JP2019111916A - 車両用サイドエアバッグ装置 - Google Patents

Abstract

【課題】ドアベルトラインが着座乗員の肩部よりも低い場合においても、側面衝突時に乗員肩部を適切に拘束することができる車両用サイドエアバッグ装置を提供する。【解決手段】車両用サイドエアバッグ装置２０は、車両用シート１０のシートバック１４内に格納され、着座乗員Ｐとサイドドア４０との間に膨張展開するエアバッグ３０を備える。エアバッグ３０の内部は、高圧チャンバ３０Ｋを含む複数のチャンバ３０Ｆ、３０Ｒに区画され、高圧チャンバ３０Ｋは、車両側面視でドアベルトラインＢＬを上下に跨ぐと共に着座乗員Ｐの肩部Ｓを拘束するように膨張展開する。【選択図】図１

Description

本発明は、車両用サイドエアバッグ装置に関する。

車両用シートのシートバック内に格納され、側面衝突時、着座乗員とサイドドアとの間に膨張展開するエアバッグを備えた車両用サイドエアバッグ装置が知られている。

ところで、サイドドアのベルトラインが着座乗員の肩部よりも低い車両にサイドエアバッグ装置を適用する場合、以下の問題点がある。すなわち、乗員肩部がドアトリムよりも上方に位置するため、サイドエアバッグのうち肩部を拘束する部分（肩部拘束部）がドアトリムからの反力を得ることができず、乗員肩部を適切に拘束できない可能性がある。

そこで、特許文献１に開示されている車両用サイドエアバッグ装置では、第１エアバッグの上部のサイドドア側に、隔壁布の連通孔を介して連通した第２エアバッグを設けることで、肩部拘束部がサイドドアガラスや衝突物からの反力を得るようにしている。

特開２０１５−１０４９８７号公報

しかしながら、特許文献１の装置では、サイドドアガラスや衝突物から反力を得ようとする構造であるため、サイドドアガラスが割れた場合や衝突物の具体的な衝突の仕方などによっては、適切な反力が得られないおそれがある。

本発明は、上記事情に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明は、ドアベルトラインが着座乗員の肩部よりも低い場合においても、側面衝突時に乗員肩部を適切に拘束することができる車両用サイドエアバッグ装置を提供することを目的とする。

請求項１に記載の車両用サイドエアバッグ装置は、車両用シートのシートバック内に格納され、着座乗員とサイドドアとの間に膨張展開するエアバッグを備える車両用サイドエアバッグ装置であって、前記エアバッグの内部は、高圧チャンバを含む複数のチャンバに区画され、前記高圧チャンバは、車両側面視でドアベルトラインを上下に跨ぐと共に着座乗員の肩部を拘束するように膨張展開する。

請求項１に記載の車両用サイドエアバッグ装置では、車両用シートのシートバック内にエアバッグが格納されている。このエアバッグは、着座乗員とサイドドアとの間に膨張展開する。

さらに、エアバッグの内部は、複数のチャンバに区画されている。そして、複数のチャンバのうちの高圧チャンバは、車両側面視でドアベルトラインを上下に跨ぐように膨張展開する。このため、高圧チャンバは、そのドアベルトラインよりも下側の部分においてドアトリムから反力を受ける。高圧チャンバは、内部が高圧となるため、サイドドアの室内側側面（ドアトリム）から受ける反力によって自立しやすい。そして、この自立した高圧チャンバによって着座乗員の肩部が拘束される。よって、請求項１記載の車両用サイドエアバッグ装置によれば、ドアベルトラインが着座乗員の肩部より低い車両においても、側面衝突時に乗員肩部を適切に拘束することができる。

請求項２に記載の車両用サイドエアバッグ装置は、請求項１において、前記エアバッグは、着座乗員の肩部を拘束する位置で車幅方向外側に厚みが増大されている。

請求項２に記載の車両用サイドエアバッグ装置では、エアバッグは、着座乗員の肩部を拘束する位置で車幅方向外側に厚みが増大されている。このため、エアバッグのうち着座乗員の肩部を拘束する部分は、厚みが増大された部分においてサイドドアガラスや衝突物から直接的に反力を受けることができる。

