JP2019120074A - コンクリート輸送管 - Google Patents

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Abstract

【課題】製作コストを高騰させることなく、コンクリートの配管閉塞を抑制することのできるコンクリート輸送管を提供する。【解決手段】コンクリート輸送管100は直管10とベント管20を少なくとも有し、直管10を形成する配管1の内壁2から管内に延びて、管内におけるコンクリートの流動に対して抵抗する、非回転の抵抗体50を有している。コンクリート輸送管100は直管10とベント管20とを有し、少なくともベント管20よりもコンクリートの流動方向上流側にある直管10に抵抗体50を有していることが好ましい。【選択図】図2

Description

本発明はコンクリート輸送管に関する。
フレッシュコンクリートをポンプ圧送し、配管を介して打設場所へ送り出して打設することにより、鉄筋コンクリート構造物や無筋コンクリート構造物、鋼コンクリート合成構造物等が施工される。施工現場の制約等により、配管長が長くなったり、配管がベント管や上向き垂直管等を含むような場合には、配管閉塞が大きな問題となり得る。コンクリートのポンプ圧送に関して、配管閉塞が起き難い配合の一要素として、単位セメント量が300kg/m以上の配合のコンクリートを用いることが経験則の観点から推奨されており、この場合には300m以内の圧送距離が確保できると言われている。また、コンクリートのポンプ施工指針(非特許文献1)においては、粗骨材の最大寸法40mm、スランプ12cm、空気量4%で、配管径が150mmの場合に、単位セメント量が300kg/m以上であれば、圧送距離100mを満足することが記載されており、これも経験則に依拠するものである。このように、コンクリートのポンプ圧送性においては、コンクリートの配合が重要であることが分かっている。なお、上記するコンクリートのポンプ施工指針では、コンクリートのポンプ圧送性に関して、コンクリートの配合の他に、コンクリートをポンプ圧送(加圧)した後の経過時間とブリーディング量を加圧ブリーディング試験から特定し、圧送性の評価を行う方法も記載されている。そして、このようなコンクリートの配合調整やブリーディング試験は、コンクリートのポンプ圧送の他にも、トレミー管を利用してコンクリートを自重にて落下させることにより、地中連続壁や場所打ちコンクリート杭等を施工する、所謂トレミー工法においても同様に行われる。そこで、本明細書において、コンクリートを圧送したり、コンクリートを自重落下させる際に適用される配管(トレミー管を含む)を総称して、「コンクリート輸送管」と言い、コンクリートの圧送や自重落下を「輸送」という場合がある。
しかしながら、コンクリートの配合を調整したり、ブリーディング試験をはじめとする各種の試験を事前に実施した上で配管を介してコンクリートを輸送したとしても、実際に配管内を流動するフレッシュコンクリートの内部の挙動を確認することはできず、配管閉塞を完全に防止することは難しい。そこで、コンクリートを圧送する配管の途中に回転する中間パイプを設け、この中間パイプの内側に撹拌羽根を設けた、コンクリート分離・閉塞防止装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平1−203565号公報
コンクリートのポンプ施工指針(2012年版) 土木学会
しかしながら、配管内で撹拌羽根が回転する構成では、配管の内部機構が複雑になり、配管製作コストが嵩むとともに、配管長が長くなるにつれてこれらの課題は一層顕著になる。また、配管は、ベント管やテーパ管管をその途中に有しているのが一般的であるが、輸送されるコンクリートの閉塞が特に問題とされる例えばベント管の屈曲部においてこのような回転機構を設けることは極めて難しい。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、製作コストを高騰させることなく、コンクリートの配管閉塞を抑制することのできるコンクリート輸送管を提供することを目的としている。
