JP2019112360A - 硬質表面処理剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】硬質表面に適用された後、水で濯ぐ処理が行われる場合でも、優れた殺菌力を硬質表面に付与する硬質表面処理剤組成物を提供する。【解決手段】塩基性ポリペプチド(A)の2種類以上、アミノカルボン酸及びその塩(B1)及び無機多価陰イオン(B2)から選ばれる1種以上の化合物(B)、並びに水を含有し、20℃でのpHが10以上である硬質表面処理剤組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、硬質表面処理剤組成物、及び硬質表面の処理方法に関する。
レストラン等の厨房や食品工場等の食品を調理する現場では、まな板を含む各種調理器具を用いて食材を加工する。作業終了時には、洗浄剤あるいは殺菌剤配合洗浄剤等を用いて洗浄する。その後、必要に応じて、次亜塩素酸ナトリウム水溶液等の殺菌剤水溶液に調理器具を浸漬したり、あるいは調理器具に次亜塩素酸ナトリウム水溶液等の殺菌剤水溶液を湿布したり、アルコール製剤を調理器具に噴霧したりする等、調理器具の殺菌処理が行われる。
しかし、殺菌工程を行わない場合は当然のこと、殺菌処理を行っても、調理器具を再使用する時点で生存菌が多数存在している場合がある。その原因として、例えば、殺菌剤配合洗剤で洗浄した場合には、処理時間が短く、十分な殺菌効果が得られないことが挙げられる。また、次亜塩素酸ナトリウムに代表される殺菌剤水溶液に浸漬した場合には、殺菌処理直後は良好な殺菌性が得られるが、このような殺菌剤を用いた場合には、通常は調理器具を濯ぐことが必要とされ、殺菌剤が濯がれた後は殺菌効果が著しく低下するため、例えば翌日まで調理器具を放置する間に、調理器具に残った菌が再増殖してしまうことも懸念される。
菌の再増殖を避けるためには、再使用するまでの間、調理器具を殺菌液に接触させておくことが考えられるが、基材の損傷を考慮しなければならない、殺菌剤の揮発や分解等による殺菌効果の失活が生じる可能性がある、使用前に濯いで殺菌剤の除去を行わなければならない、等の課題があり、作業が繁雑となる恐れがある。
特許文献1には、ポリリジン、プロタミン及びベンジルアルコールを含有する、食品加工設備又は調理器具用殺菌剤組成物が記載されている。
また、特許文献2には、ポリリジン、プロタミン、蔗糖脂肪酸エステル及び水を含有する硬質表面用液体殺菌剤組成物が記載されている。
また、特許文献3には、塩基性ポリペプチドの2種類以上、及び界面活性剤を含有し、20℃でのpHが10以上である、食品加工設備又は調理器具用殺菌洗浄剤組成物が記載されている。
特開2015−127317号公報 特開2015−113305号公報 特開2016−160350号公報
硬質表面を対象として殺菌効果を付与することを意図した洗浄剤や処理剤などは、硬質表面に適用した後、水で濯ぐことがしばしば行われる。こうした濯ぎを速やかに行うことは作業上、望ましい形態であり、そのような使用形態でも殺菌力が低下しないことが望まれる。
本発明は、硬質表面に適用された後、水で濯ぐ処理が行われる場合でも、優れた殺菌力を硬質表面に付与する硬質表面処理剤組成物を提供する。
本発明は、塩基性ポリペプチド(A)[以下(A)成分という]の2種類以上、アミノカルボン酸及びその塩(B1)及び無機多価陰イオン(B2)から選ばれる1種以上の化合物(B)[以下(B)成分という]、並びに水を含有し、20℃でのpHが10以上である硬質表面処理剤組成物に関する。
また、本発明は、前記本発明の硬質表面処理剤組成物を、硬質表面に適用する工程1、次いで
工程1で前記組成物を適用した硬質表面を濯ぐ工程2
を行う、硬質表面の処理方法に関する。
本発明によれば、硬質表面に適用された後、水で濯ぐ処理が行われる場合でも、優れた殺菌力を硬質表面に付与する硬質表面処理剤組成物が提供される。
〔硬質表面処理剤組成物〕
<(A)成分>
(A)成分は、塩基性ポリペプチドであり、本発明の組成物は、異なる塩基性ポリペプチドを2種類以上含有する。以下、(A)成分という場合、2種以上の塩基性ポリペプチドの意味であってもよい。
(A)成分は、プロタミン、ポリリジン、リゾチーム、ナイシン、及びポリアルギニンから選ばれる塩基性ポリペプチドが好ましい。これらを2種類以上用いる。
プロタミンとしては、特に制限されるものではないが、例えばサケ、ニシン、ニジマス、マグロをはじめとする約50種類以上の魚からなる群より得られる1種以上の魚の白子を酸処理することにより、それぞれの魚の精子核中に存在するヌクレオプロタミンから精製されるプロタミンが挙げられる。プロタミンは、殺菌性をより向上させる観点、安全性、経済性及び入手性の観点から、好ましくはサケ、ニシン、ニジマス、マグロ、ボラの白子から得られるプロタミンであり、より好ましくはサケの白子から得られるプロタミンである。また、プロタミンは、安全性の観点から、好ましくは食品又は食品添加物として使用できる品質水準のプロタミンである。
プロタミンは、遊離プロタミン、プロタミン又はその塩が挙げられる。プロタミンは、殺菌性をより向上させる観点及び配合性の観点から、好ましくはプロタミン酸塩、より好ましくはプロタミン硫酸塩及びプロタミン塩酸塩から選ばれる1種以上であり、入手性の観点から、より好ましくはプロタミン塩酸塩である。
