JP2019108803A - オイルパン - Google Patents

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Abstract

【課題】オイルパンの保温性能を損なわずに、オイルパンに生じる膜振動を抑制する。【解決手段】オイルパン1は、合成樹脂によって二層構造で構成されており、オイルを貯留するように深皿状に成形された合成樹脂製のオイルパン本体3と、オイルパン本体3の外側に取り付けられた合成樹脂製の深皿状のオイルパンカバー4と、を備えている。オイルパンカバー4は、オイルパン本体3との間に空気層6を構成するようにオイルパン本体3に取り付けられている。カバー底壁部4aの上面には、角柱状をなす3つのリブ7が突出形成されている。リブ7の先端面7aは、オイルパン本体3の本体底壁部3aの下面に振動溶着されている。これにより、オイルパン1の保温性を損なわずに、内燃機関に生じる振動に起因してカバー底壁部4aに発生する膜振動が抑制される。【選択図】図2

Description

本発明は、内燃機関のオイルパン、特に、二層構造を有したオイルパンに関する。
二層構造を有したオイルパンの一例として、特許文献1に記載のものが挙げられる。このオイルパンは、内燃機関のシリンダブロック下面に取り付けられる。オイルパンは、オイルを貯留するように深皿状に成形されたオイルパン本体と、オイルパン本体との間に所定の隙間を有するようにオイルパン本体の外側に設けられたオイルパンカバーと、を備えている。オイルパン本体の上縁部とオイルパンカバーの上縁部との間には、空気取入れ口と空気排出口が設けられており、空気がオイルパン本体とオイルパンカバーとの間の隙間を通流可能となっている。
特開2012−132341号公報
特許文献1のようなオイルパンでは、内燃機関に生じる振動に伴い、オイルパンカバーの底壁部に膜振動が発生する虞がある。特に、オイルパンが合成樹脂により形成されている場合には、オイルパンが金属により形成されている場合に比べて、上記膜振動はさらに顕著なものとなる。
本発明では、オイルを貯留するように深皿状に成形された合成樹脂製のオイルパン本体と、前記オイルパン本体との間に隙間を構成するように前記オイルパン本体の外側に取り付けられた合成樹脂製の深皿状のオイルパンカバーと、を備え、内燃機関のシリンダブロック下面に取り付けられるオイルパンにおいて、前記オイルパン本体と前記オイルパンカバーとが、上縁部において互いに溶着されており、前記オイルパン本体の本体底壁部および前記オイルパンカバーのカバー底壁部の少なくとも一方に、前記隙間を横切るリブが突出形成されており、前記リブの先端は、該リブが対向する前記本体底壁部もしくは前記カバー底壁部に溶着されている。
従って、振動面となる前記カバー底壁部が、中間位置において前記本体底壁部に固定されることになり、膜振動の固有振動数が高くなる。これにより、前記カバー底壁部が、内燃機関側の振動入力と共振しないようになり、前記カバー底壁部に生じる膜振動が抑制される。
また、前記本体底壁部は、長方形の板状をなしており、前記オイルパン本体は、前記本体底壁部を長方形に囲む本体周囲壁部を備えており、前記本体周囲壁部の上縁部には、前記内燃機関の前記シリンダブロック下面に取り付けられる取付フランジ部が形成されていることが好ましい。
さらに、前記カバー底壁部は、長方形の板状をなしており、前記リブは、前記カバー底壁部の長辺方向に沿って延びる角柱状に形成されていることが好ましい。
また、前記カバー底壁部は、長方形の板状をなしており、前記リブは、前記カバー底壁部の短辺方向および長辺方向に連続した複数の六角形部を有したハニカム状に形成されていることが好ましい。
本発明によれば、オイルパンの保温性能を損なわずに、オイルパンに生じる膜振動を抑制することができる。
第1の実施例のオイルパンの分解斜視図である。 本体底壁部の短辺方向に沿って切断した第1の実施例のオイルパンの断面斜視図である。 本体底壁部の短辺方向に沿って切断した第2の実施例のオイルパンの断面斜視図である。 本体底壁部の短辺方向に沿って切断した第3の実施例のオイルパンの断面斜視図である。
