以下、本発明の洗濯乾燥機の一実施形態である全自動洗濯乾燥機1について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施の形態に係る、全自動洗濯乾燥機1の側面断面図である。図2は、本実施の形態に係る、全自動洗濯乾燥機1の上部の背面斜視図である。
全自動洗濯乾燥機1は、外観を構成する筐体10を備える。筐体10は、上下の面が開放された方形筒状の胴体部11と、胴体部11の上面を覆う上面板12と、胴体部11を支持する脚台13とを含む。上面板12には、洗濯物を投入するための外側投入口14が形成される。外側投入口14は、開閉自在な上蓋15により覆われる。
筐体10内には、外槽20が、防振装置を有する4本の吊棒21により弾性的に吊り下げ支持される。外槽20は、上面が開口するほぼ円筒状の外槽本体22aと、外槽本体22aの上面を覆うことにより、外槽20の上面を構成する外槽カバー22bとを含む。外槽20の上面、即ち外槽カバー22bには、外側投入口14に対応する位置に、洗濯物を投入するための内側投入口22cが形成される。内側投入口22cは、外槽蓋23により開閉可能に覆われる。
外槽20内には、上面が開放されたほぼ円筒状の洗濯脱水槽24が配される。洗濯脱水槽24の内周面には、全周に亘って多数の脱水孔24aが形成される。洗濯脱水槽24の上部には、バランスリング25が設けられる。洗濯脱水槽24の底部には、パルセータ26が配される。なお、洗濯脱水槽24は、本発明の洗濯槽に相当する。
外槽20の外底部には、洗濯脱水槽24およびパルセータ26を駆動するトルクを発生させる駆動ユニット30が配される。駆動ユニット30は、駆動モータ31と、伝達機構部32と、翼軸33と、脱水槽軸34とを含む。翼軸33はパルセータ26に接続され、脱水槽軸34は洗濯脱水槽24に接続される。伝達機構部32は、クラッチ機構を有し、当該クラッチ機構による切替操作により、洗い工程およびすすぎ工程では、駆動モータ31のトルクを翼軸33のみに伝達してパルセータ26のみを回転させ、脱水工程では、駆動モータ31のトルクを翼軸33および脱水槽軸34に伝達してパルセータ26および洗濯脱水槽24を一体的に回転させる。なお、駆動ユニット30は、本発明の駆動部に相当する。
外槽20の外底部には、排水口部20aが形成される。排水口部20aには、排水バルブ40が設けられる。排水バルブ40は、排水ホース41に接続される。排水バルブ40が開放されると、洗濯脱水槽24および外槽20に溜められた水が排水ホース41を通じて機外へ排出される。
筐体10内の後部には、外槽20の上方に乾燥装置50と給水装置60とが配置される。乾燥装置50と給水装置60は、胴体部11の上面後部に配置された固定板16に取り付けられ、上面板12により覆われる。
乾燥装置50は、洗濯脱水槽24内に温風を供給することにより、洗濯脱水槽24内に収容された洗濯物を乾燥させる。乾燥装置50はヒータと送風ファンが配置された循環風路50aを含み、循環風路50aが、吸気ダクト71および排気ダクト72によって外槽20の内部と接続される。吸気ダクト71および排気ダクト72は、フレキシブルなダクトであり、ゴム等の弾性材料で形成され、中間部分に図示しない蛇腹部を有する。ヒータおよび送風ファンの動作により生成した温風が、循環風路50aから排出され、吸気ダクト71を通じて外槽20内に導入される。さらに、外槽20から排出された温風が、排気ダクト72を通じて循環風路50a内に導入される。こうして、循環風路50aと外槽20との間で温風が循環する。
乾燥装置50は、温風の循環による循環乾燥動作と、それに続く、循環する温風の一部を外部へ排出させる排気乾燥動作とを行う。上面板12には、多数の排気孔で構成され、温風が排出される排気口51が設けられる。なお、乾燥装置50は、本発明の温風供給部に相当する。
給水装置60は、外部に露出する給水口61が、水栓から延びる図示しない外部給水ホースに接続される。給水装置60は給水バルブおよび洗剤容器を含み、給水バルブが開放されることにより、水栓からの水道水が洗剤容器内に収容された洗剤とともに外槽20内に供給される。給水装置60は、風呂水ポンプを含んでいてもよい。
全自動洗濯乾燥機1では、各種運転コースの洗濯運転、洗濯乾燥運転または乾燥運転が行われる。洗濯運転は、洗濯のみを行う運転であり、洗い工程、中間脱水工程、すすぎ工程および最終脱水工程が順番に実行される。洗濯乾燥運転は、洗濯から乾燥までを連続的に行う運転であり、最終脱水工程に続いて乾燥工程が実行される。乾燥運転は、乾燥のみを行う運転であり、乾燥工程のみが実行される。