請求項３に記載の車両用サイドエアバッグ装置は、請求項１又は請求項２において、前記高圧チャンバ内にインフレータが配設されている。

請求項３に記載の車両用サイドエアバッグ装置では、高圧チャンバ内にインフレータが配設されている。このため、インフレータからディフューザなどを介して高圧チャンバにガスが供給される態様と比較して、着座乗員の肩部を拘束するように膨張展開する高圧チャンバが早期に膨張展開する。その結果、より一層適切に乗員肩部を拘束することができる。

請求項４に記載の車両用サイドエアバッグ装置は、請求項１〜請求項３の何れか一項において、前記高圧チャンバは、前記エアバッグの下端部までの領域に設定されている。

請求項４に記載の車両用サイドエアバッグ装置では、高圧チャンバは、エアバッグの下端部までの領域に設定されている。このため、高圧チャンバが上下方向に長い領域でドアトリムから反力を得ることができ、高圧チャンバが自立しやすい。

請求項５に記載の車両用サイドエアバッグ装置は、請求項１〜請求項４の何れか一項において、前記高圧チャンバは、着座乗員の肩部に対応する高さ位置において、着座乗員の腰部に対応する位置よりも車両前方へ拡大されている。

請求項５に記載の車両用サイドエアバッグ装置では、高圧チャンバは、着座乗員の肩部に対応する高さ位置において、着座乗員の腰部に対応する高さ位置よりも車両前方へ拡大されている。このため、着座乗員の腰部に対応する高さ位置において高圧チャンバの容積の増大を避けて高圧チャンバの内圧を確保すると共に、着座乗員の肩部を高い確度で高圧チャンバにより拘束することができる。

以上説明したように、本発明によれば、ドアベルトラインが着座乗員の肩部よりも低い場合においても、側面衝突時に乗員肩部を適切に拘束することができる。

第１実施形態に係るエアバッグ装置をエアバッグが膨張展開した状態で示す模式的な側面図である。 第１実施形態に係るエアバッグの膨張展開状態を示す模式的な正面図である。 第２実施形態に係るエアバッグの膨張展開状態を示す模式的な正面図である。 他の実施形態に係るエアバッグ単品の膨張展開状態を示す模式的な側面図である。

〔第１実施形態〕
以下、図１及び図２を用いて、第１実施形態に係るサイドエアバッグ装置２０について説明する。

なお、各図に適宜記す矢印ＦＲ、矢印ＵＰ、矢印ＯＵＴは、車両の前方向（進行方向）、上方向、車幅方向の外側をそれぞれ示している。以下、単に前後、左右、上下の方向を用いて説明する場合、特に断りのない限り、車両前後方向の前後、車両左右方向（車両幅方向）の左右、車両上下方向の上下を示すものとする。

図１に示すように、車両用シート１０は、シートクッション１２と、シートクッション１２の後端部にリクライニング可能に連結されたシートバック１４と、シートバック１４の上端部に連結されたヘッドレスト１６と、を備えている。車両用シート１０のシートバック１４内（具体的には、シートバック１４の側部を構成するサイドサポート部内）には、サイドエアバッグ装置２０が設けられている。

車両用シート１０は、左ハンドル車の運転席、又は右ハンドル車の助手席とされており、車室内の左側に配置されている。この車両用シート１０の前後方向、左右方向（幅方向）及び上下方向は、車両の前後方向、左右方向（幅方向）及び上下方向と一致している。

また、各図では、衝突試験用のダミーＰが車両用シート１０に着座した状態を示している。ダミーＰは、国際統一側面衝突ダミー（World Side Impact Dummy：WorldSID）のＡＭ５０（米国人成人男性の５０パーセンタイル）である。ダミーＰは、側面衝突試験法に規定される着座方法で車両用シート１０に着座しており、車両に対するシートクッション１２の前後位置、及びシートクッション１２に対するシートバック１４の傾斜角度は、上記の着座方法に対応した基準設定位置に調整されている。以下、ダミーＰを乗員Ｐということがある。

車両用シート１０のシートバック１４は、シートバックフレーム（図示省略）と、シートバックフレームに被せられたシートバックパッド（図示省略）と、シートバックパッドを覆ったシートバック表皮（図１ではシートバック表皮を含むシート表皮、すなわち車両用シート１０の外形を二点鎖線で示す。）と、を備えている。

