JP2019108262A - ガラス繊維の製造装置および製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ブッシングに設けられた複数のノズル孔の各々より流出する溶融ガラスからガラス繊維を製造するに際し、製造される複数のガラス繊維の相互間で断面形状及び断面積の均一化を図ること。【解決手段】複数のノズル孔53が設けられたブッシング4を備え、複数のノズル孔53の各々より流出する溶融ガラスGからガラス繊維Gmを製造するように構成されたガラス繊維の製造装置において、ノズル孔53の内周面Sにおける表面粗さRaの平均値が、2μm以下となるようにした。【選択図】図4
Description
本発明は、ガラス繊維の製造装置および製造方法に関する。
周知のように、ガラス繊維の一種として、その断面形状が扁平な異形断面ガラス繊維が製造されている(特許文献1を参照)。この異形断面ガラス繊維は、樹脂と混練して複合化した場合に高い補強効果を実現できることから、繊維強化プラスチック(FRP)用の繊維として採用される等、様々な分野で利用されるに至っている。
異形断面ガラス繊維は、例えば、溶融ガラスを流通させるためのフィーダーの底部にブッシングを配置し、ブッシングに設けられた複数のノズル孔の各々から溶融ガラスを引き出しつつ冷却することで製造される。ノズル孔の形状は、製造されるガラス繊維の断面形状の基礎を形作ることから、異形断面ガラス繊維を製造する場合には、扁平な形状(長円形や楕円形等)とする場合が多い。
ところで、異形断面ガラス繊維を製造する際には、複数のノズル孔の各々より流出する溶融ガラスの流量にバラつきが生じることに起因して、製造される複数の繊維の相互間で断面形状及び断面積を均一にすることが難しいという問題がある。
なお、上述のような問題は、異形断面ガラス繊維を製造する場合にのみ生じているものではない。断面形状が円形である通常のガラス繊維を製造する場合においても、同様に生じ得る問題である。
上記の事情に鑑みなされた本発明は、ブッシングに設けられた複数のノズル孔の各々より流出する溶融ガラスからガラス繊維を製造するに際し、製造される複数のガラス繊維の相互間で断面形状及び断面積の均一化を図ることを技術的な課題とする。
本発明の発明者は、研究を重ねた結果、複数のノズル孔の各々より流出する溶融ガラスの流量のバラつきを回避し、複数のガラス繊維の相互間で断面形状及び断面積を均一にするには、ノズル孔の内周面における元来の表面粗さ(未使用の状態における表面粗さ)を小さくすることが効果的であることを見出した。そして、ノズル孔の内周面における表面粗さRaの平均値を2μm以下としておけば、ガラス繊維の製造中に複数のノズル孔の相互間で内周面の表面粗さがバラつくことを防止でき、各ノズル孔から流出する溶融ガラスの流量を可及的に均一にできることを知見した。
この知見に基づき、上記の課題を解決するために創案された本発明は、複数のノズル孔が設けられたブッシングを備え、複数のノズル孔の各々より流出する溶融ガラスからガラス繊維を製造するように構成されたガラス繊維の製造装置であって、ノズル孔の内周面における表面粗さRaの平均値が、2μm以下であることに特徴付けられる。
このような構成によれば、複数のノズル孔の各々より流出する溶融ガラスの流量を可及的に均一にできるため、製造される複数のガラス繊維の相互間で断面形状及び断面積の均一化を図ることが可能となる。
上記の構成において、ノズル孔の形状が扁平に形成され、ガラス繊維として異形断面ガラス繊維を製造するように構成されていることが好ましい。
本発明によれば、製造される複数のガラス繊維の相互間で断面形状及び断面積の均一化を図ることが可能であるため、断面形状及び断面積のバラつきを抑制することが困難である異形断面ガラス繊維の製造に本発明を適用すれば、その効果を好適に享受できる。
上記の構成において、ノズル孔の短径方向に沿った長さをL1とし、長径方向に沿った長さをL2としたとき、(L2/L1)の値が3〜15の範囲内であることが好ましい。
このようにすれば、高扁平率の断面形状を有する異形断面ガラス繊維(以下、高扁平率繊維と表記)の複数を、相互に断面形状をバラつかせることなく製造できる。
