JP2019114991A - 車両用窓ガラス - Google Patents
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Abstract
Description
図1に示すように、本実施形態に係る車両用窓ガラスは、ガラス板1上に、デフォッガ2、FMメインアンテナ3、FMサブアンテナ4、及び調整素子5が、実装されている。以下、各部材について、順に説明する。
ガラス板1は、自動車用の公知のガラス板を利用することができる。例えば、ガラス板1として、熱線吸収ガラス、一般的なクリアガラス若しくはグリーンガラス、又はUVグリーンガラスが利用されてもよい。ただし、このようなガラス板1は、自動車が使用される国の安全規格に沿った可視光線透過率を実現する必要がある。例えば、日射吸収率、可視光線透過率などが安全規格を満たすように調整することができる。以下に、クリアガラスの組成の一例と、熱線吸収ガラス組成の一例を示す。
SiO2:70〜73質量%
Al2O3:0.6〜2.4質量%
CaO:7〜12質量%
MgO:1.0〜4.5質量%
R2O:13〜15質量%(Rはアルカリ金属)
Fe2O3に換算した全酸化鉄(T−Fe2O3):0.08〜0.14質量%
熱線吸収ガラスの組成は、例えば、クリアガラスの組成を基準として、Fe2O3に換算した全酸化鉄(T−Fe2O3)の比率を0.4〜1.3質量%とし、CeO2の比率を0〜2質量%とし、TiO2の比率を0〜0.5質量%とし、ガラスの骨格成分(主に、SiO2やAl2O3)をT−Fe2O3、CeO2及びTiO2の増加分だけ減じた組成とすることができる。
次に、デフォッガ2について説明する。図1に示すように、デフォッガ2は、ガラス板1における上下方向の中央付近に配置されており、ガラス板1の左右方向全体に亘って延びるように形成されている。具体的には、このデフォッガ2は、ガラス板1の両側縁に沿って上下方向に延びる一対の給電用のバスバー21a,21bを備えている。両バスバー21a,21bの間には、水平に延びる複数の加熱線22が所定間隔をおいて平行に配置されており、バスバー21a,21bからの給電により、防曇用の熱が発生するようになっている。また、このデフォッガ2には、これら加熱線22を水平方向に概ね2等分するように、上下方向に延びる垂直線23が設けられている。また、垂直線23は、最も上方にある加熱線(以下、最上部加熱線という)221と、最も下方にある加熱線(以下、最下部加熱線という)222とを結ぶように延びているが、ガラス板1を加熱する機能は有さず、後述する各アンテナ3,4を補助する役割を果たす。
次に、FMメインアンテナ3について説明する。このFMメインアンテナは、デフォッガ2の上方に配置されている。具体的には、このFMメインアンテナ3は、ガラス板1の左端部に配置される第1給電部31と、この第1給電部31からガラス板1の左側縁に沿って上方に延びる第1延在部32と、この第1延在部32から右側に延びる3本の水平部、つまり第1水平部33、第2水平部34、及び第3水平部35と、を備えている。
次に、FMサブアンテナ4について説明する。FMサブアンテナ4は、デフォッガ2の上方に配置されており、ガラス板1の右端部に配置される第2給電部41と、この第2給電部41から下方に延びる第2延在部42と、この第2延在部42の下端から左側へ水平に延びる第6水平部43と、を備えている。第6水平部43は、第5水平部38よりも下方に配置され、且つ第5水平部38よりも右側に配置されている。また、第6水平部43と最上部加熱線221とは容量結合するように近接している。第6水平部43と最上部水平加熱線221との上下方向の距離は、例えば、5〜30mmとすることができる。
続いて、調整素子5について説明する。調整素子5は、デフォッガ2の下方に配置されており、互いに容量結合する本体部51と結合部52とを備えている。本体部51は、デフォッガ2の下方に配置されており、ガラス板1の中央付近で水平に延びる第1水平部511と、この第1水平部511よりも上方に配置され、ガラス板1の中央付近で水平に延びる第2水平部512と、第1及び第2水平部511,512を連結し上下方向に延びる第1垂直部513と、を備えている。そして、第2水平部52は、第1水平部51よりもやや長く形成されている。また、第1垂直部513は、デフォッガ2の第1垂直線23とほぼ対応する位置に配置されている。これより、デフォッガ2の垂直線23、FMメインアンテナ3の第1垂直部37、調整素子5の第1垂直部513は、ほぼ同一直線上に配置されている。
