JP2019118925A - ダイカスト用離型剤組成物 - Google Patents

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Genta Nakamura
元太 中村
浩司 曽我
Koji Soga
浩司 曽我
高橋 和也
Kazuya Takahashi
和也 高橋
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Masayuki Hosokawa
真幸 細川
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Abstract

【課題】高温の金型に対する離型性が良好なダイカスト用離型剤組成物を開示する。【解決手段】シロキサン結合で形成される分子骨格を有するオルガノポリシロキサンを含むダイカスト用離型剤組成物であって、分子骨格はT型構造又はQ型構造の構造単位を介する分岐を複数有している。【選択図】なし

Description

本願は、アルミニウム合金、マグネシウム合金等を含むダイカスト成形物を製造するために用いられるダイカスト用離型剤組成物に関し、特に高温の金型に対する離型性に優れたダイカスト用離型剤組成物を開示する。
アルミニウム合金、マグネシウム合金等を含むダイカスト成形物を製造する際に、離型性を付与するために金型にオルガノポリシロキサンを含むダイカスト用離型剤を塗布する。
一般的にオルガノポリシロキサンはシロキサン結合で形成される分子骨格を有し、該分子骨格はケイ素原子に結合する酸素原子の数の違いにより以下に分類される構造単位の組み合わせから形成される。
(i)ケイ素原子に酸素原子が1つ結合しているM型構造(RSiO1/2
(ii)ケイ素原子に酸素原子が2つ結合しているD型構造(RSiO)
(iii)ケイ素原子に酸素原子が3つ結合しているT型構造(RSiO3/2
(iv)ケイ素原子に酸素原子が4つ結合しているQ型構造(SiO
図1にこれらM、D、T、Q型構造の一般的な構造式を示した。置換基Rは酸素原子以外の元素を表している。
従来、ダイカスト用離型剤に用いられるオルガノポリシロキサンは、シロキサン結合で形成される分子骨格の末端をM型構造、その他をD型構造とする直鎖状の構造のものが一般的であった。例えば、特許文献1には、そのような構造のオルガノポリシロキサンを含むダイカスト用離型剤組成物が開示されており、高温の金型に対して良好な離型性を示すことが記載されている。
特開2013−166176号公報
しかしながら、末端をM型構造、その他をD型構造とする直鎖状の分子骨格を有するオルガノポリシロキサンを含むダイカスト用離型剤では、オルガノポリシロキサンに導入されている有機基の種類によっては、高温の金型に対する離型性を十分に得られない場合があった。
そこで本願は高温の金型に対する離型性が良好なダイカスト用離型剤組成物を開示する。
本願では上記課題を解決する手段の1つとして、
シロキサン結合で形成される分子骨格を有するオルガノポリシロキサンを含むダイカスト用離型剤組成物であって、上記分子骨格は下記一般式(1)で表されるT型構造又はQ型構造のうち少なくとも一方の構造単位を備え、前記分子骨格は前記T型構造又は前記Q型構造を介する分岐を複数有している、ダイカスト用離型剤組成物、
を開示する。
Figure 2019118925
ここで、RはT型構造の場合は水素原子又は炭素数1以上4以下のアルキル基、Q型構造の場合は酸素原子を表す。
「シロキサン結合で形成される分子骨格」とは、M,D、T、Q型構造からなる構造単位がシロキサン結合(−Si−O−Si−)で連続してなる部分をいい、シロキサン結合が多方向に連続する場合は、多方向に連続する構造単位全てを含む部分である。
「オルガノポリシロキサン」とは、シロキサン結合で形成される分子骨格のケイ素原子に有機基が結合した化合物をいう。
