JP2019112524A - ゴムウエットマスターバッチ塊の脱水方法およびゴムウエットマスターバッチの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】脱水工程でのゴム劣化を抑制し、ゴム物性を損なうことなくゴムウエットマスターバッチ塊を効率良く脱水する方法、および該方法を含むゴムウエットマスターバッチの製造方法を提供すること。【解決手段】水分率が3〜20質量%であるゴムウエットマスターバッチ塊の脱水方法であって、ゴムウエットマスターバッチ塊を、平均粒径が0.05〜5mmのゴムウエットマスターバッチ粒状物に粉砕する工程(A)を含むゴムウエットマスターバッチ塊の脱水方法。工程(A)の後、さらにゴムウエットマスターバッチ粒状物にエアを吹き付ける工程(B)を含むことが好ましい。【選択図】 なし
Description
本発明は、少なくとも充填材、分散溶媒、およびゴムラテックス溶液を原料として得られるゴムウエットマスターバッチ塊の脱水方法、およびかかる脱水方法を含むゴムウエットマスターバッチの製造方法に関する。
従来から、ゴム業界においては、カーボンブラックを含有するゴム組成物を製造する際の加工性や、カーボンブラックの分散性を向上させるために、ゴムウエットマスターバッチを用いることが知られている。これは、カーボンブラックと分散溶媒とを予め一定の割合で混合し、機械的な力でカーボンブラックを分散溶媒中に分散させたカーボンブラック含有スラリー溶液と、ゴムラテックス溶液と、を液相で混合して、スラリー含有ゴムラテックス溶液を製造し、その後、酸などの凝固剤を加えて凝固させたものを回収して脱水・乾燥するものである。ゴムウエットマスターバッチを用いる場合、カーボンブラックとゴムとを固相で混合して得られるゴムドライマスターバッチを用いる場合に比べて、カーボンブラックの分散性に優れ、加工性や補強性などのゴム物性に優れるゴム組成物が得られる。このようなゴム組成物を原料とすることで、例えば転がり抵抗が低減され、耐疲労性に優れた空気入りタイヤなどのゴム製品を製造することができる。
前記のとおり、スラリー含有ゴムラテックス溶液を凝固させることにより得られるゴムウエットマスターバッチ塊(以下、単に「クラム」ともいう)は液相中で得られるため、最終的にゴム組成物に配合するためには、クラムを脱水し、乾燥する必要がある。クラムの脱水方法については多くの報告例がある。
例えば、下記特許文献1では、ピン付スクリュー式脱水機を使用し、クラムを加熱しつつ圧搾することにより脱水する技術が報告されている。また、下記特許文献2では、二軸押出機を使用し、クラムを脱水する技術が報告されている。また、下記特許文献3では、傘型連続脱水機および多軸押出機でクラムを脱水する技術が報告されている。さらに、下記特許文献4では、脱水押出機でクラムを脱水する技術が報告されている。
しかしながら、本発明者が鋭意検討した結果、上記先行技術ではいずれも、加熱しつつ強力なせん断力がクラムに対し付与されるため、脱水工程においてゴム分子鎖の切断が起こり易く、その結果、ゴム劣化によるゴム物性の低下が問題となっていた。その一方で、ゴム劣化を抑制するため、脱水工程での加熱を緩やかにし、あるいはクラムへ付与するせん断力を低減すると、脱水速度が遅くなり、その結果、生産性悪化に繋がる恐れがあった。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、脱水工程でのゴム劣化を抑制し、ゴム物性を損なうことなくゴムウエットマスターバッチ塊を効率良く脱水する方法、および該方法を含むゴムウエットマスターバッチの製造方法を提供することにある。
本発明は、水分率が3〜20質量%であるゴムウエットマスターバッチ塊の脱水方法であって、前記ゴムウエットマスターバッチ塊を、平均粒径が0.05〜5mmのゴムウエットマスターバッチ粒状物に粉砕する工程(A)を含むゴムウエットマスターバッチ塊の脱水方法に関する。
