(第1実施例)
図1に示すように、本実施例に係る給湯システム2は、タンク10と、タンク水循環路20と、水道水導入路30と、供給路40と、ヒートポンプ50と、バーナ加熱装置60と、制御装置100と、を備える。本実施例の給湯システム2は、例えば飲食店等に用いられる業務用給湯システムであり、店舗内外の所定の温水利用箇所に温水を供給するために利用されるシステムである。以下、本実施例では、給湯システム2が、特定の店舗(例えば飲食店)に設置されている例を想定して説明する。
ヒートポンプ50は、外気から吸熱して、タンク水循環路20内の水を加熱する熱源である。ヒートポンプ50は、図示しないが、熱媒体(代替フロン、例えばR410A等)を循環させる熱媒体循環路と、外気と熱媒体との間で熱交換を行う蒸発器と、熱媒体を圧縮して高温高圧にする圧縮機と、タンク水循環路20内の水と高温高圧の熱媒体との間で熱交換を行う凝縮器と、水との熱交換を終えた後の熱媒体を減圧させて低温低圧にする膨張弁と、を備えている。また、ヒートポンプ50には、外気温を測定する外気温センサ52が備えられている。
タンク10は、ヒートポンプ50によって加熱された温水を貯える。タンク10は、密閉型であり、断熱材によって外側が覆われている。タンク10内には満水まで水が貯留されている。本実施例では、タンク10の容量は100Lである。タンク10には、サーミスタ12、14、16、18がタンク10の高さ方向に所定間隔で取り付けられている。各サーミスタ12、14、16、18は、その取付位置の水の温度を測定する。例えば、各サーミスタ12、14、16、18は、それぞれ、タンク10の上部から6L、12L、30L、50Lの位置の水の温度を測定する。
タンク水循環路20は、上流端がタンク10の下部に接続されており、下流端がタンク10の上部に接続されている。タンク水循環路20には、循環ポンプ22が介装されている。循環ポンプ22は、タンク水循環路20内の水を上流側から下流側へ送り出す。また、タンク水循環路20は、ヒートポンプ50の凝縮器(図示省略)を通過している。そのため、ヒートポンプ50を作動させると、タンク水循環路20内の水がヒートポンプ50の凝縮器で加熱される。従って、循環ポンプ22とヒートポンプ50とを作動させると、タンク10の下部の水がヒートポンプ50で加熱され、加熱された水がタンク10の上部に戻される。即ち、タンク水循環路20は、タンク10に蓄熱するための水路である。また、タンク水循環路20のヒートポンプ50の上流側には、サーミスタ24が介装されている。サーミスタ24は、タンク10の下部から導出され、ヒートポンプ50を通過する前の水の温度を測定する。
水道水導入路30は、上流端が水道水供給源31に接続されている。水道水導入路30には、サーミスタ32が介装されている。サーミスタ32は、水道水の温度を測定する。水道水導入路30の下流側は、第1導入路30aと第2導入路30bに分岐している。第1導入路30aの下流端は、タンク10の下部に接続されている。第2導入路30bの下流端は、後述の供給路40の途中に接続されている。第2導入路30bの下流端と供給路40との接続部分には、混合弁42が設けられている。混合弁42は、供給路40内を流れる温水に、第2導入路30b内の水を混合させる量を調整する。
供給路40は、上流端がタンク10の上部に接続されている。上述したように、供給路40の途中には、水道水導入路30の第2導入路30bが接続されており、接続部分には混合弁42が設けられている。第2導入路30bとの接続部より下流側の供給路40には、バーナ加熱装置60が介装されている。
バーナ加熱装置60は、燃料(例えば、燃料ガス)を燃焼させた熱によって、供給路40を通過する温水を加熱する補助熱源機である。また、バーナ加熱装置60より下流側の供給路40には、サーミスタ44が介装されている。サーミスタ44は、供給される温水の温度を測定する。バーナ加熱装置60は、サーミスタ44が測定する温水の温度が、給湯設定温度と一致するように、供給路40内の水を加熱する。供給路40の下流端は、温水利用箇所(例えば台所、浴槽等)に接続されている。
制御装置100は、上述のヒートポンプ50、循環ポンプ22、混合弁42、バーナ加熱装置60等の各構成要素と電気的に接続されており、これらの各構成要素の動作を制御する。
次いで、本実施例の給湯システム2の動作について説明する。給湯システム2は、蓄熱運転及び給湯運転を実行することができる。以下、各運転について説明する。
(蓄熱運転)
蓄熱運転は、ヒートポンプ50で生成した熱により、タンク10内の水を加熱する運転である。制御装置100によって蓄熱運転の実行が指示されると、ヒートポンプ50が作動する(即ち、圧縮機が回転する)とともに、循環ポンプ22が回転する。循環ポンプ22が回転すると、タンク水循環路20内をタンク10内の水が循環する。即ち、タンク10の下部に存在する水がタンク水循環路20内に導入され、導入された水がヒートポンプ50内の凝縮器を通過する際に、熱媒体の熱によって加熱され、加熱された水がタンク10の上部に戻される。これにより、タンク10に高温の水が貯められる。タンク10の上部には、高温の水の層が形成され、下部には、低温の水の層が形成される。
