上述の態様の好ましい実施形態について以下に説明する。
上記の検知器取付装置において、上記位置決め部は、上記本体部を回動可能に支持し、上記回転軸は、上記位置決め部に軸回転可能に設けられその軸回転運動を上記位置決め部に対する上記本体部の回動運動に変換するように構成され、上記本体部に第1固定アームが設けられ、上記位置決め部に上記第1固定アームに対向する第2固定アームが設けられており、上記本体部は、上記第1固定アームが上記溝形鋼の溝形空間に挿入され且つ上記第2固定アームが上記溝形鋼の底板部に当接することによって上記位置決め状態となり、この位置決め状態で上記回転軸が上記固定回転方向に軸回転することによって上記第1固定アームと上記第2固定アームとの間に上記溝形鋼の上記底板部を挟み込む挟込方向へ回動するように構成されているのが好ましい。
この検知器取付装置によれば、ベース部材の第2固定アームを溝形鋼の底板部に当接させることによって、回転軸を垂直方向に沿って延在させたまま安定した姿勢で固定回転方向に軸回転させることができる。
また、溝形鋼の底板部の向きに応じて第2固定アームの向きを設定することによって、底板部の向きが異なる溝形鋼に対しても、取付時に回転軸が垂直方向に沿って延在したままで軸回転する構造を実現できる。
上記の検知器取付装置において、上記回転軸は、上記位置決め部に設けられたねじ穴に進退可能に螺合するねじ軸部を有し、上記固定回転方向に軸回転するときに上記ねじ軸部が上記ねじ穴との螺合によって上記本体部に向けて前進してこの回転軸の軸先端部が上記本体部を上記挟込方向に付勢するように構成されているのが好ましい。
この検知器取付装置によれば、ねじ軸部を有する回転軸を使用することによって、回転軸の軸回転運動をベース部材に対する取付部材の挟込方向の回動運動に変換する構造を簡素化できる。
上記の検知器取付装置において、上記位置決め部は、上記本体部と一体化されており且つこの本体部との間に上記溝形鋼の底板部から上方へ延出するリップが係合可能な係合溝を有し、上記回転軸は、上記本体部に設けられたねじ穴に進退可能に螺合するねじ軸部を有し、上記固定回転方向に軸回転するときに上記ねじ軸部が上記ねじ穴との螺合によって上記位置決め部本体部に向けて前進するように構成されており、上記位置決め部の上記係合溝が上記溝形鋼の上記リップと係合することによって上記本体部が上記位置決め状態となり、この位置決め状態で上記回転軸が上記固定回転方向に軸回転することによってこの回転軸の軸先端部と上記位置決め部との間に上記溝形鋼の上記底板部を挟み込むように構成されているのが好ましい。
この検知器取付装置によれば、本体部及び位置決め部を互いに一体化させることによって構造を簡素化でき、部品点数を削減できる。その結果、検知器取付装置を安価で提供できる。
上記の検知器取付装置において、上記回転軸は、上記本体部の上記位置決め状態で上記溝形鋼の上記底板部と直交する方向に延在するように構成されているのが好ましい。
この検知器取付装置によれば、固定時に回転軸が溝形鋼の底板部に垂直に当接することになるため、固定時に回転軸が溝形鋼の底板部に斜めに当接する構造に比べると、固定強度を向上させることができる。
上記の検知器取付装置は、上記ねじ軸部が前進する前進方向の逆方向へ上記回転軸を弾性付勢する弾性部材を備えるのが好ましい。
この検知器取付装置によれば、回転軸のねじ軸部におけるねじ穴との螺合が緩むのを弾性部材の弾性付勢力を利用して防ぐことができる。
上記の検知器取付システムにおいて、上記取付工具は、上記筒状部材からいずれも上記ソケット部よりも上方まで延出する複数の保持アームを有し、上記複数の保持アームは、上記検知器取付装置の上記回転軸に上記ソケット部を下方から係合させた状態で上記本体部及び上記位置決め部の少なくとも一方を挟むように構成されているのが好ましい。
この検知器取付システムによれば、検知器取付装置の取付部材及びベース部材の少なくとも一方の水平方向の動きを取付工具の複数の保持アームで規制することによって、検知器取付装置を保持できる。
上記の検知器取付システムにおいて、上記本体部及び上記位置決め部はいずれも強磁性体からなり、上記複数の保持アームのそれぞれには、上記本体部及び上記位置決め部の少なくとも一方に吸着可能な磁石が設けられているのが好ましい。
この検知器取付システムによれば、複数の保持アームは検知器取付装置の取付部材及びベース部材の少なくとも一方を磁石によって吸着保持できる。このため、取付部材及びベース部材の少なくとも一方の水平方向の動きを規制する効果が高くなり、検知器取付装置を安定的に保持できる。
上記の検知器取付システムにおいて、上記取付工具は、上記回転部材の上記先端部と上記後端部との間に折り曲げ自在に設けられた自在継手と、上記自在継手の折り曲げ角度を調節可能な調節機構と、を有するのが好ましい。
この検知器取付システムによれば、取付工具の回転部材は、自在継手において折り曲げられた状態でその折り曲げ角度を調節機構によって調節可能である。これにより、作業者は、取付工具の回転部材の先端部に設けたソケット部の向きを所望に向きに容易に調節することができる。
上記の検知器取付システムにおいて、上記取付工具は、工具長さを延長するための継ぎ足し要素を有する工具延長ユニットが接続可能に構成されているのが好ましい。
この検知器取付システムによれば、必要に応じて取付工具に工具延長ユニットを接続することで、工具長さを簡単に延長することができるとともに、取付高さ、取付角度を簡単に変更することができる。
上記の検知器取付システムにおいて、上記取付工具の上記入力部に電動工具が着脱可能に接続され、上記電動工具は、上記入力部に接続された状態で上記回転軸を上記固定回転方向へ軸回転させる上記取付工具の駆動源として構成されているのが好ましい。
この検知器取付システムによれば、取付工具の使用時には、電動工具を入力部に接続して回転軸に軸力を入力する一方で、取付工具の運搬時には、電動工具を入力部から分離して取付工具とは別に運搬できる。この場合、電動工具を必要に応じて取付工具の入力部に接続したり分離したりできるため使い勝手が良い。
上記の検知器取付方法は、上記検知器取付装置を第1取付装置としたとき、上記準備ステップにおいて上記第1取付装置と同構造の第2取付装置を準備してこの第2取付装置の上記本体部に上記支持部材を取付け、上記固定ステップの実行後に、上記第2取付装置の上記回転軸に上記取付工具の上記ソケット部を下方から係合させた状態で上記取付工具を垂直方向に沿って立てて上記第2取付装置を下方から持ち上げる第2持ち上げステップと、上記溝形鋼を第1溝形鋼としたとき、上記第2持ち上げステップで持ち上げた上記第2取付装置の上記本体部が上記位置決め部によって上記第1溝形鋼とは別の第2溝形鋼に対して位置決めされるように上記取付工具を操作する第2位置決めステップと、上記第2位置決めステップで位置決めされた上記第2取付装置の上記回転軸を上記取付工具とともに垂直方向に沿って延在させたまま、上記取付工具で上記回転軸を上記固定回転方向に軸回転させる動作を利用して上記本体部を上記第2溝形鋼に固定する第2固定ステップと、を含むのが好ましい。
この検知器取付方法によれば、検知器を伴う第1取付装置を第1溝形鋼に固定した後に、支持部材を伴う第2取付装置を第2溝形鋼に固定することができる。そして、第1溝形鋼に取付けた検知器から延びる配線を、第2溝形鋼に取付けた支持部材を使用して敷設することができる。
以下、検知器取付システム、検知器取付装置、検知器取付方法の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
なお、この実施形態の説明のための図面において、特にことわらない限り、垂直方向を矢印Xで示し、水平方向を矢印Yで示すものとする。
(実施形態1)
図1に示されるように、工場などの建屋の天井面(「屋根面」ともいう。)1には、屋根の母屋として構成される複数の溝形鋼2が接合されている。フロアから天井面1までの高さは、典型的には6〜10m程度である。複数の溝形鋼2は、天井面1に沿って互いに所定間隔を隔てて離間し且つ水平方向Yに互いに平行に延在している。
