JP2019118862A - 液体改質装置および液体改質方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】化学薬品を用いることなく、飲料自体の安全性を確保し、それでいて処理対象の液体に対して効果的な電解を付与して液体改質を行う。【解決手段】本発明の液体改質装置は、陰極板が配置された陰極室と陽極板が配置された陽極室とが隔膜を介して区画された電解槽と、少なくともターゲット液槽から前記陰極室及び前記陽極室の一方に対して前記ターゲット液が供給されるとともにカウンター液槽から前記陰極室及び前記陽極室の他方に対してカウンター液が供給された後で、前記陰極板と前記陽極板との間に所定の電圧を印加するとともに前記カウンター液のpH値を調整することで前記電解槽内における前記ターゲット液のpH値変化の速度を調整する制御装置を有する。【選択図】 図1

Description

本発明は、電気分解を用いてお茶やお酒など処理を目的とするターゲット液に対して電解を付与する技術に関し、より具体的には隔膜を挟持する一対の電極を備えた電解槽へターゲット液を供給して電解改質を行う液体改質装置および液体改質方法に関するものである。
近年の世界的な健康志向の高まりを受け、人や植物、あるいは動物などの健康・発育増進に有効な機能水が注目されている。このような機能水は、例えば飲料水などの液体に対して電解を付与することで改質や改善を行って生成されることが知られている。
一般的に液体に対して改質や改善を施す場合、溶液に何らかの物質を添加することが基本となっていて、その健康飲料などの有効性は添加物質の濃度と添加する物質の質に依存する場合が多い。そして、このような有効性を高めるために、添加物質の種類や濃度、調合比率などを調整して改質処理がなされている。かような化学薬品などの添加剤を使用してpH調整等の処理を行う方法の他には、例えば加熱により製品(飲料など)の改質等を行う方法、あるいは長期間タンクに溶液を溜置き熟成させる方法などがある。
例えば特許文献1(特開2002−361260号公報)には、無隔膜電解槽もしくは有隔膜電解槽に健康飲料、やその原料溶液、もしくはこれらの混合液及び酒類を流入させて電解処理を行う改質改善方法が記載されている。
しかしながら、特許文献1を含む従来の方法では、いずれの方法で処理を行っても、何らかの問題がある。例えば化学薬品を使用した場合は飲料自体の安全性の問題が発生する。また、熱を使用した場合は酸化反応が常温時と比べ激しく起こることから、品質の低下を招く可能性が生じる。また、熟成処理を行うとこの処理自体に時間が必要で熟成と同時に酸化反応により製品の質を低下させる場合があるという課題があった。
これに対して特許文献2では、化学薬品を用いることなく、飲料自体の安全性を確保し、各電極室における酸化還元反応の調整や制御を的確に行うことができ、アルコール成分を含む飲料水(ミネラル水、ジュース、コーヒー、ミルク、紅茶、緑茶、これら混合液など)における各電極室内の化学反応を有効に制御して、その水和性や、飲料水の調整液を含めたシステムの生産効率性の向上を図ることができる技術が開示されている。
特開2002−361260号公報 特開2009−268368号公報
たしかに特許文献2では、化学薬品を用いることなく、飲料自体の安全性を確保し、各電極室における酸化還元反応の調整や制御を的確に行うことができるのだが、以下に説明するとおり未だに改善の余地を残していると言える。
すなわち、特許文献2ではまず処理対象をアルコール溶液に特化しており、アルコールを含まない飲料水や他の機能水(水素水や酸素水、あるいは消毒用途の塩素水など)に対する知見を提供するには至っていない。
また、特許文献2では、隔膜で区画された一対の電極を有する電解槽を用いてアルコール溶液を電解改質しているが、処理対象のアルコール溶液に対するパラメータ管理(pH値、酸化還元電位、導電率、あるいは電流×時間など)を基準として電解を付与する構成であり、より効率的で効果の高い電解改質を行うには未だに改善の余地がある。
本発明は、上記した問題を一例として解決することを鑑みて為されたものであり、化学薬品を用いることなく、飲料自体の安全性を確保し、それでいて処理対象の液体に対して効果的な電解を付与して液体改質を行うことが可能な液体改質装置および液体改質方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の一実施形態にかかる液体改質装置は、(1)処理対象のターゲット液に対してpH値の変化速度を調整しつつ当該ターゲット液の改質を行う液体改質装置であって、陰極板が配置された陰極室と陽極板が配置された陽極室とが隔膜を介して区画された電解槽と、少なくともターゲット液槽から前記陰極室及び前記陽極室の一方に対して前記ターゲット液が供給されるとともにカウンター液槽から前記陰極室及び前記陽極室の他方に対してカウンター液が供給された後で、前記陰極板と前記陽極板との間に所定の電圧を印加するとともに前記カウンター液のpH値を調整することで前記電解槽内における前記ターゲット液のpH値変化の速度を調整する制御装置と、を有することを特徴とする。
なお、上記した(1)の液体改質装置は、(2)酸性材料を貯留する酸添加部をさらに備え、前記制御装置は、前記酸添加部を介して前記カウンター液に前記酸性材料を添加することで前記カウンター液のpH値を変化させることが好ましい。
また、上記した(1)又は(2)の液体改質装置においては、(3)アルカリ性材料を貯留するアルカリ添加部をさらに備え、前記制御装置は、前記アルカリ添加部を介して前記カウンター液に前記アルカリ性材料を添加することで前記カウンター液のpH値を変化させることが好ましい。
また、上記した(1)〜(3)のいずれかの液体改質装置においては、(4)前記ターゲット液の温度を計測する温度センサーをさらに備え、前記制御装置は、計測した前記ターゲット液の温度に基づいて前記カウンター液のpH値を変化させることが好ましい。
