JP2019119160A - インクジェット記録装置、インク画像記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】布帛などの記録シートに対して、インク滴が付着した表面のみならず裏面にも十分な濃度を有する鮮明な画像を記録することが可能なインクジェット記録装置、及びインク画像記録方法を提供する。【解決手段】制御部によるインク吐出処理において、制御部は、記録ヘッドを制御して、布帛の表面の記録領域へ向けてインク滴を吐出させる(S13)。その後制御部は、中空空間の空気の圧力を元の大気圧に戻す(S14)。次に、制御部は、ステップS13と同じ処理、つまり、再び記録ヘッドを制御して、布帛の表面の記録領域へ向けてインク滴を吐出させる(S15)。【選択図】図7
Description
本発明は、記録ヘッドから布地などの布帛にインク滴を吐出して布帛に画像を記録するインクジェット記録装置に関し、特に、記録ヘッドによるインク滴の吐出制御に関する。
一般に、記録ヘッドのノズルから布帛などの記録シートにインクを吐出して、記録シートに画像を記録するインクジェット記録装置が知られている。布帛などの記録シートに画像をプリントすることは捺染と称されており、捺染を行う装置は、捺染印刷機あるいは捺染プリンターとも称されている。当該インクジェット記録装置においては、布帛の表面にインク滴が吐出されると、着弾した位置から裏面へ向けてインクが浸透することにより、布帛の厚み方向がインク色に染められる。
この種のインクジェット記録装置においては、布帛の表面のみならず、裏面にも視認可能な鮮明な画像が現れることが望まれる。しかしながら、例えば、布帛の表面画像の濃度を確保するために、浸透性の低いインクを用いたり、吐出するインク量を増やしたりすると、表面に十分な濃度の画像を記録することができても、裏面までインクが届かず、裏面には十分な濃度の画像が現れないという問題が生じる。また、この場合、表面におけるインクによるドット径が大きくなり過ぎて、画像品質が低下するおそれもある。反対に、布帛の裏面画像の濃度を確保するために、浸透性の高いインクを用いると、裏面まで十分なインクを届かせることができ、表面に十分な濃度の画像が現れることになるが、表面に留まるインク量が少なくなり、表面画像の濃度が薄くなるという問題が生じる。
これに対して、記録ヘッドに対向するように自由空間を設け、その自由空間を減圧した状態で織物にインク滴を吐出して織物を印刷する織物の印刷方法が知られている(特許文献1参照)。
しかしながら、従来の織物の印刷方法では、インク滴が着弾した位置から面方向へのインクの広がりが抑制されるため、インク滴が付着した表面におけるドット径が小さくなり、付着した位置の周辺部分が印刷されず、織物の下地色が露わになるおそれがある。また、裏面への浸透が過剰となり、表面画像の濃度が薄くなるという問題も生じうる。
本発明は、布帛などの記録シートに対して、インク滴が付着した表面のみならず裏面にも十分な濃度を有する鮮明な画像を記録することが可能なインクジェット記録装置、及びインク画像記録方法を提供することにある。
本発明の一の局面に係るインクジェット記録装置は、シート支持部と、記録ヘッドと、空間形成部と、調圧部と、吐出制御部と、を備える。前記シート支持部は、厚み方向にインク浸透性を有する記録シートを支持する。前記記録ヘッドは、前記シート支持部によって支持される前記記録シートの一方面に定められた記録領域へ向けてノズルからインク滴を吐出して、前記記録シートに画像を記録する。前記空間形成部は、前記記録シートの他方面との間で中空空間を形成する。前記調圧部は、前記中空空間の空気圧を調整可能である。前記吐出制御部は、前記記録シートの前記記録領域に画像を記録するように前記記録ヘッドの吐出を制御する。前記吐出制御部は、前記調圧部によって前記中空空間が負圧にされた状態で前記記録領域に対してインク滴を吐出する第1吐出処理を行い、前記調圧部によって前記中空空間が元の圧力に戻された状態で同じ前記記録領域に対してインク滴を吐出する第2吐出処理を行う。