分散溶媒中、スラリー含有ゴムラテックス溶液を凝固させることにより製造されるゴムウエットマスターバッチ塊は、当業者に公知の固液分離方法などにより、水分率を3〜20質量%に低下させることは容易である。本発明においては、ゴムウエットマスターバッチ塊を、平均粒径が0.05〜5mmのゴムウエットマスターバッチ粒状物に粉砕する(工程(A))。ゴムウエットマスターバッチ塊を、平均粒径が0.05〜5mmのゴムウエットマスターバッチ粒状物とすることにより、比表面積が飛躍的に増大し、水分を効率良く除去することができる。
なお、前記ゴムウエットマスターバッチ粒状物の平均粒径は、JIS Z 8815:1994に準拠して測定される粒度分布から算出された質量基準の平均粒径である。
本発明においては、前記工程(A)の後、さらに前記ゴムウエットマスターバッチ粒状物にエアを吹き付ける工程(B)を含むことが好ましい。かかる構成によれば、ゴムウエットマスターバッチ粒状物に過度な熱エネルギーやせん断力を付与することなく、効率良く水分を除去することができる。
また本発明は、充填材を分散溶媒中に分散させてスラリー溶液を製造する工程(i)、前記スラリー溶液とゴムラテックス溶液とを混合して、スラリー含有ゴムラテックス溶液を製造する工程(ii)、前記スラリー含有ゴムラテックス溶液を凝固させることにより、ゴムウエットマスターバッチ塊を製造する工程(iii)、および前記ゴムウエットマスターバッチ塊を脱水することにより、ゴムウエットマスターバッチを製造する工程(iv)を有し、前記工程(iv)が前記記載の脱水方法であるゴムウエットマスターバッチの製造方法に関する。本発明に係るゴムウエットマスターバッチの製造方法では、工程(iv)において過度の熱エネルギー・せん断力を付与することなく、ゴムウエットマスターバッチ塊を脱水することができる。その結果、生産性良く、ゴム劣化を抑制したゴムウエットマスターバッチを製造することができる。
本発明は、ゴムウエットマスターバッチの製造方法の中でも、特にゴムウエットマスターバッチ塊の脱水工程に特徴を有する。ゴムウエットマスターバッチは、少なくとも充填材、分散溶媒、およびゴムラテックス溶液を原料として得られる。
本発明において、充填材とは、カーボンブラック、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウムなど、ゴム工業において通常使用される充填材を意味する。上記充填材の中でも、本発明においてはカーボンブラックを特に好適に使用することができる。
カーボンブラックとしては、例えばSAF、ISAF、HAF、FEF、GPFなど、通常のゴム工業で使用されるカーボンブラックの他、アセチレンブラックやケッチェンブラックなどの導電性カーボンブラックを使用することができる。カーボンブラックは、通常のゴム工業において、そのハンドリング性を考慮して造粒された、造粒カーボンブラックであってもよく、未造粒カーボンブラックであってもよい。ゴムウエットマスターバッチ中のゴム成分の全量を100質量部としたとき、カーボンブラックの配合量は10〜80質量部であることが好ましく、20〜60質量部であることがより好ましい。
シリカとしては、たとえば、湿式シリカ、乾式シリカを用いることができる。なかでも、含水ケイ酸を主成分とする湿式シリカを用いることが好ましい。ゴムウエットマスターバッチ中のゴム成分の全量を100質量部としたとき、シリカの配合量は10〜80質量部であることが好ましく、20〜60質量部であることがより好ましい。
充填材としてシリカを使用する場合、さらにシランカップリング剤を併用してもよい。シランカップリング剤としては、たとえば、ゴム成分に対し反応活性を有するシランカップリング剤を用いることができる。シランカップリング剤としては、たとえば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(たとえば、デグサ社製「Si69」)、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(たとえば、デグサ社製「Si75」)、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリエキトシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ジスルフィドなどのスルフィドシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、メルカプトプロピルジメチルメトキシシラン、メルカプトエチルトリエトキシシランなどのメルカプトシラン、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン、3−プロピオニルチオプロピルトリメトキシシランなどの保護化メルカプトシランが挙げられる。シランカップリング剤の配合量は、シリカ100質量%に対し、好ましくは1〜15重量%であり、より好ましくは5〜10重量%である。
