JP2019110838A - 液体麹の製造法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、固体培養法は、酵素生産性は非常に高いものの、製麹における温度、水分量、各種栄養成分等の因子を均一にすることが困難であり、開放系で製麹されることも多く雑菌による汚染といった品質管理面の問題もある。
そしてさらに、より効率的な手段を開発すべく検討し、ゴマの代わりに硫酸亜鉛を使用して液体麹を培養したところ、ゴマを含む培地のほうが耐酸性αアミラーゼ活性値は10%以上高い値を示した。このことは、ゴマには亜鉛以外に耐酸性αアミラーゼ活性を高める要因があることを示す。そこで、さらに検討を進めた結果、ゴマの不溶性画分が硫酸亜鉛、ゴマの脂溶性画分及びゴマの水溶性画分に比べて顕著に耐酸性α−アミラーゼ活性を向上させることを見出した。さらに、ゴマの不溶性画分と同等の成分を有すると考えられたゴマ油を搾った後の残渣(脱脂ゴマ)にも同等以上の効果があることを見出し、本発明を完成した。
〔2〕ゴマの不溶性画分として、ゴマ油の搾り粕を使用する〔1〕記載の液体麹の製造法。
〔3〕液体培地中に、さらに穀類、芋類及び豆類から選ばれる原料を含有する〔1〕又は〔2〕のいずれかに記載の液体麹の製造法。
〔4〕〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の液体麹を用いて、酒類を製造することを特徴とする酒類の製造方法。
〔5〕〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の液体麹を用いて、焼酎を製造することを特徴とする焼酎の製造方法。
当該ゴマの不溶性画分の例としては、すりつぶしたイリゴマにヘキサンを加え、ソックスレー法により脂溶性成分を除去後、乾燥した固形分に加水し、水溶性成分が抽出されなくなった後、さらに乾燥したものが挙げられる。
不溶性画分の例としては、ゴマ油の搾り粕が挙げられる。ゴマ油の搾り粕は、ヘキサンなどの溶剤抽出法、圧搾法などにより製造したもの、またはそれらの混合物が挙げられるが、ヘキサンなどの溶剤が残留していないものでなければならない。このゴマ油の搾り粕には、ゴマの不溶性画分以外に一部水溶性成分を含むが、前記ゴマの不溶性画分の量として培地中に0.1w/v%以上10w/v%以下になるように液体培地中に含有すればよい。
リン酸塩の液体培地中の含有量は、耐酸性α−アミラーゼ活性を向上させる点から、0.0001〜2.0w/v%が好ましく、0.001〜1.5w/v%がより好ましく、0.01〜1.0w/v%がさらに好ましい。
本発明で用いる麹菌としては、白麹菌としてはアスペルギルス・カワチ(Aspergillus kawachii)等、黒麹菌としてはアスペルギルス・アワモリ(Aperigillus awamori)やアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)等が挙げられる。
また、培地に接種する麹菌の形態は任意であり、胞子又は菌糸を用いることができる。
麹菌の液体培地への接種量には特に制限はないが、液体培地1mL当り、胞子であれば1×104〜1×107個程度、菌糸であれば前培養液を0.1〜10%程度接種することが好ましい。
培養装置は、液体培養を行なうことができるものであればよいが、麹菌は好気培養を行なう必要があるので、酸素や空気を培地中に供給できる好気的条件下で行なう必要がある。また、培養中は培地中の原料、酸素、及び麹菌が装置内に均一に分布するように撹拌をするのが好ましい。撹拌条件や通気量については、培養環境を好気的に保つことができる条件であればいかなる条件でもよく、培養装置、培地の粘度等により適宜選択すればよい。
尚、本発明において液体麹とは、培養したそのものの他に、培養物を遠心分離等することにより得られる培養液、それらの濃縮物又はそれらの乾燥物等も包含するものとする。
また、得られた液体麹の一部を次の液体麹製造におけるスターターとして用いることもできる。このように液体麹を連続的に製造することにより、安定的な生産が可能になると同時に、生産効率の向上も図ることができる。
(1)脂溶性画分の分画
受器の乾燥重量(W0)を測定しておき、ソックスレー法によりn−ヘキサンで16h抽出後に脂溶性画分+受器の乾燥重量(W1)を測定し、W1−W0より脂溶性画分の重量を算出した。今回は、いりゴマ約10gに対し、約130mLのn−ヘキサンを用いて還流させた。
(2)水溶性画分の分画