本発明の一の局面に係るインク画像記録方法は、厚み方向にインク浸透性を有する記録シートにインク滴を吐出することによって前記記録シートの表裏面に画像を記録する方法であり、第1吐出工程と、第2吐出工程と、を備える。前記第1吐出工程は、前記記録シートにおいて、インク滴が付着される記録領域を含む一方面とは反対側の他方面との間で形成される中空空間が負圧された状態で前記記録領域に対してインク滴を吐出する。前記第2吐出工程は、前記第1吐出工程の後に、前記中空空間が元の圧力に戻された状態で同じ前記記録領域に対してインク滴を吐出する。
本発明によれば、布帛などの記録シートに対して、インク滴が付着した表面のみならず裏面にも十分な濃度を有する鮮明な画像を記録することが可能である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明を具体化した一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
図1乃至図3を参照して、本発明の一実施形態に係る捺染用のインクジェット記録装置10(以下「記録装置10」と略称する。)について説明する。図1は、記録装置10の構造を示す図である。
記録装置10は、入力される画像データに基づいて、不織布や布地などのようなシート状の布帛P(図5参照)にインクを吐出して、布帛Pの繊維をインクで染めることにより、布帛Pに画像を記録する装置であり、所謂、捺染印刷機(捺染プリンター)である。ここで、布帛Pは、厚み方向にインク浸透性を有する記録シートの一例である。図1に示すように、記録装置10は、給送ユニット11、搬送ユニット12(本発明のシート支持部の一例)、排出ユニット13、記録部14、昇降機構15、メンテナンスユニット16、キャップユニット17、制御部18(本発明の吐出制御部の一例)、インナーフレーム19(本発明の空間形成部の一例)、エアーポンプ20(本発明の調圧部の一例、図4参照)、及びこれらを収容又は支持する本体フレーム21などを備えている。
給送ユニット11は、駆動ローラー11Aと、従動ローラー11Bと、駆動ローラー11A及び従動ローラー11Bに掛け渡された環状ベルト11Cとを有する。駆動ローラー11Aと従動ローラー11Bとは、水平方向へ隔てて配置されており、そのため、環状ベルト11Cは水平に延在している。環状ベルト11Cの上面に画像記録対象となる布帛Pがセットされる。そして、記録装置10の制御部18からの制御信号によって駆動ローラー11Aが図1の反時計回り方向に回転駆動されることで、環状ベルト11Cの上面に保持された布帛Pが搬送方向D1へ向けて搬送される。
搬送ユニット12は、給送ユニット11よりも搬送方向D1の下流側に設けられている。搬送ユニット12は、布帛Pを支持するとともに搬送方向D1の下流側へ布帛Pを搬送するものであり、駆動ローラー12Aと、従動ローラー12Bと、駆動ローラー12A及び従動ローラー12Bに掛け渡された環状ベルト12Cとを有する。搬送ユニット12は、高さ方向において給送ユニット11と同じ位置で水平に配置されている。搬送ユニット12においても、駆動ローラー12Aが回転駆動されることで、環状ベルト12Cの搬送面22に支持された布帛Pが搬送方向D1へ向けて搬送される。ここで、搬送面22は、環状ベルト12Cにおけるベルト上部12C1の上面である。
本実施形態では、布帛Pの上側の面である表面(一方面)において予め定められた記録領域が記録部14の記録ヘッド28による記録位置(記録ヘッド28の下方の位置)まで搬送されると、布帛Pの搬送が停止される。そして、記録ヘッド28による前記記録領域への画像記録が終了すると、布帛Pにおける次の記録領域を前記記録位置に搬送するために、再び搬送方向D1へ向けて布帛Pが搬送される。その後、前記次の記録領域が前記記録位置に到達すると、再び搬送が停止される。つまり、布帛Pは、記録ヘッド28による画像記録が行われるたびに、前記記録領域の搬送方向D1の長さ分だけ搬送方向D1へ間欠的に搬送される。
搬送ユニット12の環状ベルト12Cは、環状ベルト12Cの厚み方向に通気性を有する部材で形成されており、例えば、複数の微小孔が形成された樹脂製ベルトである。このため、環状ベルト12Cの内部側に形成された後述のインナーフレーム19の中空空間31(図2参照)が負圧にされると、環状ベルト12Cに形成された複数の微小孔を通って搬送面22上の布帛Pを介して空気が前記中空空間31に移動する。