前記目的を達成すべく、本発明によるコンクリート輸送管の一態様は、配管の内壁から管内に延びて、該管内におけるコンクリートの流動に対して抵抗する、非回転の抵抗体を有していることを特徴とする。
本態様によれば、コンクリート輸送管が配管内に非回転の抵抗体を有していることにより、例えば配管内で形成される骨材同士のアーチングによって形成される骨材塊を当該骨材塊の流動方向下流に位置する抵抗体にて崩すことができ、コンクリート輸送時の配管閉塞を抑制することができる。また、非回転の抵抗体を配管内に配設する構成であることから、直管はもとより、ベント管の屈曲部等、多様な形態の配管のあらゆる部位に抵抗体を容易に設けることができる。さらには、非回転の抵抗体ゆえに、配管内の構造が複雑にならず、製作コストの高騰の恐れもない。ここで、コンクリート輸送管は、コンクリートをポンプ圧送する圧送管や、コンクリートを例えば地中の造成孔に自重落下させるトレミー管等、コンクリートの水平輸送や鉛直輸送等に供される配管全般を包含する。また、コンクリート輸送管は、直管のみからなる形態(直管にはテーパ管や上向き垂直管も含む)、直管とベント管が組み合わされた形態、直管とベント管とフレキシブルホースが組み合わされた形態など、多様な形態が包含される。
また、本発明によるコンクリート輸送管の他の態様は、前記抵抗体が少なくとも前記配管の長手方向に延びる棒状体からなることを特徴とする。
本態様によれば、抵抗体が配管の長手方向に延びる棒状体であることより、配管内を輸送されるコンクリートの流動性を抵抗体が阻害することなく、骨材同士のアーチングによって形成されて流動してくる骨材塊に対して棒状体が速やかに進入して当該骨材塊を崩すことができる。
また、本発明によるコンクリート輸送管の他の態様は、前記棒状体のうち、コンクリートの流動方向上流側の端部に湾曲面状体を有していることを特徴とする。
本態様によれば、棒状体におけるコンクリートの流動方向上流側の端部に湾曲面状体を有していることにより、流動してきたコンクリートが棒状体の端部に衝突した際のコンクリートの流動性が阻害されることをより一層抑制することができる。また、骨材同士のアーチングによって形成されて流動してくる骨材塊に対して棒状体をより一層スムーズに進入させることができる。ここで、「湾曲面状体」は、全面が湾曲面であればその形状は特に限定されるものではないが、形状の一例として、半球体や球体、半楕円球体などを挙げることができる。
また、本発明によるコンクリート輸送管の他の態様は、前記棒状体の側面から突出する中央羽根を有していることを特徴とする。
本態様によれば、棒状体の本体の他に、この棒状体の側面から側方に突出する中央羽根を有していることにより、骨材同士のアーチングによって形成される骨材塊をより一層細かく崩すことができ、一度崩された骨材塊の破片がさらにコンクリートの流動方向の下流域において再度アーチングによって再構築されることを抑制することができる。ここで、棒状体の長手方向の同じ位置において、棒状体の周方向に所定の角度間隔で複数の中央羽根が設けられている形態であってもよい(90度ピッチで4つの中央羽根を有する形態、180度ピッチで2つの中央羽根を有する形態など)。また、棒状体の長手方向にずれた位置に複数の中央羽根が配設されるとともに、各中央羽根は棒状体の周方向においてもずれた位置に配設されている形態などであってもよい。
また、中央羽根のコンクリートの流動方向上流側の端面が、当該コンクリートの流動方向と反対方向に傾斜する端面を有する中央羽根を有していてもよいし、当該流動方向上流側の端面が、コンクリートの流動方向と同方向に傾斜する端面を有する中央羽根を有していてもよい。さらに、中央羽根のコンクリートの流動方向上流側の端面も棒状体の端部と同様に湾曲球状体を有しているのが好ましい。なお、配管内において、棒状体は例えば配管の断面中央位置に配管の長手方向に延設する態様で取り付けられる。より具体的には、棒状体の側面と配管の内壁を繋ぐ一片もしくは複数片の繋ぎ片によって棒状体の配管内の固定姿勢が保持される。そして、この繋ぎ片が上記する中央羽根を兼用してもよい。
