(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る中継地点における複数の車両10への荷物の仕分けを説明する図である。中継地点は、物流センターとも呼ばれる。中継地点には、車両10と総称される第1の車両10a、第2の車両10b、第3の車両10c、第4の車両10dおよび第5の車両10eが停車している。車両10の数は特に限定されない。車両10は、自動運転車である。車両10は、例えば電気自動車であるが、特に限定されない。
第1の車両10aと第2の車両10bは、出荷地から複数の荷物100を積載して中継地点に到着した車両である。複数の荷物100のサイズは、それぞれ等しい。各荷物100には、図示しないICタグが添付されている。ICタグは、添付される荷物100の宛先の情報を保持している。
第1の車両10aと第2の車両10bが積載してきた荷物100は、中継地点で、配送エリアごとに、第3の車両10c、第4の車両10dおよび第5の車両10eに仕分けされる。配送エリアは、1台の車両10で荷物100を配送するエリアであり、1以上の宛先を含む。
仕分けの際、配送エリアごとに、宛先が遠い荷物100から順に車両10に積載してもよい。そして、荷物100を、宛先が遠いほど車両10の奥側に積載し、宛先が近いほど車両10の手前側に積載してもよい。これにより、近い宛先の荷物100から順に配送する際に、荷物100を車両10から取り出すことが容易になる。
仕分けは、作業員が行ってもよいし、荷物100を積載して自動で運搬可能な台車が行ってもよい。この台車には、ICタグの情報を読み取り、読み取った情報に基づいて荷物100を自動で積み降ろすロボットアームが設けられている。
第3の車両10c、第4の車両10dおよび第5の車両10eは、荷物100が積載された後、それぞれ異なる配送エリアに荷物100を配送する。例えば、第3の車両10cの配送エリアは、コンビニエンスストアである。この場合、配送エリアは、1以上のコンビニエンスストアを示す宛先を含んでもよい。例えば、第4の車両10dの配送エリアは、中都市であり、第5の車両10eの配送エリアは、小集落である。
第1の車両10aと第2の車両10bのサイズは、大型である。第4の車両10dのサイズは、第1の車両10aのサイズより小さく、中型である。第3の車両10cと第5の車両10eのサイズは、第4の車両10dのサイズより小さく、小型である。車両10のサイズは、3種類に限定されない。
後述するように、第1の車両10aと第2の車両10bが中継地点に到着するまでに、即ち複数の荷物100が中継地点に集められるまでに、配送エリアごとに、当該配送エリアの荷物100の数に応じたサイズの第3の車両10c、第4の車両10dおよび第5の車両10eが、中継地点に配車される。
図2は、図1の車両10を含む車両システム1のブロック図である。車両システム1は、複数の車載装置20と、サーバ装置40とを備える。図2では、複数の車載装置20のうち3台の車載装置20を図示している。
車載装置20は、車両10に搭載されている。車載装置20は、サーバ装置40と無線通信を行う。無線通信の規格は特に限定されないが、例えば、無線LAN、3G(第3世代移動通信システム)、4G(第4世代移動通信システム)または5G(第5世代移動通信システム)を含む。車載装置20は、図示しない基地局を介してサーバ装置40と無線通信を行ってもよい。
サーバ装置40は、例えば、中継地点に配置されている。サーバ装置40は、車両10を制御する。サーバ装置40は、データセンタなどに配置されていてもよい。
図3は、図2のサーバ装置40の構成を示すブロック図である。サーバ装置40は、通信部42と、処理部44と、記憶部46とを備える。処理部44は、取得部50と、配車部52とを備える。
通信部42は、複数の車載装置20と無線通信を行う。通信部42は、第1の車両10aと第2の車両10bが中継地点に到着する前に、所定の時間帯に中継地点に集められる複数の荷物100の量および宛先の情報を受信する。具体的には、通信部42は、複数の荷物100の量の情報として、複数の荷物100の数の情報を取得する。例えば、第1の車両10aと第2の車両10bのそれぞれの車載装置20が、出荷地で積載された荷物100に添付されたICタグから荷物100の宛先および数の情報を取得して、この情報をサーバ装置40に送信する。あるいは、出荷地の端末装置が、出荷地で第1の車両10aと第2の車両10bに積載された荷物100に添付されたICタグから荷物100の宛先および数の情報を取得して、この情報をサーバ装置40に送信してもよい。所定の時間帯は、第3の車両10c、第4の車両10dおよび第5の車両10eが中継地点から各宛先に向けて出発すべき時刻よりも前の時間帯である。
記憶部46は、複数の宛先と、各宛先が含まれる配送エリアとの関係を記憶している。記憶部46は、複数の車両10のサイズを記憶している。
