JP2019112743A - シート製造装置およびシート製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】堆積物の損傷や千切れを抑制可能なシート製造装置を提供する。【解決手段】シート製造装置は、繊維と樹脂とを含む材料を堆積させた堆積物を加熱する加熱部と、前記加熱部において加熱された前記堆積物に対して荷重を付与して変形させるテンション付与部と、前記加熱部と前記テンション付与部との間に設けられ、前記堆積物に対して温度分布を有して冷却することが可能な冷却部と、を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、シート製造装置、およびシート製造方法に関する。
従来、例えば、特許文献1に記載されているように、第1加圧部(加熱部)と当該第1加圧部の搬送方向の下流側に設置された第2加圧部(冷却部)とを含むシート製造装置が知られている。冷却部は一対のローラーで構成され、一対のローラーを中空構造として空冷又は液冷でシートを冷却している。
また、特許文献2に記載されているように、加熱加圧されたシートに対して送風等を供給することによりシートを冷却するシート製造方法が知られている。
特開2015−71842号公報 特開2001−1319号公報
しかしながら、特許文献1または2に記載のシート製造装置およびシート製造方法において、例えば、シートを加熱する際の加熱部に温度分布があると、加熱加圧されたシートに温度ばらつきが生じてしまう。そうすると、シートの温度ばらつきに起因してシートに蛇行やうねりが生じる。さらに、蛇行やうねりが生じたシートにテンションを付与した場合には、シートの損傷や千切れが発生するという課題があった。
本発明は、上述した解題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係るシート製造装置は、繊維と樹脂とを含む材料を堆積させた堆積物を加熱する加熱部と、前記加熱部において加熱された前記堆積物に対して荷重を付与して変形させるテンション付与部と、前記加熱部と前記テンション付与部との間に設けられ、前記堆積物に対して温度分布を有して冷却することが可能な冷却部と、を備えることを特徴とする。
加熱部によって加熱された堆積物に温度ばらつきが生じる場合には、テンションを付与した際に堆積物が蛇行する可能性がある。しかしながら、本適用例によれば、堆積物に対して温度分布を有して冷却するため、すなわち、堆積物の温度ばらつきに対応した温度分布による冷却が可能となるので、加熱後の堆積物の温度ばらつきを抑えることができる。それにより、堆積物の蛇行を抑制することができる。さらに堆積物の損傷や千切れを抑制することができる。
[適用例2]上記適用例に係るシート製造装置では、前記堆積物は、前記加熱部、前記冷却部、前記テンション付与部の順に搬送され、前記冷却部における温度分布を有した冷却は、前記堆積物が搬送される搬送方向と交差した方向における温度分布を有した冷却であることが好ましい。
本適用例によれば、堆積物が搬送される搬送方向と交差した方向に温度分布を有して冷却するため、堆積物が搬送される搬送方向と交差した方向の温度ばらつきを抑えることができ、堆積物の蛇行を抑制することができる。さらに堆積物の損傷や千切れを抑制することができる。
[適用例3]上記適用例に係るシート製造装置では、前記冷却部と前記テンション付与部との間に設けられ、冷却された前記堆積物の温度分布を測定する測定部と、前記測定部における温度分布の結果によって、前記冷却部での温度分布を有した冷却を制御する制御部と、を有していることが好ましい。
本適用例によれば、冷却された前記堆積物に温度ばらつきがあるとしても、温度分布の測定結果にもとづいて冷却部を制御するため、容易に堆積物の温度ばらつきを抑制することができる。
[適用例4]上記適用例に係るシート製造装置では、前記冷却部は、送風機であることが好ましい。
本適用例によれば、冷却部は送風機であり、堆積物に対して非接触であるため、堆積物を傷つけることなく温度分布を小さくすることができる。尚、送風機による送風量の調整により、容易に温度分布を有して冷却することが可能である。
[適用例5]上記適用例に係るシート製造装置では、前記冷却部は、前記堆積物を加圧する一対のローラーと、前記ローラーに設けられた温度調節機と、を備えることが好ましい。
本適用例によれば、冷却部を堆積物に接触させるため、堆積物に対する冷却効果を高めることができる。さらに温度調節機を備えており、堆積物が搬送される搬送方向と交差した方向でローラーの温度分布の制御を行い、堆積物が搬送される搬送方向と交差した方向での堆積物の温度ばらつきを小さくすることができる。
[適用例6]上記適用例に係るシート製造装置は、前記冷却部は、前記堆積物にミストを噴きかけるミスト吐出部を有することが好ましい。
本適用例によれば、冷却部は堆積物にミストを噴きかけることにより堆積物の温度ばらつきを抑制することができる。さらに、送風とは異なり紙粉や埃の発生を防止して冷却することができる。尚、ミストの吐出量の調整により、容易に温度分布を有して冷却することが可能である。
[適用例7]本適用例に係るシート製造方法は、繊維と樹脂とを含む材料を堆積させた堆積物を加熱する工程と、加熱された前記堆積物に対して温度分布を有して冷却する工程と、冷却された前記堆積物に当接し、前記加熱する工程において加熱された前記堆積物に対して変形可能にテンションを付与する工程と、を有することを特徴とする。
加熱部によって加熱された堆積物に温度ばらつきが生じる場合には、テンションを付与した際に堆積物が蛇行する可能性がある。しかしながら、本適用例によれば、堆積物に対して温度分布を有して冷却する冷却工程を備えているため、すなわち、堆積物の温度ばらつきに対応した温度分布による冷却が可能となるので、加熱後の堆積物の温度ばらつきを抑えることができる。それにより、堆積物の蛇行を抑制することができる。さらに堆積物の損傷や千切れを抑制することができる。
第1実施形態に係るシート製造装置の構成を示す模式図。 第1実施形態に係る冷却部の構成を示す模式図(側面図)。 第1実施形態に係る冷却部の構成を示す模式図(平面図)。 第1実施形態に係る冷却部の制御ブロック図。 第1実施形態に係るシート製造方法を示すフローチャート。 第2実施形態に係る冷却ローラーを備えた冷却部の構成を示す模式図(側面図)。 第2実施形態に係る冷却ローラーを備えた冷却部の構成を示す模式図(平面図)。 第2実施形態に係る冷却ローラーを備えた冷却部の制御ブロック図。 第3実施形態に係るミスト吐出部を備えた冷却部の構成を示す模式図(側面図)。 第3実施形態に係るミスト吐出部を備えた冷却部の構成を示す模式図(平面図)。 第3実施形態に係るミスト吐出部を備えた冷却部の制御ブロック図。
(第1実施形態)
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
図1は実施形態に係るシート製造装置100の構成を示す模式図である。
