JP2019119406A - 路面摩擦係数の推定方法、推定システム及び推定プログラム - Google Patents

路面摩擦係数の推定方法、推定システム及び推定プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】タイヤの変形をより安定して測定でき、該変形から走行路面の摩擦係数を精度よく推定することできる技術を提供する。【解決手段】タイヤのサイドウォール部のビード部に近い領域の所定の位置における、タイヤ回転時の円周方向と半径方向の間の中間方向の測定ひずみの平均値を算出する工程と、同タイヤの前記領域の所定の位置における、タイヤ回転時の半径方向の測定ひずみの最小値を算出する工程と、前記算出した中間方向ひずみの平均値から、タイヤ回転時のタイヤ周方向の摩擦力FYを求める工程と、前記算出した半径方向ひずみの最小値から、タイヤ回転時の鉛直荷重Wを求める工程と、前記タイヤ周方向の摩擦力FYと前記鉛直荷重Wとから路面摩擦係数の推測値μを求める工程とを備える。【選択図】図4

Description

本発明は、自動車の安全技術や自動運転技術に好適な路面摩擦係数の推定技術に関する。
自動ブレーキシステムを代表とする自動車の安全技術や、実用化が期待される自動運転技術のさらなる発展には、走行路面の摩擦係数の推定が重要となる。現状では、これらの技術は比較的測定が容易な車輪速センサや加速度センサなどによる計測を基盤としているが(例えば、特許文献1、2参照。)、これらのセンサから走行路面の摩擦係数を正確に把握することは困難である。
また、タイヤに生じる変形などからタイヤと走行路面間の摩擦係数を測定する「インテリジェントタイヤ」について様々な研究が行われている(例えば、特許文献3、4参照。)。しかしながら、タイヤの変形の安定した測定が困難なことや、生じた変形から精度よく摩擦係数を推定することが困難であることから、未だ普及には至っていない。
特開2001−253334号公報 特開2005−7972号公報 特開2002−36836号公報 特開2005−345238号公報
笹野智彦,立矢宏,樋口理宏,伊勢大勢,佐藤正人,福田麻莉乃,"タイヤ側面のひずみ計測による路面摩擦係数の測定に関する研究",一般社団法人 日本機械学会,M&M2017材料力学カンファレンス,講演番号OS0303,p187−191
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、タイヤの変形をより安定して測定でき、該変形から走行路面の摩擦係数を精度よく推定することできる路面摩擦係数の推定技術を提供する点にある。
本発明者は、タイヤ側面に生ずるひずみを測定し、その結果から摩擦係数を推定する手法を既に提案している(非特許文献1参照。)。すなわち、本発明者は、タイヤ側面に3軸(タイヤ回転方向、半径方向、その中間方向)のひずみゲージを設け、鉛直荷重一定のもとで複数の大きさの摩擦力を作用させる実験、および摩擦力一定のもとで複数の大きさの鉛直荷重を作用させる実験を行うことで、3軸方向のひずみがいずれも、すべての回転角(α)において、タイヤに作用する荷重および摩擦力に対してほぼ線形に変形することを見出し、次の式を導き出したうえ、該式を用いて任意の2箇所の回転角αを選択し、それぞれで成り立つ式(5)を連立して摩擦力F、鉛直荷重Wを算出し、さらに摩擦係数μを算出することを提案した。
この方法は、タイヤ側面の測定ひずみを用いることから、安定した結果が得られ、精度もよく、外乱などの影響に強いロバストな摩擦係数測定手法となり得るものであるが、回転角αを管理する必要があることや、選択する回転角αによって結果にばらつきが生じるといった課題があった。
今回、本発明者はタイヤ1回転あたりのひずみの平均値や最大値、最小値に着目した。これらの値を用いることができれば、回転角αを管理する必要がなく、実用性が高まり、平均値を用いることでばらつきも小さく抑えることができると考えた為である。そして、さらに鋭意検討をすすめた結果、タイヤ側面のとくに中間方向のひずみの平均値がタイヤ周方向の摩擦力と線形関係にあること、タイヤのサイドウォール部のビード部に近い領域の位置での半径方向のひずみの最小値が鉛直荷重と線形関係にあること、及び、タイヤのサイドウォール部のもっとも側方に張り出した中央領域の位置での半径方向のひずみの最大値がタイヤ周方向の摩擦力および鉛直荷重と線形関係にあることをそれぞれ見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち本発明は、以下の発明を包含する。
[1] タイヤのサイドウォール部のビード部に近い領域RAの所定の位置における、タイヤ回転時の円周方向と半径方向の間の中間方向の測定ひずみの平均値(εA_1(ave))、または、タイヤのサイドウォール部のもっとも側方に張り出した中央領域RBの所定の位置における、タイヤ回転時の円周方向と半径方向の間の中間方向の測定ひずみの平均値(εB_1(ave))を算出する工程と、同タイヤの前記領域RAの所定の位置における、タイヤ回転時の半径方向の測定ひずみの最小値(εA_2(min))、または、同タイヤの前記領域RBの所定の位置における、タイヤ回転時の半径方向の測定ひずみの最大値(εB_2(max))を算出する工程と、前記算出した中間方向ひずみの平均値(εA_1(ave)またはεB_1(ave))を下記式(1)に代入し、タイヤ回転時のタイヤ周方向の摩擦力(FY)を求める工程と、前記算出した半径方向ひずみの最小値(εA_2(min))を下記式(2)に代入するか、または前記算出した半径方向ひずみの最大値(εB_2(max))と前記タイヤ周方向の摩擦力(FY)とを下記式(3)に代入し、タイヤ回転時の鉛直荷重Wを求める工程と、前記タイヤ周方向の摩擦力(FY)と前記鉛直荷重(W)とから路面摩擦係数の推測値(μ)を求める工程と、を備えることを特徴とする路面摩擦係数の推定方法。