上記の構成において、ノズル孔を囲う壁部が、ノズル孔の短径方向で対向する一対の長壁部と、長径方向で対向する一対の短壁部とを有し、一対の長壁部の各々が、下方に向けて口を開けた切欠き部を有し、ノズル孔の開口面積をAとし、一対の短壁部の各々における内壁面のうち、切欠き部の頂部よりも下方に位置した壁面領域について、当該壁面領域をノズル孔の長径方向に沿う方向から視た場合の投影面積をBとしたとき、(A/B)の値が2〜50の範囲内であることが好ましい。
(A/B)の値が2未満である場合、ノズル孔の中央部から流出する溶融ガラスの流量が増加しやすく、高扁平率繊維を製造し難くなる虞がある。また、(A/B)の値が50を超える場合、一対の短壁部によって溶融ガラスを引っ張る作用が小さくなりやすく、高扁平率繊維を製造し難くなる虞がある。しかしながら、上記のように(A/B)の値を2〜50の範囲内とすれば、好適に高扁平率繊維を製造することが可能である。
上記の構成において、内周面が、ノズル孔の短径方向で対向する一対の第一面と、長径方向で対向する一対の第二面とを有し、第二面における表面粗さRaの平均値が、第一面における表面粗さRaの平均値よりも大きいことが好ましい。この場合、ノズル孔の内周面全体における表面粗さRaの平均値が2μm以下となるようにすれば第二面の表面粗さRaの平均値が2μmを超えてもよい。
このようにすれば、第二面において第一面よりも表面粗さRaの平均値が大きいことに起因して、第一面と第二面との比較において、第二面の方で溶融ガラスを引っ張る作用がより大きくなる。従って、ノズル孔から流出する溶融ガラスは、その断面の長手方向(ノズル孔の長径方向)に沿ってより強く引っ張られた状態で流出していく。これにより、製造される繊維の断面全体の丸まりを回避でき、その結果、高扁平率繊維を製造する上でより有利となる。
また、上記の課題を解決するために創案された本発明は、複数のノズル孔が設けられたブッシングを用いて、複数のノズル孔の各々より流出させた溶融ガラスからガラス繊維を製造するガラス繊維の製造方法であって、ノズル孔の内周面における表面粗さRaの平均値を、2μm以下としたことに特徴付けられる。
本製造方法によれば、上記のガラス繊維の製造装置に係る説明で既に述べたものと同一の作用・効果が得られる。
本発明によれば、ブッシングに設けられた複数のノズル孔の各々より流出する溶融ガラスからガラス繊維を製造するに際し、製造される複数のガラス繊維の相互間で断面形状及び断面積の均一化を図ることが可能となる。
以下、本発明の実施形態に係るガラス繊維の製造装置および製造方法について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、実施形態の説明で参照する各図面において、X方向、Y方向、及び、Z方向は相互に直交する方向である。そして、X方向およびY方向は水平方向であり、Z方向は鉛直方向である。
<ガラス繊維の製造装置および製造方法の第一実施形態>
図1に示すように、ガラス繊維の製造装置は、ガラス原料から溶融ガラスGを連続的に生成するガラス溶解炉1と、ガラス溶解炉1に接続されたフォアハース2と、フォアハース2に接続されたフィーダー3とを備える。溶融ガラスGは、ガラス溶解炉1からフォアハース2を通じてフィーダー3に供給されると共に、フィーダー3内に貯留される。
図1に示すように、ガラス繊維の製造装置は、ガラス原料から溶融ガラスGを連続的に生成するガラス溶解炉1と、ガラス溶解炉1に接続されたフォアハース2と、フォアハース2に接続されたフィーダー3とを備える。溶融ガラスGは、ガラス溶解炉1からフォアハース2を通じてフィーダー3に供給されると共に、フィーダー3内に貯留される。
本実施形態では、ガラス溶解炉1に単一のフィーダー3が接続されているが、複数のフィーダー3が接続されていてもよい。また、本実施形態においては、溶融ガラスGはEガラスからなるが、Dガラス、Sガラス、ARガラス、Cガラス等の他のガラス材質からなってもよい。
フィーダー3の底部には、ブッシング4が図示省略のブッシングブロック等を介して取り付けられている。ブッシング4には、相互に同一の構成を有する複数のノズル5が設けられている。各ノズル5の近傍には、冷却手段としての冷却管6が配置されている。