本実施形態に記載のシート製造装置100(集塵装置)は、例えば、原料としての機密紙などの使用済みの古紙を乾式で解繊して繊維化した後、加圧、加熱、切断することによって、新しい紙を製造するのに好適な装置である。繊維化された原料に、さまざまな添加物を混合することによって、用途に合わせて、紙製品の結合強度や白色度を向上したり、色、香り、難燃などの機能を付加したりしてもよい。また、紙の密度や厚さ、形状をコントロールして成形することで、A4やA3のオフィス用紙、名刺用紙など、用途に合わせて、さまざまな厚さ・サイズの紙を製造することができる。
シート製造装置100は、供給部10、粗砕部12、解繊部20、選別部40、第1ウェブ形成部45、回転体49、混合部50、堆積部60、第2ウェブ形成部70、搬送部79、シート形成部80、及び、切断部90を備える。
また、シート製造装置100は、原料に対する加湿、及び/または原料が移動する空間を加湿する目的で、加湿部202、204、206、208、210、212を備える。これら加湿部202、204、206、208、210、212の具体的な構成は任意であり、スチーム式、気化式、温風気化式、超音波式等が挙げられる。
本実施形態では、加湿部202、204、206、208を、気化式または温風気化式の加湿器で構成する。すなわち、加湿部202、204、206、208は、水を湿潤させるフィルター(図示略)を有し、フィルターに空気を通過させることにより、湿度を高めた加湿空気を供給する。また、加湿部202、204、206、208は、加湿空気の湿度を効果的に高めるヒーター(図示略)を備えてもよい。
また、本実施形態では、加湿部210及び加湿部212を、超音波式加湿器で構成する。すなわち、加湿部210、212は、水を霧化する振動部(図示略)を有し、振動部により発生するミストを供給する。
供給部10は、粗砕部12に原料を供給する。シート製造装置100がシートを製造する原料は繊維を含むものであればよく、例えば、紙、パルプ、パルプシート、不織布を含む布、或いは織物等が挙げられる。本実施形態ではシート製造装置100が古紙を原料とする構成を例示する。供給部10は、例えば、古紙を重ねて蓄積するスタッカーと、スタッカーから古紙を粗砕部12に送り出す自動投入装置とを備える構成とすることができる。
粗砕部12は、供給部10によって供給された原料を粗砕刃14によって裁断(粗砕)して、粗砕片にする。粗砕刃14は、大気中(空気中)等の気中で原料を裁断する。粗砕部12は、例えば、原料を挟んで裁断する一対の粗砕刃14と、粗砕刃14を回転させる駆動部とを備え、いわゆるシュレッダーと同様の構成とすることができる。粗砕片の形状や大きさは任意であり、解繊部20における解繊処理に適していればよい。例えば、粗砕部12は、原料を、1〜数cm四方またはそれ以下のサイズの紙片に裁断する。
粗砕部12は、粗砕刃14により裁断されて落下する粗砕片を受けるシュート(ホッパー)9を有する。シュート9は、例えば、粗砕片が流れる方向(進行する方向)において、徐々に幅が狭くなるテーパー形状を有する。そのため、シュート9は、多くの粗砕片を受けとめることができる。シュート9には、解繊部20に連通する管2が連結され、管2は粗砕刃14によって裁断された原料(粗砕片)を、解繊部20に搬送させるための搬送路を形成する。粗砕片はシュート9により集められ、管2を通って解繊部20に移送(搬送)される。
粗砕部12が有するシュート9、或いはシュート9の近傍には、加湿部202により加湿空気が供給される。これにより、粗砕刃14により裁断された粗砕物が、静電気によってシュート9や管2の内面に吸着する現象を抑制できる。また、粗砕刃14が裁断した粗砕物は、加湿された(高湿度の)空気とともに解繊部20に移送されるので、解繊部20の内部における解繊物の付着を抑制する効果も期待できる。また、加湿部202は、粗砕刃14に加湿空気を供給して、供給部10が供給する原料を除電する構成としてもよい。また、加湿部202とともにイオナイザーを用いて除電してもよい。
解繊部20は、粗砕部12で裁断された粗砕物を解繊する。より具体的には、解繊部20は、粗砕部12によって裁断された原料(粗砕片)を解繊処理し、解繊物を生成する。ここで、「解繊する」とは、複数の繊維が結着されてなる原料(被解繊物)を、繊維1本1本に解きほぐすことをいう。解繊部20は、原料に付着した樹脂粒やインク、トナー、にじみ防止剤等の物質を、繊維から分離させる機能をも有する。
解繊部20を通過したものを「解繊物」という。「解繊物」には、解きほぐされた解繊物繊維の他に、繊維を解きほぐす際に繊維から分離した樹脂(複数の繊維同士を結着させるための樹脂)粒や、インク、トナーなどの色剤や、にじみ防止剤、紙力増強剤等の添加剤を含んでいる場合もある。解きほぐされた解繊物の形状は、ひも(string)状や平ひも(ribbon)状である。解きほぐされた解繊物は、他の解きほぐされた繊維と絡み合っていない状態(独立した状態)で存在してもよいし、他の解きほぐされた解繊物と絡み合って塊状となった状態(いわゆる「ダマ」を形成している状態)で存在してもよい。
解繊部20は、乾式で解繊を行う。ここで、液体中ではなく、大気中(空気中)等の気中において、解繊等の処理を行うことを乾式と称する。本実施形態では、解繊部20がインペラーミルを用いる構成とする。具体的には、解繊部20は、高速回転するローター(図示略)、及び、ローターの外周に位置するライナー(図示略)を備える。粗砕部12で裁断された粗砕片は、解繊部20のローターとライナーとの間に挟まれて解繊される。解繊部20は、ローターの回転により気流を発生させる。この気流により、解繊部20は、原料である粗砕片を管2から吸引し、解繊物を排出口24へと搬送できる。解繊物は排出口24から管3に送り出され、管3を介して選別部40に移送される。
このように、解繊部20で生成される解繊物は、解繊部20が発生する気流により解繊部20から選別部40に搬送される。さらに、本実施形態では、シート製造装置100が気流発生装置である解繊部ブロアー26を備え、解繊部ブロアー26が発生する気流により解繊物が選別部40に搬送される。解繊部ブロアー26は管3に取り付けられ、解繊部20から解繊物とともに空気を吸引し、選別部40に送風する。
選別部40は、管3から解繊部20により解繊された解繊物が気流とともに流入する導入口42を有する。選別部40は、導入口42に導入する解繊物を、繊維の長さによって選別する。詳細には、選別部40は、解繊部20により解繊された解繊物のうち、予め定められたサイズ以下の解繊物を第1選別物とし、第1選別物より大きい解繊物を第2選別物として、選別する。第1選別物は繊維または粒子等を含み、第2選別物は、例えば、大きい繊維、未解繊片(十分に解繊されていない粗砕片)、解繊された繊維が凝集し、或いは絡まったダマ等を含む。
本実施形態で、選別部40は、ドラム部(篩部)41と、ドラム部41を収容するハウジング部(覆い部)43と、を有する。
