JP2019076555A - ドラム式洗濯機 - Google Patents

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Abstract

【課題】ドラムと回転体とが相反する回転方向に回転可能な構成を採る場合に、サイズ増加やコスト増加を抑制でき得るドラム式洗濯機を提供する。【解決手段】ドラム式洗濯機は、筐体内に配置された外槽20と、外槽20内に配置され、水平方向に対して傾く傾斜軸を中心に回転可能なドラム22と、ドラム22の後部に配置され、表面に洗濯物と接触する突状部24aを有する回転翼24と、ドラム22と回転翼24とを回転させるための駆動モータ100と、ドラム22と回転翼24とが相反する回転方向に回転するよう、駆動モータ100の回転をドラム22と回転翼24とに伝達させる伝達機構部Tと、を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、ドラム式洗濯機に関する。かかるドラム式洗濯機は、洗濯から乾燥まで連続的に行うものであっても良いし、洗濯は行うが乾燥は行わないものであっても良い。
従来、ドラム式洗濯機は、底部に水を溜めた外槽内で横軸型のドラムを回転させ、ドラム内に設けたバッフルにより洗濯物を持ち上げては落下させ、洗濯物をドラムの内周面に叩き付けることにより、洗濯物を洗濯する。
このように、バッフルにより洗濯物が撹拌される構成では、洗濯物同士が絡み合ったり擦れ合ったりしにくい。このため、ドラム式洗濯機は、洗濯脱水槽内でパルセータを回転させて洗濯物を洗濯する全自動洗濯機に比べ、洗濯物に作用する機械力が小さくなりやすく、洗浄性能が低くなりやすい。
そこで、ドラム式洗濯機において、ドラムの端部に、表面に突状部を有する回転体を設け、洗いやすすぎ時に、ドラムと回転体とを相反する回転方向へ回転させる構成が採られ得る。このようなドラムと回転体の相反する回転方向への回転により、洗濯物に捻じれが生じやすくなることで、洗濯物に絞り洗い効果が付与され、洗濯物の洗浄性能が向上し得る。
ドラムと回転体とを相反する回転方向へ回転させるための駆動部は、たとえば、ドラム用の駆動モータと回転体用の駆動モータとを備え、ドラム用の駆動モータの回転をドラムの回転軸に伝達してドラムを回転させ、回転体用の駆動モータの回転を回転体の回転軸に伝達して回転体を回転させる構成とすることができる(特許文献1参照)。
特開平03−104684号公報
しかしながら、上記のようにドラムと回転体とを別個の駆動モータで回転させる構成が採られた場合には、2つの分の駆動モータの配置スペースが必要となり、機器本体のサイズが増加しやすい。また、2つの分の駆動モータのコストがかかることで、製品コストの増加につながりやすい。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、ドラムと回転体とが相反する回転方向に回転可能な構成を採る場合に、サイズ増加やコスト増加を抑制でき得るドラム式洗濯機を提供することを目的とする。
本発明の主たる態様に係るドラム式洗濯機は、筐体内に配置された外槽と、前記外槽内に配置され、水平軸または水平方向に対して傾く傾斜軸を中心に回転可能なドラムと、前記ドラムの後部に配置され、表面に洗濯物と接触する突状部を有する回転体と、前記ドラムと前記回転体とを回転させるための駆動モータと、前記ドラムと前記回転体とが相反する回転方向に回転するよう、前記駆動モータの回転を前記ドラムと前記回転体とに伝達させる伝達機構部と、を備える。
上記の構成によれば、伝達機構部により、ドラムと回転体とが相反する回転方向に回転するよう、駆動モータの回転をドラムと回転体とに伝達させることができるので、ドラムと回転翼との回転駆動のために一つの駆動モータが設けられればよい。これにより、2つの分の駆動モータの配置スペースが不要であり、また、2つの分の駆動モータのコストがかからず、サイズ増加およびコスト増加を抑制できる。
本態様に係るドラム式洗濯機において、前記伝達機構部は、前記回転体に固定される第1回転軸と、前記ドラムに固定される第2回転軸と、太陽歯車と、当該太陽歯車を囲む環状の内歯車と、前記太陽歯車および前記内歯車に噛み合う複数の遊星歯車と、これら遊星歯車を回転可能に保持する遊星キャリアと、を含む遊星歯車機構と、を備え、前記遊星歯車機構は、前記遊星キャリアおよび前記内歯車のうち一方が出力部となり他方が固定部となり、前記太陽歯車が前記第1回転軸に接続され、前記出力部が前記第2回転軸に接続され、前記固定部が回転しないよう固定された状態で前記太陽歯車が回転すると、前記遊星歯車を介して前記出力部が前記太陽歯車と反対方向に回転するような構成が採られ得る。
たとえば、前記内歯車が前記出力部とされる場合、前記遊星歯車は、前記太陽歯車および前記内歯車に噛み合う1つの歯車により構成され得る。また、たとえば、前記遊星キャリアが前記出力部とされる場合、前記遊星歯車は、互いに相反する方向に回転し、前記太陽歯車および前記内歯車に噛み合う2つの歯車により構成され得る。
上記の構成によれば、ドラムと回転体とを相反する回転方向に回転させるための伝達機構部を、遊星歯車機構を用いて実現することができる。
上記の構成とされた場合、前記固定部が回転しないよう固定されることにより、前記ドラムと前記回転体とが相反する回転方向に回転する第1の形態と、前記固定部が前記太陽歯車と一体的に回転することにより、前記ドラムと前記回転体とが一体的に回転する第2の形態との間で、前記駆動モータによる駆動形態を切り替えるクラッチ機構部と、前記駆動モータおよび前記クラッチ機構部の動作を制御する制御部と、をさらに備えるような構成が採られ得る。
このような構成とされれば、クラッチ機構部による切替えにより、ドラム式洗濯機に、ドラムと回転体とが相反する回転方向に回転する動作のみならず、ドラムと回転体とが一体的に回転する動作を行わせることができる。
さらに、上記の構成とされた場合、前記制御部は、洗い工程および/またはすすぎ工程において、前記第1の形態で前記駆動モータを回転させ、洗濯物がタンブリングするように前記ドラムが回転し且つ前記回転体が前記ドラムと反対方向に回転する第1の運転を行い、前記第1の運転中に前記回転体に掛かる負荷の大きさが所定の大きさを超えると、前記第1の形態から前記第2の形態に切り替えて前記駆動モータを回転させ、洗濯物がタンブリングするように前記ドラムが回転し且つ前記回転体が前記ドラムと一体となって回転する第2の運転を行うような構成とされ得る。