以下、本発明のオイルパンの実施例を図面に基づき説明する。
図1および図2には、合成樹脂からなり、二層構造を有するように構成された第1の実施例のオイルパン1が示されている。なお、図2では、シリンダブロックのシリンダブロック本体を図示省略し、レール部2のみを図示してある。オイルパン1は、図示せぬ内燃機関のシリンダブロック下面、つまりシリンダブロック本体の下部に形成された長方形の枠状をなすレール部2に取り付けられており、内燃機関の種々の機器類に供給するためのオイルを貯留する。
オイルパン1は、オイルを貯留するように深皿状に成形された合成樹脂製のオイルパン本体3と、このオイルパン本体3よりも大きい外形を有し、オイルパン本体3の外側に取り付けられた合成樹脂製の深皿状のオイルパンカバー4と、を備えている。
オイルパン本体3は、比較的薄肉の長方形の板状をなす本体底壁部3aと、この本体底壁部3aと同様の厚みを有し、本体底壁部3aを長方形に囲む本体周囲壁部3bと、を備えている。
ここで、以下の説明の便宜上、長方形の本体底壁部3aの長辺に沿った方向、つまり図1および図2の手前側から奧側に向かう方向を、図1および図2に矢印Lで示す「長辺方向」と定義し、さらに、長辺方向Lと直交する方向を、図1および図2に矢印Sで示す「短辺方向」と定義する。
本体周囲壁部3bの長方形に連続した上縁部には、レール部2に取り付けるための取付フランジ部3cが形成されている。取付フランジ部3cは、全体として、長方形の枠状に形成されている。取付フランジ部3cは、本体周囲壁部3bと直交するように本体周囲壁部3bの上縁部から本体周囲壁部3bの外周側に向かって突出している。取付フランジ部3cの長方形に囲まれた開口端面には、長方形に連続するシール溝3eが形成されており、このシール溝3eに、長方形の環状をなすゴム製のシール部材5が装着される。
また、本体周囲壁部3bには、シール溝3eに比較的近い位置で本体周囲壁部3bの外周を狭めるように段差状とすることで、本体底壁部3aと平行なフランジ部3dが形成されている。
オイルパン本体3の内部には、図示せぬオイルストレーナが配置されており、このオイルストレーナは、図示せぬオイルポンプに連結されている。オイルポンプの駆動により、オイルパン本体3に貯留されたオイルは、オイルストレーナからオイルポンプを通して図示せぬメインオイルギャラリーに導かれ、内燃機関の動弁装置などの摺動部や種々の機器類に供給される。摺動部等を潤滑した後の余剰のオイルは、オイルパン本体3に戻される。
上記のように構成されたオイルパン本体3の外側には、オイルパン本体3との間に所定の隙間を介して、深皿状のオイルパンカバー4が設けられている。オイルパンカバー4は、オイルパン本体3と同様に、比較的薄肉の長方形の板状をなすカバー底壁部4aと、このカバー底壁部4aと同様の厚みを有し、カバー底壁部4aを長方形に囲むカバー周囲壁部4bと、を備えている。オイルパンカバー4がオイルパン本体3に取り付けられた状態では、カバー底壁部4aは、本体底壁部3aと平行になっており、一方、カバー周囲壁部4bは、本体周囲壁部3bと平行になっている。そして、本体底壁部3aとカバー底壁部4aとの間および本体周囲壁部3bとカバー周囲壁部4bとの間には、上記隙間によって、空気層6が構成されている。
カバー底壁部4aの上面には、長方形の断面を有した角柱状の3つのリブ7が突出形成されており、これらのリブ7は、長辺方向Lに沿ってそれぞれ延びている。3つのリブ7は、短辺方向Sに沿って所定の間隔に配置されている。さらに、リブ7は、空気層6を横切るようにカバー底壁部4aから本体底壁部3a側に突出している。図2の2つの破線で挟まれた細長い長方形の部分であるリブ7の先端面7aは、本体底壁部3aの下面と対向しており、この下面に振動溶着されている。
このように3つのリブ7の先端面7aを本体底壁部3aの下面に振動溶着することで、カバー底壁部4aは、3つの中間位置でリブ7を介して本体底壁部3aに固定されたこととなる。そして、内燃機関からの振動により実質的な振動面となるカバー底壁部4aは、短辺方向Sに沿って4つの小さな振動面に区画される。この結果、個々の小さな振動面の固有振動数が高くなり、内燃機関側の振動入力と共振しない大きさの振動面となる。これにより、カバー底壁部4aに生じる膜振動が抑制される。