また、上記した(4)の液体改質装置においては、(5)前記ターゲット液の温度を調整する温調装置をさらに備え、前記制御装置は、前記温度センサーの計測結果に基づいて前記ターゲット液の温調を行った後で前記カウンター液のpH値を変化させることが好ましい。
また、上記した(1)〜(5)のいずれかの液体改質装置においては、(6)前記電解槽から前記ターゲット液槽に前記ターゲット液を還流させるとともに、前記電解槽から前記カウンター液槽に前記カウンター液を還流させる第2供給流路をさらに備えることが好ましい。
また、上記した(1)〜(6)のいずれかの液体改質装置においては、(7)互いに特性の異なる複数種類の隔膜を収容する隔膜収容部をさらに備え、前記ターゲット液のpH値変化が正の方向であるか負の方向であるかに基づいて、前記複数種類の隔膜が選択されて前記電解槽に配設されることが好ましい。
さらに上記課題を解決するため、本発明の一実施形態にかかる液体改質方法は、隔膜を介して陰極室と陽極室とが区画された電解槽内に供給された処理対象のターゲット液に対してpH値の変化速度を調整しつつ当該ターゲット液の改質を行う液体改質方法であって、前記陰極室と前記陽極室の一方に対してターゲット液を供給する工程と、前記陰極室と前記陽極室の他方に対してカウンター液を供給する工程と、前記陰極室に配置された陰極板と前記陽極室に配置された陽極板との間に所定の電圧を印加するとともに、前記カウンター液のpH値を調整することで前記電解槽内における前記ターゲット液のpH値変化の速度を調整する工程と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、いわゆる化学薬品(容易に電離せず安定した化学物資)を用いることなく、飲料自体の安全性を確保し、それでいてカウンター液のpH値を積極的に制御することで処理対象のターゲット液に対してpH値変化を制御しながら電解を効果的に付与して液体改質を行うことが可能となる。
第1実施形態における液体改質装置100の全体構成図である。 第1実施形態における液体改質方法を説明するフローチャートである。 電解印加時間とpH値変化との関係を説明するグラフである。 カウンター液CLにおけるpH値の経時変化を説明するグラフである。 第2実施形態における液体改質装置200の全体構成図である。 変形例における液体改質装置300の全体構成図である。
以下、本発明を実施するための実施形態を一例として説明する。
≪第1実施形態≫
<液体改質装置100>
図1は、本発明の第1実施形態における液体改質装置100を模式的に示す全体構成図である。
図示されるとおり、本実施形態の液体改質装置100は、処理対象のターゲット液に対してpH値の変化速度を調整しつつ当該ターゲット液の改質を行う機能をそなえている。より具体的に液体改質装置100は、電解槽10、ターゲット液槽20、カウンター液槽30、および制御装置50と、を有して構成されている。
なお、ターゲット液槽20及びカウンター液槽30は、液体改質装置100で有している必要は必ずしもなく、別途提供を受けて電解槽10に対して後付けで接続される構成であってもよい。
また、以下で詳述する構成以外については、例えば上記した特開2009−268368号公報等の公知の電解槽における装置構成を適宜参照してもよい。
電解槽10は、図1に示すとおり、陰極板11が配置された陰極室12と陽極板13が配置された陽極室14とが隔膜15を介して区画された構造となっている。
なお図示ではそれぞれ1つずつの陰極板11と陽極板13を用いて一対の陰極室12と陽極室14が形成されているが、この例には限られない。すなわち、互いに複数の陰極板11と陽極板13をそれぞれ隔膜15によって区画して複数の陰極室12と陽極室14を形成してもよい。
また、本実施形態における電解槽10は、さらに温度センサー16a、温調装置17a、pHセンサー18a、18bを含んで構成されていてもよい。本実施形態では、これら温度センサー16a、温調装置17a、及びpHセンサー18a、18bをすべて有しているが、設置する場合にはこれらのうち少なくとも1つを設ける形態であってもよい。
温度センサー16aは、例えば熱電対や測温抵抗体など公知の構造を持つセンサーを適用可能であり、電解槽10内における液体の温度を検出する機能を有している。本実施形態では、電解槽10は隔膜15で区画されており、陰極室12内に配置されている。ただし電解槽10内では温度はほぼ均一であるため、温度センサー16aは陰極室12及び陽極室14の少なくともいずれかに設置すればよい。あるいは、温度センサー16aは、電解槽10内のうちターゲット液TLが供給される側に設置するようにしてもよい。
温調装置17aは、電解槽10内における液体の温度を調整する機能を有している。具体的な温調装置17aとしては、電解槽10内における液体の温度を調整可能であれば特に制限はなく、例えば加温機能を有する公知の電熱線ヒーターや冷却機能を有する公知のチラーなどの組み合わせが例示できる。なお、電解槽10内における温調装置17aの配置位置については、例えば陰極室12及び陽極室14の少なくともいずれかに設置すればよい。あるいは、温調装置17aは、電解槽10内のうちターゲット液TLが供給される側に設置するようにしてもよいし、カウンター液CLが供給される側に設置するようにしてもよいし、その両方に個別に設置してもよい。
また、特にターゲット液TLの温調を行う場合については、例えばカウンター液CLの流量をターゲット液TLの流量よりも増加させて当該カウンター液CLとターゲット液TLとの間で熱交換を行ってもよい。
pHセンサー18aは、陰極室12内に配置されて当該陰極室12内に供給される液体のpH値を検出する機能を有している。換言すれば、陰極室12内にターゲット液TLが供給される場合には、pHセンサー18aはターゲット液TLのpH値を検出する。一方で陰極室12内にカウンター液CLが供給される場合には、pHセンサー18aはカウンター液CLのpH値を検出する。このpHセンサーの具体的な構造に特に制限はなく、公知のpHセンサーを適用してもよい。