複数の溝形鋼2には、検知器21が取付けられる第1溝形鋼2Aと、支持部材23が取付けられる第2溝形鋼2Bが含まれている。第2溝形鋼2Bは、第1溝形鋼2Aよりも低所に位置している。
検知器21は、自動火災報知設備を構成する既知の感知器である。このため、この検知器21から延びる配線22は、特に図示しないものの、受信機などの中継手段を介して非常放送設備や他の通報設備などに電気的に接続されるようになっている。この検知器21は、屋根の陸梁面6よりも上方の梁内領域7においてそのカバー面21aが下向きとなるように配置される。
支持部材23は、検知器21から延びる配線22を支持するためのものである。この支持部材23は、配線22を引っ掛けることができるようなフック形状を有するのが好ましい。
実施形態1の検知器取付システム100は、2つの検知器取付装置10と、取付工具30と、敷設工具40と、を備えている。
なお、必要に応じて、検知器取付装置10の数を変更したり、検知器取付システム100から敷設工具40を省略したりすることもできる。
実施形態1の検知器取付装置10である一方の第1取付装置10Aは、第1溝形鋼2Aに検知器21を取付けるのに用いる装置である。この第1取付装置10Aを第1溝形鋼2Aに固定することによって、この第1溝形鋼2Aに検知器21が取付けられる。
実施形態1の検知器取付装置10である他方の第2取付装置10Bは、第2溝形鋼2Bに支持部材23を取付けるのに用いる装置である。この第2取付装置10Bを第2溝形鋼2Bに固定してもこの第2溝形鋼2Bに検知器21自体が取付けられるわけではないが、別の第1溝形鋼2Aに取付けられている検知器21から延びる配線22を支持部材23によって支持できる。このため、この第2取付装置10Bも検知器21を第1溝形鋼2Aに取付けるための第1取付装置10Aと同様にこの検知器21の取付けに用いられる。
取付工具30は、第1取付装置10A及び第2取付装置10Bの両方に兼用で使用される。或いは、取付工具30を複数準備することによって、第1取付装置10A及び第2取付装置10Bのそれぞれに専用で使用することもできる。
詳細については後述するが、この取付工具30は、長尺工具であり、長軸状の回転部材31と、回転部材31を筒内に回転可能に収容する筒状部材32と、いずれも回転部材31に設けられたソケット部33及び入力部34を備えている。入力部34に電動工具38を取付けることによって取付工具30を駆動できる。
また、取付工具30の筒状部材32には、第1取付装置10A或いは及び第2取付装置10Bを保持するために、その上端部32aからソケット部33よりも上方まで延出する複数(本実施形態では2つ)の保持アーム36が設けられている。
敷設工具40は、取付工具30と同程度の寸法を有する長尺工具であり、円筒状のロッド41と、ロッド41の筒内に上下方向のスライド可能に収容された牽引部材42と、ロッド41の下端側に設けられたハンドル部43と、ロッド41の上端側に設けられた挟み部44と、を備えている。ハンドル部43は、作業者の手指によって操作される。
挟み部44は、固定部材44a及び可動部材44bを備えている。可動部材44bは、固定部材44aに対して回動可能に連結されており、ハンドル部43の操作によって固定部材44aとの間の間隔を調整可能に構成されている。
ハンドル部43が把持された状態で操作されていないとき、固定部材44aと可動部材44bとの間に配線22の外径を上回る間隔が形成される。一方で、固定部材44aと可動部材44bとの間に配線22が挿入された状態でハンドル部43が操作されると、可動部材44bは、牽引部材42を介して固定部材44aとの間の間隔を狭めるように動く。これにより、固定部材44aと可動部材44bとの間に配線22が挟み込まれる。
上記の取付工具30及び敷設工具40はいずれも、高所作業車(図示省略)の昇降装置8によって昇降可能な作業床9に乗り込んだ作業者によって操作されるのが好ましい。この場合、取付工具30及び敷設工具40のそれぞれを長くする寸法設定によって、屋根の陸梁面6よりも低所からでも梁内領域7にアクセスできる。
図2に示されるように、溝形鋼2(第1溝形鋼2A及び第2溝形鋼2B)は、厚みが概ね一定であり且つ断面形状が略C字の溝形鋼として構成されている。即ち、この溝形鋼2は、開口部が横向きとなるように配置された状態で、底板部3と、上板部4と、側板部5と、底板部3から上方へ延出するリップ3aと、上板部4から下方へ延出するリップ4aと、を有し、これらの要素によって溝形空間2aが区画されている。この溝形鋼2を、「C形鋼」或いは「リップ溝形鋼」ということもできる。
図3及び図4に示されるように、第1取付装置10Aは、取付部材11と、ベース部材15と、回転軸18と、コイルばね20と、を備えている。
図4に示されるように、本体部としての取付部材11は、互いに対向する2つの側壁部11aと、2つの側壁部11aを接続する上壁部11bと、検知器21が取付けられる取付アーム12と、を有する。この取付部材11において、2つの側壁部11aと上壁部11bとによって収容空間Saが形成されている。取付部材11は、鉄系材料によって構成されている。
なお、取付アーム12に検知器21が取付けられた状態の第1取付装置10Aを、「検知器取付装置」或いは「検知器」ということもできる。
ベース部材15は、取付部材11を第1溝形鋼2Aに対して位置決めするための位置決め部として構成されている。このベース部材15は、互いに対向する2つの側壁部15aと、2つの側壁部15aを接続する上壁部15bと、を有する。上壁部15bには、その下面にナット14が接合されており、且つナット14のねじ穴14aに連通する貫通穴15cが設けられている。このベース部材15は、取付部材11の収容空間Saに収容されるとともに、その収容状態で回動軸17を介して取付部材11を回動可能に支持するように構成されている。このベース部材15において、2つの側壁部15aと上壁部15bとによって収容空間Sbが形成されている。ベース部材15は、取付部材11と同様に、鉄系材料によって構成されている。
回転軸18は、ベース部材15による取付部材11の位置決め状態で垂直方向Xに沿って延在するように構成されている。この回転軸18は、ベース部材15に軸回転可能に設けられその軸回転運動をベース部材15に対する取付部材11の回動運動に変換する機能を有する。この機能を実現するために、回転軸18は、軸先端部18aから軸後端部18bまでの領域の全体或いは一部に雄ねじが形成されたねじ軸部18cを有する。この回転軸18のねじ軸部18cは、ベース部材15のナット14のねじ穴14aに進退可能に螺合している。このため、回転軸18は、2つの収容空間Sa,Sbの両方にわたって延在している。
回転軸18は、固定回転方向D1に軸回転するときにねじ軸部18cがナット14のねじ穴14aとの螺合によって取付部材11に向けて前進してこの回転軸18の軸先端部18aが取付部材11の上壁部11bを押圧してこの取付部材11を挟込方向D2に付勢するように構成されている。この回転軸18の軸先端部18aには、既知の抜け止め加工が施されているのが好ましい。
本構成によれば、ねじ軸部18cを有する回転軸18を使用することによって、回転軸18の軸回転運動をベース部材15に対する取付部材11の挟込方向D2の回動運動に変換する構造を簡素化できる。
回転軸18は、その軸後端部18bが取付工具30のソケット部33に係合するように構成されている。そして、取付工具30のソケット部33が回転軸18の軸後端部18bに係合した状態で、取付工具30から回転軸18に固定回転方向D1の軸力が入力されるようになっている。
なお、回転軸18に代えて、ねじ軸部18cに相当する部位を有するボルト部材を使用して、このボルト部材の頭部が取付工具30のソケット部33に係合するように構成することもできる。
また、ベース部材15の上壁部15bに接合されたナット14を省略して、このナット14のねじ穴14aに相当するねじ穴として上壁部15bの貫通穴15cを用いることもできる。
第1取付装置10Aにおいて、取付部材11に第1固定アーム13が設けられ、ベース部材15に第1固定アーム13に対向する第2固定アーム16が設けられている。第1固定アーム13及び第2固定アーム16は、回転軸18が固定回転方向D1に軸回転して取付部材11が挟込方向D2へ回動することによって、互いに近接するように構成されている。
