JP2019112354A - 抗炎症剤及び抗炎症用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】炎症誘発物質の産生抑制により、紫外線に起因する炎症を抑制する抗炎症剤を提供する。【解決手段】イノシトールに糖が結合したイノシトール誘導体を有効成分として含有することを特徴とする、紫外線に起因する炎症を抑制する抗炎症剤。【選択図】なし

Description

本発明は、紫外線に起因する炎症を抑制する、抗炎症剤及び抗炎症用組成物に関する。
オゾン層は太陽光に含まれる有害な紫外線(UV)の大部分を吸収して地球上の生物を守っているが、近年このオゾン層がフロンなどの化学物質によって破壊され、今まで地表に届かなかった量のUVが降り注ぐようになった。その結果、皮膚がんや白内障、免疫機能の低下などの障害が増加していることが、実験及び疫学的研究結果から明らかにされている。
紫外線は190〜400nmの波長範囲の電磁波であり、太陽光線に含まれる。波長により分けられ、それぞれUVA(320〜400nm)、UVB(290〜320nm)、UVC(190〜290nm)と呼ばれる。なかでもUVBはヒト皮膚が曝露されると炎症性の紅斑反応を引き起こすものとして知られている。UVBは即時的な皮膚反応として紅斑や浮腫のような炎症(サンバーン)反応を引き起こす。炎症後の皮膚では、活性化された色素細胞のメラニンの産生が高まったことが原因で色素沈着が観察される。また、UVBは皮膚の免疫機能を低下させ、長時間浴びることによって皮膚がんの発症の原因となる。細胞内DNAはUVBの波長を吸収し、光化学反応を核内で起こす。UVBは核酸塩基の二量体を形成し、DNA損傷を引き起こす。また、皮膚内で活性酵素を発生させ、発生した活性酵素が皮膚に傷害を与えることがよく知られている。
そこで、このような紫外線による皮膚障害を予防又は軽減する皮膚外用剤が検討されている。たとえば特許文献1には、4−ヒドロキシフェニルピルビン酸、3−インドール乳酸、及び4−ヒドロキシフェニル乳酸から選ばれる化合物を含む組成物が、紫外線照射に起因する皮膚の炎症を予防又は抑制することが記載されている。特許文献2には、ポリアルコキシフラボノイドを含有する皮膚外用剤が、紫外線により誘発されるプロスタグランジンE2の産生を抑制することが記載されている。特許文献3には、イノシトール配糖体を有効成分として含有する皮膚外用剤が、細胞賦活作用と、紫外線暴露による細胞傷害の緩和作用を示すことが記載されている。
また、紫外線の照射を受けた皮膚におけるイノシトールの機能も報告されている。たとえば非特許文献1には、正常ヒト表皮角化細胞においてmyo−イノシトールが浸透圧調節物質として働き、紫外線照射時に細胞の恒常性維持に寄与していることが記載されている。
特許第5700340号公報 特開2003−192588号公報 特開2007−84484号公報
Warskulat, U. et al., The osmolyte strategy of normal human keratinocytes in maintaining cell homeostasis, J. Invest. Dermatol. 2004, 123 (3), 516-521.