pHセンサー18bは、上記したpHセンサー18aと同様の構造を有し、陽極室14内に配置されて当該陽極室14内に供給される液体のpH値を検出する機能を有している。換言すれば、陽極室14内にターゲット液TLが供給される場合には、pHセンサー18bはターゲット液TLのpH値を検出する。一方で陽極室14内にカウンター液CLが供給される場合には、pHセンサー18bはカウンター液CLのpH値を検出する。
隔膜15は、電解槽10における陰極室12と陽極室14とを区画する機能を有している。本実施形態の隔膜15は、公知の種々の隔膜を適用することができ、例えば陰イオン交換膜や陽イオン交換膜などの他にイオン選択性がない中性膜を適用することができる。また、後述するとおり、本実施形態の隔膜15としては、ターゲット液TLおよびカウンター液CLに要求される作用に従って、イオン交換膜(上記したアニオン膜やカチオン膜)や中性膜などが適宜選択される。
ターゲット液槽20は、陰極室12及び陽極室14の一方に対して供給されるターゲット液TLを貯留する機能を有している。また、図1に示すとおり、ターゲット液槽20は、さらに、温度センサー16b、温調装置17b、pHセンサー18cの少なくとも1つを含んで構成されていてもよい。これら温度センサー16b、温調装置17b、およびpHセンサー18cの具体的な構造については、上述したものと同様なので説明は省略する。
カウンター液槽30は、陰極室12及び陽極室14の他方に対して供給されるカウンター液を貯留する機能を有している。また、図1に示すとおり、カウンター液槽30は、さらに、温度センサー16c、温調装置17c、pHセンサー18dの少なくとも1つを含んで構成されていてもよい。これら温度センサー16c、温調装置17c、およびpHセンサー18dの具体的な構造については、上述したものと同様なので説明は省略する。
上記したターゲット液槽20およびカウンター液槽30は、それぞれ第1供給流路40を介して電解槽10と接続される。より具体的に本実施形態における第1供給流路40は、ターゲット液槽20と電解槽10とをつなぐ流路40aと、カウンター液槽30と電解槽10とをつなぐ流路40bとを含んで構成されている。
また図1に示すとおり、本実施形態ではカウンター液槽30は1つ示されているが、カウンター液槽30を複数設置するとともに流路を適宜切り替えることでこれら複数のカウンター液槽30から電解槽10へカウンター液CLが供給されるようにしてもよい。
このうち流路40a内には、開閉バルブV、ポンプP、及び三方弁Vが配設されている。したがって、ターゲット液槽20から電解槽10へのターゲット液TLの送出及び停止は、この開閉バルブVとポンプPを介して行われる。また、ターゲット液槽20からターゲット液TLを陽極室14に供給したい場合などは、この三方弁Vで供給先を適宜切り替えることが可能となっている。
また、流路40b内にも、開閉バルブV、ポンプP、及び三方弁Vが配設されている。したがって、カウンター液槽30から電解槽10へのカウンター液CLの送出及び停止は、この開閉バルブVとポンプPを介して行われる。また、カウンター液槽30からターゲット液TLを陰極室12に供給したい場合などは、この三方弁Vで供給先を適宜切り替えることが可能となっている。
ここで、本実施形態に好適なターゲット液TLについて説明する。
本実施形態のターゲット液TLとしては、改質を必要とする液体である限り特に制限はなく、種々の液体や粘性液体が挙げられる。具体的には、ターゲット液TLとしては、例えば、お水、お茶や野菜ジュースなど飲料水、ワインや日本酒などのアルコール成分を含んだ酒類、消毒用途の塩素水、酸素や水素を多く含む酸素水や水素水などの機能水、常温では固体だが加温すると液体となるグミなどの液状化された食品などが例示できる。
次に、本実施形態に好適なカウンター液CLについて説明する。
本実施形態のカウンター液CLとしては、後述する液体改質方法に利用可能な性質を有する液体であれば種々の液体を用いてもよい。具体的なカウンター液CLとしては、例えば水道水、塩酸や酢酸などの酸性材料が溶融した酸性の溶液、アンモニアや水酸化ナトリウムが溶解したアルカリ性の溶液などが例示できる。
図1に戻り、本実施形態における液体改質装置100の各構成に関する説明を継続する。
制御装置50は、陰極板11と陽極板13との間に所定の電圧を印加するとともに、カウンター液CLのpH値を調整することで電解槽10内におけるターゲット液TLのpH値変化の速度を調整する機能を有している。
なお具体的な制御装置50の構成は、不図示のCPUが搭載された演算機能やメモリ機能を備えた公知のコンピューターなどが例示できる。
<カウンター液CLにおけるpH値の調整>
上述したとおり本実施形態における最大の特徴は、カウンター液CLにおけるpH値に着目した点にあり、カウンター液CLのpH値に基づいてターゲット液TLにおけるpH値の変化を制御している。すなわち電気化学的な観点から言えば、本実施形態においては、カウンター液CLに含まれ水素イオン(H)若しくは水酸イオン(OH)を隔膜15越しにターゲット液TLに極間電圧の差を利用して流入(移動)させる事で、ターゲット液TLのpH値変化のコントロールを行っている。この時、カウンター液CLに含まれる水素イオン(H)若しくは水酸イオン(OH)の量をコントロールさせてターゲット液TLのpH値変化のコントロールを行う。これはすなわち、カウンター液CLのpH値をコントロールする事に他ならない。
このように本発明者らは、鋭意検討の末、カウンター液CLにおけるpH値を調整(例えば積極的に変化させる)することで、処理対象であるターゲット液TLのpH値変化の速度を調整できるという技術思想に帰結することができた。
すなわち、従来から行われている液体改質方法は、主として処理対象のターゲット液TLの状態に着目して化学薬品を添加したり、pH値を調整したり、あるいは電解を付与したりするものであった。これに対して本実施形態では、主としてカウンター液CLのpH値に着目することで、間接的に処理対象のターゲット液TLにおけるpH値変化を制御することを実現している点に特徴がある。
