JP2019115201A - 振動発電装置の充電方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】充電時間を短くすることができる振動発電装置の充電方法を提供する。【解決手段】一実施形態に係る振動発電装置の充電方法は、コイル4に対して磁石が移動することによって発電を行う振動発電装置の充電方法である。振動発電装置は、コイル4及び磁石によって発電された電流を整流する整流器15と、電流が流れるコンデンサ16と、を備え、磁石を第1振幅で移動させると共に第1電流をコンデンサ16に流すことにより、コンデンサ16への充電を開始する工程と、磁石を第1振幅よりも大きい第2振幅で振動させると共に、第1電流よりも小さい第2電流をコンデンサ16に流すことにより、コンデンサ16を満充電する工程と、を備える。【選択図】図3
Description
本発明は、振動発電装置の充電方法に関する。
特許文献1には、可動子の振動によって発電を行う発電装置が記載されている。発電装置は、円錐バネと、円錐バネに取り付けられた磁石と、磁石及び円錐バネを径方向外側から囲むコイルとを備えている。発電装置では、磁石がコイルの内側で振動することにより、誘導電流を生じさせて発電を行う。コイルの巻線の両端は、外部に延長されると共に、整流回路、電圧変換回路又は充電回路等に接続されている。この発電装置では、整流回路、電圧変換回路又は充電回路等により、二次電池への充電、又は外部機器への電流供給が行われる。
前述したように、発電装置では、発生した電力を充電することが求められる場合がある。しかしながら、発電装置において、充電時間に対する充電電圧変化量は、線形的に若干減少するものの概ね一定とされている。充電時間に対する充電電圧変化量が概ね一定である場合には、充電時間が長くなることがある。その結果、電力を得たいタイミングで電力を得られないことが起こりうるので、希望するタイミングで使用できないという問題が発生しうる。
本発明は、充電時間を短くすることができる振動発電装置の充電方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明者が鋭意検討した結果、振動発電装置における振動の振幅、及び発電した電力の電流をコンデンサの充電特性に合わせて調整することにより、コンデンサへの充電時間を短縮できるという知見を見出した。具体的には、充電電圧が小さいときに大きな電流が流れるというコンデンサの充電特性を利用して、初期段階でコンデンサに電荷を大量に貯めていくことによって充電時間の短縮が可能となる。本発明の一側面は、かかる知見に基づいてなされたものである。
すなわち、本発明の一形態に係る振動発電装置の充電方法は、コイルに対して磁石が振動することによって発電を行う振動発電装置の充電方法であって、コイル及び磁石によって発電された電流を整流する整流器と、電流が流れるコンデンサと、を備え、磁石を第1振幅で振動させると共に第1電流をコンデンサに流すことにより、コンデンサへの充電を開始する工程と、磁石を第1振幅よりも大きい第2振幅で振動させると共に、第1電流よりも小さい第2電流をコンデンサに流すことにより、コンデンサを満充電する工程と、を備える。
この振動発電装置の充電方法は、コンデンサへの充電を開始する工程では、第1振幅で磁石を振動させて第1電流をコンデンサに流して充電を行い、コンデンサを満充電する工程では、第1振幅より大きい第2振幅で磁石を振動させると共に、第1電流より小さい第2電流をコンデンサに流す。よって、充電開始時の第1振幅は満充電時の第2振幅よりも小さく、充電開始時の第1電流は満充電時の第2電流よりも大きい。従って、充電開始後には、振動の振幅を抑えつつ多くの電流をコンデンサに流し込むことにより、コンデンサへの充電を早期に行うことができる。その結果、満充電時にはコンデンサに流す電流が少なくても、早期に充電を完了させることができる。従って、コンデンサの充電特性を生かして充電時間を短くすることができる。
また、コンデンサへの充電を開始する工程におけるコンデンサへの電圧は、コンデンサを満充電する工程におけるコンデンサへの電圧よりも小さくてもよい。この場合、充電開始時のコンデンサへの電圧は、満充電時のコンデンサへの電圧よりも小さい。従って、充電開始時と満充電時の電圧を可変にすることによって、コンデンサの充電特性を生かしつつコンデンサへの充電時間を短くすることができる。
本発明によれば、充電時間を短くすることができる。