コイルばね20は、ベース部材15に収容空間Sbに収容され、且つナット14とダブルナット19との間に介装されている。ダブルナット19は、回転軸18に螺合した2つのナットを組み合わせてなる。このコイルばね20は、ねじ軸部18cが前進する前進方向D3の逆方向D4へ回転軸18を弾性付勢する機能を有する。この機能によれば、回転軸18のねじ軸部18cにおけるねじ穴14aとの螺合が緩むのをコイルばね20の弾性付勢力を利用して防ぐことができる。
なお、必要に応じて、コイルばね20に代えて、別の種類のばねやゴム材料からなる部材など、別の弾性部材を使用することもできる。
また、ねじ軸部18cとねじ穴14aとの螺合の緩みが許容される場合や、この緩みを別の手段によって防ぐ場合には、コイルばね20のような弾性部材を省略することもできる。
図5及び図6に示されるように、第2取付装置10Bは、第1取付装置10Aと同様の構成を有し、取付部材11と、ベース部材15と、回転軸18と、コイルばね20と、を備えている。この第2取付装置10Bにおいて、第1取付装置10Aの構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付している。
この第2取付装置10Bは、取付部材11の取付アーム12に支持部材23が取付けられる点についてのみ、第1取付装置10Aと相違している。このため、この第2取付装置10Bについて、第1取付装置10Aの構成要素と同一の構成要素の説明は省略する。
なお、取付アーム12に支持部材23が取付けられた状態の第2取付装置10Bを、「検知器取付装置」ということもできる。
図7に示されるように、取付工具30の回転部材31は、筒状部材32との間に介装された既知のベアリング35によって軸周り方向に回転可能に支持されている。
取付工具30のソケット部33は、回転部材31の先端部31aに設けられている。このソケット部33は、回転軸18の軸後端部18bを挿入可能な係合空間33aを有し、この係合空間33aに軸後端部18bのねじ溝を直に掴む(係合する)ことができる掴み部(図示省略)を内蔵している。即ち、このソケット部33は、所謂「全ねじソケット」と同様の構造を有する。このため、ソケット部33は、第1取付装置10A及び第2取付装置10Bのそれぞれの回転軸18に係合可能に構成されている。このソケット部33の係合性能を向上させるためには、即ちソケット部33に対してより確実に係合させるためには、回転軸18を長くしてソケット部33の係合空間33aに深く差し込んで係合できる構造を採用するのが好ましい。
取付工具30の入力部34は、回転部材31の後端部31bに設けられている。この入力部34は、水平方向Yの横断面が六角形をなす六角軸部として構成されている。この入力部34に電動工具38が着脱可能に接続される。ここで、電動工具38は、入力部34に接続された状態で回転軸18を固定回転方向D1へ軸回転させる取付工具30の駆動源として構成されている。
このため、回転軸18に取付工具30のソケット部33を下方から係合させた状態で、具体的にはソケット部33の係合空間33aに回転軸18の軸後端部18bを差し込んだ状態で、入力部34を電動工具38で固定回転方向D1に回転駆動することによって、取付工具30の入力部34、回転部材31及びソケット部33を順次経由して回転軸18に固定回転方向D1の軸力が入力されるように構成されている。
また、取付工具30の使用時には、電動工具38を入力部34に接続して回転軸18に軸力を入力する一方で、取付工具30の運搬時には、電動工具38を入力部34から分離して取付工具30とは別に運搬できる。この場合、電動工具38を必要に応じて取付工具30の入力部34に接続したり分離したりできるため使い勝手が良い。
取付工具30の2つの保持アーム36は、第1取付装置10A或いは第2取付装置10Bの回転軸18の軸後端部18bにソケット部33を下方から係合させた状態で取付部材11を挟むように構成されている。本構成によれば、取付部材11の水平方向Yの動きを取付工具30の2つの保持アーム36で規制することによって、第1取付装置10A或いは第2取付装置10Bを保持できる。
また、取付部材11は、鉄系材料からなる強磁性体であり、また2つの保持アーム36のそれぞれには、取付部材11に吸着可能な磁石37が設けられている。この磁石37は、永久磁石である。これにより、2つの保持アーム36は、取付部材11を磁石37によって吸着保持できる。このため、2つの保持アーム36によって取付部材11の水平方向Yの動きを規制する効果が高くなり、第1取付装置10A或いは第2取付装置10Bを安定的に保持できる。2つの保持アーム36の剛性を高めるために、これらを補強部材(図示省略)によって連結することもできる。
なお、2つの保持アーム36が取付部材11に代えて或いは加えてベース部材15を挟むように構成されてもよい。本構成の場合、ベース部材15も鉄系材料からなる強磁性体であるため、このベース部材15は保持アーム36の磁石37によって吸着保持される。また、保持アーム36の数は2つ以外であってもよい。
次に、図8〜図14を参照しながら、実施形態1の検知器取付方法について説明する。
図8のフローチャートに示されるように、この検知器取付方法は、天井面1の溝形鋼2に検知器21を取付ける方法であり、ステップS101からステップS108までの処理を順次実行することによって達成される。
なお、必要に応じてこのフローチャートに別のステップが追加されてもよいし、或いはこのフローチャートの1つのステップが複数のステップに分割されてもよい。
第1ステップS101は、第1取付装置10A及び第2取付装置10Bの両方を準備する準備ステップである。この第1ステップS101において、準備した第1取付装置10Aの取付部材11の取付アーム12に検知器21を取付け、且つ準備した第2取付装置10Bの取付部材11の取付アーム12に支持部材23を取付ける。
検知器21が第1取付装置10Aに予め取付けられており、支持部材23が第2取付装置10Bに予め取付けられている場合には、これらの第1取付装置10A及び第2取付装置10Bを準備するのみでよい。
第2ステップS102は、第1ステップS101に次いで実行される。図9に示されるように、この第2ステップS102は、第1ステップS101で準備した第1取付装置10Aの回転軸18に取付工具30のソケット部33を下方から係合させた状態でこの取付工具30を垂直方向Xに沿って立てて第1取付装置10Aを下方から持ち上げる持ち上げステップである。この第2ステップS102では、高所作業車の作業床9に乗り込んだ作業者が陸梁面6付近で取付工具30を操作する(図1参照)。
この第2ステップS102によれば、取付工具30のみを使用して第1取付装置10Aを梁内領域7の第1溝形鋼2Aまでアクセスさせることができる。
また、この第2ステップS102では、第1取付装置10Aの取付部材11の側壁部11aを取付工具30の2つの保持アーム36のそれぞれの磁石37を介して吸着保持する。これにより、第1取付装置10Aを安定して持ち上げることができる。
第3ステップS103は、第2ステップS102に次いで実行される。図10及び図11に示されるように、この第3ステップS103は、第2ステップS102で持ち上げた第1取付装置10Aの取付部材11がベース部材15によって第1溝形鋼2Aに対して位置決めされるように取付工具30を操作する位置決めステップである。
この第3ステップS103では、第1取付装置10Aは、取付工具30による位置合わせ操作により、第1固定アーム13が第1溝形鋼2Aの溝形空間2aに挿入され且つ第2固定アーム16が第1溝形鋼2Aの底板部3の下面3bに当接した係合位置P1に設定される。このとき、第1溝形鋼2Aの底板部3から上方へ延出するリップ3aは、取付部材11に凹み形成された凹部11cに収容される。これにより、第1取付装置10Aが係合位置P1にあるとき、取付部材11は、第1溝形鋼2Aに対して位置決めされた位置決め状態となる。
この第3ステップS103によれば、第1取付装置10Aが第1溝形鋼2Aに対して固定前の位置決めがなされる。