[2] タイヤのサイドウォール部のビード部に近い領域RAの所定の位置における、タイヤ回転時の円周方向と半径方向の間の中間方向の測定ひずみの1回転あたりの平均値(εA_1(ave))、およびタイヤ回転時の半径方向の測定ひずみのタイヤ1回転あたりの最小値(εA_2(min))をそれぞれ算出し、
算出した中間方向ひずみの平均値(εA_1(ave))を前記式(1)に代入してタイヤ回転時のタイヤ周方向の摩擦力(FY)を求め、
算出した半径方向ひずみの最小値(εA_2(min))を前記式(2)に代入してタイヤ回転時の鉛直荷重Wを求めてなる[1]記載の路面摩擦係数の推定方法。
[3] 前記タイヤの前記領域RAの所定の位置に、タイヤ回転時の円周方向と半径方向の間の中間方向のひずみ、および半径方向のひずみの、少なくとも2方向のひずみを測定できるひずみゲージを設けてなる[2]記載の路面摩擦係数の推定方法。
[4] タイヤのサイドウォール部のもっとも側方に張り出した中央領域RBの所定の位置における、タイヤ回転時の円周方向と半径方向の間の中間方向の測定ひずみの平均値(εB_1(ave))、およびタイヤ回転時の半径方向の測定ひずみの最大値(εB_2(max))をそれぞれ算出し、算出した中間方向ひずみの平均値(εB_1(ave))を前記式(1)に代入してタイヤ回転時のタイヤ周方向の摩擦力(FY)を求め、算出した半径方向ひずみの最大値(εB_2(max))と前記タイヤ周方向の摩擦力(FY)とを前記式(3)に代入してタイヤ回転時の鉛直荷重Wを求めてなる請求項1記載の路面摩擦係数の推定方法。
[5] 前記タイヤの前記領域RBの所定の位置に、タイヤ回転時の円周方向と半径方向の間の中間方向のひずみ、および半径方向のひずみの、少なくとも2方向のひずみを測定できるひずみゲージを設けてなる[4]記載の路面摩擦係数の推定方法。
[6] タイヤのサイドウォール部のビード部に近い領域RAの所定の位置における、タイヤ回転時の円周方向と半径方向の間の中間方向のひずみ、またはタイヤの、タイヤ回転時の円周サイドウォール部のもっとも側方に張り出した中央領域RBの所定の位置における方向と半径方向の間の中間方向のひずみを測定する手段、ならびに、同タイヤの前記領域RAの所定の位置におけるタイヤ回転時の半径方向のひずみ、または同タイヤの前記領域RBの所定の位置におけるタイヤ回転時の半径方向のひずみを測定する手段を有するひずみ測定装置と、前記ひずみ測定装置により測定された前記中間方向のひずみ、および半径方向のひずみのデータを、内部または外部の記憶手段から読み込む手段、前記測定された領域RAの所定の位置における中間方向のひずみの平均値(εA_1(ave))、または、領域RBの所定の位置における中間方向のひずみの平均値(εB_1(ave))を算出する手段、前記測定された領域RAの所定の位置における半径方向のひずみの最小値(εA_2(min))、または、領域RBの所定の位置における半径方向のひずみの最大値(εB_2(max))を算出する手段、前記算出された中間方向ひずみの平均値(εA_1(ave)またはεB_1(ave))を下記式(1)に代入し、タイヤ回転時のタイヤ周方向の摩擦力(FY)を求める手段、前記算出された半径方向ひずみの最小値(εA_2(min))を下記式(2)に代入するか、または前記算出された半径方向ひずみの最大値(εB_2(max))と前記タイヤ周方向の摩擦力(FY)とを下記式(3)に代入し、タイヤ回転時の鉛直荷重Wを求める手段、ならびに、前記タイヤ周方向の摩擦力(FY)と前記鉛直荷重(W)とから路面摩擦係数の推測値(μ)を求める手段を有する摩擦係数算出装置とを備える路面摩擦係数の推定システム。
[7] 前記ひずみ測定装置が、前記タイヤの前記領域RAの所定の位置に設けられ、タイヤ回転時の円周方向と半径方向の間の中間方向のひずみ、および半径方向のひずみの、少なくとも2方向のひずみを測定できるひずみゲージであり、前記摩擦係数算出装置が、前記測定された領域RAの所定の位置における中間方向のひずみの平均値(εA_1(ave))を算出する手段、前記測定された領域RAの所定の位置における半径方向のひずみの最小値(εA_2(min))を算出する手段、前記算出された中間方向ひずみの平均値(εA_1(ave))を前記式(1)に代入し、タイヤ回転時のタイヤ周方向の摩擦力(FY)を求める手段、前記算出された半径方向ひずみの最小値(εA_2(min))を前記式(2)に代入し、タイヤ回転時の鉛直荷重Wを求める手段、ならびに、前記タイヤ周方向の摩擦力(FY)と前記鉛直荷重(W)とから路面摩擦係数の推測値(μ)を求める手段を有する[6]記載の路面摩擦係数の推定システム。
[8] 前記ひずみ測定装置が、前記タイヤの前記領域RBの所定の位置に設けられ、タイヤ回転時の円周方向と半径方向の間の中間方向のひずみ、および半径方向のひずみの、少なくとも2方向のひずみを測定できるひずみゲージであり、
前記摩擦係数算出装置が、前記測定された領域RBの所定の位置における中間方向のひずみの平均値(εB_1(ave))を算出する手段、前記測定された領域RBの所定の位置における半径方向のひずみの最大値(εB_2(max))を算出する手段、前記算出された中間方向ひずみの平均値(εB_1(ave))を前記式(1)に代入し、タイヤ回転時のタイヤ周方向の摩擦力(FY)を求める手段、前記算出された半径方向ひずみの最大値(εB_2(max))と前記タイヤ周方向の摩擦力(FY)とを前記式(3)に代入し、タイヤ回転時の鉛直荷重Wを求める手段、ならびに、前記タイヤ周方向の摩擦力(FY)と前記鉛直荷重(W)とから路面摩擦係数の推測値(μ)を求める手段を有する[6]記載の路面摩擦係数の推定システム。