以下では、図面を参照しながら、本発明に係る振動発電装置の充電方法の実施形態について説明する。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解を容易にするため一部を簡略化又は誇張して描いており、寸法比率等は図面に記載したものに限定されない。
図1は、実施形態に係る振動発電装置を示す斜視図である。図2は、図1の振動発電装置の縦断面図である。図1及び図2に示されるように、本実施形態に係る振動発電装置1は、例えば、筐体2と、筐体2に取り付けられた複数のバネ3と、筐体2の内部において固定されたコイル4と、バネ3によって吊り下げられた錘体10とを備える。
錘体10には磁石11が取り付けられている。振動発電装置1は外部から振動を受け、受けた振動に伴って錘体10がバネ3の軸線Lの延在方向に共振する。錘体10の共振の振動数は、例えば、50Hzである。そして、固定されたコイル4に対して磁石11が相対移動することにより、電磁誘導によってコイル4に誘導起電力が生じる。すなわち、振動発電装置1は電磁誘導方式で発電を行う振動発電デバイスである。
振動発電装置1は、例えば、工作機械若しくは移動体等を含む機械、又は橋梁等を含む建築物に取り付けられ、機械又は建築物等の振動から起電力を得る。振動発電装置1は、例えば、筐体2に取り付けられたネオジム磁石等の磁力によってモータ等の振動源に取り付けられてもよい。振動発電装置1は、例えば、筐体2とモータ等の振動源とがバンドで固定されることによって振動源に取り付けられてもよい。また、振動発電装置1は、筐体2がモータ等の振動源にボルトで固定されることによって振動源に取り付けられてもよい。
筐体2は、例えば、6つの面2aを備えた直方体状を呈する。なお、筐体2の形状は、直方体状に限られない。例えば、筐体2は、略円柱状又はかまぼこ状(断面略半円形の柱状)等の外形を呈する箱体であってもよい。本実施形態では、6つの面2aのうち最も広い面2aの四隅は面取りされている。また、最も広い1つの面2aには、バネ3、コイル4及び錘体10が収容される凹部2bが形成されている。凹部2bには、複数のバネ3が取り付けられる枠状のフレーム2cが設けられており、フレーム2cは長方形の角部が丸められた形状を成している。フレーム2cは、例えば、金属製であり、アルミニウムによって構成されてもよい。
また、フレーム2cは、ヤング率が40GPa以上の材料によって構成されてもよい。フレーム2cには、各バネ3の取付部3aが固定部材6によって固定される。取付部3aは、例えば、輪状を成しており、取付部3aに固定部材6が挿通されて固定部材6がフレーム2cにねじ込まれることにより、フレーム2cに固定される。固定部材6は、例えば、六角穴付きボルトである。なお、バネ3の取付部3aのフレーム2cに対する接続手段は、固定部材6に限られず適宜変更可能である。例えば、筐体2のフレーム2cに複数のピンが挿入され、バネ3の取付部3aが複数のピンのそれぞれに引っ掛けられることによってフレーム2cに接続されてもよい。
バネ3は、例えば、引張コイルバネである。一例として、バネ3の線径は0.29mm、バネ3の外径(直径)は2.50mm、バネ3の自由長は11.6mm、バネ3の許容最大長は18.9mm、バネ3のバネ定数は0.225N/mmである。振動発電装置1は複数のバネ3を備え、複数のバネ3は互いに平行となるように配置される。各バネ3の一端はフレーム2cに取り付けられ、各バネ3の他端は錘体10に取り付けられる。錘体10は少なくとも2本のバネ3の間に設けられる。すなわち、複数のバネ3のうちの一部は錘体10から第1方向D1に延びると共に、複数のバネ3のうちの残部は錘体10から第1方向D1の反対方向である第2方向D2に延びている。
第1方向D1及び第2方向D2は、各バネ3の軸線Lが延びる方向に一致する。複数のバネ3は、振動発電装置1の幅方向D3に沿って並設されており、例えば幅方向D3に沿って等間隔に配置される。なお、振動発電装置1の厚さ方向D4に沿って1つのバネ3が配置されているが、厚さ方向D4に沿って複数のバネ3が配置されてもよい。一例として、合計12本のバネ3が設けられる。そして、12本のバネ3のうち6本が幅方向D3に沿って並設されると共に錘体10から第1方向D1に延びており、残りの6本が幅方向D3に沿って並設されると共に錘体10から第2方向D2に延びている。錘体10は、第1方向D1に延びる6本のバネ3と第2方向D2に延びる6本のバネ3との間に吊り下げられている。