このカウンター液CLにおけるpH値を積極的に変化させる手法としては、例えばカウンター液層30に貯留されるカウンター液CL自体を他のpH値を有する異なるカウンター液に途中で変更することなどが考えられるが、本実施形態では後述するとおり酸添加部60及び/又はアルカリ添加部70によって実現されることが望ましい。なお、図1ではカウンター液槽30に対して酸添加部60及びアルカリ添加部70の双方が設置されているが、処理する態様によっては酸添加部60とアルカリ添加部70のうち少なくとも一方を備える形態であってもよい。
酸添加部60は、カウンター液CLに対する添加剤としての酸性材料を貯留する機能を有している。この酸性材料としては、カウンター液CLを酸性に傾向させる性質を持つ物質であれば特に制限はないが、例えば酢酸やクエン酸、塩酸などの液体材料や、ミョウバンなどの個体材料であってもよい。なお、隔膜15の種類によっては、添加した酸性材料の一部やカウンター液CLの一部がターゲット液TL側に流入する可能性もある点において、処理対象のターゲット液TLの性質に応じて添加する酸性材料を選択するとよい。
図1に示すとおり、酸添加部60は、制御装置50の制御の下で、供給流路61およびチェックバルブVを介してカウンター液CLに供給可能なように構成されている。
そして本実施形態における制御装置50は、この酸添加部60を介してカウンター液CLに酸性材料を添加することでカウンター液CLのpH値を変化させる機能を有している。
なお、酸添加部61は、不図示の上記した温調装置を更に備えていてもよい。
アルカリ添加部70は、カウンター液CLに対する添加剤としてのアルカリ性材料を貯留する機能を有している。このアルカリ性材料としては、カウンター液CLをアルカリ性に傾向させる性質を持つ物質であれば特に制限はないが、例えばアンモニア水などの液体材料や、炭酸水素ナトリウム(重曹)などの個体材料であってもよい。これらに例示されるアルカリ性材料は、上記した酸性材料と同様に、処理対象のターゲット液TLの性質に応じて添加する酸性材料を選択するとよい。
図1に示すとおり、アルカリ添加部70は、制御装置50の制御の下で、供給流路71およびチェックバルブVを介してカウンター液CLに供給可能なように構成されている。
そして本実施形態における制御装置50は、このアルカリ添加部70を介してカウンター液CLにアルカリ性材料を添加することでカウンター液CLのpH値を変化させる機能を有している。
なお、酸添加部61は、不図示の上記した温調装置を更に備えていてもよい。
このように本実施形態におけるターゲット液TL、カウンター液CL、カウンター液CLに添加される添加剤は、それぞれ種々の組み合わせを取り得る。非制限的な一例として、以下の表1及び表2に好適な組み合わせ例を示す。
そして図1に示すとおり、電解槽10で改質が行われた後は、送出パイプSPを介して収容タンクTにターゲット液TLが収容される。一方でカウンター液CLは、電解槽10から排出パイプDPを介して系外(河川など)に排出される。
なお図1では陰極室12から送出される液体をターゲット液TLであるとして説明しているが、陽極室14から送出される液体がターゲット液TLである場合には、送出パイプSP及び収容タンクT並びに排出パイプDPの設置態様が変更されることは言うまでもない。
<液体改質方法>
次に図2〜図4を適宜参照しつつ、本実施形態における液体改質方法について詳述する。
まず本実施形態の液体改質方法は、上記したとおり隔膜15を介して陰極室12と陽極室14とが区画された電解槽10内に供給された処理対象のターゲット液TLに対してpH値の変化速度を調整しつつ当該ターゲット液TLの改質を行うものである。
説明の便宜上、以下では表1に挙げた構成例1(ターゲット液TL:お茶、カウンター液CL:水道水)に基づいて液体改質方法をより具体的に説明する。
図2に示すとおり、まずステップS101では陰極室12と陽極室14の一方に対してターゲット液CLを供給し、ステップS102では陰極室12と陽極室14の他方に対してカウンター液CLを供給する。なおこのステップS101とS102は、同時に行ってもよいし、少なくとも一部が重なるように並行して行ってもよい。
より具体的に上記した構成例1に基づけば、ステップS101でターゲット液槽20からお茶を電解槽10の陰極室12に供給し、ステップS102でカウンター液槽30から水道水を陽極室14に供給する。
次いでステップS103では、制御装置50は、陰極室12に配置された陰極板11と陽極室14に配置された陽極板13との間に所定の電圧(例えば30V)を印加する制御を行う。なお、この電極板への具体的な電圧付与方法については特に制限はなく、例えば公知の商用電源とAC−DCアダプタ等を用いて所定の電圧を付与してもよいし、二次電池などの公知の電池を用いて電圧を付与してもよい。
そしてステップS103で電極間に電圧が付与された後、続くステップS104において、制御装置50は、電解槽10内におけるカウンター液CLのpH値に基づいて電解槽10内におけるターゲット液のpH値変化の速度を調整する。より具体的には、本構成例1においては、制御装置50は、酸添加部60を介して酸性材料(クエン酸又は酢酸)をカウンター液槽30に添加することでカウンター液CLのpH値を下げる制御を行う。
そして続くステップS105では、制御装置50は、カウンター液CLのpH値は目標値に到達したか否かを検出する。より具体的には、制御装置50は、電解槽10内のpHセンサー18bで検出されるpH値を監視している。なお、pHセンサー18bの設置個所は、図1のように電解槽10内でもよいし、第1供給流路40上でもよいし、排出パイプDP内であってもよい。これにより、図3を用いて後述するとおり、カウンター液CLのpH値を所望の範囲内に維持することが可能となっている。
ここで図3を参照しつつ、具体的なカウンター液CLのpH値の調整について説明する。
上記したとおり、本実施形態における制御装置50は、カウンター液CLにおけるpH値の調整として、pH7.0からpH2.0程度までpH値を下げてその後はpH2〜pH3の範囲程度に維持する制御を行う。