分散溶媒としては、特に水を使用することが好ましいが、例えば有機溶媒を含有する水であってもよい。
ゴムラテックス溶液としては、天然ゴムラテックス溶液および合成ゴムラテックス溶液を使用することができる。
天然ゴムラテックス溶液は、植物の代謝作用による天然の生産物であり、特に分散溶媒が水である、天然ゴム/水系のものが好ましい。天然ゴムラテックス溶液については濃縮ラテックスやフィールドラテックスといわれる新鮮ラテックスなど区別なく使用できる。合成ゴムラテックス溶液としては、例えばスチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴムを乳化重合により製造したものがある。
以下に、本発明に係るゴムウエットマスターバッチの製造方法について説明する。かかる製造方法は、充填材を分散溶媒中に分散させてスラリー溶液を製造する工程(i)、前記スラリー溶液とゴムラテックス溶液とを混合して、スラリー含有ゴムラテックス溶液を製造する工程(ii)、前記スラリー含有ゴムラテックス溶液を凝固させることにより、ゴムウエットマスターバッチ塊を製造する工程(iii)、および前記ゴムウエットマスターバッチ塊を脱水することにより、ゴムウエットマスターバッチを製造する工程(iv)を有し、特に工程(iv)に特徴がある。以下、各工程について充填材としてカーボンブラックを使用した例に基づき説明する。
(1)工程(i)
工程(i)では、カーボンブラックを分散溶媒中に分散させてスラリー溶液を製造する。工程(i)において、分散溶媒中のカーボンブラックの濃度は、作業性などを考慮して適宜調整可能である。
工程(i)では、カーボンブラックを分散溶媒中に分散させてスラリー溶液を製造する。工程(i)において、分散溶媒中のカーボンブラックの濃度は、作業性などを考慮して適宜調整可能である。
工程(i)において、カーボンブラックを分散溶媒中に分散させる方法としては、高せん断ミキサー、ハイシアーミキサー、ホモミキサー、ボールミル、ビーズミル、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミルなどの一般的な分散機を使用してカーボンブラックを分散させる方法が挙げられる。
上記「高せん断ミキサー」とは、ローターとステーターとを備えるミキサーであって、高速回転が可能なローターと、固定されたステーターと、の間に精密なクリアランスを設けた状態でローターが回転することにより、高せん断作用が働くミキサーを意味する。このような高せん断作用を生み出すためには、ローターとステーターとのクリアランスを0.8mm以下とし、ローターの周速を5m/s以上とすることが好ましい。このような高せん断ミキサーは、市販品を使用することができ、例えばSILVERSON社製「ハイシアーミキサー」が挙げられる。
特に、本発明においては、工程(i)が、カーボンブラックを分散溶媒中に分散させる際に、ゴムラテックス溶液の少なくとも一部を添加することにより、ゴムラテックス粒子が付着したカーボンブラックを含有するスラリー溶液を製造する工程(i−(a))であってもよい。以下に、工程(i−(a))について説明する。
工程(i−(a))