ポリリジンとしては、必須アミノ酸であるL−リジンが直鎖上に重合したポリアミノ酸で、化学合成により製造されるα−ポリリジンと発酵法により製造されるε−ポリリジンが挙げられる。ポリリジンは、殺菌性をより向上する観点から、好ましくはε−ポリリジンである。ポリリジンの分子量は、殺菌性をより向上する観点から、好ましくは3,000以上、より好ましくは4,000以上であり、そして、好ましくは10,000以下、より好ましくは8,000以下、より好ましくは6,000以下、より好ましくは5,000以下である。この分子量は、GPC−LALLS法により測定された重量平均分子量である。また、ポリリジンは、安全性の観点から、好ましくは食品添加物として使用できる品質水準のポリリジンである。
リゾチームとしては、特に制限されるものではないが、鶏卵白から分離・精製した食品添加物である卵白リゾチームや、塩化リゾチーム等が挙げられる。
ナイシンは、発酵乳から分離されたLactococcus lactissubsp.lactisが産生する34個のアミノ酸から成るペプチドである。ナイシンとしては、特に制限されるものではないが、Lactococcus lactis subsp. lactis の培養液から得られた抗菌性ポリペプチドの塩化ナトリウムとの混合物等を使用することができる。
ポリアルギニンとしては、ポリ(L−アルギニン塩酸塩)が挙げられる。ポリアルギニンは、分子量が5,000以上15,000以下にあるものが使用できる。
塩基性ポリペプチドは一般に異なる等電点を有しており、ポリリジンはpH10未満、プロタミンはpH10以上、リゾチームは11.1〜11.4、ナイシンはpH8.5、ポリアルギニンはpH10以上に等電点を有することが知られている。本発明では、等電点の差が大きい2種の塩基性ポリペプチドを選択することが好ましく、等電点が10以上の塩基性ポリペプチド(A1)と等電点が10未満の塩基性ポリペプチド(A2)を併用することが好適である。本発明の硬質表面処理剤組成物は、(A1)成分としてプロタミン及び/又はポリアルギニン、好ましくはプロタミン、並びに(A2)成分としてポリリジンを含有することが、殺菌効果の点から、より好適である。
(A)成分が、(A1)プロタミン及び/又はポリアルギニンと、(A2)ポリリジンとを含む場合、(プロタミン及び/又はポリアルギニン)/ポリリジンの質量比は、(A)成分の硬質表面への残存量向上の観点から、好ましくは2/8以上、より好ましくは4/6以上、そして、好ましくは8/2以下、より好ましくは7/3以下である。更に(A)成分が、(A1)プロタミンと、(A2)ポリリジンとを含む場合、プロタミン/ポリリジンの質量比は、好ましくは2/8以上、より好ましくは4/6以上、そして、好ましくは8/2以下、より好ましくは7/3以下である。
<(B)成分>
(B)成分は、アミノカルボン酸及びその塩(B1)及び無機多価陰イオン(B2)から選ばれる1種以上の化合物である。本発明では、無機多価陰イオン(B2)を便宜的に化合物という。
アミノカルボン酸及びその塩(B1)としては、アミノ酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、グルタミン酸二酢酸(GLDA)及びそれぞれの塩が挙げられる。塩としては、例えば、EDTA2ナトリウム、EDTA4ナトリウム、EDTA2カリウム、NTA3ナトリウム、NTA3カリウム、MGDA2ナトリウム、GLDA2ナトリウムが挙げられる。
アミノカルボン酸及びその塩(B1)は、好ましくはアミノ酸及びその塩である。アミノ酸及びその塩としては、グリシン、L−ロイシン、バリン、イソロイシン、セリン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、アルギニン及びそれぞれの塩が挙げられる。アミノ酸及びその塩は、好ましくはグリシン、L−ロイシン、グルタミン酸、アルギニン及びそれぞれの塩から選ばれる1種以上のアミノ酸及びその塩であり、より好ましくはグリシン、及びL−ロイシン及びそれぞれの塩から選ばれる1種以上のアミノ酸及びその塩である。塩としてはアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、更にナトリウム塩、カリウム塩が好適である。
無機多価陰イオン(B2)としては、ホウ酸イオン、炭酸イオン、硫酸イオン、及びリン酸イオンから選ばれる1種以上の無機多価陰イオンが挙げられる。本発明では、(A)成分の硬質表面への残存量向上の観点からホウ酸イオン、及び炭酸イオンから選ばれる1種以上の無機多価陰イオンが好ましい。
本発明では、無機多価陰イオンを組成物中に生成させる、とりわけ水を含有する組成物中に生成させるために、水溶性無機塩を配合することが好ましい。なお、本発明では、20℃の水への溶解度が5g/100g以上の無機塩を水溶性と定義する。具体的には、前記無機多価陰イオンと、ナトリウム、カリウムから選ばれるアルカリ金属のイオン、又はカルシウム、マグネシウムから選ばれるアルカリ土類金属のイオンとの塩が好適であり、ナトリウムイオンとの塩が、水溶性の点から好適である。
ホウ酸イオンを組成物中に生成させる水溶性無機塩としては、四ホウ酸ナトリウム、メタホウ酸ナトリウム、オルトホウ酸ナトリウムなどが挙げられ、好ましくは四ホウ酸ナトリウムである。
炭酸イオンを組成物中に生成させる水溶性無機塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどが挙げられ、好ましくは炭酸ナトリウム、炭酸カリウムである。