このような構成とされれば、ドラムと回転体とを相反する回転方向に回転させる第1の運転では、洗濯物の捻じれによる絞り洗い効果が期待でき、洗浄性能の向上が期待できる。その反面、第1の運転では、洗濯物の布絡みが生じやすくなるが、第1の運転において回転体に大きな負荷が掛かった場合には、ドラムと回転体とを一体的に回転させる第2の運転に切り替えられるので、駆動モータに大きな負荷が生じることが抑制され、駆動モータの温度上昇やロックが生じにくくなる。
さらに、上記の構成とされた場合、前記制御部は、洗い工程および/またはすすぎ工程において、前記第1の形態で前記駆動モータを回転させ、洗濯物がタンブリングするように前記ドラムが回転し且つ前記回転体が前記ドラムと反対方向に回転する第1の運転を行った後、前記第1の形態から前記第2の形態に切り替えて前記駆動モータを回転させ、洗濯物がタンブリングするように前記ドラムが回転し且つ前記回転体が前記ドラムと一体となって回転する第2の運転を行うような構成とされ得る。
このような構成とされれば、第1の運転では、洗濯物の捻じれによる絞り洗浄効果が期待される反面、洗濯物の布絡みが生じやすくなるが、第1の運転に続いて行われる第2の運転によって洗濯物が捻じれなく動かされることで、布絡みが解消されやすくなる。よって、布絡み等に起因する駆動モータの温度上昇やロックを抑えつつ、絞り洗い効果を得ることが可能となる。
さらに、上記の構成とされた場合、前記制御部は、前記ドラム内の洗濯物の負荷量が所定量以上である場合には、前記第1の運転を行った後に前記第2の運転を行い、前記ドラム内の洗濯物の負荷量が所定量未満である場合には、前記第2の運転を行わずに前記第1の運転のみを行うような構成とされ得る。
このような構成とされれば、洗濯物の負荷量が少なく、布絡み等に起因する駆動モータの温度上昇やロック生じにくい場合には、第1の運転のみを行うことで、洗濯物の絞り洗い効果を大いに発揮させることが可能となる。
本発明によれば、ドラムと回転体とが相反する回転方向に回転可能な構成を採る場合に、サイズ増加やコスト増加を抑制でき得るドラム式洗濯機を提供することができる。
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明によりさらに明らかとなろう。ただし、以下の実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
図1は、実施の形態に係る、ドラム式洗濯機の構成を示す側面断面図である。 図2は、実施の形態に係る、駆動部の構成を示す断面図である。 図3は、実施の形態に係る、駆動部の構成を示す断面図である。 図4は、実施の形態に係る、駆動モータのロータの構成を示す、ロータの正面図である。 図5は、実施の形態に係る、遊星歯車機構の構成を示す図である。 図6は、実施の形態に係る、軸受ユニットの後部の拡大斜視図である。 図7(a)、(b)および(c)は、実施の形態に係る、クラッチ体の構成を示す図である。 図8は、実施の形態に係る、ドラム式洗濯機の構成を示すブロック図である。 図9は、実施の形態に係る、洗い工程およびすすぎ工程での制御部による制御動作を示すフローチャートである。 図10は、変更例1に係る、洗い工程およびすすぎ工程での制御部による制御動作を示すフローチャートである。 図11は、変更例2に係る、駆動部の構成を示す断面図である。 図12は、変更例2に係る、遊星歯車機構の構成を示す図である。
以下、本発明のドラム式洗濯機の一実施形態である乾燥機能を有さないドラム式洗濯機について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施の形態に係る、ドラム式洗濯機1の構成を示す側面断面図である。
ドラム式洗濯機1は、外観を構成する筐体10を備える。筐体10の前面10aは、中央部から上部にかけて傾斜し、傾斜した面に洗濯物の投入口11が形成される。投入口11は、開閉自在なドア12により覆われる。
筐体10内には、外槽20が、複数のダンパー21により弾性的に支持される。外槽20内には、ドラム22が回転自在に配される。外槽20およびドラム22は、水平方向に対し、後面側が低くなるよう傾斜する。これにより、ドラム22は、水平方向に対して傾斜した傾斜軸を中心に回転する。外槽20およびドラム22の傾斜角度は、10〜20度程度とされ得る。外槽20の前面の開口部20aおよびドラム22の前面の開口部22aは、投入口11に対向し、投入口11ともにドア12により閉鎖される。ドラム22の内周壁には、多数の脱水孔22bが形成される。さらに、ドラム22の内周面には、3つのバッフル23が周方向にほぼ等しい間隔で設けられる。
ドラム22の後部には、回転翼24が回転自在に配される。回転翼24は、ほぼ円盤形状を有する。回転翼24の表面には、中央部から放射状に延びる複数の突状部24aが形成される。回転翼24は、ドラム22と同軸に回転する。なお、回転翼24は、本発明の回転体に相当する。
外槽20の後方には、ドラム22および回転翼24を駆動するトルクを発生させる駆動部30が配される。駆動部30は、洗い工程およびすすぎ工程時には、ドラム22および回転翼24を相反する回転方向に異なる回転速度で回転させる。具体的には、駆動部30は、ドラム22を、ドラム22内の洗濯物に加わる遠心力が重力より小さくなる回転速度で回転させ、回転翼24を、ドラム22の回転速度よりも速い回転速度で、ドラム22の回転方向と反対の回転方向に回転させる。一方、駆動部30は、脱水工程時には、ドラム22および回転翼24を、ドラム22内の洗濯物に加わる遠心力が重力よりはるかに大きくなる回転速度で一体的に回転させる。駆動部30の詳細な構成は、追って説明される。
外槽20の底部には、排水口部20bが形成される。排水口部20bには、排水バルブ40が設けられる。排水バルブ40は、排水ホース41に接続される。排水バルブ40が開放されると、外槽20内に溜められた水が排水ホース41を通じて機外へ排出される。
筐体10内の前方上部には、洗剤ボックス50が配される。洗剤ボックス50には、洗剤が収容される洗剤容器50aが前方から引き出し自在に収容される。洗剤ボックス50は、筐体10内の後方上部に配された給水バルブ51に、給水ホース52によって接続される。また、洗剤ボックス50は、外槽20の上部に、注水管53により接続される。給水バルブ51が開放されると、水道栓から水道水が、給水ホース52、洗剤ボックス50および注水管53を通じて外槽20内に供給される。この際、洗剤容器50aに収容された洗剤が、水に押し流れて外槽20内に供給される。