工程(i−(a))では、カーボンブラックを分散溶媒中に分散させる際に、ゴムラテックス溶液の少なくとも一部を添加することにより、ゴムラテックス粒子が付着したカーボンブラック含有スラリー溶液を製造する。ゴムラテックス溶液は、あらかじめ分散溶媒と混合した後、カーボンブラックを添加し、分散させても良い。また、分散溶媒中にカーボンブラックを添加し、次いで所定の添加速度で、ゴムラテックス溶液を添加しつつ、分散溶媒中でカーボンブラックを分散させても良く、あるいは分散溶媒中にカーボンブラックを添加し、次いで何回かに分けて一定量のゴムラテックス溶液を添加しつつ、分散溶媒中でカーボンブラックを分散させても良い。ゴムラテックス溶液が存在する状態で、分散溶媒中にカーボンブラックを分散させることにより、ゴムラテックス粒子が付着したカーボンブラック含有スラリー溶液を製造することができる。工程(i−(a))におけるゴムラテックス溶液の添加量としては、使用するゴムラテックス溶液の全量(工程(i−(a))および工程(ii−(a))で添加する全量)に対して、0.075〜12質量%が例示される。
工程(i−(a))では、カーボンブラックを分散溶媒中に分散させる際に、ゴムラテックス溶液の少なくとも一部を添加することにより、ゴムラテックス粒子が付着したカーボンブラック含有スラリー溶液を製造する。ゴムラテックス溶液は、あらかじめ分散溶媒と混合した後、カーボンブラックを添加し、分散させても良い。また、分散溶媒中にカーボンブラックを添加し、次いで所定の添加速度で、ゴムラテックス溶液を添加しつつ、分散溶媒中でカーボンブラックを分散させても良く、あるいは分散溶媒中にカーボンブラックを添加し、次いで何回かに分けて一定量のゴムラテックス溶液を添加しつつ、分散溶媒中でカーボンブラックを分散させても良い。ゴムラテックス溶液が存在する状態で、分散溶媒中にカーボンブラックを分散させることにより、ゴムラテックス粒子が付着したカーボンブラック含有スラリー溶液を製造することができる。工程(i−(a))におけるゴムラテックス溶液の添加量としては、使用するゴムラテックス溶液の全量(工程(i−(a))および工程(ii−(a))で添加する全量)に対して、0.075〜12質量%が例示される。
工程(i−(a))では、添加するゴムラテックス溶液の固形分(ゴム)量が、カーボンブラックとの質量比で0.25〜15%であることが好ましく、0.5〜6%であることが好ましい。また、添加するゴムラテックス溶液中の固形分(ゴム)濃度が、0.2〜5質量%であることが好ましく、0.25〜1.5質量%であることがより好ましい。これらの場合、ゴムラテックス粒子をカーボンブラックに確実に付着させつつ、カーボンブラックの分散度合いを高めたゴム組成物を製造することができる。
(2)工程(ii)
工程(ii)では、スラリー溶液とゴムラテックス溶液とを混合して、スラリー含有ゴムラテックス溶液を製造する。スラリー溶液と、ゴムラテックス溶液とを液相で混合する方法は特に限定されるものではなく、スラリー溶液およびゴムラテックス溶液とを高せん断ミキサー、ハイシアーミキサー、ホモミキサー、ボールミル、ビーズミル、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミルなどの一般的な分散機を使用して混合する方法が挙げられる。必要に応じて、混合の際に分散機などの混合系全体を加温してもよい。
工程(ii)では、スラリー溶液とゴムラテックス溶液とを混合して、スラリー含有ゴムラテックス溶液を製造する。スラリー溶液と、ゴムラテックス溶液とを液相で混合する方法は特に限定されるものではなく、スラリー溶液およびゴムラテックス溶液とを高せん断ミキサー、ハイシアーミキサー、ホモミキサー、ボールミル、ビーズミル、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミルなどの一般的な分散機を使用して混合する方法が挙げられる。必要に応じて、混合の際に分散機などの混合系全体を加温してもよい。
工程(i)が工程(i−(a))である場合、工程(ii)は下記工程(ii−(a))であることが好ましい。
工程(ii−(a))
工程(ii−(a))では、スラリー溶液と、残りのゴムラテックス溶液とを混合して、ゴムラテックス粒子が付着したカーボンブラック含有ゴムラテックス溶液を製造する。残りのゴムラテックス溶液は、次工程(iii)での脱水時間・労力を考慮した場合、工程(i−(a))で添加したゴムラテックス溶液よりも固形分(ゴム)濃度が高いことが好ましく、具体的には固形分(ゴム)濃度が10〜60質量%であることが好ましく、20〜30質量%であることがより好ましい。