[9] コンピュータを、[6]〜[8]のいずれかに記載の摩擦係数算出装置として機能させるプログラムであって、前記ひずみ測定装置により測定された前記中間方向のひずみ、および半径方向のひずみのデータを、内部または外部の記憶手段から読み込む手段、前記測定された領域RAの所定の位置における中間方向のひずみの平均値(εA_1(ave))、または、領域RBの所定の位置における中間方向のひずみの平均値(εB_1(ave))を算出する手段、前記測定された領域RAの所定の位置における半径方向のひずみの最小値(εA_2(min))、または、領域RBの所定の位置における半径方向のひずみの最大値(εB_2(max))を算出する手段、前記算出された中間方向ひずみの平均値(εA_1(ave)またはεB_1(ave))を下記式(1)に代入し、タイヤ回転時のタイヤ周方向の摩擦力(FY)を求める手段、前記算出された半径方向ひずみの最小値(εA_2(min))を下記式(2)に代入するか、または前記算出された半径方向ひずみの最大値(εB_2(max))と前記タイヤ周方向の摩擦力(FY)とを下記式(3)に代入し、タイヤ回転時の鉛直荷重Wを求める手段、ならびに、前記タイヤ周方向の摩擦力(FY)と前記鉛直荷重(W)とから路面摩擦係数の推測値(μ)を求める手段としてコンピュータを機能させるための路面摩擦係数の推定プログラム。
以上にしてなる本願発明に係る路面摩擦係数の推定方法、推定システム及び推定プログラムによれば、タイヤのサイドウォール部の上記領域RAまたは領域RBの中間方向の測定ひずみの平均値を用いて、タイヤ周方向の摩擦力(FY)をばらつきなく精度良く求めることができ、さらに同じく領域RAの半径方向の測定ひずみの最小値または領域RBの半径方向の測定ひずみの最大値を用いて、回転角を管理することなく安定的に鉛直荷重を求めることができ、実験定数も安定化し、よって、これら摩擦力および鉛直荷重から摩擦係数の推定値を容易にかつ安定的に精度良く求めることができ、実用的な路面摩擦係数の推定技術を提供することができる。
特に、同じ領域RA、またはRBの中間方向ひずみ及び半径ひずみの測定値を用いて上記摩擦力(FY)、鉛直荷重(W)及び路面摩擦係数の推測値(μ)を求めることができるため、一方の領域のみでひずみの測定し、タイヤのひずみ測定を効率化することが可能であり、コストも低く抑えることが可能である。
さらに、一方の領域のみでひずみを測定するにあたり、中間方向のひずみ及び半径方向のひずみの少なくとも2方向のひずみを測定できるひずみゲージを設けたものでは、当該ひずみゲージをタイヤの一ヵ所に設けるだけで路面摩擦係数の推定に必要な測定ひずみをすべて得ることができ、タイヤのひずみ測定をより効率化し、コストもより低減させることが可能となる。
本発明に係る路面摩擦係数の推定システムの全体構成を示す概略説明図。 (a)は、ひずみ測定装置を設けるタイヤサイドウォール部の領域を示す説明図、(b)はひずみの測定方向を示す説明図。 同じく路面摩擦係数の推定システムを示すブロック構成図。 第1実施形態の処理手順を示すステップ図。 第2実施形態の処理手順を示すステップ図。 実験装置を示す斜視図。 実験装置の要部の斜視図。 (a),(b)は、ひずみゲージAより得られた中間方向ひずみと回転角αの関係を示すグラフ。 (a),(b)は、ひずみゲージAより得られた半径方向ひずみと回転角αの関係を示すグラフ。 (a),(b)は、ひずみゲージBより得られた中間方向ひずみと回転角αの関係を示すグラフ。 (a),(b)は、ひずみゲージBより得られた半径方向ひずみと回転角αの関係を示すグラフ。 (a)は、中間方向ひずみの平均値とFYとの関係を示すグラフ、(b)は同じく平均値とWとの関係を示すグラフ。 (a)は、半径方向ひずみの最大値/最小値とFYとの関係を示すグラフ、(b)は同じく最大値/最小値とWとの関係を示すグラフ。 ひずみゲージAによる算出値と真値の結果を示すグラフ。 ひずみゲージBによる算出値と真値の結果を示すグラフ。
次に、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。
本発明は、図2(a)に示すようにタイヤのサイドウォール部のビード部に近い領域RA、または同じくサイドウォール部のもっとも側方に張り出した中央領域RBの所定の位置で中間方向および半径方向のひずみを測定し、該中間方向の測定ひずみの平均値、半径方向のひずみの最小値または最大値を利用して路面摩擦係数の推定値を求めるものである。まずは、領域RAの測定ひずみのみを用いて路面摩擦係数の推定値を求める第1実施形態について説明する。
本発明に係る路面摩擦係数の推定システムSは、図1及び図2(a)に示すように、車輌10のタイヤ9のサイドウォール部のひずみを測定するひずみ測定装置11と、測定されたひずみデータに基づき路面摩擦係数の推定値を求める摩擦係数算出装置1と、該摩擦係数算出装置1内部または外部の記憶手段3とより構成されている。
ひずみ測定装置11は、少なくともタイヤ回転時の円周方向と半径方向の間の中間方向のひずみと、タイヤ回転時の半径方向のひずみを測定するものであり、本実施形態では、タイヤ9のサイドウォール部91のビード部90に近い領域RAの所定の位置に、前記中間方向のひずみ、および半径方向のひずみの少なくとも2方向のひずみを同時に測定できる2軸以上のひずみゲージ4が一つ設けられている。
本実施形態では、領域RAにおける中間方向、半径方向の各ひずみを測定できればよいのであり、本例のように2軸以上のひずみゲージを設ける代わりに、中間方向のひずみを測定できるひずみゲージ、半径方向のひずみを測定できるひずみゲージをそれぞれ領域RAの互いに異なる所定の位置に設けてもよい。尚、中間方向とは、図2(b)に示すように、円周方向からこれに直交する半径方向に向けて45度傾斜した方向が好ましいが、円周方向側又は半径方向側に片寄った方向でもよい。円周方向から半径方向に向けた傾斜角度としては、30度から60度の範囲内の角度が好ましく、40度から55度の範囲内の角度がより好ましい。