記録部14は、搬送ユニット12の上側へ間隔を隔てて設けられている。記録部14は、ヘッドフレーム25、及びヘッドフレーム25に保持された4つのラインヘッド26を備えている。ヘッドフレーム25は、搬送ユニット12の環状ベルト12Cの搬送面22と対向する位置に設けられており、記録装置10の本体フレーム21によって水平となるように支持されている。ラインヘッド26は、その下側を搬送される布帛Pの上面に向けてインク滴を吐出して、布帛Pの前記記録領域の全域に対してインク滴による画像を記録する。4つのラインヘッド26それぞれは、搬送方向D1に沿って水平方向に所定間隔を隔てられて、ヘッドフレーム25に固定されている。
また、ラインヘッド26は、環状ベルト12Cの搬送面22に対して所定間隔だけ離間する高さに支持される。前記所定間隔は、搬送面22上の布帛Pが搬送方向D1へ搬送可能な間隔であり、例えば、布帛Pの厚みに微小間隔(例えば1mm)を加えた間隔である。
図2は、記録装置の搬送ユニット12及び記録部14を上方から見た図である。図3は、記録部14において最も右側に配置されたラインヘッド26Aを示す斜視図である。なお、図3では、その他のラインヘッド26の図示が省略されている。
図2及び図3に示すように、各ラインヘッド26は、それぞれ、複数の記録ヘッド28を有する。ラインヘッド26それぞれの記録ヘッド28は、それぞれに対応するインクタンク(不図示)にインクチューブ(不図示)によって接続されており、前記インクタンクに貯留されている4色(シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック)のインクが前記インクチューブによって対応する色のラインヘッド26に供給される。なお、本実施形態におけるラインヘッド26或いは記録ヘッド28が、本発明の記録ヘッドの一例である。
図2に示すように、ラインヘッド26は、それぞれ、3つの記録ヘッド28を有する。各ラインヘッド26において、3つの記録ヘッド28は、搬送方向D1と直交する幅方向D2に沿って千鳥状に配列されている。3つの記録ヘッド28によって、布帛Pの前記記録領域における幅方向D2の全域に一斉にインク滴が吐出される。
記録ヘッド28それぞれの下端部には、ヘッド部(不図示)が設けられている。前記ヘッド部は、複数の吐出ノズル29が形成されたインク吐出面F1を有する。言い換えると、記録ヘッド28の下端面がインク吐出面F1であり、そのインク吐出面F1に複数の吐出ノズル29が形成されている。吐出ノズル29は、搬送方向D1に沿って複数列形成されている。吐出ノズル29は、下部開口を有する。この下部開口は、布帛Pの表面にインク滴を吐出するためのインク吐出口である。
各記録ヘッド28は、制御部18(図1参照)からの制御信号により制御されることによって、外部コンピューターから受信した画像データに応じて、環状ベルト12Cによって間欠的に搬送される布帛Pに向かって吐出ノズル29からインク滴を吐出する。これにより、環状ベルト12C上の布帛Pは、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの4色のインクによって繊維が染められて、各色が重ね合わされたカラー画像が記録される。なお、制御部18によって実行されるインク吐出制御処理については、後述する。
図1に示すように、排出ユニット13は、搬送ユニット12よりも搬送方向D1の下流側に設けられている。排出ユニット13は、駆動ローラー13Aと、従動ローラー13Bと、駆動ローラー13A及び従動ローラー13Bに掛け渡された環状ベルト12Cとを有する。排出ユニット13においても、駆動ローラー13Aが回転駆動されることで、環状ベルト13Cの上面に保持された布帛Pが搬送方向D1へ向けて搬送される。本実施形態では、布帛Pが記録部14の記録ヘッド28によって記録可能な位置にある場合、排出ユニット13は、搬送ユニット12と同期して駆動する。そして、布帛Pが排出ユニット13に完全に移ると、排出ユニット13が連続駆動されて、布帛Pが排出口24から外部へ排出される。排出口24の外側には排出トレイ(不図示)が設けられており、排出された布帛Pは排出トレイに保持される。なお、布帛Pに付着したインクは、排出ユニット13を通過する間に乾燥される。