但し、バネ3の本数は、12本に限られない。例えば、錘体10の四隅から第1方向D1及び第2方向D2それぞれに延びるバネ3が4本設けられていてもよく、バネ3の本数及び配置は適宜変更可能である。また、錘体10から第1方向D1に延びる3本のバネ3と、錘体10から第2方向D2に延びる3本のバネ3とを備えていてもよい。更に、複数のバネ3は、錘体10の中心に対して互いに対称となる位置に配置されてもよい。この場合、錘体10の第1方向D1及び第2方向D2以外への振動、及び錘体10の回転を抑制することができると共に、各バネ3のバネ定数の分割、及びバネ3のストロークの確保を両立させることができる。更に、各バネ3を小型化することができるため、振動発電装置1の安定性の向上、及び振動発電装置1自体の小型化を実現させることができる。
コイル4は、筐体2の凹部2bの底面2dと、錘体10との間に配置される。また、振動発電装置1はコイル4を保持するコイルホルダ5を備えており、コイルホルダ5は、コイル4を保持した状態で、例えば、テープによって筐体2に固定される。なお、コイルホルダ5の筐体2への固定手段は、テープに限られず適宜変更可能である。コイルホルダ5は、例えば、ネジによって筐体2に固定されてもよい。また、コイルホルダ5は、第2方向D2の端部(図2の下側端部)のみが筐体2に固定されてもよいし、コイルホルダ5の複数の箇所のそれぞれが筐体2に固定されてもよく、筐体2に対するコイルホルダ5の固定部の数及び配置態様は適宜変更可能である。
コイルホルダ5は、例えば、プラスチック製である。また、コイル4は、空芯コイルである。一例として、コイル4の巻数は3830ターンであり、コイル4の線径(直径)は0.025mmである。例えば、錘体10に取り付けられた磁石11、コイル4及び底面2dの間に開磁路Rが形成される。また、コイルホルダ5と錘体10との間には空間Cが形成されており、コイルホルダ5及び錘体10は互いに非接触配置とされる。これにより、コイルホルダ5への接触に伴う摩擦力が錘体10に生じないので、錘体10の振動の低減を回避することが可能である。
錘体10は、前述した磁石11と、ヨーク12と、高比重材13,14とを含んでいる。ヨーク12は、バネ3の軸線L上に配置される。磁石11はバネ3の軸線Lから見て一方側に配置され、高比重材13は軸線Lから見て磁石11の反対側に配置される。換言すれば、磁石11及び高比重材13は、各バネ3の軸線Lからずれた位置に配置されている。本明細書において、「バネの軸線から見て一方側に配置されている」ものは、バネの軸線から見て特定の方向に配置されているもの、及び、バネの軸線上に配置されると共に当該軸線に対して特定の方向に偏って配置されているものを含んでいる。例えば、「磁石がバネの軸線から見て一方側に配置されている」ことは、磁石11の一部がバネ3の軸線L上に干渉している状態、及び、磁石11のヨーク12から突出している部分の寸法が磁石11のヨーク12に入り込んでいる部分の寸法より小さい状態をも含んでいる。
錘体10には、例えば、複数の磁石11が取り付けられている。各磁石11は、例えば、ネオジム磁石である。一例として、各磁石11の磁束密度は2000ガウス以上且つ5100ガウス以下、各磁石11の比重は7.4g/cm3である。また、各磁石11は、円柱状を成していてもよく、この場合、各磁石11の直径は6mm、各磁石11の高さは5mm、各磁石11の体積は45πmm3である。
各バネ3の取付部3aとの反対側の端部3bは、2個のヨーク12の間に挟まれた状態で固定されている。例えば、2個のヨーク12のうちの一方には端部3bが入り込む凹部12cが設けられており、凹部12cの厚さ方向D4の深さは、バネ3の端部3bの線径と同程度である。2個のヨーク12のうち1個に磁石11が吸着している。各ヨーク12は、鉄又は鋼によって構成されており、例えば、矩形板状とされている。
磁石11は、2個のヨーク12の片側に設けられ、且つ凹部2bの底面2dに向けられることにより、底面2d側に前述した開磁路Rが形成される。ヨーク12は、磁石11の底面2dとの反対側に閉磁路を形成し、凹部2bの外側への磁束の流れを抑制する。ヨーク12は、SS400材によって構成されていてもよく、この場合、比較的磁気特性が良く且つ安価で入手しやすいヨーク12が得られる。ヨーク12の比重は、例えば、7.8g/cm3である。
ヨーク12は、磁石11が貼り付けられる第1面12aと、第1面12aの反対側を向くと共に高比重材13が貼り付けられる第2面12bとを有する。本明細書において、高比重材は、少なくとも磁石11よりも比重が高い材料によって構成された部材を示しており、例えば、比重が8.0g/cm3以上の材料によって構成された部材であってもよい。すなわち、高比重材は、一般的な鋼材(7.8g/cm3〜7.9g/cm3)よりも比重が高い材料によって構成された部材を含む。