(給湯運転)
給湯運転は、タンク10内の水を温水利用箇所に供給する運転である。給湯運転は、上記の蓄熱運転中にも実行することができる。温水利用箇所の給湯栓が開かれると、水道水供給源31からの水圧によって、水道水導入路30(第1導入路30a)からタンク10の下部に水道水が流入する。同時に、タンク10上部の温水が、供給路40を介して温水利用箇所に供給される。
制御装置100は、タンク10から供給路40に供給される水の温度(即ち、サーミスタ12の測定温度)が、給湯設定温度より高い場合には、混合弁42を開いて第2導入路30bから供給路40に水道水を導入する。従って、タンク10から供給された水と第2導入路30bから供給された水道水とが、供給路40内で混合される。制御装置100は、温水利用箇所に供給される水の温度が、給湯設定温度と一致するように、混合弁42の開度を調整する。一方、制御装置100は、タンク10から供給路40に供給される水の温度が、給湯設定温度より低い場合には、バーナ加熱装置60を作動させる。従って、供給路40を通過する水がバーナ加熱装置60によって加熱される。制御装置100は、温水利用箇所に供給される水の温度が、給湯設定温度と一致するように、バーナ加熱装置60の出力を制御する。
(制御装置100が実行する処理)
続いて、制御装置100が実行する処理について説明する。本実施例では、制御装置100は、2:00(午前2時)を始点とする24時間を、1日を特定するための単位時間として、各種処理(図2、図6等参照)を実行している。
本実施例では、制御装置100は、特定の店舗において給湯が行われる毎に、給湯開始時刻及び給湯終了時刻を示す時刻情報と、その際の給湯流量を示す流量情報と、その際の給湯設定温度を示す設定温度情報と、を対応付けた使用量情報を記憶する。例えば、特定の店舗が24時間営業型の飲食店であるような場合、11:00〜13:00の昼食時間帯、及び、18:00〜20:00の夕食時間帯に大量の給湯が継続的に行われ、それ以外の時間帯には比較的少量の給湯が断続的に行われる、という傾向がある。制御装置100は、1日分の使用量情報を、特定の店舗の1日分の運転履歴として記憶する。本実施例では、制御装置100は、特定の店舗の過去7日分の運転履歴を記憶する。
(沸き上げ温度決定処理)
続いて、図2を参照して、制御装置100が24時間毎に実行する沸き上げ温度決定処理について説明する。沸き上げ温度決定処理は、次の1日の各時間帯におけるヒートポンプ50の沸き上げ温度を決定するための処理である。ここで、「沸き上げ温度」とは、ヒートポンプ50によって加熱され、タンク10内に供給される温水温度設定値のことである。制御装置100は、2:00が到来したことをトリガとして、図2の処理を開始する。
S10では、制御装置100は、特定の店舗の過去7日分の運転履歴を更新する。上記の通り、制御装置100は、特定の店舗の過去7日分の運転履歴を記憶する。そのため、S10では、制御装置100は、8日前の運転履歴を消去して、前日の運転履歴を新たに記憶する。
次いで、S12では、制御装置100は、1日の24時間のうち1時間分の1個の時間帯を特定する。本実施例では、1回目のS12では、制御装置100は、2:00〜3:00の1時間分の時間帯を特定する。他の例では、S12では、制御装置100は、2時間分の時間帯を特定してもよいし、それ以外の長さの時間帯を特定してもよい。
次いで、S14では、制御装置100は、S12で特定された時間帯(以下では「特定の時間帯」と呼ぶ)における過去の7日間の平均の給湯使用量である特定時間帯使用量を特定する。具体的には、S14では、制御装置100は、記憶している7日分の運転履歴を参照し、7日分の特定の時間帯に含まれる時刻情報に対応する給湯使用量を特定する。ここで、給湯使用量は、時刻情報に対応付けられた流量情報が示す給湯流量、及び、時刻情報に対応付けられた設定温度情報が示す給湯設定温度を利用して特定される。即ち、本実施例では、給湯使用量は、熱量(単位はkW)と同義である。そして、制御装置100は、特定した7日分の特定の時間帯に対応する給湯使用量の合計値を算出し、その合計値を7で除算することにより、1日分の特定の時間帯に対応する平均給湯使用量(即ち、特定時間帯使用量)を特定することができる。本実施例では、特定時間帯使用量は、給湯負荷(単位はkW)と同義である。
次いで、S16では、制御装置100は、S14で特定された特定時間帯使用量が、所定の基準量以上であるか否かを判断する。
ここで言う「基準量」は、沸き上げ温度を45℃に設定してヒートポンプ50を動作させる場合における給湯システム2全体の1時間当たりのランニングコスト(即ち、バーナ加熱装置60も含むランニングコスト)である第1コストと、沸き上げ温度を35℃に設定してヒートポンプ50を動作させる場合における給湯システム2全体の1時間当たりのランニングコストである第2コストと、が一致する均衡使用量である。