「T型構造又はQ型構造の構造単位を介する分岐を複数有しており」とは、分子骨格がT型構造又はQ型構造を介して分岐し、かつ、該分岐が分子骨格中に複数存在することをいう。「分岐」とはシロキサン結合が多方向に連続する部位をいう。
上記分子骨格は下記一般式(2)で表されるD型構造の構造単位を有していても良い。
Figure 2019118925
ここで、Rは水素原子又はメチル基、Rは水素原子、炭素数1以上12以下のアルキル基、炭素数5以上9以下の環状アルキル基、又は炭素数7以上19以下のアラルキル基を表している。
上記分子骨格の末端が下記一般式(3)で表されるM型構造であっても良い。
Figure 2019118925
、Rは水素原子又はメチル基を表し、それぞれ同じであっても良く、異なっていても良い。Rは炭素数7以上19以下のアラルキル基、炭素数5以上9以下の環状アルキル基、又は炭素数1以上12以下のアルキル基を表している。
上記オルガノポリシロキサンの分子骨格に含まれるT型構造及びQ型構造のケイ素原子の割合は、オルガノポリシロキサンの分子骨格に含まれるケイ素原子を基準として3.0mol%以上であることが好ましく、80.0mol%以下であることが好ましい。
また、上記オルガノポリシロキサンが流動性を有することが好ましい。より好ましくは、記オルガノポリシロキサンの25℃における粘度が50mPa・s以上10000mPa・s以下である。
さらに、上記ダイカスト用離型剤組成物は、
(A)オルガノポリシロキサンを1質量%以上60質量%以下と、
(B)炭化水素系溶剤と、
を含むことが好ましい。
或いは、上記ダイカスト用離型剤組成物は、
(A)オルガノポリシロキサンを1質量%以上60質量%以下と、
(B)界面活性剤を0.1質量%以上10質量%以下と、
(C)水と、
を含むことが好ましい。
本開示のダイカスト用離型剤組成物によれば、高温の金型に対しても良好な離型性を示すことができる。
オルガノポリシロキサンの分子骨格を構成する構造単位の種類を説明する図である。 T型構造を介して複数の分岐が設けられた分子骨格を有するオルガノポリシロキサンの1例の概念図である。
本開示のダイカスト用離型剤組成物は、下記に説明するオルガノポリシロキサンを含むことを特徴とする。
1.オルガノポリシロキサン
1.1.オルガノポリシロキサンの構造
本開示におけるオルガノポリシロキサンは、シロキサン結合で形成される分子骨格に下記一般式(1)で表されるT型構造又はQ型構造のうち少なくとも一方の構造単位を有している。すなわち、オルガノポリシロキサンの分子骨格はT型構造又はQ型構造の一方だけでなく、両方の構造単位を有していてもよい。ただし、合成の容易性からT型構造又はQ型構造の一方のみを有するオルガノポリシロキサンが好ましい。分子骨格中におけるT型構造又はQ型構造の配列は、ランダムであっても良く、ブロックであっても良い。
ここで、「オルガノポリシロキサン」とは、シロキサン結合(−Si−O−Si−)で形成される分子骨格を有し、シロキサン結合を形成するケイ素原子に有機基(例えば、炭化水素基やアルコキシ基等。)が結合した化合物をいい、「シロキサン結合で形成される分子骨格」とは、M,D、T、Q型構造からなる構造単位がシロキサン結合で連続してなる部分をいい、シロキサン結合が多方向に連続する場合は、多方向に連続する構造単位全てを含む部分である。
Figure 2019118925
ここで、RはT型構造の場合は水素原子又は炭素数1以上4以下のアルキル基、Q型構造の場合は酸素原子を表す。
オルガノポリシロキサンの分子骨格は上記T型構造又はQ型構造を介する分岐を複数有している。これは、シロキサン結合で形成される分子骨格がT型構造又はQ型構造を介して分岐しており、かつ、該分岐が分子骨格中に複数存在することを意味する。すなわち、オルガノポリシロキサンの分子骨格は直鎖ではない。
なお「分岐」とはシロキサン結合が多方向に連続する部位をいう。