洗い工程およびすすぎ工程では、洗濯脱水槽24内に水が溜められた状態で、パルセータ26が右方向および左方向に回転する。パルセータ26の回転により発生した水流等の作用によって洗濯脱水槽24内の洗濯物が洗われる、あるいは、すすがれる。
中間脱水工程および最終脱水工程では、洗濯脱水槽24およびパルセータ26が一体となって高速回転する。洗濯脱水槽24に発生する遠心力の作用により、洗濯物が脱水される。
乾燥工程では、最初に内気循環乾燥工程が行われ、それに続いて外気導入乾燥工程が行われる。内気循環乾燥工程では、乾燥装置50により循環乾燥動作が行われ、循環風路50aと外槽20との間で温風が循環する。乾燥風の循環により、洗濯脱水槽24内の温度が速やかに上昇する。パルセータ26が回転し、洗濯物が撹拌されつつ、循環する温風により乾燥される。洗濯脱水槽24内の温度上昇が進み、洗濯物から水分が蒸発して温風に水分が多く含まれるようになると、外気導入乾燥工程に切り替えられる。外気導入乾燥工程では、乾燥装置50により排気乾燥動作が行われ、循環風路50aに外気が導入されるとともに、循環風路50aから循環する温風の一部が排気される。洗濯物から蒸発した水分が、効果的に外槽20内から筐体10の外に排出され、外槽20内が除湿されやすくなるため、洗濯物の乾燥が促進される。
次に、パルセータ26の構成にいて詳細に説明する。
図3(a)および(b)は、それぞれ、本実施の形態に係る、第1羽根部200が表面に出現した状態のパルセータ26の斜視図および分解斜視図である。図4(a)および(b)は、それぞれ、本実施の形態に係る、第2羽根部300が表面に出現した状態のパルセータ26の斜視図および分解斜視図である。
パルセータ26は、2つの表面構成部100と、4つの第1羽根部200と、2つの第2羽根部300と、ベース部400と、切替機構部500とを備える。2つの表面構成部100は、パルセータ26の表面を構成する。第1羽根部200は、表面構成部100の表面から突出する突出位置と突出しない非突出位置とに移動可能である。第2羽根部300は、表面構成部100の一部を構成し、平らな状態と山状に隆起する状態とに変形可能である。ベース部400には、その表面である配置面401に2つの表面構成部100が配置されるともに、切替機構部500が装着される。切替機構部500は、摘まみ部540の回動操作に応じて、図3(a)および(b)に示すような、パルセータ26の表面に第1羽根部200が出現する第1形態と、図4(b)および(b)に示すような、パルセータ26の表面に第2羽根部300が出現する第2形態との間で切り替えを行う。
図5(a)は、本実施の形態に係る、上方から見た、2つの表面構成部100の斜視図であり、図5(b)は、本実施の形態に係る、下方から見た、2つの表面構成部100の斜視図である。
2つの表面構成部100は、ポリプロピレン等の樹脂材料により形成され、ほぼ半ドーナツ盤状を有する。各表面構成部100は、第1羽根構成部材110と、第2羽根構成部材120と、第1羽根保持部材130と、第2羽根保持部材140とを含む。表面構成部100の周方向において、第1羽根構成部材110と第2羽根構成部材120は、第1ヒンジ部150により折曲可能に連結され、第1羽根構成部材110と第1羽根保持部材130は、第2ヒンジ部160により折曲可能に連結され、第2羽根構成部材120と第2羽根保持部材140は、第3ヒンジ部170により折曲可能に連結される。
表面構成部100は、その表面が周方向における両端から中央である第1ヒンジ部150の部分に向かって緩やかに上り傾斜し且つ径方向における内側から外側に向かって緩やかに上り傾斜するように構成される。表面構成部100の表面には、全体に亘って多数の通水孔101が形成される。
第1羽根構成部材110と第2羽根構成部材120とにより、第2羽根部300が構成される。即ち、第1羽根構成部材110と第2羽根構成部材120とが第1ヒンジ部150を中心に折れ曲がり第1羽根保持部材130および第2羽根保持部材140に対して傾斜するように立ち上がることにより、図4(a)および(b)のように、表面構成部100に第2羽根部300が形成される。第2羽根構成部材120の裏面には、下方に突出するレバー片121が形成される。