取得部50は、通信部42で受信された、複数の荷物100の宛先および数の情報を取得する。取得部50は、記憶部46に記憶された情報と、複数の荷物100の宛先とに基づいて、複数の荷物100の配送エリアの情報を取得する。なお、荷物100に添付されたICタグは、荷物100の宛先に代えて、または、宛先に加えて、配送エリアの情報を保持していてもよい。この場合、通信部42は、複数の荷物100の配送エリアの情報を受信し、取得部50は、通信部42で受信された複数の荷物100の配送エリアの情報を取得する。
配車部52は、取得部50で取得された情報と、記憶部46に記憶された複数の車両10のサイズに基づいて、複数の荷物100が中継地点に集められるまでに、通信部42を介して、配送エリアごとに、当該配送エリアの荷物100の数に応じたサイズの車両10を中継地点に配車する。具体的には、配車部52は、配送エリアごとに、当該配送エリアの荷物100の数に応じて、当該配送エリア用の車両10のサイズを決定し、決定したサイズの車両10を中継地点に自動走行させる走行指示を導出する。中継地点への走行指示は、中継地点の位置情報を含む。位置情報は、緯度と経度を含む。荷物100のサイズは共通であるため、配送エリアの荷物100の数により、無駄な空間が少なくなるように車両10のサイズを適切に決定できる。
通信部42は、配車部52で導出された中継地点への走行指示と、取得部50で取得された配送エリアの複数の荷物100の宛先とを、対象の車両10に送信する。走行指示等には、送信先の車両10を識別するための情報が添付される。対象の車両10は、例えば、中継地点の近くの待機場所に待機している空き車両であり、図1の例では、待機している第3の車両10c、第4の車両10dおよび第5の車両10eである。
図4は、図2の車載装置20の構成を示すブロック図である。車載装置20は、通信部22と、処理部24と、外部センサ26と、GPS受信部28とを備える。処理部24は、取得部32と、車両制御部34とを備える。
通信部22は、サーバ装置40と無線通信を行う。通信部22は、サーバ装置40から自車両宛に中継地点への走行指示等の情報が送信された場合に、この情報を受信する。
外部センサ26は、自車両の周囲の歩行者などの障害物の情報を定期的に検出し、検出結果を処理部24に出力する。外部センサ26は、例えば、カメラ、ライダー(LIDAR:Laser Imaging Detection and Ranging)、および、レーダーの少なくとも1つを含む。
GPS受信部28は、GPS衛星から信号を受信し、自車両の位置と向きを導出する。位置は、緯度と経度を含む。GPS受信部28は、自車両の位置と向きの情報を処理部24に出力する。
取得部32は、通信部22で受信された中継地点への走行指示等の情報を取得する。取得部32は、中継地点への走行指示と、自車両の位置と、図示しない記憶部に記憶された地図情報とに基づいて、現在位置から中継地点までの第1走行経路を取得する。また、取得部32は、複数の荷物100の宛先と、図示しない記憶部に記憶された地図情報とに基づいて、中継地点から複数の荷物100の宛先を経由する第2走行経路を取得する。第1および第2走行経路の取得には、周知の経路探索技術を用いることができる。
車両制御部34は、取得部32で中継地点への走行指示が取得された場合、第1走行経路、および、自車両の位置と向きの情報にしたがって、図示しない駆動モータ、制動装置および操舵装置などを制御して、第1走行経路に沿って自車両を自動で走行させる。車両制御部34は、外部センサ26で検出された自車両の周囲の障害物の情報に基づいて、進行方向に障害物が存在しない場合、自車両を移動させる。このような制御には、周知の自動運転技術を用いることができる。
車両制御部34は、自車両の位置が、取得部32で取得された中継地点になった場合、自車両を停車させる。前述のように、中継地点において荷物100が車両10内に積載される。
車両制御部34は、中継地点において荷物100が車両10内に積載された場合、第2走行経路、および、自車両の位置と向きの情報にしたがって、第2走行経路に沿って自車両を走行させる。車両制御部34は、自車両の位置が荷物100の宛先の位置になった場合、自車両を停止させる。宛先において、車両10に搭載された台車が、ロボットアームを用いて車両10から荷物100を取り出して、荷物100を所定位置に運搬してもよいし、宛先の人間が車両10から荷物100を取り出してもよい。なお、配送員が車両10を運転して、中継地点から各宛先へ荷物100を配送してもよい。
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
このように本実施の形態によれば、複数の荷物100が中継地点に集められるまでに、配送エリアごとに、当該配送エリアの荷物100の数に応じたサイズの車両10を中継地点に配車するので、適切なサイズの車両10に、より短時間で配送を開始させることができる。
また、複数の荷物100のサイズはそれぞれ等しいので、配送エリアの荷物100の数に基づいて、配車される車両10のサイズを容易かつ適切に決定できる。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態では、複数のサイズの荷物100を扱うことが第1の実施の形態と異なる。以下では、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