本実施形態において、高比重材13は、タングステン含有樹脂によって構成されていてもよい。高比重材13が樹脂を含んで構成される場合、樹脂の射出成形によって高比重材13を製作することができるので、安価且つ大量に高比重材13を製作できると共に、あらゆる形状の高比重材13を製作することが可能である。タングステン含有樹脂は、粉体とされたタングステン及びナイロン等の樹脂を含んでおり、タングステン含有樹脂の比重は、例えば13g/cm3である。高比重材13は、例えば、矩形板状とされており、ヨーク12の磁石11との反対側に貼り付けられている。また、ヨーク12の磁石11側には高比重材14が貼り付けられており、高比重材14は、例えば、磁石11の幅方向D3の両側それぞれに配置されている。高比重材14は、例えば、高比重材13と同一の材料によって構成される。
このように、錘体10が高比重材13,14を備えることにより、小型化を維持しつつ錘体10の質量を大きくすることができる。よって、錘体10の慣性エネルギーを高めて振動の振幅を大きくすることにより、振動発電装置1の小型化を実現すると共に振動発電装置1からの電力の高出力化が可能となる。また、磁石11の比重より高い高比重材13,14を貼り付けることにより、錘体10のバランスを良好にして、錘体10を第1方向D1及び第2方向D2のみに動かすことが可能である。従って、第1方向D1及び第2方向D2以外の振動モードの入力を抑制して錘体10を第1方向D1及び第2方向D2に沿って安定して振動させることができるので、更なる高出力化が可能となる。
一例として、バネ3の軸線方向(第1方向D1及び第2方向D2)における錘体10の長さは12.8mm、幅方向D3の錘体10の長さは23.0mm、厚さ方向D4の錘体10の長さは13.5mmである。この12.8mm×23.0mm×13.5mmの範囲内に磁石11、ヨーク12、高比重材13及び高比重材14が収められており、錘体10の質量は例えば32gである。
次に、振動発電装置1が発電した電力を充電する構成について説明する。前述したように、振動発電装置1では、電磁誘導によってコイル4に誘導起電力が発生する。図3に示されるように、コイル4は、整流器15及びコンデンサ16に接続されている。整流器15は、コイル4において発電された交流電力を直流電力に変換すると共に電圧を調整する。コンデンサ16は、例えば、電解コンデンサ、又は電気二重層コンデンサであり、電荷を蓄えるために設けられる。すなわち、コンデンサ16は、コイル4において発電された電力を充電する。
ここで、従来の電磁誘導方式の振動発電装置の充電特性について説明する。従来の振動発電装置の充電方式では、定格出力を最大化する設計とされており、図7に示されるように、充電時間と充電電圧変化量との関係は、充電時間の経過に伴って充電電圧変化量が若干線形的に減少するものの概ね一定となる。また、電磁誘導方式で発電を行う振動発電装置を用いて外部装置に電力供給を行うときには、間欠的又は周期的に電力供給を求められることがある。しかしながら、従来の振動発電装置の充電方式のように充電電圧変化量が概ね一定である場合には、充電時間が長いという現状がある。このように充電時間が長い場合には、所望のタイミングで外部装置に電力を供給できないという問題が生じうる。
上記の問題を解消するために、本実施形態に係る振動発電装置1の充電方法では、充電時間に対する充電電圧及び充電電圧変化量を可変としている。また、振動発電装置1では、電力の出力側が無負荷である場合における錘体10の最大振幅をLoc、電力の出力側が負荷を有する(例えば抵抗が取り付けられている)場合における錘体10の振幅をLconstとしたときに、Loc>Lconstを満たしている。すなわち、無負荷時の振幅Locは負荷を有するときのLconstよりも大きい。例えば、Locが3mm、そして出力側に47Ωの外部負荷を接続した場合におけるLconstが1mmとなるように、コイル4の巻数及び線径、並びに磁石11の磁力及び個数が設計されている。