なお、カバー底壁部4aにおいて、内燃機関側の振動入力と共振しない大きさとなるようにリブ7の数や配置を適宜に設定することで、内燃機関に応じた膜振動の抑制を行うことができる。
カバー周囲壁部4bの長方形に連続した上縁部には、全体として、長方形の枠状をなすフランジ部4cが形成されている。フランジ部4cは、カバー周囲壁部4bと直交するようにカバー周囲壁部4bの外側に突出している。フランジ部4cの上面は、本体周囲壁部3bのフランジ部3dの下面に振動溶着されている。この振動溶着により、フランジ部4cとフランジ部3dとが、オイルパン1の全周に亘って気密に溶着される。従って、空気層6は密封状態となっている。
フランジ部4cの上面とフランジ部3dの下面との振動溶着は、リブ7の先端面7aと本体底壁部3aの下面との振動溶着と同時に行われる。これらの振動溶着の振動方向は、リブ7の長手方向に沿った長辺方向Lであることが望ましい。
このように構成されたオイルパン1は、本体周囲壁部3bの取付フランジ部3cに設けられたシール溝3eにシール部材5を装着したうえで、取付フランジ部3cのボルト貫通孔3gを介して図示せぬボルトをねじ留めすることで、内燃機関のシリンダブロックのレール部2の下面に取り付けられる。
上記のように、第1の実施例では、カバー底壁部4aに所定の間隔で突出形成された3つのリブ7を本体底壁部3aに振動溶着したことから、カバー底壁部4aが、3つのリブ7を介して本体底壁部3aに固定される。よって、カバー底壁部4aは、3つの中間位置でリブ7を介して本体底壁部3aに固定されたこととなる。これにより、内燃機関からの振動により実質的な振動面となるカバー底壁部4aは、短辺方向Sに沿って4つの小さな振動面に区画される。この結果、個々の小さな振動面の固有振動数が高くなり、内燃機関側の振動入力と共振しないようになる。従って、カバー底壁部4aに発生する膜振動が抑制される。
また、リブ7を本体底壁部3aに振動溶着することでオイルパン1の剛性が高くなるから、オイルパン1全体としても膜振動が生じ難くなる。
さらに、オイルパン1の剛性が高いことにより、カバー底壁部4aが縁石にぶつかったとき、または飛び石がカバー底壁部4aに衝突したときに、カバー底壁部4aおよび本体底壁部3aが変形することを抑制することができる。
また、リブ7を具備したカバー底壁部4aを本体底壁部3aに振動溶着しても、オイルパン本体3とオイルパンカバー4との間に空気層6が構成されている。このため、オイルパン1の保温性を損なわずに、カバー底壁部4aでの膜振動の発生を抑制することができる。
図3は、第2の実施例のオイルパン1の断面斜視図である。
第2の実施例では、カバー底壁部4aに突出形成されたリブ8がハニカム構造を有している。つまり、リブ8は、図3に示すように、長辺方向Lおよび短辺方向Sの双方と直交する方向に見て、六角形に囲まれた複数の六角形部8aを長辺方向Lおよび短辺方向Sに連続的に配置させることでハニカム状に形成されている。リブ8は、前述した実施例と同様に、本体底壁部3aに振動溶着されている。
上記のように、第2の実施例では、リブ8によってカバー底壁部4aの膜振動が低減するとともに、リブ8がハニカム状に形成されていることから、リブ8を介して互いに接合された本体底壁部3aとカバー底壁部4aとの剛性が高くなる。従って、カバー底壁部4aが縁石にぶつかったとき、または飛び石がカバー底壁部4aに衝突したときのカバー底壁部4aおよび本体底壁部3aの変形をさらに抑制することができる。
また、仮に縁石や飛び石の衝突により、本体底壁部3aの一部が破損し、オイルパン本体3内のオイルが漏れたとしても、漏れたオイルは、比較的小さい六角形部8a内に溜まる。従って、オイルパン本体3内のオイル漏れを最小限に抑えることができる。
図4は、第3の実施例のオイルパン1の断面斜視図である。