次に、駆動部30の構成について詳細に説明する。
図2および図3は、本実施の形態に係る、駆動部30の構成を示す断面図である。図2は、駆動部30の駆動形態が、二軸駆動形態に切り替えられた状態を示し、図3は、駆動部30の駆動形態が、一軸駆動形態に切り替えられた状態を示す。
駆動部30は、駆動モータ100と、翼軸200と、ドラム軸300と、遊星歯車機構400と、軸受ユニット500と、クラッチ機構部600とを含む。駆動部30のうち、翼軸200、ドラム軸300および遊星歯車機構400は、ドラム22と回転翼24とが相反する回転方向に回転するよう、駆動モータ100の回転をドラム22と回転翼24とに伝達させる伝達機構部Tとして機能する。なお、翼軸200は、本発明の第1回転軸に相当し、ドラム軸300は、本発明の第2回転軸に相当する。
駆動モータ100は、回転翼24およびドラム22を駆動するためのトルクを発生する。翼軸200は、駆動モータ100のトルクにより回転し、当該回転を回転翼24に伝達する。遊星歯車機構400は、翼軸200の回転、即ち駆動モータ100のロータ110の回転を減速してドラム軸300に伝達する。また、遊星歯車機構400は、ドラム軸300の回転方向が、翼軸200の回転方向と反対方向となるような回転伝達を行う。ドラム軸300は、遊星歯車機構400により減速された回転速度で翼軸200と同軸に翼軸200とは反対方向に回転し、当該回転をドラム22に伝達する。軸受ユニット500は、翼軸200およびドラム軸300を回転自在に支持する。クラッチ機構部600は、回転翼24、即ち翼軸200を、駆動モータ100の回転速度と等しい回転速度で回転させ、ドラム22、即ちドラム軸300を、遊星歯車機構400により減速された回転速度で翼軸200と反対方向に回転させることが可能な二軸駆動形態と、回転翼24およびドラム22、即ち、翼軸200、ドラム軸300および遊星歯車機構400を、駆動モータ100と等しい回転速度で一体的に回転させることが可能な一軸駆動形態との間で、駆動部30の駆動形態を切り替える。なお、二軸駆動形態は、本発明の第1の形態に相当し、一軸駆動形態は、本発明の第2の形態に相当する。
駆動モータ100は、アウターロータ型のDCブラシレスモータであり、ロータ110とステータ120とを含む。ロータ110は、有底の円筒状に形成され、その内周面には、全周に亘って永久磁石111が配列される。
図4は、本実施の形態に係る、駆動モータ100のロータ110の構成を示す、ロータ110の正面図である。
図4に示すように、ロータ110の中央部には、円形のボス部112が形成される。ボス部112には、翼軸200を固定するためのボス孔113が形成されるとともに、ボス孔113の外周に環状の被係合凹部114が形成される。被係合凹部114の外周部は、全周に亘って凹凸部114aを有する。
図2および図3に戻り、ステータ120は、外周部に巻線121を有する。後述するモータ駆動部からステータ120の巻線121に駆動電流が供給されると、ロータ110が回転する。
ドラム軸300は、中空形状を有し、翼軸200と遊星歯車機構400とを内包する。ドラム軸300は、中央部が外側に膨出し、この膨出した部位が、遊星歯車機構400の収容部300aとなる。
遊星歯車機構400は、太陽歯車410と、太陽歯車410を囲む環状の内歯車420と、太陽歯車410と内歯車420との間に介在する4つの遊星歯車430と、これら遊星歯車430を回転可能に保持する遊星キャリア440とを含む。
図5は、本実施の形態に係る、遊星歯車機構400の構成を示す図である。図5は、図2のA−A´断面図であるが、便宜上、翼軸200、ドラム軸300および遊星歯車機構400以外の構成の図示が省略されている。
太陽歯車410は、金属により形成され、翼軸200の中間の部位に固定される。内歯車420は、樹脂により形成される。図5に示すように、内歯車420の外周面には、複数の箇所に前後方向に延びるキー部421が形成され、ドラム軸300の内周面には、キー部421に対応するキー溝部301が形成される。キー部421とキー溝部301とが係合することにより、ドラム軸300と内歯車420が周方向に固定される。各遊星歯車430は、樹脂により形成され、太陽歯車410および内歯車420に噛み合う。
遊星キャリア440は、フロントキャリア441と、リアキャリア442と、4つの支軸443と、キャリア軸444とを含む。フロントキャリア441およびリアキャリア442は、円板状を有し、4つの遊星歯車430を両側から挟み込む。フロントキャリア441とリアキャリア442との間に4つの支軸443が渡され、各支軸443に各遊星歯車430が回転自在に装着される。キャリア軸444は、リアキャリア442と一体形成され、リアキャリア442の背面から後方へ延びる。キャリア軸444は、ドラム軸300と同軸であり、翼軸200が挿入されるために内部が中空に形成される。
図2および図3に戻り、軸受ユニット500には、中央部に円筒状の軸受部510が設けられる。軸受部510の内部には、前部および後部に転がり軸受511、512が設けられ、前端部に、メカニカルシール513が設けられる。ドラム軸300は、外周面が転がり軸受511、512により受けられ、軸受部510内において円滑に回転する。また、メカニカルシール513により、軸受部510とドラム軸300との間への水の侵入が防止される。
図6は、本実施の形態に係る、軸受ユニット500の後部の拡大斜視図である。図6に示すように、軸受部510の後端部には、内面に、全周に亘ってスプライン514が形成される。
軸受ユニット500には、軸受部510の周囲に固定フランジ部520が形成される。固定フランジ部520の下端部に取付ボス521が形成される。
軸受ユニット500は、固定フランジ部520において、ネジ止等の固定方法により、外槽20の後面に固定される。駆動部30が外槽20に装着された状態において、翼軸200およびドラム軸300が外槽20の内部に臨む。ドラム22がドラム軸300に固定され、回転翼24が翼軸200に固定される。翼軸200の後端部は、キャリア軸444から後方に突出し、ロータ110のボス孔113に固定される。
クラッチ機構部600は、クラッチ体610と、クラッチスプリング620と、クラッチレバー630と、レバー支持部640と、クラッチ駆動装置650と、中継棒660と、取付プレート670とを含む。
