JP2870870B2 - 光ファイバ増幅方法および光ファイバ増幅器 - Google Patents

光ファイバ増幅方法および光ファイバ増幅器

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は希土類添加光ファイバ中で信号光を光増幅す
る光ファイバ増幅器に関する。
(従来の技術) 近年、光通信用中継器の小形化・経済化、あるいは光
分岐による損失の補償などを目的として、信号光を光電
変換することなく増幅する光増幅器に関する研究が活発
に行なわれている。光増幅方式としては、これまでに
半導体レーザ媒質を用いるもの、コア部にEr等の希土
類元素を添加した光ファイバを用いるもの、光ファイ
バの誘導ラマン散乱、誘導ブリュアン散乱などの非線形
光学効果を用いるもの等が報告されている。これらの中
で、Er添加光ファイバを用いる光増幅器(Er添加光ファ
イバ増幅器)は、光ファイバの最低損失波長域である波
長1.5μm帯で20dB以上という高利得が得られること
や、利得の偏光依存性がほとんどない等の特長を有する
ことから最近盛んに研究開発が行なわれている(例え
ば、オー・プラス・イー[O plus E],第113巻(1989
年)、75−82ページ、および電子情報通信学会・光量子
エレクトロニクス研究会、第OQE88−123巻(1989年)、
85−90ページを参照)。この方式では、Erイオンの吸収
波長と等しい波長の励起光を信号光とともにEr添加光フ
ァイバに入射させて光増幅を行なう。
(発明が解決しようとする課題) Er添加光ファイバ増幅器をはじめとする希土類添加光
ファイバ増幅器を光通信システムなどに応用する場合、
出力される増幅信号光パワーが所定値になるように増幅
利得を制御することが、システムを安定に動作させる上
で望ましい。これは、最も簡単には、Er添加光ファイバ
へ入力する励起光パワーを変えることによって行なえ
る。しかしながら、従来のEr添加光ファイバ増幅器で
は、20dB程度以上の高利得を得るために励起光パワーを
増やした状態では、励起光パワーに対する増幅利得の変
化量が小さいという特性がある。このために、利得制御
において十分なダイナミックレンジが得られないという
欠点があった。また、ダイナミックレンジを拡大するに
は、励起光を大振幅変調しなければならないという問題
があった。
本発明の目的は、上記のような従来の希土類添加光フ
ァイバ増幅器の欠点を除去し、従来に比べて利得制御の
ダイナミックレンジか広く、かつ、簡便に増幅利得を制
御できるようにした光ファイバ増幅器を提供することに
ある。
(課題を解決するための手段) 本発明の光ファイバ増幅方法は、光学的に縦続接続さ
れた2本以上の希土類添加光ファイバのそれぞれに励起
光を入射し信号光を増幅する光ファイバ増幅方法であっ
て、前記励起光のうちの少なくとも1つは前記希土類添
加光ファイバの増幅利得が励起光パワーにほぼ比例する
領域の光出力パワーとすることを特徴とする。
本発明の光ファイバ増幅器は、光学的に縦続接続され
た2本以上の希土類添加光ファイバと、複数個の励起光
源と、前記励起光源から出力される励起光を前記希土類
添加光ファイバにそれぞれ入射させるための光合波手段
と、増幅された信号光の一部を検出するための光検出器
と、前記光検出器の出力に対応して前記複数個の励起光
源の少なくともひとつの励起光源の出力を制御するため
の制御手段とを含むことを特徴とする。
(作用) 希土類添加光ファイバ増幅器では、光励起によって反
転分布を形成するが、低励起時には増幅利得は励起光パ
ワーにほぼ比例して増加する。しかし、反転分布量には
上限があるので、励起光パワーを増加させるにともなっ
て増幅利得は徐々に飽和し始める。そして、十分に励起
した高励起状態になると、さらに励起光パワーを大きく
しても増幅利得はほとんど増えなくなる。
本発明は、希土類添加光ファイバにおいて、励起がそ
れほど高くない時には前述の様に増幅利得が励起光パワ