しかしながら、紫外線による皮膚障害を予防又は軽減する従来の皮膚外用剤は、有効成分が高価であり、化合物の安定性や皮膚刺激性が明らかでない場合がある(特許文献1)。また、有効成分が混合物として抽出されるものは、一定の品質での安定供給は困難である(特許文献2)。特許文献3に記載のイノシトール配糖体は、紫外線による細胞傷害に対する緩和作用を示すが、炎症誘発物質の産生抑制効果については示されていない。非特許文献1に記載のイノシトールは、浸透圧調節物質としての働きを示すが、炎症誘発物質の産生抑制効果については示されていない。
そこで、本発明は、紫外線による炎症を効果的に抑制する、皮膚の抗炎症剤及び抗炎症用組成物を提供することを目的とする。
本発明は以下の態様を含む。
(1)イノシトールに糖が結合したイノシトール誘導体を有効成分として含有することを特徴とする、紫外線に起因する炎症を抑制する抗炎症剤。
(2)前記糖が単糖又はオリゴ糖である、(1)に記載の抗炎症剤。
(3)前記単糖がグルコースである、(2)に記載の抗炎症剤。
(4)前記オリゴ糖がグルコースを構成単位として含むオリゴ糖である、(2)に記載の抗炎症剤。
(5)前記イノシトールがmyo−イノシトールである、(1)〜(4)のいずれかに記載の抗炎症剤。
(6)炎症誘発物質の産生を抑制する、(1)〜(5)のいずれかに記載の抗炎症剤。
(7)(1)〜(6)のいずれかに記載の抗炎症剤及び薬学的に許容される担体を含有することを特徴とする、紫外線に起因する炎症を抑制する抗炎症用組成物。
(8)前記イノシトール誘導体の含有量が0.01〜30質量%である、(7)に記載の抗炎症用組成物。
(9)皮膚外用剤である、(7)又は(8)に記載の抗炎症用組成物。
(10)化粧料である、(7)〜(9)のいずれかに記載の抗炎症用組成物。
本発明により、紫外線に起因する炎症を効果的に抑制する、皮膚の抗炎症剤及び抗炎症用組成物を提供することができる。
[紫外線に起因する炎症を抑制する抗炎症剤]
一実施形態において、本発明は、イノシトールに糖が結合したイノシトール誘導体を有効成分として含有し、紫外線に起因する炎症を抑制する抗炎症剤を提供する。
紫外線とは、太陽からの日射のうち、可視光線よりも波長の短いものをいう。紫外線の中でも、波長の長い方からUVA(紫外線A波)、UVB(紫外線B波)、UVC(紫外線C波)という。
本明細書において、「紫外線に起因する炎症」とは、皮膚が紫外線の照射を受けることによって誘発される炎症を意味する。紫外線に起因する炎症としては、紅斑や浮腫などが挙げられるが、これらに限定されない。
実施例において後述するように、本実施形態の抗炎症剤は、ヒト表皮角化細胞において紫外線照射により誘発される炎症誘発物質の産生を抑制する作用を有する。この作用により、本実施形態の抗炎症剤は、紫外線に起因する炎症を効果的に抑制することができる。
また、本実施形態の抗炎症剤は、上記のような作用を有することから、紫外線に起因する、皮膚細胞における炎症誘発物質の産生を抑制するものであるということもできる。あるいは、本実施形態の抗炎症剤は、紫外線に起因する、皮膚細胞における炎症誘発物質の産生抑制剤であるということもできる。また、本実施形態の抗炎症剤は、紫外線により誘発される炎症に対する抗炎症剤であるということもできる。
また、本明細書において、「炎症誘発物質」とは、炎症反応を誘発する内因性の物質を意味する。炎症誘発物質は、生体内で産生され、炎症反応を誘発する物質であれば特に限定されないが、例えば、プロスタグランジン、ヒスタミン、キニン、ロイコトリエン、TNF−α等を挙げることができる。本実施形態の抗炎症剤は、特に、紫外線の照射を受けて皮膚細胞が産生する炎症誘発物質の産生を効果的に抑制することができる。そのような炎症誘発物質の例としては、プロスタグランジンを挙げることができ、より具体的にはプロスタグランジンE2を挙げることができる。
(イノシトール誘導体)
本実施形態の抗炎症剤において、イノシトール誘導体は、イノシトールに糖が結合したものである。
イノシトールとは、C(OH)で表される環状六価アルコールである。イノシトールには、cis−イノシトール、epi−イノシトール、allo−イノシトール、myo−イノシトール、muco−イノシトール、neo−イノシトール、chiro−イノシトール(D体及びL体が存在する)、scyllo−イノシトールの、9つの立体異性体が存在する。
本実施形態の抗炎症剤において、イノシトール誘導体を構成するイノシトールは、上記の異性体のうち、生理活性を有するmyo−イノシトールであることが好ましい。イノシトールは、米糠から抽出する方法、化学合成法、発酵法等により合成することができる。