また、本発明によるコンクリート輸送管の他の態様において、前記抵抗体は、前記配管の前記内壁から管内に突出する外周羽根をさらに有し、
前記外周羽根は、コンクリートの流動方向上流側において該内壁から該管内に向かって湾曲状に立ち上がる湾曲立ち上がり面と、コンクリートの流動方向下流側において該湾曲立ち上がり面の端辺から前記内壁に向かって徐々に漸近する漸近面と、を有していることを特徴とする。
本態様によれば、例えば中央羽根を介して配管の内壁面側に押し流されたフレッシュコンクリートを、外周羽根の湾曲立ち上がり面を介して配管の中央側へ滑らかに誘導することができる。すなわち、この湾曲立ち上がり面による誘導によって生ぜしめられるフレッシュコンクリートの乱流により、骨材塊をより一層細かく崩すことが可能になる。また、湾曲立ち上がり面の端辺から配管の内壁に向かって徐々に漸近する漸近面により、フレッシュコンクリートの外周羽根の表面における滑らかな流動を促すことができ、フレッシュコンクリートを下流方向にスムーズに流動させることができる。ここで、「漸近面」は、直線状のテーパ面であってもよいし、緩やかな湾曲面であってもよい。
また、本発明によるコンクリート輸送管の他の態様は、前記配管が直管とベント管とを有し、
少なくとも前記ベント管よりもコンクリートの流動方向上流側にある前記直管に前記抵抗体を有していることを特徴とする。
本態様によれば、ベント管に流入する前の段階で抵抗体によって骨材同士のアーチングによって形成される骨材塊を崩すことができるため、配管閉塞が生じ易いとされるベント管内での配管閉塞を効果的に解消することができる。なお、コンクリートの輸送中に水分が分離し、骨材(特に粗骨材)が偏在して骨材同士によるアーチングが生じて骨材塊が形成された場合でも、直管の中では配管の内壁と骨材塊の間に存在する潤滑層により、骨材塊は流動し続けることが可能であり、従って配管閉塞には至り難い。一方、骨材塊が直管からベント管に流入した際に、骨材塊のせん断変形性能が低い場合は、ベント管内で骨材塊が留まり易く、配管閉塞が生じ易くなる。すなわち、配管閉塞の主要因の一つは、せん断変形性能の低い骨材塊がベント管内に留まることである。従って、ベント管よりもコンクリートの流動方向上流側に抵抗体を配設しておくことにより、骨材塊がベント管に流入する前に当該骨材塊を崩すことができ、骨材塊がベント管内に進入してここに留まることに起因する配管閉塞を抑制することが可能になる。なお、ベント管よりもコンクリートの流動方向上流側にある直管に抵抗体が配設されている形態の他にも、ベント管における流動方向上流側(ベント管の曲がり部よりも上流側)に抵抗体が配設され、ここで骨材塊を崩すようにしてもよい。しかしながら、骨材塊を確実に崩した後にベント管の曲がり部に崩された骨材塊を進入させることを勘案すると、ベント管の上流側の直管内に配管された抵抗体にて骨材塊を崩すことが好ましい。
本発明のコンクリート輸送管によれば、製作コストを高騰させることなく、コンクリートの配管閉塞を抑制することができる。
本発明の実施形態に係るコンクリート輸送管の一例を示す平面図である。 コンクリート輸送管を形成する直管を一部破断してその内部を視認した模式図であって、第1の実施形態に係る抵抗体を説明する図である。 棒状体の端部の湾曲面状体の実施形態を示す模式図である。 配管内でコンクリートが閉塞するメカニズムを説明する図である。 抵抗体によって骨材塊が崩されることを説明する模式図である。 第2の実施形態に係る抵抗体を説明する図である。 第3の実施形態に係る抵抗体を説明する図である。 第4の実施形態に係る抵抗体を説明する図である。
以下、本発明の実施形態に係るコンクリート輸送管と、当該コンクリート輸送管を形成する抵抗体について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く。
[実施形態に係るコンクリート輸送管と第1の実施形態に係る抵抗体]
