JP2019119689A - 皮膚状態改善剤 - Google Patents
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Abstract
Description
1.ラクトバチルス・ガセリN320株(NITE BP-02287)
本発明の乳酸菌は、ラクトバチルス・ガセリ(lactobacillus gasseri)である。特にラクトバチルス・ガセリに属する乳酸菌のうち、ラクトバチルス・ガセリN320株(NITE BP-02287)である。本発明にいうN320の記号は日清食品ホールディングス株式会社で独自に菌株に付与した番号であり、本ラクトバチルス・ガセリN320株は本発明者によって初めて分離されたものである。
(1)寄託機関名:独立行政法人製品技術基盤機構 特許微生物寄託センター
(2)連絡先:〒292−0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8 122号室
(3)受託番号:NITE BP−02287
(4)識別のための表示:N320
(5)原寄託日:2016年6月14日
(6)ブダペスト条約に基づく寄託への移管日:2017年4月10日
本発明のラクトバチルス・ガセリN320株の菌学的性質は、以下の表1及び2に示す通りである。本菌学的性質は、Bergey’s manual of systematic bacteriology Vol.2(1986)に記載の方法による。表1は本菌株に関する形状等を、表2はアピ50CH及びアピCHL(ビオメリュー製)により、糖資化性を試験した結果を示す。表2において、「+」は発酵性あり、「−」は発酵性なしを示す。
本発明のラクトバチルス・ガセリN320株は、後述する実験例に示すように、高いヒアルロン酸産生促進能を有する。ヒアルロン酸産生促進能の確認については以下の試験方法によって行った。
ヒアルロン酸産生促進能評価に用いた被験体(培養液)は、乳酸菌を表3に示すMRS培地(Difco Lactobacilli MRS Broth)で37℃ ・24時間培養し95℃20分加熱殺菌後、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH7.0にすることにより得た。
上記で得た試料のヒアルロン酸産生促進作用を評価した。すなわち、24ウェルプレートに、5.0×104個/ウェルの濃度で正常ヒト成人表皮角化細胞を播種し、コンフルエント状態にしたところで、各試料群(最終濃度1%量)を含む500μLのHuMedia-KG2培養液を添加した。添加後、72時間培養した後、ELISA法にてヒアルロン酸産生量を測定した。ヒアルロン酸産生量の測定単位はng/mlとし、測定にはHyaluronan assay kit(生化学バイオビジネス社製)を使用した。なお、対照例(コントロール)として乳酸菌増殖培地(MRS)を使用した。
<スキムミルク培地増殖性試験>
前培養液を10%SM(スキムミルク)培地に接種し、これを37℃ ・24時間培養した上で、乳酸菌数によってミルク培地での増殖性を評価した。
本発明の乳酸菌は飲食品に含有せしめて使用することができる。本発明の乳酸菌は特に乳製品に好適に用いることができるが、例えば、乳酸菌入り発酵乳及び乳酸菌入り乳酸菌飲料が考えられる。現行の乳及び乳製品の成分規格等に関する省令では、成分規格として乳酸菌数は特に規定はされていないが、発酵乳(無脂乳固形分8.0%以上のもの)や乳酸菌飲料(無脂乳固形分3.0%以上のもの)であれば1.0×107cfu/ml以上、乳酸菌飲料(無脂乳固形分3.0%未満のもの)であれば1.0×106cfu/ml以上が好ましく、乳などの発酵液中で増殖させたり、最終製品の形態で増殖させたりすることによって上記の菌数を実現することができる。また、乳酸菌入り発酵乳及び乳酸菌入り乳酸菌飲料以外にも、バター等の乳製品、マヨネーズ等の卵加工品、バターケーキ等の菓子パン類等にも利用することができる。また、即席麺やクッキー等の加工食品にも好適に利用することができる。上記の他、本発明の食品は、前記乳酸菌と共に、必要に応じて適当な担体及び添加剤を添加して製剤化された形態(例えば、粉末、顆粒、カプセル、錠剤等)であってもよい。
本発明の乳酸菌は、発酵後に濃縮や分離等でエキス化及び粉末化した上で医薬品として使用することができる。例えば、エキス化したものを瓶等に詰めたものや、発酵液乾燥粉末を賦形剤なども用いて顆粒やカプセル化、打錠し錠剤の形態として提供が可能である。
<試験例1>セロトニン分泌促進能力評価