ここで、図10に示されるように、第1取付装置10Aのベース部材15は、回転軸18が垂直方向Xに沿って延在した状態にあるとき、第2固定アーム16が第1溝形鋼2Aの底板部3の下面3bに沿って延在するように構成されている。
従って、この第1取付装置10Aによれば、ベース部材15の第2固定アーム16を第1溝形鋼2Aの底板部3の下面3bに当接させた状態で、回転軸18を垂直方向Xに沿って延在させたまま安定した姿勢で固定回転方向D1に軸回転させることができる。
また、この第1取付装置10Aによれば、第1溝形鋼2Aの底板部3の向きに応じて第2固定アーム16の向きを設定することによって、底板部3の向きが異なる溝形鋼2に対しても、取付時に回転軸18が垂直方向に沿って延在したままで軸回転する構造を実現できる。
第4ステップS104は、第3ステップS103に次いで実行される。図10に示されるように、この第4ステップS104は、第3ステップS103で係合位置P1に設定した第1取付装置10Aを固定位置P2に設定するステップであり、詳しくは、第3ステップS103で位置決めされた第1取付装置10Aの回転軸18を取付工具30とともに垂直方向に沿って延在させたまま、取付工具30で回転軸18を固定回転方向D1に軸回転させる動作を利用して取付部材11を第1溝形鋼2Aに固定する固定ステップである。この第4ステップS104において、取付工具30を垂直方向Xに沿って立てた状態で外部の電動工具38から取付工具30の入力部34に軸力を入力する。
このとき、取付工具30で第1取付装置10Aの回転軸18を固定回転方向D1に軸回転させることによって、回転軸18はねじ軸部18cとナット14のねじ穴14aとの螺合により前進方向D3の突出量が増える。このため、回転軸18の軸先端部18aが取付部材11の上壁部11bを押圧してこの取付部材11を回動軸17を中心に挟込方向D2に回動させる。そして、第1固定アーム13と第2固定アーム16との間に第1溝形鋼2Aの底板部3が挟み込まれるまで、取付工具30で回転軸18を固定回転方向D1に軸回転させる。
また、このとき、第1取付装置10Aの回転軸18は前進方向D3に前進するほどにコイルばね20から受ける弾性付勢力が強まる。このため、回転軸18のねじ軸部18cにおけるねじ穴14aとの螺合が緩むのを防ぐことができる。
この第4ステップS104によれば、取付部材11が第1溝形鋼2Aに対して位置決めされた位置決め状態にあるときに回転軸18が取付工具30及び電動工具38から入力された軸力で固定回転方向D1に軸回転する動作を利用して取付部材11が第1溝形鋼2Aに固定される。そして、第1取付装置10Aが係合位置P1から固定位置P2に至るまで、回転軸18が垂直方向Xに沿った方向に延在した状態を維持できる。
なお、本明細書でいう「垂直方向Xに沿った方向」には、水平面に対して直角をなす垂直方向Xに一致する方向以外に、この垂直方向Xから所定の許容角度の範囲内で傾斜した方向が包含される。
従って、第4ステップS104及び後述のステップS107において、回転軸18は、垂直方向Xに延在していてもよいし、或いは垂直方向Xから所定の許容角度の範囲内で傾斜した方向に延在していてもよい。この場合、取付工具30及び電動工具38を使用して回転軸18を固定回転方向D1に軸回転させることができる範囲で、回転軸18を垂直方向Xから傾斜させることができる。
第1取付装置10Aが固定位置P2において第1溝形鋼2Aに固定された状態では、検知器21のカバー面21aが真下を向くような水平状態に設定されるのが好ましい。また、設置場所によっては、検知器21を水平状態から45°までの範囲内で傾けて固定することもできる。
第5ステップS105は、第4ステップS104に次いで実行される。図12に示されるように、この第5ステップS105は、第1ステップS101で準備した第2取付装置10Bの回転軸18に取付工具30のソケット部33を下方から係合させた状態でこの取付工具30を垂直方向Xに沿って立てて第2取付装置10Bを下方から持ち上げる第2持ち上げステップである。この第5ステップS105では、第2ステップS102の場合と同様に、高所作業車の作業床9に乗り込んだ作業者が陸梁面6付近で取付工具30を操作する(図1参照)。
この第5ステップS105によれば、取付工具30のみを使用して第2取付装置10Bを梁内領域7の第2溝形鋼2Bまでアクセスさせることができる。
また、この第5ステップS105では、第2取付装置10Bの取付部材11の側壁部11aを取付工具30の2つの保持アーム36のそれぞれの磁石37を介して吸着保持する。これにより、第2取付装置10Bを安定して持ち上げることができる。
第6ステップS106は、第5ステップS105に次いで実行される。図13及び図14に示されるように、この第6ステップS106は、第5ステップS105で持ち上げた第2取付装置10Bの取付部材11がベース部材15によって第1溝形鋼2Aとは別の第2溝形鋼2Bに対して位置決めされるように取付工具30を操作する第2位置決めステップである。
この第6ステップS106では、第2取付装置10Bは、取付工具30による位置合わせ操作により、第1固定アーム13が第2溝形鋼2Bの溝形空間2aに挿入され且つ第2固定アーム16が第2溝形鋼2Bの底板部3の下面3bに当接した係合位置Q1に設定される。このとき、第2溝形鋼2Bの底板部3から上方へ延出するリップ3aは、取付部材11に凹み形成された凹部11cに収容される。これにより、第2取付装置10Bが係合位置Q1にあるとき、取付部材11は、第2溝形鋼2Bに対して位置決めされた位置決め状態となる。
この第6ステップS106によれば、第2取付装置10Bが第2溝形鋼2Bに対して固定前の位置決めがなされる。
ここで、図13に示されるように、第2取付装置10Bのベース部材15は、回転軸18が垂直方向Xに沿って延在した状態にあるとき、第2固定アーム16が第2溝形鋼2Bの底板部3の下面3bに沿って延在するように構成されている。
従って、この第2取付装置10Bによれば、ベース部材15の第2固定アーム16を第2溝形鋼2Bの底板部3の下面3bに当接させた状態で、回転軸18を垂直方向Xに沿って延在させたまま安定した姿勢で固定回転方向D1に軸回転させることができる。
また、この第2取付装置10Bによれば、第2溝形鋼2Bの底板部3の向きに応じて第2固定アーム16の向きを設定することによって、底板部3の向きが異なる溝形鋼2に対しても、取付時に回転軸18が垂直方向に沿って延在したままで軸回転する構造を実現できる。
また、この第2取付装置10Bによれば、ベース部材15の第2固定アーム16を第2溝形鋼2Bの底板部3の下面3bに押し当てることによって、回転軸18を垂直方向Xに沿って延在させたまま安定した姿勢で固定回転方向D1に軸回転させることができる。
第7ステップS107は、第6ステップS106に次いで実行される。図13に示されるように、この第7ステップS107は、第6ステップS106で係合位置Q1に設定した第2取付装置10Bを固定位置Q2に設定するステップであり、詳しくは、第6ステップS106で位置決めされた第2取付装置10Bの回転軸18を取付工具30とともに垂直方向に沿って延在させたまま、取付工具30で回転軸18を固定回転方向D1に軸回転させる動作を利用して取付部材11を第2溝形鋼2Bに固定する第2固定ステップである。この第7ステップS107において、取付工具30を垂直方向Xに沿って立てた状態で外部の電動工具38から取付工具30の入力部34に軸力を入力する。
このとき、取付工具30で第2取付装置10Bの回転軸18を固定回転方向D1に軸回転させることによって、回転軸18はねじ軸部18cとナット14のねじ穴14aとの螺合により前進方向D3の突出量が増える。このため、回転軸18の軸先端部18aが取付部材11の上壁部11bを押圧してこの取付部材11を回動軸17を中心に挟込方向D2に回動させる。そして、第1固定アーム13と第2固定アーム16との間に第2溝形鋼2Bの底板部3が挟み込まれるまで、取付工具30で回転軸18を固定回転方向D1に軸回転させる。
