加ファイバを使用し、ファイバ長4mとして、1530-1560 nmの波長範囲で利得スペクトルが平坦(波長依存性が小さい)になるような動作状態で図1の光増幅器を動作させた。
図6に示すように、8波WDM信号の利得スペクトルは、若干の波長依存性はあるものの波長に対してほぼ平坦な状態で、平均利得は14.7 dBである。このときの平均反転分布率は0.65である。図6はコア1にのみ信号光を入力した状態における利得スペクトルであるが、他の11本のコアにコア1と同じ光パワーの信号光を入力しても利得スペクトルに変化はなかった。すなわちダブルクラッド12コアエルビウム添加ファイバの各コアの増幅動作は独立している。
図7には、第1クラッドの励起光パワー分布を観察したイメージ図を示す。図7においても、黒から白になるにしたがって光パワーが大きくなることを示している。図7から斑点状の励起光パワーが第1クラッド全体に分布していることが分かる。
図8は、この励起光パワーの確率密度分布を、横軸を規格化励起光パワーとして実線でプロットした図である。図8の破線は、実線をガンマ分布でフィッティングした結果であり、破線は実線とよく一致している。破線のガンマ分布の期待値は0.99であり、励起光パワー平均値、すなわち励起光パワーが一様に分布しているときの値とほぼ一致している。
図9には、この動作状態における入力信号光パワーに対する所要励起光パワー(W)の実験値と、本発明による計算値を示す。○(しろまる)が実験値、□(しろしかく)は本発明の(5)-(7)式を用いて計算した励起光パワーである。図9から本発明による励起光パワーの計算値は実験値とよく一致することがわかる。
図10には、増幅器(ファイバ長4m)における利得過渡応答の実験値と、本発明による計算値を示す。利得過渡応答の実験値の測定は、図6に示す利得状態から、信号パワーが40から1へ変化したときの生き残り波長の利得の時間応答を測定した。
実際に使用した信号波長数は8であるが、この8波長で40から1への信号光パワー変化(-16 dBの変化)を模擬するために、生き残り波長の信号光パワーを-11 dBm、その他の7波長の信号光パワーを-3.54 dBに設定し、+5 dBmから-11 dBmへ信号光パワーを-16 dB変化させた。
図10(a)〜(c)の各図左上部に示した波長が生き残り波長であり、図10(a)は1531.0nm、図10(b)は1548.5nm、図10(c)は1561.4nmの3種類の生き残り波長について測定を行った。これらの図で実線は本発明の(1)式および(8)式を用いて計算した利得過渡応答、●(くろまる)は実験値である。これらの図から本発明における利得過渡応答の計算値と実験値は比較的一致することが分かる。
(実施例3)
実施例3では、ダブルクラッド12コアエルビウム添加ファイバを使用し、ファイバ長25mとして、1570-1600 nmの波長範囲で利得スペクトルがほぼ平坦(波長依存性が小さい)になるような動作状態で図1の光増幅器を動作させた。
図11に示すように、8波WDM信号の利得スペクトルは、若干の波長依存性はあるものの波長に対してほとんど平坦な状態で、平均利得は14.3 dBである。このときの平均反転分布率は0.4である。図11はコア1にのみ信号光を入力した状態における利得スペクトルであるが、他の11本のコアにコア1と同じ光パワーの信号光を入力しても利得スペクトルに変化はなかった。すなわちダブルクラッド12コアエルビウム添加ファイバの各コアの増幅動作は独立している。
図12には、第1クラッドの励起光パワー分布を観察したイメージ図を示す。図12においても、黒から白になるにしたがって光パワーが大きくなることを示している。図12からは図7と同様に、斑点状の励起光パワーが第1クラッド全体に分布していることが分かる。
図13は、この励起光パワーの確率密度分布を、横軸を規格化励起光パワーとして実線でプロットした図である。図13の破線は、実線をガンマ分布でフィッティングした結果であり、破線は実線と非常によく一致している。破線のガンマ分布の期待値は1.00であり、励起光パワー平均値、すなわち励起光パワーが一様に分布しているときの値と一致している。
図14には、この動作状態における入力信号光パワーに対する所要励起光パワー(W)の実験値と、本発明による計算値を示す。○(しろまる)が実験値、□(しろしかく)は本発明の(5)-(7)式を用いて計算した励起光パワーである。図14から本発明による励起光パワーの計算値は実験値とよく一致することがわかる。