沸き上げ温度の一例である45℃は、温水利用箇所における給湯設定温度(例えば40℃)よりも高い温度であり、沸き上げ温度の他の一例である35℃は、給湯設定温度よりも低い温度である。即ち、本実施例では、沸き上げ温度を35℃に設定してヒートポンプ50を動作させながら給湯運転を行う場合、温水利用箇所に給湯設定温度の温水を供給するためには、同時にバーナ加熱装置60を動作して温水を加熱する必要がある。
図3、図4、図5を参照し、基準量に関係する詳しい説明を以下に続ける。図3は、給湯負荷と、給湯電気比率(即ち給湯負荷をヒートポンプの加熱によって賄っている比率。以下では「電気比率」と呼ぶ場合がある)との関係を示すグラフである。図3中のR1は、沸き上げ温度を45℃に設定してヒートポンプ50を動作させる場合における、給湯負荷と電気比率との関係を示す。図3中のR2は、沸き上げ温度を35℃に設定してヒートポンプ50を動作させる場合における、給湯負荷と電気比率との関係を示す。この例では、沸き上げ温度が45℃の場合も35℃の場合も、ヒートポンプ50の最大加熱能力は6kWであり、給湯設定温度は40℃に設定されているものとする。
図3の例では、沸き上げ温度が45℃の場合、給湯負荷が6kW以下の場合、電気比率は100%である(図中R1参照)。沸き上げ温度が35℃の場合、バーナ加熱装置60を動作させて温水を40℃まで追い加熱(補助加熱)する必要があるため、給湯負荷が6kW以下であっても、電気比率は100%とはならない。最小号数等を考慮し、バーナ加熱装置60に供給路40を介して30℃の温水を供給すると、給湯設定温度である40℃までの残り10℃を追い加熱しなければならない。その場合、水道水導入路30から供給される給湯システム2の給水温度を9℃とすると、電気比率は、(30−9)/(40−9)=0.68(即ち68%)で一定となる。即ち、給湯負荷の低い領域では、ヒートポンプ50の加熱能力ではなく、バーナ加熱装置60への送水温度と出湯温度との比率により、電気比率が決定されることになる。そして、給湯負荷が6kWを超えると、沸き上げ温度が45℃でもバーナ加熱装置60による追い加熱が必要になる。沸き上げ温度45℃の場合に電気比率が68%になる給湯負荷9kWでは、沸き上げ温度45℃の場合の電気比率と、沸き上げ温度35℃の場合の電気比率と、がほぼ等しくなる。このときのヒートポンプ50の圧縮機の回転数は、沸き上げ温度が45℃の場合と35℃の場合とで等しく、ヒートポンプ50の加熱能力も6kWでほぼ等しくなる。給湯負荷が9kWより大きくなると、ヒートポンプ50の最大加熱能力6kWは、沸き上げ温度によらず一定となり、給湯負荷の増大とともに、電気比率は低下することになる。
図4は、図3の場合において、電気とガスのランニングコストを、沸き上げ温度45℃と35℃のそれぞれの場合について示したものである。図4中のEC1は、沸き上げ温度を45℃に設定した場合における給湯負荷と電気のランニングコストとの関係を示す。EC2は、沸き上げ温度を35℃に設定した場合における給湯負荷と電気のランニングコストとの関係を示す。GC1は、沸き上げ温度を45℃に設定した場合における給湯負荷とガスのランニングコストとの関係を示す。GC2は、沸き上げ温度を35℃に設定した場合における給湯負荷とガスのランニングコストとの関係を示す。
沸き上げ温度が45℃の場合、給湯負荷が6kW以下では、バーナ加熱装置60は動作しないため、電気のランニングコストのみが給湯負荷に比例して増加していく(EC1、GC1参照)。沸き上げ温度が35℃の場合、上述の図3に示すように、給湯負荷が6kW以下であっても、電気比率が68%しか確保できないため、一定の電気比率68%を維持しながら、電気、ガスともに、給湯負荷に比例してランニングコストが増加する(EC2、GC2参照)。
沸き上げ温度が45℃の場合、給湯負荷6kW以上では、電気のランニングコストが一定となるが、ガスのランニングコストが増加する(EC1、GC1参照)。ガスのランニングコスト(GC1)の傾きは、電気のランニングコスト(EC1)の傾きよりも大きい。一方、沸き上げ温度が35℃の場合、給湯負荷9kW以下では、電気比率が68%で一定であり(図3参照)、電気、ガスともにランニングコストは比例的に増加する(EC2、GC2参照)。一方、給湯負荷9kW以上では、ヒートポンプ50が最大加熱能力である6kWに達するため、それ以上電気のランニングコストは増えなくなる(EC2参照)。その場合、給湯負荷の増加に伴い、燃料のランニングコストが増加することになる(GC2参照)。給湯負荷9kW以上の範囲で、沸き上げ温度が45℃の場合と35℃の場合とで電気のランニングコストに差があるのは、35℃の方が、高いCOPを得ることができるためである。
図5は、給湯負荷と、給湯システム2全体のランニングコスト(即ち、電気とガスの合計のランニングコスト)との関係を示すグラフである。図5中のC1は、沸き上げ温度を45℃に設定してヒートポンプ50を動作させる場合における、給湯負荷とランニングコスト(即ち第1コスト)との関係を示す。図5中のC2は、沸き上げ温度を35℃に設定してヒートポンプ50を動作させる場合における、給湯負荷とランニングコスト(即ち第2コスト)との関係を示す。本実施例では、図5に示すように、給湯負荷が7.13kWの場合に、第1コストC1と第2コストC2とが一致する。