上記のようなデフォッガ2、各アンテナ3,4、及び調整素子5は、線材を組み合わせることで構成されているが、これらは導電性を有する導電性材料をガラス板1の表面に所定のパターンを有するように積層することで形成することができる。そのような材料としては、導電性を有していればよく、実施形態に適宜選択可能であり、一例として、銀、金、白金等を挙げることができる。具体的には、例えば、銀粉末、ガラスフリット等を含む導電性の銀ペーストをガラス板1の表面に印刷し焼成することによって形成することができる。
次に、本実施形態に係る窓ガラスの製造方法を説明する。本実施形態に係る窓ガラスのガラス板1は、プレスによって成形するプレス成形工法、ガラス板1の自重で曲げる自重曲げ工法等によって成形することができる。
本実施形態に係るリアガラスは、特に、自動車の後部座席のサンシェードを広げたときのFM放送波の受信感度の影響を低減することができる。サンシェードは、一対の柱部材と、これらを連結する連結部材とを有し、これらが金属で形成されている。そのため、サンシェードを広げたときには、これらの金属部材がガラス板の両側及び上辺に沿うように配置され、FM放送波の受信感度に影響を与えていた。一方、サンシェードを閉じたときには、柱部材及び連結部材は、ガラス板の下辺付近に収納されるため、FM放送波の受信感度に対する影響が小さい。したがって、サンシェードを広げたときと閉じたときとで受信感度が変化するという問題があった。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。なお、以下の変形例は適宜組み合わせることができる。
上記実施形態のデフォッガ2の形態は一例であり、加熱線22の数、垂直線23の数、これらの交差数などは、特には限定されない。また、受信感度を向上するために、追加のエレメントを適宜設けることもできる。上記実施形態では、FMメインアンテナ3の第1垂直部37、デフォッガの垂直線23、調整素子5の第1垂直部513はほぼ同一線上に配置されているが、少なくとも一つがずれていてもよい。
上記実施形態におけるFMメインアンテナ3の構成は一例であり、エレメントの数、長さ、位置、方向などは、特には限定されない。例えば、FMメインアンテナ3は、少なくとも2本の水平部と、これを接続する垂直部と、これらのいずれかに接続される給電部とで構成し、下側の水平部がデフォッガ2と容量結合されていればよい。例えば、本実施形態のFMメインアンテナ3は、4本の水平部33〜36,38と1本の垂直部37を有しているが、この中から選択される少なくとも2本の水平部と1本の垂直部とで本発明に係る第1FMアンテナを構成することができる。また、上記実施形態では、第4水平部36が、第1垂直部37の左側にのみ延びているが、第4水平部36を右側に延ばしてもよい。したがって、2本の水平部と、1本の垂直部とでFMメインアンテナを構成する場合には、上側の水平部は垂直部に対して右側及び左側の両方に延びていてもよい。また、給電部は、いずれのエレメントに接続されていてもよい。
上記実施形態のFMメインアンテナ3は、複数のエレメントを用いて構成され、面積が広いため、例えば、AMアンテナとの共用アンテナにすることもできる。この場合、第1給電部31には、AMの受信機も接続される。
FMサブアンテナ4の構成も特には限定されない。上記実施形態では、第6水平部43が、第5水平部38と上下方向に重ならないようにしているが、重なるようにしてもよい。また、第6水平部43と最上部加熱線221との距離は適宜変更することができる。さらに、FMサブアンテナ4は必ずしも必要ではなく、設けなくてもよい。
上記実施形態の調整素子5は一例であり、エレメントの数、長さ、位置、方向などは、特には限定されない。例えば、上記実施形態では、結合部52を第1水平部511と容量結合するように配置しているが、本体部51の他の部分と容量結合させてもよい。また、結合部52は、バスバー21aから延ばす以外に、加熱線22から延ばしてもよい。
