JP6265375B2 - タイヤスリップ角推定システムおよび方法 - Google Patents

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Description

本発明は、概して、車両走行時に測定されたタイヤパラメータデータを収集するタイヤ監視システムに関し、特に、そのような測定に基づいて車両タイヤスリップ角を推定するシステムおよび方法に関する。
車載タイヤは、車両走行時の圧力および温度などのタイヤパラメータを測定するタイヤ圧測定システム(TPMS)によって監視されてもよい。TPMSタイヤに備えられたシステムからのデータは、測定されたタイヤパラメータに基づいてタイヤの状況を確認し、修復保守を必要とすることがある低タイヤ圧または漏れなどの状態を運転者に警告するのに使用される。各タイヤ用のセンサは、タイヤ製造の硬化前段階または硬化後におけるタイヤへの組付け段階で設置される。
米国特許出願第13/609695号
タイヤのスリップ角のような他の因子は、車両の走行および安全についての重要事項である。したがって、タイヤスリップ角を測定することが望ましい。また、スリップ角情報を、測定された圧力および温度のタイヤパラメータと一緒に、制動・安定制御システムなどの車両システムに伝達することがさらに望ましい。
本発明の一態様によれば、車両タイヤスリップ角を推定するスリップ角推定システムが提供される。システムは、互いに向かい合うそれぞれの第1および第2のタイヤサイドウォールに固定された1つまたは2つ以上の第1および第2のひずみセンサを有するタイヤを含む。センサは、そのそれぞれの側壁においてタイヤひずみを測定し、タイヤサイドウォール内に存在するひずみを示すサイドウォールひずみ信号を生成する。スリップ角の推定は、互いに向かい合う側壁におけるセンサの信号の差を推定することによって行われる。
別の態様では、第1および第2のサイドウォールひずみセンサは、サイドウォールのたわみ(deflection)を検出するように位置する内側タイヤサイドウォールおよび外側タイヤサイドウォールの軸線方向内面にそれぞれ取り付けられたひずみ検知ゲージである。
本発明の別の態様によれば、スリップ角の推定は、第1および第2のひずみ検知装置からのサイドウォールひずみ信号のピークを検出することと、サイドウォールひずみ信号の直線部分を抽出することと、サイドウォールひずみ信号の抽出された直線部分に最小自乗による直線を当てはめることと、サイドウォールひずみ信号の抽出された直線部分の勾配を求めることと、信号勾配の差を推定することとを含む。
本発明の別の態様では、第1および第2のひずみ検知装置から得られたサイドウォールひずみ信号からタイヤに関する荷重の推定が行われ、この荷重推定値がスリップ角の推定において使用される。
タイヤスリップ角を推定することが可能な、タイヤスリップ角推定システムおよび方法を提供することができる。
荷重が1000ポンド(453.59kg)でスリップ角が0度のときのタイヤ内側サイドウォールおよび外側サイドウォールに対するせん断応力を示す、タイヤの内側サイドウォールおよび外側サイドウォールにおいて測定されたせん断応力に対するスリップ角の依存性を示すグラフである。 荷重が1300ポンド(589.97kg)でスリップ角が0度のときのタイヤ内側サイドウォールおよび外側サイドウォールに対するせん断応力を示す、タイヤの内側サイドウォールおよび外側サイドウォールにおいて測定されたせん断応力に対するスリップ角の依存性を示すグラフである。 荷重が1600ポンド(725.74kg)でスリップ角が0度のときのタイヤ内側サイドウォールおよび外側サイドウォールに対するせん断応力を示す、タイヤの内側サイドウォールおよび外側サイドウォールにおいて測定されたせん断応力に対するスリップ角の依存性を示すグラフである。 図1Aと同様な、スリップ角が+1度のときの可変荷重グラフである。 図1Bと同様な、スリップ角が+1度のときの可変荷重グラフである。 図1Cと同様な、スリップ角が+1度のときの可変荷重グラフである。 