JP2022055780A - シート製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】より均一な厚さのシートを製造可能なシート製造装置を提供すること。【解決手段】複数の開口を有する篩部と、前記開口を通過した繊維を含む材料が堆積する堆積面を有し、前記堆積面にウェブを形成するウェブ形成部と、前記ウェブを処理してシートを形成するシート形成部と、前記材料を含む搬送気流を前記篩部の内部へ供給する材料供給管と、を備え、前記材料供給管は、第1供給管と、前記第1供給管を分岐させる分岐部と、前記分岐部と、前記篩部の回転軸方向の一端部と、を接続する第2供給管と、前記分岐部と、前記篩部の前記回転軸方向の他端部と、を接続する第3供給管と、前記第1供給管および前記分岐部のうち、一方の軸心を他方の軸心に対してずらす軸心駆動部と、を備えることを特徴とするシート製造装置。【選択図】図5

Description

本発明は、シート製造装置に関するものである。
特許文献1には、紙を製造する工程において、偏差が小さくなるように紙厚を制御する手法が開示されている。具体的には、特許文献1に記載の装置は、パルプ成分を含む白水から固液分離された原紙をプレスして乾燥した後、巻き取る抄紙プロセスにおいて、巻き取り前の紙厚測定値に基づいて、設定された紙厚との偏差が小さくなるように坪量を制御する。
特開平8-13376号公報
特許文献1に記載の装置では、パルプ成分を含む白水を吐き出すとき、その供給量を調整することにより、パルプ成分の量を調整する弁を備えている。しかしながら、パルプ成分が塊状になっている場合、パルプ成分を目的とする量に安定して調整することが困難になる。この場合、製造される紙の厚さが不均一になるという課題がある。
本発明の適用例に係るシート製造装置は、
複数の開口を有する篩部と、
前記開口を通過した繊維を含む材料が堆積する堆積面を有し、前記堆積面にウェブを形成するウェブ形成部と、
前記ウェブを処理してシートを形成するシート形成部と、
前記材料を含む搬送気流を前記篩部の内部へ供給する材料供給管と、
を備え、
前記材料供給管は、
第1供給管と、
前記第1供給管を分岐させる分岐部と、
前記分岐部と、前記篩部の回転軸方向の一端部と、を接続する第2供給管と、
前記分岐部と、前記篩部の前記回転軸方向の他端部と、を接続する第3供給管と、
前記第1供給管および前記分岐部のうち、一方の軸心を他方の軸心に対してずらす軸心駆動部と、
を備えることを特徴とする。
第1実施形態に係るシート製造装置の構成を示す模式図である。 シート製造装置の要部斜視図である。 シート製造装置の要部断面図である。 図2に示すシート製造装置の要部拡大図であり、特に、材料供給管および軸心駆動部を示す断面図である。 図2に示すシート製造装置の要部拡大図であり、特に、材料供給管および軸心駆動部を示す断面図である。 図4のA-A線断面図である。 図5のA2-A2線断面図である。 第1供給管のずらし量xと、第2供給管で回収した材料の量mcと第3供給管で回収した材料の量mdの比mc/mdと、の関係を示すグラフである。 第2実施形態に係るシート製造装置の要部拡大図である。 図9のA3-A3断面図である。 第3実施形態に係るシート製造装置の要部拡大図である。
以下、本発明のシート製造装置を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
1.第1実施形態
図1は、第1実施形態に係るシート製造装置100の構成を示す模式図である。
シート製造装置100は、例えば、原料としての使用済みの古紙を乾式で解繊して繊維化した後、加圧、加熱、切断することによって、新しい紙を製造するのに好適な装置である。繊維化された原料には、さまざまな添加物を混合するようにしてもよい。これにより、用途に合わせて、紙製品の結合強度や白色度を向上させたり、色、香り、難燃等の機能を付加したりしてもよい。また、紙の密度や厚さ、形状をコントロールして成形することで、A4やA3等の定型サイズのオフィス用紙、名刺用紙等、用途に合わせて、さまざまな厚さ、サイズの紙を製造することができる。
シート製造装置100は、供給部10、粗砕部12、解繊部20、選別部40、第1ウェブ形成部45、回転体49、混合部50、堆積部60、第2ウェブ形成部70、搬送部79、シート形成部80、および、切断部90を備える。
また、シート製造装置100は、原料の加湿および原料が移動する空間の加湿の少なくとも一方を目的として、加湿部202、204、206、208、210、212を備える。これら加湿部202、204、206、208、210、212の具体的な構成は任意であり、例えば、スチーム式、気化式、温風気化式、超音波式等が挙げられる。
本実施形態では、加湿部202、204、206、208を、気化式または温風気化式の加湿器で構成する。すなわち、加湿部202、204、206、208は、水を湿潤させる図示しないフィルターを有し、フィルターに空気を通過させることにより、湿度を高めた加湿空気を供給する。また、加湿部202、204、206、208は、加湿空気の湿度を効果的に高める図示しないヒーターを備えてもよい。
また、本実施形態では、加湿部210および加湿部212を、超音波式加湿器で構成する。すなわち、加湿部210、212は、水を霧化する図示しない振動部を有し、振動部により発生するミストを供給する。
供給部10は、粗砕部12に原料を供給する。シート製造装置100がシートを製造する原料は繊維を含むものであればよく、例えば、紙、パルプ、パルプシート、不織布を含む布または織物等が挙げられる。本実施形態ではシート製造装置100が古紙を原料とする構成を例示する。供給部10は、例えば、古紙を重ねて蓄積するスタッカーと、スタッカーから古紙を粗砕部12に送り出す自動投入装置と、を備える構成とすることができる。
粗砕部12は、供給部10によって供給された原料を粗砕刃14によって裁断(粗砕)して、粗砕片にする。粗砕刃14は、空気中等の気中で原料を裁断する。粗砕部12は、例えば、原料を挟んで裁断する一対の粗砕刃14と、粗砕刃14を回転させる駆動部とを備え、いわゆるシュレッダーと同様の構成とすることができる。粗砕片の形状や大きさは任意であり、解繊部20における解繊処理に適していればよい。例えば、粗砕部12は、原料を、1~数cm四方またはそれ以下のサイズの紙片に裁断する。
粗砕部12は、粗砕刃14により裁断されて落下する粗砕片を受けるホッパーであるシュート9を有する。シュート9は、例えば、粗砕片が流れる方向において、徐々に幅が狭くなるテーパー形状を有する。そのため、シュート9は、多くの粗砕片を受けとめることができる。シュート9には、解繊部20に連通する管2が連結され、管2は粗砕刃14によって裁断された原料(粗砕片)を、解繊部20に搬送させるための搬送路を形成する。粗砕片はシュート9により集められ、管2を通って解繊部20に移送(搬送)される。
粗砕部12が有するシュート9またはその近傍には、加湿部202により加湿空気が供給される。これにより、粗砕刃14により裁断された粗砕物が、静電気によってシュート9や管2の内面に吸着する現象を抑制できる。また、粗砕刃14が裁断した粗砕物は、加湿された空気とともに解繊部20に移送されるので、解繊部20の内部における解繊物の付着を抑制する効果も期待できる。加湿部202は、粗砕刃14に加湿空気を供給して、供給部10が供給する原料を除電する構成としてもよい。また、加湿部202とともにイオナイザーを用いて除電してもよい。
解繊部20は、粗砕部12で裁断された粗砕物を解繊する。より具体的には、解繊部20は、粗砕部12によって裁断された原料(粗砕片)を解繊処理し、解繊物を生成する。ここで、「解繊する」とは、複数の繊維が結着されてなる原料(被解繊物)を、繊維1本1本に解きほぐすことをいう。解繊部20は、原料に付着した樹脂粒やインク、トナー、にじみ防止剤等の物質を、繊維から分離させる機能をも有する。
解繊部20を通過したものを「解繊物」という。「解繊物」には、解きほぐされた解繊物繊維の他に、繊維を解きほぐす際に繊維から分離した樹脂、すなわち複数の繊維同士を結着させるための樹脂粒や、インク、トナーなどの色剤や、にじみ防止剤、紙力増強剤等の添加剤を含んでいる場合もある。解きほぐされた解繊物の形状は、ひも(string)状や平ひも(ribbon)状である。解きほぐされた解繊物は、他の解きほぐされた繊維と絡み合っていない状態、すなわち独立した状態で存在してもよいし、他の解きほぐされた解繊物と絡み合って塊状となった状態、いわゆる「ダマ」を形成している状態で存在してもよい。
