JP2019115188A - 導体接合方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ステータコアに設けられた第1導体の第1先端部と第2導体の第2先端部とをレーザー光により溶接する際に、第1および第2先端部の溶融量を充分に確保する。【解決手段】ステータコアに設けられた第1導体の第1先端部と、第2導体の第2先端部とをレーザーヘッドから照射されるレーザー光により溶接する導体接合方法は、ステータコアの径方向においてレーザーヘッドに近接する第1および第2先端部の一方を他方よりも当該レーザーヘッドからステータコアの軸方向に離間させた状態で第1先端部と第2先端部とを対向させ、第1および第2先端部により形成される隅肉部にレーザー光を照射して両者を溶接する。【選択図】図3

Description

本開示は、ステータコアに設けられた第1導体の第1端部と第2導体の第2端部とを接合する導体接合方法に関する。
従来、絶縁被膜が施されたセグメント導体を複数個用いて回転電機のコイルを形成するために、異なるセグメント導体の端部である導体端部同士を接合する回転電機の導体接合方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。この導体接合方法は、2つのセグメント導体の先端から予め規定された剥離長の領域の絶縁被膜を除去し、当該2つのセグメント導体を裸導体端部の対向面同士が隣り合って対向すると共に先端同士が基準平面に沿って並ぶ状態に保持し、基準平面に直交する方向に対して予め規定された角度で傾斜した照射角度で当該2つの対向面の一方にレーザー光を照射して裸導体端部同士を溶接する。
特開2014−007795号公報
しかしながら、上記導体接合方法により2つのセグメント導体の端部同士を接合する際に、セグメント導体の加工(曲げ加工)のバラつき等に起因して、当該2つのセグメント導体の裸導体端部の先端同士を基準平面に沿って並ぶ状態に保持できなくなることがある。そして、このように2つのセグメント導体の先端同士の位置ズレが生じると、隣り合って対向する2つの対向面の一方に充分にレーザー光を照射し得なくなり、裸導体端部の溶融量の不足により2つのセグメント導体の端部同士を強固に接合することが困難になる。
そこで、本開示は、ステータコアに設けられた第1導体の第1先端部と第2導体の第2先端部とをレーザー光により溶接する際に、第1および第2先端部の溶融量を充分に確保することを主目的とする。
本開示の導体接合方法は、ステータコアに設けられた第1導体の第1先端部と、第2導体の第2先端部とをレーザーヘッドから照射されるレーザー光により溶接する導体接合方法であって、前記ステータコアの径方向において前記レーザーヘッドに近接する前記第1および第2先端部の一方を他方よりも該レーザーヘッドから前記ステータコアの軸方向に離間させた状態で前記第1先端部と前記第2先端部とを対向させ、前記第1および第2先端部により形成される隅肉部に前記レーザー光を照射して両者を溶接するものである。
かかる方法は、レーザー光により第1導体の第1先端部と第2導体の第2先端部とを接合する際に、第1および第2先端部間に高低差を設けることにより隅肉部を形成し、当該隅肉部にレーザー光を照射して第1および第2先端部を溶接するものである。これにより、第1導体の第1先端部と第2導体の第2先端部とをレーザー光により溶接する際に、導体の加工のバラつき等に拘わらず、第1および第2先端部のレーザー光の照射による溶融量を充分に確保することができるので、第1および第2先端部を強固に接合することが可能となる。
また、第1および第2先端部は、ステータコアの軸方向に延在してもよく、当該ステータコアの径方向においてレーザーヘッドに近接する第1および第2先端部の一方の端面を他方の端面よりも当該レーザーヘッドから上記軸方向に離間させた状態で第1および第2先端部の側面同士を対向させてもよく、第1および第2先端部の一方の端面と第1および第2先端部の他方の側面とにより形成される隅肉部にレーザー光を照射して第1および第2先端部を溶接してもよい。
更に、第1および第2導体の一方は、その端面が第1および第2先端部の他方の端面よりもレーザーヘッドから上記軸方向に離間するようにステータコアに組み付けられてもよく、上記隅肉部を検知して当該隅肉部にレーザー光を照射してもよい。この場合、レーザーヘッドは、隅肉部を検知する検知装置を含むものであってもよい。
また、第1および第2導体の各々は、第1および第2先端部をレーザー光により溶接する際に、上記径方向においてレーザーヘッドに近接する第1および第2導体の一方の端面が他方の端面よりも当該レーザーヘッドから上記軸方向に離間するように位置決めされてもよい。
更に、第1および第2導体は、平角線であってもよく、第1導体は、ステータコアに巻回されたステータコイルの引出線であってもよく、第2導体は、端子に接続された動力線であってもよい。ただし、第1および第2導体の双方がステータコイルを形成するセグメントコイルであってもよい。