図1Aと同様な、荷重が一定でありスリップ角が+3度のときの荷重グラフである。 図1Bと同様な、荷重が一定でありスリップ角が+3度のときの荷重グラフである。 図1Cと同様な、荷重が一定でありスリップ角が+3度のときの荷重グラフである。 スリップ角が0度のときの、図1A〜図1Cの可変荷重結果を要約したグラフである。 スリップ角が+1度のときの、図2A〜図2Cの可変荷重結果を要約したグラフである。 スリップ角が+3度のときの、図3A〜図3Cの可変荷重結果を要約したグラフである。 スリップ角が−3度でタイヤ荷重が1600ポンドのときの、内側サイドウォール角度および外側サイドウォール角度を示すグラフである。 曲線の直線部分に沿った内側サイドウォール信号および外側サイドウォール信号の勾配推定を示すグラフである。 信号ピークを見つけるアルゴリズムの詳細を示すグラフである。 曲線の直線部分を抽出するアルゴリズムの詳細を示すグラフである。 抽出された曲線に直線を最小自乗法によって当てはめるアルゴリズムのステップを示すグラフである。 抽出された曲線の勾配を推定するアルゴリズムのステップを示すグラフである。 3つの荷重条件の密接な相関関係を示す勾配差[度]対スリップ角[度]の概要グラフである。 スリップ角推定アルゴリズムの機能ブロック図である。
(定義)
「ANN」または「人工神経回路網」は、学習フェーズの間ネットワーク内を流れる外部情報または内部情報に基づいて構造を変化させる非直線データモデリングの適応ツールである。ANN神経回路網は、入力と出力との間の複雑な関係をモデル化するかまたはデータにおけるパターンを見つけるのに使用される非直線統計データモデリングツールである。
タイヤの「アスペクト比」は、タイヤの断面の幅(SW)に対するタイヤの断面高さ(SH)の比に、百分率として表すために100を乗じたものを意味する。
「非対称トレッド」は、タイヤの中心面すなわち赤道面に対して対称的でない圧力トレッドパターンを有しているトレッドを意味する。
「軸線方向の」および「軸線方向に」は、タイヤの回転軸線に平行なラインまたは方向を意味する。
「チェーファー」は、コードプライをリムに対して摩耗して切れることから保護し、リムの上方にたわみを分散させるようにタイヤビードの外側の周囲に配置された細いストリップ材料を意味する。
「周方向の」は、軸線方向に垂直な、環状トレッドの表面の周囲に沿って延びるラインまたは方向を意味する。
「赤道中心面(CP)」は、タイヤの回転軸線に垂直であり、かつトレッドの中心を通過する平面を意味する。
「フットプリント」は、タイヤが回転または転動するときにタイヤトレッドが平坦な面と接触することによって形成される接触部分または接触領域を意味する。
「溝」は、タイヤ壁の周りを周方向または横方向に延びることのできるタイヤ壁の細長い空隙領域を意味する。「溝の幅」は、その長さにわたる平均の幅に等しい。溝は、エアチューブを収容するように大きさが設定されている。
「インボード側」は、タイヤが車輪に取り付けられ、車輪が車両に取り付けられたときに車両に最も近いタイヤの側を意味する。
「横方向の」は軸線方向を意味する。
「横方向縁」は、標準荷重とタイヤ膨張の下で計測された、軸線方向で最も外側のトレッド接触部分すなわちフットプリントに接するラインであって、赤道中央面に平行なラインを意味する。
「正味接触面積」は、トレッドの全周にわたって横方向縁部同士の間でトレッド部材に接する地面の総面積を、横方向縁部同士の間のトレッド全体の総面積で割ったものを意味する。
「非方向性トレッド」は、好ましい前進方向を持たず、トレッドバターンが好ましい走行方向に揃うように、車両の1つまたは2つ以上の特定の車輪位置に配置する必要のないトレッドを意味する。逆に、方向性トレッドパターンは、特定の車輪への配置を必要とする好ましい走行方向を有する。
「アウトボード側」は、タイヤが車輪に取り付けられ、車輪が車両に取り付けられたときに車両から最も遠いタイヤの側を意味する。
「ぜん動性」は、空気のような閉じ込められた物質を管状の経路に沿って前進させる、波状の収縮による動作を意味する。