本発明において、アミノカルボン酸及びその塩(B1)の効果は定かではないが、(A)成分である、2種の塩基性ポリペプチドの窒素含有基及び/又はカルボニル基と作用して、塩基性ポリペプチド間に水素結合性あるいはイオン性の架橋を生じさせ、疑似高分子化させることにより、対象物への(A)成分の付着性を向上させ、濯いだ後も流れ落ちることなく残存し、殺菌効果が維持できるものと推察される。また、無機多価陰イオン(B2)においても二つ以上の陰イオンが、(A)成分であるポリペプチドのアミド基や末端アミノ基、カルボニル基との水素結合やイオン結合を生じることによる疑似高分子化が起こっているものと推察される。すなわち、(B)成分を(A)成分と組み合わせることで、本発明の硬質表面処理剤組成物を硬質表面に適用後、濯いだ後の硬質表面に(A)成分が十分に残存することが、1つの因子として、本発明の効果発現に寄与しているものと推察される。硬質表面に対する(A)成分の残存量が多いことは、殺菌力の向上に加え、殺菌力の持続性や、処理した硬質表面への外部からの影響、例えば水流などに対する殺菌力の耐久性(殺菌力の耐久性という場合もある)などの向上において、より好ましい効果をもたらすと考えられる。
<硬質表面処理剤組成物の組成、任意成分等>
本発明の硬質表面処理剤組成物は、(A)成分を、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.02質量%以上、そして、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、更に好ましくは0.3質量%以下含有する。
本発明の硬質表面処理剤組成物は、(B)成分を、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.02質量%以上、そして、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.3質量%以下、更に好ましくは0.2質量%以下含有する。なお、(B)成分が(B1)成分の場合にはカルボン酸基とアミノ基の両官能基が塩ではない状態での質量に基づいて、また、(B)成分が(B2)成分の場合には無機多価陰イオンとしての質量に基づいて、質量%、質量比などを算出する。
本発明の硬質表面処理剤組成物では、(A)成分と(B)成分の質量比(A)/(B)は、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.15以上、更に好ましくは0.2以上、そして、好ましくは30以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは1.5以下である。
本発明の硬質表面処理剤組成物は、20℃でのpHが、10以上、好ましくはpH10.5以上、より好ましくは11以上、そして、好ましくは14以下、より好ましくは13以下である。
本発明の硬質表面処理剤組成物は、水を含有する。本発明の硬質表面処理剤組成物は、液体が好ましい。本発明の硬質表面処理剤組成物は、水を含有する液体組成物であることが好ましい。
本発明の硬質表面処理剤組成物は、界面活性剤(C)[以下(C)成分という]を含有することが好ましい。(C)成分としては、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる1種以上の界面活性剤が挙げられる。更に、(C)成分としては、ノニオン界面活性剤及びカチオン界面活性剤から選ばれる1種以上の界面活性剤が挙げられる。陰イオン界面活性剤を含有してもよいが、(A)成分による殺菌性を効果的に発現させるという観点からは、陰イオン界面活性剤の含有量は少ない又は含有しないことが好ましい。陰イオン界面活性剤の含有量は、組成物中、10質量%以下、更に5質量%以下、更に実質的に含有しない、更に0質量%とすることができる。
より具体的には、(C)成分としては、(C1)ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、(C2)アルキルグルコシド、(C3)アルキルアミンオキサイド、(C4)ソルビタン脂肪酸エステル、(C5)ショ糖脂肪酸エステル、(C6)脂肪酸アルカノールアミド、及び(C7)第四級アンモニウム塩から選ばれる1種以上の界面活性剤が挙げられる。本発明の硬質表面処理剤組成物は、(C)成分として、(C1)ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、(C2)アルキルグルコシド、(C3)アルキルアミンオキサイド、及び(C4)ソルビタン脂肪酸エステルから選ばれる1種以上の界面活性剤を含有することが好ましい。
(C1)のポリオキシアルキレンアルキルエーテルを包含する非イオン界面活性剤として、下記一般式(c−1)で表される化合物が挙げられる。
11c−O−(AO)−H (c−1)
〔式中、R11cは、炭素数8以上18以下のアルキル基、AOは炭素数2又は3のアルキレンオキシ基、qは平均付加モル数であり、1以上30以下の数である。〕
洗浄性の観点から、一般式(c−1)中、R11cの炭素数は10以上18以下が好ましい。また、R11cのアルキル基は、1級アルキル基、2級アルキル基が挙げられる。ここで、1級アルキル基は、一般式(c−1)中の「O」と結合するR11cの炭素が1級炭素であるアルキル基をいう。また、2級アルキル基は、一般式(c−1)中の「O」と結合するR11cの炭素が2級炭素であるアルキル基をいう。R11cは、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基が挙げられる。
AOはエチレンオキシ基、プロピレンオキシ基が好ましく、エチレンオキシ基がより好ましい。