また、このようなひずみ測定装置11は、タイヤの左右(表面側、裏面側)いずれのサイドウォール部に設けてもよいし、ひずみゲージ4の設置形態についてもサイドウォール部の外面、内面に箔型のひずみゲージを接着したり、或いは埋め込みしたり等、その形態は問わない。なお、ひずみゲージ以外のひずみ測定装置としてもよい。
タイヤ側には、ひずみゲージ4で検出されるひずみデータを車輌側の受信装置5に無線送信する図示しない送信部が設けられ、受信装置5は、車輌のタイヤに近い適所に設けられる。受信装置5で受信した各ひずみのデータは、同じく車輌の適所に設けられる、路面摩擦係数を演算する摩擦係数算出装置1に送信され、装置内外の記憶手段3に記憶される。他の装置に送信されて該装置を通じて記憶手段3に記憶されるように構成してもよい。
摩擦係数算出装置1は、図2に示すように、演算処理装置2と記憶手段3を備えたコンピュータである。演算処理装置2は、マイクロプロセッサなどのCPUを主体に構成され、入出力部やバスラインを通じて、受信装置5や記憶手段3より各データが入力される。記憶手段3は、RAM、ROMなどの記憶メモリや装置1内外のハードディスク等より構成され、演算処理装置2における各種処理動作の手順を規定するプログラムや処理データが記憶される。
演算処理装置2は、機能的に、ひずみ測定装置11で測定された領域RAの測定ひずみデータを受信装置5から受け取り、これを記憶手段3のひずみデータ記憶部30に記憶する測定ひずみ受信処理部20と、測定された中間方向のひずみ、および半径方向のひずみのデータをひずみデータ記憶部30から読み込む測定ひずみ読み込み処理部21と、読み込まれた中間方向のひずみの平均値(εA_1(ave))を算出し、平均ひずみデータ記憶部31に記憶する中間方向平均ひずみ算出処理部22と、読み込まれた半径方向のひずみの最小値(εA_2(min))を算出し、最大又は最小ひずみデータ記憶部32に記憶する最小ひずみ算出処理部23と、中間方向ひずみの平均値(εA_1(ave))に基づきタイヤ回転時のタイヤ周方向の摩擦力(FY)を求め、摩擦力データ記憶部33に記憶する摩擦力算出処理部24と、半径方向ひずみの最小値(εA_2(min))に基づきタイヤ回転時の鉛直荷重Wを求め、鉛直荷重データ記憶部34に記憶する鉛直荷重算出処理部25と、前記記憶手段3に記憶されたタイヤ周方向の摩擦力(FY)と鉛直荷重(W)とから路面摩擦係数の推測値(μ)を求め、摩擦係数データ記憶部35に記憶する摩擦係数算出処理部26とを少なくとも備え、これら機能は上記プログラムにより実現される。
中間方向平均ひずみ算出処理部22による平均値(εA_1(ave))の算出は、タイヤ1回転あたりの各測定値の平均値でもよいし、2回転以上の複数回転あたりの各測定値の平均値でもよい。また、最小ひずみ算出処理部23による最小値(εA_2(min))の算出は、タイヤ1回転あたりの各測定値のうちの最小値でもよいし、1回転を超える所定範囲における各測定値のうちの最小値でもよい。算出の方法に応じて測定ひずみ読み込み処理部21により読み込む中間方向ひずみ、半径方向ひずみのデータを設定することで対応できる。ただし、ひずみ測定値の用いる範囲が異なっても、中間方向ひずみの平均値(εA_1(ave))、半径方向ひずみの最小値(εA_2(min))の算出は、同じタイミングの各測定ひずみデータを用いてそれぞれ算出することで、路面摩擦係数を精度良く推定できる。
摩擦力算出処理部24によるタイヤ周方向の摩擦力(FY)の算出は、中間方向平均ひずみ算出処理部22で算出された平均値(εA_1(ave))を、i=Aとした下記式(1)に代入することにより算出される。実験定数li_1(ave)、bi_1(ave)の実験定数は、タイヤ毎(タイヤの種類(銘柄、サイズ)ごと)に予め実験で定められる。
鉛直荷重算出処理部25による鉛直荷重Wの算出は、半径方向最大又は最小ひずみ算出処理部23で算出された最小値(εA_2(min))を下記式(2)に代入することにより算出される。実験定数mA_2(min)、bA_2(min)の実験定数は、同じくタイヤ毎(タイヤの種類(銘柄、サイズ)ごと)に予め実験で定められる。
摩擦係数算出処理部26による路面摩擦係数の推測値(μ)の算出は、上記算出されたタイヤ周方向の摩擦力(FY)および鉛直荷重(W)を下記式(4)に代入することにより算出される。
以下、図4に基づき、本実施形態の路面摩擦係数の推定システムSによる処理の手順を説明する。
まず、中間方向ひずみ、半径方向ひずみがひずみゲージ4で検出され、図示しない送信装置から車輌10側の受信装置5に送信される(S101)。ひずみの検出は一定間隔で連続的に検出される。受信装置5で受信された測定ひずみは、摩擦係数算出装置1の演算処理装置2の測定ひずみ受信処理部20により記憶手段3のひずみデータ記憶部30に記憶される(S102)。この測定ひずみデータは、当該タイヤの回転角を検出するセンサ(不図示)で入手された回転角データを直接または他の処理装置から受信し、該回転角データと組み合わせてひずみデータ記憶部30に記憶管理されることが好ましい。
次に、演算処理装置2の測定ひずみ読み込み処理部21により、ひずみデータ記憶部30に記憶されている中間方向ひずみ、半径方向ひずみの測定データを読み込み(S103)、所定の1回転あたりの中間方向ひずみの平均値(εA_1(ave))、同じ1回転中の半径方向ひずみの最小値(εA_2(min))をそれぞれ算出し、平均ひずみデータ記憶部31、最大又は最小ひずみデータ記憶部32に記憶する(S104、S105)。