給湯負荷が7.13kWより低い場合には、第1コストC1の方が第2コストC2よりも低い(即ち、沸き上げ温度を45℃に設定してヒートポンプ50(及びバーナ加熱装置60)を動作させて給湯を行った方がコストを低く抑え得る)。一方、給湯負荷が7.13kWより高い場合には、第2コストC2の方が第1コストC1よりも低い(即ち、沸き上げ温度を35℃に設定してヒートポンプ50及びバーナ加熱装置60を動作させて給湯を行った方がコストを低く抑え得る)。
即ち、7.13kWの給湯負荷が、本実施例における均衡使用量、即ち「基準量」であると言える。
また、本実施例において、沸き上げ温度を45℃に設定してヒートポンプ50を動作させると仮定した場合に賄うことができる給湯負荷の最大値(即ち、ヒートポンプ50の最大加熱能力)は6kWである。即ち、「基準量」は、沸き上げ温度を45℃に設定してヒートポンプ50を動作させると仮定した場合における仮定沸き上げ量(即ち6kW)に所定量(即ち1.13kW)を加算した使用量である、と言い換えることもできる。
図2のS14で特定された特定時間帯使用量が、上記の基準量(即ち7.13kW)以上である場合、制御装置100は、S16でYESと判断し、S18に進む。S16でYESと判断される場合、ヒートポンプ50の沸き上げ温度を35℃に設定した方が給湯システム2全体のランニングコストを低く抑えられることを意味する。S18では、制御装置100は、特定の時間帯におけるヒートポンプ50の沸き上げ温度を35℃に決定する。制御装置100は、S18を終えると、S20に進む。
一方、S14で特定された特定時間帯使用量が、上記の基準量よりも少ない場合、制御装置100は、S16でNOと判断し、S19に進む。S16でNOと判断される場合、ヒートポンプ50の沸き上げ温度を45℃に設定した方が給湯システム2全体のランニングコストを低く抑えられることを意味する。S19では、制御装置100は、特定の時間帯におけるヒートポンプ50の沸き上げ温度を45℃に設定する。制御装置100は、S19を終えると、S20に進む。
S20では、制御装置100は、S18又はS19で決定された沸き上げ温度(即ち35℃又は45℃)を記憶する。
次いで、S22では、制御装置100は、1日の24時間のうちのすべての時間帯を特定済みであるか否かを判断する。この時点でまだすべての時間帯が特定されていない場合、制御装置100は、S22でNOと判断し、S12に戻り、未特定の時間帯のうちから新たな1時間分の時間帯を特定する。そして、S14〜S22の各処理を再度実行する。一方、この時点で既にすべての時間帯が特定済みである場合(即ち、すべての時間帯における沸き上げ温度が決定済みである場合)、制御装置100は、S22でYESと判断し、図2の沸き上げ温度決定処理を終了する。
(ヒートポンプ作動処理)
次いで、図6を参照して、制御装置100が実行するヒートポンプ作動処理について説明する。給湯システム2が稼働している間、制御装置100は、図6のヒートポンプ作動処理を継続して実行している。
S40では、制御装置100は、サーミスタ16の検出温度(即ち、タンク10の上部から30Lの位置の水の温度)が、40℃を下回ることを監視する。サーミスタ16の検出温度が40℃を下回る(即ち、タンク10内の40℃以上の温水の残量が30Lを下回る)場合、制御装置100は、S40でYESと判断し、S42に進む。なお、他の例では、S40では、制御装置100は、サーミスタ16に代えて、サーミスタ14の検出温度(即ち、タンク10の上部から12Lの位置の水の温度)が40℃を下回ることを監視してもよい。また、他の例では、基準となる温度を40℃以外の温度に設定してもよい。即ち、他の例では、S40では、外気温や季節等の要因に応じて、監視の基準となるサーミスタの位置、及び、基準となる温度を変更してもよい。
S42では、制御装置100は、現在の時間帯の沸き上げ温度が35℃であるか否かを判断する。上記の通り、制御装置100は、24時間毎に、上記の沸き上げ温度決定処理(図2)を実行することにより、1日の各時間帯における沸き上げ温度を決定し、記憶している。制御装置100は、記憶内容を参照し、現在の時間帯の沸き上げ温度が35℃である場合に、S42でYESと判断し、S44に進む。一方、制御装置100は、現在の時間帯の沸き上げ温度が45℃である場合には、S42でNOと判断し、S45に進む。
S44では、制御装置100は、ヒートポンプ50の沸き上げ温度を35℃に設定し、ヒートポンプ50の圧縮機の回転数(即ちモータの回転数)を、5800rpmに設定して、ヒートポンプ50の動作を開始させる。さらに、制御装置100は、循環ポンプ22を回転させる。これにより、タンク10の下部の水がタンク水循環路20内に導入され、導入された水がヒートポンプ50内の凝縮器を通過する際に、熱媒体の熱によって35℃まで加熱され、加熱された水がタンク10の上部に戻される。これにより、タンク10に35℃の水が貯められる。
この際、給湯運転が同時に実行されている場合には、タンク10の上部に貯められた35℃の温水がタンク10から供給路40に供給される。この場合、供給路40に供給される温水の温度(35℃)は給湯設定温度(例えば40℃)よりも低いため、制御装置100は、バーナ加熱装置60をさらに作動させる。これにより、供給路40を通過する例えば30℃の水がバーナ加熱装置60によって給湯設定温度まで加熱され、温水利用箇所に供給される。