qは1以上、好ましくは1.5以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは5以上であり、そして、好ましくは30以下、より好ましくは25以下、より好ましくは22以下、より好ましくは20以下、より好ましくは15以下、より好ましくは12以下、より好ましくは9以下である。
(C2)のアルキルグリコシドは還元糖と高級アルコールがグリコシド結合した非イオン界面活性剤であって、粘度、殺菌性のさらなる向上、洗浄性及び低温保存安定性の観点から、下記一般式(c−2)で表される化合物が挙げられる。
21c−(OR22c (c−2)
〔式中、R21cは直鎖の炭素数8以上、好ましくは10以上、16以下、好ましくは14以下のアルキル基、R22cは炭素数2以上、4以下のアルキレン基、好ましくはエチレン基又はプロピレン基、より好ましくはエチレン基であり、Gは還元糖に由来する残基、xは平均値0以上、6以下の数、yは平均値1以上、10以下、好ましくは5以下、より好ましくは2以下の数を示す。〕
一般式(c−2)の化合物において、Gは還元糖に由来する残基であり、Gの原料の還元糖は、アルドースとケトースの何れであっても良い。また、Gの原料の還元糖は、炭素数が3のトリオース、炭素数が4のテトロース、炭素数が5のペントース、炭素数が6のヘキソースを挙げることができる。アルドースは、具体的に、具体的には、アピオース、アラビノース、ガラクトース、グルコース、リキソース、マンノース、ガロース、イドース、タロース、キシロースを挙げることができる。また、ケトースは、具体的に、フラクトースを挙げることができる。本発明のGの原料の還元糖は、これらの中、粘度、殺菌性、洗浄性及び低温保存安定性の観点から、炭素数5のアルドースであるアルドペントース又は炭素数6のアルドースであるアルドヘキソースであり、より好ましくはグルコースである。
一般式(c−2)の化合物は、上記還元糖とR21c−(OR22c−OHとを酸触媒を用いてアセタール化反応又はケタール化反応することで容易に合成することができる。また、アセタール化反応の場合、ヘミアセタール構造であっても良く、通常のアセタール構造であっても良い。
一般式(c−2)の化合物は、粘度、洗浄性及び低温保存安定性の観点からも、好ましい。
(C3)のアルキルアミンオキサイドは、粘度、殺菌性のさらなる向上、洗浄性及び低温保存安定性の観点から、炭素数が好ましくは8以上、より好ましくは10以上、より好ましくは12以上、そして、好ましくは18以下、より好ましくは16以下のアルキル基を有する。より好ましくは、(C3)のアミンオキサイドは、炭素数が好ましくは8以上、より好ましくは10以上、より好ましくは12以上、そして、好ましくは18以下、より好ましくは16以下のアルキル基1個と炭素数1以上3以下のアルキル基2個とを有する。具体的に好ましい(C3)のアルキルアミンオキサイドとしては、下記一般式(c−3)の化合物を挙げることができる。
Figure 2019112360
〔式中、R31cは炭素数7以上、好ましくは10以上、より好ましくは11以上、更に好ましくは12以上、そして、好ましくは18以下、好ましくは16以下のアルキル基であり、R33c、R34cは炭素数1以上、3以下のアルキル基又はヒドロキシアルキル基である。R32cは炭素数1以上5以下、好ましくは2又は3のアルキレン基である。Aは−COO−、−CONH−、−OCO−、−NHCO−、−O−から選ばれる基であり、nは0又は1の数であり、nが1で且つAが−COO−、−CONH−の場合は、R31cは炭素数7以上15以下のアルキル基である。好ましくはnは0である。〕
(C3)は、炭素数8以上18以下のアルキル基を有するアルキルジメチルアミンオキサイドが好ましい。すなわち、(C3)は、一般式(c−3)中のR31cが好ましくは炭素数8以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは11以上、そして、好ましくは18以下、より好ましくは16以下の直鎖アルキル基、R33c、R34cが炭素数1のアルキル基、nが0の化合物が好ましい。
(C4)のソルビタン脂肪酸エステルは、脂肪酸の炭素数が8以上22以下であるソルビタン脂肪酸エステルが好ましい。このような化合物は、ソルビトール及び/又はソルビタンと脂肪酸のエステル化反応により得られるが、原料のソルビトールは、グルコースの高圧水素還元によって得られる市販のものが使用できる。また、ソルビトールの脱水環化によって得られるソルビタンを使用してもよい。色調劣化、臭い等品質に与える影響から、好ましくはソルビトール、例えば70%ソルビトールとして市販されているものを使用できる。エステル化反応用の原料脂肪酸は、炭素数8以上、好ましくは12以上、より好ましくは14以上、更に好ましくは16以上、そして、好ましくは22以下、より好ましくは20以下、より好ましくは18以下の脂肪酸が挙げられる。原料脂肪酸は、飽和又は不飽和の直鎖脂肪酸が挙げられる。原料脂肪酸は、混合脂肪酸を用いることができる。本発明では、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、パーム油組成脂肪酸、牛脂脂肪酸が好ましく、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、パーム油組成脂肪酸、牛脂脂肪酸がより好ましく、オレイン酸、リノール酸、パーム油組成脂肪酸、牛脂脂肪酸が更に好ましく、オレイン酸がより更に好ましい。
(C5)のショ糖脂肪酸エステルの脂肪酸の炭素数は、殺菌性の観点から、好ましくは炭素数8以上、より好ましくは10以上、より好ましくは12以上であり、そして、溶解性の観点から、好ましくは14以下である。