解繊部20は、乾式で解繊を行う。ここで、液体中ではなく、大気中(空気中)等の気中において、解繊等の処理を行うことを乾式と称する。本実施形態では、解繊部20がインペラーミルを用いる構成とする。具体的には、解繊部20は、高速回転する図示しないローター、および、ローターの外周に位置する図示しないライナーを備える。粗砕部12で裁断された原料の粗砕片は、解繊部20のローターとライナーとの間に挟まれて解繊される。解繊部20は、ローターの回転により気流を発生させる。この気流により、解繊部20は、原料である粗砕片を管2から吸引し、解繊物を排出口24へと搬送できる。解繊物は排出口24から管3に送り出され、管3を介して選別部40に移送される。
このように、解繊部20で生成される解繊物は、解繊部20が発生する気流により解繊部20から選別部40に搬送される。さらに、本実施形態では、シート製造装置100が気流発生装置である解繊部ブロアー26を備え、解繊部ブロアー26が発生する気流により解繊物が選別部40に搬送される。解繊部ブロアー26は管3に取り付けられ、解繊部20から解繊物とともに空気を吸引し、選別部40に送風する。
選別部40は、解繊部20により解繊された解繊物を、管3を介して気流とともに流入させる導入口42を有する。選別部40は、導入口42に導入する解繊物を、繊維の長さによって選別する。具体的には、選別部40は、解繊部20により解繊された解繊物のうち、あらかじめ定められたサイズ以下の解繊物を第1選別物とし、第1選別物より大きい解繊物を第2選別物として、選別する。第1選別物は繊維または粒子等を含み、第2選別物は、例えば、大きい繊維、未解繊片、すなわち十分に解繊されていない粗砕片、解繊された繊維が凝集し、あるいは絡まったダマ等を含む。
本実施形態では、選別部40は、ドラム部41と、ドラム部41を収容するハウジング部43と、を有する。
ドラム部41は、モーターによって回転駆動される円筒の部材であり、フィルター、スクリーン等の網を有する。この網の目により、ドラム部41は、網の目開き(開口)の大きさより小さい第1選別物と、網の目開きより大きい第2選別物とを選別する。ドラム部41の網としては、例えば、金網、切れ目が入った金属板を引き伸ばしたエキスパンドメタル、金属板にプレス機等で穴を形成したパンチングメタルを用いることができる。
導入口42に導入された解繊物は、気流とともにドラム部41の内部に送り込まれ、ドラム部41の回転によって第1選別物がドラム部41の網の目から下方に落下する。ドラム部41の網の目を通過できない第2選別物は、導入口42からドラム部41に流入する気流により流されて排出口44に導かれ、管8に送り出される。
管8は、ドラム部41の内部と管2とを連結する。管8を通って流される第2選別物は、粗砕部12により裁断された粗砕片とともに管2を流れ、解繊部20の導入口22に導かれる。これにより、第2選別物は解繊部20に戻されて、解繊処理される。
また、ドラム部41により選別される第1選別物は、ドラム部41の網の目を通って空気中に分散し、ドラム部41の下方に位置する第1ウェブ形成部45のメッシュベルト46に向けて降下する。
第1ウェブ形成部45(分離部)は、メッシュベルト46(分離ベルト)と、ローラー47と、吸引部48(サクション機構)と、を含む。メッシュベルト46は無端形状のベルトであって、3つのローラー47に懸架され、ローラー47の動きにより、矢印V1で示す方向に搬送される。メッシュベルト46の表面は所定サイズの開口が並ぶ網で構成される。選別部40から降下する第1選別物のうち、網の目を通過するサイズの微粒子はメッシュベルト46の下方に落下し、網の目を通過できないサイズの繊維がメッシュベルト46に堆積し、メッシュベルト46とともに矢印V1方向に搬送される。メッシュベルト46から落下する微粒子は、解繊物の中で比較的小さいものや密度の低いもの、例えば樹脂粒や色剤や添加剤等を含み、シート製造装置100がシートSの製造に使用しない除去物である。
メッシュベルト46は、シートSを製造する通常動作中には、所定の速度で移動する。この速度は、例えば、あらかじめ設定された一定の速度とされる。
ここで、通常動作中とは、後述するシート製造装置100の起動制御、および、停止制御の実行中を除く動作中であり、より詳細には、シート製造装置100が望ましい品質のシートSを製造している間を指す。
したがって、解繊部20で解繊処理された解繊物は、選別部40で第1選別物と第2選別物とに選別され、第2選別物が解繊部20に戻される。また、第1選別物から、第1ウェブ形成部45によって除去物が除かれる。第1選別物から除去物を除いた残りは、シートSの製造に適した材料であり、この材料はメッシュベルト46に堆積して第1ウェブW1を形成する。
吸引部48は、メッシュベルト46の下方から空気を吸引する。吸引部48は、管23を介して集塵部27(集塵装置)に連結される。集塵部27は、微粒子を気流から分離する。集塵部27の下流には、捕集ブロアー28が設置され、捕集ブロアー28は、集塵部27から空気を吸引する集塵用吸引部として機能する。また、捕集ブロアー28が排出する空気は管29を経てシート製造装置100の外に排出される。
この構成では、捕集ブロアー28により、集塵部27を通じて吸引部48から空気が吸引される。吸引部48では、メッシュベルト46の網の目を通過する微粒子が、空気とともに吸引され、管23を通って集塵部27に送られる。集塵部27は、メッシュベルト46を通過した微粒子を気流から分離して蓄積する。
したがって、メッシュベルト46の上には第1選別物から除去物を除去した繊維が堆積して第1ウェブW1が形成される。捕集ブロアー28が吸引を行うことで、メッシュベルト46上における第1ウェブW1の形成が促進され、かつ、除去物が速やかに除去される。
ドラム部41を含む空間には、加湿部204により加湿空気が供給される。この加湿空気によって、選別部40の内部で第1選別物を加湿する。これにより、静電力による第1選別物のメッシュベルト46への付着を弱め、第1選別物をメッシュベルト46から剥離し易くすることができる。さらに、静電力により第1選別物が回転体49やハウジング部43の内壁に付着することを抑制することができる。また、吸引部48によって除去物を効率よく吸引できる。
なお、シート製造装置100において、第1解繊物と第2解繊物とを選別し、分離する構成は、ドラム部41を備える選別部40に限定されない。例えば、解繊部20で解繊処理された解繊物を、分級機によって分級する構成を採用してもよい。分級機としては、例えば、サイクロン分級機、エルボージェット分級機、エディクラシファイヤー等が挙げられる。これらの分級機を用いれば、第1選別物と第2選別物とを選別し、分離することが可能である。さらに、上記の分級機により、解繊物の中で比較的小さいものや密度の低いもの、例えば樹脂粒や色剤や添加剤等を含む除去物を、分離して除去する構成を実現できる。例えば、第1選別物に含まれる微粒子を、分級機によって、第1選別物から除去する構成としてもよい。この場合、第2選別物は、例えば解繊部20に戻され、除去物は集塵部27により集塵され、除去物を除く第1選別物が管54に送られる構成とすることができる。
メッシュベルト46の搬送経路において、選別部40の下流側には、加湿部210によって、ミストを含む空気が供給される。加湿部210が生成する水の微粒子であるミストは、第1ウェブW1に向けて降下し、第1ウェブW1に水分を供給する。これにより、第1ウェブW1が含む水分量が調整され、静電気によるメッシュベルト46への繊維の吸着等を抑制できる。
シート製造装置100は、メッシュベルト46に堆積した第1ウェブW1を分断する回転体49を備える。第1ウェブW1は、メッシュベルト46がローラー47により折り返す位置で、メッシュベルト46から剥離して、回転体49により分断される。
第1ウェブW1は、繊維が堆積してウェブ形状となった柔らかい材料であり、回転体49は、第1ウェブW1の繊維をほぐして、後述する混合部50で添加物を混合しやすい状態に加工する。
回転体49の構成は任意であるが、本実施形態では、板状の羽根を有し回転する回転羽形状とすることができる。回転体49は、メッシュベルト46から剥離する第1ウェブW1と羽根とが接触する位置に配置される。回転体49の回転、例えば図中矢印Rで示す方向への回転により、メッシュベルト46から剥離して搬送される第1ウェブW1に羽根が衝突して分断し、細分体Pを生成する。