第1羽根保持部材130および第2羽根保持部材140は、第1羽根部200を回動自在に保持する。第1羽根保持部材130には、第1羽根部200に対応する形状を有し、第1羽根部200が出入りする開口部131が設けられる。また、第1羽根保持部材130の裏面には、開口部131における長手方向に延びる一方の縁部側に、開口部131の両側に分かれるように一対の軸受部132が設けられる。軸受部132には軸孔132aが形成される。さらに、第1羽根保持部材130の裏面には、2つの取付ボス133が設けられる。
第2羽根保持部材140には、第1羽根保持部材130と同様、開口部141と軸孔142aを有する軸受部142とが設けられる。また、第2羽根保持部材140には、外周縁部に、下方に突出し周方向に延びるガイドリブ143が設けられる。ガイドリブ143は、表面構成部100と同心の円弧状を有する。さらに、第2羽根保持部材140には、第2羽根構成部材120側と反対側の端部に嵌合部144が設けられる。嵌合部144には、上下2枚の板部材144a、144bによりの周方向に開口する嵌合溝145が形成される。また、嵌合部144の下側の板部材144bの先端部から垂下するようにストッパ部146が設けられる。
図6(a)は、本実施の形態に係る、前方上方から見た第1羽根部200の斜視図であり、図6(b)は、本実施の形態に係る、後方上方から見た第1羽根部200の斜視図である。
4つの第1羽根部200は、ポリプロピレン等の樹脂材料により、裏側が中空となるほぼ三角柱状に形成される。各第1羽根部200は、ほぼ三角形状の2つの側面210と、2つの側面210の間に設けられる第1傾斜面220および第2傾斜面230とを含み、2つの側面210の間のもう一つの一面が開放されている。2つの側面210には、第1傾斜面220と接しない角部に、軸孔241を有する一対の軸取付部240が設けられる。第1傾斜面220は、軸孔241を曲率中心とする曲面に形成される。また、第1傾斜面220は、第1羽根部200の左右方向においてもやや凸湾曲する。第2傾斜面230は、上部231が平坦面に形成され、下部232が軸孔241の曲率中心とする曲面に形成される。
第1羽根部200には、2つの側面210の下端部と第1傾斜面220の下端部とに亘ってフランジ部250が形成される。フランジ部250における第1傾斜面220側の端部には、下方に突出し第1羽根部200の左右方向に延びるリブ状の昇降部251が形成される。
4つの第1羽根部200が表面構成部100に取り付けられる際には、第1羽根部200の一対の軸取付部240の軸孔241が表面構成部100一対の軸受部132、142の軸孔132a、142aに合されて、これら軸孔241、132a、142aに図示しないシャフトが通される。第1羽根部200は、シャフトを中心に回動可能となり、図3(a)および(b)のように、表面構成部100の表面から突出する突出位置と、図4(a)および(b)のように、表面構成部100の表面から突出しない非突出位置との間で移動可能となる。第1羽根部200が非突出位置にあるとき、第2傾斜面230は、表面構成部100の表面とほぼ面一となり、表面の一部となる。
図7は、本実施の形態に係る、上方から見たベース部400と切替機構部500の分解斜視図である。図8は、本実施の形態に係る、下方から見たベース部400と切替機構部500の分解斜視図である。
ベース部400は、ポリプロピレン等の樹脂材料により形成され、ほぼ円盤状を有する。ベース部400の表面は、2つの表面構成部100が配置される配置面401となる。配置面401の外周縁部には、2つの外周壁部402が設けられる。各外周壁部402は、各表面構成部100の形状に対応するよう、両端から中央に向かって徐々に高くなる形状を有する。配置面401には、切替機構部500を装着するための装着凹部403が設けられる。装着凹部403は、配置面401の中央部において円形に凹むハブ収容部410と、ハブ収容部410に繋がる2つの第1カム収容部420および2つの第2カム収容部430とで構成される。2つの第1カム収容部420は、扇状に凹み、ハブ収容部410を挟んで対峙する。2つの第2カム収容部430は、扇状に凹み、2つの第1カム収容部420が並ぶ方向に直交する方向において、ハブ収容部410を挟んで対峙する。
配置面401は、一方側の第1カム収容部420と第2カム収容部430との間と、他方側の第1カム収容部420と第2カム収容部430との間に、2つの表面構成部100が配置されない非配置領域401aを含む。第1カム収容部420および第2カム収容部430は、周方向の両側面のうち、非配置領域401a側の側面が開放され、他の側面が壁部によって閉鎖される。非配置領域401aの下方には、第1カム収容部420と第2カム収容部430とを繋ぐ空間が形成される。また、配置面401には、各第1カム収容部420の外側に、それぞれ、ガイド溝404が形成される。ガイド溝404は、表面構成部100のガイドリブ143と同じ曲率の円弧状を有し、ガイドリブ143よりも長い。