図7(a)、(b)および(c)は、本実施の形態に係る、クラッチ体610の構成を示す図であり、それぞれ、クラッチ体610の正面図、右側面図および背面図である。
図7(a)、(b)および(c)に示すように、クラッチ体610はほぼ円盤形状を有する。クラッチ体610の前端部には、外周面に、環状のスプライン611が形成される。スプライン611は、軸受ユニット500のスプライン514と係合するように形成される。また、クラッチ体610の外周面には、スプライン611の後方に、フランジ部612が形成される。さらに、クラッチ体610には後端部に、環状の係合フランジ部613が形成される。係合フランジ部613は、ロータ110の被係合凹部114と同じ形状を有し、外周部に全周に亘って凹凸部613aを有する。係合フランジ部613が、被係合凹部114に挿入されると、凹凸部613a、114a同士が係合する。
クラッチ体610の軸孔614にキャリア軸444が挿入される。軸孔614の内周面に形成されたスプライン614aとキャリア軸444の外周面に形成されたスプライン444aとが係合する。これにより、クラッチ体610が、キャリア軸444に対して、前後方向への移動が許容され、且つ、周方向への回動が規制される状態となる。
クラッチ体610には、軸孔614の外側に環状の収容溝615が形成され、この収容溝615に、クラッチスプリング620が収容される。クラッチスプリング620は、一端が軸受部510の後端部に接し、他端が収容溝615の底面に接する。
図2および図3に戻り、クラッチレバー630の上端部には、クラッチ体610のフランジ部612の後面に接触し、フランジ部612を前方へ押す押圧部631が形成される。クラッチレバー630は、レバー支持部640に設けられた支軸641に回動自在に支持される。クラッチレバー630の下端部には、取付軸632が形成される。
クラッチ駆動装置650は、クラッチレバー630の下方に配置される。クラッチ駆動装置650は、トルクモータ651と、トルクモータ651のトルクにより水平軸周りに回転する円盤状のカム652とを含む。カム652の上面には、外周部にカム軸653が設けられる。カム652の回転中心とクラッチレバー630の取付軸632の中心とが前後方向において一致する。
中継棒660は、上下方向に延び、クラッチレバー630とカム652とを連結する。中継棒660は、上端部がクラッチレバー630の取付軸632に取り付けられ、下端部が、カム652のカム軸653に取り付けられる。中継棒660には、中間位置にスプリング661が一体形成される。スプリング661は、引張スプリングである。
レバー支持部640およびクラッチ駆動装置650は、ネジ止等の固定方法により、取付プレート670に固定される。取付プレート670は、軸受ユニット500の取付ボス521にネジにより固定される。
駆動部30の駆動形態が、一軸駆動形態から二軸駆動形態に切り替えられる場合、図2に示すように、トルクモータ651により、カム軸653が最も下方に位置するようにカム652が回転される。カム652が回転するに従い、クラッチレバー630の下端部が、中継棒660によって下方に引かれる。クラッチレバー630が支軸641を中心に前方へ回転し、押圧部631がクラッチ体610を前方へ押す。クラッチスプリング620の弾性力に逆らって、クラッチ体610が前方へ移動し、クラッチ体610のスプライン611と軸受ユニット500のスプライン514とが係合する。
クラッチ体610は、カム軸653が中間の所定位置まで移動すると、スプライン611がスプライン514と係合する位置に到達する。このときは、中継棒660のスプリング661が自然長の状態にある。クラッチ体610は、この係合位置より前には移動しないため、カム軸653が所定位置から最も下方の位置に移動すると、図2の通り、スプリング661が下方に伸びる。こうなると、クラッチレバー630が、スプリング661によって、前方へ回動するように引かれるので、係合位置にあるクラッチ体610には、押圧部631から押圧力が加えられる。これにより、スプライン611をスプライン514にしっかりと係合させることができる。
スプライン611とスプライン514とが係合すると、クラッチ体610が、軸受ユニット500に対して周方向への回動が規制され、回動できない状態となるので、遊星歯車機構400のキャリア軸444、即ち遊星キャリア440が、回転できないよう固定された状態となる。このような状態において、ロータ110が回転すると、翼軸200がロータ110の回転速度と等しい回転速度で回転し、翼軸200に連結されている回転翼24もロータ110の回転速度と等しい回転速度で回転する。翼軸200の回転に伴い、遊星歯車機構400では、太陽歯車410が回転する。上述の通り、遊星キャリア440は固定された状態にあるので、遊星歯車430は、公転ができず、太陽歯車410の回転に伴って自転のみを行う。遊星歯車430が太陽歯車410と逆方向に回転し、内歯車420が太陽歯車410と逆方向に回転する(図5参照)。これにより、内歯車420に固定されたドラム軸300が翼軸200と逆方向に、翼軸200よりも遅い回転速度で回転し、ドラム軸300に固定されたドラム22が、回転翼24よりも遅い回転速度で回転翼24と逆方向に回転する。言い換えれば、回転翼24がドラム22よりも速い回転速度でドラム22と逆方向に回転する。
一方、駆動部30の形態が、二軸駆動形態から一軸駆動形態に切り替えられる場合、図3に示すように、トルクモータ651により、カム軸653が最も上方に位置するようにカム652が回転される。カム652が回転し、カム軸653が上方へ移動すると、まず、スプリング661が縮んでいく。スプリング661が自然長に戻ると、その後は、カム軸653が移動するに従い、中継棒660が上方へ移動し、クラッチレバー630の下端部が、中継棒660に押されて、上方へ移動する。クラッチレバー630が支軸641を中心に後方へ回転し、押圧部631がクラッチ体610のフランジ部612から離れる。クラッチ体610が、クラッチスプリング620の弾性力によって後方へ移動し、クラッチ体610の係合フランジ部613とロータ110の被係合凹部114とが係合する。