次に、摩擦力算出処理部24が、上記算出された中間方向ひずみの平均値(εA_1(ave))を上述の式(1)に代入して、タイヤ周方向の摩擦力(FY)を算出し、摩擦力データ記憶部33に記憶する(S106)。また、鉛直荷重算出処理部25が、上記算出された上記半径方向ひずみの最小値(εA_2(min))を上述の式(2)に代入して、鉛直荷重Wを算出し、鉛直荷重データ記憶部34に記憶する(S107)。
そして、摩擦係数算出処理部26が、前記算出されたタイヤ周方向の摩擦力(FY)と前記鉛直荷重(W)とを上記式(4)に代入し、路面摩擦係数の推測値(μ)を算出して摩擦係数データ記憶部35に記憶する(S108)。
次に、領域RBの測定ひずみを用いて路面摩擦係数の推定値を求める第2実施形態について説明する。
本実施形態のひずみ測定装置11も、少なくともタイヤ回転時の円周方向と半径方向の間の中間方向のひずみと、タイヤ回転時の半径方向のひずみを測定するものであり、本実施形態では、タイヤ9のサイドウォール部91のもっとも側方に張り出した中央領域RBの所定の位置にひずみゲージ4が一つ設けられている。本実施形態でも、2軸以上のひずみゲージを設ける代わりに、中間方向のひずみを測定できるひずみゲージ、半径方向のひずみを測定できるひずみゲージをそれぞれ領域RBの互いに異なる所定の位置に設けてもよい。
演算処理装置2の測定ひずみ受信処理部20は、ひずみ測定装置11で測定された領域RBの測定ひずみデータを受信装置5から受け取り、これを記憶手段3のひずみデータ記憶部30に記憶する。中間方向平均ひずみ算出処理部22は、読み込まれた中間方向のひずみの平均値(εB_1(ave))を算出し、平均ひずみデータ記憶部31に記憶する。平均値(εB_1(ave))の算出は、タイヤ1回転あたりの各測定値の平均値でもよいし、2回転以上の複数回転あたりの各測定値の平均値でもよい。
半径方向最小又は最大ひずみ算出処理部23は、読み込まれた半径方向のひずみの最大値(εB_2(max))を算出し、最大又は最小ひずみデータ記憶部32に記憶する。最大値(εB_2(max))の算出は、タイヤ1回転あたりの各測定値のうちの最大値でもよいし、1回転を超える所定範囲における各測定値のうちの最大値でもよい。算出の方法に応じて測定ひずみ読み込み処理部21により読み込む中間方向ひずみ、半径方向ひずみのデータを設定することで対応できる。ただし、ひずみ測定値の用いる範囲が異なっても、中間方向ひずみの平均値(εB_1(ave))、半径方向ひずみの最大値(εB_2(max))の算出は、同じタイミングの各測定ひずみデータを用いてそれぞれ算出することで、路面摩擦係数を精度良く推定できる。
摩擦力算出処理部24は、中間方向ひずみの平均値(εB_1(ave))に基づきタイヤ回転時のタイヤ周方向の摩擦力(FY)を求め、摩擦力データ記憶部33に記憶する。摩擦力(FY)の算出は、中間方向平均ひずみ算出処理部22で算出された平均値(εB_1(ave))を、i=Bとした上記式(1)に代入することにより算出される。
鉛直荷重算出処理部25は、半径方向ひずみの最大値(εB_2(max))と上記算出された摩擦力(FY)に基づき、タイヤ回転時の鉛直荷重Wを求め、鉛直荷重データ記憶部34に記憶する。鉛直荷重Wの算出は、半径方向最大又は最小ひずみ算出処理部23で算出された最小値(εB_2(max))、及び上記算出された摩擦力(FY)を、下記式(3)に代入することにより算出される。lB_2(max)、mB_2(max)、bA_2(max)の実験定数は、同じくタイヤ毎(タイヤの種類(銘柄、サイズ)ごと)に予め実験で定められる。
摩擦係数算出処理部26による路面摩擦係数の推測値(μ)の算出は、上記算出されたタイヤ周方向の摩擦力(FY)および鉛直荷重(W)を上記式(4)に代入することにより算出される。
以下、図5に基づき、本実施形態の路面摩擦係数の推定システムSによる処理の手順を説明する。
まず、中間方向ひずみ、半径方向ひずみがひずみゲージ4で検出され、図示しない送信装置から車輌10側の受信装置5に送信される(S201)。ひずみの検出は一定間隔で連続的に検出される。受信装置5で受信された測定ひずみは、摩擦係数算出装置1の演算処理装置2の測定ひずみ受信処理部20により記憶手段3のひずみデータ記憶部30に記憶される(S202)。
次に、演算処理装置2の測定ひずみ読み込み処理部21により、ひずみデータ記憶部30に記憶されている中間方向ひずみ、半径方向ひずみの測定データを読み込み(S203)、所定の1回転あたりの中間方向ひずみの平均値(εB_1(ave))、同じ1回転中の半径方向ひずみの最大値(εB_2(max))をそれぞれ算出し、平均ひずみデータ記憶部31、最大又は最小ひずみデータ記憶部32に記憶する(S204、S205)。
次に、摩擦力算出処理部24が、上記算出された中間方向ひずみの平均値(εB_1(ave))を上述の式(1)に代入して、タイヤ周方向の摩擦力(FY)を算出し、摩擦力データ記憶部33に記憶する(S206)。また、鉛直荷重算出処理部25が、上記算出された上記半径方向ひずみの最大値(εB_2(max))を上述の式(3)に代入して、鉛直荷重Wを算出し、鉛直荷重データ記憶部34に記憶する(S207)。
そして、摩擦係数算出処理部26が、前記算出されたタイヤ周方向の摩擦力(FY)と前記鉛直荷重(W)とを上記式(4)に代入し、路面摩擦係数の推測値(μ)を算出して摩擦係数データ記憶部35に記憶する(S208)。