図15には、増幅器(ファイバ長25m)における利得過渡応答の実験値と、本発明による計算値を示す。利得過渡応答の実験値の測定は実施例2の場合と同様に、図11に示す利得状態から、信号パワーが40から1へ変化したときの生き残り波長の利得の時間応答を測定した。
信号光パワーの変化のさせ方は実施例2の場合と同様に、+5 dBmから-11 dBmへ信号光パワーを-16 dB変化させた。
図15(a)〜(c)の各図左上部に示した波長が生き残り波長であり、図15(a)は1572.0nm、図15(b)は1587.9nm、図15(c)は1600.4nmの3種類の生き残り波長について測定を行った。これらの図で実線は本発明の(1)式および(8)式を用いて計算した利得過渡応答、●(くろまる)は実験値である。これらの図から本発明における利得過渡応答の計算値と実験値は比較的一致することが分かる。
以上の実施例から、本願発明の方法により計算された励起光パワーの精度は高く、利得過渡応答も比較的近い値であり、光増幅器や光ネットワークの消費電力の推定に有効であることが確認できた。
以上のように、本発明によれば、クラッド励起・マルチコア光増幅器の励起光パワーおよび利得過渡応答を計算する方法を提供することができ、その総和として光ネットワーク全体の消費電力を推定することができ、光ネットワークの省電力化が可能となる。
1 増幅用マルチコアファイバ
2 励起光源
3−1、3-2 合分波器

Claims (5)

  1. ダブルクラッド・マルチコアエルビウム添加ファイバを増幅媒体とし、前記ダブルクラッド・マルチコアエルビウム添加ファイバの第1クラッドを励起光が伝搬し、
    前記ダブルクラッド・マルチコアエルビウム添加ファイバの前記第1クラッドを伝搬する前記励起光のパワーは、前記第1クラッドの断面において一様に分布しているか、またはガンマ分布で表される強度分布である光ファイバ増幅器において、
    前記励起光のパワーと前記エルビウム添加コアとの重ね合わせ積分を前記エルビウム添加コアの断面積と前記第1クラッドの断面積に基づいて計算し、
    前記ダブルクラッド・マルチコアエルビウム添加ファイバの当該エルビウム添加コアのファイバ長手方向の反転分布率を平均化する、
    ことにより光ファイバ増幅器の励起光のパワーを計算する方法。
  2. 前記励起光のパワーと前記エルビウム添加コアとの前記重ね合わせ積分Γは、前記エルビウム添加コアの断面積Scoと前記第1クラッドの断面積Sclの比として、
    Γ = Sco/Scl
    により計算する
    ことを特徴とする請求項1に記載の計算する方法。
  3. 前記励起光のパワーPin は、
    ただし、
    ここで、
    2:規格化励起状態密度関数
    20:定常状態における規格化励起状態密度
    τ:励起状態からの緩和時間
    ρ:エルビウムイオン密度
    S:ファイバコア断面積
    L:エルビウム添加ファイバの長さ
    σε j:波長λjに対する誘導放出断面積
    σa j:波長λjに対する吸収断面積
    Δνk:自然放出光帯域幅
    k:吸収係数
    k:利得係数
    in k:入力自然放出光パワー
    in s:入力信号光パワー
    により計算する
    ことを特徴とする請求項2に記載の計算する方法。
  4. 前記ダブルクラッド・マルチコアエルビウム添加ファイバの前記第1クラッド内のコアの個数をMとして、コア番号mのコアについてコア番号n(m,n≦M)として、励起光のファイバ背景損失を
    として、第1クラッドにコアが一つ(シングルコア)の場合の背景損失apに他のコアによる影響として
    を加算し、ここで
    ρnはコア番号nのコアのエルビウムイオン添加密度
    Γp,nはコア番号nのコアの励起光に対する重なり積分
    はコア番号nの規格化励起状態密度関数
    として光ファイバ増幅器の過渡応答を計算する
    ことを特徴とする請求項3記載の計算する方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法により計算された励起光のパワーまたは過渡応答に基づいて光ファイバ増幅器の消費電力を計算し、前記光ファイバ増幅器の消費電力の総和として光ネットワーク全体の消費電力を計算する
    ことを特徴とする計算する方法。
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