ドラム部41は、モーターによって回転駆動される円筒の篩である。ドラム部41は、網(フィルター、スクリーン)を有し、篩(ふるい)として機能する。この網の目により、ドラム部41は、網の目開き(開口)の大きさより小さい第1選別物と、網の目開きより大きい第2選別物とを選別する。ドラム部41の網としては、例えば、金網、切れ目が入った金属板を引き延ばしたエキスパンドメタル、金属板にプレス機等で穴を形成したパンチングメタルを用いることができる。
導入口42に導入された解繊物は気流とともにドラム部41の内部に送り込まれ、ドラム部41の回転によって第1選別物がドラム部41の網の目から下方に落下する。ドラム部41の網の目を通過できない第2選別物は、導入口42からドラム部41に流入する気流により流されて排出口44に導かれ、管8に送り出される。
管8は、ドラム部41の内部と管2とを連結する。管8を通って流される第2選別物は、粗砕部12により裁断された粗砕片とともに管2を流れ、解繊部20の導入口22に導かれる。これにより、第2選別物は解繊部20に戻されて、解繊処理される。
また、ドラム部41により選別される第1選別物は、ドラム部41の網の目を通って空気中に分散し、ドラム部41の下方に位置する第1ウェブ形成部45のメッシュベルト46に向けて降下する。
第1ウェブ形成部45(分離部)は、メッシュベルト46(分離ベルト)と、ローラー47と、吸引部(サクション機構)48と、を含む。メッシュベルト46は無端形状のベルトであって、3つのローラー47に懸架され、ローラー47の動きにより、図中矢印で示す方向に搬送される。メッシュベルト46の表面は所定サイズの開口が並ぶ網で構成される。選別部40から降下する第1選別物のうち、網の目を通過するサイズの微粒子はメッシュベルト46の下方に落下し、網の目を通過できないサイズの繊維がメッシュベルト46に堆積し、メッシュベルト46とともに矢印方向に搬送される。メッシュベルト46から落下する微粒子は、解繊物の中で比較的小さいものや密度の低いもの(樹脂粒や色剤や添加剤など)を含み、シート製造装置100がシートSの製造に使用しない除去物である。
メッシュベルト46は、シートSを製造する通常動作中には、一定の速度V1で移動する。ここで、通常動作中とは、後述するシート製造装置100の始動制御、及び、停止制御の実行中を除く動作中であり、より詳細には、シート製造装置100が望ましい品質のシートSを製造している間を指す。
従って、解繊部20で解繊処理された解繊物は、選別部40で第1選別物と第2選別物とに選別され、第2選別物が解繊部20に戻される。また、第1選別物から、第1ウェブ形成部45によって除去物が除かれる。第1選別物から除去物を除いた残りは、シートSの製造に適した材料であり、この材料はメッシュベルト46に堆積して第1ウェブW1を形成する。
吸引部48は、メッシュベルト46の下方から空気を吸引する。吸引部48は、管23を介して集塵部27(集塵装置)に連結される。集塵部27は、微粒子を気流から分離する。集塵部27の下流には、捕集ブロアー28が設置され、捕集ブロアー28は、集塵部27から空気を吸引する集塵用吸引部として機能する。また、捕集ブロアー28が排出する空気は管29を経てシート製造装置100の外に排出される。
この構成では、捕集ブロアー28により、集塵部27を通じて吸引部48から空気が吸引される。吸引部48では、メッシュベルト46の網の目を通過する微粒子が、空気とともに吸引され、管23を通って集塵部27に送られる。集塵部27は、メッシュベルト46を通過した微粒子を気流から分離して蓄積する。
従って、メッシュベルト46の上には第1選別物から除去物を除去した繊維が堆積して第1ウェブW1が形成される。捕集ブロアー28が吸引を行うことで、メッシュベルト46上における第1ウェブW1の形成が促進され、かつ、除去物が速やかに除去される。
ドラム部41を含む空間には、加湿部204により加湿空気が供給される。この加湿空気によって、選別部40の内部で第1選別物を加湿する。これにより、静電力による第1選別物のメッシュベルト46への付着を弱め、第1選別物をメッシュベルト46から剥離し易くすることができる。さらに、静電力により第1選別物が回転体49やハウジング部43の内壁に付着することを抑制することができる。また、吸引部48によって除去物を効率よく吸引できる。
なお、シート製造装置100において、第1解繊物と第2解繊物とを選別し、分離する構成は、ドラム部41を備える選別部40に限定されない。例えば、解繊部20で解繊処理された解繊物を、分級機によって分級する構成を採用してもよい。分級機としては、例えば、サイクロン分級機、エルボージェット分級機、エディクラシファイヤーを用いることができる。これらの分級機を用いれば、第1選別物と第2選別物とを選別し、分離することが可能である。さらに、上記の分級機により、解繊物の中で比較的小さいものや密度の低いもの(樹脂粒や色剤や添加剤など)を含む除去物を、分離して除去する構成を実現できる。例えば、第1選別物に含まれる微粒子を、分級機によって、第1選別物から除去する構成としてもよい。この場合、第2選別物は、例えば解繊部20に戻され、除去物は集塵部27により集塵され、除去物を除く第1選別物が管54に送られる構成とすることができる。
メッシュベルト46の搬送経路において、選別部40の下流側には、加湿部210によって、ミストを含む空気が供給される。加湿部210が生成する水の微粒子であるミストは、第1ウェブW1に向けて降下し、第1ウェブW1に水分を供給する。これにより、第1ウェブW1が含む水分量が調整され、静電気によるメッシュベルト46への繊維の吸着等を抑制できる。
シート製造装置100は、メッシュベルト46に堆積した第1ウェブW1を分断する回転体49を備える。第1ウェブW1は、メッシュベルト46がローラー47により折り返す位置で、メッシュベルト46から剥離して、回転体49により分断される。
第1ウェブW1は繊維が堆積してウェブ形状となった柔らかい材料であり、回転体49は、第1ウェブW1の繊維をほぐして、後述する混合部50で樹脂を混合しやすい状態に加工する。
回転体49の構成は任意であるが、本実施形態では、板状の羽根を有し回転する回転羽形状とすることができる。回転体49は、メッシュベルト46から剥離する第1ウェブW1と羽根とが接触する位置に配置される。回転体49の回転(例えば図中矢印Rで示す方向への回転)により、メッシュベルト46から剥離して搬送される第1ウェブW1に羽根が衝突して分断し、細分体Pを生成する。
なお、回転体49は、回転体49の羽根がメッシュベルト46に衝突しない位置に設置されることが好ましい。例えば、回転体49の羽根の先端とメッシュベルト46との間隔を、0.05mm以上0.5mm以下とすることができ、この場合、回転体49によって、メッシュベルト46に損傷を与えることなく第1ウェブW1を効率よく分断できる。
回転体49によって分断された細分体Pは、管7の内部を下降して、管7の内部を流れる気流によって混合部50へ移送(搬送)される。
また、回転体49を含む空間には、加湿部206により加湿空気が供給される。これにより、管7の内部や、回転体49の羽根に対し、静電気により繊維が吸着する現象を抑制できる。また、管7を通って、湿度の高い空気が混合部50に供給されるので、混合部50においても静電気による影響を抑制できる。