すなわち、通常は図3の比較例パターンに示すように、時間経過とともにpH値は下がってくるので、一例として例えばpH値が2.0となった毎にpH値を元のpH値に戻す作業(例えばカウンター液CLの交換など)を繰り返し行っていた。
一方で本実施形態では、制御装置50は、まず酸添加部60を介して酸性材料を添加することでpH値を2.0まで下げる。その後は、そのままではpH値が更に下がってしまうので、制御装置50は、同図に示すとおり、アルカリ添加部70を介してアルカリ性材料を適宜添加することで、カウンター液CLのpH値をある一定の範囲内で維持するよう制御する。
なお、本実施形態においては、カウンター液CLとしてpH7.0の水道水を利用してカウンター液CLのpH値をある一定の範囲内で維持するよう制御したが、カウンター液CLのpH値の調整手法はこの例に限られない。
例えば、予めpH値が2.0〜3.0の範囲内に調整された酸性のカウンター液CLをカウンター液槽30に貯留し、第1供給流路40を介してこの酸性のカウンター液CLを電解槽10に供給するようにしてもよい。
また、このとき、pH値が互いに異なるカウンター液CLがそれぞれ貯留された複数のカウンター液槽30を切り替え可能に第1供給流路40で電解槽10へつなげておき、目的のpH値のカウンター液CLが電解槽10へ供給されるように任意のカウンター液槽30に供給経路を切り替えるようにしてもよい。
さらに、図3に示す具体例では、カウンター液CLのpH値が2.0と3.0の間に収まるように制御しているが、例えば途中でpH値を7.0にするなど所定の期間だけ他のpH値範囲にpH値を上昇させてもよい。
一方、本構成例1においては、pH値が変化した酸性水溶液(カウンター液CL)が電解槽10の陽極室14に流入することで、ターゲット液TLであるお茶のpH値変化(アルカリ化)の速度が鈍化する。
このときの物理現象に関する詳細で正確なメカニズムは依然として解明できていない部分もあるが、陽極室14内におけるカウンター液CL中の水素イオンの濃度が上昇し、この増加した水素イオンの一部が隔膜15を介してターゲット液TL側へ移り込むことによるものと推測できる。
したがって、本構成例1においては、隔膜15は中性膜でもよいが、飲料用途であるお茶がターゲット液TLであることを鑑みると、カウンター液CL側から意図しない物質がターゲット液TLに混入しないように、水素イオンが通過可能なイオン交換膜であるカチオン膜を用いることが望ましい。
ここで上記した構成例1をベースとして、図4を用いて本実施形態における液体改質方法と比較方式との違いを説明する。なお同図は、電解印加時間とpH値変化との関係を示すグラフである。
まずターゲット液TLとして例示したお茶については、一般的な製造方法として製造時にビタミンC(アスコルビン酸)などの酸化防止剤が添加される。また、お茶はpH7.0程度を超えると褐変を引き起こすことも知られている。
お茶の製造においては商品競争力の観点から見た目も当然に重要なファクターであり、かような意味からもpH値制御は重要となってくる。
かような観点から、まず図4(a)では酸化防止剤が投入されるお茶における電解改質を示している。より具体的には、茶葉からお茶を製造した段階を例えばpH6.0とし(茶葉の種類によっても出来上がりのpH値は変化しうるので一例である)、時刻t1で上記した酸化防止剤を加えてpH値が4.0となって酸性度が増す。
そしてその後は、比較例パターンにおいては重曹などpH調整剤が投与されることが多いが、より比較しやすくする目的で図4(a)では電解を付与することでpH調整を行うこととする。すなわち時刻t1から電解改質を行うと、比較例パターンの手法ではすぐに時刻t3にpH7.0となってしまいこれ以上の電解付与は褐変を引き起こすから不可能となる。
なお、お茶に対して電解改質(本実施形態のごとく電解槽10にターゲット液TLを供給して電極間に電圧を付与)を行う他の目的としては、例えば酸化防止剤として添加したビタミンC(アスコルビン酸)の活性を高めることや、お茶に対して熟成感を付与(タンニンなどお茶の成分に対して水和クラスターが形成)することなどが挙げられる。
一方で本実施形態によれば、ターゲット液TLであるお茶のpH値変化(アルカリ化)の速度を鈍化させることが可能となっている。そうすると、図4(a)に示すとおり、時刻t1で電解を付与した後、時刻t4(時刻t3よりも長い)でターゲット液TLのpH値が7.0に到達するまで電解を付与することが可能となる。
換言すれば、本発明の液体改質方法によれば、同じpH値変化(pH4.0からpH7.0)までターゲット液TLのpH値が変化するまで、より多くの電解をターゲット液TLに付与することが可能となる。これにより、例えば酸化防止剤が添加されたお茶の場合には当該酸化防止剤の活性を高めることができ、比較例パターンに比してその添加量を削減したりすることも可能となる。
また、図4(b)は、上記した酸化防止剤を添加しないお茶の場合を示している。同図によれば、比較例パターンでは例えば時刻t6までしか電解を付与できなかったのに対し、それよりも多い時間である時刻t7までターゲット液TL(お茶)に対して電解を付与することが可能となる。そして図4(b)の場合には、酸化防止剤も添加せず、電解改質を経た熟成感のある無添加のお茶を製造することも可能となる。
なお、上記した手法は、ターゲット液のpH値変化の速度の調整における一例として、お茶のpH値変化(アルカリ化)の速度を鈍化させたが、反対にpH値変化(アルカリ化)の速度を加速させることも可能である。この場合、より具体的に、制御装置50は、カウンター液槽30に対してアルカリ添加部70からアルカリ性材料を添加する制御を行う。すると、このカウンター液槽30からアルカリ度が増したカウンター液CLが電解槽10に供給され、これにより図4に示すようにお茶(ターゲット液TL)のpH値変化(アルカリ化)の速度が比較例パターンに比して加速することとなる。
このように制御装置50は、アルカリ添加部70を介してアルカリ性材料をカウンター液槽30に添加することでお茶(ターゲット液TL)のpH値変化(アルカリ化)の速度を加速させてもよい。換言すれば、制御装置50は、図4に示したごときお茶のpH値をリニアに変化させるだけでなく、随時加速させたり減速させたりしてもよい。これにより、製造時間も柔軟に短縮したりすることが可能となって結果として製造コストを下げることにも寄与できる。