ハブ収容部410の底面には、中央部に、上方に突出する回転軸部411が設けられる。回転軸部411には、3つの取付ボス412が設けられる。各取付ボス412には、取付穴412aが形成される。また、ハブ収容部410の底面には、外周縁部に、環状の摺動リブ413が設けられる。第1カム収容部420および第2カム収容部430の底面には、内側と外側とにそれぞれ、ベース部400と同心の円弧状を有する摺動リブ421、431が設けられる。
ベース部400には、配置面401および装着凹部403の底面の全体に亘り、表裏を貫通する多数の通水孔405が形成される。
ベース部400の裏面には、中央部に、円筒状のボス装着部406が形成される。ボス装着部406には、金属製の取付ボス440が装着される。取付ボス440には、翼軸33が取り付けられる。また、ベース部400の裏面には、中央側から外周側へと放射状に延びる複数の裏羽根407が設けられる。図1には図示されていないが、洗濯脱水槽24の底部には、裏羽根407が収容されるポンプ室が設けられ、洗濯脱水槽24の内壁面に沿うよう上下に延びる循環水路がポンプ室に繋がる。循環水路の先端部には吐出口が設けられる。裏羽根407の回転により、ポンプ室内の水が、循環水路へと送られ、吐出口から洗濯脱水槽24の内側に向かって放出される。これにより、洗濯脱水槽24内の上側に位置する洗濯物に循環水が掛けられる。このとき、ポンプ室内には、表面構成部100の通水孔101およびベース部400の通水孔405を通って、水が供給される。なお、吐出口にリントフィルタが装着されている場合がある。この場合、循環水に含まれるリントがリントフィルタに捕集される。
切替機構部500は、切替部510と、ストッパ520と、キャップ530とを備える。切替部510、ストッパ520およびキャップ530は、ポリプロピレン等の樹脂材料により形成される。
切替部510は、摘まみ部540と、ハブ部550と、2つの第1カム部560と、2つの第2カム部570とが一体に形成された構成を有する。摘まみ部540は、ほぼ円筒状を有し、中央部が開口する。摘まみ部540の開口部541は、上開口部542と、上開口部542より僅かに内径の小さな下開口部543とを含み、上開口部542と下開口部543との境界に段差面544を有する。摘まみ部540の外周面545には、ユーザが摘まみ部540を掴みやすいよう、複数の楕円形の凹部546が周方向に並ぶように形成される。
ハブ部550は、摘まみ部540の下端部に設けられた円環状のフランジ部551と、フランジ部551の外周縁から立ち上がる円環状の外周壁部552とを含む。フランジ部551には、表裏を貫通する複数の通水孔553が形成される。外周壁部552に、2つの第1カム部560と、2つの第2カム部570とが連結される。
2つの第1カム部560は、ハブ部550を挟んで対峙し、互いが同じ回転方向を向く。2つの第2カム部570は、2つの第1カム部560が並ぶ方向に直交する方向において、ハブ部550を挟んで対峙し、互いが同じ回転方向を向く。
各第1カム部560は、傾斜面561と、傾斜面561の頂上から水平方向に延びる平坦な支え面562と、支え面562に対して傾斜面561と反対側に設けられ、垂直に立ち上がる押圧面563とを含む。各第2カム部570は、傾斜面571と、傾斜面571の頂上から水平方向に延びる平坦な支え面572と、支え面572に対して傾斜面571と反対側に設けられ、水平方向に張出す張出部573とを含む。張出部573には、表裏を貫通する複数の通水孔574が形成される。なお、傾斜面561、571は、本発明の第1作用部に相当し、押圧面563は、本発明の第2作用部に相当する。
ストッパ520およびキャップ530は、ほぼ円盤状に形成される。ストッパ520およびキャップ530の外径は、摘まみ部540の上開口部542の内径とほぼ等しくされる。ストッパ520には、3つのネジ孔521が形成される。
切替部510とベース部400との間に、ロック機構部600が設けられる。ロック機構部600は、第1形態および第2形態において、切替部510を、動かないようロックするためのロック部610と、ロック部610による切替部510のロックを解除する操作を行うための解除操作部620とを備える。