また、第2取付装置10Bの回転軸18は前進方向D3に前進するほどにコイルばね20から受ける弾性付勢力が強まる。このため、回転軸18のねじ軸部18cにおけるねじ穴14aとの螺合が緩むのを防ぐことができる。
この第7ステップS107によれば、取付工具30及び電動工具38を使用して、第2取付装置10Bを第2溝形鋼2Bに固定できる。
第8ステップS108は、第7ステップS107に次いで実行される。この第8ステップS108は、第1取付装置10Aに取付けられている検知器21から延びる配線22を敷設する敷設ステップである。この第8ステップS108では、第2ステップS102及び第5ステップS105の場合と同様に、高所作業車の作業床9に乗り込んだ作業者が陸梁面6付近で敷設工具40を操作する(図1参照)。作業者は、ハンドル部43を手指で操作しながら挟み部44で配線22を挟みこんで、第2取付装置10Bに取付けられている支持部材23にこの配線22を引っ掛けながらフロア付近までガイドする。
この第8ステップS108によれば、作業者が配線22の敷設操作を楽に行うことが可能になる。
なお、上述の第4ステップS104で第1溝形鋼2Aに固定した第1取付装置10Aや、第7ステップS107で第2溝形鋼2Bに固定した第2取付装置10Bを取外す場合には、取付工具30及び電動工具38を使用して、回転軸18に取付工具30のソケット部33を下方から係合させた状態でこのソケット部33が固定回転方向D1の逆方向に軸回転するように電動工具38を使用すればよい。
また、上述の第5ステップS105において、ステップS104で第1溝形鋼2Aに固定した第1取付装置10Aの取付部材11に取付けられている検知器21から延びる配線22を第2取付装置10Bの取付部材11に取付けられている支持部材23によって支持した状態でこの第2取付装置10Bを持ち上げるようにしてもよい。
この場合、第1溝形鋼2Aに取付けた検知器21から延びる配線22が第2溝形鋼2Bに取付ける前の支持部材23によって予め支持されるため、第2溝形鋼2Bに支持部材23を取付けた後での配線22の敷設作業が簡単になる。
また、上述の第4ステップS104及び第7ステップS107では、電動工具38としてインパクトドリルを使用するのが好ましい。これにより、回転軸18に付与される締付トルクを一定にすることができ、溝形鋼2A,2Bに対する取付装置10A,10Bの取付け精度を向上させることが可能になる。
次に、上述の実施形態1の作用効果について説明する。
上記の検知器取付システム100において、検知器取付装置10(第1取付装置10A及び第2取付装置10B)が溝形鋼2(第1溝形鋼2A及び第2溝形鋼2B)に対して係合位置にあるとき、回転軸18は、電動工具38及び取付工具30による外部からの軸力の入力によって、垂直方向Xに沿って延在したままの状態を維持しつつ固定回転方向D1に軸回転する。このときの回転軸18の軸回転運動がベース部材15に対する取付部材11の挟込方向D2の回動運動に変換されることによって、溝形鋼2の底板部3が第1固定アーム13と第2固定アーム16の両方で挟み込まれる。これにより、検知器取付装置10が溝形鋼2に固定される。
ここで、検知器取付装置10の回転軸18は、垂直方向Xに沿って延在した状態で取付工具30からこの回転軸18に入力される軸力によって固定回転方向D1に軸回転することができる。このとき、検知器取付装置10が溝形鋼2に固定されるまで、回転軸18を垂直方向Xに沿って延在したままの状態に維持できる。このため、長尺の取付工具30を使用することによって、この回転軸18を作業者が直に手指で操作することなく固定回転方向D2に軸回転させることができる。この場合、比較的簡単な構造の取付工具30を使用して作業を行うことができ、しかも別々の手で異なる操作を行う必要がないため、作業者に対する負担を抑えることができる。
また、取付工具30を長くする寸法設定によって、屋根の陸梁面6よりも低所からでも検知器取付装置10の回転軸18にアクセスできるため、陸梁面6よりも上方の梁内領域7に仮設足場を設置する必要がなく、仮設足場を設置する場合に比べて検知器21の取付けに要する費用を安くできる。
その結果、建物の天井面1への検知器21の取付け費用を低く抑え且つ取付け時の作業負担を下げるのに有効な取付技術を提供できる。
また、検知器21を伴う第1取付装置10Aを第1溝形鋼2Aに固定した後に、支持部材23を伴う第2取付装置10Bを第2溝形鋼2Bに固定することができる。第1取付装置10A及び第2取付装置10Bは、天井面1に対して同じ向きで設置される。そして、第1溝形鋼2Aに取付けた検知器21から延びる配線22を、第2溝形鋼2Bに取付けた支持部材23を使用して敷設することができる。
次に、実施形態1に関連する他の実施形態について図面を参照しつつ説明する。他の実施形態において、実施形態1の要素と同一の要素には同一の符号を付しており、当該同一の要素についての説明は省略する。
(実施形態2)
図15に示されるように、実施形態2の検知器取付システム200は、2つの検知器取付装置210と、取付工具30(図7参照)と、敷設工具40と、を備えている。この検知器取付システム200は、検知器取付装置210の構造についてのみ実施形態1の検知器取付システム100のものと相違している。
実施形態2の検知器取付装置210である一方の第1取付装置210Aは、実施形態1の第1取付装置10Aと同様に、第1溝形鋼2Aに検知器21を取付けるのに用いる装置である。
実施形態2の検知器取付装置210である他方の第2取付装置210Bは、実施形態1の第2取付装置10Bと同様に、第2溝形鋼2Bに支持部材23を取付けるのに用いる装置である。
図16に示されるように、第1取付装置210Aは、フレーム部材210aと、回転軸18と、コイルばね20と、を備えている。
フレーム部材210aは、本体部211及び位置決め部215が互いに一体化された構造になっている。本体部211は、実施形態1の取付アーム12と同様に検知器21が取付けられる取付アーム212と、位置決め部215の対向面216と対向する位置まで延出した延出アーム213と、を有する。このフレーム部材210aは、実施形態1の取付部材11と同様に、鉄系材料によって構成されている。
位置決め部215は、本体部211を第1溝形鋼2Aに対して位置決めするためのものであり、本体部211との間に第1溝形鋼2Aの底板部3から上方へ延出するリップ3aが係合可能なスリット状の係合溝217を有する。この係合溝217は、第1溝形鋼2Aのリップ3aの板幅を上回る溝幅を有し、且つリップ3aの長さを上回る溝深さを有するように寸法設定されている。
なお、係合溝217の形状及び寸法は、係合対象であるリップ3aの形状及び寸法に応じて適宜に変更が可能である。
図17に示されるように、本体部211は、互いに対向する2つの側壁部211aと、2つの側壁部211aを接続する上壁部211bと、を有する。また、位置決め部215は、互いに対向する2つの側壁部215aと、2つの側壁部215aを接続する上壁部215bと、を有する。2つの側壁部215aのそれぞれの下面によって位置決め部215の対向面216が構成されている。
図16及び図17に示されるように、回転軸18は、位置決め部215による本体部211の位置決め状態で垂直方向Xに沿って延在するように構成されている。この回転軸18は、本体部211に軸回転可能に設けられ、特にねじ軸部18cは、本体部211の延出アーム213に固定されたナット14のねじ穴14aに進退可能に螺合している。このため、回転軸18は、固定回転方向D1に軸回転するときにねじ軸部18cがナット14のねじ穴14aとの螺合によって位置決め部215の対向面216に向けて前進するように構成されている。
そして、位置決め部215の係合溝217が第1溝形鋼2Aのリップ3aと係合することによって、即ち係合溝217にリップ3aが挿入されることによって、本体部211が第1溝形鋼2Aに対して位置決めされた位置決め状態となり、この位置決め状態で回転軸18が固定回転方向D1に軸回転することによってこの回転軸18の軸先端部18aと位置決め部215の対向面216との間に第1溝形鋼2Aの底板部3を挟み込むように構成されている。回転軸18は、その軸先端部18aにおいて第1溝形鋼2Aの底板部3に対して斜め方向から当接する。この場合、本体部211が位置決め状態にあるときに回転軸18が外部から入力された軸力で固定回転方向D1に軸回転して、軸先端部18aが第1溝形鋼2Aの底板部3の下面3bを押圧する動作を利用することにより、本体部211が第1溝形鋼2Aに固定される。