混合部50は、樹脂を含む添加物を供給する添加物供給部52(樹脂供給部)、管7に連通し、細分体Pを含む気流が流れる管54、及び、混合ブロアー56を備える。細分体Pは、上述のように選別部40を通過した第1選別物から除去物を除去した繊維である。混合部50は、細分体Pを構成する繊維に、樹脂を含む添加物を混合する。
混合部50では、混合ブロアー56によって気流を発生させ、管54中において、細分体Pと添加物とを混合させながら、搬送する。また、細分体Pは、管7及び管54の内部を流れる過程でほぐされて、より細かい繊維状となる。
添加物供給部52(樹脂収容部)は、添加物を蓄積する添加物カートリッジ(図示略)に接続され、添加物カートリッジ内部の添加物を管54に供給する。添加物カートリッジは、添加物供給部52に着脱可能な構成であってもよい。また、添加物カートリッジに添加物を補充する構成を備えてもよい。添加物供給部52は、添加物カートリッジ内部の微粉または微粒子からなる添加物をいったん貯留する。添加物供給部52は、いったん貯留した添加物を管54に送る排出部52a(樹脂供給部)を有する。
排出部52aは、添加物供給部52に貯留された添加物を管54に送出するフィーダー(図示略)、及び、フィーダーと管54とを接続する管路を開閉するシャッター(図示略)を備える。このシャッターを閉じると、排出部52aと管54とを連結する管路或いは開口が閉鎖され、添加物供給部52から管54への添加物の供給が絶たれる。
排出部52aのフィーダーが動作していない状態では、排出部52aから管54に添加物が供給されないが、管54内に負圧が発生した場合等には、排出部52aのフィーダーが停止していても添加物が管54に流れる可能性がある。排出部52aを閉じることにより、このような添加物の流れを確実に遮断できる。
添加物供給部52が供給する添加物は、複数の繊維を結着させるための樹脂を含む。添加物に含まれる樹脂は、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂であり、例えば、AS樹脂、ABS樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、などである。これらの樹脂は、単独または適宜混合して用いてもよい。すなわち、添加物は、単一の物質を含んでもよいし、混合物であってもよく、それぞれ単一または複数の物質で構成される、複数種類の粒子を含んでもよい。また、添加物は、繊維状であってもよく、粉末状であってもよい。
添加物に含まれる樹脂は、加熱により溶融して複数の繊維同士を結着させる。従って、樹脂を繊維と混合させた状態で、樹脂が溶融する温度まで加熱されていない状態では、繊維同士は結着されない。
また、添加物供給部52が供給する添加物は、繊維を結着させる樹脂の他、製造されるシートの種類に応じて、繊維を着色するための着色剤や、繊維の凝集や樹脂の凝集を抑制するための凝集抑制剤、繊維等を燃えにくくするための難燃剤を含んでもよい。また、着色剤を含まない添加物は、無色、或いは無色と見なせる程度に薄い色であってもよいし、白色であってもよい。
混合ブロアー56が発生する気流により、管7を降下する細分体P、及び、添加物供給部52により供給される添加物は、管54の内部に吸引され、混合ブロアー56内部を通過する。混合ブロアー56が発生する気流及び/または混合ブロアー56が有する羽根等の回転部の作用により、細分体Pを構成した繊維と添加物とが混合され、この混合物(第1選別物と添加物との混合物)は管54を通って堆積部60に移送される。
なお、第1選別物と添加物とを混合させる機構は、特に限定されず、高速回転する羽根により攪拌するものであってもよいし、V型ミキサーのように容器の回転を利用するものであってもよく、これらの機構を混合ブロアー56の前または後に設置してもよい。
堆積部60は、解繊部20で解繊された解繊物を堆積させる。より具合的には、堆積部60は、混合部50を通過した混合物を導入口62から導入し、絡み合った解繊物(繊維)をほぐして、空気中で分散させながら降らせる。さらに、堆積部60は、添加物供給部52から供給される添加物の樹脂が繊維状である場合、絡み合った樹脂をほぐす。これにより、堆積部60は、第2ウェブ形成部70に、混合物を均一性よく堆積させることができる。
堆積部60は、ドラム部61と、ドラム部61を収容するハウジング部(覆い部)63と、を有する。ドラム部61は、モーターによって回転駆動される円筒の篩である。ドラム部61は、網(フィルター、スクリーン)を有し、篩(ふるい)として機能する。この網の目により、ドラム部61は、網の目開き(開口)のより小さい繊維や粒子を通過させ、ドラム部61から下降させる。ドラム部61の構成は、例えば、ドラム部41の構成と同じである。
なお、ドラム部61の「篩」は、特定の対象物を選別する機能を有していなくてもよい。すなわち、ドラム部61として用いられる「篩」とは、網を備えたもの、という意味であり、ドラム部61は、ドラム部61に導入された混合物の全てを降らしてもよい。
ドラム部61の下方には第2ウェブ形成部70が配置される。第2ウェブ形成部70は、堆積部60を通過した通過物を堆積して、第2ウェブW2を形成する。第2ウェブ形成部70は、例えば、メッシュベルト72と、ローラー74と、サクション機構76と、を有する。
メッシュベルト72は無端形状のベルトであって、複数のローラー74に懸架され、ローラー74の動きにより、図中矢印で示す方向に搬送される。メッシュベルト72は、例えば、金属製、樹脂製、布製、あるいは不織布等である。メッシュベルト72の表面は所定サイズの開口が並ぶ網で構成される。ドラム部61から降下する繊維や粒子のうち、網の目を通過するサイズの微粒子はメッシュベルト72の下方に落下し、網の目を通過できないサイズの繊維がメッシュベルト72に堆積し、メッシュベルト72とともに矢印方向に搬送される。メッシュベルト72は、シートSを製造する動作中には、一定の速度V2で移動する。
メッシュベルト72の網の目は微細であり、ドラム部61から降下する繊維や粒子の大半を通過させないサイズとすることができる。
サクション機構76は、メッシュベルト72の下方(堆積部60側とは反対側)に設けられる。サクション機構76は、サクションブロアー77を備え、サクションブロアー77の吸引力によって、サクション機構76に下方に向く気流(堆積部60からメッシュベルト72に向く気流)を発生させることができる。
サクション機構76によって、堆積部60により空気中に分散された混合物をメッシュベルト72上に吸引する。これにより、メッシュベルト72上における第2ウェブW2の形成を促進し、堆積部60からの排出速度を大きくすることができる。さらに、サクション機構76によって、混合物の落下経路にダウンフローを形成することができ、落下中に解繊物や添加物が絡み合うことを防ぐことができる。
サクションブロアー77(堆積吸引部)は、サクション機構76から吸引した空気を、図示しない捕集フィルターを通じて、シート製造装置100の外に排出してもよい。或いは、サクションブロアー77が吸引した空気を集塵部27に送り込み、サクション機構76が吸引した空気に含まれる除去物を捕集してもよい。