ショ糖脂肪酸エステルは、殺菌性及び入手性の観点から、好ましくはショ糖ラウリン酸エステル及びショ糖ミリスチン酸エステルから選ばれる1種以上、より好ましくはショ糖ミリスチン酸エステルである。
ショ糖脂肪酸エステルは、モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル、ペンタエステル、ヘキサエステル、ヘプタエステル、オクタエステルがある。これらの中、殺菌性及び入手性の観点から、好ましくはモノエステル、ジエステル及びトリエステルから選ばれる1種または2種以上であり、より好ましくはモノエステル及びジエステルから選ばれる1種または2種以上であり、より好ましくはモノエステルである。
また、ショ糖脂肪酸エステルは、殺菌性の観点から、モノエステル比率が、好ましくは60質量%以上、より好ましくは65質量%以上、より好ましくは70質量%以上、より好ましくは75質量%以上であり、そして、入手性の観点から、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下である。
また、ショ糖ラウリン酸エステル又はショ糖ミリスチン酸エステルのモノエステル比率は、殺菌性及び入手性の観点から、好ましくは前記比率である。
(C6)の脂肪酸アルカノールアミドとしては、脂肪酸モノアルカノールアミド、脂肪酸ジアルカノールアミドが挙げられ、脂肪酸ジアルカノールアミドが好ましい。脂肪酸ジエタノールアミドが特に好ましい。脂肪酸の炭素数は、好ましくは8以上、より好ましくは10以上、そして、好ましくは20以下、より好ましくは18以下、より好ましくは16以下である。
(C7)の第四級アンモニウム塩としては、長鎖アルキル基を1つ以上有する第四級アンモニウム塩が挙げられる。具体的には、ジ長鎖アルキル型第四級アンモニウム塩、モノ長鎖アルキル型第四級アンモニウム塩、ベンザルコニウム型第四級アンモニウム塩が挙げられる。(C7)は、ジ長鎖アルキル型第四級アンモニウム塩及びモノ長鎖アルキル型第四級アンモニウム塩から選ばれる第四級アンモニウム塩が好ましく、ジ長鎖アルキル型第四級アンモニウム塩がより好ましい。前記長鎖アルキル基の炭素数は、好ましくは8以上、より好ましくは9以上、そして、好ましくは20以下、より好ましくは18以下、より好ましくは15以下、より好ましくは12以下、より好ましくは10以下である。また、第四級アンモニウム塩が有する長鎖アルキル基以外の基は、炭素数1以上3以下のアルキル基が好ましい。第四級アンモニウム塩は、対イオンとして、ハロゲンイオンを有するものが挙げられ、塩化物イオンを有するものが好ましい。
本発明の硬質表面処理剤組成物が(C)成分を含有する場合、該組成物は、(C)成分を、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上、そして、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは2.0質量%以下、更に好ましくは1.0質量%以下含有する。
なお、(A)成分、(B)成分、更に(C)成分などの任意成分を前記範囲で含有する本発明の硬質表面処理剤組成物を得るための濃厚組成物を調製しておき、使用時に水で希釈して用いてもよい。例えば、(A)成分、(B)成分、更に(C)成分、水などの任意成分を含有する濃厚組成物、例えば、(A)成分及び(B)成分の濃度を2倍以上50倍以下に濃縮した濃厚組成物を作製し、使用する時に水を含有する溶媒で希釈して本発明の硬質表面処理剤組成物として使用することもできる。
本発明の硬質表面処理剤組成物は、効果を損なわない範囲において、更に、任意に、エタノール、プロパノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等の有機溶剤、ポリヘキサメチレングアニジン等の(A)成分以外のカチオン性殺菌剤、香料、着色料等を含有することができる。
本発明の硬質表面処理剤組成物は、特に限定されるものではないが、炭素数1以上3以下の1価アルコール、更にはエタノールの含有量が、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。炭素数1以上3以下の1価アルコール、更にはエタノールの含有量をこのような範囲としても、優れた殺菌性が得られ、また、濯いだ後も殺菌性が持続する。
本発明の硬質表面処理剤組成物が、(A)成分、(B)成分、更に炭素数1以上3以下の1価アルコールを前記の範囲で含有する場合、好ましくは更にpHが前記範囲である場合、当該組成物を、そのまま硬質表面、例えば、食品加工設備又は調理器具に適用することができる。また、希釈後に、(A)成分の含有量、(B)成分の含有量、更に炭素数1以上3以下の1価アルコールの含有量、pHが、前記所定の範囲内となるような一又は二以上の濃厚溶液を、水で希釈、混合(二以上の濃厚溶液を用いる場合)して、食品加工設備又は調理器具に適用する本発明の硬質表面処理剤組成物を調製しても良い。本発明では、本発明の硬質表面処理剤組成物を泡状で硬質表面に適用することが好ましい。
本発明は、(A)成分の2種類以上、及び水を含有し、20℃でのpHが10以上である硬質表面処理剤組成物に、(B)成分を添加して、当該硬質表面処理剤組成物からの(A)成分の硬質表面に対する吸着量を増加させる方法を提供する。
また、本発明は、(A)成分の2種類以上、及び水を含有し、20℃でのpHが10以上である硬質表面処理剤組成物に、(B)成分を添加して、当該硬質表面処理剤組成物の殺菌力を向上させる方法を提供する。