ロック部610は、ベース部400のハブ収容部410の底面に、周方向に並ぶように設けられた第1係合突起部611および第2係合突起部612と、切替部510のハブ部550の裏面に、下方に突出するように設けられた係合リブ613とを含む。第1係合突起部611および第2係合突起部612は、それらの上部が山形に形成される。第1係合突起部611と第2係合突起部612との間には、係合リブ613が嵌り込むことができる係合溝部614が設けられる。ハブ収容部410の底面には、第1係合突起部611および第2係合突起部612の両側に円弧状のスリット部615が形成される。これにより、ハブ収容部410の底面における、2つのスリット部615の間の領域が、下方に撓むことが可能となり、第1係合突起部611および第2係合突起部612が下方に移動可能となる。
解除操作部620は、切替部510のハブ部550におけるフランジ部551に、周方向に並ぶように設けられる第1解除ボタン621および第2解除ボタン622を含む。第1解除ボタン621および第2解除ボタン622は、それらの裏面に突起部621a、622aを有する。第1解除ボタン621と第2解除ボタン622との間に係合リブ613が位置する。フランジ部551には、第1解除ボタン621および第2解除ボタン622を囲むようにU字状のスリット部623が形成される。これにより、フランジ部551においてスリット部623に囲まれた領域が、下方に撓むことが可能となり、第1解除ボタン621および第2解除ボタン622が下方に移動可能となる。
切替機構部500が、ベース部400に取り付けられる際には、まず、切替部510が、上方から装着凹部403内に収容される。即ち、摘まみ部540およびハブ部550がハブ収容部410に収容され、2つの第1カム部560が2つの第1カム収容部420に収容され、2つの第2カム部570が2つの第2カム収容部430に収容される。摘まみ部540の開口部541に回転軸部411が挿入され、下開口部543の内周面が回転軸部411の外周面と対向する。次に、回転軸部411の上端部に、上方からストッパ520が取り付けられる。このとき、ストッパ520のネジ孔521と取付ボス412の取付穴412aとが一致する。図示しないネジがネジ孔521を通されて取付穴412aに止められることにより、ストッパ520が回転軸部411に固定される。ストッパ520の外周部が、摘まみ部540の外周縁部が開口部541の段差面544の上方に重なることで、切替部510の上方への動きが規制され、切替部510が上方に抜けなくなる。最後に、摘まみ部540の開口部541にキャップ530が取り付けられ、開口部541がキャップ530で覆われる。
切替部510は、ベース部400に対して回動可能となる。切替部510の回動に伴い、各第1カム部560が各第1カム収容部420内を移動し、各第2カム部570が各第2カム収容部430内を移動する。切替部510が回動するとき、ハブ部550の裏面がハブ収容部410の摺動リブ413上を摺動する。また、第1カム部560の裏面が第1カム収容部420の摺動リブ421上を摺動し、第2カム部570の裏面が第2カム収容部430の摺動リブ431上を摺動する。これにより、切替部510とベース部400との間の摺動抵抗が小さくなるので、切替部510がベース部400に対してスムーズに回転する。なお、切替部510における摺動リブ413、421、431との摺動面に、ステンレスなど摩擦係数が小さな材料からなる摺動板が取り付けられてもよい。
切替機構部500が装着されたベース部400の配置面401に、2つの表面構成部100が取り付けられる。このとき、各表面構成部100には、4つの第1羽根部200が取り付けられている。配置面401には、各表面構成部100の第1羽根保持部材130の2つの取付ボス133に対応する位置に2つの取付穴408が設けられており、各取付ボス133が各取付穴408に図示しないネジで取り付けられることにより、第1羽根保持部材130が配置面401に固定される。また、各表面構成部100の第2羽根保持部材140では、嵌合部144の嵌合溝145が、第1カム収容部420における非配置領域401a側の縁部420aに嵌合し(図10参照)、ガイドリブ143が、配置面401の各ガイド溝404に収容される。こうして、各第2羽根保持部材140は、配置面401から上方向に外れず、ガイドリブ143がガイド溝404内を案内されることにより、配置面401に沿って周方向に移動可能となる。このようにして、パルセータ26が完成する。