「圧電フィルムセンサ」は、膜体の曲げにより生じる圧電効果を用いて、圧力、加速度、歪み、または力を電荷に変換して測定する膜状のデバイスである。
「半径方向の(ラジアル)」または「半径方向に」は、半径方向に、タイヤの回転軸線に向いた、または回転軸線から離れる方向を意味する。
「リブ」は、少なくとも1つの周方向溝と第2のそのような溝または横方向縁のいずかとによって定められており、完全な深さの溝によって横方向に分割されていない、トレッド上で周方向に延びているゴムのストリップを意味する。
「サイプ」は、トレッド表面を細分してトラクションを改善する、タイヤのトレッド部材に形成された小さい溝を意味し、サイプは、幅が一般に狭く、タイヤのフットプリントにおいて開いたままである溝とは異なりタイヤのフットプリント内で閉じている。
「スリップ角」は、車両の走行方向と前輪の向いた方向との間の角度である。スリップ角は、回転面とタイヤの走行方向とのずれの測定値である。
「トレッド部材」または「トラクション部材」は、隣接している複数の溝の形状を有することによって定められているリブまたはブロック部材を意味する。
「トレッド弧の幅」は、トレッドの横方向縁同士の間で計測されたトレッド弧の長さを意味する。
本発明について、一例として添付の図面を参照して説明する。
車両タイヤに加わる荷重を推定するシステムおよび方法が、参照によって全体が本明細書に組み込まれる、2012年9月11日に出願された同時係属米国特許出願第13/609695号に記載されている。この出願には、タイヤに取り付けられ、タイヤキャビティ空気圧レベルを測定する空気圧測定センサと、一方または両方のタイヤサイドウォールに取り付けられた1つまたは2つ以上の圧電膜変形測定センサとを含むシステムが開示されている。1つまたは2つ以上の変形測定センサは、フットプリント接触部内のサイドウォール変形レベルを示す信号電力レベルを有する変形信号をタイヤフットプリント内で生成する。タイヤ空気圧に関して調整され、一連の荷重レベルを一連の信号電力レベルと相関付けし、それによって、調整された空気圧に基づいて各信号電力レベルに対する荷重レベルを特定することを可能にするように動作する電力・荷重マップが生成され、タイヤに関連して記憶される。両方のサイドウォールに取り付けられた複数の変形測定センサを具現化するシステムでは、電力・荷重マップを参照する際に各センサからの信号電力レベルの平均を使用して、調整された空気圧に基づいてタイヤに対する対応する荷重レベルを特定する。
本明細書に組み込まれた同時係属出願のシステムは、回転動作時に地面に接触するタイヤクラウン領域にトレッド構成部材を有する従来の構成のタイヤ内に組み込まれる。タイヤは、従来通りにリムに取り付けられている。圧電膜曲げセンサなどのタイヤ変形測定センサが内側サイドウォールに取り付けられ、別のセンサが外側サイドウォールに取り付けられている。内側サイドウォールに取り付けられたセンサおよび外側サイドウォールに取り付けられたセンサは、タイヤキャビティを画定するインナーライナに接着剤によって固定されてもよい。各センサは、圧電曲げセンサ、または曲げ力を受けたときに屈曲して復元し、そのときにセンサ本体内の屈曲復元の程度を示す電気信号を生成するように動作する種類の、市販の他の適切なひずみセンサであることが好ましい。したがって、屈曲信号は、センサが取り付けられたサイドウォール内の曲げひずみの程度(サイドウォールたわみ)を示す。曲げ力が除去されると、センサはその元の形状を取り戻す。一例として、本発明の範囲を制限せずに、23666バージニア州ハンプトン、ルーカスウェイ1000に所在するMeasurement Specialities Inc.から市販されている曲げ膜センサなどの圧電曲げセンサを使用してもよい。圧電センサは、表面および圧電抵抗膜センサ本体と同一平面になるように機能的に取り付けられ、曲げ力が加えられたときに、屈曲し、本体に対する曲げ力の大きさに比例する信号を生成する。