なお、回転体49は、回転体49の羽根がメッシュベルト46に衝突しない位置に設置されることが好ましい。例えば、回転体49の羽根の先端とメッシュベルト46との間隔を、0.05mm以上0.5mm以下とすることができ、この場合、回転体49によって、メッシュベルト46に損傷を与えることなく第1ウェブW1を効率よく分断できる。
回転体49によって分断された細分体Pは、管7の内部を下降して、管7の内部を流れる気流によって混合部50へ移送(搬送)される。
また、回転体49を含む空間には、加湿部206により加湿空気が供給される。これにより、管7の内部や、回転体49の羽根に対し、静電気により繊維が吸着する現象を抑制できる。また、管7を通って、湿度の高い空気が混合部50に供給されるので、混合部50においても静電気による影響を抑制できる。
混合部50は、結着剤を含む添加物を供給する添加物供給部52、管7に連通し、細分体Pを含む気流が流れる管54、および、混合ブロアー56を備える。細分体Pは、上述のように選別部40を通過した第1選別物から除去物を除去した繊維である。混合部50は、細分体Pを構成する繊維に、結着剤を含む添加物を混合する。
混合部50では、混合ブロアー56によって気流を発生させ、管54中において、細分体Pと添加物とを混合させながら、搬送する。また、細分体Pは、管7および管54の内部を流れる過程でほぐされて、より細かい繊維状となる。
添加物供給部52は、添加物を蓄積する図示しない添加物カートリッジに接続され、添加物カートリッジ内部の添加物を管54に供給する。添加物カートリッジは、添加物供給部52に着脱可能な構成であってもよい。また、添加物カートリッジに添加物を補充する構成を備えてもよい。添加物供給部52は、添加物カートリッジ内部の微粉または微粒子からなる添加物をいったん貯留する。添加物供給部52は、いったん貯留した添加物を管54に送る排出部52aを有する。
排出部52aは、添加物供給部52に貯留された添加物を管54に送出する図示しないフィーダー、および、フィーダーと管54とを接続する管路を開閉する図示しないシャッターを備える。このシャッターを閉じると、排出部52aと管54とを連結する管路あるいは開口が閉鎖され、添加物供給部52から管54への添加物の供給が絶たれる。
排出部52aのフィーダーが動作していない状態では、排出部52aから管54に添加物が供給されないが、管54内に負圧が発生した場合等には、排出部52aのフィーダーが停止していても添加物が管54に流れる可能性がある。排出部52aを閉じることにより、このような添加物の流れを確実に遮断できる。
添加物供給部52が供給する添加物は、複数の繊維を結着させるための結着剤を含む。添加物に含まれる結着剤には、例えば、熱可塑性樹脂(AS樹脂、ABS樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン等)、熱硬化性樹脂、澱粉、デキストリン、グリコーゲン、アミロース、ヒアルロン酸、葛、こんにゃく、片栗粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉、天然ガム糊(エーテル化タマリンドガム、エーテル化ローカストビーンガム、エーテル化グアガム、アカシアアラビヤ系ガム)、繊維誘導糊(エーテル化カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース)、海藻類(アルギン酸ソーダ、寒天)、動物性蛋白質(コラーゲン、ゼラチン、加水分解コラーゲン、セリシン)等を用いることができる。これらの結着剤は、単独または適宜混合して用いてもよい。すなわち、添加物は、単一の物質を含んでもよいし、混合物であってもよく、それぞれ単一または複数の物質で構成される、複数種類の粒子を含んでもよい。また、添加物は、繊維状であってもよく、粉末状であってもよい。
添加物に含まれる結着剤は、加熱により溶融して複数の繊維同士を結着させる。したがって、添加物を繊維と混合させた状態で、結着剤が溶融する温度まで加熱されていない状態では、繊維同士は結着されない。
また、添加物供給部52が供給する添加物は、繊維を結着させる結着剤の他、製造されるシートの種類に応じて、繊維を着色するための着色剤や、繊維の凝集や結着剤の凝集を抑制するための凝集抑制剤、繊維等を燃えにくくするための難燃剤を含んでもよい。また、着色剤を含まない添加物は、無色または無色と見なせる程度に薄い色であってもよいし、白色であってもよい。
混合ブロアー56が発生する気流により、管7を降下する細分体P、および、添加物供給部52により供給される添加物は、管54の内部に吸引され、混合ブロアー56内部を通過する。混合ブロアー56が発生する気流や混合ブロアー56が有する羽根等の回転部の作用により、細分体Pを構成した繊維と添加物とが混合される。そして、この混合物、すなわち第1選別物と添加物との混合物は、管54を通って堆積部60に移送される。
なお、第1選別物と添加物とを混合する機構は、特に限定されず、高速回転する羽根により攪拌するものであってもよいし、V型ミキサーのように容器の回転を利用するものであってもよく、これらの機構を混合ブロアー56の前または後に設置してもよい。
堆積部60は、解繊部20で解繊された解繊物を堆積させる。より具体的には、堆積部60は、混合部50を通過した混合物を導入口62から導入し、絡み合った解繊物をほぐして、空気中で分散させながら降らせる。また、堆積部60は、添加物供給部52から供給される添加物の結着剤が繊維状である場合、絡み合った結着剤をほぐす。これにより、堆積部60は、第2ウェブ形成部70に、混合物を均一性よく堆積させることができる。
堆積部60は、ドラム部61と、ドラム部61を収容するハウジング部63と、を有する。ドラム部61は、モーターによって回転駆動される円筒の篩部である。ドラム部61は、フィルター、スクリーン等の網を有し、篩部として機能する。この網の目により、ドラム部61は、網の目開き(開口)のより小さい繊維や粒子を通過させ、ドラム部61から下降させる。ドラム部61の構成は、例えば、ドラム部41の構成と同じである。
なお、ドラム部61の「篩部」は、特定の対象物を選別する機能を有していなくてもよい。すなわち、ドラム部61として用いられる「篩部」とは、網を備えたもの、という意味であり、ドラム部61は、ドラム部61に導入された混合物の全てを降らせてもよい。
ドラム部61の下方には第2ウェブ形成部70が配置される。第2ウェブ形成部70は、堆積部60を通過した通過物を堆積して、第2ウェブW2を形成する。第2ウェブ形成部70は、例えば、メッシュベルト72と、ローラー74と、サクション機構76(吸引部)と、を有する。堆積部60、および、第2ウェブ形成部70は、ウェブ形成部に相当する。また、ドラム部61は、篩部に相当する。
メッシュベルト72は無端形状のベルトであって、複数のローラー74に懸架され、ローラー74の動きにより、矢印V2で示す方向に搬送される。メッシュベルト72は、例えば、金属製、樹脂製、布製のベルト、または不織布等である。メッシュベルト72の表面は所定サイズの開口が並ぶ網で構成される。ドラム部61から降下する繊維や粒子のうち、網の目を通過するサイズの微粒子はメッシュベルト72の下方に落下し、網の目を通過できないサイズの繊維がメッシュベルト72に堆積し、メッシュベルト72とともに矢印V2の方向に搬送される。メッシュベルト72は、シートSを製造する通常動作中には、一定の速度で移動する。通常動作中については上述した通りである。
メッシュベルト72の移動速度は、第2ウェブW2を搬送する速度と見なすことができ、この速度は、メッシュベルト72における第2ウェブW2の搬送速度ということができる。
メッシュベルト72の網の目は微細であり、ドラム部61から降下する繊維や粒子の大半を通過させないサイズとすることができる。
サクション機構76は、メッシュベルト72の下方、具体的には堆積部60側とは反対側に設けられる。サクション機構76は、サクションブロアー77を備え、サクションブロアー77の吸引力によって、サクション機構76に下方に向く気流、すなわち堆積部60からメッシュベルト72に向く気流を発生させることができる。