また、本発明は、本発明の硬質表面処理剤組成物を、硬質表面に泡状で塗布した後、所定時間放置することで、濯ぎ後の、前記硬質表面処理剤組成物からの(A)成分の硬質表面に対する吸着量を増加させる方法を提供する。放置する時間は、好ましくは15分以上、そして、好ましくは120分以下、より好ましくは60分以下、より好ましくは45分以下である。
これらの方法には、本発明の硬質表面処理剤組成物、及び後述の硬質表面の処理方法で述べた事項を適宜適用することができる。
<硬質表面の処理方法>
本発明の硬質表面処理剤組成物は、硬質表面に接触させて用いられる。
本発明により、上記本発明の硬質表面処理剤組成物を、硬質表面、例えば、食品加工設備又は調理器具の硬質表面に適用する工程1、次いで
工程1で前記組成物を適用した硬質表面、例えば食品加工設備又は調理器具の硬質表面を濯ぐ工程2
を行う、硬質表面の処理方法が提供される。工程1と工程2の間に、他の工程を含んでいても良い。
工程1では、本発明の硬質表面処理剤組成物を、食品加工設備、調理器具などの物品の硬質表面に、塗布、浸漬、噴霧などの方法により適用して処理する。これにより、硬質表面に(A)成分及び(B)成分が付着し、殺菌処理が行われる。本発明の処理方法では、硬質表面に適用する前の硬質表面処理剤組成物の20℃でのpHが、好ましくは10以上、より好ましくはpH10.5以上、更に好ましくは11以上、そして、好ましくは14以下、より好ましくは13以下である。硬質表面に適用した後は、組成物のpHが変動してもよい。
本発明の対象となる硬質表面は、好ましくは、食品加工設備及び調理器具から選ばれる物品の硬質表面である。食品加工設備は、食肉スライサー、製麺機、フライヤー、米飯製造機等の大型機器が挙げられる。また、本発明の対象となる調理器具は、まな板、包丁、ザル等が挙げられる。本発明の硬質表面の処理方法は、これらの中、食品加工設備に設置されたネットコンベア若しくはベルトコンベア又はまな板若しくはザル等のキズ、ヒビ又は隙間等の微小空間が存在する場面に対してより効果的である。食品加工設備又は調理器具は、ステンレス製の部材を含み、該ステンレス製の部材に、工程1で本発明の硬質表面処理剤組成物を適用することが好ましい。
本発明の硬質表面処理剤組成物を硬質表面に適用する方法としては、スプレー、発泡器あるいはフォーマーによる泡状塗布、浸漬などの方法が挙げられる。本発明の硬質表面処理剤組成物を、スプレー又は塗布して硬質表面に適用することが好ましい。本発明では、本発明の硬質表面処理剤組成物を泡状又は液状で、好ましくは泡状で硬質表面に適用する。本発明の硬質表面処理剤組成物を硬質表面に適用する操作を1回以上行うことができる。本発明では、本発明の硬質表面処理剤組成物を泡状で硬質表面に適用することが好ましい。泡状で適用する場合、泡比容は、好ましくは0.01g/mL以上、より好ましくは0.02g/mL以上、更に好ましくは0.05g/mL以上、そして、好ましくは0.30g/mL以下、より好ましくは0.20g/mL以下、更に好ましくは0.10g/mL以下である。
本発明の硬質表面処理剤組成物による殺菌効果を十分に発現させるために、本発明の処理方法では、工程1で、硬質表面処理剤組成物を適用した後、所定時間放置することが好ましい。すなわち、本発明の処理方法では、殺菌性の観点から、硬質表面処理剤組成物を硬質表面に適用した後、所定時間放置した後、好ましくは15分以上、そして、好ましくは120分以下、より好ましくは60分以下、より好ましくは45分以下放置した後、濯ぐ(工程2)ことが好ましい。
本発明の硬質表面処理剤組成物を適用した硬質表面の放置は、開放系、密閉系のいずれで行ってもよいが、開放系のほうが好ましい。また、本発明の硬質表面処理剤組成物を適用した硬質表面を放置する温度は、殺菌性をさらなる向上する観点から、好ましくは5℃以上、より好ましくは10℃以上であり、そして、経済性の観点から、好ましくは50℃以下、より好ましくは40℃以下、より好ましくは30℃以下である。
本発明の処理方法では、硬質表面に対する本発明の硬質表面処理剤組成物の適用量は、抗菌性のさらなる向上の観点から、好ましくは0.02g/cm以上、より好ましくは0.03g/cm以上、より好ましくは0.04g/cm以上であり、そして、好ましくは1.0g/cm以下、より好ましくは0.5g/cm以下である。この適用量は、硬質表面の単位面積あたりの組成物の適用量である。この適用量では、適用対象とする硬質表面が、組成物が接触しない空間部分を含む場合、その空間部分の面積は、単位面積に算入する。すなわち、組成物の適用量においては、例えば、当該組成物を適用する食品加工設備又は調理器具のような硬質表面の部位が網状になっている場合、空間部分は単位面積を構成する面積に含む。この適用量は、前記範囲で(A)成分、(B)成分を含有する本発明の硬質表面処理剤組成物において好適である。
本発明の処理方法では、本発明の硬質表面処理剤組成物を適用した硬質表面を、必要に応じて、こすり洗いすることができる。その際、本発明の硬質表面処理剤組成物を含んだ弾性部材でこすり洗いすることが好ましい。
工程2では、工程1で本発明の硬質表面処理剤組成物を適用した硬質表面を濯ぐ。好ましくは前記硬質表面を水で濯ぐ。濯ぎにより硬質表面が洗浄されてもよい。
濯ぎの条件は、特に制限されるものではないが、0.5L/分以上25L/分以下の水勢で、1秒以上、そして、3分以下、好ましくは1分以下、より好ましくは30秒以下、更に好ましくは15秒以下で濯ぐことが好ましい。