はじめに、図1を参照して、本発明の実施形態に係るコンクリート輸送管の一例を説明する。図1は、本発明の実施形態に係るコンクリート輸送管の一例を示す平面図である。コンクリート輸送管100は、不図示のコンクリートポンプ車に通じる筒元から延びる直管10と、ジョイント40を介して直管10に接続されるベント管20と、ジョイント40を介してベント管20に接続される別途の直管10を有する。さらに、ジョイント40を介して直管10に接続される別途のベント管20と、ベント管20に接続される直管10と、直管10の先端にてジョイント40を介して接続されるフレキシブルホース30とを有する。図示例は、既に組み付けが完了している例えばスラブ用の配筋の上にコンクリート輸送管100が配設され、コンクリート輸送管100の筒元がポンプ車に繋がれている。筒元側から供給されるフレッシュコンクリートが直管10やベント管20を経てX1方向に流れ、フレキシブルホース30の筒先から吐出されてコンクリート打設が行われる。なお、図示例のコンクリート輸送管100は、フレッシュコンクリートがポンプ圧送される圧送管の一例を示すものであるが、鉛直方向に延びてコンクリートを自重落下させて連続地中壁等を造成するトレミー管などであってもよい。
コンクリート輸送管100は、ベント管20よりもコンクリートの流動方向(X1方向)上流側にある直管10の内部において、コンクリートの流動に対して抵抗する様々な形態の抵抗体を有している。具体的には、図1において、ベント管20の上流側の直管10の例えばエリアP1、P2において抵抗体が配設される。なお、直管10における図示例以外の箇所やベント管20の内部において抵抗体が配設されてもよい。
図2は、コンクリート輸送管を形成する直管を一部破断してその内部を視認した模式図であって、第1の実施形態に係る抵抗体を説明する図である。抵抗体50は、直管10を形成する配管1の内部の断面中央位置において配管1の長手方向に延びる棒状体51を有する。棒状体51のうち、コンクリートの流動方向上流側の端部には、球体状の湾曲面状体52が設けられている。棒状体51は、配管1の内壁2に通じる例えば2つの中央羽根53により、配管1の断面中央位置に固定されている。中央羽根53のうち、コンクリートの流動方向上流側の端部は、図2の拡大図で示すように、湾曲面52aを有している。
棒状体51と湾曲面状体52、もしくは、棒状体51と湾曲面状体52と中央羽根53は、相互に別体に製作されてもよいし、一体に成形されてもよく、配管1内を流動するフレッシュコンクリートの流動抵抗体であることより、鋼やアルミニウム、ステンレス等の金属から形成されるのが好ましいが、硬度の高い樹脂製等であってもよい。
配管1内の特に断面中央を流動するフレッシュコンクリートは、まず、球体状の湾曲面状体52に衝突するが、湾曲面状体52の曲面形状に沿ってX2方向に流動することから、フレッシュコンクリートの流動は阻害され難い。さらに、中央羽根53もコンクリートの流動方向上流側の端部に湾曲面52aを有していることから、湾曲面52aに沿ってX2方向にフレッシュコンクリートがスムーズに流動することができる。
一方で、後述するように、配管1の断面中央位置に抵抗体50が存在することにより、この抵抗体50にて骨材塊を効果的に崩すことができ、下流側に位置するベント管20に骨材塊が流れ込んでここに留まり、配管閉塞に至る可能性を低減することができる。なお、図示例は、棒状体51と湾曲面状体52、及び棒状体51の上下鉛直面に2つの中央羽根53を有する形態であるが、例えば、抵抗体50が上下いずれか一方の中央羽根53のみから形成されてもよい。また、抵抗体50が、棒状体51と湾曲面状体52、及び上下いずれか一方の中央羽根53から形成されてもよい。また、抵抗体50が、棒状体51と湾曲面状体52、及び棒状体51において下方の鉛直方向の中央羽根53と、上方は鉛直方向でなく傾斜方向の中央羽根53から形成されてもよい(すなわち、上下の中央羽根53が同一面内にない形態)。さらには、抵抗体50が、上下いずれか一方の中央羽根53と棒状体51から形成されてもよい。
棒状体51のうち、コンクリートの流動方向上流側の端部に設けられる湾曲面状体としては、図2に示す球体形状の湾曲面状体52の他にも様々な形態が挙げられる。図3は、湾曲面状体の複数の実施形態を示す模式図である。