内側サイドウォールセンサおよび外側サイドウォールセンサからのセンサ信号に加えて、タイヤに取り付けられた市販の種類のタイヤ圧監視システム(TPMS)によって空気圧も測定される。TPMSシステムは、内部のタイヤエアキャビティと連通するようにタイヤに取り付けられた圧力センサを含んでいる。この圧力センサは、タイヤキャビティ内の空気圧を測定し、測定された圧力データを受信機に送るように機能する。TPMSの測定には、タイヤ温度を測定する温度センサをさらに含めてもよい。測定された圧力値は、記録され分析されるようにTPMSシステムによってデータプロセッサに送られる。圧力が最小しきい値よりも低い場合、車両の運転者に対する警告が生成される。
システムは、内側サイドウォールおよび外側サイドウォールからのタイヤ変形センサ信号を処理されるように信号処理ユニットに送り、この信号から平均信号電力推定値を確認する。記憶されているメモリファイルおよびそのようなメモリに記憶されている信号電力荷重マップから、タイヤ荷重推定アルゴリズムを使用して推定タイヤ荷重が導かれる。
サイドウォール取付け式圧電曲げセンサからタイヤ荷重を推定することに加えて、本システムにおけるそのようなセンサを利用してタイヤスリップ角を推定することも有用でありかつ可能である。「スリップ角」は、車両の走行方向と前輪が向いている方向との間の角度である。スリップ角は、タイヤ回転面とタイヤの走行方向とのずれの測定値である。移動する車両のタイヤのスリップ角は、車両制御安定システムにおける有用な情報である。車両における制動システムおよび他の制御システムとの相互関連性が高くなっているので、アンチロックブレーキなどの安定制御システムではスリップ角の推定値が有用である。
本スリップ角推定システムおよび方法10が、図9のブロックレベル図に示されている。車両支持タイヤ12の各サイドウォール16に1つまたは2つ以上の圧電曲げセンサ14が取り付けられている。曲げセンサ14は、曲げモーメントを受けたときに方向信号を生成する市販の種類のセンサである。曲げモーメントが除去されると、センサはその屈曲していない状態を取り戻す。各センサ14は、内側サイドウォールおよび外側サイドウォールのそれぞれに取り付けられており、したがって、図4A〜図4Cに示されている形状の信号を生成する。タイヤ12には、タイヤキャビティ内の空気圧を監視するタイヤ圧監視システム(TPMS)18も取り付けられている。信号処理ユニット20が、内側サイドウォール圧電センサおよび外側サイドウォール圧電センサ14からセンサ信号を受け取り、TPMSユニットから圧力データを受け取る。タイヤの内側サイドウォールひずみセンサ信号および外側サイドウォールひずみセンサ信号22は、各信号ピーク24を求め、各信号曲線の直線部分を抽出し、最小自乗を適用することによって直線を各信号曲線の直線部分に適合するように当てはめるピーク検出処理によって分析される。次いで、内側曲線および外側曲線の抽出された直線部分の信号同士の勾配の差異が推定され、推定された勾配差がタイヤ12の事前に記憶されたメモリデータベースと比較される。内側サイドウォールセンサ曲線と外側サイドウォールセンサ曲線との間における推定された勾配差に基づいて、データベースから推定されたスリップ角が抽出される。
また、参照によって本明細書に全体的に組み込まれる同時係属米国特許出願第13/609695号に記載されているように、タイヤに取り付けられた圧電曲げセンサ14からの同じセンサ信号からタイヤ12に関する荷重の推定が行われる。内側サイドウォール信号および外側サイドウォール信号が平均され、平均信号電力推定値34が求められる。事前に生成されたメモリデータベース36から荷重の推定38が行われる。荷重推定値は、過荷重状況または車両制御安定システムの動作性能をユーザ−運転者に通知するために独立に使用されてもよい。また、推定された荷重は、スリップ角の推定32を行う際に使用されるデータベースメモリテーブルに組み込まれてもよい。したがって、図9のアルゴリズムの結果として生成されるスリップ角の推定値は、制動などの車両制御安定システムにおいて利用可能である。