本開示の導体接合方法を利用して製造される電動機用ステータを示す概略構成図である。 図1の電動機用ステータを示す平面図である。 第1導体の第1先端部と第2導体の第2先端部との接合手順の一例を示す説明図である。 第1導体の第1先端部と第2導体の第2先端部との接合手順の他の例を示す説明図である。 第1導体の第1先端部と第2導体の第2先端部との接合手順の更に他の例を示す説明図である。
次に、図面を参照しながら本開示の発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本開示の導体接合方法を利用して製造される電動機用ステータ1を示す概略構成図であり、図2は、電動機用ステータ1を示す平面図である。これらの図面に示す電動機用ステータ1は、図示しないロータと共に、例えば電気自動車やハイブリッド車両の走行駆動源あるいは発電機として用いられる3相交流電動機を構成するものである。本実施形態の電動機用ステータ1は、ステータコア2と、複数のステータコイル3とを含む。
ステータコア2は、例えばプレス加工により円環状に形成された電磁鋼板21(図2参照)を複数積層することにより構成され、全体として円環状を呈する。ステータコア2は、環状の外周部から周方向に間隔をおいて径方向内側に突出する図示しない複数のティース部と、それぞれ互いに隣り合うティース部の間に形成された複数のコアスロット(図示省略)とを含む。なお、ステータコア2は、例えば強磁性粉体を加圧成形すると共に焼結させることより一体に形成されてもよい。
複数のステータコイル3は、U相コイル、V相コイルおよびW相コイルを含み、各ステータコイル3は、複数のセグメントコイル4を電気的に接合することにより形成される。セグメントコイル4は、表面に例えばエナメル樹脂等からなる絶縁被膜が成膜された平角線を略U字状に曲げ加工することにより形成された電気導体であり、絶縁被膜が除去された2つの先端部を有する。各セグメントコイル4の2つの脚部は、それぞれステータコア2の対応するコアスロットに挿通され、各セグメントコイル4のステータコア2の一端面(図1における上端面)から突出した部分には、図示しない曲げ加工装置を用いた曲げ加工が施される。
曲げ加工後の各セグメントコイル4の先端部は、ステータコア2の軸方向に延在し、対応する他のセグメントコイル4の先端部に電気的に接合(溶接)される。これにより、複数のステータコイル3がステータコア2に対して巻回され、各ステータコイル3は、それぞれステータコア2の軸方向における端面から外側に突出する2つの環状のコイルエンド部3a,3bを有する。なお、ステータコア2の各コアスロット内には、図示しないインシュレータ(絶縁紙)が配置されてもよい。
また、ステータコア2のコアスロットに挿通された多数のセグメントコイル4のうち、3本のセグメントコイル4u,4v,4wの一方の端部は、他のセグメントコイル4に接合されず、図1および図2に示すように、図示しない曲げ加工装置によりステータコア2の外周に向けて折り曲げられると共に、図1中上方に向けて折り曲げられる。以下、このようにステータコア2の外周側に引き出される3本のセグメントコイル4u,4v,4wの一方の端部を、引出線(第1導体)40u,40v,40wという。引出線40uは、U相コイルに含まれるものであり、引出線40vは、V相コイルに含まれるものであり、引出線40wは、W相コイルに含まれるものである。
引出線40uの先端部41(第1先端部:絶縁被覆が剥離された部分)は、図1に示すようにステータコア2の軸方向に延在し、図2に示すように、U相の端子5uに電気的に接合された動力線(第2導体)50uの先端部51(第2先端部:絶縁被覆が剥離された部分、図3参照)に電気的に接合(溶接)される。また、引出線40vの先端部41も、ステータコア2の軸方向に延在し、V相の端子5vに電気的に接合された動力線(第2導体)50vの先端部51に電気的に接合(溶接)される。引出線40wの先端部41も、ステータコア2の軸方向に延在し、W相の端子5wに電気的に接合された動力線(第2導体)50wの先端部51に電気的に接合(溶接)される。
動力線50u,50v,50wは、何れもセグメントコイル4等と同様の平角線により形成されており、それぞれ樹脂製の保持部材6に固定されている。端子5u,5v,5wは、図示しない電動機のハウジングに電動機用ステータ1が組み付けられた際に当該ハウジングに設置(固定)された図示しない端子台に固定される。また、保持部材6は、ハウジングに電動機用ステータ1が組み付けられた際に当該ハウジングに固定される。これにより、ハウジングおよびステータコア2に対する動力線50u,50v,50wの相対的な移動が規制される。なお、動力線50u,50v,50wは、円形の断面形状を有する丸線により形成されてもよい。