サクション機構76によって、堆積部60により空気中に分散された混合物をメッシュベルト72上に吸引する。これにより、メッシュベルト72上における第2ウェブW2の形成を促進し、堆積部60からの排出速度を大きくすることができる。さらに、サクション機構76によって、混合物の落下経路にダウンフローを形成することができ、落下中に解繊物や添加物が絡み合うことを防ぐことができる。
サクションブロアー77は、サクション機構76から吸引した空気を、図示しない捕集フィルターを通じて、シート製造装置100の外に排出してもよい。また、サクションブロアー77が吸引した空気を集塵部27に送り込み、サクション機構76が吸引した空気に含まれる除去物を捕集してもよい。
ドラム部61を含む空間には、加湿部208により加湿空気が供給される。この加湿空気によって、堆積部60の内部を加湿することができ、静電力によるハウジング部63への繊維や粒子の付着を抑え、繊維や粒子をメッシュベルト72に速やかに降下させ、好ましい形状の第2ウェブW2を形成させることができる。
メッシュベルト72の搬送経路において、堆積部60の下流側には、加湿部212によって、ミストを含む空気が供給される。これにより、加湿部212が生成するミストが第2ウェブW2に供給され、第2ウェブW2が含む水分量が調整される。これにより、静電気によるメッシュベルト72への繊維の吸着等を抑制できる。
シート製造装置100には、メッシュベルト72上の第2ウェブW2を、シート形成部80に搬送する搬送部79が設けられる。搬送部79は、例えば、メッシュベルト79aと、ローラー79bと、サクション機構79cと、を有する。
サクション機構79cは、図示しないブロアーを備え、ブロアーの吸引力によってメッシュベルト79aに上向きの気流を発生させる。この気流は第2ウェブW2を吸引し、第2ウェブW2は、メッシュベルト72から離れてメッシュベルト79aに吸着される。メッシュベルト79aは、ローラー79bの自転により移動し、第2ウェブW2をシート形成部80に搬送する。
シート形成部80は、堆積部60で堆積させた堆積物からシートSを形成する。より具体的には、シート形成部80は、メッシュベルト72に堆積し搬送部79により搬送された第2ウェブW2(堆積物)を処理してシートSを成形する。シート形成部80による処理は、第2ウェブW2に対する加圧および加熱を含む。シート形成部80では、第2ウェブW2に対して荷重を与えることにより、第2ウェブW2を圧縮して厚みを均質化させ、第2ウェブW2が含む繊維同士および繊維と添加物との密着性を高める。さらに、シート形成部80は、第2ウェブW2が含む解繊物の繊維および添加物に対して熱を加えることにより、混合物中の複数の繊維を、互いに添加物を介して結着させる。
シート形成部80は、第2ウェブW2を加圧する加圧部82、および、加圧部82により加圧された第2ウェブW2を加熱する加熱部84を備える。
加圧部82は、一対のカレンダーローラー85(加圧ローラー)で構成され、第2ウェブW2を所定のニップ圧で挟んで加圧する。第2ウェブW2は、加圧されることによりその厚さが小さくなり、第2ウェブW2の密度が高められる。一対のカレンダーローラー85の一方は、図示しないモーターにより駆動される駆動ローラーであり、他方は従動ローラーである。カレンダーローラー85が回転することにより、加圧により高密度になった第2ウェブW2を、加熱部84に向けて搬送する。
加熱部84は、例えば、加熱ローラー(ヒーターローラー)、熱プレス成形機、ホットプレート、温風ブロアー、赤外線加熱器、フラッシュ定着器を用いて構成できる。本実施形態では、加熱部84は、一対の加熱ローラー86を備える。加熱ローラー86は、内部または外部に設置されるヒーターによって、あらかじめ設定された温度に加温される。一対の加熱ローラー86の一方は、図示しないモーターにより駆動される駆動ローラーであり、他方は従動ローラーである。加熱ローラー86は、カレンダーローラー85によって加圧されたシートSを挟んで熱を与え、シートSを形成する。加熱ローラー86が回転することにより、シートSを切断部90に向けて搬送する。
本実施形態では、第2ウェブW2を処理してシートSに形成するシート形成部80において、加圧部82により第2ウェブW2を加圧し、加圧部82により加圧された第2ウェブを、さらに加熱部84により加熱したものをシートSと呼ぶ。すなわち、繊維同士が添加剤により結着したものをシートSと呼ぶ。シートSは、切断部90に搬送される。
切断部90は、シート形成部80によって成形されたシートSを切断する。本実施形態では、切断部90は、シートSの搬送方向Fと交差する方向にシートSを切断する第1切断部92と、搬送方向Fに平行な方向にシートSを切断する第2切断部94と、を有する。第2切断部94は、例えば、第1切断部92を通過したシートSを切断する。
以上により、所定のサイズの単票のシートSが成形される。切断された単票のシートSは、排出部96へと排出される。排出部96は、所定サイズのシートSを載せるトレイまたはスタッカーを備える。
なお、上記構成では、最初に粗砕部12が原料を粗砕し、粗砕された原料からシートSを製造するものとしたが、例えば、原料として繊維を用いてシートSを製造する構成としてもよい。
例えば、解繊部20が解繊処理した解繊物と同等の繊維を原料として、ドラム部41に投入可能な構成であってもよい。また、解繊物から分離された第1選別物と同等の繊維を原料として、管54に投入可能な構成としてもよい。この場合、古紙やパルプ等を加工した繊維をシート製造装置100に供給することで、シートSを製造できる。
次に、堆積部60および第2ウェブ形成部70等について詳述する。
図2は、シート製造装置100の要部斜視図であり、図3はシート製造装置100の要部断面図である。図2および図3では、堆積部60および第2ウェブ形成部70の構成を詳細に示している。
図2および図3に示すように、ドラム部61は、中空の円筒形状を有し、回転軸Qを中心に回転可能である。ドラム部61の外周面61bには、複数の開口61aが形成され、ドラム部61の回転に伴い、開口61aを通過した繊維が降下して、メッシュベルト72上に堆積して、第2ウェブW2を形成する。ここで、ドラム部61に形成される開口61aの大きさ、形状および数は、特に限定されない。なお、便宜上、図2および図3では、ドラム部61に対して開口61aを大きく図示している。
ハウジング部63は、ドラム部61の少なくとも開口61aが形成された部分、すなわち開口61aが形成されている外周面61bを、空隙を介して覆っている。図2および図3に示す例では、ハウジング部63は、外周面61bと対向する内面を有する対向壁部66と、右側壁64および左側壁65と、を有し、ドラム部61を収容する。ハウジング部63の右側壁64および左側壁65は、対向壁部66に接続され回転軸Q方向、つまり回転軸Qが延びている方向にドラム部61を覆う。
ここで、図2および図3では、回転軸Q方向を左右方向とし、右方向を符号Rで、左方向を符号Lで示す。搬送方向F、右方向R、および左方向Lは、第2ウェブW2の面に平行な面内における方向である。回転軸Q方向、すなわちR-L方向は、搬送方向Fに対し直交する方向であり、第2ウェブW2およびシートSの幅方向に相当する。このため、R-L方向を、以下の説明では幅方向WDと呼ぶ。
また、図2および図3では、幅方向WDおよび搬送方向Fを含む面に対して直交する方向を上下方向とし、上方向を符号Uで、下方向を符号Dで示す。
ハウジング部63の右側壁64および左側壁65の内面には、図3に示すように、凹部68が設けられている。凹部68には、パイルシール69aが設けられている。ドラム部61は、パイルシール69aを介してハウジング部63と所定の間隔で回転可能に支持されている。パイルシール69aは、例えば、ベース部の表面に密に細毛が植えつけられたブラシ(刷毛)で構成されている。
一方、堆積部60には、管54(材料供給管)により、材料を含む空気が供給される。管54は、混合ブロアー56に繋がる1本の主管54a(第1供給管)が、分岐部54bにおいて分岐管54c、54d(第2供給管、第3供給管)に分岐する構成を有する。分岐管54cは送気管57aに接続され、分岐管54dは送気管57bに接続される。
混合ブロアー56は、主管54aを通じて材料を含む空気である搬送気流M1を送る。搬送気流M1は、分岐部54bにおいて、分岐管54cを流れる搬送気流M2と分岐管54dを流れる搬送気流M3とに分流される。ここで、材料とは、上述したように選別部40により分離された繊維(第1選別物)と添加物供給部52で供給された添加物とを含み、繊維と添加物との混合物である。