(1)の操作で、脂溶性画分を分離したゴマをイオン交換水で洗浄、撹拌、遠心分離(12000rpm,10min)、ろ過を繰り返し行った。この操作は、遠心分離後の上清が清澄となり、手持屈折計(AS ONE製 IN−10E)によるBrix測定値が0%を示すまでとした。ろ液を、乾燥重量を測定しておいた受器(W2)に入れ、エバポレーターで水分を除去し、乾燥機(105℃)で乾燥させ、水溶性画分+受器の重量(W3)を測定し、W3−W2より水溶性画分の重量を算出した。
(3)不溶性画分の分画
(2)の残渣を、乾燥重量を測定しておいた受器(W4)にいれ、乾燥機(105℃)で乾燥させ、不溶性画分+受器の重量(W5)を測定し、W5−W4により不溶性画分の重量を測定した。得られた不溶性画分の粒度分布を測定したところ、篩目2mm上が0.0質量%、1mm上が1.4質量%、0.5mm上が18.6質量%、0.15mm上が60.0質量%、0.15mm下が20.0質量%であった。
以上の操作を6回繰り返した結果、各画分の重量比は、いりゴマ100に対し、脂溶性画分62、水溶性画分7、不溶性画分31だった。
ゴマを構成するどの画分が耐酸性αアミラーゼ活性を向上させるか確認するため、次の培地組成のゴマに相当する量の各画分を配合し、液体麹を培養した。
培養容器:坂口フラスコ
菌株:Aspergillus kawachii NBRC 4308株
初発胞子数:1.0×107 spores/mL
培養温度:30℃、
振盪速度:200rpm、
培養時間:72h
表3記載の材料を100mLの水道水に溶解し、滅菌した液体培地にAspergillus kawachii NBRC 4308株を接種して培養し、耐酸性α−アミラーゼ活性を測定した。すなわち、500mL坂口フラスコにpH3に調製した表3記載の液体培地100mLを入れ、121℃で20分滅菌後、室温まで冷却した。液体培地に胞子懸濁液を初発胞子数が1×107spore/mLになるように接種した。培養温度は30℃、振とう速度200rpmで72時間培養した。
耐酸性α−アミラーゼの活性測定法は、J. Ferment. Bioeng.,77, 483-489(1994)に記載の方法を若干改良し、培養物を酸処理することで非耐酸性α−アミラーゼ活性を失活させた後、α−アミラーゼ測定キット(キッコーマン製)を用いて行なった。より具体的には、培養液1mLに9mLの100mM酢酸緩衝液(pH3)を添加し、37℃で1時間酸処理を行なった後に、α−アミラーゼ測定キット(キッコーマン製)を用いて測定した。
ゴマの不溶性画分が耐酸性αアミラーゼ活性を高めることが分かった。一方、いりゴマ、ゴマ不溶性画分、市場に流通するゴマ油の搾り粕(脱脂ゴマ)を分析したところ、脱脂ゴマはゴマ不溶性画分を含有すると考えられた。ゴマは表4に示すように脂質を多く含むため、この脂質を10%以下にしたゴマであれば、ゴマ不溶性画分として使用することが可能である。
ゴマの不溶性画分や脱脂ゴマは表面の殻が破損しており、可溶化するタンパク質が大幅に増加すると予測された。このことは、タンパク源として添加しているスキムミルクの省略が可能であることを示していると考えられた。そこで、前出の標準大麦培地からスキムミルクを除き、いりゴマを脱脂ゴマと置き換えた培地で液体麹を培養し、耐酸性αアミラーゼ活性を測定した。その結果、スキムミルクを添加しなくても同等の耐酸性αアミラーゼ活性となることがわかった。このことは、スキムミルクに掛かる費用をコストダウンできることを意味する。
前出の標準大麦培地からスキムミルクを除き、いりゴマをゴマの不溶性画分と置き換えた培地において、不溶性画分の配合量を、0〜20w/v%として液体麹を培養し、耐酸性αアミラーゼ活性を測定し、適正な脱脂ゴマの配合量を求めた。
固体麹仕込を対照とし、試験区1を前出標準大麦培地(液体麹−1)、試験区2を実施例5で作製した不溶性画分の配合が1.0w/v%の液体麹(液体麹−2)を用いて下表の配合により仕込を行った。大麦の精麦歩合は70%、使用酵母は鹿児島2号を用い、雰囲気温度25℃で発酵した。発酵終了後、減圧蒸留した。
Claims (5)
- ゴマの不溶性画分を0.1w/v%以上10w/v%以下の範囲で含有する液体培地で麹菌を培養することを特徴とする液体麹の製造法。
- ゴマの不溶性画分として、ゴマ油の搾り粕を使用する請求項1記載の液体麹の製造法。
- 液体培地中に、さらに穀類、芋類及び豆類から選ばれる原料を含有する請求項1又は2のいずれかに記載の液体麹の製造法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の液体麹を用いて、酒類を製造することを特徴とする酒類の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の液体麹を用いて、焼酎を製造することを特徴とする焼酎の製造方法。
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