例えば、シロキサン結合で形成される分子骨格がT型構造を介して分岐する場合は、T型構造を形成する酸素原子それぞれが該T型構造のケイ素原子とは別のケイ素原子と結合し、3つのシロキサン結合を形成することにより、分子骨格に分岐を設けるものである。Q型構造を介する場合は、Q型構造を形成する酸素原子の少なくとも3つ、好ましくは4つ、が該Q型構造のケイ素原子とは別のケイ素原子と結合し、3つ以上のシロキサン結合を形成することで分子骨格に分岐を設けるものである。
なお、分子骨格は分岐を複数有する網目状構造であることが好ましい。
従来のダイカスト用離型剤組成物では、シロキサン結合で形成される分子骨格が直鎖(分子骨格の末端をM型構造、その他をD型構造とする構造)であるオルガノポリシロキサンを用いることが主流であり、上述したように高温の金型に対する離型性を十分に得られない場合があった。これは、高温の金型(300℃以上)に接触すると、オルガノポリシロキサンの有機基、例えば炭化水素基等が熱により分解し易いことが原因であると考えられる。C−C結合(356kJ/mol)、Si−C結合の結合エネルギーがSi−O結合(444kJ/mol)の結合エネルギーよりも小さいためである。
それに対して、本開示のオルガノポリシロキサンは、シロキサン結合で形成される分子骨格にT型構造又はQ型構造の構造単位を有し、かつ、分子骨格は該T型構造又はQ型構造を介して分岐している。すなわち、従来のオルガノポリシロキサンにおいて有機基であった部分の一部が、本開示のオルガノポリシロキサンではシロキサン結合となっているため、分子中のシロキサン結合の割合に対する有機基の割合が従来に比べて相対的に減少している。熱分解し易い有機基の割合が減少したことにより、オルガノポリシロキサンの耐熱性が向上したことが、高温の金型に対して良好な離型性を示すことに寄与していると考えられる。よって、本開示のオルガノポリシロキサンは有機基の種類のよらず、分子骨格の構造により耐熱性を発現させている。
かかる観点から、オルガノポリシロキサンの分子骨格におけるT型構造又はQ型構造の割合は多い方が好ましい。また、シロキサン結合を形成可能な数の観点から、T型構造よりもQ型構造であることが好ましい。
ここで、T型構造を介する分岐が複数設けられた分子骨格を有するオルガノポリシロキサンの1例の概念図を図2に示した。「M」はM型構造、「D」はD型構造、「T」はT型構造を表し、これらを繋ぐ直線はシロキサン結合を表している。
オルガノポリシロキサンの分子骨格は下記一般式(2)で表されるD型構造の構造単位を有していても良い。
Figure 2019118925
ここで、Rは水素原子又はメチル基、Rは水素原子、炭素数1以上12以下のアルキル基、炭素数5以上9以下の環状アルキル基、又は炭素数7以上19以下のアラルキル基を表している。熱による分解され難さから、Rは環状アルキル基又はアラルキル基であることが好ましい。
オルガノポリシロキサンの分子骨格の末端が下記一般式(3)で表されるM型構造であっても良い。
Figure 2019118925
、Rは水素原子又はメチル基を表し、それぞれ同じであっても良く、異なっていても良い。Rは炭素数7以上19以下のアラルキル基、炭素数5以上9以下の環状アルキル基、又は炭素数1以上12以下のアルキル基を表している。
1.2.T型構造及びQ型構造の割合
オルガノポリシロキサンの分子骨格に含まれるT型構造及びQ型構造のケイ素原子の割合は、オルガノポリシロキサンの分子骨格に含まれるケイ素原子を基準(100mol%)として3.0mol%以上であることが好ましい。これにより、組成物は300℃以上の金型に対する耐熱性を備えることができ、優れた金型離型性を発現できる。ここで、T型構造及びQ型構造のケイ素原子とは、オルガノポリシロキサンの分子骨格にT型構造のみ含まれる場合はT型構造のケイ素原子の合計数を意味し、Q型構造のみ含まれる場合はQ型構造のケイ素原子の合計数を意味し、T型構造及びQ型構造の両方が含まれる場合はT型構造及びQ型構造のケイ素原子の合計数を意味する。よって、T型構造及びQ型構造のケイ素原子はT型構造及びQ型構造の構造単位の数に相当し、T型構造及びQ型構造のケイ素原子の割合はT型構造及びQ型構造の割合に相当する(以下において、「T型構造及びQ型構造のケイ素原子の割合」を「T型構造及びQ型構造の割合」ということがある)。