一般的に、ヒートポンプ50は、沸き上げ温度が給湯設定温度よりも低い35℃に設定されている場合、沸き上げ温度が給湯設定温度よりも高い45℃に設定されている場合に比べて、効率的に動作可能(即ち高いCOP(Coefficient Of Performance)で動作可能)であることが知られている。S44では、給湯運転を同時に行う場合には、バーナ加熱装置60を補助的に動作させる必要はあるものの、ヒートポンプ50の沸き上げ温度を35℃に設定することで、ヒートポンプ50を効率的に動作させることができる。
S44でヒートポンプ50及び循環ポンプ22の動作が開始されると、制御装置100は、S46に進む。
一方、S45では、制御装置100は、ヒートポンプ50の沸き上げ温度を45℃に設定し、ヒートポンプ50の圧縮機の回転数(即ちモータの回転数)を、4800rpmに設定して、ヒートポンプ50の動作を開始させる。さらに、制御装置100は、循環ポンプ22を回転させる。これにより、タンク10に45℃の水が貯められる。また、この場合も、給湯運転が同時に実行されている場合には、タンク10上部の45℃の温水がタンク10から供給路40に供給される。この場合、タンク10上部の温水の温度(45℃)は給湯設定温度(例えば40℃)よりも高いため、制御装置100は、必要に応じて混合弁42を開き、温水の温度が給湯設定温度になるように調整する。これにより、給湯設定温度の温水が温水利用箇所に供給される。
S45でヒートポンプ50及び循環ポンプ22の動作が開始されると、制御装置100は、S46に進む。
上記の通り、S44では、制御装置100は、ヒートポンプ50の沸き上げ温度を35℃に設定するとともに、圧縮機の回転数を5800rpmに設定してヒートポンプ50を動作させる。一方、S45では、制御装置100は、ヒートポンプ50の沸き上げ温度を45℃に設定するとともに、ヒートポンプ50の圧縮機の回転数を4800rpmに設定してヒートポンプ50を動作させる。ここで、図7を参照しながら、S44、S45の間でヒートポンプ50の圧縮機の回転数を異ならせることについて説明する。
図7は、圧縮機の回転数と、ヒートポンプ50による加熱後の温水の最高温度と、の関係を示している。高いCOPを得るため、冷媒の凝縮温度はなるべく低くしたいが、冷媒によって凝縮温度と加熱後の温水の最高温度との関係は異なる。例えば、45℃の温水を得るための冷媒の凝縮温度は、冷媒がR290である場合には47℃程度であるが、冷媒がR32である場合には42℃程度である。ここでは、類似の図を減らして説明を簡単にするために、凝縮温度と温水の最高温度とが等しい場合を想定して説明する。図7に示すように、圧縮機の回転数が定格(即ち、2400〜4000rpm)の範囲内である場合、ヒートポンプ50は、最高で65℃まで温水を加熱できる。圧縮機の回転数が定格の範囲内にある場合には、ヒートポンプ50の膨張弁の開度や、循環ポンプ22の回転数を調整することにより、ヒートポンプ50による加熱後の温水の温度(即ち沸き上げ温度)を45℃や35℃に調整することが可能である。このとき、冷媒の凝縮温度をなるべく低く、45℃や35℃近傍に調整することにより、高COPを得ることができる。ただし、この場合、後述の圧縮機の回転数を定格の範囲より増大させる場合(即ち、図6のS44、S45の場合)に比べて、加熱可能な温水の流量が少なくなる。即ち、圧縮機の回転数を定格の範囲内とした場合、圧縮機の回転数を定格の範囲より増大させる場合に比べて、加熱能力が低くなる。
これに対し、圧縮機の回転数を、定格の範囲を超える4800rpmに設定した場合(即ち、図6のS45の場合)には、図7に示すように、ヒートポンプ50は、最高で45℃までしか温水を加熱できなくなる。仮に4800rpmで45℃より高い温度まで温水を加熱しようとして凝縮温度を上げると、圧縮機のモータ負荷が過大となり、脱調してしまう。回転数を4800rpmに設定した場合には、圧縮機の回転数を定格の範囲内に固定した場合に比べて、45℃まで加熱可能な温水の流量が多くなる。これは、冷媒循環量が圧縮機の回転数に比例するためであり、加熱能力も回転数に略比例する。即ち、回転数を4800rpmに設定した場合には、圧縮機の回転数を定格の範囲内に固定した場合に比べて、加熱能力が高くなる。
また、圧縮機の回転数を、さらに多い5800pmに設定した場合(即ちS44の場合)には、ヒートポンプ50は、図7に示すように、最高で35℃までしか温水を加熱できなくなる。しかしながら、回転数を5800rpmに設定した場合には、圧縮機の回転数を4800pmに設定した場合に比べて、35℃まで加熱可能な温水の流量がさらに多くなる。即ち、回転数を5800rpmに設定した場合には、回転数を4800rpmに設定した場合に比べて、加熱能力がさらに高くなる。