ドラム部61を含む空間には、加湿部208により加湿空気が供給される。この加湿空気によって、堆積部60の内部を加湿することができ、静電力によるハウジング部63への繊維や粒子の付着を抑え、繊維や粒子をメッシュベルト72に速やかに降下させ、好ましい形状の第2ウェブW2を形成させることができる。
以上のように、堆積部60及び第2ウェブ形成部70(ウェブ形成工程)を経ることにより、空気を多く含み柔らかくふくらんだ状態の第2ウェブW2が形成される。メッシュベルト72に堆積された第2ウェブW2は、シート形成部80へと搬送される。
メッシュベルト72の搬送経路において、堆積部60の下流側には、加湿部212によって、ミストを含む空気が供給される。これにより、加湿部212が生成するミストが第2ウェブW2に供給され、第2ウェブW2が含む水分量が調整される。これにより、静電気によるメッシュベルト72への繊維の吸着等を抑制できる。
シート製造装置100は、メッシュベルト72上の第2ウェブW2を、シート形成部80に搬送する搬送部79が設けられる。搬送部79は、例えば、メッシュベルト79aと、ローラー79bと、サクション機構79cと、を有する。
サクション機構79cは、ブロアー(図示略)を備え、ブロアーの吸引力によってメッシュベルト79aに上向きの気流を発生させる。この気流は第2ウェブW2を吸引し、第2ウェブW2は、メッシュベルト72から離れてメッシュベルト79aに吸着される。メッシュベルト79aは、ローラー79bの自転により移動し、第2ウェブW2をシート形成部80に搬送する。メッシュベルト72の移動速度と、メッシュベルト79aの移動速度とは、例えば、同じである。
このように、搬送部79は、メッシュベルト72に形成された第2ウェブW2を、メッシュベルト72から剥がして搬送する。
シート形成部80は、堆積部60で堆積させた堆積物からシートS(加熱された堆積物)を形成する。より具体的には、シート形成部80は、メッシュベルト72に堆積し搬送部79により搬送された第2ウェブW2(堆積物)を、加圧加熱してシートSを成形する。シート形成部80では、第2ウェブW2が含む解繊物の繊維、及び添加物に対して熱を加えることにより、混合物中の複数の繊維を、互いに添加物(樹脂)を介して結着させる。
シート形成部80は、第2ウェブW2を加圧する加圧部82、及び、加圧部82により加圧された第2ウェブW2を加熱する加熱部84を備える。
加圧部82は、一対のカレンダーローラー85で構成され、第2ウェブW2を所定のニップ圧で挟んで加圧する。第2ウェブW2は、加圧されることによりその厚さが小さくなり、第2ウェブW2の密度が高められる。一対のカレンダーローラー85の一方は、モーター(図示略)により駆動される駆動ローラーであり、他方は従動ローラーである。カレンダーローラー85は、モーター(図示略)の駆動力により回転して、加圧により高密度になった第2ウェブW2を、加熱部84に向けて搬送する。
加熱部84は、例えば、加熱ローラー(ヒーターローラー)、熱プレス成形機、ホットプレート、温風ブロアー、赤外線加熱器、フラッシュ定着器を用いて構成できる。本実施形態では、加熱部84は、一対の加熱ローラー86を備える。加熱ローラー86は、内部または外部に設置されるヒーターによって、予め設定された温度に加温される。加熱ローラー86は、カレンダーローラー85によって加圧された第2ウェブW2を挟んで熱を与え、シートSを形成する。また、一対の加熱ローラー86の一方は、モーター(図示略)により駆動される駆動ローラーであり、他方は従動ローラーである。加熱ローラー86は、モーター(図示略)の駆動力により回転して、加熱したシートSを、冷却部250を介してテンション付与部150に向けて搬送する。
なお、加圧部82が備えるカレンダーローラー85の数、及び、加熱部84が備える加熱ローラー86の数は、特に限定されない。
冷却部250は、加熱部84の下流側であって、加熱部84とテンション付与部150との間に配置されている。
冷却部250は、シートSに対して温度分布を有して冷却するものである。
なお、冷却部250の詳細な構成は後述する。
テンション付与部150は、冷却部250と搬送部170との間に配置されている。
テンション付与部150は、シートSに対して荷重を付与し、シートSを変形させるものである。
テンション付与部150は、テンションローラー151(図2参照)と、テンションローラー151を支持する支持部152(図2参照)を有している。テンションローラー151は冷却部250を通過した後のシートSに接する。
搬送部170は、一対のローラーを備える。一対のローラーの一方は、モーターにより駆動される駆動ローラーであり、他方は従動ローラーである。搬送部のローラー172は、モーター(図示略)の駆動力により回転して、テンション付与部150により荷重が付与されたシートSを、切断部90に向けて搬送する。ローラー171は従動ローラーである。
切断部90は、シート形成部80によって成形されたシートSを切断する。本実施形態では、切断部90は、シートSの搬送方向と交差する方向にシートSを切断する第1切断部92と、搬送方向に平行な方向にシートSを切断する第2切断部94と、を有する。第2切断部94は、例えば、第1切断部92を通過したシートSを切断する。
以上により、所定のサイズの単票のシートSが成形される。切断された単票のシートSは、排出部96へと排出される。排出部96は、所定サイズのシートSを載せるトレイ或いはスタッカーを備える。
次に、冷却部250の構成について説明する。
図2は、冷却部250の構成を示す模式図(側面図)であり、図3は、冷却部250の構成を示す模式図(平面図)である。また、図4は、冷却部250の制御ブロック図である。
冷却部250は、加熱部84とテンション付与部150との間に配置されている。
本実施形態に係る冷却部250は、送風機251を有している。送風機251はファン255を有する。当該送風機251はモーター(図示略)の駆動によりファン255を回転駆動させる。そして、ファン255の回転によりシートSに対して送風される。これにより、シートSが冷却される。また、モーターの出力を変化させ、ファン255の回転駆動を変化させることにより、送風機251の送風量を変えることができる。
また、シートSを介して送風機251と対向する位置に吸引機252が配置されている。
吸引機252はブロワ式であり、モーター(図示略)の駆動によりブロワ(図示略)を回転駆動させる。そして、ブロワの回転により雰囲気下にある空気、例えば、送風機251から送風され、シートSを通過した風を吸引する。
吸引機252はモーターの出力を変化させ、ブロワの回転駆動を変化させることにより、吸引機252の吸引量を変えることができる。
また、図3に示すように、送風機251はシートSの搬送方向と交差した方向に複数配置されている。本実施形態では、シートSの搬送方向と交差した方向に、送風機251A、251B、251C、251D、251Eの5つの送風機251が配置されている。なお、配列させた5つの送風機251の全幅はシートSの幅方向よりも長い。すなわち、シートSの全幅にかけて送風可能となる。