図1A〜図1C、図2A〜図2C、および図3A〜図3Cのスリップ角依存性調査グラフから理解されるように、本スリップ角推定システムおよび方法を実験によって検証した。図1A〜図1Cには、タイヤ荷重が1000ポンド(453.59kg)、1300ポンド(589.97kg)、および1600ポンド(725.74kg)でスリップ角が0度の場合の外側サイドウォール信号および内側サイドウォール信号についてのサイドウォールせん断応力信号が示されている。内側サイドウォール信号の曲線と外側サイドウォール信号の曲線が区別されており、したがって、図9のアルゴリズムによって勾配を評価し比較することができることに留意されたい。スリップ角が0度であることから予期されるように、内側サイドウォールセンサの曲線と外側サイドウォールセンサの曲線は密接に関係している。
図2A〜図2Cにおいて、同じ3つの荷重条件を使用するがスリップ角が1度のときのグラフが示されている。内側サイドウォール信号および外側サイドウォール信号からの曲線は、予期されるように曲線の勾配差がかなり大きい。図3A〜図3Cは、スリップ角が3度のときの曲線を示し、内側サイドウォールセンサ信号と外側サイドウォールセンサ信号との間の勾配差がさらに大きくなることを示している。
図4A〜図4Cは、選択されたタイヤ荷重条件が1000ポンド、1300ポンド、および1600ポンドのときの内側サイドウォール圧電センサおよび外側サイドウォール圧電センサからのセンサ信号に関する結果を要約した図である。形状の変化および内側サイドウォールセンサ曲線と外側サイドウォールセンセ曲線との間の対応する勾配差は、荷重推定値データ38が、図9におけるスリップ角の推定32を行うのに使用されるスリップ角メモリデータに組み込まれることを示している。図5Aは、タイヤ荷重が1600ポンドでスリップ角が−3度のときの拡大された内側サイドウォールセンサ信号および外側サイドウォールセンサ信号を示している。2つの信号の勾配を区別する方法が、各曲線について角度θによって示されている。図5Aにおいて勾配が異なっている各曲線の図示された領域は、それほど正確ではない場合があるが、2つの曲線間の勾配を区別することが可能であることを示している。
図5Bにおいて、荷重が1600ポンドでスリップ角が−3度のときの内側サイドウォールセンサ信号と外側サイドウォールセンサ信号との差がさらに示されている。図5Bは、各曲線の直線部分によって生じる勾配角θの直線推定が実証および分析によって可能であることをさらに示している。図6Aは、図9のアルゴリズムのステップ24において使用されるサイドウォールセンサ信号曲線を示している。信号ピーク40、42は、各サイドウォールにおけるひずみセンサによって生成される内側サイドウォールセンサ曲線および外側サイドウォールセンサ曲線の各々について検出されている。図6Bは、曲線の1つの直線部分44を勾配分析のために抽出する図9のステップ26を示している。図6Bの調査では、選択された曲線の部分は、図6Aにおいて推定された信号ピーク34(ステップ24)の左側に位置する信号のほぼ3分の1(1/3)であった。内側サイドウォール信号曲線および外側サイドウォール信号曲線の抽出された同等の部分は、勾配を比較し分析するために使用される。図7Aは、直線48が内側サイドウォールセンサ曲線および外側サイドウォールセンサ曲線の各々の抽出された部分46に最小自乗的に当てはめられる図9のステップ28を示している。直線当てはめの結果として、外側サイドウォールデータの平均自乗誤差(R)は2.24e−006であり、内側サイドウォールデータの平均自乗誤差は3.91e−006であった。図7Bは、内側サイドウォールセンサ曲線および外側サイドウォールセンサ曲線の各々の直線部分を使用し、その結果勾配推定値θおよびθが得られる勾配推定(図9のステップ30)を示している。図8は、3つの荷重レベル、1000ポンド、1300ポンド、および1600ポンドについての勾配差[度]対スリップ角[度]の要約グラフを示している。図8に反映される種類のデータを特定のタイヤに関して生成し、メモリデータベースに記憶してもよいことが理解されよう。図9のシステムおよび方法から勾配差θ−θおよび推定荷重が求められた後、メモリデータベースを参照して勾配差および荷重の基準に対応するスリップ角を特定してもよい。