本発明のラクトバチルス・ガセリN320株と、自社保有の3つのラクトバチルス・ガセリ比較菌株(N219、N220、N313)についてヒアルロン酸産生促進能評価を実施した。
本発明のラクトバチルス・ガセリN320株と、自社保有の3つのラクトバチルス・ガセリ比較菌株(N219、N220、N313)について、スキムミルク培地増殖性試験を実施した。
被験者として年齢35歳以上59歳以下の男性22名、女性21名の合計43名を選択し効果試験を行った。被験者の割り付け方法は下記の通りである。
・スクリーニング時に測定した被験者右頬部の皮膚水分蒸散量の平均値が各群できるだけ同一になるように割り付けた。
・被験者の年齢に関しては、平均値が各群で、できるだけ同一になるように割り付けを行った。また、その際に各群の男女比が選抜時の男女比とできるだけ同一になるよう割り付けを行った。
試験食品として、表6に示すlactobacillus gasseri N320株の発酵食品である被験食品及びプラセボを作製した。被験食品が含有する本菌株は死菌体である。
上記被験者を対象にプラセボ対照二重盲検試験を実施した。まず、被験者43名を、乱数を用いた割付表により被験食品摂取群22名、プラセボ摂取群21名に振り分け、各被験者には、1日に1回、各試験食品1本(100ml)を8週間(56日間)摂取させた。被験者の管理事項として、
(1)試験期間中は、日常使用している基礎化粧品の変更および追加は禁止した。
(2)観察前2週間以内の被験部位のむだ毛処理は禁止した。
(3)試験期間中の入浴剤等の使用は禁止した。
(4)観察日前日と観察日当日はボディーローションの使用は禁止した。
(5)試験期間中は、医薬品、新指定医薬部外品および漢方薬の使用は原則として禁止した。
(6)試験期間中は、新たに肌によい効果が明記された加工食品の摂取は原則として禁止した。
(7)試験期間中は、現在日常的に摂取している健康食品および保健機能食品(特定保健用食品及び食品機能性表示該当食品)以外の新規の健康食品、保健機能食品(特定保健用食品)の摂取は禁止した。
(8)試験期間中は、日常の摂取範囲を超えた過剰なアルコールの摂取は禁止した。また、観察日前日のアルコールの摂取は禁止した。
(9)試験期間中は、野外でのスポーツ、人工紫外線照射等、日焼けを起こすような行為は禁止した。日常生活でも屋内外で被験部位が紫外線に直接さらされないように注意した。具体的には、帽子、衣類、通常使用しているサンスクリーン等でケアした。
(10)観察日前3日間の温泉への入浴は禁止した。
(11)試験期間中は、ボディエステや岩盤浴等、肌状態を改善する目的の行為は禁止した。
(12)観察日当日の測定が終わるまでの激しい運動は禁止した。
(13)試験期間中は、海外旅行および海外出張は禁止した。
(14)観察日当日は辛いものなどの刺激性のある食品(カレー、唐辛子、タバスコ等)の摂取は禁止した。
(15)試験期間中は、遠赤外など特殊な効果により保湿効果を示す「暖かい下着等」の使用を禁止した。
(16)観察日前日は必ず就寝前に入浴し、観察日当日の測定前の入浴は禁止した。
(17)試験期間中は、測定部位(右頬)の剃毛・脱毛・除毛は禁止したが、髭処理についてはその限りではない。
被験者の頬部の皮膚水分量を摂取前と摂取後8週間後に測定したところ、図3に示すように、被験食品を摂取した被験者の皮膚水分量(相対値)は、プラセボを摂取した被験者の値と比べて有意に増加した。なお、図3に示す被験食品とプラセボそれぞれの皮膚水分量(相対値)は、解析対象除外基準への抵触が疑われる被験者、検査前に長期間の有害事象が見られた被験者のデータを除外した、プラセボ摂取群の被験者21名、被験食品摂取群の被験者22名の平均値である。
Claims (5)
- ラクトバチルス属ガセリ種の乳酸菌、及び前記乳酸菌の発酵物を有効成分とする、経口投与可能な皮膚状態改善剤。
- 前記皮膚状態の改善は、皮膚の乾燥状態の改善、低下した皮膚のつやの改善、および洗顔後における皮膚のつっぱり感の改善を含む、請求項1記載の皮膚状態改善剤。
- 前記乳酸菌は、ラクトバチルス・ガセリN320株(NITE BP-02287)である、請求項1または2に記載の皮膚状態改善剤。
- 請求項1〜3に記載の皮膚状態改善剤を有効成分として含むことを特徴とする皮膚状態改善用医薬品。
- 請求項1〜3に記載の皮膚状態改善剤を有効成分として含むことを特徴とする皮膚状態改善用飲食品。
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