また、ハウジング部63の右側壁64および左側壁65には、材料を含む空気をドラム部61の内部に供給する送気管57a、57bがそれぞれ接続される。送気管57aは、右側壁64を貫通し、ドラム部61の内部に連通する。すなわち、ハウジング部63の内部には、ドラム部61の内部空間に面して開口する材料供給口64aが設けられる。同様に、送気管57bは左側壁65を貫通して、ドラム部61の内部に連通する。左側壁65には、ドラム部61の内部空間に面して開口する材料供給口65aが設けられる。
搬送気流M2は、分岐管54cから送気管57aを通りドラム部61の内部に流入する。また、搬送気流M3は、分岐管54dから送気管57bを通りドラム部61の内部に流入する。搬送気流M2、M3に含まれる材料は、加湿部206から供給される加湿空気により加湿された状態で、ドラム部61に流入する。
送気管57a、57bは、右側壁64、左側壁65を貫通する。ドラム部61の内部には、送気管57a、57bの各々から材料供給口64a、65aを通して、回転軸Q方向に、材料を含む気流、すなわち搬送気流M2、M3が流入する。図3に示すように、材料供給口64aは、回転軸Qと重なる位置に設けられている。材料供給口65aも同様に、回転軸Qと重なる位置に設けられる。
また、ハウジング部63には、材料を含まない空気、例えばハウジング部63の外部の空気を、ドラム部61の回転軸Q方向からドラム部61の内部へ供給するための吸気口501、502が設けられている。吸気口501は、回転軸Q方向に延在する貫通孔であり、右側壁64を貫通して形成される。吸気口502は、回転軸Q方向に延在する貫通孔であり、左側壁65を貫通して形成される。したがって、吸気口501、502により、ハウジング部63の内部の空間は、ハウジング部63の外部と連通する。
堆積部60の周囲を図示しない仕切壁により囲い、仕切壁により囲われた空間、すなわち堆積部60が存在する空間に加湿空気A1を供給して当該空間を加湿空間としてもよい。加湿空気A1は、材料を含まない空気である。加湿空気A1は、加湿部208が備えるブロアーまたは加湿部208に接続して設けられるブロアーにより送風され、加湿空間に供給される。
吸気口501は材料供給口64aとは離間して設けられ、吸気口502は材料供給口65aとは離間して設けられる。また、図2および図3に示すように、回転軸Q方向からみて、吸気口501、502は、ドラム部61の内部と重なる位置に設けられる。
図2および図3に示す構成例では、吸気口501、502は、例えば、材料供給口64a、65aよりも、メッシュベルト72側、つまりメッシュベルト72から近い位置に設けられている。すなわち、吸気口501、502とメッシュベルト72との間の距離は、材料供給口64a、65aとメッシュベルト72との間の距離よりも小さい。
一方、ハウジング部63の下方には、メッシュベルト72が配置される。メッシュベルト72は、ハウジング部63の下面を構成し、ハウジング部63の下部に形成される開口63aを通ってハウジング部63の外部に突出する。メッシュベルト72の上面である堆積面72aには、ドラム部61から降下する材料が堆積する。
上述のように、メッシュベルト72の下方にはサクション機構76が配置され、メッシュベルト72を通じて下向きに吸気を行う。すなわち、サクション機構76が備えるサクションブロアー77によって吸引気流M4を発生させる。これにより、ハウジング部63の内部には下方向Dに向けて流れるダウンフローDFが発生する。
このように、ハウジング部63の内部空間には、ドラム部61内に搬送気流M2、M3が流入する一方、サクション機構76が下方から吸引を行う。このため、ドラム部61の内部からメッシュベルト72に向かうダウンフローDFが発生し、このダウンフローDFに乗って、材料が開口61aを通過して堆積面72aに向けて降下する。
また、材料供給口64a、65aからドラム部61に流入する風量よりも、サクション機構76が吸引する風量が大きい場合、この風量の差により、図2に示す吸気口501、502から外気O1、O2がそれぞれ流入する。外気O1、O2は、図3に矢印で示すようにドラム部61の内部に流入し、ダウンフローDFの一部となる。また、上述したように、堆積部60を含む空間が加湿されている場合は、ドラム部61の内部に流入する外気O1、O2は加湿空気A1となる。
サクション機構76が吸引する風量を第1風量とし、ドラム部61に流入する搬送気流M2、M3の風量を第2風量とすると、吸気口501、502は、第1風量と第2風量との差分に対応して、外気O1、O2を通過させる。したがって、吸気口501、502が形成されたことにより、第1風量と第2風量とをそれぞれ独立して調整あるいは制御することが可能である。また、第1風量が第2風量を上回る状態であれば、吸気口501、502から外部に材料が漏れるおそれはない。
また、ハウジング部63とメッシュベルト72との間にはパイルシール69bが配設される。パイルシール69bは、例えば直方体の形状を有し、ベース部の表面に密に細毛が植えつけられたブラシ(刷毛)で構成される。右側壁64および左側壁65と、メッシュベルト72との間にパイルシール69bが配置されることで、解繊物が、ハウジング部63とメッシュベルト72との隙間から漏出することを抑制できる。
さらに、本実施形態に係るシート製造装置100では、吸気口501に吸気規制部511が配置され、吸気口502に吸気規制部512が配置されている。吸気規制部511、512は共通の構造を有するため、図2を参照しつつ吸気規制部512について説明する。吸気規制部512は、左側壁65の外面に、左側壁65に沿ってスライド可能に配置される規制板512aと、規制板512aを移動させる板駆動部512bと、を有する。規制板512aは、左側壁65に開口する吸気口502を塞ぐ位置と、吸気口502を塞がない位置と、の間でスライド移動可能である。このため、規制板512aを移動させることによって、ハウジング部63の外部における吸気口502の開口面積を変化させることができる。板駆動部512bは、アクチュエーター等を備え、制御装置110の制御により動作し、規制板512aを移動させる。制御装置110は、板駆動部512bを制御することにより、吸気口502の開口面積を調整できる。
吸気口501に配置される吸気規制部511は、吸気口501の開口面積を変化させるように、吸気口501を閉塞する位置と吸気口501を開放する位置との間でスライド移動する規制板511aと、規制板511aを移動させる板駆動部511bと、を有する。板駆動部511bは、板駆動部512bと同様に、アクチュエーター等を備え、制御装置110の制御により動作し、規制板511aを移動させる。制御装置110は、板駆動部511bを制御することにより、右側壁64の外部に開口する吸気口501の開口面積を調整できる。
吸気口501、502から流入する外気の風量は、上述した第1風量と第2風量との差により決まる。このため、右側壁64に位置する吸気口501の開口面積を規制板511aにより減少させた場合、吸気口501から流入する外気O1に対する通風抵抗が増す。これに伴い、吸気口501からドラム部61に流入する外気O1の風量が減少し、その分だけ吸気口502から流入する外気O2の風量が増す。反対に、左側壁65に位置する吸気口502の開口面積を規制板512aにより減少させた場合、吸気口502から流入する外気O2に対する通風抵抗が増す。これに伴い、吸気口502からドラム部61に流入する外気O2の風量が減少し、その分だけ吸気口501から流入する外気O1の風量が増す。また、吸気口501、502の開口面積が等しい状態では、外気O1の風量および外気O2の風量は均衡する。
なお、吸気規制部511、512は、必要に応じて設けられればよく、省略されていてもよい。また、規制板511a、512aを設ける一方、板駆動部511b、512bを省略してもよい。この場合、シート製造装置100の使用者が、手動で規制板511a、512aを操作し、吸気口501、502の開口面積を調整すればよい。また、その場合、制御装置110を省略することができる。
図4および図5は、図2に示すシート製造装置100の要部拡大図であり、特に、管54および後述する軸心駆動部55を示す断面図である。また、図6は、図4のA-A線断面図であり、図7は、図5のA2-A2線断面図である。なお、図4および図5では、搬送気流M1、M2、M3に含まれる材料を四角形で模式的に示している。