ユーザは、摘まみ部540を回動操作することにより、切替部510を、ベース部400に対し、ニュートラル位置を挟んで第1切替え位置と第2切替え位置との間で回動させることができる。ニュートラル位置では、4つの第1羽根部200および2つの第2羽根部300の何れもが、パルセータ26の表面に出現しない。第1切替え位置では、4つの第1羽根部200がパルセータ26の表面に出現し、第2切替え位置では、2つの第2羽根部300がパルセータ26の表面に出現する。
図9(a)は、本実施の形態に係る、切替部510をニュートラル位置から第1切替え位置に回動させるときの操作について説明するための図であり、図9(b)は、本実施の形態に係る、切替部510をニュートラル位置から第2切替え位置に回動させるときの操作について説明するための図である。
切替部510がニュートラル位置にあるとき、図9(a)および(b)に示すように、係合リブ613が係合溝部614に嵌り込んだ状態にあり、切替部510は、左右方向に回動させることができない。
切替部510をニュートラル位置から第1切替え位置に回動させる場合、図9(a)に示すように、ユーザは、第1解除ボタン621を押し下げる。第1係合突起部611が第1解除ボタン621の突起部621aに押され、第1係合突起部611と第2係合突起部612とが下方へ移動し、係合リブ613が係合溝部614から離脱する。この状態で、ユーザが、摘まみ部540を、上方から見て右方向に回動させると、切替部510が右方向に回動し、係合リブ613が第1係合突起部611の山形の上部に当接して、それを乗り越える。係合リブ613が第1係合突起部611を超えた位置まで移動すると、切替部510が第1切替え位置に到達する。係合リブ613は、第1係合突起部611の下部の側面と係合する。これにより、切替部510は、ロックされた状態となり、ニュートラル位置に戻る方向に動かなくなる。なお、切替部510をニュートラル位置に戻す場合、ユーザは、第2解除ボタン622を押し下げ、第1係合突起部611を下方へ移動させることで、係合リブ613と第1係合突起部611との係合を解除させることができ、ニュートラル位置へ向けて、切替部510を回動させることができる。
同様に、切替部510をニュートラル位置から第2切替え位置に回動させる場合、図9(b)に示すように、ユーザは、第2解除ボタン622を押し下げる。第2係合突起部612が第2解除ボタン622の突起部622aに押され、第2係合突起部612と第1係合突起部611とが下方へ移動し、係合リブ613が係合溝部614から離脱する。この状態で、ユーザが、摘まみ部540を、上方から見て左方向に回動させると、切替部510が左方向に回動し、係合リブ613が第2係合突起部612の山形の上部に当接して、それを乗り越える。係合リブ613が第2係合突起部612を超えた位置まで移動すると、切替部510が第2切替え位置に到達する。係合リブ613は、第2係合突起部612の下部の側面と係合する。これにより、切替部510は、ロックされた状態となり、ニュートラル位置に戻る方向に動かなくなる。なお、切替部510をニュートラル位置に戻す場合、ユーザは、第1解除ボタン621を押し下げ、第2係合突起部612を下方へ移動させることで、係合リブ613と第2係合突起部612との係合を解除させることができ、ニュートラル位置へ向けて、切替部510を回動させることができる。
次に、第1羽根部200がパルセータ26の表面に出現する第1形態と第2羽根部300がパルセータ26の表面に出現する第2形態とに切り替えられるときの切替機構部500の動作について説明する。
図10は、本実施の形態に係る、第1羽根部200がパルセータ26の表面に出現した状態のパルセータ26の要部の断面図である。図11は、本実施の形態に係る、第2羽根部300がパルセータ26の表面に出現した状態のパルセータ26の要部の断面図である。
切替部510がニュートラル位置から第1切替え位置へ回動すると、図3(b)に示すように、各第1カム収容部420内において、各第1カム部560が開放された側面の近傍に移動し、各第2カム収容部430内において、各第2カム部570が閉鎖された側面の近傍に移動する。図10に示すように、第1カム収容部420内において、実線矢印のように、第1カム部560が、開放された側面側へ移動し、第1羽根部200を押すと、破線矢印に示すように、第1羽根部200の昇降部251が第1カム部560の傾斜面561を登り、これに伴って、第1羽根部200が上方に回動し、一点鎖線に示すように、第1羽根部200が表面構成部100の表面から突出する。切替部510が第1切替え位置に到達すると、昇降部251が傾斜面561を登り切って支え面562に到達する。これにより、第1羽根部200は、突出位置に達し、表面構成部100の表面に対して最も突出した状態となる。この状態になると、第1羽根部200のフランジ部250が表面構成部100の裏面に当り、これ以上の第1羽根部200の上方への回動が止められる。また、昇降部251が、支え面562によって、上方、即ち突出方向に支えられる。これにより、下方に押されても、第1羽根部200が引っ込んでしまうことが防止される。