ーにほぼ比例することに着目し、2本以上の希土類添加
光ファイバを縦続接続して用い、片方の光ファイバは十
分に励起して高利得を得るために、他方の光ファイバは
低励起状態として利得制御のために動作させるものであ
る。この結果、本発明では、従来の比べて簡便で、か
つ、利得制御のダイナミックレンジが広い希土類添加光
ファイバ増幅器を実現できる。
(実施例) 次に、図面を参照して、本発明の利得制御光ファイバ
増幅器について詳細に説明する。
第1図は、本発明による光ファイバ増幅器の実施例の
構成図である。この実施例では、2本のEr添加光ファイ
バを縦続接続して用いている。図において、Er添加光フ
ァイバ11,12は、いずれも内付け化学的気相析出法(MCV
D法)によって作製したコア径7μm、長さ20m、Er濃度
300ppmのEr添加単一モード光ファイバ、光合分波器21,2
2,23は、波長1.48μm帯の励起光と1.54μm帯の信号光
と合波および分波が可能な波長多重用単一モード光ファ
イバカップラである。この光ファイバカップラは、波長
1.54μm帯での損失が0.5dB以下であり、Er添加光ファ
イバとは損失0.1dB以下でスプライス接続されている。
また、励起光源31,32は、最大出力として100mWが得られ
る波長1.48μmのInGaAsP/InPファブリペロ型半導体レ
ーザである。41,42はこれら励起光源を駆動する駆動電
源である。さらに、光検出器6は、InGaAsフォトダイオ
ード、光分岐素子5は信号光波長1.54μm帯での分岐比
が10対1の単一モード光ファイバカップラである。
本実施例の光ファイバ増幅器では、信号光は、励起光
源31から出射された励起光と光ファイバカップラ21によ
って合波され、Er添加光ファイバ11に入射される。この
Er添加光ファイバ中で増幅された信号光は、新たに励起
光源32からの励起光と光ファイバカップラ22によって合
波され、Er添加光ファイバ12に入力される。そして、こ
の光ファイバを伝搬したあと、光ファイバカップラ23に
よって励起光と分波されて出力される。さらに、この出
力信号光は、その約一割が分岐比10対1の単一モード光
ファイバカップラ5によって分けられフォトダイオード
6で受光されている。制御回路7は、フォトダイオード
6の出力に応じて駆動電源42の電流を増減させ、InGaAs
P/InPファブリペロ型半導体レーザ32から出力される励
起光パワーを制御している。
第2図は、この実施例で用いたEr添加光ファイバ12に
おいて、励起光パワーを変化させた場合の増幅利得特性
を示したものである。ただし、信号光の波長は1.536μ
mである。他方のEr添加光ファイバ11も同様な特性を有
する。この図より、増幅利得は励起光パワー17mW以上で
正となり、利得が約10dBとなる22mW程度までは励起入力
にほぼ比例して増加することがわかる。この増幅特性か
ら、本実施例では、Er添加光ファイバ12への励起入力の
初期値を17mWにすれば、励起入力を約±5mW変えること
によって増幅利得を±10dB変化させることができる。す
なわち、20dB程度の広いダイナミックレンジを実現でき
る。実際の動作では、Er添加光ファイバ11には励起光パ
ワーを約60mW入力し、正味の増幅利得として25dBの値を
得た。一方、前述の様にEr添加光ファイバ12には最初は
17mWの励起光パワーを入力し、利得制御のために用い
た。したがって、本構成の光ファイバ増幅器では以上の
説明から明らかなように、Er添加光ファイバ12への励起
入力をわずかに±5mW変えることにより、全体としての
増幅利得を25dB±10dBの広い範囲に渡って制御すること
ができる。言い換えれば、信号入力が±10dB程度変化し
ても、励起入力をわずかに±5mW変えることにより信号
出力を一定に制御可能である。
本発明の有効性を検証するために、信号入力が−30dB
mの場合に25dBの増幅利得が得られるように設定し、信