リアガラスには、ブレーキランプ等のランプが設けられることがあり、この場合には、例えば、図2のように構成することができる。図2に示すように、この例ではデフォッガ2の最下部加熱線222に、下方へ突出するU字状の延長線223を連結している。すなわち、延長線223の両端部が最下部加熱線222に連結される。これにより、最下部加熱線222と延長部223との間に台形状の領域が形成され、この領域にランプが設けられる。
ガラス板1には他のメディアに係るアンテナを設けることもできる。例えば、AMアンテナ、デジタルテレビアンテナ、DABアンテナなどを設けることもできる。
上記実施形態では、本発明に係る車両用窓ガラスをリアガラスに適用しているが、車両の他の窓ガラスに適用することもできる。
図3に示す実施例に係るリアガラスと図4に示す比較例に係るリアガラスとを準備した。実施例に係るリアガラスは、上記実施形態で示した車両用窓ガラスと同様の形態であり、図3中に示す数値は、単位をmmとする寸法である。一方、比較例に係るリアガラスと実施例との相違点は、比較例には調整素子を設けていない点であり、その他の構成は寸法も含めて同じである。
・アンテナが実装された窓ガラスの取付角:水平方向に対して23度傾斜
・角度分解能:角度3度(又は5度)毎に自動車を360度回転させて測定
・電波の発信位置とアンテナとの仰角:1.7度(地面と水平方向を0度、天頂方向を90度とする)
次に、実施例と比較例とで電流分布の検討を行った。すなわち、上記実施例及び比較例と同様のデフォッガ、FMアンテナ、及び調整素子を有するモデルを作製した。そして、サンシェードを広げ、83MHzの周波数の電波を放射したときに生じる電流分布を得るために、シミュレーションを行った。結果は、図8に示すとおりである(色によって電流の強さを示した)。但し、図8の実施例及び比較例は、図4及び図5とは左右対称の形態になっている。
2:デフォッガ
3:FMメインアンテナ(第1FMアンテナ)
4:FMサブアンテナ(第2FMアンテナ)
5:調整素子
51:本体部(素子本体)
52:結合部
Claims (5)
- ガラス板と、
前記ガラス板の上下方向の中央付近に配置されるデフォッガと、
前記ガラス板において、前記デフォッガの上方に配置される、第1FMアンテナと、
前記ガラス板において、前記デフォッガの下方に配置される調整素子と、
を備え、
前記デフォッガは、
前記ガラス板の左右の端部に沿って上下方向に延びる一対のバスバーと、
前記一対のバスバーを結ぶように水平に延びる複数の加熱線と、
前記複数の加熱線と交差し上下方向に延びる少なくとも1つの垂直線と、
を備え、
前記第1FMアンテナは、
水平方向に延びる第1FM水平部と、
前記第1FM水平部よりも前記デフォッガに近接し、水平方向に延びる第2FM水平部と、
前記第1FM水平部と第2FM水平部とを連結し、上下方向に延びる第1FM垂直部と、
前記第1FM水平部、第2FM水平部、及び第1FM水平部のいずれかに接続された第1給電部と、
を備えている、車両用窓ガラス。 - 前記調整素子は、
水平方向に延びる第1水平部、
前記第1水平部よりも前記デフォッガに近接し、水平方向に延びる第2水平部、及び
前記第1水平部と第2水平部とを連結し、上下方向に延びる第1垂直部、
を有する素子本体と、
いずれかの前記バスバーまたは前記加熱線から延び、前記素子本体と容量結合をする結合部と、
を備えている、請求項1に記載の車両用窓ガラス。 - 前記デフォッガの垂直線の1つと、前記調整素子の第1垂直部とが、略同一線上に配置されている、請求項2に記載の車両用窓ガラス。
- 前記第1FM垂直線と、前記デフォッガの垂直線の1つと、前記調整素子の第1垂直部とが、略同一線上に配置されている、請求項2に記載の車両用窓ガラス。
- 前記第1FMアンテナよりも前記デフォッガに近接して配置される、第2FMアンテナをさらに備え、
前記第2FMアンテナは、前記デフォッガと容量結合するように構成されている、請求項1から4のいずれかに記載の車両用窓ガラス。
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