T型構造及びQ型構造のケイ素原子の割合は、より好ましくは5mol%以上であり、さらに好ましくは7.5mol%以上であり、特にに好ましくは8.0mol%以上である。T型構造及びQ型構造の割合が多くなるほど、オルガノポリシロキサンの耐熱性が向上する傾向にある。T型構造及びQ型構造のケイ素原子の割合の上限は特に限定されないが、オルガノポリシロキサンの流動性を向上させる観点から80.0mol%以下であることが好ましく、60.0mol%以下であることがより好ましい。
一般的には、ダイカストで使用される金型の温度は150℃〜250℃程度である。しかしながら、近年、サイクルタイムの短縮による生産性の向上や廃液削減による環境負荷低減を目的に、離型剤の塗布量の低減化が進められている。離型剤の塗布量を低減すると冷却効果が充分に得られない場合があり、金型が300℃以上の高温に達した条件で離型剤が使用されるケースが増えている。よって、300℃以上の金型に対する耐熱性が求められていた。本願のオルガノポリシロキサンはT型構造及びQ型構造の含有量を3.0mol%以上備えることにより、この課題を解決している。
1.3.オルガノポリシロキサンの状態
オルガノポリシロキサンは流動性を有していることが好ましい。すなわち、オルガノポリシロキサンは25℃において固体ではなく、液体であることが好ましい。オルガノポリシロキサンが25℃において液体の状態であると、オルガノポリシロキサンが分解等しない限り、高温の金型に塗布されたとしても液体の状態を保つことができるため、液状のオルガノポリシロキサンが金型に均一に広がって付着し易くなる。また、離型剤を金型に繰り返し吹き付けた場合、金型に付着している離型剤が追随する離型剤に洗い流されるため、金型への非堆積性(金型への堆積し難さ)が良い。
一方で、オルガノポリシロキサンが25℃において固体の状態(例えば、シリコーンレジン等)であると、高温の金型に塗布されたとしても、一部若しくは全部が固体の状態のまま金型に残る虞があり、オルガノポリシロキサンが金型に均一に広がらず、付着ムラが生じる。また、オルガノポリシロキサンが金型に均一に広がらないため、冷却性も低下する。さらに、オルガノポリシロキサンが金型に均一に広がらないと、金型のある部分だけ過剰にオルガノポリシロキサンが付着し、金型に堆積する。例えば、ガラス質の固い堆積物が付着する。そうすると、金型の汚れの原因になり、製造されるダイカスト成形品の品質に影響が出る虞がある。
上記したとおり、オルガノポリシロキサンは流動性を有することが好ましい。より好ましくは、オルガノポリシロキサンは25℃における粘度が50mPa・s以上10000mPa・s以下である液体である。これにより、さらに金型に均一に広がり易くなり、非堆積性も向上する。また、組成物の取り扱いが容易になり、離型剤を塗布するスプレーノズルにも詰まり難くなる。
25℃における粘度はJPI−5S−26−99に沿った方法により測定される値である。
2.ダイカスト用離型剤組成物
本開示のダイカスト用離型剤組成物は、上述のオルガノポリシロキサンを含むものであればよいが、実際の使用においては次のような形態が挙げられる。
ダイカスト用離型剤組成物を油性とする場合は、(A)オルガノポリシロキサンを1質量%以上60質量%以下と、(B)炭化水素系溶剤と、を含むことが好ましい。
油性ダイカスト用離型剤組成物におけるオルガノポリシロキサンの含有量が1質量%以上60質量%以下であることにより、高温の金型に対する良好な離型性を付与することができる。より好ましくは3.5質量%以上16質量%以下である。オルガノポリシロキサンは2種以上組み合わせてもよい。
ダイカスト用離型剤組成物に使用される炭化水素系溶剤は特に限定されないが、取り扱いのし易さという観点から引火点が70℃以上のパラフィン類が好ましい。