サイドエアバッグ装置２０は、袋体に形成されると共に折り畳まれたエアバッグ３０と、ガスを発生させることで折り畳まれたエアバッグ３０を膨張展開させるインフレータ２２と、を含んで構成されている。インフレータ２２は、シリンダー型とされており、その長手方向をシートバック１４の上下方向（シートクッション１２に連結された位置とヘッドレスト１６が連結された位置とを側面視で結ぶ方向）に向けてシートバックフレームの車幅方向外側に固定されている。

側面衝突が発生した場合、インフレータ２２が作動し、エアバッグ３０が膨張することでシートバック１４のシートバックパッドやシートバック表皮を破って、エアバッグ３０が膨張展開する。図２に示すように、エアバッグ３０は、乗員Ｐとフロントサイドドア４０との間に膨張展開し、側面衝突による衝撃から乗員Ｐを保護する。

図２に示すように、フロントサイドドア４０は、その下部を構成するドア本体４２と、その上部を構成するサイドドアガラス４４と、を備える。ドア本体４２とサイドドアガラス４４との境界部分（具体的には車両前後方向に沿って延在する境界線）をドアベルトラインＢＬと称する。ドアベルトラインＢＬは、車両用シート１０に着座した乗員Ｐの肩部Ｓよりも車両下方に位置している。

ドア本体４２は、車両の外板を構成するドアアウタパネル４８と、車室側の意匠面を構成するドアトリム４６と、を含んで構成されている。また、図示を省略するが、ドアアウタパネル４８とドアトリム４６との間には、ドアアウタパネル４８と接合されたドアインナパネルが設けられている。

サイドドアガラス４４の下部の一部は、ドアアウタパネル４８の上端とドアトリム４６の上端との間の隙間を介してドア本体４２の内部に配置されている。そして、サイドドアガラス４４は、ドアアウタパネル４８の上端とドアトリム４６の上端との間の隙間から車両略上方へ向けて延在している。

ドアトリム４６の上端付近には、車幅方向内側へ膨らむ膨出部４６Ａが形成されている。そのため、サイドドアガラス４４は、ドアトリム４６における膨出部４６Ａよりも下側部分に対して車幅方向外側へ窪んだ配置関係となっている。

次に、エアバッグ３０について詳細に説明する。

なお、エアバッグ３０の形状を説明する場合は、特に断らない限り、膨張展開した状態のエアバッグ３０の形状を意味する。また、車両を構成する部材や車両用シート１０、乗員Ｐなどからの反力を受けた結果としての形状ではなく、エアバッグ３０が仮に他の部材などからの反力を受けないで膨張展開した場合（所謂、無拘束状態）の形状を意味する。

図１は、エアバッグ３０の側面図である。この図に示すように、エアバッグ３０は、全体として側面視で縦長の形状とされている。エアバッグ３０は、着座乗員Ｐの肩部Ｓ、胸部及び腰部Ｌの側方に位置し、着座乗員Ｐの肩部Ｓ、胸部及び腰部Ｌを拘束するようになっている。

エアバッグ３０は、例えば、２枚の基布が重ね合わされ、周縁部同士が縫い合わされることで袋体に形成されている。但し、１枚の基布を中央で二つ折りにして、その周縁部が縫い合わされることで袋体に形成されていてもよい。その他、袋体であるエアバッグ３０の形成方法は特に限定されない。

エアバッグ３０の内部は、「隔壁布」としての前後仕切りテザー３４によって、前後２つの前チャンバ３０Ｆと後チャンバ３０Ｒとに仕切られている（区画されている）。この前後仕切りテザー３４は、エアバッグ３０の基布と同様の布材が長尺帯状に切り出されて形成されたものであり、一方の長辺縁部がエアバッグ３０の一方の基布に縫製され、他方の長辺縁部がエアバッグ３０の他方の基布に縫製されている。