搬送ユニット12の下方には、昇降機構15が設けられている。昇降機構15は、搬送ユニット12を昇降させるものであり、搬送ユニット12を支持するリフト板15Aと、リフト板15Aに取り付けられたリンクアーム15Bと、リンクアーム15Bを上下に移動させる動力を伝達する本体部15Cとにより構成することができる。なお、昇降機構15はこのような構成に限られず、搬送ユニット12を昇降させる機構であれば如何なる構成のものでも適用可能である。昇降機構15は、搬送ユニット12を下方から支持しており、搬送ユニット12をラインヘッド26に対して上下に昇降させる。即ち、昇降機構15は、搬送ユニット12をラインヘッド26に相対的に移動させることにより、搬送ユニット12とラインヘッド26とを離間又は接近させる。具体的には、昇降機構15は、記録部14による印刷が可能な記録位置(図1に実線で示す位置)と、前記記録位置から下方へ所定距離を隔てたメンテナンス位置(図1に破線で示す位置)との間で搬送ユニット12を移動させる。
また、昇降機構15は、制御部18からの制御信号により制御されることにより、搬送ユニット12の搬送面上の布帛Pの厚みに応じて、前記搬送面と記録ヘッド28のインク吐出面F1との間隔を適切な間隔に調整することができる。
排出ユニット13の下方にはメンテナンスユニット16及びキャップユニット17が配置されている。メンテナンスユニット16は、インク吐出面F1を拭き取ってインク吐出面F1の洗浄を行うワイピング動作を行うものである。メンテナンスユニット16は、ワイピング動作を実行する際に記録部14の下方に移動される。キャップユニット17は、記録ヘッド28のインク吐出面F1(図2参照)をキャッピングする際に記録部14の下方に移動される。さらに、キャップユニット17は、記録部14の下方から上方に移動することで、記録ヘッド28の下面のインク吐出面F1を被覆して、乾燥から保護する。
搬送ユニット12の環状ベルト12Cの内部にインナーフレーム19が設けられている。インナーフレーム19は、上側が開放された開口部31A(図4参照)を有する複数の中空空間31を有する。各中空空間31は、それぞれ、同じ形状に形成されており、各ラインヘッド26それぞれに対応して、各ラインヘッド26に対向する位置に配置されている。
図4は、インナーフレーム19の一部を示す斜視図である。図5は、インナーフレーム19の構造を模式的に示す断面図である。図4には、ラインヘッド26Aに対応する中空空間31が示されている。図4に示すように、インナーフレーム19は、例えば樹脂成形品であり、その上面19A(図4参照)に対して下方に凹む凹部34が一体形成されている。その凹部34の内部に中空空間31が区画される。中空空間31は、3つの記録ヘッド28の配置に対応した形状に形成されている。
インナーフレーム19の上面19Aは、環状ベルト12Cのベルト上部12C1の裏面に近接している。したがって、ベルト上部12C1の上面である搬送面22に布帛Pが支持された状態では、中空空間31の開口部31Aは、ベルト上部12C1及び布帛Pによって閉塞される。つまり、布帛Pの下側の面である裏面(他方面)と、インナーフレーム19の凹部34とによって、四方が概ね閉塞された中空空間31が区画形成される。
エアーポンプ20は、本体フレーム21(図1参照)に取り付けられている。エアーポンプ20は、中空空間31内の空気の圧力を調整するものである。エアーポンプ20は、制御部18からの制御信号によって内部モーターが回転駆動されることにより、その回転方向に応じて、空気を吹き出すよう動作し、又は空気を吸引するよう動作する。インナーフレーム19の凹部34の内側面には貫通孔32が形成されており、この貫通孔32とエアーポンプ20の吹き出し口とがエアーチューブ33によって連結されている。したがって、エアーポンプ20が吸引動作をすると中空空間31内の空気が吸引されて、中空空間31が負圧にされる。上述したように、環状ベルト12Cには、複数の微小孔が形成されているため、中空空間31が負圧にされると、搬送面22上の布帛Pの上側の空気が開口部31A側へ移動し、布帛P及び環状ベルト12Cの微小孔を通って中空空間31に至る方向に空気が移動する空気の引き込みが生じる。なお、中空空間31内の空気の圧力を検知する圧力センサーが設けられている場合は、制御部18は、前記圧力センサーの検知結果に基づいて、中空空間31の空気の圧力が予め定められた値の負圧となるようにエアーポンプ20をフィードバック制御することも可能である。