号入力を−40dBmから−20dBmまで変化される模擬動作実
験を試みた。この結果、いずれの場合も信号出力を−5d
Bmに保持できることが確認された。これに対して、Er添
加光ファイバ12による利得制御部を取除いた場合には、
信号入力が−33dBm以下となると、増幅利得を増加させ
ることができず制御できなかった。また、信号入力が−
30dBm以上の範囲の制御においても、増幅利得と励起入
力が比例していないために、制御回路にあらかじめ励起
入力対増幅利得特性を記憶させ、これに応じて駆動電源
42の電流を増減させねばならず、複雑な制御が必要であ
った。
以上、本発明による光ファイバ増幅器について一実施
例を用いて説明したが、本発明はこの実施例に限られる
ことなくいくつかの変形が考えられる。
例えば、励起光源は、実施例では波長1.48μmとした
が、波長0.51μm,0.81μm,0.98μm帯などのErイオンそ
の他の吸収波長に合致させてもよく、使用するレーザは
いかなるレーザでも良い。また、励起光の光合波手段
は、ダイクロイックミラーなどを用いてもよく、その性
能を有する限りいかなる素子、要素であってもよいこと
は言うまでもない。さらに、Er添加光ファイバのEr濃度
やサイズ、および縦続接続される本数等も本実施例に限
定されない。特に、利得制御のためのEr添加光ファイバ
の本数を増やせば、ダイナミックレンジを広くできる。
また、添加物はErに限らずNdやHoなどの他の希土類元素
でもよい。
(発明の効果) 以上説明したように、本発明の光ファイバ増幅器で
は、Er添加光ファイバにおいて励起がそれほど高くない
時には増幅利得が励起光パワーにほぼ比例することに着
目し、少なくとも2本以上のEr添加光ファイバを縦続接
続して用い、片方の光ファイバは十分に励起して高利得
を得るために、他方の光ファイバは低励起状態として利
得制御のために動作させている。この結果、本発明で
は、従来に比べて簡便で、かつ、利得制御のダイナミッ
クレンジが広いEr添加光ファイバ増幅器を実現できると
いう利点がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の実施例を示す構成図、第2図は、実
施例に用いたEr添加光ファイバで得られる増幅利得対励
起入力を示す図である。 図において、11,12……Er添加光ファイバ、21,22,23…
…光合分波器、31,32……励起光源、41,42……駆動電
源、5……光分岐素子、6……光検出器、7……制御回
路である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光学的に縦続接続された2本以上の希土類
    添加光ファイバのそれぞれに励起光を入射し信号光を増
    幅する光ファイバ増幅方法であって、前記信号光を少な
    くとも1つの高励起状態の前記希土類添加光ファイバで
    増幅し、少なくとも1つの他の希土類添加光ファイバに
    おいて増幅利得が前記励起光のパワーにほぼ比例する領
    域を用いて前記信号光の増幅利得を制御し、前記信号光
    の出力に対応して前記他の希土類添加光ファイバへ入射
    される励起光のパワーを制御し、前記信号光の出力が所
    定の値になるように制御することを特徴とする光ファイ
    バ増幅方法。
  2. 【請求項2】光学的に縦続接続された2本以上の希土類
    添加光ファイバと、複数個の励起光源と、前記励起光源
    から出力される励起光を前記希土類添加光ファイバにそ
    れぞれ入射させるための光合波手段と、増幅された信号
    光の一部を検出するための光検出器と、前記光検出器の
    出力に対応して前記複数個の励起光源の少なくともひと
    つの励起光源の出力を制御するための制御手段とを含む
    ことを特徴とする光ファイバ増幅器。
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