図8、図9、図10を参照して、圧縮機の回転数を定格の範囲より増大させることについてさらに説明する。図8は、図3と同様に、給湯負荷と電気比率との関係を示している。ただし、図8中のR2Aは、沸き上げ温度を35℃に設定してヒートポンプ50を動作させる際に、圧縮機の回転数を定格の範囲より高くした(5800rpm)場合における、給湯負荷と電気比率との関係を示す。この場合、ヒートポンプ50の加熱能力は7.2kWまで増大する。なお、R1、R2については図3と同様である。
R2Aが示すように、この場合、沸き上げ温度が35℃の場合に、沸き上げ温度が45℃の場合と比べて、ヒートポンプ50の加熱能力が1.2kW増大することになる。そのため、給湯負荷8kW以上で、電気比率を向上させることができる。
図9も、図4と同様に、電気とガスのランニングコストを、沸き上げ温度45℃と35℃のそれぞれの場合について示したものである。EC1、EC2、GC1、GC2については、上記の図4と同様である。図9中のEC2Aは、沸き上げ温度35℃で圧縮機の回転数を増大させた場合(5800rpm)における給湯負荷と電気のランニングコストの関係を表わし、GC2Aは、沸き上げ温度35℃で圧縮機の回転数を増大させた場合(5800rpm)の給湯負荷とガスのランニングコストの関係を表わす。上記の通り、沸き上げ温度35℃の場合に、圧縮機の回転数を増大させたことで、ヒートポンプ50の加熱能力が6kWから7.2kWに増大している。そのため、給湯負荷9kW以上でも、電気のランニングコストを増大させ、ガスのランニングコストの増大を抑制することができる。
図10も、図5と同様に、給湯負荷と、給湯システム2全体のランニングコスト(即ち、電気とガスの合計のランニングコスト)との関係を示すグラフである。C1、C2については、上記の図5と同様である。図10中のC2Aは、沸き上げ温度35℃で圧縮機の回転数を増大させた場合(5800rpm)における給湯負荷と、給湯システム2全体のランニングコストの関係を表わす。この場合も、沸き上げ温度35℃の場合に、圧縮機の回転数を増大させたことで、ヒートポンプ50の加熱能力が6kWから7.2kWに増大している。そのため、給湯負荷9kW以上でも、ヒートポンプ50の負荷は最大ではなく、上昇の余地がある。このため、給湯負荷が9kW以上で、合計ランニングコストを低減することが可能である。
図6のS46では、制御装置100は、サーミスタ24の検出温度(即ち、タンク10の下部から導出される水の温度)が、沸き上げ温度−5℃の温度以上であるか否かを判断する。例えば、沸き上げ温度が45℃の場合、「沸き上げ温度−5℃の温度」は40℃である。S46の時点で、サーミスタ24の検出温度が沸き上げ温度−5℃の温度より低い場合、制御装置100は、S46でNOと判断し、S42に戻る。戻った先のS42では、制御装置100は、この時点の時間帯の沸き上げ温度が35℃であるか否かを再度判断する。その後のS44、S45において、制御装置100は、この時点でヒートポンプ50及び循環ポンプ22が既に動作している場合には、引き続きヒートポンプ50及び循環ポンプ22の動作を継続させる。ただし、制御装置100は、既に動作中のヒートポンプ50の沸き上げ温度及び圧縮機の回転数が、S44、S45に定める値と異なる場合には、S44、S45のそれぞれに適合する沸き上げ温度及び圧縮機の回転数に設定を変更した上で、ヒートポンプ50及び循環ポンプ22の動作を継続させる。従って、例えば、既に動作中のヒートポンプ50の沸き上げ温度が45℃で、回転数が4800rpmである状況で、新たにS44に進んだ場合、制御装置100は、ただちに沸き上げ温度を35℃に変更し、回転数を5800rpmに増加させた上で、ヒートポンプ50の動作を継続する。他の例では、制御装置100は、タンク10内の45℃の温水が一定量以下になることを監視し、一定量以下になった場合に、沸き上げ温度を35℃に変更し、回転数を5800rpmに増加させてもよい。
一方、S46の時点で、サーミスタ24の検出温度が沸き上げ温度−5℃の温度以上である場合、タンク10は既に沸き上げ温度の温水でほぼ満たされている満蓄状態である。その場合、制御装置100は、S46でYESと判断し、S48に進む。S48では、制御装置100は、動作中のヒートポンプ50及び循環ポンプ22を停止させる。その後、制御装置100は、再びS40の監視に戻る。
以上、本実施例の給湯システム2の構成及び動作について説明した。上記の通り、制御装置100は、特定の店舗の過去の7日分の運転履歴に基づいて、24時間を単位とする単位時間に含まれる各時間帯におけるヒートポンプ50の沸き上げ温度を、35℃と45℃とのどちらかに決定する(図2参照)。その際、制御装置100は、仮定沸き上げ量(6kW)を所定量(1.13kW)分上回る量である基準量(7.13kW)を判断基準とする。即ち、特定時間帯使用量が仮定沸き上げ量を上回る場合には、特定の時間帯において給湯に必要な加熱量をヒートポンプ50のみによって賄うことができない可能性が高く、バーナ加熱装置60を補助的に動作させなければならない可能性が高い。その際、仮定沸き上げ量を所定量分上回る基準量以上の給湯使用量を賄う給湯を行う場合には、バーナ加熱装置60による加熱割合が一定割合を超えるため、ヒートポンプ50の沸き上げ温度を35℃に設定し、ヒートポンプ50を効率良く動作させた方が、給湯システム2全体を効率良く動作させることができる。反対に、仮定沸き上げ量を所定量分上回る基準量より少ない給湯使用量を賄う給湯を行う場合には、バーナ加熱装置60による加熱割合が一定割合を超えないため、ヒートポンプ50の沸き上げ温度を45℃に設定して動作させた方が、給湯システム2全体を効率良く動作させることができる。以上の理由により、本実施例では、制御装置100は、仮定沸き上げ量を所定量分上回る量である基準量を、沸き上げ温度を45℃と35℃のどちらに決定するのかの判断基準とする。