送風機251は、各送風機251A,251B,251C,251D,251Eにおいて制御駆動可能に構成されており、送風量を制御可能であるため、シートSの幅方向(シートSの搬送方向と交差した方向)に対して温度分布を有して冷却が可能となる。
また、冷却部250とテンション付与部150との間に、シートSの温度分布を測定する測定部260が配置されている。測定部260は温度センサー261である。温度センサー261は、例えば赤外線などを用いた非接触温度センサーである。
図3に示すように、温度センサー261はシートSの搬送方向と交差した方向に複数配置されている。本実施形態では、シートSの搬送方向と交差した方向に、温度センサー261A,261B,261C,261D,261Eの5つの温度センサー261が配置されているため、シートSの搬送方向と交差した方向の温度分布を把握できる。
送風機251と温度センサー261とが搬送方向と交差した方向に配置された数は同数である。また、各送風機251A,251B,251C,251D,251Eのそれぞれの搬送方向下流側に各温度センサー261A,261B,261C,261D,261Eのそれぞれが配置している。
そして、図4に示すように、各送風機251A,251B,251C,251D,251Eのそれぞれが制御部104に接続されている。さらに、各温度センサー261A、261B,261C,261D,261Eのそれぞれが制御部104に接続されている。
制御部104は、温度センサー261から温度データを取得し、取得データに基づいて送風機251のモーターの駆動制御を行い、送風量を調節する。
具体的には、温度センサー261Aで取得したデータに基づいて送風機251Aの駆動制御を行う。同様にして、温度センサー261Bで取得したデータに基づいて送風機251Bの駆動制御を、温度センサー261Cで取得したデータに基づいて送風機251Cの駆動制御を、温度センサー261Dで取得したデータに基づいて送風機251Dの駆動制御を、温度センサー261Eで取得したデータに基づいて送風機251Eの駆動制御を行う。
制御部104は、各種プログラムを実行するためのCPU(Central Processing Unit)、データおよびプログラム等を一時的に記憶するためのRAM(Random Access Memory)、各種データ、各種プログラム等があらかじめ不揮発的に記録されているROM(Read Only Memory)、およびインターフェイスを具備している。そして、CPUがインターフェイスを介して入力される各種信号を、RAM、ROMのデータに基づき処理し、インターフェイスを介して各部へ制御信号を出力する。
各温度センサー261A,261B,261C,261D,261Eのそれぞれから温度データを取得し、取得データに基づいて、送風機251A,251B,251C,251D,251Eのそれぞれのモーターの駆動制御を行い、送風量を制御することにより、シートSに対して温度分布を有して冷却することが可能となり、シートSが一様に冷却される。例えば、シート中央部と端部とでは加熱時の温度に差が生じる傾向にあり、中央部が端部に比べて温度が高い場合がある。このような場合、中央部に位置する送風機251Cの風量をシート端部に位置する送風機251Aや送風機251Eの風量よりも多くする。これにより、シートの幅方向に温度分布を有して冷却することによりシート温度を一定にする。
次に、シート製造方法について説明する。なお、本実施形態では、上記シート製造装置100におけるシート製造方法について説明する。
図5は、本実施形態にかかるシート製造方法を示すフローチャートである。
図5に示すように、まず。堆積工程(ステップS100)では繊維と樹脂とを含む材料を堆積する。具体的には、図1に示すように、供給部10から原料を供給し、粗砕部12と解繊部20により原料を解繊物とする。この解繊物は繊維である。選別部40は解繊物を予め定められたサイズ以下の第一解繊物として得る。得られた第一解繊物は第1ウェブ形成部45で第1ウェブW1になった後、回転体49により繊維にほぐされる。混合部50で、回転体49によりほぐされた繊維と樹脂とを混合する。繊維と樹脂との混合物は、堆積部60で篩にかけられ、第2ウェブ形成部70に堆積して第2ウェブW2として形成される。
次いで、加熱工程(ステップS200)では、ステップS100において堆積した堆積物を加熱する。具体的には、図1に示すように、第2ウェブ形成部70に堆積した第2ウェブW2はシート形成部80へと搬送される。シート形成部80は搬送された第2ウェブW2を加熱加圧してシートSを成形する。
次いで、冷却工程(ステップS300)では、加熱された堆積物に対して温度分布を有して冷却する。具体的には、図2、図3に示すように、冷却部250は、シート形成部80で成形されたシートSを、幅方向に複数配置された送風機251を用いて、幅方向に温度分布を有して冷却を行う。
次いで、テンション付与工程(ステップS400)では、加熱工程で加熱された堆積物に対して変形可能にテンションを付与する。具体的には、図2で示すように、テンション付与部150は、シートSに対して荷重を付与し、シートSを変形させる。
以上、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
各温度センサー261A,261B,261C,261D,261Eのそれぞれから温度データを取得し、取得データに基づいて、送風機251A,251B,251C,251D,251Eのそれぞれのモーターの駆動制御を行い、送風量を制御することにより、シートSに対して温度分布を有して冷却する。これにより、シートSの温度を一定の温度に冷却させることができる。従って、シートSの蛇行を抑制することができる。さらにシートSの損傷や千切れを抑制することができる。
冷却部250は送風機251であり、シートSに対して非接触であるため、シートSを傷つけることなく温度分布を小さくすることができる。
(第2実施形態)
図6は、冷却部300の構成を示す模式図(側面図)であり、図7は、冷却ローラーを備えた冷却部300の構成を示す模式図(平面図)である。また、図8は、冷却ローラーを備えた冷却部300の制御ブロック図である。
冷却部300は、加熱部84とテンション付与部150との間に配置されている。
なお、本実施形態に係る冷却部300は、一対のローラー301,305を有し、当該ローラー301(以下、冷却ローラー301という)の温度調整可能な温度調節機を備えている。具体的には、冷却ローラー301を冷却可能な送風機302と、ローラー301を加熱可能なヒーター303とを備えている。送風機302とヒーター303は、それぞれローラー301の外表面(堆積物であるシートと接する表面)の少なくとも一部に対向して臨んで配置されている。送風機302は、モーター(図示略)の駆動によりファン320を回転駆動させる。そして、ファン320の回転により冷却ローラー301に対して送風される。また、ヒーター303は、電圧調整を行いフィラメント330の温度を調節し、冷却ローラー301を温める。冷却ローラー301は、送風機302とヒーター303との作用により温度を調節され、シートSに接する。そして、シートSから熱を吸収し、シートSは冷却される。