また、ダイカスト用離型剤組成物を水性とする場合は、(A)オルガノポリシロキサンを1質量%以上60質量%以下と、(B)界面活性剤を0.1質量%以上10質量%以下と、(C)水と、を含むことが好ましい。
水性ダイカスト用離型剤組成物におけるオルガノポリシロキサンの含有量が1質量%以上60質量%以下であることにより、高温の金型に対する良好な離型性を付与することができる。より好ましくは、12.5質量%以上50質量%以下である。オルガノポリシロキサンは2種以上組み合わせてもよい。
界面活性剤の含有量が0.1質量%以上10質量%以下であることにより、オルガノポリシロキサンを安定に乳化させることができる。
ダイカスト用離型剤組成物に使用される界面活性剤の種類としては、オルガノポリシロキサンを安定に乳化させることができれば特に限定されない。例えば、アニオン性、カチオン性、両性、又はノニオン性の界面活性剤のいずれも使用することができる。これらの中でもノニオン性界面活性剤が好ましい。具体的には、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等が好ましい。
これらの界面活性剤は単独で使用されても良く、複数組み合わせて使用しても良い。
ダイカスト用離型剤組成物には潤滑性を補う目的で、鉱物油、油脂、合成エステル油、油性剤、合成ワックス等を配合しても良い。また、上記以外の各種添加物が含まれていても良い。例えば、消泡剤/起泡剤、腐食防止剤、防腐剤、防錆剤、増粘剤、酸化防止剤、蛍光剤等が挙げられる。
水性のダイカスト用離型剤組成物は、さらに水で希釈して用いることもできる。希釈倍率は10倍〜1000倍であることが好ましく、20倍〜200倍であることがより好ましい。
以下実施例に基づいてダイカスト用離型剤組成物について説明するが、本発明はこれに限定されない。
[ダイカスト用離型剤組成物]
下記の各成分を配合して実施例1〜16、比較例1〜4、参考例1〜3に係るダイカスト用離型剤組成物を作製した。各成分の質量比を表1、2に示した。
<オルガノポリシロキサン1、2>
オルガノポリシロキサン1、2は、シロキサン結合で形成される分子骨格の末端が(CHSiO1/2のM型構造であり、その他の部分が(CH)(C13)SiOのD型構造及び(CH)SiO3/2のT型構造からなり、分子骨格にT型構造を介する分岐を複数有する。オルガノポリシロキサン1、2の分子骨格に含まれるT型構造のケイ素原子の割合は、オルガノポリシロキサン1、2の分子骨格に含まれるケイ素原子を基準としたときそれぞれ5.0mol%、7.5mol%である。
<オルガノポリシロキサン3>
オルガノポリシロキサン3は、シロキサン結合で形成される分子骨格の末端が(CHSiO1/2のM型構造であり、その他の部分が(CH)(Nbn)SiOのD型構造(ここで、Nbnはノルボルニル基を表す。)及び(CH)SiO3/2のT型構造からなり、分子骨格にT型構造を介する分岐を複数有する。オルガノポリシロキサン3の分子骨格に含まれるT型構造のケイ素原子の割合は、オルガノポリシロキサン3の分子骨格に含まれるケイ素原子を基準としたとき8.0mol%である。
<オルガノポリシロキサン4>
オルガノポリシロキサン4は、SiO3/2のT型構造からなり、分子骨格にT型構造を介する分岐を複数有する。オルガノポリシロキサン4の分子骨格に含まれるT型構造のケイ素原子の割合は、オルガノポリシロキサン4の分子骨格に含まれるケイ素原子を基準としたとき100mol%である。
<オルガノポリシロキサン5>
オルガノポリシロキサン5は、(CHSiOのD型構造とSiOのQ型構造とからなり、分子骨格にQ型構造を介する分岐を複数有する。オルガノポリシロキサン5の分子骨格に含まれるQ型構造のケイ素原子の割合は、オルガノポリシロキサン5の分子骨格に含まれるケイ素原子を基準としたとき45.0mol%である。
<オルガノポリシロキサン6>