本発明の処理方法では、工程2の後、硬質表面における(A)成分の残存量は、殺菌性のさらなる向上の観点から、好ましくは0.5×10−6g/cm以上、より好ましくは0.7×10−6g/cm以上、そして、好ましくは10.0×10−6g/cm以下、より好ましくは8.0×10−6g/cm以下、より好ましくは5×10−6g/cm以下、更に好ましくは3×10−6g/cm以下である。
工程2を終えた硬質表面を有する物品は、そのまま該物品の所定の目的のために用いることができる。また、工程2を終えた後、硬質表面を有する物品を、例えば、0℃以上50℃以下で、30分以上72時間以下の条件で保管した後、食品加工、調理などの所定の目的のために用いることができる。
表1〜3の所定成分を混合し、その後、NaOHでpH調整をして硬質表面処理剤組成物を調製し、以下の評価を行った。結果を表1〜3に示す。
〔I〕殺菌性試験
(1)菌/汚れ液の作製
(1−1)イオン交換水に牛血清アルブミン(BSA)(シグマ社製)を溶解し、4%水溶液を調製した。
(1−2)(1−1)の液を、0.2μmフィルターでろ過した。
(1−3)OD=0.01に調整した緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa ATCC15692)の菌液1mL、(1−2)の水溶液1.25mL、及び滅菌水7.75mLを混合し、菌/汚れ液とした。
(2)生菌数の評価方法
〔工程1〕
(2−1)3cm×8cmSUS製テストピースの片面に、表1〜3の硬質表面処理剤組成物1mLを、ポンプフォーマー(ビオレハンドウォッシュ用、花王(株)製)を用いて、泡状で均一に塗布した。テストピースは、3cm×8cmのSUS304のテストピースを食器用洗浄剤で洗浄し、水道水で濯いだ後、エタノールで濯ぎ、その後、室温で乾燥させたものを使用した。
(2−2)開放系にて、(2−1)の後のテストピースを25℃で30分静置した。
〔工程2〕
(2−3)(2−2)の後、テストピースを水道水500mLで濯いだ。
〔乾燥工程〕
(2−4)開放系にて、テストピースを25℃で20時間静置し、乾燥した。
〔殺菌評価法〕
(2−5)乾燥したテストピースに菌/汚れ液0.3mLを塗布した。塗布した初期の菌数は、5.5(cfu/24cm])であった。
(2−6)ポリプロピレン製密封容器(タイトボックスNo.3、蝶プラ工業(株)製)の内部に、0.2質量%塩化ベンザルコニウム水溶液20gを含浸させたペーパータオルを敷き、ペーパータオルの上に、スライドガラス立てを置き、その上に、菌/汚れ液を塗布した面を上にしてテストピースを静置した。容器の蓋を閉めて37℃で3時間保存した。この条件では、テストピース菌/汚れ液を塗布した面は、湿潤状態が保たれていた。尚、塩化ベンザルコニウムは、水等に含まれる環境菌の影響を排除するために、念のために用いたものである。
(2−7)テストピース上の菌/汚れ液をふき取り、ふき取った液を生理食塩水で10質量倍希釈した。
(2−8)同様の操作にて、100質量倍希釈液、1000質量倍希釈液及び10000質量倍希釈液を得た。
(2−9)(2−7)及び(2−8)で得られた全ての液をSMA(標準寒天培地、日水製薬〈株〉製)に0.1mL塗布し、37℃で24時間培養した。
(2−10)発育したコロニー数をカウントし、テストピース1枚あたりの菌数[cfu/24cm]を求めた。菌数は10を底とする対数で表1〜3に記載した。なお、表中、「<1.0」は、検出限界以下であったことを示す。
〔II〕塩基性ポリペプチド付着量測定
(1)処理方法
テストピースは、10cm×20cmのSUS304のテストピースを食器用洗浄剤で洗浄し、水道水で濯いだ後、エタノールで濯ぎ、その後、室温で乾燥させたものを使用した。テストピースを水平に置き、その上に硬質表面処理剤組成物を、ポンプフォーマー(ビオレハンドウォッシュ用、花王(株)製)を用いて泡状で8mL噴霧し、20℃で、20分間静置した。その後、500mLの水道水を用いてすすいだ。
(2)(A)成分の残存量(μg/cm)測定
サクラカット綿(株式会社大和工場)を2cm×2cmのサイズに裁断し、ピンセットを用いて1枚を、イオン交換水2mLが入った試験管に浸漬して水を含浸させた。水を含浸させた脱脂綿でSUSテストピースの表面全体を拭き取り、試験管内で脱脂綿を、水2mLですすいだ。この操作を2回繰り返した。また、操作後の脱脂綿を、同じ試験管内で絞って、含浸していた液を回収した。試験管内の液を、0.2μmフィルターを用いてろ過した。ろ過後の液中の(A)成分の量を、プロテインアッセイLowryキット(ナカライテスク株式会社製)を用いて測定した。測定結果をSUSテストピースの面積(200cm)で割り、単位面積当たりの(A)成分の残存量(μg/cm)を計算した。結果を表1〜3に示した。(A)成分の残存量が多いほど、殺菌力に優れる。また、(A)成分の残存量が多いことは、前述の通り、殺菌力の持続性や殺菌力の耐久性などの点でより好ましい効果をもたらすと考えられる。この評価では、pH12.4の組成物では、(A)成分の残存量が0.5μg/cm以上であることが好ましい。また、数値が大きい程より好ましい。また、pH11.0の組成物では、(A)成分の残存量が0.8μg/cm以上であることが好ましい。また、数値が大きい程より好ましい。
Figure 2019112360
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表3中、組成物の適用方法で、「泡状」は、前記の評価で示した泡状での適用を意味する。この態様は、表2の実施例2−1に相当する。また、「液状」は、同じ組成物を、前記の評価で示した泡状での適用量と同じ量を、液状でテストピースに塗布して試験を行ったことを意味する。