前後仕切りテザー３４は、エアバッグ３０の下端における前後方向中間部から車両略上方側（シートバック上方側）へ延びる縦延部３４Ａと、縦延部３４Ａの上端であってエアバッグ３０の上下方向中間部に形成された曲部３４Ｂと、曲部３４Ｂから斜め前上方へ延びる傾斜部３４Ｃと、を備えている。そして、傾斜部３４Ｃのすぐ後側部分（具体的には縦延部３４Ａをそのまま上方へ延長した場合の仮想的な縦延部よりも前側となる部分）が乗員Ｐの肩部Ｓを拘束する部分とされている。これにより、後チャンバ３０Ｒは、着座乗員Ｐの肩部Ｓに対応する高さ位置において、着座乗員Ｐの腰部Ｌに対応する高さ位置よりも車両前方へ拡大されている。その結果、着座乗員Ｐの肩部Ｓの側方には、後チャンバ３０Ｒが膨張展開するようになっている。

インフレータ２２は、後チャンバ３０Ｒ内に配置されており、前後仕切りテザー３４には、後チャンバ３０Ｒと前チャンバ３０Ｆとを連通させた連通孔３４Ｈが形成されている。そのため、インフレータ２２により発生したガスは、まず後チャンバ３０Ｒを膨張させ、前後仕切りテザー３４の連通孔３４Ｈを介して前チャンバ３０Ｆを膨張させる（図１の白抜き矢印参照）。したがって、後チャンバ３０Ｒは、前チャンバ３０Ｆよりも高圧のチャンバ３０Ｋとなる。

＜作用効果＞
次に、本実施形態の作用効果について説明する。

本実施形態では、車両用シート１０のシートバック１４内にエアバッグ３０が格納されている。側面衝突時、例えば側突センサからの信号により側突ＥＣＵが側面衝突を検知すると、当該側突ＥＣＵによってインフレータ２２が作動され、エアバッグ３０が膨張展開する。このエアバッグ３０は、着座乗員Ｐとサイドドア４０との間に膨張展開する。

さらに、図１に示すように、エアバッグ３０の内部は、前後仕切りテザー３４により複数のチャンバ３０Ｆ、３０Ｒに区画されている。そして、図２に示すように、複数のチャンバ３０Ｆ、３０Ｒのうちの高圧チャンバ３０Ｋである後チャンバ３０Ｒは、車両側面視でドアベルトラインＢＬを上下に跨ぐように膨張展開する。このため、高圧チャンバ３０Ｋは、そのドアベルトラインＢＬよりも下側の部分においてドアトリム４６から反力Ｆ１を受ける（図２参照）。高圧チャンバ３０Ｋは、内部が高圧となるため、ドアトリムから受ける反力Ｆ１によって自立しやすい。そして、この自立した高圧チャンバ３０Ｋによって着座乗員Ｐの肩部Ｓが拘束される。
よって、本実施形態に係る車両用サイドエアバッグ装置２０によれば、着座乗員Ｐの肩部ＳよりもドアベルトラインＢＬが低い車両において、側面衝突時に乗員肩部Ｓを適切に拘束することができる。

また、本実施形態では、高圧チャンバ３０Ｋ内にインフレータ２２が配設されている。このため、インフレータ２２からディフューザ（図４（Ｃ）の符号９０参照）などを介して高圧チャンバ３０Ｋにガスが供給される態様と比較して、着座乗員Ｐの肩部Ｓを拘束するように膨張展開する高圧チャンバ３０Ｋが早期に膨張展開する。その結果、簡単な構成でより一層適切に乗員肩部Ｓを拘束することができる。

また、本実施形態では、高圧チャンバ３０Ｋがエアバッグ３０の下端部まで延びる領域に形成されている。このため、高圧チャンバ３０Ｋが上下方向に長い領域でドアトリム４６から反力を得ることができ、その結果、高圧チャンバ３０Ｋが自立しやすい。

また、本実施形態では、図１に示すように、高圧チャンバ３０Ｋは、着座乗員Ｐの肩部Ｓに対応する高さ位置において、着座乗員Ｐの腰部Ｌに対応する高さ位置よりも車両前方へ拡大されている。このため、着座乗員Ｐの腰部Ｌに対応する高さ位置において高圧チャンバ３０Ｋの容積の増大を避けて高圧チャンバ３０Ｋの内圧を確保すると共に、着座乗員Ｐの肩部Ｓを高い確度で高圧チャンバ３０Ｋにより拘束することができる。