工程(ii−(a))では、スラリー溶液と、残りのゴムラテックス溶液とを混合して、ゴムラテックス粒子が付着したカーボンブラック含有ゴムラテックス溶液を製造する。残りのゴムラテックス溶液は、次工程(iii)での脱水時間・労力を考慮した場合、工程(i−(a))で添加したゴムラテックス溶液よりも固形分(ゴム)濃度が高いことが好ましく、具体的には固形分(ゴム)濃度が10〜60質量%であることが好ましく、20〜30質量%であることがより好ましい。
(3)工程(iii)
工程(iii)では、スラリー含有ゴムラテックス溶液を凝固して、ゴムウエットマスターバッチ塊(クラム)を製造する。凝固方法としては、スラリー含有ゴムラテックス溶液中に凝固剤を含有させる方法が例示可能である。この場合、凝固剤としては、ゴムラテックス溶液の凝固用として通常使用されるギ酸、硫酸などの酸や、塩化ナトリウムなどの塩を使用することができる。
工程(iii)では、スラリー含有ゴムラテックス溶液を凝固して、ゴムウエットマスターバッチ塊(クラム)を製造する。凝固方法としては、スラリー含有ゴムラテックス溶液中に凝固剤を含有させる方法が例示可能である。この場合、凝固剤としては、ゴムラテックス溶液の凝固用として通常使用されるギ酸、硫酸などの酸や、塩化ナトリウムなどの塩を使用することができる。
(4)工程(iv)
必要に応じて例えば遠心分離、オーブン、真空乾燥機、エアードライヤー、押出脱水機など当業者に公知の各種乾燥装置を使用することにより、工程(iv)実施前のクラムの水分率を3〜20質量%まで低下させる(予備脱水工程)。なお、工程(iv)実施前のクラムの水分率を過度に低下させすぎると、クラムへ付与される熱エネルギーおよびせん断力が大きくなり、ゴム劣化が生じやすくなる。このため、工程(iv)実施前のクラムの水分率は8〜20質量%であることが好ましい。
必要に応じて例えば遠心分離、オーブン、真空乾燥機、エアードライヤー、押出脱水機など当業者に公知の各種乾燥装置を使用することにより、工程(iv)実施前のクラムの水分率を3〜20質量%まで低下させる(予備脱水工程)。なお、工程(iv)実施前のクラムの水分率を過度に低下させすぎると、クラムへ付与される熱エネルギーおよびせん断力が大きくなり、ゴム劣化が生じやすくなる。このため、工程(iv)実施前のクラムの水分率は8〜20質量%であることが好ましい。
工程(iv)において、水分率が3〜20質量%であるクラムは、平均粒径が0.05〜5mmのゴムウエットマスターバッチ粒状物に粉砕される(工程(A))。クラムの粉砕方法は、当業者に公知の手法が使用可能であり、例えば定速でクラムを送り出しつつ、高速回転するカットナイフで切断する前処理を行った後、高速に回転する2枚のロータリーディスク内で粉砕する方法などが挙げられる。クラムの粉砕には市販の装置も使用可能であり、例えばホソカワミクロン社製の「ラバーチョッパPB」、NEUE HERBOLD社製の「Pulverizer ZM」などが挙げられる。
工程(A)で得られた、平均粒径が0.05〜5mmのゴムウエットマスターバッチ粒状物は、好適にはさらにゴムウエットマスターバッチ粒状物にエアを吹き付ける工程(B)を経由して脱水・乾燥されることが好ましい。エアを吹き付ける方法としては、当業者に公知の手法が採用可能であり、例えば市販の流動乾燥機(フロードライヤ)が使用可能である。なお、工程(B)の前後に、あるいは工程(B)に代えて、平均粒径が0.05〜5mmのゴムウエットマスターバッチ粒状物をオーブンなどで加熱する、あるいは真空乾燥機内で乾燥させるなどの工程を設けてもよい。工程(A)、必要に応じてさらに工程(B)を実施した後、平均粒径が0.05〜5mmのゴムウエットマスターバッチ粒状物は水分率が0.01〜3.0質量%まで低減される。
前記工程(iv)の後、得られたゴムウエットマスターバッチに各種ゴム配合剤を乾式混合することによりゴム組成物を製造する。使用可能なゴム配合剤としては、例えば、硫黄系加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、シリカ、シランカップリング剤、酸化亜鉛、メチレン受容体およびメチレン供与体、ステアリン酸、加硫促進助剤、加硫遅延剤、有機過酸化物、ワックスやオイルなどの軟化剤、加工助剤などの通常ゴム工業で使用される配合剤が挙げられる。