そして、制御装置100は、上記の手法によって時間帯毎に決定された沸き上げ温度に従って、ヒートポンプ50を動作させる(図6参照)。即ち、本実施例では、給湯システム2は、過去の7日間の給湯実績に基づいて、各時間帯に適した沸き上げ温度を設定してヒートポンプ50を動作させることができる。また、1日のうちのそれぞれの時間帯において、当該時間帯の間、ヒートポンプ50は、設定された沸き上げ温度(即ち35℃と45℃のどちらか一方)に従って動作し、途中で沸き上げ温度が切り替わることがない。そのため、本実施例の給湯システム2によると、各時間帯の間において、ヒートポンプ50の沸き上げ温度が頻繁に切り替わる事態の発生を抑制することができる。従って、本実施例の給湯システム2によると、タンクに貯められた温水の量に応じてヒートポンプの沸き上げ温度が切り替えられる従来の構成と比較して、ヒートポンプ50を安定して効率的に動作させることができる。
また、本実施例では、制御装置100は、沸き上げ温度を45℃に設定してヒートポンプ50を動作させる場合には、ヒートポンプ50の圧縮機を4800rpmで回転させ(図6のS45)、沸き上げ温度を35℃に設定してヒートポンプ50を動作させる場合には、圧縮機を5800rpmで回転させる(S44)。このように、沸き上げ温度を35℃に設定してヒートポンプ50を動作させる場合、圧縮機の回転数を高く設定するため、沸き上げ温度を45℃に設定した場合と比べて、より多くの温水(即ち35℃の温水)をタンク10に蓄えることができる。即ち、沸き上げ温度を35℃に設定した場合(S45)、45℃に設定した場合(S44)に比べてヒートポンプ50の加熱能力を増大させることができる。そのため、本実施例の給湯システム2によると、沸き上げ温度を35℃に設定してヒートポンプ50を動作させる場合において、ヒートポンプ50による加熱割合を高く(即ちバーナ加熱装置60による加熱割合を低く)することができる。
また、本実施例では、図2のS16〜S19において、制御装置100は、特定時間帯使用量が基準量以上であるか否かに応じて、特定の時間帯における沸き上げ温度を35℃と45℃の一方に決定している。上述の通り、本実施例では、基準量は、沸き上げ温度を45℃に設定してヒートポンプ50を動作させる場合における給湯システム2全体の1時間当たりのランニングコスト(即ち、バーナ加熱装置60も含むランニングコスト)である第1コストと、沸き上げ温度を35℃に設定してヒートポンプ50を動作させる場合における給湯システム2全体の1時間当たりのランニングコストである第2コストと、が一致する均衡使用量である(図5参照)。そのため、本実施例では、給湯システム2は、特定時間帯使用量が均衡使用量(即ち、図5の給湯負荷が7.13kWの場合における給湯使用量)より多い場合(即ち第2コストC2が第1コストC1以下の場合)には沸き上げ温度を35℃に設定し、特定時間帯使用量が均衡使用量以下である場合(即ち第1コストC1が第2コストC2より低い場合)には沸き上げ温度を45℃に設定することになるので、いずれの場合においても、システム全体のランニングコストが最も低くなるように運転することができる。
本実施例と請求項の記載の対応関係を説明しておく。バーナ加熱装置60が「補助熱源機」の一例である。45℃が「第1温度」の一例であり、35℃が「第2温度」の一例である。給湯設定温度が「目標出湯温度」の一例である。4800rpmが「第1の回転数」の一例であり、5800rpmが「第2の回転数」の一例である。
(第2実施例)
第1実施例と異なる点を中心に説明する。本実施例の給湯システム2も、その構成、及び、基本的な動作内容は第1実施例と共通する。ただし、本実施例では、図2のS16で判断の基準となる基準量が、第1実施例とは異なる。
本実施例では、「基準量」は、沸き上げ温度を45℃に設定してヒートポンプ50を動作させる場合における給湯システム2全体の一次エネルギー効率(即ち、バーナ加熱装置60も含む一次エネルギー効率)である第1効率と、沸き上げ温度を35℃に設定してヒートポンプ50を動作させる場合における給湯システム2全体の一次エネルギー効率である第2効率と、が一致する際の給湯使用量である均衡使用量である。
図11を参照して、本実施例の基準量についてさらに詳しく説明する。図11は、給湯負荷と、給湯システム2全体の一次エネルギー効率との関係を示すグラフである。図11中のE1は、沸き上げ温度を45℃に設定してヒートポンプ50を動作させる場合における、給湯負荷と一次エネルギー効率(即ち第1効率)との関係を示す。図11中のE2は、沸き上げ温度を35℃に設定してヒートポンプ50を動作させる場合における、給湯負荷と一次エネルギー効率(即ち第2効率)との関係を示す。図11に示すように、給湯負荷が6.87kWの場合に、第1効率E1と第2効率E2とが一致する。