図4および図5に示す管54(材料供給管)は、図1に示す混合ブロアー56に繋がる1本の主管54a(第1供給管)と、主管54aを分岐させる分岐部54bと、分岐部54bに接続された分岐管54c(第2供給管)および分岐管54d(第3供給管)と、軸心駆動部55と、を備える。
このうち、軸心駆動部55は、主管54aおよび分岐部54bのうち、一方の軸心を他方の軸心に対してずらすように構成された駆動機構のことをいう。つまり、本実施形態では、主管54aおよび分岐部54bのいずれか一方または双方が、その軸心に対して直交する方向に変位可能になっている。そして、軸心駆動部55は、主管54aおよび分岐部54bのいずれか一方または双方を移動させ、その位置を保持する機構を有している。このような機構を設けることにより、L-R方向における、主管54aの軸心C1と分岐部54bの軸心C2との距離を調整することができる。これにより、主管54aから分岐部54bへ向かう搬送気流M1の流れを調整することができる。
主管54aおよび分岐部54bを変位可能にするためには、例えば、主管54aや分岐部54bの一部を蛇腹状にしたり、一部をフレキシブル管にしたりすればよい。また、主管54aおよび分岐部54bを変形可能にするのではなく、主管54aがつながった構造体全体や分岐部54bがつながった構造体全体が移動可能になっていてもよい。
軸心駆動部55は、例えば、主管54aおよび分岐部54bの少なくとも一方を駆動する方向を規定する図示しないガイドと、ガイド上の任意の位置で保持する図示しない保持部と、主管54aまたは分岐部54bを移動させる駆動力を発生させる駆動源と、を備えていてもよい。このような構造体を備えることにより、主管54aおよび分岐部54bの一方を他方に対して、再現性よく正確に動かすことができる。図4ないし図7では、軸心駆動部55が、主管54aおよび分岐部54bの一方を他方に対してL-R方向に動かすことができる。これにより、双方の軸心をずらすことができ、搬送気流M1の流れをL-R方向で容易に調整することができる。
また、主管54aや分岐部54bは、シート製造装置100の使用者によって手動で動かされるように構成されていてもよいが、本実施形態では、軸心駆動部55によって駆動される。なお、手動で動かす場合には、前述した駆動源と制御装置110とを省略することができる。
軸心駆動部55は、例えば、電動アクチュエーター、電磁アクチュエーター、エアー駆動アクチュエーター、ピエゾアクチュエーター等の各種アクチュエーターを備える。これらのアクチュエーターは、前述したガイドおよび保持部を有し、主管54aまたは分岐部54bを目的とする位置に移動させ、その位置を保持する機能を有する。つまり、これらのアクチュエーターは、移動させる量を調整する機能を有する。したがって、これらのアクチュエーターは、軸心駆動部55として有用である。
また、軸心駆動部55の動作は、図2に示す制御装置110により制御される。これにより、例えば、搬送気流M1の流量、搬送気流M1に含まれる材料の量、搬送気流M1の加湿量、形成された第2ウェブW2やシートSの厚みや坪量分布等のパラメーターに応じて、軸心駆動部55の動作を制御することができ、パラメーターに応じた最適条件で第2ウェブW2を製造することができる。
ここで、図4ないし図7に基づいて、本実施形態に係るシート製造装置100の効果について説明する。
図4および図6は、本実施形態が効果を奏していないときの図である。
図4では、主管54aの軸心C1よりもR側に搬送気流M1が偏って流れている。このような搬送気流M1の偏在は、主管54aの上流側の構成によって起こり得る。例えば、図4に図示していない主管54aが屈曲している場合、搬送気流M1が屈曲部の外側に偏るため、その影響が波及して、図4に示す位置で搬送気流M1の偏在が起こりやすい。また、主管54aに図示しない遠心ファン等が設けられている場合、その影響が波及して偏在が生じるおそれがある。搬送気流M1が偏っていると、それに含まれる材料もR側に偏ってしまう。
図6では、主管54aと分岐部54bの接続部で、主管54aの軸心C1と分岐部54bの軸心C2とが重なっている。このため、この接続部では、主管54aの内壁面と分岐部54bの内壁面との間に段差が生じていない。その結果、R側に偏っている搬送気流M1は、そのまま主管54aと分岐部54bの接続部を通過し、分岐部54bに流れ込む。したがって、分岐部54bに流れ込んだ搬送気流M1が分岐部54bで搬送気流M2と搬送気流M3とに分岐するとき、L側に分岐する搬送気流M3よりも、R側に分岐する搬送気流M2に含まれる材料が多くなる。その結果、ドラム部61には、L側よりも、R側から多くの材料が流入する。このようにして材料の流入量に偏りが生じると、メッシュベルト72上に形成される第2ウェブW2は、厚さが左右で異なり、不均一になる。
一方、図5および図7は、本実施形態が効果を奏しているときの図である。
図5でも、主管54aを流れる搬送気流M1はR側に偏っている。しかし、図5に示す軸心駆動部55は、分岐部54bの軸心C2に対して、主管54aの軸心C1をR側にずらすように動作する。なお、この動作は、前述したように、主管54aの軸心C1に対して、分岐部54bの軸心C2をL側にずらす動作で置き換えることもできる。つまり、軸心駆動部55は、主管54aの軸心C1を、分岐部54bの軸心C2に対して相対的にずらすように動作すればよいことになる。以下の説明では、便宜上、この動作を指して単に「主管54aをずらす」ともいう。
主管54aをずらすと、主管54aと分岐部54bとの接続部の内壁面には、図5および図7に示す段差550が生じる。この段差550は、搬送気流M1の経路上に現れるため、搬送気流M1の流れを乱す作用をする。これにより、搬送気流M1およびそれに含まれる材料は、段差550に衝突し、軸心C1側に跳ね返る。その結果、搬送気流M1は、分岐部54bの軸心C2付近を流れるようになる。つまり、搬送気流M1を段差550に衝突させることにより、搬送気流M1の偏りを緩和することができる。
偏りが緩和された搬送気流M1は、その後、分岐部54bに流れ込み、搬送気流M2と搬送気流M3とに分岐する。このため、R側に分岐する搬送気流M2とL側に分岐する搬送気流M3とで、含まれる材料の差が少なくなる。その結果、ドラム部61には、L側とR側にバランスよく材料が流入し、より均一な厚さの第2ウェブW2が得られる。また、主管54aをずらすという手法は、搬送気流M1が流れる経路の流通抵抗を増加させにくい手法である。このため、この手法を用いることにより、例えば材料が固まっていて、流通しにくい場合でも、滞りなく流通させることができる。これにより、均一な厚さの第2ウェブW2を安定して製造することができる。
なお、本実施形態に係る軸心駆動部55は、L-R方向で主管54aをずらすように構成されているが、L-R方向とU-D方向の双方に直交する方向、すなわち図4および図5の紙面厚さ方向で主管54aをずらすよう構成されていてもよい。
ここで、図4に示すように、分岐管54c、54dの起点を「分岐点D1」とする。分岐点D1とは、分岐部54bの内壁面と、分岐管54c、54dの内壁面と、の境界線を含む面と軸心C2との交点のことをいう。そして、主管54aと分岐部54bの接続部と、分岐点D1と、の距離をL1とする。また、接続部における分岐部54bの内径をφ1とする。
このとき、内径φ1に対する距離L1の比L1/φ1は、0.5以上10.0以下であるのが好ましく、1.0以上8.0以下であるのがより好ましく、1.5以上5.0以下であるのがさらに好ましい。比L1/φ1を前記範囲内に設定することにより、搬送気流M1の偏りが十分に緩和されるのに必要な距離が確保される。このため、搬送気流M1を分岐部54bの軸心C2により近づけることができ、より均一な厚さの第2ウェブW2を得ることができる。
なお、比L1/φ1が前記下限値を下回ると、内径φ1に対して距離L1が短すぎるため、搬送気流M1の流量等によっては、搬送気流M1の偏りを十分に緩和することができないおそれがある。すなわち、搬送気流M1を軸心C2に十分に近づける前に、搬送気流M1が分岐してしまうおそれがある。一方、比L1/φ1が前記上限値を上回ると、内径φ1に対して距離L1が必要以上に長くなるため、搬送中の材料が絡まったり、流れが滞ったりする可能性が徐々に高くなる。その結果、均等な分岐ができなくなるおそれがある。