そして、ステータコア2の図1中上端面上には、各ステータコイル3のコイルエンド部3aや引出線40u,40v,40w等を覆うように、図示しない樹脂製のモールド部が形成される。これにより、隣り合うセグメントコイル4同士の隙間等に樹脂が入り込むことで、セグメントコイル4の先端部同士の接合部や、引出線40u−40wと動力線50−50wとの接合部といった電気導体の露出部等が良好に絶縁される。また、ステータコア2の図1中下端面から露出する各ステータコイル3のコイルエンド部3bには、ワニス等の絶縁用樹脂が塗布される。また、ステータコア2には、図1中上端面から露出する各ステータコイル3のコイルエンド部3a側から図中下方のコイルエンド部3b側に向けてワニス等の樹脂が塗布される。これにより、当該樹脂により各セグメントコイル4や図示しないインシュレータがステータコア2に固定される。
次に、引出線40u−40wの先端部41と動力線50u−50wの先端部51とを接合する手順について説明する。
引出線40u−40wの先端部41と動力線50u−50wの先端部51とは、セグメントコイル4、4u−4vの曲げ加工が完了し、更に各セグメントコイル4の先端部同士の接合が完了した後に、レーザー溶接機100のレーザーヘッド101から照射されるレーザー光により溶接される。レーザーヘッド101は、走査レンズ、分光レンズ、集光レンズ等を含む光学系を内蔵しており、レーザー発振器105からのレーザー光を予め定められた照射範囲内の所望の箇所に照射可能である。更に、レーザーヘッド101は、カメラ等の撮像ユニット(検知装置)102を内蔵しており、レーザー溶接機100は、当該撮像ユニット102からの画像データに基づいてレーザー光の照射位置を検知し、検知した照射位置にレーザー光が照射されるようにレーザーヘッド101の光学系を調整する。
また、先端部41および51との接合に際しては、図3に示すように、ステータコア2をレーザーヘッド101の図中下方に位置決めする。更に、治具110を用いて動力線50u−50wの保持部材6をステータコア2に対して位置決めする。保持部材6がステータコア2に対して位置決めされた際、各動力線50u−50wの先端部51は、図3に示すように、ステータコア2の軸方向A(図3中上下方向)に延在し、各先端部51の側面51sは、対応する引出線40u−40wの先端部41の側面41sと対向する。
ここで、本実施形態において、引出線40u−40wを含むことになるセグメントコイル4u−4wは、他のセグメントコイル4よりも短い線長を有する平角線により形成されている。そして、セグメントコイル4u−4wは、保持部材6および各動力線50u−50wがステータコア2に対して位置決めされた際に、各引出線40u−40wの先端部41の端面41eが、接続対象である動力線50u−50wの先端部51の端面51eよりも、ステータコア2の径方向Rにおいてレーザーヘッド101に近接すると共にレーザーヘッド101からステータコア2の軸方向Aに離間するように曲げ加工される。すなわち、セグメントコイル4u−4wの曲げ加工の完了後であって保持部材6および各動力線50u−50wがステータコア2に対して位置決めされた際、動力線50u−50wの先端部51の端面51eは、接続対象である引出線40u−40wの先端部41の端面41eよりも、ステータコア2の径方向Rにおいてレーザーヘッド101から離間すると共にステータコア2の軸方向Aにおいてレーザーヘッド101に近接して一段高く位置する。
続いて、治具120を用いて最初の溶接対象となる例えば引出線40uの先端部41の側面41sと、動力線50u−50wの先端部51の側面51sとを僅かな隙間を介して対向させる。これにより、図3に示すように、引出線40uの先端部41の端面41eと、動力線50uの先端部51の側面51sとによって隅肉部Fが形成される。治具120により溶接対象となる先端部41および51が位置決めされると、レーザー溶接機100は、撮像ユニット102に対象となる先端部41および51周辺を撮像させ、当該撮像ユニット102からの画像データに基づいて、先端部41および51により形成された隅肉部Fにレーザー光が照射されるようにレーザーヘッド101の光学系を調整する。
光学系の調整完了後、レーザー溶接機100は、レーザーヘッド101から溶接対象の先端部41,52により形成された隅肉部Fにステータコア2の軸方向Aに対して予め定められた角度だけ傾斜した照射角度でレーザー光を照射する。これにより、隅肉部Fの周辺で先端部41および51が溶融して両者が溶接される。以後、残りの引出線40v,40wおよび動力線50v,50wについても同様の処理が実行され、引出線40vの先端部41および動力線50vの先端部51並びに引出線40wの先端部41および動力線50wの先端部51が溶接されることになる。