給湯負荷が6.87kWより低い場合には、第1効率E1の方が第2効率E2よりも高い(即ち、沸き上げ温度を45℃に設定してヒートポンプ50(及びバーナ加熱装置60)を動作させて給湯を行った方が一次エネルギー効率を高くできる)。一方、給湯負荷が6.87kWより低い場合には、第2効率E2の方が第1効率E1よりも高い(即ち、沸き上げ温度を35℃に設定してヒートポンプ50及びバーナ加熱装置60を動作させて給湯を行った方が一次エネルギー効率を高くできる)。
本実施例でも、図11の「給湯負荷」を、給湯流量及び給湯設定温度を利用して、給湯使用量に変換することができる。即ち、6.87kWの給湯負荷が、本実施例における均衡使用量、即ち「基準量」であると言える。
また、本実施例でも、沸き上げ温度を45℃に設定してヒートポンプ50を動作させると仮定した場合に賄うことができる給湯負荷の最大値は6kWである。即ち、「基準量」は、沸き上げ温度を45℃に設定してヒートポンプ50を動作させると仮定した場合における仮定沸き上げ量(即ち6kW)に所定量(即ち0.87kW)を加算した使用量である、と言い換えることもできる。
本実施例でも、図2のS14で特定された特定時間帯使用量が、上記の基準量(即ち6.87kW)以上である場合、制御装置100は、S16でYESと判断し、S18に進む。S16でYESと判断される場合、ヒートポンプ50の沸き上げ温度を35℃に設定した方が給湯システム2全体の一次エネルギー効率を高くすることができることを意味する。一方、S14で特定された特定時間帯使用量が、上記の基準量よりも少ない場合、制御装置100は、S16でNOと判断し、S19に進む。S16でNOと判断される場合、ヒートポンプ50の沸き上げ温度を45℃に設定した方が給湯システム2全体の一次エネルギー効率を高くすることができることを意味する。
そのため、本実施例では、給湯システム2は、特定時間帯使用量が均衡使用量(即ち、図11の6.87kW)より多い場合(即ち第2効率E3が第1効率E1以上の場合)には沸き上げ温度を35℃に設定し、と、特定時間帯使用量が均衡使用量以下である場合(即ち第1効率E1が第2効率E2より高い場合)には沸き上げ温度を45℃に設定することになるので、いずれの場合においても、システム全体の一次エネルギー効率が最良になるように運転することができる。
以上、実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
(変形例1)上記の各実施例では、制御装置100は、特定時間帯使用量が基準値以上である場合(図2のS16でYES)、特定の時間帯における沸き上げ温度を35℃に決定し(S18)、特定時間帯使用量が基準値より少ない場合(S16でNO)、特定の時間帯における沸き上げ温度を45℃に決定する(S19)。これに限られず、制御装置100は、特定時間帯使用量が基準値以上である場合に、給湯設定温度以上の温度であれば、任意の温度を沸き上げ温度として決定してもよい。同様に、制御装置100は、特定時間帯使用量が基準値より少ない場合に、給湯設定温度より低い温度であれば、任意の温度を沸き上げ温度として決定してもよい。
(変形例2)上記の各実施例では、制御装置100は、沸き上げ温度を35℃に設定してヒートポンプ50を動作させる場合、圧縮機の回転数を、沸き上げ温度を45℃に設定する場合(4800rpm)よりも多い5800rpmに設定する(図6のS44)。これに限られず、制御装置100は、沸き上げ温度を35℃に設定してヒートポンプ50を動作させる場合において、圧縮機の回転数を、沸き上げ温度を45℃に設定してヒートポンプ50を動作させる場合の圧縮機の回転数と同じ回転数に設定してもよい。ヒートポンプ50を動作させる際、圧縮機の回転数が同じであっても、沸き上げ温度が35℃の場合、沸き上げ温度が45℃の場合に比べて、高いCOPを実現することができる。
(変形例3)図2のS16で判断の基準となる基準量は、上記の各実施例で説明したものに限られず、沸き上げ温度を45℃に設定してヒートポンプ50を動作させると仮定した場合における仮定沸き上げ量に所定量を加算した使用量であれば、任意の使用量としてもよい。
(変形例4)上記の各実施例では、制御装置100が、時間帯ごとの沸き上げ温度を決定する際に利用される特定時間帯使用量、及び、基準量は、いずれも、給湯負荷(単位はkW)である。これに限られず、制御装置100が、時間帯ごとの沸き上げ温度を決定する際に利用される特定時間帯使用量、及び、基準量が給湯流量(単位はL)であってもよい。その場合、給湯設定温度が一定であればよい。
(変形例5)上記の各実施例では、「基準量」は、ヒートポンプ50の沸き上げ温度を45℃に設定した場合の仮定沸き上げ量を上回る量であるが、「基準量」は、仮定沸き上げ量と等しくてもよい。一般的に言うと、基準量は、仮定沸き上げ量に基づく量であればよい。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。