表中の成分は以下のものである。
・ポリリジン:ε−ポリリジン、食品添加物、JNC株式会社製、重量平均分子量4,700
・プロタミン:サケ由来のプロタミン、プロタミン塩酸塩、加工食品、株式会社マルハニチロ食品製
・ポリアルギニン:ポリ(L−アルギニン塩酸塩)(分子量5,000〜15,000、シグマアルドリッチジャパン社製)
・グリシン:グリシン、和光純薬株式会社製
・L−ロイシン:L−ロイシン、和光純薬株式会社製
・炭酸ナトリウム:炭酸ナトリウム、シグマアルドリッチジャパン(株)製、炭酸イオン源
・四ホウ酸ナトリウム:四ほう酸ナトリウム十水和物、シグマアルドリッチジャパン(株)製、ホウ酸イオン源
・非イオン界面活性剤1:ポリオキシエチレンアルキルエーテル(HLB13.3、花王(株)製エマルゲン709)
・非イオン界面活性剤2:ラウリルジメチルアミンオキサイド(花王(株)製アンヒトール20N
・非イオン界面活性剤3:ミリスチルジメチルアミンオキサイド(花王(株)製アンヒトール40N
表1の実施例1−1〜1−6と比較例1−1〜1−3、表2の実施例2−1〜2−6と比較例2−1〜2−2及び表3の実施例3−1は、(A)成分の濃度を比較的低濃度とし、また、組成物を硬質表面であるテストピースと接触させた後、水による濯ぎを行ったものである。このような条件において、(A)成分を2種用いた組成に、実施例1−1〜1−6、2−1〜2−6のように、(B)成分を併用することで、pHが11.0でも12.4でも、菌数が低減し、何れのpHでも優れた殺菌力が得られることがわかる。また、実施例1−1〜1−6、2−1〜2−6は、pH11.0、12.4の何れにおいても、(A)成分の残存量が比較例よりも多いことがわかる。一方、比較例1−1〜1−3、2−1〜2−2では、pH11.0、12.4の何れにおいても、実施例よりも菌数が多くなっており、殺菌力に劣ることがわかる。また、比較例1−1〜1−3、2−1〜2−2は、pH11.0、12.4の何れにおいても、(A)成分の残存量が実施例よりも少ないことがわかる。
実施例の中でも、実施例1−6、2−6は、他の実施例と比較すると、きめ細やかな泡が形成されており、泡付着性が良く、泡塗布後20分静置させても泡の持続性がより良好であった。
また、表3の結果から、本発明の硬質表面処理剤組成物は、泡状で硬質表面に適用すると、(A)成分の残存量がより向上することがわかる。

Claims (13)

  1. 塩基性ポリペプチド(A)[以下(A)成分という]の2種類以上、アミノカルボン酸及びその塩(B1)及び無機多価陰イオン(B2)から選ばれる1種以上の化合物(B)[以下(B)成分という]、並びに水を含有し、20℃でのpHが10以上である硬質表面処理剤組成物。
  2. (A)成分が、プロタミン、ポリリジン、リゾチーム、ナイシン、及びポリアルギニンから選ばれる塩基性ポリペプチドである、請求項1記載の硬質表面処理剤組成物。
  3. アミノカルボン酸及びその塩(B1)が、アミノ酸である請求項1又は2記載の硬質表面処理剤組成物。
  4. 無機多価陰イオン(B2)が、ホウ酸イオン、及び炭酸イオンから選ばれる1種以上の無機多価陰イオンである請求項1〜3記載の硬質表面処理剤組成物。
  5. 界面活性剤(C)[以下(C)成分という]を含有する、請求項1〜4の何れか1項記載の硬質表面処理剤組成物。
  6. (C)成分が、ノニオン界面活性剤及びカチオン界面活性剤から選ばれる1種以上の界面活性剤である、請求項5記載の硬質表面処理剤組成物。
  7. (C)成分が、(C1)ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、(C2)アルキルグルコシド、(C3)アルキルアミンオキサイド、(C4)ソルビタン脂肪酸エステル、(C5)ショ糖脂肪酸エステル、(C6)脂肪酸アルカノールアミド及び(C7)第四級アンモニウム塩から選ばれる1種以上の界面活性剤である、請求項5又は6記載の硬質表面処理剤組成物。
  8. 請求項1〜7の何れか1項記載の硬質表面処理剤組成物を、硬質表面に適用する工程1、次いで
    工程1で前記組成物を適用した硬質表面を濯ぐ工程2
    を行う、硬質表面の処理方法。
  9. 工程1で、前記組成物を泡状で硬質表面に適用する、請求項8記載の硬質表面の処理方法。
  10. 工程1で、前記組成物を硬質表面に適用した後、所定時間放置する、請求項8又は9記載の硬質表面の処理方法
  11. 塩基性ポリペプチド(A)[以下(A)成分という]の2種類以上、及び水を含有し、20℃でのpHが10以上である硬質表面処理剤組成物に、アミノカルボン酸及びその塩(B1)及び無機多価陰イオン(B2)から選ばれる1種以上の化合物(B)を添加して、当該硬質表面処理剤組成物からの(A)成分の硬質表面に対する吸着量を増加させる方法。
  12. 塩基性ポリペプチド(A)[以下(A)成分という]の2種類以上、及び水を含有し、20℃でのpHが10以上である硬質表面処理剤組成物に、アミノカルボン酸及びその塩(B1)及び無機多価陰イオン(B2)から選ばれる1種以上の化合物(B)を添加して、当該硬質表面処理剤組成物の殺菌力を向上させる方法。
  13. 請求項1〜7の何れか1項記載の硬質表面処理剤組成物を、硬質表面に泡状で塗布した後、所定時間放置することで、濯ぎ後の、前記硬質表面処理剤組成物からの(A)成分の硬質表面に対する吸着量を増加させる方法。
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