切替部510が第1切替え位置に到達すると、第1カム部560は、開放された側面に位置する表面構成部100のストッパ部146に当接するため、切替部510は、これ以上移動しない。上述のように、切替部510は、ロック部610によりロックされるため、ニュートラル位置側へも移動しない。
同様に、第2カム収容部430においても、第2カム部570が閉鎖された側面側へ移動して、昇降部251が第2カム部570の傾斜面571を登り支え面572に到達することで、第1羽根部200が表面構成部100の表面から突出する。
一方、切替部510がニュートラル位置から第2切替え位置へ回動すると、図4(b)に示すように、各第1カム収容部420内において、各第1カム部560が閉鎖された側面の近傍に移動し、第2カム収容部430内において、各第2カム部570が開放された側面を少し超えた位置まで移動する。図11に示すように、第1カム収容部420内において、実線矢印のように、第1カム部560が、閉鎖された側面側へ移動すると、第1カム部560の押圧面563が、第2羽根構成部材120のレバー片121に当接し、破線矢印のように、レバー片121を押す。第2羽根構成部材120が第2羽根保持部材140とともにレバー片121が押された方向へ移動し、第1羽根構成部材110と第2羽根構成部材120とが第1ヒンジ部150を中心に折れ曲がる。これにより、表面構成部100に第2羽根部300が形成される。
切替部510が第2切替え位置に到達すると、第1カム部560は、閉鎖された側面の壁部420bに当接するため、切替部510は、これ以上移動しない。上述のように、切替部510は、ロック部610によりロックされるため、ニュートラル位置側へも移動しない。
なお、各第2カム収容部430内において、各第2カム部570は、支え面572および張出部573が非配置領域401aの下側に入り込む。これにより、非配置領域401aが支え面572および張出部573により下方から支えられる。
ユーザは、洗濯運転を行う場合に、摘まみ部540を回動操作し、図3(a)のように、パルセータ26の形態を第1形態に切り替え、4つの第1羽根部200をパルセータ26の表面に出現させる。洗濯運転において、第1形態のパルセータ26により、衣類の洗いおよびすすぎが行われる。
第1羽根部200は、パルセータ26の周方向に面する両側面である第1傾斜面220および第2傾斜面230の傾斜が、第2羽根部300における、パルセータ26の周方向に面する両側面である第1羽根構成部材110および第2羽根構成部材120の傾斜よりも急嵯である。よって、第1羽根部200は、第2羽根部300に比べて、洗濯脱水槽24内の水をパルセータ26の回転方向に強く押すことができるので、水流を発生させる作用に優れ、衣類の洗濯に向く。
よって、第1形態のパルセータ26により、良好な水流を発生させて洗濯物の洗いおよびすすぎを行うことで、良好な洗浄性能を確保できる。
ユーザは、乾燥運転を行う場合に、摘まみ部540を回動操作し、図4(a)のように、パルセータ26の形態を第2形態に切り替え、2つの第2羽根部300をパルセータ26の表面に出現させる。乾燥運転において、第2形態のパルセータ26により、衣類の乾燥が行われる。
第2羽根部300は、第1羽根構成部材110および第2羽根構成部材120の傾斜が、第1羽根部200の第1傾斜面220および第2傾斜面230の傾斜よりも緩やかである。よって、第2羽根部300は、第1羽根部200に比べて、パルセータ26を回転させたときに衣類が傾斜面、即ち第1羽根構成部材110および第2羽根構成部材120を上昇しやすいので、洗濯物を跳ね上げる作用に優れ、衣類の乾燥に向く。
よって、第2形態のパルセータ26により衣類の乾燥を行うことで、衣類が良好に跳ね上げられて拡がりやすくなり、拡がった衣類に温風が当たりやすくなるので、良好な乾燥性能を確保できる。
特に、パルセータ26は、表面構成部100の表面が、第2羽根部300に向かって周方向に緩やかに上り傾斜する構成であるため、パルセータ26が回転したときに、より長い傾斜スロープで衣類を上昇させることができる。よって、パルセータ26の回転によって、衣類が一層、跳ね上がりやすい。