なお、上記説明では、エアバッグ３０の内部が前後２つの前チャンバ３０Ｆと後チャンバ３０Ｒとに仕切られている例を説明したが、エアバッグ３０を、特開２０１４−１４１１５９号公報に記載されているような所謂３チャンバサイドエアバッグとしてもよい。すなわち、エアバッグ３０の内部を仕切りテザーによって、後チャンバと前チャンバと下チャンバとに仕切ってもよい。この場合、インフレータ２２が配置された高圧の後チャンバによって乗員肩部を拘束するように構成することが好ましい。

〔第２実施形態〕
次に、図３を用いて、第２実施形態に係るサイドエアバッグ装置について説明する。なお、第１実施形態と略同一の機能を有する構成については図面に同一の符号を付し、その説明を省略する。

図３には、第２実施形態に係るサイドエアバッグ装置のエアバッグ１３０（無拘束状態かつ膨張展開時）が示されている。図３に示すように、エアバッグ１３０は、着座乗員Ｐの肩部Ｓを拘束する位置で車幅方向外側に厚みが増大されている。具体的には、ドアトリム４６の膨出部４６Ａに対応してエアバッグ１３０が車幅方向外側に厚みが増大されている。すなわち、エアバッグ３０のうち膨出部４６Ａよりも上側に対応する部分１３２は、エアバッグ３０のうち膨出部４６Ａよりも下側に対応する部分よりもは幅方向外側に厚みが増大されている。

＜作用効果＞
次に、第二実施形態の作用効果について説明する。なお、第１実施形態と同様の構成に係る作用効果については適宜説明を省略する。

本実施形態では、エアバッグ１３０は、着座乗員Ｐの肩部Ｓを拘束する位置で車幅方向外側に厚みが増大されている。このため、エアバッグ１３０のうち着座乗員Ｐの肩部Ｓを拘束する部分は、厚みが増大された部分１３２においてサイドドアガラス４４や衝突物から直接的に反力Ｆ２を受けることができる。
よって、第１実施形態で説明した作用効果（すなわち、高圧の後チャンバ３０Ｒの下部でドアトリム４６からの反力Ｆ１を受け、このドアトリム４６から受ける反力Ｆ１によって自立し、自立した高圧チャンバ３０Ｋによって着座乗員Ｐの肩部Ｓが拘束されるという作用効果）に加えて、厚みを増した部分１３２によってサイドドアガラス４４や衝突物からも反力Ｆ２を得ることができる。この結果、着座乗員Ｐの肩部ＳよりもドアベルトラインＢＬが低い車両においてより一層効果的に着座乗員Ｐの肩部Ｓを拘束することができる。

（他の実施形態）
エアバッグ内のチャンバ分割パターンは、上記第１実施形態に限定されない。例えば、図４に示すエアバッグ２３０、３３０、４３０、５３０としてもよい。なお、図４では、仕切りテザー３４の連通孔（図１参照の連通孔３４Ｈ参照）などの図示は省略している。

図４（Ａ）に示すエアバッグ２３０では、仕切りテザー３４がエアバッグ２３０内を車両側面視で斜めに延在している。仕切りテザー３４によって、エアバッグ２３０内が上チャンバ３０Ｕと下チャンバ３０Ｌとに区画されている。このうち上チャンバ３０Ｕが、下チャンバ３０Ｌよりも高圧の高圧チャンバ３０Ｋとされている。

具体的には、仕切りテザー３４の前端３４Ｆから後端３４Ｒにかけて、第１実施形態のような曲部（図１の曲部３４Ｂ参照）が形成されておらず、仕切りテザー３４は、車両側面視で略直線状に延在している。また、仕切りテザー３４の後端３４Ｒは、仕切りテザー３４の前端３４Ｆよりも車両下方に位置している。仕切りテザー３４の前端３４ＦはドアベルトラインＢＬよりも車両上方に位置し、仕切りテザー３４の後端３４ＲはドアベルトラインＢＬよりも車両下方に位置している。このため、上チャンバ３０Ｕは、車両側面視でドアベルトラインＢＬを上下に跨ぐように膨張展開する。

図４（Ｂ）に示すエアバッグ３３０では、仕切りテザー３４がエアバッグ３３０内をシートバック１４の上下方向に略直線状に延在している。これにより、エアバッグ３３０内が前チャンバ３０Ｆと後チャンバ３０Ｒとに区画されている。このうちインフレータ２２が配設された後チャンバ３０Ｒが高圧チャンバ３０Ｋとされている。エアバッグ３３０のうち着座乗員Ｐの肩部Ｓを拘束する部分は、前チャンバ３０Ｆと後チャンバ３０Ｒとの境界部分（つまり仕切りテザー３４の位置）となっている。このため、高圧チャンバ３０Ｋである後チャンバ３０Ｒは、乗員肩部Ｓの少なくとも一部を拘束するようになっている。