硫黄系加硫剤としての硫黄は通常のゴム用硫黄であればよく、例えば粉末硫黄、沈降硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄などを用いることができる。
加硫促進剤としては、ゴム加硫用として通常用いられる、スルフェンアミド系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤、チオウレア系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤、ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤などの加硫促進剤を単独、または適宜混合して使用しても良い。
老化防止剤としては、ゴム用として通常用いられる、芳香族アミン系老化防止剤、アミン−ケトン系老化防止剤、モノフェノール系老化防止剤、ビスフェノール系老化防止剤、ポリフェノール系老化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系老化防止剤、チオウレア系老化防止剤などの老化防止剤を単独、または適宜混合して使用しても良い。
上述のとおり、工程(iv)を経由して得られるゴムウエットマスターバッチは、過度の熱エネルギーおよび/またはせん断力が付与されることなく製造される。このため、かかるゴムウエットマスターバッチを含有するゴム組成物の加硫ゴムは、ゴム劣化が抑制されるため、ゴム強度などのゴム物性に優れる。
以下に、この発明の実施例を記載してより具体的に説明する。
(使用原料)
a)カーボンブラック
カーボンブラック「N134」;「シースト9H」(東海カーボン社製)
b)分散溶媒 水
c)ゴムラテックス溶液
天然ゴムラテックス溶液(NRフィールドラテックス);(Golden Hope社製)(DRC=31.2%のものをゴム濃度が25質量%となるように調整、質量平均分子量Mw=23.2万)
d)凝固剤 ギ酸(一級85%、10%溶液を希釈して、pH1.2に調整したもの);「ナカライテスク社製」
e)亜鉛華 亜鉛華1号;(三井金属社製)
f)ステアリン酸;(日油社製)
g)ワックス;「OZOACE0355」、(日本精蝋社製)
h)老化防止剤
(A)N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン「6C」、(大内新興化学工業社製)
(B)2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体「RD」、(大内新興化学工業社製)
i)硫黄;(鶴見化学工業社製)
j)加硫促進剤
N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド;「ノクセラーDZ」、(大内新興化学工業社製)
a)カーボンブラック
カーボンブラック「N134」;「シースト9H」(東海カーボン社製)
b)分散溶媒 水
c)ゴムラテックス溶液
天然ゴムラテックス溶液(NRフィールドラテックス);(Golden Hope社製)(DRC=31.2%のものをゴム濃度が25質量%となるように調整、質量平均分子量Mw=23.2万)
d)凝固剤 ギ酸(一級85%、10%溶液を希釈して、pH1.2に調整したもの);「ナカライテスク社製」
e)亜鉛華 亜鉛華1号;(三井金属社製)
f)ステアリン酸;(日油社製)
g)ワックス;「OZOACE0355」、(日本精蝋社製)
h)老化防止剤
(A)N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン「6C」、(大内新興化学工業社製)
(B)2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体「RD」、(大内新興化学工業社製)
i)硫黄;(鶴見化学工業社製)
j)加硫促進剤