以上説明したように、レーザー光により引出線40u−40wの先端部41と、動力線50u−50wの先端部51とを接合する際には、先端部41の端面41eと先端部51の端面51eとを基準平面に含まれるように先端部41および51の側面41s,51s同士を対向させる代わりに、当該先端部41および51間に高低差を設けることにより隅肉部Fを形成する。そして、撮像ユニット102を介して検知した隅肉部Fにレーザー光を照射することにより先端部41および51を溶接する。これにより、先端部41および51をレーザー光により溶接する際に、セグメントコイル4u−4wすなわち引出線40u−40wの曲げ加工のバラつき(組み付け精度)等に拘わらず、先端部41および51のレーザー光の照射による溶融量を充分に確保することができるので、当該先端部41および51を強固に接合することが可能となる。
なお、先端部41および51との接合に際しては、レーザーヘッド101から先端部41の端面41eまでのステータコア2の軸方向Aにおける距離が一定になるように、動力線50u−50wに加えて、例えば先端部41の端面41eの一部を押さえる治具130(図3における二点鎖線参照)を用いて引出線40u−40wを位置決めしてもよい。このような冶具130を用いた場合には、レーザーヘッド101から撮像ユニット102が省略されてもよい。また、電動機用ステータ1において、ステータコイル3を構成する各セグメントコイル4の先端部同士を上述のようにしてレーザー光により溶接してもよい。更に、上記先端部41および51(セグメントコイル4の先端部も同様)は、ステータコア2の軸方向Aに延在するものでなくてもよく、例えば、それぞれステータコア2の径方向Rに沿って延在するものであってもよい。
また、本開示の導体接合方法は、図4および図5に示すように、3本の導体7,8,9の先端部71,81,91を接合するのに適用されてもよい。3本の導体7,8,9の先端部71,81,91を接合する場合であって、導体(第1導体)7の先端部(第1先端部)71がステータコアの径方向Rにおいて導体(第2導体)8,9の先端部(第2先端部)81,91よりもレーザーヘッド101に近接する場合、図4に示すように、導体7の先端部71の端面71eを導体8,9の先端部81,91の端面81e,91eよりもレーザーヘッド101からステータコアの軸方向Aに離間させた状態で先端部71の側面71sと先端部81,91の側面81s,91sとを僅かな隙間を介して対向させ、先端部71の端面71eと先端部81,91の側面81s,91sとにより形成される隅肉部Fにレーザー光を照射して3本の導体7,8,9を溶接すればよい。更に、導体(第1導体)8,9の先端部81,91がステータコアの径方向Rにおいて導体7の先端部71よりもレーザーヘッド101に近接する場合には、図5に示すように、導体8,9の先端部81,91の端面81e,91eを導体7の先端部71の端面71eよりもレーザーヘッド101からステータコアの軸方向Aに離間させた状態で先端部81,91の側面81s,91sと先端部71の側面71sとを僅かな隙間を介して対向させ、先端部81,91の端面81e,91eと先端部71の側面71sとにより形成される隅肉部Fにレーザー光を照射して3本の導体7,8,9を溶接してもよい。
なお、本開示の発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の外延の範囲内において様々な変更をなし得ることはいうまでもない。更に、上記実施形態は、あくまで発明の概要の欄に記載された発明の具体的な一形態に過ぎず、発明の概要の欄に記載された発明の要素を限定するものではない。
本開示の発明は、電動機の製造分野等において利用可能である。
1 電動機用ステータ、2 ステータコア,21 電磁鋼板、3 ステータコイル、3a,3b コイルエンド部、4,4u,4v,4w セグメントコイル、40u,40v,40w 引出線、41 先端部、41e 端面、41s 側面、5u,5v,5w 端子、50u,50v,50w 動力線、51 先端部、51e 端面、51s 側面、6 保持部材、7,8,9 導体、71,81,91 先端部、71e,81e,91e 端面、71s,81s,91s 側面、100 レーザー溶接機、101 レーザーヘッド、102 撮像ユニット、105 レーザー発振器、110,120,130 治具、F 隅肉部。

Claims (1)

  1. ステータコアに設けられた第1導体の第1先端部と、第2導体の第2先端部とをレーザーヘッドから照射されるレーザー光により溶接する導体接合方法であって、
    前記ステータコアの径方向において前記レーザーヘッドに近接する前記第1および第2先端部の一方を他方よりも該レーザーヘッドから前記ステータコアの軸方向に離間させた状態で前記第1先端部と前記第2先端部とを対向させ、前記第1および第2先端部により形成される隅肉部に前記レーザー光を照射して両者を溶接する導体接合方法。
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