その他の構成、処理手順および変形例については、基本的には上述の第1実施形態と同様であり、説明を省略する。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、例えば中間方向ひずみと半径方向ひずみを同じ領域RA,RBで検出するのではなく、それぞれ別の領域RA/RBで検出すること、具体的には、領域RBの所定の位置に設けたひずみゲージで中間方向ひずみを検出し、該測定ひずみから中間方向ひずみの平均値(εB_1(ave))を算出して、式(1)よりFYを求めるとともに、領域RAの所定の位置に設けたひずみゲージで半径方向ひずみを検出し、該測定ひずみから半径方向ひずみの最小値(εA_2(min))を算出して、式(2)から前記Wを求め、これらFYおよびWから路面摩擦係数μを算出することや、逆に、領域RAの所定の位置に設けたひずみゲージで中間方向ひずみを検出し、該測定ひずみから中間方向ひずみの平均値(εA_1(ave))を算出して、式(1)よりFYを求めるとともに、領域RBの所定の位置に設けたひずみゲージで半径方向ひずみを検出し、該測定ひずみから半径方向ひずみの最大値(εB_2(max))を算出して、式(3)から前記Wを求め、これらFYおよびWから路面摩擦係数μを算出することなど、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
以下、図6に示す実験装置を用いて、本発明の式(1)〜(3)の検証、および摩擦力FY、鉛直荷重W、路面摩擦係数μについての算出値(推定値)と真値(実測値)との比較を行った結果について説明する。
(実験方法)
実験装置7を図6及び図7に示す。実験で用いるタイヤ9は、ダンロップ社製 DSX-2 155/80R13 79Qを用いた。図1に示すように、タイヤ9の表側面に2枚の3軸ひずみゲージ(共和電業社製 KFG-2-120-D17-23 L3M2S)を貼付した。ひずみゲージは、タイヤ表側面のホイールに接している部分から半径方向に15mmの位置(図2の領域RA内となる位置)、55mmの位置(図2の領域RB内となる位置)にそれぞれ貼付し、ホイールに近いほうからひずみゲージA、ひずみゲージBとした。ひずみゲージ(A/B)の各軸方向のひずみは、それぞれ中間方向ひずみをεi_1、半径方向ひずみεi_2、円周方向ひずみεi_3(i=A,B)とする。
本実験装置7はフォースプレート73をZ軸方向に駆動させてタイヤ9のトレッド面に押し付けることで、鉛直荷重Wを負荷できる。Z軸方向への駆動は、フォースプレート73を支持している支持台72のリンクからなる前後の脚部72を互いに近づく方向又は遠ざかる方向に同じ量だけ水平に移動させる一対のねじ送り機構を有するパラレル式負荷ユニット70により実現される。
その状態で、タイヤ9をタイヤ固定軸と該軸を回転駆動する駆動モータとを有するタイヤ駆動ユニット74により回転させることで、タイヤ周方向の摩擦力FYを負荷することができる。さらに、フォースプレート73をX軸方向に駆動させることで、タイヤ9の幅方向の摩擦力FXを負荷できる。X軸方向への駆動は、前記パラレル式負荷ユニ
ット70により脚部72を前後同じ方向へ同じ量だけ移動させることで実現される。FXとFYの大きさを調整することで、これらの合力である摩擦力Fを任意の方向に負荷可能である。
タイヤに負荷されるW、FX、FYの大きさは、図7に示すようにフォースプレート73の裏面側の四隅に設けられた各押圧ブロック75を、X軸方向、Y軸方向、Z軸方
向から支持する支持台72側のロードセル761、762、763によって測定される。
タイヤの回転にともなう、ひずみゲージの位置の変化は、図6中に示すように鉛直下方の位置から時計回りの回転角αで表す。今回は、以上のひずみをタイヤ1回転分(−180〜180deg)取得し、複数のタイヤ回転角におけるひずみの測定値を用いた。
(式(1)〜(3)の検証)
タイヤ側面に生ずるひずみと接地面に作用するFYおよびWの関係について、タイヤに作用させるFYとWをそれぞれ変化させる実験を行った。FYを変化させる実験は、表1に示すように、Wを2500Nとし、摩擦面を摩擦係数の異なるゴムシート、模様付アクリル板、PTFE板の3路面とすることで3段階のFYを作用させた。また、Wを変化させる実験は、表2に示すように、上記の各摩擦面(3路面)において、FYが1150Nとなるように鉛直荷重をそれぞれ調整し、3段階のWを作用させた。
その他の主な実験条件は、摩擦角θを90deg(FX=0)、摩擦距離を2200mm(タイヤ1周分)、摩擦速度を30mm/s、タイヤの空気圧を200kPaとした。
ひずみゲージAより得られた中間方向ひずみと回転角αの関係について、FYが変化した場合の比較を図8(a)に、Wが変化した場合の比較を図8(b)に示す。また、ひずみゲージAより得られた半径方向ひずみと回転角αの関係について、FYが変化した場合の比較を図9(a)に、Wが変化した場合の比較を図9(b)に示す。
また、ひずみゲージBより得られた中間方向ひずみと回転角αの関係について、FYが変化した場合の比較を図10(a)に、Wが変化した場合の比較を図10(b)に示す。また、ひずみゲージBより得られた半径方向ひずみと回転角αの関係について、FYが変化した場合の比較を図11(a)に、Wが変化した場合の比較を図11(b)に示す。
上記FY変化実験およびW変化実験の結果から、各ひずみゲージA/Bの中間方向ひずみについて、α=−180〜+180[deg]の範囲で平均化し(εA_1(ave),εB_1(ave))、FYおよびWとの関係を求めた。図12(a)、(b)より、いずれのひずみゲージ(A/B)についても、中間方向ひずみは、Wに依存せず、かつFYと線形関係にあり、上述の式(1)が成立することが分かる。実験定数li_1(ave)、bi_1(ave)は、このように実験で得られるグラフから最小二乗法を用いて求める。