図４（Ｃ）に示すエアバッグ４３０は、仕切りテザー３４の位置が図４（Ｂ）に示すエアバッグ３３０と同様である。一方、エアバッグ４３０内にディフューザ９０が設けられている。ディフューザ９０によって、インフレータ２２からのガスが前チャンバ３０Ｆに導入される。これにより、前チャンバ３０Ｆが後チャンバ３０Ｒよりも高圧の高圧チャンバ３０Ｋとされている。このエアバッグ４３０でも、エアバッグ４３０のうち着座乗員Ｐの肩部Ｓを拘束する部分は、前チャンバ３０Ｆと後チャンバ３０Ｒとの境界部分（つまり仕切りテザー３４の位置）となっている。このため、高圧チャンバ３０Ｋである前チャンバ３０Ｆは、乗員肩部Ｓの少なくとも一部を拘束するようになっている。

図４（Ｄ）に示すエアバッグ５３０では、仕切りテザー３４がエアバッグ５３０内を前後方向に略直線状に延在している。これにより、エアバッグ５３０内が上チャンバ３０Ｕ及び下チャンバ３０Ｌに区画されている。このうち上チャンバ３０Ｕが下チャンバ３０Ｌよりも高圧の高圧チャンバ３０Ｋとされている。仕切りテザー３４は、その全体においてドアベルトラインＢＬよりも下方に位置している。このため、高圧の上チャンバ３０Ｕは、車両側面視でドアベルトラインＢＬを上下に跨ぐように膨張展開する。

〔上記実施形態の補足説明〕
なお、上記実施形態では、エアバッグ３０が、着座乗員Ｐの肩部Ｓ、胸部及び腰部Ｌを拘束する例を説明したが、これに限定されず、少なくとも着座乗員Ｐの肩部Ｓから胸部を拘束すればよい。

また、上記実施形態では、車両の前席に適用された車両用サイドエアバッグ装置を説明したが、後席に適用してもよい。

１０ 車両用シート
１２ シートクッション
１４ シートバック
１６ ヘッドレスト
２０ 車両用サイドエアバッグ装置
２２ インフレータ
３０ エアバッグ
３０Ｋ 高圧チャンバ
３４ テザー
３４Ａ 縦延部
３４Ｂ 曲部
３４Ｃ 傾斜部
４０ フロントサイドドア（サイドドア）
１３０ エアバッグ
１３２ 厚みが増大された部分
２３０ エアバッグ
３３０ エアバッグ
４３０ エアバッグ
５３０ エアバッグ
ＢＬ ドアベルトライン
Ｐ 乗員
Ｓ 乗員の肩部
Ｌ 乗員の腰部

Claims (5)

1. 車両用シートのシートバック内に格納され、着座乗員とサイドドアとの間に膨張展開するエアバッグを備える車両用サイドエアバッグ装置であって、
   前記エアバッグの内部は、高圧チャンバを含む複数のチャンバに区画され、
   前記高圧チャンバは、車両側面視でドアベルトラインを上下に跨ぐと共に着座乗員の肩部を拘束するように膨張展開する、
   車両用サイドエアバッグ装置。
2. 前記エアバッグは、着座乗員の肩部を拘束する位置で車幅方向外側に厚みが増大されている、
   請求項１に記載の車両用サイドエアバッグ装置。
3. 前記高圧チャンバ内にインフレータが配設されている、
   請求項１又は請求項２に記載の車両用サイドエアバッグ装置。
4. 前記高圧チャンバは、前記エアバッグの下端部までの領域に設定されている、
   請求項１〜請求項３の何れか一項に記載の車両用サイドエアバッグ装置。
5. 前記高圧チャンバは、着座乗員の肩部に対応する高さ位置において、着座乗員の腰部に対応する位置よりも車両前方へ拡大されている、
   請求項１〜請求項４の何れか一項に記載の車両用サイドエアバッグ装置。