係合フランジ部613と被係合凹部114とが係合すると、ロータ110に対するクラッチ体610の周方向への回動が規制され、クラッチ体610は、ロータ110とともに回転可能な状態となる。このような状態において、ロータ110が回転すると、翼軸200およびクラッチ体610がロータ110の回転速度と等しい回転速度で回転する。このとき、遊星歯車機構400では、太陽歯車410と遊星キャリア440とがロータ110と等しい回転速度で回転する。これにより、内歯車420が、太陽歯車410および遊星キャリア440と等しい回転速度で回転し、内歯車420に固定されたドラム軸300がロータ110と等しい回転速度で回転する。即ち、駆動部30では、翼軸200、遊星歯車機構400およびドラム軸300が一体となって回転する。これにより、ドラム22と回転翼24が一体的に回転する。
図8は、本実施の形態に係る、ドラム式洗濯機1の構成を示すブロック図である。
ドラム式洗濯機1は、上述した構成に加え、制御部701、記憶部702、操作部703、水位センサ704、電流検出部705、モータ駆動部706、給水駆動部707、排水駆動部708、クラッチ駆動部709およびドアロック装置710を備える。
操作部703は、電源ボタン703a、スタートボタン703b、コース選択ボタン703cを含む。電源ボタン703aは、ドラム式洗濯機1の電源を投入および遮断するためのボタンである。スタートボタン703bは、運転をスタートさせるためのボタンである。コース選択ボタン703cは、洗濯運転に係る複数の運転コースの中から任意の運転コースを選択するためのボタンである。操作部703は、ユーザに操作されたボタンに応じた入力信号を制御部701に出力する。
水位センサ704は、外槽20内の水位を検知し、検知した水位に応じた水位検知信号を制御部701に出力する。
モータ駆動部706は、制御部701からの制御信号に従って、駆動モータ100に駆動電流を供給する。モータ駆動部706は、駆動モータ100の回転速度を検出する回転センサ706a、インバータ回路等を含み、制御部701により設定された目標回転速度で駆動モータ100が回転するよう、駆動電力を調整する。
電流検出部705は、モータ駆動部706から駆動モータ100に供給される駆動電流を検出し、駆動電流の大きさに応じた検出信号を制御部701に出力する。
給水駆動部707は、制御部701からの制御信号に従って、給水バルブ51に駆動電流を供給する。排水駆動部708は、制御部701からの制御信号に従って、排水バルブ40に駆動電流を供給する。
クラッチ駆動装置650は、第1検出センサ654および第2検出センサ655を含む。第1検出センサ654は、駆動部30の駆動形態が二軸駆動形態に切り替えられたことを検出して、検出信号を制御部701に出力する。第2検出センサ655は、駆動部30の駆動形態が一軸駆動形態に切り替えられたことを検出して、検出信号を制御部701に出力する。クラッチ駆動部709は、第1検出センサ654および第2検出センサ655からの検出信号に基づいて制御部701から出力された制御信号に従い、トルクモータ651に駆動電流を供給する。
ドアロック装置710は、制御部701からの制御信号に従ってドア12のロックおよびロック解除を行う。
記憶部702は、EEPROM、RAM等を含む。記憶部702には、各種洗濯運転コースの洗濯運転を実行するためのプログラムが記憶される。また、記憶部702には、これらプログラムの実行に用いられる各種パラメータや各種制御フラグが記憶される。
制御部701は、操作部703、水位センサ704、電流検出部705等からの各信号に基づいて、記憶部702に記憶されたプログラムに従い、モータ駆動部706、給水駆動部707、排水駆動部708、クラッチ駆動部709、ドアロック装置710等を制御する。
ドラム式洗濯機1は、ユーザによる操作部703の操作に基づき、各種運転コースの洗濯運転を行う。洗濯運転では、洗い工程、中間脱水工程、すすぎ工程および最終脱水工程が順番に実行される。なお、運転コースによっては、中間脱水工程とすすぎ工程とが2回以上行われる場合がある。
洗い工程およびすすぎ工程では、駆動部30の駆動形態が、二軸駆動形態に切り替えられる。ドラム22内の洗濯物が水に浸かるよう、投入口11の下縁に至らない所定の水位まで外槽20内に水が溜められる。そして、外槽20に水が溜められた状態で、駆動モータ100が、正転と反転とを繰り返す。これにより、ドラム22は、正転と反転とを繰り返す。回転翼24は、ドラム22とは反対方向に回転し、ドラム22が正転するときに反転し、ドラム22が反転するときに正転する。このとき、ドラム22は、ドラム22内の洗濯物に作用する遠心力が重力より小さくなる回転速度で回転し、回転翼24は、ドラム22の回転速度より速い回転速度で回転する。
ドラム22内の洗濯物が、バッフル23で掻き上げられては落とされる、即ちタンブリングすることにより、ドラム22の内周面に叩き付けられる。加えて、ドラム22の後部では、回転する回転翼24の突状部24aに洗濯物が接触し、突状部24aに洗濯物が擦られたり、突状部24aによって洗濯物が撹拌されたりする。これにより、洗濯物が洗われる、あるいは、すすがれる。特に、ドラム22と回転翼24の回転方向が異なることで、洗濯物に捻じれが生じやすく、洗濯物が絞られる絞り洗い効果が期待できる。
このように、洗いおよびすすぎ時には、ドラム22の回転による機械力のみならず回転翼24による機械力が洗濯物に付与されるので、洗浄性能の向上が期待できる。 中間脱水工程および最終脱水工程では、駆動部30の駆動形態が、一軸駆動形態に切り替えられる。脱水動作として、駆動モータ100が一方向に高速回転し、ドラム22および回転翼24が、ドラム22内の洗濯物に作用する遠心力が重力よりはるかに大きくなる回転速度で一体的に回転する。遠心力の作用により、洗濯物が、ドラム22の内周面に押し付けられ、脱水される。
このように、脱水時には、ドラム22と回転翼24とが一体的に回転するので、ドラム22に張り付いた洗濯物が回転翼24により撹拌されるようなことがなく、洗濯物を良好に脱水できる。
図9は、本実施の形態に係る、洗い工程およびすすぎ工程での制御部701による制御動作を示すフローチャートである。
以下、洗い工程およびすすぎ工程での制御部701による制御動作について、図9を参照して説明する。
洗い工程またはすすぎ工程が開始されると、制御部701は、外槽20内への給水を行う(S101)。即ち、制御部701は、給水バルブ51を開放して外槽20内に水を供給し、外槽20内の水位が所定水位に到達すると、給水バルブ51を閉鎖して外槽20内への水の供給を停止する。