第3の実施例では、オイルパンカバー4のカバー周囲壁部4bの長方形に連続した上縁部に、内燃機関のシリンダブロックのレール部2の下面に取り付けるための取付フランジ部4dが形成されている。取付フランジ部4dは、全体として、長方形の枠状に形成されている。取付フランジ部4dは、カバー周囲壁部4bと直交するようにカバー周囲壁部4bの上縁部からカバー周囲壁部4bの外周側に向かって突出している。取付フランジ部4dの長方形に囲まれた開口端面には、長方形に連続するシール溝4eが形成されており、このシール溝4eに、長方形の環状をなすゴム製のシール部材5が装着される。
また、カバー周囲壁部4bには、シール溝4eに比較的近い位置でカバー周囲壁部4bの外周を狭めるように段差状とすることで、カバー底壁部4aと平行なフランジ部4fが形成されている。
一方、オイルパン本体3の本体周囲壁部3bの長方形に連続した上縁部には、長方形の枠状をなすフランジ部3fが形成されており、このフランジ部3fがフランジ部4fと振動溶着されている。
第3の実施例のオイルパン1によっても、オイルパン1の保温性を損なわずに、カバー底壁部4aでの膜振動の発生を抑制することができる。
なお、上記第1の実施例では、カバー底壁部4aにリブ7を突出形成し、これらのリブ7の先端面7aを本体底壁部3aの下面に振動溶着した例を示したが、本体底壁部3a側にリブを突出形成し、その先端面をカバー底壁部4aの上面に振動溶着する構成とすることもできる。さらに、複数のリブの中の一部をカバー底壁部4a側に突出形成するとともに、残りのリブを本体底壁部3a側に突出形成し、各リブの先端面を対向する面に振動溶着した構成としても良い。
また、上記各実施例では、オイルパン本体3とオイルパンカバー4との間に空気層6が構成される例を開示したが、空気層6に代えて、例えば空気以外の気体、液体、ゲル状の半固体物質をオイルパン本体3とオイルパンカバー4との間に封入するようにしても良い。
1・・・オイルパン
3・・・オイルパン本体
3a・・・本体底壁部
3b・・・本体周囲壁部
3c・・・取付フランジ部
4・・・オイルパンカバー
4a・・・カバー底壁部
4b・・・カバー周囲壁部
4c・・・フランジ部
L・・・長辺方向
S・・・短辺方向
6・・・空気層
7・・・リブ
8・・・リブ
8a・・・六角形部

Claims (4)

  1. オイルを貯留するように深皿状に成形された合成樹脂製のオイルパン本体と、
    前記オイルパン本体との間に隙間を構成するように前記オイルパン本体の外側に取り付けられた合成樹脂製の深皿状のオイルパンカバーと、
    を備え、内燃機関のシリンダブロック下面に取り付けられるオイルパンであって、
    前記オイルパン本体と前記オイルパンカバーとが、上縁部において互いに溶着されており、
    前記オイルパン本体の本体底壁部および前記オイルパンカバーのカバー底壁部の少なくとも一方に、前記隙間を横切るリブが突出形成されており、
    前記リブの先端は、該リブが対向する前記本体底壁部もしくは前記カバー底壁部に溶着されていることを特徴とするオイルパン。
  2. 前記本体底壁部は、長方形の板状をなしており、前記オイルパン本体は、前記本体底壁部を長方形に囲む本体周囲壁部を備えており、前記本体周囲壁部の上縁部には、前記内燃機関の前記シリンダブロック下面に取り付けられる取付フランジ部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のオイルパン。
  3. 前記カバー底壁部は、長方形の板状をなしており、前記リブは、前記カバー底壁部の長辺方向に沿って延びる角柱状に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のオイルパン。
  4. 前記カバー底壁部は、長方形の板状をなしており、前記リブは、前記カバー底壁部の短辺方向および長辺方向に連続した複数の六角形部を有したハニカム状に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のオイルパン。
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