本実施形態の抗炎症剤において、イノシトール誘導体は、イノシトールの水酸基に糖が結合した化合物である。糖は、イノシトール分子内に6つ存在する水酸基のいずれか1つ以上に結合している。
イノシトールに結合する糖は、単糖であってもよく、オリゴ糖であってもよい。例えば、1分子のイノシトールに1又は複数の単糖が結合していてもよく、1分子のイノシトールに1又は複数のオリゴ糖が結合していてもよく、1分子のイノシトールに1又は複数の単糖及び1又は複数のオリゴ糖が結合していてもよい。イノシトール誘導体において、1分子のイノシトールに結合した単糖又はオリゴ糖の合計は、単糖単位に換算して1以上であり、2以上であってもよく、3以上であってもよく、4以上であってもよい。
本明細書において、単糖とは、それ以上加水分解されない糖類を意味し、多糖を形成する際の構成要素となる化合物を意味する。単糖は、糖類の最小構成単位であるということもできる。また、本明細書において、「単糖単位」とは、単糖に相当する化学構造を意味する。「単糖単位」は、単糖に由来する化学構造であるということもできる。例えば二糖を単糖単位に換算すると単糖単位数は2であり、三糖を単糖単位に換算すると3である。より具体的には、例えば、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、グルコース、果糖、キシロース等を単糖単位に換算すると1である。また、マルチトール、ショ糖、乳糖、マルトース、トレハロース等を単糖単位に換算すると2である。また、例えば、α−シクロデキストリンを単糖単位に換算すると6であり、β−シクロデキストリンを単糖単位に換算すると7であり、γ−シクロデキストリンを単糖単位に換算すると8である。
また、イノシトール誘導体は、単糖単位に換算して異なる数の糖が結合したイノシトール誘導体の混合物であってもよい。例えば、イノシトール誘導体は、イノシトール1分子あたり、1の単糖単位の糖が結合したものと、2の単糖単位の糖が結合したものと、3の単糖単位の糖が結合したものと、4の単糖単位の糖が結合したものと、5以上の単糖単位の糖が結合したものと、の混合物であってもよい。
イノシトール誘導体を構成する糖としては、特に制限はなく、例えば、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、グルコース、ショ糖、果糖、乳糖、マルトース、キシロース、トレハロース、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン等が挙げられる。
イノシトール誘導体を構成する糖は、グルコースであってもよく、グルコースを構成単位として含むオリゴ糖であってもよい。上記のオリゴ糖は、グルコースのみを構成単位として含んでいてもよい。あるいは、上記のオリゴ糖は、少なくとも1分子のグルコースと、グルコース以外の糖を構成単位として含んでいてもよい。上記のオリゴ糖の分子量は、例えば、300〜3000程度であってもよい。より具体的なオリゴ糖としては、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、セロビオース等の二糖類、ラフィノース、メレジトース、マルトトリオース等の三糖類、スタキオース等の四糖類等が挙げられる。
イノシトール誘導体は、糖が単糖であるイノシトール誘導体と、糖がオリゴ糖であるイノシトール誘導体の混合物であってもよい。また、イノシトール誘導体は、異なる種類の糖が結合したイノシトール誘導体の混合物であってもよい。
高い精製度のイノシトール誘導体を得やすくなる観点から、イノシトール誘導体の原料として、工業的に安価で安定供給可能なβ−シクロデキストリンを用いることが好ましい。この場合、イノシトール誘導体を構成する糖はグルコースを構成単位として含むことになる。一方、イノシトール誘導体の原料として、より安価なデンプン等を使うと、イノシトール誘導体の合成時に様々な糖が様々な場所に転移されるため、得られるイノシトール誘導体の精製度が安定しない傾向がある。
また、イノシトール誘導体は、薬学的に許容可能な塩の形態であってもよい。イノシトール誘導体の薬学的に許容可能な塩としては、特に制限はなく、例えば、アルカリ金属(ナトリウム、カリウムなど)との塩;アルカリ土類金属(カルシウム、バリウムなど)との塩;有機塩基(ピリジン、トリエチルアミンなど)との塩、アミンとの塩、有機酸(酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、シュウ酸、安息香酸、メタンスルホン酸など)との塩、及び無機酸(塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸など)との塩等が挙げられる。