図3(a)に示す湾曲面状体52Aは、半球体状を呈している。例えば、円柱棒状の棒状体51の端部をブラスト処理等することにより、図示例の半球体状の湾曲面状体52Aが形成できる。図2に示す球体状の湾曲面状体52に比べて、半球体状の湾曲面状体52Aは棒状体51の側面から側方に突出していないことから、湾曲面状体52Aに衝突したフレッシュコンクリートをよりスムーズに下流側に流動させることができる。
一方、図3(b)に示す湾曲面状体52Bは、半楕円体状を呈しており、湾曲面状体52Aと比べて先端がより鋭角に成形されている。そのため、湾曲面状体52,52Aと比べて、流動してくる骨材塊の内部に進入し易く、骨材塊をより効果的に崩すことができる。半楕円体状の湾曲面状体52Bによっても、湾曲面状体52Bに衝突したフレッシュコンクリートをよりスムーズに下流側に流動させることができる。
さらに、図3(c)に示す湾曲面状体52Cは、円錐状を呈しており、湾曲面状体52Bと比べて、先端がより一層鋭角に成形されていることから、流動してくる骨材塊の内部に対してより一層進入し易くなり、骨材塊をより一層効果的に崩すことができる。円錐状の湾曲面状体52Cによっても、湾曲面状体52Cに衝突したフレッシュコンクリートをよりスムーズに下流側に流動させることができる。
次に、図4を参照して、配管内でコンクリートが閉塞するメカニズムを説明する。図4は、(a)から(c)の順に配管が閉塞していく状況を時系列的に示す図である。まず、図4(a)に示すように、配管内にフレッシュコンクリートが流動する過程で、配管の内壁とフレッシュコンクリートの間にはコンクリート中のセメント成分と水分からなる潤滑層が形成され、この潤滑層の内側をフレッシュコンクリートが流動する。なお、フレッシュコンクリートは、図示する粗骨材や細骨材、セメントと水、さらには各種の混和剤を成分としている。昨今、良質の骨材(特に粗骨材)が少なくなり、砕石の使用頻度が多くなる中で、砕石を用いても良質の骨材を用いた場合と同等のワーカビリティーを得ようとすると、単位水量が自ずと多くなる傾向にある。
このようにコンクリートの単位水量が増加すると、骨材やモルタルから水分が分離するブリーディング率の上昇に繋がり、このブリーディング率の上昇により、骨材塊が形成され易くなる。また、コンクリートに添加される混和剤も多様化しているが、この混和剤の多様化により、同一スランプであってもコンクリートの分離抵抗性の低いものが存在し、分離抵抗性の低いコンクリートは材料分離が生じ易く、同様に骨材塊が形成され易い。
ブリーディングを取り上げてより具体的に説明すると、図4(b)に示すように、フレッシュコンクリートの流動過程でブリーディングによって骨材やセメントと水分との分離が生じると、粗骨材の偏在が生じてくる。そして、粗骨材の偏在がより一層進行すると、図4(c)に示すように、粗骨材がアーチ状に密に固まるアーチングを生じ、配管中央からは過度の濾過脱水が生じることにより、骨材塊が形成されることになる。
このように、配管内に骨材塊が形成されたとしても、配管が直管の場合は、骨材塊は配管の内壁に形成されている潤滑層の表面を滑るようにして流動することから、配管閉塞が生じないケースが多い。一方、骨材塊が直管からベント管に流入した際に、この骨材塊のせん断変形性能が低い場合は、骨材塊がベント管の曲がり部分に噛んでロックされ、ここにさらに流動してきた骨材が堆積していくことにより、配管閉塞に至り得る。
このような配管閉塞のメカニズムに基づき、本実施形態に係るコンクリート輸送管100においては、ベント管20よりもコンクリートの流動方向上流側にある直管10の内部において、コンクリートの流動に対して抵抗する抵抗体50等を配設するものとしている。
ここで、図5は、抵抗体によって骨材塊が崩されることを説明する模式図である。図5に示すように、ベント管20に到達する前の直管10内において、粗骨材Aによるアーチングによって骨材塊M1が形成され、形成された骨材塊M1が流動してきたとしても、ベント管20にこの骨材塊M1が進入する前の段階で抵抗体50等にて骨材塊M1を崩して小寸法の被粉砕骨材塊M2とすることができる。小寸法の被粉砕骨材塊M2は、ベント管20内に留まる程度の寸法を有していないことから、ベント管20内に骨材塊M1が留まることに起因する配管閉塞を解消することができる。