オルガノポリシロキサン6は、(CH(Phn)SiO1/2のM型構造(ここで、Phnはフェネチル基を表す。)とSiOのQ型構造とからなる、分子骨格にQ型構造を介する分岐を複数有するMQ型のオルガノポリシロキサンである。オルガノポリシロキサン6の分子骨格に含まれるQ型構造のケイ素原子の割合は、オルガノポリシロキサン6の分子骨格に含まれるケイ素原子を基準としたとき62.7mol%である。
<オルガノポリシロキサン7>
オルガノポリシロキサン7は、(CH(Phn)SiO1/2のM型構造(ここで、Phnはフェネチル基を表す。)とSiOのQ型構造とからなる、分子骨格にQ型構造を介する分岐を複数有するMQ型のオルガノポリシロキサンである。オルガノポリシロキサン7の分子骨格に含まれるQ型構造のケイ素原子の割合は、オルガノポリシロキサン7のケイ素原子を基準としたとき60.3mol%である。
<オルガノポリシロキサン8>
オルガノポリシロキサン8は、シロキサン結合で形成される分子骨格の末端が(CHSiO1/2のM型構造であり、その他の部分が(CH)(C1225)SiOのD型構造である直鎖状の分子である。
<オルガノポリシロキサン9>
オルガノポリシロキサン9は、シロキサン結合で形成される分子骨格の末端が(CHSiO1/2のM型構造であり、その他の部分が(CH)(C13)SiOのD型構造である直鎖状の分子である。
<オルガノポリシロキサン10>
オルガノポリシロキサン10は、シロキサン結合で形成される分子骨格の末端が(CHSiO1/2のM型構造であり、その他の部分が(CH)(Nbn)SiOのD型構造である直鎖状の分子である。
<オルガノポリシロキサン11>
オルガノポリシロキサン11は、シロキサン結合で形成される分子骨格の末端が(CHSiO1/2のM型構造であり、その他の部分が(CHSiOのD型構造である直鎖状の分子である。
<オルガノポリシロキサン12>
オルガノポリシロキサン12は、シロキサン結合で形成される分子骨格の末端が(CHSiO1/2のM型構造であり、その他の部分が(CH)(Phn)SiOのD型構造である直鎖状の分子である。
<炭化水素系溶剤>
炭化水素系溶剤はパラフィンを用いた。
<界面活性剤>
界面活性剤はポリオキシエチレンポリオキシプロピレンイソデシルエーテル(EO PO イソデシルエーテル)を用いた。
<その他の添加物>
潤滑材として鉱物油(三共油化工業株式会社製)を用いた。また、防腐剤としてアルカノールアミン(株式会社日本触媒製)を用いた。
[オルガノポリシロキサンの状態]
オルガノポリシロキサン1〜12の25℃における状態(固体、液体)を目視等で評価した。表1にその結果を示した。
[オルガノポリシロキサンの粘度]
液体であるオルガノポリシロキサン1〜3、5〜6、8〜12の25℃における粘度をJPI−5S−26−99に沿って回転粘度計(東京計器株式会社製、VISCOMETER、Power:100V.AC50Hz)により測定した。表1にその結果を示した。
なお、上記の回転粘度計は100,000mPa・s以上の粘度は測定不能であるため、その場合は「測定不能」として評価した。
[離型性評価試験]
離型性評価試験では、鋼板をダイカスト金型に模して試験している。試験方法は以下のとおりである。
200℃、300℃、350℃、400℃のそれぞれの温度に調整した試験鋼板(材質:SKD61、形状:200mm×200mm×30mm)に表3の条件でダイカスト用離型剤組成物を均一に塗布されるようにスプレーした。ここで、油性である実施例1〜9、比較例1〜3、参考例1〜2に係るダイカスト用離型剤は表1に記載の組成のものを塗布し、水性である実施例10〜16、比較例3、参考例3に係るダイカスト用離型剤は表2に記載の組成のものを100倍に水で希釈して塗布した。
続いて、ダイカスト用離型剤組成物を塗布した試験鋼板を離型性評価試験機(LUBテスター、株式会社メックインターナショナル社製)に設置して、表4の条件でアルミニウム(ADC12)の溶湯を金属製リング(材質:SKD61)内に給湯した。なお、給湯はスプレー開始から30秒後に行った。