一方で、図18及び図19に示されるように、第2取付装置210Bは、第1取付装置210Aと同様の構成を有し、フレーム部材210aと、回転軸18と、コイルばね20と、を備えている。
この第2取付装置210Bにおいて、フレーム部材210aの本体部211を構成する取付アーム212に支持部材23が取付けられる。また、位置決め部215は、本体部211を第2溝形鋼2Bに対して位置決めするためのものであり、本体部211との間に第2溝形鋼2Bのリップ3aが係合可能な係合溝217を有する。
そして、位置決め部215の係合溝217に第2溝形鋼2Bのリップ3aが挿入されることによって本体部211が第2溝形鋼2Bに対して位置決めされた位置決め状態となり、この位置決め状態で回転軸18が固定回転方向D1に軸回転することによってこの回転軸18の軸先端部18aと位置決め部215の対向面216との間に第2溝形鋼2Bの底板部3を挟み込むように構成されている。回転軸18は、その軸先端部18aにおいて第2溝形鋼2Bの底板部3に対して斜め方向から当接する。この場合、本体部211が位置決め状態にあるときに回転軸18が外部から入力された軸力で固定回転方向D1に軸回転して、軸先端部18aが第2溝形鋼2Bの底板部3の下面3bを押圧する動作を利用することにより、本体部211が第2溝形鋼2Bに固定される。
その他の構成は、実施形態1と同様である。
実施形態2の検知器取付方法は、実施形態1の場合と同様に、図8のフローチャートにしたがって実行される。以下、この検知器取付方法について、図8を援用しながら説明する。
準備ステップとしての第1ステップS101では、準備した第1取付装置210Aの本体部211の取付アーム212に検知器21を取付け、且つ準備した第2取付装置210Bの本体部211の取付アーム212に支持部材23を取付ける。
持ち上げステップとしての第2ステップS102では、第1ステップS101で準備した第1取付装置210Aの回転軸18に取付工具30のソケット部33を下方から係合させた状態でこの取付工具30を垂直方向Xに沿って立てて第1取付装置210Aを下方から持ち上げる。
また、この第2ステップS102では、第1取付装置210Aの本体部211の側壁部211aを取付工具30の2つの保持アーム36のそれぞれの磁石37を介して吸着保持する。
位置決めステップとしての第3ステップS103では、第2ステップS102で持ち上げた第1取付装置210Aの本体部211が位置決め部215によって第1溝形鋼2Aに対して位置決めされるように取付工具30を操作する。
図20に示されるように、第1取付装置210Aは、取付工具30による位置合わせ操作により、第1溝形鋼2Aのリップ3aが位置決め部215の係合溝217に挿入され、本体部211が第1溝形鋼2Aに対して位置決めされた位置決め状態に設定される。
固定ステップとしての第4ステップS104では、第3ステップS103で位置決めされた第1取付装置210Aの回転軸18を取付工具30とともに垂直方向に沿って延在させたまま、取付工具30で回転軸18を固定回転方向D1に軸回転させる動作を利用して本体部211を第1溝形鋼2Aに固定する。
図20に示されるように、取付工具30で第1取付装置210Aの回転軸18を固定回転方向D1に軸回転させることによって、回転軸18はねじ軸部18cとナット14のねじ穴14aとの螺合により前進方向D3の突出量が増える。回転軸18の軸先端部18aと位置決め部215の対向面216との間に第1溝形鋼2Aの底板部3が挟み込まれるまで、取付工具30で回転軸18を固定回転方向D1に軸回転させる。
また、このとき、第1取付装置210Aの回転軸18は前進方向D3に前進するほどにコイルばね20から受ける弾性付勢力が強まる。このため、回転軸18のねじ軸部18cにおけるねじ穴14aとの螺合が緩むのを防ぐことができる。
第2持ち上げステップとしての第5ステップS105では、第1ステップS101で準備した第2取付装置210Bの回転軸18に取付工具30のソケット部33を下方から係合させた状態でこの取付工具30を垂直方向Xに沿って立てて第2取付装置210Bを下方から持ち上げる。
また、この第5ステップS105では、第2取付装置210Bの本体部211の側壁部211aを取付工具30の2つの保持アーム36のそれぞれの磁石37を介して吸着保持する。
第2位置決めステップとしての第6ステップS106では、第5ステップS105で持ち上げた第2取付装置210Bの本体部211が位置決め部215によって第2溝形鋼2Bに対して位置決めされるように取付工具30を操作する。
図21に示されるように、第2取付装置210Bは、取付工具30による位置合わせ操作により、第2溝形鋼2Bのリップ3aが位置決め部215の係合溝217に挿入され、本体部211が第2溝形鋼2Bに対して位置決めされた位置決め状態に設定される。
第2固定ステップとしての第7ステップS107では、第6ステップS106で位置決めされた第2取付装置210Bの回転軸18を取付工具30とともに垂直方向に沿って延在させたまま、取付工具30で回転軸18を固定回転方向D1に軸回転させる動作を利用して本体部211を第2溝形鋼2Bに固定する。
図21に示されるように、取付工具30で第2取付装置210Bの回転軸18を固定回転方向D1に軸回転させることによって、回転軸18はねじ軸部18cとナット14のねじ穴14aとの螺合により前進方向D3の突出量が増える。回転軸18の軸先端部18aと位置決め部215の対向面216との間に第2溝形鋼2Bの底板部3が挟み込まれるまで、取付工具30で回転軸18を固定回転方向D1に軸回転させる。
また、このとき、第2取付装置210Bの回転軸18は前進方向D3に前進するほどにコイルばね20から受ける弾性付勢力が強まる。このため、回転軸18のねじ軸部18cにおけるねじ穴14aとの螺合が緩むのを防ぐことができる。
敷設ステップとしての第8ステップS108では、実施形態1の場合と同様に、第1取付装置210Aに取付けられている検知器21から延びる配線22を敷設するために、高所作業車の作業床9に乗り込んだ作業者が陸梁面6付近で敷設工具40を操作する(図15参照)。作業者は、ハンドル部43を手指で操作しながら挟み部44で配線22を挟みこんで、第2取付装置210Bに取付けられている支持部材23にこの配線22を引っ掛けながらフロア付近までガイドする。
実施形態2によれば、本体部211及び位置決め部215が互いに一体化されてなるフレーム部材210aを使用することによって、取付装置210A,210Bの構造を簡素化でき、実施形態1の取付装置10A,10Bに比べて部品点数を削減できる。その結果、取付装置210A,210Bを安価で提供できる。
その他、実施形態1と同様の作用効果を奏する。
(実施形態3)
図23に示されるように、実施形態3の検知器取付システム300は、2つの検知器取付装置310と、取付工具330と、敷設工具40と、を備えている。この検知器取付システム300は、検知器取付装置310及び取付工具330のそれぞれの構造について、実施形態2の検知器取付システム200のものと相違している。
その他の構造は、実施形態1,2と同様である。
2つの検知器取付装置310のうちの一方の第1取付装置310Aは、実施形態2の第1取付装置210A(図20参照)と同様に、第1溝形鋼2Aに検知器21を取付けるのに用いる装置であり、他方の第2取付装置310Bは、実施形態2の第2取付装置210B(図21)と同様に、第2溝形鋼2Bに支持部材23を取付けるのに用いる装置である。
この取付けの際に、取付工具330及び敷設工具40が使用される。詳細については後述するが、この取付工具330は先端部の折り曲げ構造を有しており、必要に応じて取付工具330を直線的に延ばして使用したり、先端部にて所望の角度で折り曲げて使用したりすることができる。また、この取付工具330は、必要に応じて工具延長ユニット360を接続し、工具長さを延ばして使用することができる。