また、図7に示すように、冷却ローラーに備えられた送風機302とヒーター303はシートSの搬送方向と交差した方向に複数配置されている。本実施形態では、シートSの搬送方向と交差した方向に、各送風機302A,302B,302C,302D,302Eの5つの送風機302と各ヒーター303A,303B,303C,303D,303Eの5つのヒーター303とを有する。
各送風機302と各ヒーター303とが制御可能に構成されているため、冷却ローラー301は、シートSに対して温度分布を有して冷却が可能となる。
また、冷却部300とテンション付与部150との間に、シートSの温度分布を測定する測定部310が配置されている。測定部310は温度センサー311である。温度センサー311は、例えば赤外線などを用いた非接触温度センサーである。
図7に示すように、温度センサー311はシートSの搬送方向と交差した方向に複数配置されている。本実施形態では、シートSの搬送方向と交差した方向に、温度センサー311A、311B、311C、311D、311Eの5つの温度センサー311が配置されているため、シートSの搬送方向と交差した方向の温度分布を把握できる。
冷却ローラー301が有する送風機302とヒーター303と、温度センサー311とが搬送方向と交差した方向に配置された数は同数である。また、各送風機302A,302B,302C,302D,302Eそれぞれと各ヒーター303A,303B,303C,303D,303Eそれぞれの搬送方向下流側に各温度センサー311A,311B,311C,311D,311Eそれぞれが配置している。
そして、図8に示すように、各送風機302A,302B,302C,302D,302Eのそれぞれと各ヒーター303A,303B,303C,303D,303Eのそれぞれとが制御部104に接続されている。さらに、各温度センサー311A,311B,311C,311D,311Eのそれぞれが制御部104に接続されている。
制御部104は、温度センサー311から温度データを取得し、取得データに基づいて送風機302のモーターの駆動制御とヒーター303の温度調節とを行い、冷却ローラー301の温度を調節する。なお、制御部104の構成は第1実施形態と同様になるので説明を省略する。
具体的には温度センサー311Aで取得したデータに基づいて送風機302Aの駆動制御とヒーター303Aの電圧制御とを行う。同様に、温度センサー311Bで取得したデータに基づいて送風機302Bの駆動制御とヒーター303Bの電圧制御とを、温度センサー311Cで取得したデータに基づいて送風機302Cの駆動制御とヒーター303Cの電圧制御とを、温度センサー311Dで取得したデータに基づいて送風機302Dの駆動制御とヒーター303Dの電圧制御とを、温度センサー311Eで取得したデータに基づいて送風機302Eの駆動制御とヒーター303Eの電圧制御とを行う。
各温度センサー311A、311B、311C、311D、311Eのそれぞれから温度データを取得し、取得データに基づいて、各送風機302A、302B、302C、302D、302Eのそれぞれと、各ヒーター303A、303B、303C、303D、303Eのそれぞれとを制御することにより、シートSに対して温度分布を有して冷却することが可能となる。すなわち、シート温度が高い部分にはより温度が低くなるようにローラーが冷やされ、ローラーに接したシート部分はより冷却される。これにより、シートSが一様に冷却される。
次に、シート製造方法について説明する。なお、本実施形態では、上記シート製造装置100におけるシート製造方法について説明する(図5参照)。なお、製造方法を示すフローチャートは第1実施形態と同様であるため説明を省略する。また、堆積工程(ステップS100)、加熱工程(ステップS200)、テンション付与工程(ステップS400)はすべて第1実施形態と同様の製造方法であるため説明を省略する。
冷却工程(ステップS300)では、加熱工程で加熱された堆積物に対して温度分布を有して冷却する。具体的には、図6、図7に示すように、冷却部300は、シート形成部80で成形されたシートSを、ローラー301の幅方向に複数配置された送風機302とヒーター303を用いてローラー301の温度を調節し、幅方向に温度分布を有するかたちで冷却を行う。
以上、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
各温度センサー311A、311B、311C、311D、311Eのそれぞれから温度データを取得し、取得データに基づいて、各送風機302A、302B、302C、302D、302Eのそれぞれと、各ヒーター303A、303B、303C、303D、303Eのそれぞれとを制御することにより、ローラー301を介してシートSに対して温度分布を有して冷却する。これにより、シートSの温度を一定の温度に冷却させることができる。従って、シートSの蛇行を抑制することができる。さらにシートSの損傷や千切れを抑制することができる。
冷却部300はローラー301を有し、シートSに接触させるため、シートSに対する冷却効果を高めることができる。
(第3実施形態)
図9は、ミスト吐出部を備えた冷却部350の構成を示す模式図(側面図)であり、図10は、ミスト吐出部を備えた冷却部350の構成を示す模式図(平面図)である。また、図11は、ミスト吐出部を備えた冷却部の制御ブロック図である。
冷却部350は、加熱部84とテンション付与部150との間に配置されている。
なお、本実施形態に係る冷却部350は、開口部を有し、開口部がシートSに向けて配置されたミスト吐出部351を有している。ミスト吐出部351は、例えば圧電振動子(図示略)を備えたミスト発生装置である。ミスト吐出部351は、圧電振動子に電圧を印加することで供給された水をミストとして発生する。そして、シートSに付着したミストはシートSの熱を吸収して気化する。これによりシートSは冷却される。また、圧電振動子に印加する電圧を変化させることにより、ミスト吐出部351のミスト量を変化させることができる。
また、図10に示すように、ミスト吐出部351はシートSの搬送方向と交差した方向に複数配置されている。本実施形態では、シートSの搬送方向と交差した方向に、各ミスト吐出部351A,351B,351C,351D,351Eの5つのミスト吐出部351が配置されている。
ミスト吐出部351は、各ミスト吐出部351A,351B,351C,351D,351Eにおいて圧電振動子に印加する電圧制御可能に構成されており、ミスト量を制御可能であるため、シートSに対して温度分布を有して冷却が可能となる。
また、冷却部350とテンション付与部150との間に、シートSの温度分布を測定する測定部360が配置されている。測定部360は温度センサー361である。温度センサー361は、例えば赤外線などを用いた非接触温度センサーである。