図6に示されるように、制御部18は、CPU181、ROM182、RAM183、フラッシュメモリ184等を有している。ROM182は不揮発性の記憶装置、RAM183は揮発性の記憶装置、フラッシュメモリ184は不揮発性の記憶装置である。RAM183、フラッシュメモリ184は、演算装置であるCPU181が実行する各種の処理の一時記憶メモリーとして使用される。ROM182には、所定の制御プログラムや、後述のインク吐出処理を実行するためのプログラムなどが記憶されている。制御部18は、エアーポンプ20や記録ヘッド28などと電気的に接続されており、制御信号をエアーポンプ20や記録ヘッド28などに送出することにより、エアーポンプ20や記録ヘッド28の動作を制御する。また、制御部18は、外部から入力される画像データに基づいて記録装置10の各構成要素を統括的に制御することにより、前記画像データに対応する画像を布帛Pに記録させる。また、制御部18は、図7に示すフローチャートの手順に従ってインク吐出処理を実行する。
ところで、従来、搬送面22上の布帛Pにインク滴を吐出して布帛Pに画像を記録する場合、インク滴の吐出前に中空空間31を負圧にし、その状態で、布帛Pに対して1回のみのインク滴の吐出処理を行う印刷方法が用いられている。しかしながら、従来の印刷方法では、図9(A)に示すように、布帛Pの表面においてインク滴T10が付着した位置から布帛Pの表面における面方向へのインクの広がりが抑制されるため、インク滴T10が付着した表面におけるドット径が小さくなり、付着した位置の周辺部分が印刷されず、布帛Pの下地色が露わになるおそれがある。この場合、布帛Pの裏面への浸透が過剰となり、布帛Pの表面の画像の濃度が薄くなるという問題も生じうる。
なお、例えば、布帛Pの裏面側を負圧状態にせずに、布帛Pの表面の記録領域に1回だけインク滴を吐出した場合は、図9(B)に示すように、表面のみにインク滴T11が留まり、裏面までインク滴T11が到達しない場合がある。また、布帛Pの裏面側を負圧状態にせずに、浸透性の高いインクを用いて布帛Pの表面の記録領域に1回だけインク滴T12を吐出した場合は、図9(C)に示すように、裏面側へ多少はインク滴T12が浸透するが、表面付近において面方向にも浸透するため、結局は、裏面までインク滴T12が到達しない場合がある。また、布帛Pの裏面側を負圧状態にせずに、通常のインクを用いて、同じ記録領域に連続2回インク滴を吐出した場合は、図9(D)に示すように、1回目のインク滴T13の上に重なるように2回目のインク滴T14が付着することになる。この場合、布帛Pの表面の画像は、十分な濃度となるが、裏面までインク滴T13,T14は到達しない場合がある。
これに対して、本実施形態では、従来とは異なるインク吐出制御が制御部18によって行われる。これにより、布帛Pに対して、インク滴が付着した表面のみならず裏面にも十分な濃度を有する鮮明な画像を記録することが可能となる。
以下、図7のフローチャートを参照して、制御部18によって実行されるインク吐出処理の手順の一例、及び本発明の実施形態に係るインク画像記録方法について説明する。図7におけるS11、S12、…は処理手順(ステップ)の番号を表している。なお、以下の説明では、布帛Pが、布帛Pの表面(上側の面)において定められた記録領域が記録ヘッド28による記録位置となるように配置されているものとする。
布帛Pが記録ヘッド28による記録位置にセットされている場合(S11のYes側)、制御部18は、次のステップS12において、中空空間31の空気の圧力を負圧にする。具体的には、制御部18は、エアーポンプ20を制御して、エアーポンプ20に吸引動作を行わせる。これにより、中空空間31が周囲の空気の圧力よりも低い負圧状態となる。このとき、中空空間31内の空気の圧力が予め定められた設定圧力となるようにエアーポンプ20の吸引動作が制御される。