上記のことから、車両を支持する各タイヤの両方のサイドウォールに対するひずみが同時に監視されることを理解されたい。各タイヤサイドウォールに取り付けられた1つまたは2つ以上のひずみセンサからの信号は、信号ピークを見つけ、検出された各信号ピークに対する各信号曲線の直線部分を抽出することによって分析される。抽出された曲線に直線が最小自乗法によって当てはめられ、当てはめられた直線の勾配が推定される。タイヤ固有の荷重調整データベースに勾配差を適用すると、スリップ角が推定される。
本明細書に記載された説明を考慮して本発明の変形実施形態が可能である。本発明を例示するためにある代表的な実施形態および詳細を示したが、当業者には、本発明の範囲から逸脱せずに実施形態および詳細に様々な変更および修正を施せることが明らかになろう。したがって、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の対象となる全範囲内の変更を前述の特定の各実施形態に施せることを理解されたい。
12 車両支持タイヤ
14 圧電曲げセンサ
16 サイドウォール
18 タイヤ圧監視システム
20 信号処理システム
22 タイヤ内側サイドウォールひずみセンサ信号および外側サイドウォールひずみセンサ信号
24 信号ピーク
26 信号曲線
32 スリップ角推定
34 平均信号電圧推定値
36 メモリデータベース
38 荷重の推定
40、42 信号ピーク
44 直線部分
46 抽出された部分
48 直線
θ、θ 勾配推定値

Claims (14)

  1. 車両のタイヤスリップ角を推定するスリップ角推定システムであって、
    車両を支持する少なくとも1本のタイヤと、
    前記タイヤの互いに向かい合う第1および第2のタイヤサイドウォールのそれぞれに固定され、前記第1および第2のサイドウォールのそれぞれにおけるタイヤひずみを測定するように動作可能であり、各々がタイヤサイドウォールのそれぞれに存在するひずみを示すサイドウォールひずみ信号を生成する第1および第2のひずみ検知手段と、
    前記第1および第2のひずみ検知手段からの前記サイドウォールひずみ信号同士の比較に基づいて、タイヤスリップ角を算出するタイヤスリップ角推定手段とを有し、
    前記第1および第2のサイドウォールひずみ検知手段のそれぞれは、前記第1および第2のタイヤサイドウォールのそれぞれの軸線方向内面に取り付けられたひずみ検知装置を有し、
    前記第1および第2のひずみ検知装置からの前記サイドウォールひずみ信号の各々は、前記第1および第2のサイドウォールのそれぞれのサイドウォールたわみを表すように動作可能な信号曲線を有し、
    前記スリップ角推定手段は、
    前記第1および第2のひずみ検知装置からの前記各サイドウォールひずみ信号曲線のピークを検出する信号ピーク検出手段と、
    前記各サイドウォールひずみ信号曲線の直線部分を抽出する抽出手段と、
    前記各サイドウォールひずみ信号曲線の前記抽出された直線部分に直線を当てはめる最小自乗当てはめ手段と、
    前記各サイドウォールひずみ信号曲線の前記抽出された直線部分の勾配を求める勾配推定手段と、を有することを特徴とするスリップ角推定システム。
  2. 前記第1および第2のひずみ検知装置からの前記各サイドウォールひずみ信号曲線の前記抽出された直線部分の勾配差を求める演算手段をさらに有することを特徴とする、請求項に記載のスリップ角推定システム。
  3. 前記第1および第2のひずみ検知装置からの前記各サイドウォールひずみ信号曲線の前記抽出された直線部分の前記勾配差に対応するスリップ角推定値を生成するメモリデータベースをさらに有することを特徴とする、請求項に記載のスリップ角推定システム。
  4. 前記第1および第2のひずみ検知装置からの前記各サイドウォールひずみ信号曲線から前記タイヤに対する推定された荷重を生成する荷重推定手段をさらに有することを特徴とする、請求項に記載のスリップ角推定システム。