また、制御装置50は、温度センサー16aから検出されるターゲット液TLの温度に基づいてカウンター液CLのpH値を変化させ又は調整するように構成してもよい。例えばターゲット液TLを高温にして殺菌するなどの必要がある場合などは、pH値は温度依存があるため酸添加部60を介して酸性材料をカウンター液槽30に添加することでお茶(ターゲット液TL)のpH値変化(アルカリ化)の速度を鈍化させることなどが考えられる。
なお、ターゲット液TLの性質によっては、電解槽10内における温度管理を徹底しなければならない場合も想定できる。この点、本実施形態では、電解槽10内には温調装置17aが配設されており、ターゲット液TLやカウンター液CLを所望の温度に調整することができる。このように、本実施形態における制御装置50は、温度センサー16aの計測結果に基づいてターゲット液TLの温調を行った後でカウンター液CLのpH値を変化させるように構成してもよい。
最後にステップS106では、陰極板11と陽極板13の間に電圧を印加してから所定時間が経過したか否かが検出される。そして予め定めた所定時間が経過したら、ターゲット液TLの改質処理が完了したと判断して処理を完了する。
なお本実施形態では、上記した電解を用いた液体改質処理の完了判定として所定時間が経過したか否かに基づいているが、この態様に限られない。例えば、上記改質処理の完了判定要素として、カウンター液TLのpH値が規定値に到達したか否かで判断するようにしてもよい。
上記した液体改質方法では、一例として構成例1を例にして説明したが、カウンター液CLにおけるpH値を調整することでターゲット液TLのpH値変化の速度を調整する点においては他の構成例と同様であり、当該構成例1に限定されるものではなく広く他の液体に応用が可能である。
≪第2実施形態≫
図5は、本発明の第2実施形態における液体改質装置200を模式的に示した全体構成図である。この液体改質200は、上記第1実施形態の液体改質100に比して循環タイプとなっており、第2供給流路80を備えている点などに主とした特徴がある。
したがって、以下では相違点について主として説明し、第1実施形態と同じ構成及び機能を有する要素については同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
すなわち同図に示すとおり、液体改質装置200では、上記した供給パイプSPと収容タンクT並びに排出パイプDPに代えて、還流用流路80aおよび還流用流路80bがそれぞれ電解槽10と接続されている。このように液体改質装置200は、電解槽10からターゲット液槽20にターゲット液TLを還流させるとともに、電解槽10からカウンター液槽30にカウンター液CLを還流させる第2供給流路80をさらに備えている。
このうち第2供給流路80のうち還流用流路80aは、その一端が電解槽10のうち陰極室12と接続されるとともに、他端がターゲット液槽20内へと続く。そしてこの還流用流路80a上にはポンプP及び三方弁Vが設置されており、必要に応じてその流れが後述する還流用流路80bへと切り替わることが可能となっている。
また、同様に還流用流路80bは、その一端が電解槽10のうち陽極室14と接続されるとともに、他端がカウンター液槽30内へと続く。そしてこの還流用流路80b上にもポンプP及び三方弁Vが設置されており、必要に応じてその流れが後述する還流用流路80aへと切り替わることが可能となっている。
このように本実施形態では、陰極室12から還流用流路80aを介して流れ出た改質後の液体は、自身が貯留されていた槽へと還流することになる。
特に本実施形態では、いわゆるワンパス形態の第1実施形態に比して、収容タンクTを無くしてターゲット液槽20へと改質後のターゲット液TLが還流する形態となっている。これにより、例えばpHセンサー18cや温度センサー16bの計測値などに基づいて、ターゲット液槽20内の液体が時間の経過とともに改質されていることになる。
換言すれば、本実施形態では、制御装置50は、ターゲット液槽20内の計測センサー(pHセンサー18cや温度センサー16b)の値に基づいて、カウンター液CLにおけるpH値を調整(積極的に変化させるなど)することでターゲット液TLのpH値変化の速度を調整するようにしてもよい。また、制御装置50は、ターゲット液槽20内の液体のpH値が所定値となった時点で電解槽10による電解改質を終了させるように制御してもよい。
また、ターゲット液槽20内には温調装置17bも配設されている場合には、制御装置50は、温調装置17bを介してターゲット液槽20内を所定温度に温度調整しながら、カウンター液CLにおけるpH値を積極的に変化させることでターゲット液TLのpH値変化の速度を調整するようにしてもよい。
[処理時間を比較した実験例]
ここで、本実施形態の効果を検証するための実験例を示す。
本実験においては、同じカウンター液CLに対してpH値変化の有無によってどの程度だけ処理時間が変化するか検証した。
なお検証実験においては、上記した構成例1の組み合わせに対して次に掲げる条件で処理時間の計測を行った。
・カウンター液CLへの添加剤:クエン酸
・ターゲット液TLの目標pH変化量:+2
以上の条件において、上述した電解改質を行ってターゲット液TLの目標pH値に達するまでに要した処理時間を計測した。その結果、カウンター液CLに何らpH調整を行わず(換言すれば従来どおりの手法で)電解改質を行った場合には約3.5分で上記目標pH値に到達したのに対し、本発明のカウンター液CL側のpH調整(pHを2.5に維持)を施して電解改質を行った場合には約13分を要して上記目標pH値に到達した。
このことから、カウンター液CLのpH値を調整することで電解処理に要する時間が約4倍となることが実証され、ターゲット液TL側のpH変化速度調整に本発明が有効であることが明らかとなった。