[第2の実施形態に係る抵抗体]
次に、図6を参照して、第2の実施形態に係る抵抗体を説明する。図6(a)は、図2と同様に、直管の一部を破断して内部の抵抗体を視認可能とした模式図であり、図6(b)は図6(a)におけるb方向矢視図であって配管内を側方から見た断面図である。抵抗体50Aは、配管1の断面中央位置において配管1の長手方向に延びる棒状体51と、棒状体51のうち、コンクリートの流動方向上流側の端部に球体状の湾曲面状体52とを有している構成は抵抗体50と同様である。
抵抗体50Aでは、棒状体51の側面において上下に突出する中央羽根53Aが、コンクリートの流動方向に反対側に傾斜した側面視平行四辺形の形状を有している。このように、中央羽根53Aの特に上流側の端面がコンクリートの流動方向に反対側に傾斜していることにより、湾曲面状体52で崩された被粉砕骨材塊をさらにこの中央羽根53Aの傾斜した端面で崩し易くすることができ、骨材塊をより小寸法の塊に崩すことが可能になる。
また、抵抗体50Aは、中央羽根53Aの形態(端面が傾斜した形状)に加えて、棒状体51よりもコンクリートの流動方向下流側の配管1の内壁2において、複数(図示例は2つ)の外周羽根54を備えている。この外周羽根54は、コンクリートの流動方向上流側において内壁2から管内に向かって湾曲状に立ち上がる湾曲立ち上がり面54aと、コンクリートの流動方向下流側において湾曲立ち上がり面54aの端辺から内壁2に向かって徐々に漸近する漸近面54bとを有している。
棒状体51を通過したフレッシュコンクリートは、湾曲立ち上がり面54aに沿って配管中央側にX3方向に流動し、なだらかな傾斜の漸近面54bに沿ってX4方向に流動していく。このように、湾曲立ち上がり面54aによってフレッシュコンクリートの流動に乱流を生ぜしめることで骨材塊や被粉砕骨材塊をさらに小寸法に崩すことができる。また、このように乱流を生じながらも、緩やかな勾配の漸近面54bによってフレッシュコンクリートのスムーズな流動を促進することができる。なお、図示例の漸近面54bは直線状のテーパ面であるが、湾曲立ち上がり面54aに比べて格段になだらかな湾曲面であってもよい。なお、抵抗体50Aにおいて、二つの中央羽根53Aが図示例のように鉛直方向に延びている形態以外にも、二つの中央羽根53Aが鉛直面内にない形態、例えば、下方の中央羽根53Aが鉛直方向から傾斜した方向に延びている形態(すなわち、上下の中央羽根53が同一面内にない形態)であってもよい。また、抵抗体50Aが配管1の内壁2において、二つの中央羽根53Aと二つの外周羽根54を、コンクリートの流動方向に見て相互に異なる位置に有していてもよい。
[第3の実施形態に係る抵抗体]
次に、図7を参照して、第3の実施形態に係る抵抗体を説明する。図7(a)は、図2や図6(a)と同様に、直管の一部を破断して内部の抵抗体を視認可能とした模式図であり、図7(b)は図7(a)におけるb方向矢視図であり、このb方向矢視図は配管1の長手方向に直交する断面図である。抵抗体50Bは、棒状体51の側面において、周方向に90度ピッチに4つの中央羽根53Aを有しており、これら4つの中央羽根53Aは配管1の内壁2に固定されている。抵抗体50Bも、他の抵抗体50,50Aと同様に、棒状体51のうち、コンクリートの流動方向上流側の端部において球体状の湾曲面状体52を有している。
抵抗体50Bは、棒状体51よりもコンクリートの流動方向下流側の配管1の内壁2において、4つの外周羽根54を備えている。これら4つの外周羽根54は、図7(b)に示す図7(a)のb方向矢視図において、各外周羽根54と各中央羽根53Aが交わらないように配設されている。このように、各外周羽根54と各中央羽根53Aが断面内で交わらないようにして相互に配設されていることにより、骨材塊が中央羽根53Aで崩されてできた被粉砕骨材塊を下流側に位置する外周羽根54にて効果的にさらに粉砕することができ、より一層小寸法に粉砕された被粉砕骨材塊を下流のベント管20に送ることができる。
[第4の実施形態に係る抵抗体]