また、イノシトール誘導体は、溶媒和物の形態であってもよい。さらに、イノシトール誘導体は、イノシトール誘導体の塩の溶媒和物の形態であってもよい。溶媒和物としては、特に制限はなく、例えば、水和物、エタノール溶媒和物等を挙げることができる。
(イノシトール誘導体の合成方法)
イノシトール誘導体の合成方法としては、特に制限はなく、従来知られている方法で適宜合成することができる。例えば、イノシトール及びオリゴ糖の1種であるシクロデキストリンを、シクロデキストリングルカノトランスフェラーゼの存在下で反応させて、イノシトール誘導体を合成してもよい(例えば、特開昭63−196596号公報を参照。)あるいは、グルコシル亜リン酸エステルを糖供与体として用い、グルコシル体を得る方法により、イノシトール誘導体を合成してもよい(例えば、特開平6−298783号公報を参照)。
本実施形態の抗炎症剤は、イノシトール誘導体として、上述したイノシトール誘導体、イノシトール誘導体の塩、及びそれらの溶媒和物からなる群より選択される化合物の1種を単独で含有してもよく、2種以上を組み合わせて含有してもよい。
本実施形態の抗炎症剤は、紫外線に起因する炎症を抑制する目的で、それ自体を患者に投与して使用することができる。また、本実施形態の抗炎症剤は、紫外線に起因する炎症を抑制する機能を付与する目的で、医薬品や化粧料に配合して使用することもできる。また、後述する抗炎症用組成物に配合して使用してもよい。
本実施形態の抗炎症剤は、後述する抗炎症用組成物と同様の方法で患者に投与することができ、経皮的に投与することが好ましい。
[紫外線に起因する炎症を抑制する抗炎症用組成物]
一実施形態において、本発明は、上述した抗炎症剤及び薬学的に許容される担体を含有し、紫外線に起因する炎症を抑制する、抗炎症用組成物を提供する。本実施形態の抗炎症用組成物は、皮膚外用剤であってもよく、化粧料であってもよい。
抗炎症用組成物は、常法(例えば、日本薬局方記載の方法)にしたがって、上述した抗炎症剤、薬学的に許容される担体、及び場合によりその他の添加剤を混合して製剤化することにより製造することができる。
薬学的に許容される担体としては、特に制限はなく、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、乳化剤、安定剤、希釈剤、増粘剤、湿潤剤、pH調整剤、油剤、注射剤用溶剤等を使用することができる。
その他の添加剤としては、特に制限はなく、例えば、保湿剤、感触向上剤、界面活性剤、高分子化合物、増粘・ゲル化剤、溶剤、噴射剤、酸化防止剤、還元剤、酸化剤、防腐剤、抗菌剤、キレート剤、pH調整剤、酸、アルカリ、粉体、無機塩、紫外線吸収剤、美白剤、ビタミン類及びその誘導体、消炎剤、抗炎症剤、育毛用薬剤、血行促進剤、刺激剤、ホルモン類、抗しわ剤、抗老化剤、ひきしめ剤、冷感剤、温感剤、創傷治癒促進剤、刺激緩和剤、鎮痛剤、細胞賦活剤、植物・動物・微生物エキス、鎮痒剤、角質剥離・溶解剤、制汗剤、清涼剤、収れん剤、酵素、核酸、香料、色素、着色剤、染料、顔料、水、金属含有化合物、不飽和単量体、多価アルコール、高分子添加剤、消炎鎮痛剤、抗真菌剤、抗ヒスタミン剤、催眠鎮静剤、精神安定剤、抗高血圧剤、降圧利尿剤、抗生物質、麻酔剤、抗菌性物質、抗てんかん剤、冠血管拡張剤、生薬、補助剤、湿潤剤、収れん剤、増粘剤、粘着付与物質、止痒剤、角質軟化剥離剤、紫外線遮断剤、防腐殺菌剤、金属セッケン等が挙げられる。
薬学的に許容される担体及びその他の添加剤としては、例えば、第十六改正日本薬局方、化粧品原料基準第二版注解(日本公定書協会編、薬事日報社、1984年)、化粧品原料基準外成分規格(厚生省薬務局審査課監修、薬事日報社、1993年)、化粧品原料基準外成分規格追補(厚生省薬務局審査課監修、薬事日報社、1993年)、化粧品種別許可基準(厚生省薬務局審査課監修、薬事日報社、1993年)、化粧品原料辞典(日光ケミカルズ社、平成3年)、International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook 2002 Ninth Edition Vol.1〜4,by CTFA等に記載されている一般的な原料を使用することができる。より具体的には、例えば、特開2014−114289号公報に記載された各原料等が挙げられる。
抗炎症用組成物の剤型としては、例えば、錠剤、被覆錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤、懸濁剤、乳剤等の経口的に投与する剤型、あるいは、注射剤、坐剤、皮膚外用剤等の非経口的に投与する剤型等が挙げられる。