N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド;「ノクセラーDZ」、(大内新興化学工業社製)
(クラムおよびゴムウエットマスターバッチの水分率)
JIS K6238−2に準拠し、A&D社製加熱乾燥式水分計MX−50を使用して測定した。
JIS K6238−2に準拠し、A&D社製加熱乾燥式水分計MX−50を使用して測定した。
実施例1〜5
0.5質量%に調整した希薄ラテックス水溶液にカーボンブラック70質量部を添加し、PRIMIX社製ロボミックスを使用して、カーボンブラックを分散させることにより(該ロボミックスの条件;9000rpm、分散処理時間35分)、天然ゴムラテックス粒子が付着したカーボンブラック含有スラリー溶液を製造した(工程(i−(a)))。
0.5質量%に調整した希薄ラテックス水溶液にカーボンブラック70質量部を添加し、PRIMIX社製ロボミックスを使用して、カーボンブラックを分散させることにより(該ロボミックスの条件;9000rpm、分散処理時間35分)、天然ゴムラテックス粒子が付着したカーボンブラック含有スラリー溶液を製造した(工程(i−(a)))。
次に、工程(i−(a))で製造されたカーボンブラック含有スラリー溶液、および残りの天然ゴムラテックス溶液(固形分(ゴム)濃度25質量%となるように水を添加して調整されたもの)を合わせて、固形分(ゴム)量で100質量部となるように添加し、次いでSANYO社製家庭用ミキサーを使用して(該ミキサーの条件:11300rpm、30分)、天然ゴムラテックス粒子が付着したカーボンブラック含有天然ゴムラテックス溶液を製造した(工程(ii−(a)))。
工程(ii−(a))で製造された天然ゴムラテックス粒子が付着したカーボンブラック含有天然ゴムラテックス溶液に、凝固剤としてギ酸10質量%水溶液をpH4に成るまで添加し、90℃に加温した状態で、天然ゴムラテックス粒子が付着したカーボンブラック含有天然ゴムラテックス溶液を凝固させ、クラムを製造した(工程(iii))。
SUS製パンチングメタル2.0φ、3.5Pを使用して、ろ過分離することによりクラムを溶液から分離し、次いで工程(iv)の前にスエヒロEPM社製スクイザー式1軸押出脱水機(V−02型)で予備脱水することにより、クラムの水分率を調整した(予備脱水工程)。工程(iv)を実施する前の各実施例のクラムの水分率を表1に示す。
ホソカワミクロン社製の「ラバーチョッパPB」およびNEUE HERBOLD社製の「Pulverizer ZM」を使用し、各実施例のクラムを、表1に記載の平均粒径のゴムウエットマスターバッチ粒状物に調整した(工程(iv)の工程(A))。次いで、得られたゴムウエットマスターバッチ粒状物に80℃のエアを吹き付けることにより(工程(iv)の工程(B))、表1に記載の水分率まで脱水したゴムウエットマスターバッチを製造した。
B型バンバリーミキサー(神戸製鋼社製)を使用し、得られたゴムウエットマスターバッチ(ゴム成分100質量部、カーボンブラック70質量部)に対し、亜鉛華3質量部、ステアリン酸2質量部、ワックス1質量部、老化防止剤(A)2質量部、老化防止剤(B)1質量部、硫黄2質量部、加硫促進剤1質量部配合してゴム組成物とし、その加硫ゴムの物性を測定した。結果を表1に示す。
比較例1〜4
SUS製パンチングメタル2.0φ、3.5Pを使用して、ろ過分離することによりクラムを溶液から分離し、次いで工程(iv)の前にスエヒロEPM社製スクイザー式1軸押出脱水機(V−02型)で乾燥することにより、クラムの水分率を調整した(予備脱水工程)。工程(iv)を実施する前の各実施例のクラムの水分率を表1に示す。
SUS製パンチングメタル2.0φ、3.5Pを使用して、ろ過分離することによりクラムを溶液から分離し、次いで工程(iv)の前にスエヒロEPM社製スクイザー式1軸押出脱水機(V−02型)で乾燥することにより、クラムの水分率を調整した(予備脱水工程)。工程(iv)を実施する前の各実施例のクラムの水分率を表1に示す。