図10に示すように、温度センサー361はシートSの搬送方向と交差した方向に複数配置されている。本実施形態では、シートSの搬送方向と交差した方向に、各温度センサー361A,361B,361C,361D,361Eの5つの温度センサー361が配置されているため、シートSの搬送方向と交差した方向の温度分布を把握できる。
ミスト吐出部351と温度センサー361とが搬送方向と交差した方向に配置された数は同数である。各ミスト吐出部351A,351B,351C,351D,351Eのそれぞれの搬送方向下流側に各温度センサー361A,361B,361C,361D,361Eのそれぞれが配置している。
そして、図11に示すように、各ミスト吐出部351A,351B,351C,351D,351Eのそれぞれが制御部104に接続されている。さらに、各温度センサー361A,361B,361C,361D,361Eのそれぞれが制御部104に接続されている。
制御部104は、温度センサー361から温度データを取得し、取得データに基づいてミスト吐出部351の印加電圧を制御して、ミスト量を調節する。なお、制御部104の構成は第1実施形態と同様になるので説明を省略する。
具体的には、温度センサー361Aで取得したデータに基づいてミスト吐出部351Aの印加電圧の制御を行う。同様にして、温度センサー361Bで取得したデータに基づいてミスト吐出部351Bの印加電圧の制御を、温度センサー361Cで取得したデータに基づいてミスト吐出部351Cの印加電圧の制御を、温度センサー361Dで取得したデータに基づいてミスト吐出部351Dの印加電圧の制御を、温度センサー361Eで取得したデータに基づいてミスト吐出部351Eの印加電圧の制御を行う。
各温度センサー361A、361B、361C、361D、361Eのそれぞれから温度データを取得し、取得データに基づいて、各ミスト吐出部351A、351B、351C、351D、351Eのそれぞれの印加電圧の制御を行い、ミスト量を制御することにより、シートSに対して温度分布を有して冷却することが可能となる。すなわち、シートSの温度が高い部分に対するミスト量を、温度低い部分よりも多くすることにより幅方向に温度分布を有して冷却する。これにより、シートSが一様に冷却される。
次に、シート製造方法について説明する。なお、本実施形態では、上記シート製造装置100におけるシート製造方法について説明する(図5参照)。なお、製造方法を示すフローチャートは第1実施形態と同様であるため説明を省略する。また、堆積工程(ステップS100)、加熱工程(ステップS200)、テンション付与工程(ステップS400)はすべて第1実施形態と同様の製造方法であるため説明を省略する。
冷却工程(ステップS300)では、加熱工程で加熱された堆積物に対して温度分布を有して冷却する。具体的には、図9、図10に示すように、冷却部350は、シート形成部80で成形されたシートSを、幅方向に複数配置されたミスト吐出部351を用いて温度を調節し、幅方向に温度分布を有するかたちで冷却を行う。
以上、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
各温度センサー361A、361B、361C、361D、361Eのそれぞれから温度データを取得し、取得データに基づいて、各ミスト吐出部351A、351B、351C、351D、351Eのそれぞれの印加電圧の制御を行い、ミスト量を制御することにより、シートSに対して温度分布を有して冷却する。これにより、シートSの温度を一定の温度に冷却させることができる。従って、シートSの蛇行を抑制することができる。さらにシートSの損傷や千切れを抑制することができる。
冷却部350はミストを噴きかけることにより堆積物の温度ばらつきを抑制することができる。さらに、送風とは異なり紙粉や埃の発生を防止して冷却することができる。尚、ミストの吐出量により、容易に温度分布を有して冷却することが可能である。
80…シート形成部、82…加圧部、84…加熱部、100…シート製造装置、104…制御部、150…テンション付与部、151…テンションローラー、152…支持部、170…搬送部、250…冷却部、251,251A,251B,251C,251D,251E…送風機、252…吸引機、255…ファン、260…測定部、261,261A,261B,261C,261D,261E…温度センサー、300…冷却部、301…冷却ローラー、302,302A,302B,302C,302D,302E…送風機、303…ヒーター、303A,303B,303C,303D,303E…ヒーター、310…測定部、311,311A,311B,311C,311D,311E…温度センサー、320…ファン、330…フィラメント、350…冷却部、351,351A,351B,351C,351D,351E…ミスト吐出部、360…測定部、361,361A,361B,361C,361D,361E…温度センサー。

Claims (7)

  1. 繊維と樹脂とを含む材料を堆積させた堆積物を加熱する加熱部と、
    前記加熱部において加熱された前記堆積物に対して荷重を付与して変形させるテンション付与部と、
    前記加熱部と前記テンション付与部との間に設けられ、前記堆積物に対して温度分布を有して冷却することが可能な冷却部と、を備えることを特徴とするシート製造装置。
  2. 前記堆積物は、前記加熱部、前記冷却部、前記テンション付与部の順に搬送され、前記冷却部における温度分布を有した冷却は、前記堆積物が搬送される搬送方向と交差した方向における温度分布を有した冷却であることを特徴とする請求項1に記載のシート製造装置。
  3. 前記冷却部と前記テンション付与部との間に設けられ、冷却された前記堆積物の温度分布を測定する測定部と、
    前記測定部における温度分布の結果によって、前記冷却部での温度分布を有した冷却を制御する制御部と、を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載のシート製造装置。
  4. 前記冷却部は、送風機であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のシート製造装置。
  5. 前記冷却部は、前記堆積物を加圧する一対のローラーと、
    前記ローラーに設けられた温度調節機と、
    を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のシート製造装置。
  6. 前記冷却部は、前記堆積物にミストを噴きかけるミスト吐出部を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のシート製造装置。
  7. 繊維と樹脂とを含む材料を堆積させた堆積物を加熱する工程と、加熱された前記堆積物に対して温度分布を有して冷却する工程と、冷却された前記堆積物に当接し、前記加熱する工程において加熱された前記堆積物に対して変形可能にテンションを付与する工程と、を有することを特徴とするシート製造方法。
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