皮膚外用剤としては、より具体的には、クリーム、ローション、化粧水、乳液、ファンデーション、パック剤、フォーム剤、皮膚洗浄剤、エキス剤、硬膏剤、軟膏剤、酒精剤、懸濁剤、チンキ剤、パップ剤、リニメント剤、エアゾール剤等の剤型が挙げられる。
本実施形態の抗炎症用組成物における上記の抗炎症剤の割合は、イノシトール誘導体の抗炎症用組成物中の含有量として、0.01〜30質量%が好ましい。より好ましくは0.01〜20質量%であり、さらに好ましくは0.1〜10質量%であり、特に好ましくは0.1〜5質量%である。
なお、上記のイノシトール誘導体の抗炎症用組成物中の含有量は、1種のイノシトール誘導体を単独で使用する場合にはその化合物の含有量を意味し、イノシトール誘導体を2種以上組み合わせて用いる場合には、これらの化合物の合計の含有量を意味する。
本実施形態の抗炎症用組成物の投与方法は特に制限されず、患者の症状、体重、年齢、性別等に応じて適宜決定すればよい。例えば、錠剤、被覆錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤、懸濁剤、乳剤等として経口投与してもよく、注射剤、輸液製剤等として、単独で、又はブドウ糖液、リンゲル液等の一般的な輸液と混合して、静脈内、動脈内、筋肉内、皮内、皮下、腹腔内等に投与してもよく、坐剤として直腸内投与してもよく、皮膚外用剤として皮膚に投与してもよい。好ましい態様において、本実施形態の抗炎症用組成物は、皮膚外用剤として、患部に塗布、貼付又はスプレーされる。
本実施形態の抗炎症用組成物の投与量は、患者の症状、体重、年齢、性別等によって異なり、一概には決定できないが、経口投与の場合には、例えば、投与単位形態あたり0.01〜500mgの有効成分(イノシトール誘導体)を投与すればよい。また、注射剤の場合には、例えば、投与単位形態あたり0.02〜250mgの有効成分を投与すればよい。また、坐剤の場合には、例えば、投与単位形態あたり0.01〜500mgの有効成分を投与すればよい。また、皮膚外用剤の場合には、例えば、投与単位形態あたり0.15〜500mgの有効成分を投与すればよい。
本実施形態の抗炎症用組成物の投与間隔は、患者の症状、体重、年齢、及び性別等、並びに抗炎症用組成物の剤型、及び投与方法等によって適宜決定すればよい。例えば、1日1回又は2〜3回程度等とすることができる。
[その他の実施形態]
一実施形態において、本発明は、イノシトールに糖が結合したイノシトール誘導体を哺乳動物に投与する工程を含む、紫外線に起因する皮膚の炎症の予防又は治療方法を提供する。
一実施形態において、本発明は、イノシトールに糖が結合したイノシトール誘導体を哺乳動物に投与する工程を含む、紫外線に起因する炎症誘発物質の産生を抑制する方法を提供する。
一実施形態において、本発明は、紫外線に起因する皮膚の炎症の予防又は治療のための、イノシトールに糖が結合したイノシトール誘導体を提供する。
一実施形態において、本発明は、紫外線に起因する炎症誘発物質の産生を抑制するための、イノシトールに糖が結合したイノシトール誘導体を提供する。
一実施形態において、本発明は、紫外線に起因する炎症を抑制する抗炎症剤を製造するための、イノシトールに糖が結合したイノシトール誘導体の使用を提供する。
一実施形態において、本発明は、紫外線に起因する炎症誘発物質の産生抑制剤を製造するための、イノシトールに糖が結合したイノシトール誘導体の使用を提供する。
一実施形態において、本発明は、紫外線に起因する炎症を抑制する抗炎症用組成物を製造するための、イノシトールに糖が結合したイノシトール誘導体の使用を提供する。
一実施形態において、本発明は、紫外線に起因する炎症誘発物質の産生を抑制する抗炎症用組成物を製造するための、イノシトールに糖が結合したイノシトール誘導体の使用を提供する。
次に実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[製造例1]
(イノシトール誘導体の作製)
myo−イノシトールとβ−シクロデキストリンをシクロデキストリングルカノトランスフェラーゼの存在下で反応させ、myо−イノシトールにグルコース又はグルコースを単糖単位とするオリゴ糖が結合したイノシトール誘導体を作製した(特許第4624831号公報参照)。作製したイノシトール誘導体を液体クロマトグラフィー質量分析法(LC−MS)で分析した結果、myo−イノシトールに結合したグルコース鎖のグルコース数が1個である分子の割合は12質量%、2個である分子の割合は30質量%、3個である分子の割合は9質量%、4個である分子の割合は12質量%、5個である分子の割合は2質量%であった。