  5. 前記メモリデータベースは、前記荷重推定手段からの前記推定された荷重によって調整された前記第1および第2のひずみ検知装置からの前記各サイドウォールひずみ信号曲線の前記抽出された直線部分の前記勾配差に対応するスリップ角推定値を生成することを特徴とする、請求項に記載のスリップ角推定システム。
  6. 前記第1および第2のひずみ検知装置からの前記各サイドウォールひずみ信号曲線から前記タイヤに対する推定された荷重を生成する荷重推定手段をさらに有することを特徴とする、請求項1に記載のスリップ角推定システム。
  7. 前記メモリデータベースは、前記荷重推定手段からの前記推定された荷重によって調整された前記第1および第2のひずみ検知装置からの前記各サイドウォールひずみ信号曲線の前記抽出された直線部分の前記勾配差に対応するスリップ角推定値を生成することを特徴とする、請求項に記載のスリップ角推定システム。
  8. 車両のタイヤスリップ角を推定するスリップ角推定方法であって、
    車両を支持するタイヤの互いに向かい合う第1および第2のタイヤサイドウォールのそれぞれに、第1および第2のサイドウォールのそれぞれにおけるタイヤひずみを測定するように動作可能な第1および第2のひずみ検知手段を取り付けることと、
    前記タイヤサイドウォールのそれぞれの内部に存在するひずみを示すサイドウォールひずみ信号を前記第1および第2のひずみ検知手段から生成することと、
    前記第1および第2のひずみ検知手段からの前記サイドウォールひずみ信号同士の比較に基づいてタイヤスリップ角を求めることと
    前記第1および第2のサイドウォールひずみ検知手段の各々のひずみ検知装置を、前記第1および第2のタイヤサイドウォールの軸線方向内面のそれぞれに取り付けることと、
    前記第1および第2のサイドウォールのそれぞれに取り付けられた前記第1および第2のひずみ検知装置によって前記第1および第2のサイドウォールのたわみを測定することと、
    前記第1および第2のひずみ検知装置からの前記各サイドウォールひずみ信号曲線におけるピークを検出することと、
    前記サイドウォールひずみ信号の各々から同等な直線部分を抽出することと、
    最小自乗当てはめ手段によって前記各サイドウォールひずみ信号の前記抽出された直線部分に直線を当てはめることと、
    前記各サイドウォールひずみ信号の前記抽出された直線部分の前記勾配を推定することと、
    を含むことを特徴とするスリップ角推定方法。
  9. 前記第1および第2のひずみ検知装置からの前記各サイドウォールひずみ信号の前記抽出された直線部分の勾配差を求めることをさらに含むことを特徴とする、請求項に記載のスリップ角推定方法。
  10. 前記第1および第2のひずみ検知装置からの前記各サイドウォールひずみ信号の前記抽出された直線部分の前記勾配差に対応するスリップ角推定値を示すメモリデータベースを参照することをさらに含むことを特徴とする、請求項に記載のスリップ角推定方法。
  11. 前記第1および第2のひずみ検知装置からの前記各サイドウォールひずみ信号から前記タイヤに対する推定された荷重を生成することをさらに含むことを特徴とする、請求項10に記載のスリップ角推定方法。
  12. 推定されたスリップ角を前記荷重推定手段からの前記推定された荷重に相関付けることをさらに含むことを特徴とする、請求項11に記載のスリップ角推定方法。
  13. 前記第1および第2のひずみ検知装置からの前記各サイドウォールひずみ信号から前記タイヤに対する推定された荷重を生成することをさらに含むことを特徴とする、請求項に記載のスリップ角推定方法。
  14. 推定されたスリップ角を前記荷重推定手段からの前記推定された荷重に相関付けることをさらに含むことを特徴とする、請求項13に記載のスリップ角推定方法。
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