例えば、図4のグラフの一点鎖線に示されるように、磁石11の磁力が標準的な磁力より大きい(一例として、磁石11の大きさが45πmm3より大きい、若しくは磁石11の数が4個以上)、又はコイル4の内径が一定であってコイル4の巻数が3830ターンより多い場合、充電開始時の錘体10の振幅が2mm程度と大きくなる。これに対し、図4のグラフの破線に示されるように、磁石11の磁力が標準的な磁力より小さい(一例として、磁石11が45πmm3未満、若しくは磁石11の数が3個以下)、又は、コイル4の内径が一定であってコイル4の巻数が3830ターンより少ない場合、充電開始時の振幅を0.5mm程度と小さくすることが可能である。
続いて、本実施形態に係る振動発電装置1の充電方法について図5及び図6を参照しながら説明する。以下では、錘体10に50Hz及び0.1Gの入力振動を与え、5.5V且つ0.1Fのコンデンサ16を3.3Vまで充電するときの充電方法の例について説明する。
図5の(1)及び図6の(1)に示されるように、コンデンサ16への充電の初期段階では、充電電圧を1.5V以下で低く抑えると共にコンデンサ16に第1電流を流し、錘体10を第1振幅で振動させてコンデンサ16への充電を開始する(充電を開始する工程)。第1電流は後述する第2電流よりも大きく、第1振幅は後述する第2振幅よりも小さい。このように、充電電圧が低い(1)の段階では、第1電流を大きくしてコンデンサ16に電荷を貯め込む。このように、充電電圧が小さいときに大きな電流が流れるというコンデンサ16の特性を利用して、初期段階ではコンデンサ16に電荷を大量に貯めていく。一方、第1電流が大きい場合には、コイル4に電流が流れることによって発生する磁界の影響が大きくなり錘体10の振動が抑えられるため第1振幅は小さい値となる。よって、前述したように、第1振幅は、例えばLconst=1mmとなる。
図5の(2)及び図6の(2)に示されるように、コンデンサ16への充電を進めると、充電電圧が上昇すると共にコンデンサ16への電流が減少する。その結果、コイル4に電流が流れることによって発生する磁界の影響が小さくなるので、錘体10の振幅は増大する。図5の(3)及び図6の(3)に示されるように、コンデンサ16への充電を更に進めると、コンデンサ16に第1電流より小さい第2電流を流し、錘体10を第2振幅で振動させてコンデンサ16を満充電させる(満充電する工程)。このとき、コイル4に電流が流れることによって発生する磁界の影響がなくなるため錘体10の振幅は第1振幅よりも更に大きい第2振幅となる。第2振幅は、例えばLoc=3mmである。
続いて、本実施形態に係る振動発電装置1の充電方法から得られる作用効果について詳細に説明する。振動発電装置1の充電方法は、コンデンサ16への充電を開始する工程では、第1振幅で磁石11を振動させて第1電流をコンデンサ16に流して充電を行い、コンデンサ16を満充電する工程では、第1振幅より大きい第2振幅で磁石11を振動させると共に、第1電流より小さい第2電流をコンデンサ16に流す。
よって、充電開始時の第1振幅は満充電時の第2振幅よりも小さく、充電開始時の第1電流は満充電時の第2電流よりも大きい。従って、充電開始後には、振動の振幅を抑えつつ多くの電流をコンデンサ16に流し込むことにより、コンデンサ16への充電を早期に行うことができる。その結果、満充電時にはコンデンサ16に流す電流が少なくても、早期に充電を完了させることができる。従って、コンデンサ16の充電特性を生かして充電時間を短くすることができる。
また、コンデンサ16への充電を開始する工程におけるコンデンサ16への電圧は、コンデンサ16を満充電する工程におけるコンデンサ16への電圧よりも小さい。よって、充電開始時のコンデンサ16への電圧は、満充電時のコンデンサ16への電圧よりも小さい。従って、充電開始時と満充電時の電圧を可変にすることによって、コンデンサ16の充電特性を生かしつつコンデンサ16への充電時間を短くすることができる。
以上、本発明に係る振動発電装置の充電方法の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではない。本発明は、特許請求の範囲に記載した要旨を変更しない範囲において種々の変形が可能である。すなわち、振動発電装置の充電方法の各工程は、前述の実施形態に限定されず適宜変更可能である。また、振動発電装置の構成についても適宜変更可能である。
例えば、前述の実施形態では、矩形状の筐体2と、固定部材6によって筐体2のフレーム2cに固定された12本のバネ3と、コイルホルダ5によって筐体2に固定されたコイル4と、を備える振動発電装置1について説明した。しかしながら、筐体、バネ、コイル、コイルホルダ、及びバネを固定する固定部材の形状、大きさ、数、材料及び配置態様は、前述の実施形態のものに限定されず適宜変更可能である。