[実施例1、比較例1]
(表皮角化細胞におけるプロスタグランジンE2の産生抑制効果)
正常ヒト表皮角化細胞において、プロスタグランジンE2(PGE2)の産生抑制効果を検討した。なお、紫外線照射によりPGE2の産生が誘導され、皮膚の炎症が引き起こされることが知られている。
正常ヒト表皮角化細胞(NHEK細胞、クラボウ社製)を培地(HuMedia-KG2、クラボウ社製)で72時間培養後、培地を除去し、細胞をリン酸緩衝生理食塩水で洗浄した。リン酸緩衝生理食塩水に浸した状態の細胞に、UVクロスリンカーCL−1000(UVP社製)を用いてUVB(60mJ/cm)を照射した。
照射後、リン酸緩衝生理食塩水を除去し、製造例1で作製したイノシトール誘導体を精製水に溶解して終濃度10mg/Lとなるように添加した培地に交換し、細胞を37℃、5%CO雰囲気下で24時間培養した(実施例1)。
また、比較例として、イノシトール誘導体に替えてmyo−イノシトールを添加した培地も調製し、この培地に交換して細胞を37℃、5%CO雰囲気下で24時間培養した(比較例1)。
一方、対照例として、イノシトール誘導体に替えて精製水を添加した培地を調製し、UVBを照射せずに(対照例1)あるいはUVBを照射後(対照例2)、これらの培地に交換して細胞を37℃、5%CO雰囲気下で24時間培養した。
24時間培養後、培地を回収し、PGE2の濃度を酵素免疫測定法(ELISA法)により測定した。測定には、市販のPGE2測定キット(Prostaglandin E2, EIA Monoclonal Kit、フナコシ社製)を使用し、使用方法は添付の取り扱い説明書に従った。
結果を表1に示す。表1中、PGE2濃度は、UVB非照射・精製水添加の対照例(対照例1)のPGE2濃度を1.00としたときの相対値で示した。精製水を添加した対照例において、UVB照射群(対照例2)では、非照射群(対照例1)と比較して、PGE2濃度が上昇した。これに対し、UVB照射後にイノシトール誘導体を添加した群(実施例1)では、PGE2濃度は明らかに減少した。一方、UVB照射後にmyo−イノシトールを添加した群(比較例1)では、PGE2濃度は、UVB非照射・精製水添加の対照例(対照例1)と同等であった。この結果から、イノシトール誘導体は、UVB照射による炎症誘発物質の産生を抑制することが明らかとなった。
本発明により、炎症誘発物質の産生抑制効果によって、紫外線に起因する炎症を抑制する、皮膚の抗炎症剤及び抗炎症用組成物を提供することができる。

Claims (10)

  1. イノシトールに糖が結合したイノシトール誘導体を有効成分として含有することを特徴とする、紫外線に起因する炎症を抑制する抗炎症剤。
  2. 前記糖が単糖又はオリゴ糖である、請求項1に記載の抗炎症剤。
  3. 前記単糖がグルコースである、請求項2に記載の抗炎症剤。
  4. 前記オリゴ糖がグルコースを構成単位として含むオリゴ糖である、請求項2に記載の抗炎症剤。
  5. 前記イノシトールがmyo−イノシトールである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の抗炎症剤。
  6. 炎症誘発物質の産生を抑制する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の抗炎症剤。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の抗炎症剤及び薬学的に許容される担体を含有することを特徴とする、紫外線に起因する炎症を抑制する抗炎症用組成物。
  8. 前記イノシトール誘導体の含有量が0.01〜30質量%である、請求項7に記載の抗炎症用組成物。
  9. 皮膚外用剤である、請求項7又は8に記載の抗炎症用組成物。
  10. 化粧料である、請求項7〜9のいずれか一項に記載の抗炎症用組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2021177248A1 (ja) 2020-03-02 2021-09-10 株式会社シクロケムバイオ 腸管機能向上剤
WO2022059776A1 (ja) * 2020-09-17 2022-03-24 昭和電工株式会社 オートファジー活性化剤
WO2023022227A1 (ja) * 2021-08-20 2023-02-23 株式会社レゾナック ウイルス感染抑制剤

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