次に、図8を参照して、第4の実施形態に係る抵抗体を説明する。図8(a)は、図2や図6(a)、図7(a)と同様に、直管の一部を破断して内部の抵抗体を視認可能とした模式図であり、図8(b)は図8(a)におけるb方向矢視図であり、このb方向矢視図も配管1の長手方向に直交する断面図である。
抵抗体50Cは、配設1内において、コンクリートの流動方向に間隔を置いて2つの棒状体51を有し、各棒状体51は流動方向上流側の端部に球体状の湾曲面状体52を有したものである。そして、流動方向上流側にある棒状体51の側面には上下に突出する2つの中央羽根53Aが設けられ、流動方向下流側にある棒状体51の側面には左右に突出する2つの中央羽根53Aが設けられている。さらに、各棒状体51の下流側の配管1の内壁2には、上流側の中央羽根53Aと交わらない位置にそれぞれ2つの外周羽根54が設けられている。従って、図8(a)のb方向矢視図である図8(b)に示す断面図は、図7(b)と同様の断面図となり、抵抗体50Bと同様に、骨材塊をより一層小寸法の被粉砕骨材塊に粉砕できるという効果を奏することができる。
このように、各実施形態に係る抵抗体50乃至50Cを配管1内に有する直管10をベント管20の上流側に設けてなるコンクリート輸送管100によれば、特にベント管20内において骨材塊が留まることに起因する配管閉塞を効果的に解消することができる。また、各抵抗体50乃至50Cはいずれも、配管1に対して非回転に固定されたものであることより、配管1の内部構成を複雑なものにすることなく、従って製作コストを高騰させることなく、コンクリート輸送管100を形成することができる。
なお、上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、また、本発明はここで示した構成に何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
10:直管、20:ベント管、30:フレキシブルホース、40:ジョイント、50,50A:抵抗体、50B,50C:抵抗体、51:棒状体、52、52A:湾曲面状体、52B,52C:湾曲面状体、53,53A:中央羽根、54:外周羽根、54a:湾曲立ち上がり面、54b:漸近面、100:コンクリート輸送管、FC:フレッシュコンクリート、A:骨材(粗骨材)、M1:骨材塊

Claims (6)

  1. 配管の内壁から管内に延びて、該管内におけるコンクリートの流動に対して抵抗する、非回転の抵抗体を有していることを特徴とする、コンクリート輸送管。
  2. 前記抵抗体が少なくとも前記配管の長手方向に延びる棒状体からなることを特徴とする、請求項1に記載のコンクリート輸送管。
  3. 前記棒状体のうち、コンクリートの流動方向上流側の端部に湾曲面状体を有していることを特徴とする、請求項2に記載のコンクリート輸送管。
  4. 前記棒状体の側面から突出する中央羽根を有していることを特徴とする、請求項2又は3に記載のコンクリート輸送管。
  5. 前記抵抗体は、前記配管の前記内壁から管内に突出する外周羽根をさらに有し、
    前記外周羽根は、コンクリートの流動方向上流側において該内壁から該管内に向かって湾曲状に立ち上がる湾曲立ち上がり面と、コンクリートの流動方向下流側において該湾曲立ち上がり面の端辺から前記内壁に向かって徐々に漸近する漸近面と、を有していることを特徴とする、請求項4に記載のコンクリート輸送管。
  6. 前記配管が直管とベント管とを有し、
    少なくとも前記ベント管よりもコンクリートの流動方向上流側にある前記直管に前記抵抗体を有していることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のコンクリート輸送管。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP7550438B2 (ja) 2020-07-06 2024-09-13 有限会社三仁興業 流路型レベリング材攪拌装置及びレベリング材施工方法

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