上記した各実施形態は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。以下、各実施形態に適宜適用が可能な変形例について説明する。なお、以下の変形例においては既述の構成と同じ機能・作用を奏するものはその記載を省略するか同じ参照番号を付け、更にその説明も適宜省略する。
≪変形例≫
図6は変形例における液体改質装置300を模式的に示す全体構成図である。
本変形例における液体改質装置300は、処理対象のターゲット液TLの電解改質内容に応じて最適な隔膜15に変更する機能を備えている点に特徴がある。
より具体的に液体改質装置300は、ターゲット液TLのpH値変化が正の方向であるか負の方向であるかに基づいて、前記複数種類の隔膜が選択されて前記電解槽に配設される隔膜変更機構90をさらに備えている。
そして図6に示すとおり、本変形例の隔膜変更機構90は、隔膜搬送手段91および隔膜収容部92を有して構成されている。
隔膜搬送手段91は、例えば公知のロボットハンドなどの搬送機構が例示でき、隔膜15を把持したり吸着したりして電解槽10と隔膜収容部92との間で隔膜15を搬送することが可能となっている。
隔膜収容部92は、互いに特性の異なる複数種類の隔膜15、15b、15cなどを収容する機能を備えている。なお、それぞれの隔膜15にはバーコードなどの識別IDを付与し、隔膜搬送手段91によって隔膜収容部92の規定位置に隔膜15を収容することが可能となっていてもよい。
例えば電解槽10内での電解改質を続ける結果、隔膜15が劣化したり、あるいは中性膜からイオン交換膜へと隔膜15を変更する必要が生じる場合も想定できる。
このとき、制御装置50は、そのときのターゲット液TLの電解改質に最適な隔膜15を隔膜収容部92から選択し、そしてロボットハンド91を介して電解槽10内から従前の隔膜15を取り外すとともに隔膜収容部92から目的の新たな隔膜を取り出して電解質10内に設置する制御を行う。
また、例えば制御装置50が酸添加部60による添加からアルカリ添加部70による添加に切り替える場合には、制御装置50は、同時に隔膜変更機構90によって適切な隔膜15(中性膜や適切なイオン交換膜など)に切り替える制御を行ってもよい。
また、上記した各実施形態や変形例においては、電解槽10とカウンター液槽30との間で第1供給流路40上に酸添加部60やアルカリ添加部70を接続したが、この例に限定されない。例えば、添加する量が許容できれば、カウンター液槽30内に直接添加可能なように、酸添加部60やアルカリ添加部70をカウンター液槽30に接続してもよい。
以上で説明した各実施形態および各変形例は適宜組み合わせて新たな液体改質装置を構成してもよい。
以上説明したように、本発明の液体改質装置および液体改質方法は、例えば化学薬品を用いることなく、飲料自体の安全性を確保し、それでいて処理対象の液体に対して効果的な電解を付与して液体改質を行うのに適している。
TL ターゲット液
CL カウンター液
10 電解槽
20 ターゲット液槽
30 カウンター液槽
40 第1供給流路
50 制御装置
60 酸添加部
70 アルカリ添加部
80 第2供給流路
90 隔膜変更機構
100〜300 液体改質装置
上記課題を解決するため、本発明の一実施形態にかかる液体改質装置は、(1)電解槽内に貯留された状態で処理対象のターゲット液に対してpH値の変化速度を調整しつつ当該ターゲット液の電解改質を行うとともに、前記貯留したターゲット液への電解の付与が完了した後で前記ターゲット液を前記電解槽から送出する液体改質装置であって、陰極板が配置された陰極室と陽極板が配置された陽極室とが隔膜を介して区画された電解槽と、ターゲット液槽から前記陰極室への前記ターゲット液供給と、カウンター液槽から前記陽極室へのカウンター液供給と、を停止した後で、前記陰極板と前記陽極板との間に所定の電圧を印加するとともに前記カウンター液のpH値を調整することで前記電解槽内における前記ターゲット液のpH値変化を鈍化させる制御装置と、貯留されたカウンター液のpH値よりも高いpH値を有するアルカリ性材料を添加するアルカリ添加部と、貯留されたカウンター液のpH値よりも低いpH値を有する酸性材料を添加する酸添加部と、を有し、前記制御装置は、初めに前記カウンター液に前記酸性材料を添加した後で、前記カウンター液のpH値を一定の範囲内に維持するように前記アルカリ性材料を前記カウンター液に添加することを特徴とする。
また、上記課題を解決するため、本発明の一実施形態にかかる液体改質装置は、(2)電解槽内に貯留された状態で処理対象のターゲット液に対してpH値の変化速度を調整しつつ当該ターゲット液の電解改質を行うとともに、前記貯留したターゲット液への電解の付与が完了した後で前記ターゲット液を前記電解槽から送出する液体改質装置であって、陰極板が配置された陰極室と陽極板が配置された陽極室とが隔膜を介して区画された電解槽と、ターゲット液槽から前記陽極室への前記ターゲット液の供給と、カウンター液槽から前記陰極室へのカウンター液の供給と、を停止した後で、前記陰極板と前記陽極板との間に所定の電圧を印加するとともに前記カウンター液のpH値を調整することで前記電解槽内における前記ターゲット液のpH値変化を鈍化させる制御装置と、貯留されたカウンター液のpH値よりも低いpH値を有する酸性材料を添加する酸添加部と、貯留されたカウンター液のpH値よりも高いpH値を有するアルカリ性材料を添加するアルカリ添加部と、を有し、前記制御装置は、初めに前記カウンター液に前記アルカリ性材料を添加した後で、前記カウンター液のpH値を一定の範囲内に維持するように前記酸性材料を前記カウンター液に添加することを特徴とする。
また、上記した(1)又は(2)の液体改質装置においては、(3)前記ターゲット液の温度を計測する温度センサーをさらに備え、前記制御装置は、計測した前記ターゲット液の温度に基づいて前記カウンター液のpH値を変化させることが好ましい。
また、上記した(3)の液体改質装置においては、(4)前記ターゲット液の温度を調整する温調装置をさらに備え、前記制御装置は、前記温度センサーの計測結果に基づいて前記ターゲット液の温調を行った後で前記カウンター液のpH値を変化させることが好ましい。