図24に示されるように、第1取付装置310Aは、延出アーム213に接合されたナット14の向きが第1取付装置210Aのものと相違しており、本体部211の位置決め状態で第1溝形鋼2Aの底板部3と直交する方向に回転軸18が延在するように構成されている。即ち、回転軸18は、概して垂直方向X(以下の説明では、「鉛直方向」ともいう。)に沿って延在しているが、その延在方向は垂直方向Xに一致しておらず、垂直方向Xに対して所定の傾斜角度で傾斜しており、第1溝形鋼2Aの底板部3の延在平面の法線方向に延在している。
これにより、本体部211の位置決め状態で回転軸18が固定回転方向D1に軸回転すると、回転軸18の軸先端部18aが第1溝形鋼2Aの底板部3に対して垂直に当接して、その軸先端部18aと位置決め部215の対向面216との間に第1溝形鋼2Aの底板部3を挟み込むようになっている。
図25に示されるように、第2取付装置310Bは、延出アーム213に接合されたナット14の向きが第2取付装置210Bのものと相違しており、本体部211の位置決め状態で第2溝形鋼2Bの底板部3と直交する方向に回転軸18が延在するように構成されている。即ち、回転軸18は、概して垂直方向Xに沿って延在しているが、その延在方向は垂直方向Xに一致しておらず、垂直方向Xに対して所定の傾斜角度で傾斜しており、第2溝形鋼2Bの底板部3の延在平面の法線方向に延在している。
これにより、本体部211の位置決め状態で回転軸18が固定回転方向D1に軸回転すると、回転軸18の軸先端部18aが第2溝形鋼2Bの底板部3に対して垂直に当接し、その軸先端部18aと位置決め部215の対向面216との間に第2溝形鋼2Bの底板部3を挟み込むようになっている。
上述のように、第1取付装置310A及び第2取付装置310Bはいずれも、固定時に回転軸18が溝形鋼2A,2Bの底板部3に垂直に当接することになるため、固定時に回転軸18が溝形鋼2A,2Bの底板部3に斜めに当接する構造に比べると、固定強度を向上させることができるという利点がある。
ところで、第1取付装置310A及び第2取付装置310Bのように、回転軸18が鉛直方向に対して傾斜している構造の場合、図7に示されるような、直線的に延びる取付工具30を使用すると、工具先端部のソケット部33を回転軸18に鉛直方向の直下から係合させる作業が難しい。
そこで、本実施形態では、図26に示されるように、工具先端部の角度変更が可能な機能を備えた取付工具330を採用している。この機能を実現するために、取付工具330は、回転部材31の先端部31aと後端部31bとの間に折り曲げ自在に設けられた自在継手340と、この自在継手340の折り曲げ角度を調節可能な調節機構350と、を有する。
図26及び図27に示されるように、自在継手340は、所謂、シングルタイプのユニバーサルジョイントとして構成されている。この自在継手340は、回転部材31の後端部31bに接続された第1ヨーク341と、回転部材31の先端部31aに接続された第2ヨーク342と、第1ヨーク341と第2ヨーク342と間に介装されたコマ343と、を備えている。
第1ヨーク341及び第2ヨーク342はそれぞれ、コマ343に回動可能に接続されている。第1ヨーク341とコマ343との接続は、第1ピン343aによってなされている。具体的には、第1ヨーク341及びコマ343にはそれぞれ貫通孔(図示省略)が形成されており、これらの貫通孔に同軸的に挿入された第1ピン343aを介してコマ343が第1ヨーク341に回動可能に軸支されている。
同様に、第2ヨーク342とコマ343との接続は、第1ピン343aと垂直に交差する位置関係にある第2ピン343bによってなされている。具体的には、第2ヨーク342及びコマ343にはそれぞれ貫通孔(図示省略)が形成されており、これらの貫通孔に同軸的に挿入された第2ピン343bを介してコマ343が第2ヨーク342に回動可能に軸支されている。
この自在継手340において、第1ヨーク341に対して第2ヨーク342がコマ343を介して折り曲げ自在であり、例えば折り曲げ角度α(図27参照)で折り曲げられる。このとき、回転部材31の後端部31bの回転は、第1ヨーク341、コマ343、第2ヨーク342を経て回転部材31の先端部31aに伝達可能である。
図26、図28及び図29に示されるように、筒状部材32は、いずれも筒状の2つの上端部32aと下端部32bとに分割され、折り曲げ回転時の横揺れ防止機能を備えている。
調節機構350は、一端部が筒状部材32の2つの上端部32aのそれぞれに固定され、且つ他端部が自在継手340に向けて延出したプレート状の2つの第1ブラケット351と、一端部が筒状部材32の下端部32bに固定され、且つ他端部が自在継手340に向けて延出したプレート状の2つの第2ブラケット352と、を備えている。
この調節機構350において、2つの第1ブラケット351のそれぞれの他端部は、2つの第2ブラケット352のうち対応する第2ブラケット352の他端部と水平方向Yについて重なるように構成されている。第1ブラケット351及び第2ブラケット352は、それぞれの他端部の重なり部分において回動軸353によって回動可能に連結されており、且つ蝶ナットからなる2つの固定部材354によって回動位置を固定できるように構成されている。
図28中のA領域を参照すれば、固定部材354は、作業者が直接的に手指で締め付け操作及び締め付け解除操作が可能な形状を有する頭部354aと、この頭部354aから延出したネジ軸354bと、を有する。この固定部材354は、第1ブラケット351に設けられた貫通孔351aを貫通し、第2ブラケット352に形成された雌ネジ穴352aにネジ軸354bにおいて螺合している。
このため、固定部材354の締付け操作によって、ネジ軸354bの先端が第2ブラケット352に押し付けられる力が強まる。その結果、第1ブラケット351及び第2ブラケット352は、互いに固定されて回動軸353まわりの回動が阻止される。これに対して、固定部材354の締付け解除操作によって、ネジ軸354bの先端が第2ブラケット352に押し付けられる力が弱まる。その結果、第1ブラケット351及び第2ブラケット352は、互いの固定が解除されて回動軸353まわりの回動が許容される。
上記の調節機構350によれば、取付工具330の回転部材31は、自在継手340において折り曲げられた状態でその折り曲げ角度を調節機構350によって調節可能である。即ち、固定部材354の締付け解除状態で自在継手340を所望の折り曲げ角度に設定した後、この固定部材354を締付け操作することによって、自在継手340の折り曲げ角度を調節することができる。
図30に示されるように、自在継手340における折り曲げによって、回転部材31の後端部31bに対して先端部31aを、例えば折り曲げ角度αで傾斜させることができる。これにより、作業者は、取付工具330の回転部材31の先端部31aに設けたソケット部33(図26参照)の向きを所望に向きに容易に調節することができる。
図31及び図32に示されるように、取付工具330は、工具延長ユニット360が接続可能に構成されている。本構成を実現するために、取付工具330の筒状部材32の下端部32bの筒壁には固定ボルト32cが溶接されており、この固定ボルト32cは、蝶ナットである固定部材355の頭部355aに形成された雌ネジ穴355bに螺合している。
工具延長ユニット360は、工具長さを延長するための継ぎ足し要素として、取付工具330の筒状部材32の外径を若干上回る内径を有する筒状部材361と、この筒状部材361の筒内にベアリング(図示省略)を介して回転可能に支持された回転部材363と、を備えている。
筒状部材361の先端部361aには、固定ボルト32cが進入してスライド可能なスライド溝362が設けられている。このスライド溝362は、固定ボルト32cの進入方向の終端にスライド方向と直角に折れ曲がった係合溝部362aを有する。スライド溝362は、その溝幅が固定ボルト32cの軸径を上回るように寸法設定されている。