給水が完了すると、制御部701は、クラッチ機構部600によって駆動部30の駆動形態を一軸駆動形態から二軸駆動形態へ切り替える(S102)。そして、制御部701は、逆転二軸運転として、駆動モータ100を正転させた後に反転させる(S103)。たとえば、正転および反転のオン時間は10秒程度の時間とされ、オフ時間は1秒程度の時間とされる。また、駆動モータ100は、所定の目標回転速度、たとえば、ドラム22が45rpmで回転し、回転翼24が90rpmで回転するような回転速度で回転される。上述のように、ドラム22が、ドラム22内の洗濯物に作用する遠心力は重力より小さくなる回転速度で回転し、回転翼24がドラム22よりも高速でドラム22と反対方向に回転する。なお、逆転二軸運転は、本発明の第1の運転に相当する。
制御部701は、正転時および反転時に回転センサ706aにより駆動モータ100の回転速度を検出するようにしており、その検出結果から正転時および反転時に駆動モータ100の回転速度が閾値以上に立ち上がったか否かを判定する(S104)。閾値は、目標回転速度より低い回転速度であり、たとえば、駆動モータ100にロック等の不具合の虞が生じ得る程度の負荷が回転翼24に掛かったときに駆動モータ100の回転が立ち上がらないような回転速度に設定される。
正転時および反転時に駆動モータ100の回転速度が閾値以上に立ち上がっている場合(S104:YES)、制御部701は、洗いまたはすすぎのために設定された運転時間が経過していなければ(S105:NO)、S103に戻り、再び、駆動モータ100を正転および反転させる。その後、制御部701は、S104で駆動モータ100の回転速度の判定を行う。
駆動モータ100の回転速度が閾値以上に立ち上がらないことが生じないまま運転時間が経過すると(S105:YES)、制御部701は、逆転二軸運転を終了し、排水バルブ40を開放して外槽20内から排水を行う(S106)。排水が完了すると、洗い工程またはすすぎ工程が終了する。
逆転二軸運転では、ドラム22と回転翼24とが相反する回転方向に回転するため、洗濯物の捻じれによる絞り洗い効果が期待される。その反面、洗濯物の布絡みが生じやすくなり、絡み合った洗濯物による塊が生じやすくなる。ドラム22内に多くの洗濯物が投入された場合、洗濯物の大きな塊が生じやすく、その大きな洗濯物の塊がドア12と回転翼24との間に詰まった状態になると、回転翼24に洗濯物による大きな負荷が掛かりやすくなる。回転翼24に大きな負荷がかかった場合、駆動モータ100の駆動負荷が増加する。特に、本実施の形態では、翼軸200が駆動モータ100のロータ110に直接連結されているので、たとえば、プーリが介在している構成と違って、プーリのすべりによる力の逃がしが期待できず、回転翼24に掛かった負荷が直接駆動モータ100に作用し得る。このため、駆動モータ100の温度上昇が大きくなったり、駆動モータ100がロックしたりする虞がある。
洗濯物の布絡み等に起因して回転翼24に所定の負荷を超える大きな負荷が掛かる状態となった場合、正転時および反転時に駆動モータ100の回転速度が閾値以上に立ち上がらなくなり得る。これにより、S104において、駆動モータ100の回転速度が閾値以上に立ち上がらないと判定されると(S104:NO)、制御部701は、クラッチ機構部600によって駆動部30の駆動形態を二軸駆動形態から一軸駆動形態へ切り替える(S107)。そして、制御部701は、一軸運転として、駆動モータ100を正転させた後に反転させる(S108)。たとえば、逆転二軸運転と同様、正転および反転のオン時間は10秒程度の時間とされ、オフ時間は1秒程度の時間とされる。また、駆動モータ100は、所定の目標回転速度、たとえば、ドラム22が45rpmで回転し、回転翼24が90rpmで回転するような回転速度で回転される。ドラム22が、ドラム22内の洗濯物に作用する遠心力は重力より小さくなる回転速度で回転し、回転翼24がドラム22と一体となって回転する。一軸運転では、回転翼24がドラム22に対して静止した状態となるので、回転翼24に大きな負荷がかからなくなる。これにより、駆動モータ100の温度上昇やロックの発生が防止される。なお、一軸運転は、本発明の第2の運転に相当する。
運転時間が経過するまで(S109:NO)、制御部701により、駆動モータ100の正転と反転とが繰り返され、ドラム22内では、洗濯物のタンブリングによる叩き洗いが継続される。運転時間が経過すると(S109:YES)、制御部701は、一軸運転を終了し、排水バルブ40を開放して外槽20内から排水を行う(S106)。排水が完了すると、洗い工程またはすすぎ工程が終了する。
<実施の形態の効果>
本実施の形態によれば、伝達機構部Tにより、ドラム22と回転翼24とが相反する回転方向に回転するよう、駆動モータ100の回転をドラム22と回転翼24とに伝達させることができるので、ドラム22と回転翼24との回転駆動のために一つの駆動モータ100が設けられればよい。これにより、2つの分の駆動モータの配置スペースが不要であり、また、2つの分の駆動モータのコストがかからず、サイズ増加およびコスト増加を抑制できる。
また、本実施の形態によれば、ドラム22と回転翼24とを相反する回転方向に回転させるための伝達機構部Tを、遊星歯車機構400を用いて実現することができる。
さらに、本実施の形態によれば、クラッチ機構部600による切替えにより、ドラム式洗濯機1に、ドラム22と回転翼24とが相反する回転方向に回転する動作のみならず、ドラム22と回転翼24とが一体的に回転する動作を行わせることができる。
さらに、本実施の形態によれば、二軸駆動形態で駆動モータ100を回転させる逆転二軸運転において回転翼24に大きな負荷が掛かった場合には、一軸駆動形態で駆動モータ100を回転させる一軸運転に切り替えられるので、駆動モータ100に大きな負荷が生じることが抑制され、駆動モータ100の温度上昇やロックが生じにくくなる。また、布絡みの進行が抑えられ、布傷み等が防止され得る。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態等によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
<変更例1>
図10は、変更例1に係る、洗い工程およびすすぎ工程での制御部701による制御動作を示すフローチャートである。
以下、本変更例における洗い工程およびすすぎ工程での制御部701による制御動作について、図10を参照して説明する。