また、図4に示す分岐部54bは、分岐管54c、54d側に位置し、U-D方向に延在する本体部541bと、本体部541bの主管54a側に位置する拡径部542bと、を備えている。拡径部542bは、本体部541bよりも管壁の厚さが厚くなっている。つまり、拡径部542bは、その外径φ2が、本体部541bの外径より大きくなるよう拡径された部位である。
このような拡径部542bを設けることにより、主管54aをL-R方向にずらしたとき、接続部に隙間が生じるのを防止することができる。換言すれば、拡径部542bの外径φ2を十分に大きくすることで、段差550を生じさせるのに必要な分岐部54bの端面を広く確保することができる。
なお、分岐部54bの内径φ1に対する拡径部542bの外径φ2の比φ2/φ1は、1.01以上2.0以下であるのが好ましく、1.05以上1.5以下であるのがより好ましい。これにより、管54の途中に隙間ができてしまうのを防止しつつ、搬送気流M1を衝突させるのに有効な幅の段差550を形成することができる。
また、本実施形態では、分岐部54bが拡径部542bを備えているが、主管54aが拡径部を備えていてもよく、双方が拡径部を備えていてもよい。
図2に示す制御装置110は、前述したように、軸心駆動部55の動作を制御する機能を有する。制御装置110は、互いに内部バスで接続された、プロセッサー111、メモリー112、および外部インターフェース113等を備える。
プロセッサー111としては、例えば、CPU(Central Processor Unit)等が挙げられる。メモリー112としては、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等が挙げられる。外部インターフェース113は、例えばセンサー等が出力する信号を取得する回路を備える。
プロセッサー111は、メモリー112に格納されているプログラムを読み出して実行する。これにより、制御装置110の機能が実現される。また、メモリー112には、各種データを格納しておき、プロセッサー111はこれらを読み出す。これにより、制御装置110は、例えば、搬送気流M1の流量、搬送気流M1に含まれる材料の量、搬送気流M1の加湿量等を踏まえて、主管54aをずらす方向や主管54aをずらす量を適切に制御することができる。
ここで、図8は、主管54aのずらし量xと、分岐管54cで回収した材料の量mcと分岐管54dで回収した材料の量mdの比mc/mdと、の関係を示すグラフである。ずらし量xは、図4に示すように、主管54aの軸心C1と分岐部54bの軸心C2とが重なっている状態がゼロとなる値である。そして、図5に示すように、軸心C2に対して軸心C1がR側にずれているとき、軸心C1と軸心C2とのL-R方向における離間距離が、ずらし量xの正の値に対応する。また、図示しないが、軸心C2に対して軸心C1がL側にずれているとき、軸心C1と軸心C2とのL-R方向における離間距離が、ずらし量xの負の値に対応する。
図8に示すように、比mc/mdは、ずらし量xと一定の相関関係を有している。このため、ずらし量xを調整することにより、比mc/mdを任意の値に調整することができる。その結果、第2ウェブW2の左右バランスを狙い通りに制御することができ、均一な厚さの第2ウェブW2を製造することができる。例えば、図8に示す例では、ずらし量xを約3mmにすることで、比mc/mdを約1.0にすることができ、第2ウェブW2の左右バランスが均衡する。また、図8に示す相関関係に基づくことにより、必要に応じて、左右で厚さを異ならせた第2ウェブW2を製造することもできる。
以上のように、本実施形態に係るシート製造装置100は、ドラム部61(篩部)と、第2ウェブ形成部70(ウェブ形成部)と、シート形成部80と、管54(材料供給管)と、を備える。ドラム部61は、複数の開口61aを有する。第2ウェブ形成部70は、開口61aを通過した繊維を含む材料が堆積する堆積面を有し、堆積面に第2ウェブW2を形成する。シート形成部80は、第2ウェブW2を処理してシートSを形成する。管54は、主管54a(第1供給管)と、分岐部54bと、分岐管54c(第2供給管)と、分岐管54d(第3分岐管)と、軸心駆動部55と、を備える。分岐部54bは、主管54aを分岐させる。分岐管54cは、分岐部54bと、ドラム部61の回転軸方向の一端部と、を接続する。分岐管54dは、分岐部54bと、ドラム部61の回転軸方向の他端部と、を接続する。軸心駆動部55は、主管54aおよび分岐部54bのうち、一方の軸心を他方の軸心に対してずらすように駆動する。
このような構成によれば、例えば主管54aの軸心C1を、分岐部54bの軸心C2に対してずらすことができ、主管54aと分岐部54bとの接続部の内壁面に段差550を生じさせることができる。この段差550に搬送気流M1が衝突すると、搬送気流M1に含まれる材料は軸心C2側に跳ね返る。その結果、搬送気流M1の偏りを緩和することができる。その結果、ドラム部61では、材料の流入量の左右バランスが改善し、より均一な厚さの第2ウェブW2を製造することができる。
また、軸心駆動部55は、主管54a(第1供給管)の軸心C1を、分岐部54bの軸心C2と直交する方向、すなわちL-R方向に移動させる機能を有する。これにより、第2ウェブW2の材料を含む搬送気流M1の流れを、L-R方向で容易に調整することができる。その結果、軸心駆動部55により、第2ウェブW2の左右バランスを最適化することができる。
また、軸心駆動部55は、主管54a(第1供給管)の軸心C1を分岐部54bの軸心C2に対して相対的に移動させる量を調整する機能を有する。移動させる量は、すなわち、ずらし量xであり、前述したように、第2ウェブW2の左右バランスに影響を及ぼす比mc/mdと一定の相関関係を有する。このため、ずらし量xを調整することにより、比mc/mdを任意の値に調整することができ、第2ウェブW2の左右バランスを効率よく最適化することができる。
また、本実施形態に係るシート製造装置100は、軸心駆動部55の動作を制御する制御装置110(制御部)を備える。制御装置110は、例えば、搬送気流M1の流量等のパラメーターに応じて、軸心駆動部55の動作を制御することができる。このため、安定性およびロバスト性に優れた第2ウェブW2の製造が可能になる。
2.第2実施形態
次に、第2実施形態に係るシート製造装置100について説明する。
図9は、第2実施形態に係るシート製造装置100の要部拡大図である。図10は、図9のA3-A3断面図である。
以下、第2実施形態について説明するが、以下の説明では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、図9および図10において、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付している。
第2実施形態は、管54がオリフィス59を備えること以外、第1実施形態と同様である。図9に示すオリフィス59は、分岐部54bが備える拡径部542bの内側に設けられ、拡径部542bの内径φ1を狭める絞り器である。オリフィス59を設けることにより、主管54aをずらしたときに生じる段差550を拡張することができる。具体的には、オリフィス59を設けることにより、実質的に、分岐部54bが備える拡径部542bの管壁をさらに厚くすることができる。このため、オリフィス59の位置を段差550に合わせることで、段差550を軸心C2側に広げることができる。
その結果、搬送気流M1がR側に偏っている場合でも、段差550やオリフィス59に衝突させることで、搬送気流M1の偏りをより確実に緩和することができる。また、オリフィス59を設けることにより、分岐部54bの内径φ1が狭められる。このため、軸心C1から離れた位置を流れる搬送気流M1は、強制的に、軸心C2近傍に誘導されることになる。以上のような作用により、搬送気流M1を軸心C2により近づけることができ、さらに均一な厚さの第2ウェブW2を得ることができる。
分岐部54bの内径φ1に対するオリフィス59の内径φ3の比φ3/φ1は、0.40以上0.99以下であるのが好ましく、0.50以上0.95以下であるのがより好ましく、0.60以上0.90以下であるのがさらに好ましい。これにより、分岐部54bの流通抵抗の増加を抑えつつ、搬送気流M1の偏りを特に緩和することができる。その結果、材料の滞りの抑制と、左右バランスの均衡と、の両立を図ることができるので、特に均一な厚さの第2ウェブW2を得ることができる。