クラムを粉砕することに代えて、各比較例のクラムを再度、スエヒロEPM社製スクイザー式1軸押出脱水機(V−02型)で乾燥することにより、表1に記載の水分率まで脱水したゴムウエットマスターバッチを製造した(工程(iv))。各比較例で得られたゴムウエットマスターバッチを実施例と同様の配合でゴム組成物とし、その加硫ゴムの物性を測定した。結果を表1に示す。
(評価)
評価は、各ゴム組成物を所定の金型を使用して、150℃で30分間加熱、加硫して得られたゴムについて行った。
評価は、各ゴム組成物を所定の金型を使用して、150℃で30分間加熱、加硫して得られたゴムについて行った。
(ムーニー粘度)
JIS K6300に準拠し、100℃で測定した。評価は、比較例1で測定したムーニー粘度を100として指数評価した。数値が低いほどゴムウエットマスターバッチが可塑化されており、良好であることを意味する。
JIS K6300に準拠し、100℃で測定した。評価は、比較例1で測定したムーニー粘度を100として指数評価した。数値が低いほどゴムウエットマスターバッチが可塑化されており、良好であることを意味する。
(加硫ゴムの破断時の伸び)
JIS−K 6251に準拠し、JIS3号ダンベル使用して破断時の伸びを測定した。評価は、比較例1の破断時の伸びを100として指数評価した。数値が高いほど、クラム脱水時のゴム劣化が防止され、最終的に得られる加硫ゴムのゴム物性に優れることを意味する。
JIS−K 6251に準拠し、JIS3号ダンベル使用して破断時の伸びを測定した。評価は、比較例1の破断時の伸びを100として指数評価した。数値が高いほど、クラム脱水時のゴム劣化が防止され、最終的に得られる加硫ゴムのゴム物性に優れることを意味する。
(耐引裂性能)
JIS K6252に準拠し測定した。評価は、比較例1を100として指数評価した。数値が高いほど、クラム脱水時のゴム劣化が防止され、最終的に得られる加硫ゴムのゴム物性に優れることを意味する。
JIS K6252に準拠し測定した。評価は、比較例1を100として指数評価した。数値が高いほど、クラム脱水時のゴム劣化が防止され、最終的に得られる加硫ゴムのゴム物性に優れることを意味する。
表1の結果から、実施例1〜5では脱水工程でのゴム劣化が抑制され、最終的にゴム物性に優れた加硫ゴムが製造できることがわかる。一方、比較例2〜4では、脱水工程で過度に熱エネルギーおよびせん断力が付与されるため、脱水工程でゴム劣化が起こり、その結果、最終的に製造される加硫ゴムのゴム物性が悪化することがわかる。
Claims (3)
- 水分率が3〜20質量%であるゴムウエットマスターバッチ塊の脱水方法であって、
前記ゴムウエットマスターバッチ塊を、平均粒径が0.05〜5mmのゴムウエットマスターバッチ粒状物に粉砕する工程(A)を含むゴムウエットマスターバッチ塊の脱水方法。 - 前記工程(A)の後、さらに前記ゴムウエットマスターバッチ粒状物にエアを吹き付ける工程(B)を含む請求項1に記載のゴムウエットマスターバッチ塊の脱水方法。
- 充填材を分散溶媒中に分散させてスラリー溶液を製造する工程(i)、前記スラリー溶液とゴムラテックス溶液とを混合して、スラリー含有ゴムラテックス溶液を製造する工程(ii)、前記スラリー含有ゴムラテックス溶液を凝固させることにより、ゴムウエットマスターバッチ塊を製造する工程(iii)、および前記ゴムウエットマスターバッチ塊を脱水することにより、ゴムウエットマスターバッチを製造する工程(iv)を有し、
前記工程(iv)が請求項1または2に記載の脱水方法であるゴムウエットマスターバッチの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2017246475A JP2019112524A (ja) | 2017-12-22 | 2017-12-22 | ゴムウエットマスターバッチ塊の脱水方法およびゴムウエットマスターバッチの製造方法 |
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2017
- 2017-12-22 JP JP2017246475A patent/JP2019112524A/ja active Pending
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