洗い工程またはすすぎ工程が開始されると、制御部701は、外槽20内への給水を行う(S201)。給水が完了すると、制御部701は、ドラム22内の洗濯物の負荷量が所定量以上であるか否かを判定する(S202)。洗濯物の負荷量は、洗い工程の前に行われる。たとえば、一軸駆動形態において、ドラム22の回転が、洗濯物がドラム22の内面に張り付くような回転速度となるまで立ち上げられ、その状態で電流検出部705により駆動モータ100に供給される駆動電流が検出される。負荷量が多くなるほど、ドラム22の回転時に駆動モータ100に掛かる負荷が大きくなり、駆駆動電流が大きくなる。制御部701は、駆動電流の大きさに基づいて負荷量を判定する。勿論、制御部701は、他の既知の方法により、負荷量を判定することができる。
上述の通り、逆転二軸運転を行ったときの布絡みに起因する駆動モータ100の温度上昇やロックは、ドラム22内の洗濯物の負荷量が大きい場合に生じやすく、負荷量が小さい場合には生じにくい。
負荷量が所定量未満である場合(S202:NO)、制御部701は、クラッチ機構部600によって駆動部30の駆動形態を一軸駆動形態から二軸駆動形態へ切り替え(S203)、運転時間経過するまで(S205:NO)、駆動モータ100の正転と反転とを繰り返す(S204)。即ち、一軸運転は行われず、逆転二軸運転のみが行われる。上記実施の形態の逆転二軸運転と同様、たとえば、正転および反転のオン時間は10秒程度の時間とされ、オフ時間は1秒程度の時間とされる。また、駆動モータ100の目標回転速度は、たとえば、ドラム22が45rpmで回転し、回転翼24が90rpmで回転するような回転速度とされ得る。
運転時間が経過すると(S205:YES)、制御部701は、逆転二軸運転を終了し、排水バルブ40を開放して外槽20内から排水を行う(S206)。排水が完了すると、洗い工程またはすすぎ工程が終了する。
一方、負荷量が所定量以上である場合(S202:YES)、制御部701は、まず、クラッチ機構部600によって駆動部30の駆動形態を一軸駆動形態から二軸駆動形態へ切り替え(S207)、駆動モータ100の正転と反転とを行う(S208)。即ち、逆転二軸運転が行われる。但し、このときの正転および反転のオン時間は、負荷量が所定量未満である場合のオン時間より短くされ、たとえば、5秒程度の時間とされる。
駆動モータ100の正転と反転とが第1回数(たとえば、10回)だけ繰り返されると(S209:YES)、制御部701は、クラッチ機構部600によって駆動部30の駆動形態を二軸駆動形態から一軸駆動形態へ切り替え(S210)、駆動モータ100の正転と反転とを行う(S211)。即ち、一軸運転が行われる。このとき、上記実施の形態の一軸運転と同様、たとえば、正転および反転のオン時間は10秒程度の時間とされ、オフ時間は1秒程度の時間とされる。また、駆動モータ100の目標回転速度は、たとえば、ドラム22が45rpmで回転し、回転翼24が90rpmで回転するような回転速度とされ得る。
駆動モータ100の正転と反転とが第2回数(たとえば、10回)だけ繰り返されると(S212:YES)、運転時間が経過していなければ(S213:NO)、制御部701は、再び、クラッチ機構部600によって駆動部30の駆動形態を一軸駆動形態から二軸駆動形態へ切り替え(S207)、駆動モータ100の正転と反転とを行う(S208)。
こうして、運転時間が経過するまで、逆転二軸運転と一軸運転とが繰り返される。上述の通り、逆転二軸運転では、洗濯物の捻じれによる絞り洗い効果が期待される反面、洗濯物の布絡みが生じやすくなるが、逆転二軸運転に続いて行われる一軸運転によって洗濯物が捻じれなく動かされることで、布絡みが解消されやすくなる。即ち、逆転二軸運転が繰り返されても、布絡みが進行しにくくなる。よって、布絡み等に起因する駆動モータ100の温度上昇やロックを抑えつつ、絞り洗い効果を得ることが可能となる。
運転時間が経過すると(S213:YES)、制御部701は、逆転二軸運転と一軸運転との繰り返しを終了し、排水バルブ40を開放して外槽20内から排水を行う(S206)。排水が完了すると、洗い工程またはすすぎ工程が終了する。
本変更例の構成によれば、洗濯物の負荷量が少なく、布絡み等に起因する駆動モータ100の温度上昇やロック生じにくい場合には、逆転二軸運転のみを行うことで、洗濯物の絞り洗い効果を大いに発揮させることができる。さらに、洗濯物の負荷量が多く、布絡み等に起因する駆動モータ100の温度上昇やロック生じやすい場合には、逆転二軸運転に続いて一軸運転を行うことで、駆動モータ100の温度上昇やロックを抑えつつ、絞り洗い効果を得ることが可能となる。
<変更例2>
図11は、変更例2に係る、駆動部30の構成を示す断面図である。図12は、変更例2に係る、遊星歯車機構400の構成を示す図である。図12は、図11のB−B´断面図であるが、便宜上、翼軸200、ドラム軸300および遊星歯車機構400以外の構成の図示が省略されている。
上記実施の形態では、ドラム軸300が内歯車420に固定されるとともに、キャリア軸444、即ち遊星キャリア440にクラッチ体610が連結される。これにより、二軸駆動形態において、クラッチ体610により遊星キャリア440が固定された状態で、翼軸200が回転すると、太陽歯車410の回転に伴って遊星歯車430が自転し、太陽歯車410よりも遅い回転速度で太陽歯車410と逆方向に内歯車420が回転する。
しかしながら、図11に示すように、ドラム軸300が、遊星キャリア440に固定される構成が採られても良い。この場合、内歯車420に、先端部がドラム軸300から後方に突出する軸部422が取り付けられる。そして、クラッチ体610が、軸部422に連結される。即ち、クラッチ体610が、軸部422を介して内歯車420に連結される。さらに、図12に示すように、遊星歯車機構400は、互いに相反する方向に回転する第1歯車431と第2歯車432とで構成される遊星歯車430aを備える。第1歯車431は太陽歯車410に噛み合い、第2歯車432は内歯車420に噛み合う。遊星キャリア440の支軸443は、第1歯車431と第2歯車432とを回転自在に支持する。二軸駆動形態において、クラッチ体610により内歯車420が固定された状態で、翼軸200が回転すると、太陽歯車410の回転に伴って遊星歯車430aが自転および公転し、太陽歯車410よりも遅い回転速度で太陽歯車410と逆方向に遊星キャリア440が回転する。これにより、遊星キャリア440に固定されたドラム軸300が、太陽歯車410に固定された翼軸200と逆方向に回転する。
<その他の変更例>