給湯注入から40秒後に9kgの荷重を上側からアルミニウムに負荷し、当該負荷を20秒間続けた。そして、アルミニウムへの負荷を掛けたまま、金属製リングを水平方向に牽引して、試験鋼板とアルミニウムとの間に焼き付きが発生しているかを以下の基準で評価した。結果を表1、2に示した。
「○」:焼き付き無し
「×」:焼き付きあり
Figure 2019118925
Figure 2019118925
Figure 2019118925
Figure 2019118925
[堆積性試験]
堆積性試験では、組成物を繰り返し使用した場合における金型の堆積物の重量を評価する。試験方法は次のとおりである。
300℃の温度に調整した試験鋼板(材質:SPCC−SB、形状:100mm×100mm×20mm)に表6の条件でダイカスト用離型剤組成物を均一に塗布されるようにスプレーした。この操作を30回繰り返した。そして、試験鋼板の試験前後における重さの差をとり、堆積物の重量を測定した。堆積物の重量が300mg以下である場合を「○」、300mgを超える場合を「×」として評価した。本試験において評価が「○」である組成物は、固着物等の問題が発生し難い傾向にある。結果を表5に示した。
Figure 2019118925
Figure 2019118925
[結果]
表1は油性のダイカスト用離型剤組成物に関する。
実施例1は、T型構造の割合が5.0mol%のオルガノポリシロキサン1を用いた例である。実施例1は300℃の鋼板に対して焼き付きが生じなかった。それに対して、比較例1、2では300℃の鋼板に対して焼き付きが生じた。実施例1と比較例1、2とを比較すると、実施例1のオルガノポリシロキサン1はT型構造を介する分岐を複数有する分子骨格であるのに対し、比較例1のオルガノポリシロキサン5は直鎖状の分子骨格である。よって、オルガノポリシロキサンの分子骨格がT型構造を介する分岐を複数有することにより、離型性が向上したと考えられる。実施例3と比較例3との結果の違いも同様の理由が一因であると考えられる。
実施例2は、T型構造の割合が7.5mol%のオルガノポリシロキサン2を用いた例である。実施例2は350℃の鋼板に対しても焼き付きが生じなかった。実施例1、2の比較から、分子骨格に含まれるT型構造の割合を増加させると、高温の金型に対する離型性が向上すると考えられる。
実施例3、4は、T型構造の割合が8.0mol%、かつ、D型構造に環状アルキル基(ノルボルニル基)を含むオルガノポリシロキサン3を用いた例である。実施例3、4は400℃の鋼板に対しても焼き付きが生じなかった。実施例2、3の比較から、分子骨格に含まれるT型構造の割合を増加させたこと、及び、D型構造にアルキル基よりも熱分解されにくい環状アルキル基(ノルボルニル基)を結合させたことにより高温の鋼板に対する離型性が向上したと考えられる。また、実施例4の結果から、組成物におけるオルガノポリシロキサン3の含有量が3.5質量%と少量であっても離型性に優れることが分かった。
実施例5はT型構造からなるオルガノポリシロキサン4を用いた例である。実施例5は400℃の鋼板に対しても焼き付きが生じなかった。これは、オルガノポリシロキサンにおけるT型構造の割合が非常に高いためであると考えられる。 実施例6〜9はQ型構造を含むオルガノポリシロキサン5〜7を用いた例である。これらの実施例では、組成物におけるオルガノポリシロキサンの含有量が5質量%であったとしても、400℃の鋼板に対する焼き付けが生じないものであった。また、オルガノポリシロキサンは液体であっても固体であっても耐熱性に差はなかった。よって、オルガノポリシロキサンの分子骨格がQ型構造を介する分岐を複数有することにより、高温の金型に対する離型性に優れると考えられる。また、有機基に熱分解されにくいアラルキル基(フェネチル基)を有することも、離型性向上に寄与しておりと考えられる。これは比較例1、2と参考例2との比較から分かる。参考例2は有機基にアラルキル基(フェネチル基)を有しており、300℃の鋼板に対する離型性が良好である。それに対して有機基にアルキル基を有する比較例1、2は、300℃の鋼板に対して焼き付きが生じた。このことから、有機基にアラルキル基を有するオルガノポリシロキサンを用いることにより、離型性が向上すると考えられる。