また、上記FY変化実験およびW変化実験の結果から求めた、半径方向ひずみの最大・最小値について、FYとの関係を図13(a)に、Wの関係を図13(b)に示す。図13に示すように、ひずみゲージAの半径方向ひずみの最小値は、Wに対しては線形に変化するが、FYに対しては変化しない。このようにひずみゲージAについては上述の式(2)が成立することが分かる。実験定数mA_2(min)、bA_2(min)は、このように実験で得られるグラフから最小二乗法を用いて求める。
また、同じく図13より、ゲージBの半径方向ひずみの最大値は、FYとWのいずれに対しても線形に変化する。このため、同ひずみ値と荷重の関係式として式(3)が成立することが分かる。実験定数lB_2(max)、mB_2(max)、bA_2(max)は、このように実験で得られるグラフから最小二乗法を用いて求める。
そして、路面摩擦係数は、ゲージAを用いる場合、式(1)からFYを、式(2)からWをそれぞれ求め、FYをWで除することで求めることができ、ゲージBを用いる場合は、まず、式(1)からFYを求め、さらに求めたFYと式(3)からWを求め、FYをWで除することで求められる。
(算出値と真値との比較実験)
ひずみゲージA,Bの中間方向ひずみ、半径方向ひずみ、および式(1)〜(3)を用いて、FYおよびW、さらに摩擦係数μを求めるべく、表3に示すように、W=2000、2500Nとし、摩擦係数の異なるゴムシート、模様付きアクリル板、PTFE板、アルミ板、平滑アクリル板、油を塗布した平滑アクリル板を接地面として、スリップ模擬実験を行った。式(1)〜(3)の実験定数は、上記検証時のグラフから求めた値を用いた。
ひずみゲージAによる算出値と真値の結果を図14に、ひずみゲージBによる算出値と真値の結果を図15に示す。図14、15より、いずれのゲージでもFYおよびW、さらに摩擦係数μを精度良く推定できていることが分かる。
1 摩擦係数算出装置
2 演算処理装置
3 記憶手段
4 ひずみゲージ
5 受信装置
7 実験装置
8 ホイール
9 タイヤ
10 車輌
11 ひずみ測定装置
20 測定ひずみ受信処理部
21 測定ひずみ読み込み処理部
22 中間方向平均ひずみ算出処理部
23 半径方向最大又は最小ひずみ算出処理部
24 摩擦力算出処理部
25 鉛直荷重算出処理部
26 摩擦係数算出処理部
30 ひずみデータ記憶部
31 平均ひずみデータ記憶部
32 最大又は最小ひずみデータ記憶部
33 摩擦力データ記憶部
34 鉛直荷重データ記憶部
35 摩擦係数データ記憶部
70 パラレル式負荷ユニット
72 支持台
72 脚部
72 支持台
73 フォースプレート
74 タイヤ駆動ユニット
75 押圧ブロック
90 ビード部
91 サイドウォール部
761−763 ロードセル
A,RB 領域
S 推定システム

Claims (9)

  1. タイヤのサイドウォール部のビード部に近い領域RAの所定の位置における、タイヤ回転時の円周方向と半径方向の間の中間方向の測定ひずみの平均値(εA_1(ave))、または、タイヤのサイドウォール部のもっとも側方に張り出した中央領域RBの所定の位置における、タイヤ回転時の円周方向と半径方向の間の中間方向の測定ひずみの平均値(εB_1(ave))を算出する工程と、
    同タイヤの前記領域RAの所定の位置における、タイヤ回転時の半径方向の測定ひずみの最小値(εA_2(min))、または、同タイヤの前記領域RBの所定の位置における、タイヤ回転時の半径方向の測定ひずみの最大値(εB_2(max))を算出する工程と、
    前記算出した中間方向ひずみの平均値(εA_1(ave)またはεB_1(ave))を下記式(1)に代入し、タイヤ回転時のタイヤ周方向の摩擦力(FY)を求める工程と、
    前記算出した半径方向ひずみの最小値(εA_2(min))を下記式(2)に代入するか、または前記算出した半径方向ひずみの最大値(εB_2(max))と前記タイヤ周方向の摩擦力(FY)とを下記式(3)に代入し、タイヤ回転時の鉛直荷重Wを求める工程と、
    前記タイヤ周方向の摩擦力(FY)と前記鉛直荷重(W)とから路面摩擦係数の推測値(μ)を求める工程と、
    を備えることを特徴とする路面摩擦係数の推定方法。
  2. タイヤのサイドウォール部のビード部に近い領域RAの所定の位置における、タイヤ回転時の円周方向と半径方向の間の中間方向の測定ひずみの1回転あたりの平均値(εA_1(ave))、およびタイヤ回転時の半径方向の測定ひずみのタイヤ1回転あたりの最小値(εA_2(min))をそれぞれ算出し、
    算出した中間方向ひずみの平均値(εA_1(ave))を前記式(1)に代入してタイヤ回転時のタイヤ周方向の摩擦力(FY)を求め、
    算出した半径方向ひずみの最小値(εA_2(min))を前記式(2)に代入してタイヤ回転時の鉛直荷重Wを求めてなる請求項1記載の路面摩擦係数の推定方法。
  3. 前記タイヤの前記領域RAの所定の位置に、タイヤ回転時の円周方向と半径方向の間の中間方向のひずみ、および半径方向のひずみの、少なくとも2方向のひずみを測定できるひずみゲージを設けてなる請求項2記載の路面摩擦係数の推定方法。
  4. タイヤのサイドウォール部のもっとも側方に張り出した中央領域RBの所定の位置における、タイヤ回転時の円周方向と半径方向の間の中間方向の測定ひずみの平均値(εB_1(ave))、およびタイヤ回転時の半径方向の測定ひずみの最大値(εB_2(max))をそれぞれ算出し、
    算出した中間方向ひずみの平均値(εB_1(ave))を前記式(1)に代入してタイヤ回転時のタイヤ周方向の摩擦力(FY)を求め、
    算出した半径方向ひずみの最大値(εB_2(max))と前記タイヤ周方向の摩擦力(FY)とを前記式(3)に代入してタイヤ回転時の鉛直荷重Wを求めてなる請求項1記載の路面摩擦係数の推定方法。