次のステップS13では、制御部18は、記録ヘッド28を制御して、布帛Pの表面の記録領域へ向けてインク滴を吐出させる処理(第1吐出処理)を行う。ここで、ステップS12,S13における処理工程が、本発明の第1吐出工程の一例である。
その後、次のステップS14では、制御部18は、中空空間31の空気の圧力を元の大気圧に戻す。具体的には、制御部18は、エアーポンプ20を制御して、エアーポンプ20の吸引動作を停止させる。これにより、中空空間31内の空気の圧力が元の圧力に戻される。なお、早急に元の空気圧に戻すために、エアーポンプ20を逆回転させて、短時間だけ空気を送り出す動作をさせてもよい。
次のステップS15では、制御部18は、上述のステップS13と同じ処理、つまり、再び記録ヘッド28を制御して、布帛Pの表面の記録領域へ向けてインク滴を吐出させる処理(第2吐出処理)を行う。ここで、ステップS14,S15における処理工程が、本発明の第2吐出工程の一例である。
その後、インク滴を吐出すべき次の記録領域がある場合(S16)、布帛Pを搬送方向D1へ搬送させて、次の記録領域を記録ヘッド28による記録位置に配置させる(S17)て、その後、ステップS11移行の処理を繰り返す。一方、次の記録領域が存在しない場合(S16)、つまり、記録ヘッド28による記録が終了した場合は、布帛Pを搬送方向D1へ向けて連続搬送させて、外部へ布帛Pを排出する(S18)。
このように、本実施形態によれば、制御部18によって布帛Pの記録領域に対して、中空空間31が負圧の状態で第1回目のインク滴の吐出が行われ(S13)、中空空間31の負圧が元に戻された状態で第2回目のインク滴の吐出が行われる(S15)。このため、図8(A)に示すように、第1回目の吐出では、布帛Pから中空空間31へ向かう空気の引き込みによって、布帛Pの表面に付着した1回目のインク滴T1は面方向にあまり広がらず、布帛Pの厚み方向(下方向)へ浸透して、布帛Pの裏面側まで到達し、厚み全体の繊維を染色する。一方、第1回目の吐出では、負圧が解除されているため、上述した空気の引き込みは生じていない。そのため、布帛Pの表面に付着した2回目のインク滴T2は、布帛Pの表面に留まり、また、付着位置から面方向へ広がる。このため、布帛Pの表面における繊維がしっかりと染色され、鮮明な画像が記録される。その結果、布帛Pの裏面の濃度は表面の濃度よりもやや薄くなるものの、インク滴が付着した表面のみならず裏面にも十分な濃度を有する鮮明な画像を記録することができる。
なお、上述の実施形態では、図7のインク吐出処理のステップS13において1回だけインク滴の吐出を行い、ステップS15でも1回だけインク滴の吐出を行う例について説明したが、本発明のこのような処理例に限られない。例えば、布帛Pの裏面の濃度も表面と同じ程度の濃さにしたい場合は、ステップS13において、中空空間31を負圧状態にしたまま、同じ記録領域に2回連続インク滴を吐出してもよい。この場合、図8(B)に示すように、第1回目及び第2回目の吐出によって、布帛Pの厚み方向(下方向)へインク滴T1,T2が浸透して、布帛Pの裏面側まで到達するため、厚み全体の繊維を比較的濃い濃度で染色することができる。この場合、中空空間31が負圧状態であるとしても、2回分のインク滴T1,T2が布帛Pの内部に浸透するため、布帛Pの内部において面方向へインクが浸透する。このため、布帛Pの表裏面において、布帛Pの下地色が露わになることはない。また、ステップS15において3回目の吐出が行われることにより、3回目のインク滴T3によって、布帛Pの表面において十分な濃さの濃度を得ることができる。
また、布帛Pの表面の濃度の濃さをより濃くしたい場合は、ステップS15において、中空空間31の負圧が解除された状態で、同じ記録領域に2回連続インク滴を吐出してもよい。この場合、図8(C)に示すように、第1回目の吐出によって、布帛Pの厚み方向(下方向)へインク滴T1が浸透して、布帛Pの裏面側まで到達する。そして、ステップS15における2回連続したインク滴T2,T3の吐出によって、2回分のインク滴T2,T3が布帛Pの表面に留まる。このため、布帛Pの裏面にも十分な濃度の画像を記録することができ、布帛Pの表面においては、より濃度の濃い鮮明な画像を記録することができる。
なお、図7のインク吐出処理のステップS13,S15におけるインク吐出回数は、1回に限られず、布帛Pの厚みや繊維の密度などに応じて、複数回に変更することも可能である。