なお、オリフィス59の配置は、図9に示す位置に限定されず、拡径部542bよりもD側の位置であってもよく、拡径部542bよりもU側の位置、すなわち主管54aの位置であってもよい。
以上のように、第2実施形態に係るシート製造装置100では、管54(材料供給管)が、分岐部54bの内径を狭めるオリフィス59を備えている。このようなオリフィス59を設けることにより、主管54aをずらしたときに生じる段差550を拡張することができる。
このような第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。また、本実施形態では、第1実施形態に比べて搬送気流M1を衝突させる領域が広くなるため、搬送気流M1の流れをより確実に緩和することができる。また、オリフィス59により、分岐部54bの内径を狭めることができるので、搬送気流M1の流れを、強制的に軸心C2近傍に誘導することができる。
3.第3実施形態
次に、第3実施形態に係るシート製造装置100について説明する。
図11は、第3実施形態に係るシート製造装置100の要部拡大図である。
以下、第3実施形態について説明するが、以下の説明では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、図11において、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付している。
第3実施形態は、偏在検出部58を備えること以外、第1実施形態と同様である。偏在検出部58は、主管54a(第1供給管)を通過する材料の偏りを検出するセンサーである。偏在検出部58としては、例えば、接触センサー、画像センサー、光学センサー等が挙げられる。
接触センサーは、主管54aの内壁面に接触する材料の接触頻度を検出することにより、主管54aを通過する材料の偏りを検出する。また、画像センサーは、主管54aを流れる材料を撮像し、画像処理によって材料の偏りを検出する。
図11に示す偏在検出部58は、光学センサーである偏在検出部58を備える。図11に示す偏在検出部58は、発光部581と、受光部582と、を備える。発光部581は、例えばレーザー光源であり、受光部582は、例えばフォトダイオードである。このような偏在検出部58は、発光部581から出力した検出光SLを受光部582で受光する。受光部582は、受光した検出光SLの強度を受光信号として制御装置110に出力する。
検出光SLを材料が横切るたびに検出光SLの受光強度が低下するため、制御装置110は、受光強度の低下頻度を検出する。これにより、偏在検出部58は、材料の通過量を光学的に検出することができる。そして、図11に示す制御装置110は、主管54aの軸心C1を通過する材料の通過量に基づいて、主管54aを通過する材料の偏りを推定する。制御装置110は、このようにして推定した材料の偏りに基づいて、軸心駆動部55の動作を制御する。これにより、搬送気流M1の偏りを緩和し、材料の偏りを緩和することができる。
以上のように、第3実施形態に係るシート製造装置100は、主管54a(第1供給管)を通過する材料の偏りを検出する偏在検出部58を備える。そして、制御装置110(制御部)は、偏在検出部58の検出結果に基づいて、軸心駆動部55の動作を制御する。
このような第3実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。また、本実施形態では、制御装置110が材料の偏りを検出するとともに、軸心駆動部55に偏りを緩和させる。このため、使用者が偏りの程度を確認する必要がなく、シート製造装置100が自動的に偏りを緩和するため、均一な厚さの第2ウェブW2を容易に製造することができる。
以上、本発明のシート製造装置を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明のシート製造装置は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、前記実施形態の各部が同様の機能を有する任意の構成のものに置換されたものであってもよく、前記実施形態に任意の構成物が付加されたものであってもよい。
2…管、3…管、7…管、8…管、9…シュート、10…供給部、12…粗砕部、14…粗砕刃、20…解繊部、22…導入口、23…管、24…排出口、26…解繊部ブロアー、27…集塵部、28…捕集ブロアー、29…管、40…選別部、41…ドラム部、42…導入口、43…ハウジング部、44…排出口、45…第1ウェブ形成部、46…メッシュベルト、47…ローラー、48…吸引部、49…回転体、50…混合部、52…添加物供給部、52a…排出部、54…管、54a…主管、54b…分岐部、54c…分岐管、54d…分岐管、55…軸心駆動部、56…混合ブロアー、57a…送気管、57b…送気管、58…偏在検出部、59…オリフィス、60…堆積部、61…ドラム部、61a…開口、61b…外周面、62…導入口、63…ハウジング部、63a…開口、64…右側壁、64a…材料供給口、65…左側壁、65a…材料供給口、66…対向壁部、68…凹部、69a…パイルシール、69b…パイルシール、70…第2ウェブ形成部、72…メッシュベルト、72a…堆積面、74…ローラー、76…サクション機構、77…サクションブロアー、79…搬送部、79a…メッシュベルト、79b…ローラー、79c…サクション機構、80…シート形成部、82…加圧部、84…加熱部、85…カレンダーローラー、86…加熱ローラー、90…切断部、92…第1切断部、94…第2切断部、96…排出部、100…シート製造装置、110…制御装置、111…プロセッサー、112…メモリー、113…外部インターフェース、202…加湿部、204…加湿部、206…加湿部、208…加湿部、210…加湿部、212…加湿部、501…吸気口、502…吸気口、511…吸気規制部、511a…規制板、511b…板駆動部、512…吸気規制部、512a…規制板、512b…板駆動部、541b…本体部、542b…拡径部、550…段差、581…発光部、582…受光部、A1…加湿空気、C1…軸心、C2…軸心、D…下方向、D1…分岐点、DF…ダウンフロー、F…搬送方向、L…左方向、L1…距離、M1…搬送気流、M2…搬送気流、M3…搬送気流、M4…吸引気流、O1…外気、O2…外気、P…細分体、Q…回転軸、R…右方向、S…シート、SL…検出光、W1…第1ウェブ、W2…第2ウェブ、WD…幅方向、φ1…内径、φ2…外径、φ3…内径

Claims (6)

  1. 複数の開口を有する篩部と、
    前記開口を通過した繊維を含む材料が堆積する堆積面を有し、前記堆積面にウェブを形成するウェブ形成部と、
    前記ウェブを処理してシートを形成するシート形成部と、
    前記材料を含む搬送気流を前記篩部の内部へ供給する材料供給管と、
    を備え、
    前記材料供給管は、
    第1供給管と、
    前記第1供給管を分岐させる分岐部と、
    前記分岐部と、前記篩部の回転軸方向の一端部と、を接続する第2供給管と、
    前記分岐部と、前記篩部の前記回転軸方向の他端部と、を接続する第3供給管と、
    前記第1供給管および前記分岐部のうち、一方の軸心を他方の軸心に対してずらす軸心駆動部と、
    を備えることを特徴とするシート製造装置。
  2. 前記材料供給管は、前記分岐部の内径を狭めるオリフィスを備える請求項1に記載のシート製造装置。
  3. 前記軸心駆動部は、前記第1供給管の軸心を前記分岐部の軸心と直交する方向に移動させる機能を有する請求項1または2に記載のシート製造装置。
  4. 前記軸心駆動部は、前記第1供給管の軸心を前記分岐部の軸心に対して相対的に移動させる量を調整する機能を有する請求項1ないし3のいずれか1項に記載のシート製造装置。
  5. 前記軸心駆動部の動作を制御する制御部を備える請求項1ないし4のいずれか1項に記載のシート製造装置。
  6. 前記第1供給管を通過する前記材料の偏りを検出する偏在検出部を備え、
    前記制御部は、前記偏在検出部の検出結果に基づいて、前記軸心駆動部の動作を制御する請求項5に記載のシート製造装置。
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