また、上記した(1)〜(4)のいずれかの液体改質装置においては、(5)前記電解槽から前記ターゲット液槽に前記ターゲット液を還流させるとともに、前記電解槽から前記カウンター液槽に前記カウンター液を還流させる第2供給流路をさらに備えることが好ましい。
また、上記した(1)〜(5)のいずれかの液体改質装置においては、(6)互いに特性の異なる複数種類の隔膜を収容する隔膜収容部をさらに備え、前記ターゲット液のpH値変化が正の方向であるか負の方向であるかに基づいて、前記複数種類の隔膜が選択されて前記電解槽に配設されることが好ましい。
さらに上記課題を解決するため、本発明の一実施形態にかかる液体改質方法は、(7)隔膜を介して陰極室と陽極室とが区画された電解槽内に供給して貯留された処理対象のターゲット液に対してpH値の変化速度を調整しつつ当該ターゲット液の電解改質を行う液体改質方法であって、前記陰極室に対してターゲット液を供給する工程と、前記陽極室に対してカウンター液を供給する工程と、前記ターゲット液および前記カウンター液の前記電解槽への供給を停止した後に、前記陰極室に配置された陰極板と前記陽極室に配置された陽極板との間に所定の電圧を印加するとともに、前記カウンター液のpH値を調整することで前記電解槽内に貯留された前記ターゲット液のpH値変化を鈍化させる工程と、を有し、前記陰極板と前記陽極板の間に前記電圧が印加されている間において、初めに前記カウンター液に対して貯留されたカウンター液のpH値よりも低いpH値を有する酸性材料を添加した後で、前記カウンター液のpH値を一定の範囲内に維持するように貯留されたカウンター液のpH値よりも高いpH値を有するアルカリ性材料を前記カウンター液に対して添加することを特徴とする。
さらに上記課題を解決するため、本発明の一実施形態にかかる液体改質方法は、(8)隔膜を介して陰極室と陽極室とが区画された電解槽内に供給して貯留された処理対象のターゲット液に対してpH値の変化速度を調整しつつ当該ターゲット液の電解改質を行う液体改質方法であって、前記陽極室に対してターゲット液を供給する工程と、前記陰極室に対してカウンター液を供給する工程と、前記ターゲット液および前記カウンター液の前記電解槽への供給を停止した後に、前記陰極室に配置された陰極板と前記陽極室に配置された陽極板との間に所定の電圧を印加するとともに、前記カウンター液のpH値を調整することで前記電解槽内に貯留された前記ターゲット液のpH値変化を鈍化させる工程と、を有し、前記陰極板と前記陽極板の間に前記電圧が印加されている間において、初めに前記カウンター液に対して貯留されたカウンター液のpH値よりも高いpH値を有するアルカリ性材料を添加した後で、前記カウンター液のpH値を一定の範囲内に維持するように貯留されたカウンター液のpH値よりも低いpH値を有する酸性材料を前記カウンター液に対して添加することを特徴とする。

Claims (8)

  1. 処理対象のターゲット液に対してpH値の変化速度を調整しつつ当該ターゲット液の改質を行う液体改質装置であって、
    陰極板が配置された陰極室と陽極板が配置された陽極室とが隔膜を介して区画された電解槽と、
    少なくともターゲット液槽から前記陰極室及び前記陽極室の一方に対して前記ターゲット液が供給されるとともにカウンター液槽から前記陰極室及び前記陽極室の他方に対してカウンター液が供給された後で、前記陰極板と前記陽極板との間に所定の電圧を印加するとともに前記カウンター液のpH値を調整することで前記電解槽内における前記ターゲット液のpH値変化の速度を調整する制御装置と、
    を有することを特徴とする液体改質装置。
  2. 酸性材料を貯留する酸添加部をさらに備え、
    前記制御装置は、前記酸添加部を介して前記カウンター液に前記酸性材料を添加することで前記カウンター液のpH値を変化させる請求項1に記載の液体改質装置。
  3. アルカリ性材料を貯留するアルカリ添加部をさらに備え、
    前記制御装置は、前記アルカリ添加部を介して前記カウンター液に前記アルカリ性材料を添加することで前記カウンター液のpH値を変化させる請求項1又は2に記載の液体改質装置。
  4. 前記ターゲット液の温度を計測する温度センサーをさらに備え、
    前記制御装置は、計測した前記ターゲット液の温度に基づいて前記カウンター液のpH値を変化させる請求項1〜3のいずれか一項に記載の液体改質装置。
  5. 前記ターゲット液の温度を調整する温調装置をさらに備え、
    前記制御装置は、前記温度センサーの計測結果に基づいて前記ターゲット液の温調を行った後で前記カウンター液のpH値を変化させる請求項4に記載の液体改質装置。
  6. 前記電解槽から前記ターゲット液槽に前記ターゲット液を還流させるとともに、前記電解槽から前記カウンター液槽に前記カウンター液を還流させる第2供給流路をさらに備える請求項1〜5のいずれか一項に記載の液体改質装置。
  7. 互いに特性の異なる複数種類の隔膜を収容する隔膜収容部をさらに備え、
    前記ターゲット液のpH値変化が正の方向であるか負の方向であるかに基づいて、前記複数種類の隔膜が選択されて前記電解槽に配設される請求項1〜6のいずれか一項に記載の液体改質装置。
  8. 隔膜を介して陰極室と陽極室とが区画された電解槽内に供給された処理対象のターゲット液に対してpH値の変化速度を調整しつつ当該ターゲット液の改質を行う液体改質方法であって、
    前記陰極室と前記陽極室の一方に対してターゲット液を供給する工程と、
    前記陰極室と前記陽極室の他方に対してカウンター液を供給する工程と、
    前記陰極室に配置された陰極板と前記陽極室に配置された陽極板との間に所定の電圧を印加するとともに、前記カウンター液のpH値を調整することで前記電解槽内における前記ターゲット液のpH値変化の速度を調整する工程と、
    を有することを特徴とする液体改質方法。
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