また、上述の実施形態では、本発明のシート支持部を搬送ユニット12によって実現する構成を例示したが、記録ヘッド28による画像記録時に布帛Pを支持する支持機構は、搬送ユニット12による支持に限られない。例えば、記録ヘッド28の下方において、左右に離間したテンションローラー対によってテンションが掛けられた状態で、布帛Pの左右方向の両端が支持された支持機構が適用されてもよい。
また、上述の実施形態では、ヘッドフレーム25に固定されたラインヘッド26が、その下側を搬送される布帛Pの前記記録領域に対して幅方向D2の全域にインク滴を吐出する構成を例示したが、本発明はこの構成に限られない。例えば、ラインヘッド26がヘッドフレーム25に対して、搬送方向D1と同方向へ移動可能に支持されており、停止された搬送ユニット12によって布帛Pが停止した状態で、ラインヘッド26が搬送方向D1と同方向へ移動しつつインク滴を布帛Pに吐出する構成にも本発明は適用可能である。また、ラインヘッド26に代えて、キャリッジなどによって幅方向D2へ往復移動可能に支持された各色毎の記録ヘッドを適用した構成にも本発明は適用可能である。この場合、搬送ユニット12によって布帛Pが搬送方向D1へ前記記録領域分だけ搬送方向D1へ間欠的に搬送される度に、前記キャリッジによって前記記録ヘッドが往復移動されつつインク滴が前記記録ヘッドから布帛Pの前記記録領域に吐出される。
10:インクジェット記録装置
11:給送ユニット
13:排出ユニット
14:記録部
15:昇降機構
18:制御部
19:インナーフレーム
20:エアーポンプ
25:ヘッドフレーム
26,26A:ラインヘッド
28:記録ヘッド
29:吐出ノズル
31:中空空間
31A開口部
11:給送ユニット
13:排出ユニット
14:記録部
15:昇降機構
18:制御部
19:インナーフレーム
20:エアーポンプ
25:ヘッドフレーム
26,26A:ラインヘッド
28:記録ヘッド
29:吐出ノズル
31:中空空間
31A開口部
Claims (3)
- 厚み方向にインク浸透性を有する記録シートを支持するシート支持部と、
前記シート支持部によって支持される前記記録シートの一方面に定められた記録領域へ向けてノズルからインク滴を吐出して、前記記録シートに画像を記録する記録ヘッドと、
前記記録シートの他方面との間で中空空間を形成する空間形成部と、
前記中空空間の空気圧を調整可能な調圧部と、
前記記録シートの前記記録領域に画像を記録するように前記記録ヘッドの吐出を制御する吐出制御部と、を備え、
前記吐出制御部は、
前記調圧部によって前記中空空間が負圧にされた状態で前記記録領域に対してインク滴を吐出する第1吐出処理を行い、
前記調圧部によって前記中空空間が元の圧力に戻された状態で同じ前記記録領域に対してインク滴を吐出する第2吐出処理を行う、インクジェット記録装置。 - 前記記録シートは、不織布または布帛である請求項1に記載のインクジェット記録装置。
- 厚み方向にインク浸透性を有する記録シートにインク滴を吐出することによって前記記録シートの表裏面に画像を記録するインク画像記録方法であって、
前記記録シートにおいて、インク滴が付着される記録領域を含む一方面とは反対側の他方面との間で形成される中空空間が負圧された状態で前記記録領域に対してインク滴を吐出する第1吐出工程と、
前記第1吐出工程の後に、前記中空空間が元の圧力に戻された状態で同じ前記記録領域に対してインク滴を吐出する第2吐出工程と、を含むインク画像記録方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP7380132B2 (ja) | 2019-11-26 | 2023-11-15 | 株式会社リコー | 印刷装置 |
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-
2018
- 2018-01-09 JP JP2018001460A patent/JP2019119160A/ja active Pending
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