回転部材363の先端部363aには、取付工具30の入力部34と嵌合可能な嵌合部364が設けられている。また、この回転部材363の後端部363bには、筒状部材361の後端部361bから露出した、取付工具30の入力部34と同形状の入力部365が設けられている。入力部365は、取付工具330が工具延長ユニット360に接続されたときに、入力部34の代わりになって、この入力部365に電動工具38が取付けられる。
図32に示されるように、取付工具330の筒状部材32が筒状部材361の筒内に差し込まれると、取付工具30の入力部34が回転部材363の嵌合部364と嵌合する。これにより、取付工具330の回転部材31は、工具延長ユニット360の回転部材363に動力伝達可能に接続される。
一方で、取付工具330の筒状部材32が筒状部材361の筒内に差し込まれるとき、固定ボルト32cがスライド溝362をスライドする。そして、この固定ボルト32cがスライド溝362の終端に達した状態で、筒状部材32及び筒状部材361を軸回り方向である周方向に相対回転させることによって、固定ボルト32cが係合溝部362aに引っ掛かる。このため、取付工具330の筒状部材32を筒状部材361から抜き出す操作が阻止され、取付工具330が工具延長ユニット360に仮固定される。
図32中のB領域を参照すれば、固定ボルト32cは、筒状部材361のスライド溝362の係合溝部362aを通過した状態で、固定部材355の頭部355aに形成された雌ネジ穴355bに螺合している。
このため、固定部材355の締付け操作によって、固定部材355の頭部355aと固定ボルト32cとにより筒状部材361を挟み込む力が強まる。その結果、筒状部材32と筒状部材361とが互いに締付けられる。これにより、筒状部材32と筒状部材361との周方向の相対回転が阻止され、取付工具330が工具延長ユニット360に本固定される。
これに対して、固定部材355の締付け解除操作によって、固定部材355の頭部355aと固定ボルト32cとによって筒状部材361を挟み込む力が弱まる。その結果、筒状部材32と筒状部材361との互いの締付けが解除される。これにより、筒状部材32と筒状部材361との周方向の相対回転が許容される。
上記の工具延長ユニット360によれば、必要に応じて取付工具330に接続されることで、工具長さを簡単に延長することができるとともに、取付高さ、取付角度を簡単に変更することができる。例えば、図23に示されるように、取付工具330に工具延長ユニット360が接続され、工具延長ユニット360の入力部365に電動工具38が取付けられる。これにより、電動工具38によって工具延長ユニット360を介して取付工具330を駆動することができる。
上述の実施形態3に特に関連する変更例として、上記の自在継手340とは異なる構造の種々の自在継手を適宜に使用可能である。
図33に示されるように、自在継手340に代えて或いは加えて、2個の自在継手340を接続してなる自在継手440を使用することができる。この自在継手440は、2つのシングルタイプのユニバーサルジョイントを繋ぎ合わせて1つのユニバーサルジョイントとしたものであり、回転部材31の先端部31aと後端部31bとの間に介装されている。
この自在継手440は、一方の自在継手340を第1自在継手340Aとし、他方の自在継手340を第2自在継手340Bとしたとき、第1自在継手340Aは、その第1ヨーク341が回転部材31の後端部31bに接続され、その第2ヨーク342が第2自在継手340Bの第1ヨーク341に接続されている。また、第2自在継手340Bの第2ヨーク342が回転部材31の先端部31aに接続されている。
この自在継手440の第1自在継手340A及び第2自在継手340Bのそれぞれにおいて、第1ヨーク341に対して第2ヨーク342が折り曲げ自在である。従って、この自在継手440によれば、第1自在継手340Aにおける折り曲げ角度αと第2自在継手340Bにおける折り曲げ角度βとを合わせた折り曲げ角度での折り曲げが可能になる。
このため、自在継手440を使用すれば、自在継手340(図27参照)を使用する場合に比べて、大きな折り曲げ角度を確保するのに有効である。このとき、回転部材31の後端部31bの回転は、第1自在継手340A及び第2自在継手340Bを経て回転部材31の先端部31aに伝達可能である。
上述の実施形態3によれば、工具先端部の折り曲げ角度をフレキシブルに変更可能な機能を備えた取付工具330を採用することによって、鉛直方向の直下位置は勿論、直下位置以外の位置からでも取付装置310の装着作業及び脱着作業が可能になる。
また、取付装置310の装着箇所がより遠くに離れている場合には、適宜の長さの工具延長ユニット360を取付工具330に接続する簡単な作業によって対応することができる。
その他、実施形態1,2と同様の作用効果を奏する。
なお、上記の自在継手340,440の数や種類は必要に応じて適宜に変更が可能である。また、上記の自在継手340,440に代えて或いは加えて、複数のギアを組み合わせてなるギア機構を使用して、工具先端部の折り曲げ角度を調節できるようにしてもよい。
上記の自在継手340,440及び調節機構350を備える取付工具330は、実施形態3のみならず、実施形態1や実施形態2において使用できることは勿論である。
本発明は、上述の実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の応用や変更が考えられる。例えば、上述の各実施形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
上述の実施形態では、検知器取付装置10,210,310において、ナット14のねじ穴14aに回転軸18のねじ軸部18cが螺合する螺合構造を利用して、回転軸18の軸回転動作を溝形鋼2に対する本体部(ベース部材15、本体部211)の固定動作に変換する場合について例示したが、この螺合構造に代えて、ギアやリンクなどの手段を組み合わせた構造を利用して、回転軸18の軸回転動作を溝形鋼2に対する本体部の固定動作に変換するようにしてもよい。
上述の実施形態では、取付工具30,330に検知器取付装置10,210,310を保持するための保持アーム36を設ける場合について例示したが、検知器取付装置10,210,310を保持できるときには保持アーム36を省略することもできる。
上述の実施形態では、取付工具30,330の入力部34に電動工具38が着脱可能に接続される場合について例示したが、これに代えて、取付工具30,330の入力部34と電動工具38に相当する要素が一体化された構造を採用することもできる。
上述の実施形態では、電動工具38を使用して取付工具30,330を駆動する場合について例示したが、ギア等の機構を利用することによって取付工具30,330の駆動に要する軸力を下げることができるような場合には、取付工具30,330を作業者の手指によって直接的に駆動することもできる。
上述の実施形態では、検知器取付装置10のベース部材15は、回転軸が垂直方向Xに沿って延在した状態にあるとき、第2固定アーム16が溝形鋼2の底板部3の下面3bに沿って延在する場合について例示したが、第2固定アーム16を底板部3の下面3bに押し当てなくても、回転軸18が垂直方向Xに沿って延在した状態を維持することができれば、第2固定アーム16の向きはこれに限定されるものではない。
上述の実施形態では、自動火災報知設備の感知器としての検知器21を溝形鋼2に取付ける技術について例示したが、この技術を、感知器に代えて、火炎検知器、温度計等のセンサ類、照明設備などを溝形鋼2に取付ける技術に適用することもできる。
上述の実施形態では、屋根の母屋を構成する溝形鋼2に検知器取付装置10,210,310を固定する場合について例示したが、この溝形鋼2と同様な形状を有する梁に検知器取付装置10,210,310を固定することもできる。
上述の実施形態では、図2に示されるような形状の溝形鋼2に検知器取付装置10,210,310を固定する場合について例示したが、この溝形鋼2に代えて、図22に示されるような形状の溝形鋼102に検知器取付装置10,210,310を固定することもできる。この溝形鋼102は、リップ4aを有していない点のみで溝形鋼2と相違している。