上記実施の形態では、逆転二軸運転において、駆動モータ100の正転時および反転時の回転速度に基づいて、回転翼24に掛かる負荷の大きさが判定された。しかしながら、駆動モータ100の正転時または反転時に駆動モータ100に供給される駆動電流の大きさに基づいて、回転翼24に掛かる負荷が判定されてもよい。
また、上記変更例1では、洗い工程およびすすぎ工程において、ドラム22内の洗濯物の負荷量が判定され、負荷量が所定量以上のときに、逆転二軸運転と一軸運転とからなる運転が行われた(S207ないしS213)。しかしながら、洗い工程およびすすぎ工程において、負荷量に関係なく、逆転二軸運転と一軸運転とからなる運転が行われてもよい。
さらに、上記変更例1では、駆動モータ100のロック等の不具合がより生じにくいよう、負荷量が所定量以上である場合の逆転二軸運転における駆動モータ100の正転および反転のオン時間が、負荷量が所定量未満である場合の逆転二軸運転における駆動モータ100の正転および反転のオン時間より短くされた。しかしながら、両者のオン時間が同じとされてもよい。
さらに、上記変更例1の逆転二軸運転において、駆動モータ100の正転時および反転時に回転翼24に掛かる負荷が大きくなった場合に、上記実施の形態の図9の制御動作と同様、一軸運転への切り替えが行われてもよい。
さらに、上記実施の形態の図9の制御動作および上記変更例1の図10の制御動作が、洗い工程およびすすぎ工程のうち、何れかの工程のみにおいて行われてもよい。
さらに、上記実施の形態では、ドラム22と回転翼24とが異なる回転速度で回転するよう伝達機構部Tが構成された。しかしながら、ドラム22と回転翼24とが等しい回転速度で回転するよう伝達機構部Tが構成されてもよい。
さらに、上記実施の形態では、駆動モータ100は、アウターロータ型のDCブラシレスモータとされたが、駆動部30には、他の種類の駆動モータが用いられてもよい。
さらに、上記実施の形態では、ドラム22が、水平方向に対して傾斜した傾斜軸を中心に回転する。しかしながら、ドラム式洗濯機1は、ドラム22が、水平軸を中心に回転するような構成とされても良い。
さらに、上記実施の形態のドラム式洗濯機1は、乾燥機能を備えていないが、本発明は、乾燥機能を備えたドラム式洗濯機、即ち、ドラム式洗濯乾燥機に適用することもできる。
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
10 筐体
20 外槽
22 ドラム
24 回転翼(回転体)
24a 突状部
30 駆動部
100 駆動モータ
200 翼軸(第1回転軸)
300 ドラム軸(第2回転軸)
400 遊星歯車機構
410 太陽歯車
420 内歯車
430 遊星歯車
440 遊星キャリア
600 クラッチ機構部
701 制御部
T 伝達機構部

Claims (6)

  1. 筐体内に配置された外槽と、
    前記外槽内に配置され、水平軸または水平方向に対して傾く傾斜軸を中心に回転可能なドラムと、
    前記ドラムの後部に配置され、表面に洗濯物と接触する突状部を有する回転体と、
    前記ドラムと前記回転体とを回転させるための駆動モータと、
    前記ドラムと前記回転体とが相反する回転方向に回転するよう、前記駆動モータの回転を前記ドラムと前記回転体とに伝達させる伝達機構部と、
    を備えることを特徴とするドラム式洗濯機。
  2. 請求項1に記載のドラム式洗濯機において、
    前記伝達機構部は、
    前記回転体に固定される第1回転軸と、
    前記ドラムに固定される第2回転軸と、
    太陽歯車と、当該太陽歯車を囲む環状の内歯車と、前記太陽歯車および前記内歯車に噛み合う複数の遊星歯車と、これら遊星歯車を回転可能に保持する遊星キャリアと、を含む遊星歯車機構と、を備え、
    前記遊星歯車機構は、前記遊星キャリアおよび前記内歯車のうち一方が出力部となり他方が固定部となり、前記太陽歯車が前記第1回転軸に接続され、前記出力部が前記第2回転軸に接続され、前記固定部が回転しないよう固定された状態で前記太陽歯車が回転すると、前記遊星歯車を介して前記出力部が前記太陽歯車と反対方向に回転する、
    ことを特徴とするドラム式洗濯機。
  3. 請求項2に記載のドラム式洗濯機において、
    前記固定部が回転しないよう固定されることにより、前記ドラムと前記回転体とが相反する回転方向に回転する第1の形態と、前記固定部が前記太陽歯車と一体的に回転することにより、前記ドラムと前記回転体とが一体的に回転する第2の形態との間で、前記駆動モータによる駆動形態を切り替えるクラッチ機構部と、
    前記駆動モータおよび前記クラッチ機構部の動作を制御する制御部と、をさらに備える、
    ことを特徴とするドラム式洗濯機。
  4. 請求項3に記載のドラム式洗濯機において、
    前記制御部は、洗い工程および/またはすすぎ工程において、
    前記第1の形態で前記駆動モータを回転させ、洗濯物がタンブリングするように前記ドラムが回転し且つ前記回転体が前記ドラムと反対方向に回転する第1の運転を行い、
    前記第1の運転中に前記回転体に掛かる負荷の大きさが所定の大きさを超えると、前記第1の形態から前記第2の形態に切り替えて前記駆動モータを回転させ、洗濯物がタンブリングするように前記ドラムが回転し且つ前記回転体が前記ドラムと一体となって回転する第2の運転を行う、
    ことを特徴とするドラム式洗濯機。
  5. 請求項3に記載のドラム式洗濯機において、
    前記制御部は、洗い工程および/またはすすぎ工程において、前記第1の形態で前記駆動モータを回転させ、洗濯物がタンブリングするように前記ドラムが回転し且つ前記回転体が前記ドラムと反対方向に回転する第1の運転を行った後、前記第1の形態から前記第2の形態に切り替えて前記駆動モータを回転させ、洗濯物がタンブリングするように前記ドラムが回転し且つ前記回転体が前記ドラムと一体となって回転する第2の運転を行う、
    ことを特徴とするドラム式洗濯機。
  6. 請求項5に記載のドラム式洗濯機において、
    前記制御部は、
    前記ドラム内の洗濯物の負荷量が所定量以上である場合には、前記第1の運転を行った後に前記第2の運転を行い、
    前記ドラム内の洗濯物の負荷量が所定量未満である場合には、前記第2の運転を行わずに前記第1の運転のみを行う、
    ことを特徴とするドラム式洗濯機。
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