  5. 前記タイヤの前記領域RBの所定の位置に、タイヤ回転時の円周方向と半径方向の間の中間方向のひずみ、および半径方向のひずみの、少なくとも2方向のひずみを測定できるひずみゲージを設けてなる請求項4記載の路面摩擦係数の推定方法。
  6. タイヤのサイドウォール部のビード部に近い領域RAの所定の位置における、タイヤ回転時の円周方向と半径方向の間の中間方向のひずみ、またはタイヤのサイドウォール部のもっとも側方に張り出した中央領域RBの所定の位置における、タイヤ回転時の円周方向と半径方向の間の中間方向のひずみを測定する手段、
    ならびに、同タイヤの前記領域RAの所定の位置におけるタイヤ回転時の半径方向のひずみ、または同タイヤの前記領域RBの所定の位置におけるタイヤ回転時の半径方向のひずみを測定する手段を有するひずみ測定装置と、
    前記ひずみ測定装置により測定された前記中間方向のひずみ、および半径方向のひずみのデータを、内部または外部の記憶手段から読み込む手段、
    前記測定された領域RAの所定の位置における中間方向のひずみの平均値(εA_1(ave))、または、領域RBの所定の位置における中間方向のひずみの平均値(εB_1(ave))を算出する手段、
    前記測定された領域RAの所定の位置における半径方向のひずみの最小値(εA_2(min))、または、領域RBの所定の位置における半径方向のひずみの最大値(εB_2(max))を算出する手段、
    前記算出された中間方向ひずみの平均値(εA_1(ave)またはεB_1(ave))を下記式(1)に代入し、タイヤ回転時のタイヤ周方向の摩擦力(FY)を求める手段、
    前記算出された半径方向ひずみの最小値(εA_2(min))を下記式(2)に代入するか、または前記算出された半径方向ひずみの最大値(εB_2(max))と前記タイヤ周方向の摩擦力(FY)とを下記式(3)に代入し、タイヤ回転時の鉛直荷重Wを求める手段、
    ならびに、前記タイヤ周方向の摩擦力(FY)と前記鉛直荷重(W)とから路面摩擦係数の推測値(μ)を求める手段を有する摩擦係数算出装置と、
    を備える路面摩擦係数の推定システム。
  7. 前記ひずみ測定装置が、前記タイヤの前記領域RAの所定の位置に設けられ、タイヤ回転時の円周方向と半径方向の間の中間方向のひずみ、および半径方向のひずみの、少なくとも2方向のひずみを測定できるひずみゲージであり、
    前記摩擦係数算出装置が、前記測定された領域RAの所定の位置における中間方向のひずみの平均値(εA_1(ave))を算出する手段、前記測定された領域RAの所定の位置における半径方向のひずみの最小値(εA_2(min))を算出する手段、前記算出された中間方向ひずみの平均値(εA_1(ave))を前記式(1)に代入し、タイヤ回転時のタイヤ周方向の摩擦力(FY)を求める手段、前記算出された半径方向ひずみの最小値(εA_2(min))を前記式(2)に代入し、タイヤ回転時の鉛直荷重Wを求める手段、ならびに、前記タイヤ周方向の摩擦力(FY)と前記鉛直荷重(W)とから路面摩擦係数の推測値(μ)を求める手段を有する請求項6記載の路面摩擦係数の推定システム。
  8. 前記ひずみ測定装置が、前記タイヤの前記領域RBの所定の位置に設けられ、タイヤ回転時の円周方向と半径方向の間の中間方向のひずみ、および半径方向のひずみの、少なくとも2方向のひずみを測定できるひずみゲージであり、
    前記摩擦係数算出装置が、前記測定された領域RBの所定の位置における中間方向のひずみの平均値(εB_1(ave))を算出する手段、前記測定された領域RBの所定の位置における半径方向のひずみの最大値(εB_2(max))を算出する手段、前記算出された中間方向ひずみの平均値(εB_1(ave))を前記式(1)に代入し、タイヤ回転時のタイヤ周方向の摩擦力(FY)を求める手段、前記算出された半径方向ひずみの最大値(εB_2(max))と前記タイヤ周方向の摩擦力(FY)とを前記式(3)に代入し、タイヤ回転時の鉛直荷重Wを求める手段、ならびに、前記タイヤ周方向の摩擦力(FY)と前記鉛直荷重(W)とから路面摩擦係数の推測値(μ)を求める手段を有する請求項6記載の路面摩擦係数の推定システム。
  9. コンピュータを、請求項6〜8のいずれか1項に記載の摩擦係数算出装置として機能させるプログラムであって、
    前記ひずみ測定装置により測定された前記中間方向のひずみ、および半径方向のひずみのデータを、内部または外部の記憶手段から読み込む手段、
    前記測定された領域RAの所定の位置における中間方向のひずみの平均値(εA_1(ave))、または、領域RBの所定の位置における中間方向のひずみの平均値(εB_1(ave))を算出する手段、
    前記測定された領域RAの所定の位置における半径方向のひずみの最小値(εA_2(min))、または、領域RBの所定の位置における半径方向のひずみの最大値(εB_2(max))を算出する手段、
    前記算出された中間方向ひずみの平均値(εA_1(ave)またはεB_1(ave))を下記式(1)に代入し、タイヤ回転時のタイヤ周方向の摩擦力(FY)を求める手段、
    前記算出された半径方向ひずみの最小値(εA_2(min))を下記式(2)に代入するか、または前記算出された半径方向ひずみの最大値(εB_2(max))と前記タイヤ周方向の摩擦力(FY)とを下記式(3)に代入し、タイヤ回転時の鉛直荷重Wを求める手段、
    ならびに、前記タイヤ周方向の摩擦力(FY)と前記鉛直荷重(W)とから路面摩擦係数の推測値(μ)を求める手段としてコンピュータを機能させるための路面摩擦係数の推定プログラム。
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