図5は、第2の実施の形態に係る複数の荷物100の一例を示す斜視図である。中継地点に集められる各荷物100のサイズは、基本サイズ、または、複数の基本サイズの荷物100aを縦または横に並べたサイズである。荷物100bのサイズは、2つの基本サイズの荷物100aを縦に並べたサイズである。基本サイズは、高さh1、長さl1、幅w1である。荷物100bのサイズは、高さh2、長さl1、幅w1である。高さh2は、高さh1の2倍である。各荷物100のサイズは、2種類に限らない。このようなサイズにより、複数の荷物100を密着させて車両10に積載することができ、無駄な空間ができにくい。
各荷物100に添付されるICタグは、添付される荷物100の宛先およびサイズの情報を保持している。サイズの情報は、基本サイズの何倍のサイズであるかを示す情報である。ICタグは、添付される荷物100の配送エリアの情報を保持してもよい。
車両システム1、サーバ装置40および車載装置20の構成は、図2〜図4と同一であるため、図示は省略する。サーバ装置40において、通信部42は、所定の時間帯に中継地点に集められる複数の荷物100の宛先の情報に加え、複数の荷物100の量の情報として、複数の荷物100の数およびサイズの情報を受信する。取得部50は、複数の荷物100の宛先、数およびサイズの情報を取得する。
配車部52は、複数の荷物100が中継地点に集められるまでに、配送エリアごとに、当該配送エリアの荷物100の数およびサイズに応じたサイズの車両10を中継地点に配車する。具体的には、配車部52は、配送エリアごとに、当該配送エリアの荷物100の数およびサイズに応じて、当該配送エリア用の車両10のサイズを決定し、決定したサイズの車両10を中継地点に自動走行させる走行指示を導出する。
このように本実施の形態によれば、各荷物100のサイズは、基本サイズ、または、複数の基本サイズの荷物100を並べたサイズであり、配送エリアごとに、当該配送エリアの荷物100の数およびサイズに応じたサイズの車両10を中継地点に配車するので、複数のサイズの荷物100に対応した上で、適切なサイズの車両10を配車できる。
以上、実施の形態をもとに本発明を説明した。実施の形態はあくまでも例示であり、各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
例えば、車載装置20の取得部32は、道路情報に基づいて走行経路を取得してもよい。道路情報は、通行止めの位置と、当該通行止めが解除されるまでの時間とを含む。車載装置20は、このような道路情報を、図示しない他のサーバから有線通信または無線通信を用いて取得できる。他のサーバは、作業者が所持する端末装置などから、作業者が入力した通行止めが解除されるまでの時間と、通行止めの位置の情報を取得する。通行止めの位置は、例えば、工事中の位置、事故処理中の位置、信号トラブル中の位置、落下物除去中の位置、倒木処理中の位置などである。
取得部32は、車両10の速度に基づいて、通行止めの位置に、当該通行止めが解除されるまでの時間が経過する前に到達することが予想される場合、当該通行止めの位置を通らない走行経路を取得する。取得部32は、通行止めの位置に、当該通行止めが解除されるまでの時間が経過した後に到達することが予想される場合、当該通行止めの位置を通る走行経路が最短であれば、当該通行止めの位置を通る走行経路を取得する。
この変形例によれば、通行止めの道路が存在する場合にも、車両10は適切な走行経路を走行することができる。
また、第1の実施の形態において、第3の車両10c、第4の車両10dおよび第5の車両10eは、それぞれ、車両部品を含む荷物100を積載していてもよい。車両部品を含む荷物100のサイズも、他の荷物100のサイズと等しい。車両部品は、車両10の部品であり、例えば、バッテリ、パワーユニット、操舵装置などを含む。車両部品は、例えば、車両10が故障した場合に、故障した部品と交換するために用いられる。この変形例では、無駄な空間が少なくなるように車両10のサイズを適切に決定しつつ、車両10の故障にも容易に対応できる。
また、荷物100に配達日が指定されている場合、この荷物100に添付されるICタグは、配達日の情報を保持していてもよい。この場合、サーバ装置40の通信部42は、中継地点に集められる複数の荷物100の配達日の情報も受信する。取得部50は、複数の荷物100の配達日の情報も取得する。配車部52は、配送が行われる日より配達日が後の荷物100を除外して、配送エリアごとに、当該配送エリアの荷物100の数およびサイズに応じたサイズの車両10を中継地点に配車する。配車された車両10により配送が行われる日より配達日が後の荷物100は、配車された車両10に積載されない。この変形例では、荷物100に配達日が指定されている場合にも適切に対処できる。
また、出荷地から複数の荷物100を積載して中継地点に運ぶ車両10は、自動運転車ではなくてもよく、運転者が運転してもよい。