表2は水性のダイカスト用離型剤組成物に関する。
実施例10〜16の結果から、水性であっても高温の鋼板に対して良好な離型性が発現することが分かった。また、実施例14、15の結果から、T型構造又はQ型構造を有さないオルガノポリシロキサンを混合したとしても、耐熱性に影響が無いことが分かった。さらに、実施例16から鉱物油やアミン類等の添加物を加えることができることが確認できた。
表5は堆積性試験に関する。
表5から明らかなように、オルガノポリシロキサンが固体であると非堆積性が悪く、液体であると非堆積性が良い。このことから、ダイカスト用離型剤組成物には液体のオルガノポリシロキサンを用いることが好ましいことが分かった。

Claims (9)

  1. シロキサン結合で形成される分子骨格を有するオルガノポリシロキサンを含むダイカスト用離型剤組成物であって、
    前記分子骨格は下記一般式(1)で表されるT型構造又はQ型構造のうち少なくとも一方の構造単位を備え、前記分子骨格は前記T型構造又は前記Q型構造を介する分岐を複数有している、
    ダイカスト用離型剤組成物。
    Figure 2019118925

    (RはT型構造の場合は水素原子又は炭素数1以上4以下のアルキル基、Q型構造の場合は酸素原子を表す。)
  2. 前記分子骨格が下記一般式(2)で表されるD型構造の構造単位を有する、請求項1に記載のダイカスト用離型剤組成物。
    Figure 2019118925

    (Rは水素原子又はメチル基、Rは水素原子、炭素数1以上12以下のアルキル基、炭素数5以上9以下の環状アルキル基、又は炭素数7以上19以下のアラルキル基を表している。)
  3. 前記分子骨格の末端が下記一般式(3)で表されるM型構造である、請求項1又は2に記載のダイカスト用離型剤組成物。
    Figure 2019118925

    (R、Rは水素原子又はメチル基を表し、それぞれ同じであっても良く、異なっていても良い。Rは炭素数7以上19以下のアラルキル基、炭素数5以上9以下の環状アルキル基、又は炭素数1以上12以下のアルキル基を表している。)
  4. 前記オルガノポリシロキサンの前記分子骨格に含まれる前記T型構造及び前記Q型構造のケイ素原子の割合は、前記オルガノポリシロキサンの前記分子骨格に含まれるケイ素原子を基準として3.0mol%以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のダイカスト用離型剤組成物。
  5. 前記オルガノポリシロキサンの前記分子骨格に含まれる前記T型構造及び前記Q型構造のケイ素原子の割合は、前記オルガノポリシロキサンの前記分子骨格に含まれるケイ素原子を基準として80.0mol%以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のダイカスト用離型剤組成物。
  6. 前記オルガノポリシロキサンが流動性を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のダイカスト用離型剤組成物。
  7. 前記オルガノポリシロキサンの25℃における粘度が50mPa・s以上10000mPa・s以下である、請求項6に記載のダイカスト用離型剤組成物。
  8. (A)前記オルガノポリシロキサンを1質量%以上60質量%以下と、
    (B)炭化水素系溶剤と、を含む、
    請求項1〜7のいずれか1項に記載のダイカスト用離型剤組成物。
  9. (A)前記オルガノポリシロキサンを1質量%以上60質量%以下と、
    (B)界面活性剤を0.1質量%以上10質量%以下と、
    (C)水と、を含む、
    請求項1〜7のいずれか1項に記載のダイカスト用離型剤組成物。
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