なお、洗濯乾燥運転を行う場合、ユーザは、衣類の種類や汚れ具合に応じて、パルセータ26の形態を、第1形態または第2形態に切り替えるとよい。あるいは、ユーザは、運転開始当初は第1形態とし、乾燥工程に入る前に運転を一時中断して第2形態に切り替えることもできる。この場合、全自動洗濯乾燥機1が、乾燥工程に入る前に自動で運転を一時中断し、報知を行うような構成とされてもよい。
<実施の形態の効果>
以上、本実施の形態によれば、パルセータ26の形態を、パルセータ26の表面に衣類の洗濯に向く第1羽根部200が出現する第1形態と、パルセータ26の表面に衣類の乾燥に向く第2羽根部300が出現する第2形態との間で切り替えることができるので、良好な洗浄性能と乾燥性能とを確保することができる。
また、本実施の形態によれば、切替機構部500が、第1切替え位置と第2切替え位置との間で回動可能な切替部510を含み、切替部510の第1カム部560が、切替部510が第1切替え位置へ移動したときに第1羽根部200に作用し、第1羽根部200をパルセータ26の表面に出現させる傾斜面561と、切替部510が第2の切替え位置へ移動したときに第2羽根部300に作用し、第2羽根部300をパルセータ26の表面に出現させる押圧面563とを有するような構成とされているので、パルセータ26の形態が第1形態と第2形態との間で切り替えられる構成を、容易に実現することができる。
さらに、本実施の形態によれば、パルセータ26の表面を構成する表面構成部100を備え、第1羽根部200は、表面構成部100の表面から突出する突出位置と突出しない非突出位置とに移動可能であり、第2羽根部300は、表面構成部100の一部を構成し、平らな状態と山状に隆起する状態とに変形可能であり、切替機構部500は、第1カム部560の傾斜面561が第1羽根部200を突出位置に移動させ、第1カム部560の押圧面563が第2羽根部300を隆起する状態に変形させるような構成とされているので、切替部510を第1切替え位置に移動させることで、第1羽根部200を突出位置に移動させてパルセータ26の表面に出現させることができ、切替部510を第2切替え位置に移動させることで、第2羽根部300を隆起する状態に変形させてパルセータ26の表面に出現させることができる。
さらに、本実施の形態によれば、ロック部610によって、第1羽根部200および第2羽根部300が引っ込む方向に回動しないよう、切替部510をロックすることができるので、洗濯時に衣類や水に押されて第1羽根部200が不所望に引っ込んだり、乾燥時に衣類に押されて第2羽根部300が不所望に引っ込んだりすることを防止できる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態等によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
たとえば、パルセータ26に含まれる第1羽根部200および第2羽根部300の個数および形状は、上記実施の形態に示されたものでなくともよく、適宜、変更することができる。
また、上記実施の形態では、第1羽根部200は、表面構成部100の表面から突出する突出位置と突出しない非突出位置とに移動可能な構成とされ、第2羽根部300は、平らな状態と山状に隆起する状態とに変形可能な構成とされた。しかしながら、第1羽根部200が、平らな状態と山状に隆起する状態とに変形可能な構成とされてもよく、第2羽根部300が突出位置と非突出位置とに移動可能な構成とされてもよい。あるいは、第1羽根部200と第2羽根部300の双方が、突出位置と非突出位置とに移動可能な構成とされてもよく、あるいは、平らな状態と山状に隆起する状態とに変形可能な構成とされてもよい。
さらに、上記実施の形態では、手動操作部である摘まみ部540を回動操作させることにより、切替部510を手動で回動させる構成とされた。しかしながら、これに限らず、モータ等の駆動部により、切替部510を自動で回動させるような構成が採られてもよい。
さらに、上記実施の形態では、切替部510を回動させる位置の一つとして、ニュートラル位置が設けられたが、ニュートラル位置が設けられなくてもよい。この場合、切替部510は、ニュートラル位置を経由することなく、第1切替え位置と第2切替え位置との間を回動する。
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。