また、前述の実施形態では、ヨーク12の第1面12aに磁石11が取り付けられ、ヨーク12の第2面12bに高比重材13が取り付けられる錘体10について説明した。しかしながら、錘体10の構成も適宜変更可能である。すなわち、磁石11、ヨーク12及び高比重材13,14の形状、大きさ、数、材料及び配置態様は適宜変更可能であり、例えば、高比重材13,14を省略することも可能である。
例えば、前述の実施形態では、比重が8.0g/cm3以上の高比重材13,14として、タングステンを含む例を説明したが、タングステン以外の物質を含んでいてもよい。例えば、高比重材13,14は、鉛、銅、真鍮、ベリリウム銅、ニッケル鋼、オーステナイト系ステンレス鋼、及び高速度工具鋼等の材料のいずれか1つ又は2つ以上を含んでいてもよい。磁石11としては、例えば、ネオジム磁石、等方性フェライト磁石、異方性フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石、又はアルニコ磁石等の適宜の磁石が用いられ得る。磁石11の形状は、特に限定されないが、例えば、円柱状又は角柱状等とすることができる。また、ヨーク12としては、磁気回路を形成可能な物質であれば、適宜の種類の物質が用いられ得る。例えば、ヨーク12としては、軟鉄、一般構造用圧延鋼、機械構造用炭素鋼、ステンレス鋼、ケイ素鋼、フェライト、FeNi合金、又はFeCo合金等の材料が用いられ得る。
振動発電装置1は、コイルバネであるバネ3に代えて、コイルバネ以外の構成のバネを備えていてもよい。また、バネ3は、高比重材13,14に接続されていてもよい。更に、前述の実施形態では、ヨーク12の上下面のそれぞれに6本ずつのバネ3が接続されている例について説明した。しかしながら、前述したように、バネの本数及び配置態様は適宜変更可能である。例えば、ヨーク12の上下面のそれぞれに1本ずつのバネ3が接続されていてもよい。すなわち、バネ3は、それぞれ複数本で構成されていなくてもよい。
また、例えば、ヨーク12の上下面のそれぞれに3本以上ずつのバネ3が接続されていてもよい。例えば、ヨーク12に接続されるバネ3の本数は、錘体10を振動させるときに必要とされるバネ定数に応じて決定されてもよい。ヨーク12の上面に複数のバネ3が幅方向D3に沿って2列に並べて配置されていてもよい。同様に、ヨーク12の下面に複数のバネ3が幅方向D3に沿って2列に並べて配置されていてもよい。また、ヨーク12の上面の四隅に、4本のバネ3のそれぞれが接続されていてもよい。また、上記のように複数のバネ3をヨーク12に接続する場合であっても、幅方向D3において、幅方向D3の中央位置に対して対称となるようにバネ3が配置されてもよい。これらのバネ3の接続構成であっても、錘体10を安定して振動させることができると共に、錘体10の移動量を大きくできる等、前述した実施形態と同様の効果を奏する。
1…振動発電装置、2…筐体、2a…面、2b…凹部、2c…フレーム、2d…底面、3…バネ、3a…取付部、3b…端部、4…コイル、5…コイルホルダ、6…固定部材、10…錘体、11…磁石、12…ヨーク、12a…第1面、12b…第2面、12c…凹部、13,14…高比重材、15…整流器、16…コンデンサ、C…空間、D1…第1方向、D2…第2方向、D3…幅方向、D4…厚さ方向、L…軸線、R…開磁路。
Claims (2)
- コイルに対して磁石が振動することによって発電を行う振動発電装置の充電方法であって、
前記コイル及び前記磁石によって発電された電流を整流する整流器と、
前記電流が流れるコンデンサと、
を備え、
前記磁石を第1振幅で振動させると共に第1電流を前記コンデンサに流すことにより、前記コンデンサへの充電を開始する工程と、
前記磁石を前記第1振幅よりも大きい第2振幅で振動させると共に、前記第1電流よりも小さい第2電流を前記コンデンサに流すことにより、前記コンデンサを満充電する工程と、
を備える振動発電装置の充電方法。 - 前記コンデンサへの充電を開始する工程における前記コンデンサへの電圧は、前記コンデンサを満充電する工程における前記コンデンサへの電圧よりも小さい、
請求項1に記載の振動発電装置の充電方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017247965A JP2019115201A (ja) | 2017-12-25 | 2017-12-25 | 振動発電装置の充電方法 |
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