ブッシング4、ノズル5、及び、冷却管6のそれぞれは、少なくとも一部が白金、又は、白金合金(例えば、白金ロジウム合金)により構成されている。
フィーダー3内に貯留された溶融ガラスGは、複数のノズル5の各々から下方に引き出されながら冷却され、ガラス繊維(モノフィラメント)Gmが製造される。ガラス繊維Gmを成形する際の溶融ガラスGの粘度は、102.0dPa・s〜103・5dPa・s(好ましくは102.5dPa・s〜103・3dPa・s)の範囲内に設定される。ここで言う「溶融ガラスGの粘度」とは、ノズル5に流入する位置における溶融ガラスGの粘度である。なお、溶融ガラスGの粘度を調整するために、ガラス溶解炉1、フォアハース2、フィーダー3、及び、ブッシング4の中から選択される一、又は、複数の要素を通電加熱等で加熱してもよい。
ガラス繊維Gmの表面には、図示省略のアプリケーターにより集束剤が塗布されると共に、100本〜10000本程度のガラス繊維Gmが一本のストランドGsとして紡糸される。紡糸されたストランドGsは、巻き取り装置であるボビン7の周りに繊維束Grとして巻き取られる。ストランドGsは、例えば、1mm〜20mm程度の長さに切断され、チョップドストランドとして利用される。
図2および図3に示すように、ノズル5は、溶融ガラスGを流出させる先端部において、X方向で対向する一対の長壁部51と、Y方向で対向する一対の短壁部52とを備え、これら壁部51,52により扁平な長円形のノズル孔53が形成されている。ノズル孔53の短径方向はX方向と一致すると共に、ノズル孔53の長径方向はY方向と一致している。なお、ノズル孔53は、扁平な形状であればよく、長円形の他、楕円形、長方形、菱形等であってもよい。
各長壁部51には切欠き部54が設けられており、ノズル孔53の一部が切欠き部54を通じてノズル5の外部空間と連通している。長壁部51のY方向に沿った寸法は、短壁部52のX方向に沿った寸法よりも長くなっている。なお、Z方向から視て、長壁部51がY方向に延び、短壁部52がX方向に延びているが、反対に短壁部52がY方向に延び、長壁部51がX方向に延びていてもよい。
冷却管6は、その内部で流体としての冷却水Fが循環することで、溶融ガラスGに対して冷却作用を及ぼす。冷却管6は、外形が板状に形成されており、板面がYZ平面と平行になるように配置されている。なお、冷却管6は、ブッシング4の底部に一体的に設けられているが、ブッシング4の底部から離間した位置に設けられていてもよい。また、冷却管6は、円管状に形成されていてもよい。
冷却管6の高さ位置は、溶融ガラスGの冷却条件に応じて調整が可能となっている。例えば、冷却管6は、ノズル5から引き出された溶融ガラスGと板面が面しないようにノズル5の先端部よりも上方に配置されていてもよいし、ノズル5及びノズル5から引き出された溶融ガラスGの双方と板面が面するように配置されていてもよい。なお、冷却手段としては、冷却管6の他、空気流を誘導して冷却作用を及ぼす冷却フィン等を用いてもよい。また、冷却手段は、必須の構成ではなく省略してもよい。
図3に示すように、ブッシング4の底部では、複数のノズル列LがX方向に間隔を空けて平行に配置されている。各ノズル列Lには複数のノズル5が属している。同じノズル列Lに属する複数のノズル5は、これらの各々に形成されたノズル孔53がY方向に延びた同一直線上に位置するように配置されている。
上記の冷却管6は、隣り合う両ノズル列L,Lの間において、ノズル列Lと平行に延びるように配置されている。これにより、冷却管6と対向した切欠き部54を通じて、ノズル孔53内を流通する溶融ガラスGが冷却される。具体的には、ノズル5の先端部において、溶融ガラスGは冷却管6により1000℃以上の温度から急激に冷却される。ここで、冷却管6は、ブッシング4やノズル5を冷却することで、両者の熱による劣化を抑制して耐久性を高める機能もある。
図4(a)〜(d)に示すように、各ノズル5の両長壁部51,51にそれぞれ設けられた切欠き部54は、先端部側に移行するに連れてY方向に沿った開口幅が漸次に拡大する。両切欠き部54,54は、相互に同一寸法に形成された台形状をなしている。詳細には、切欠き部54は、長壁部51のY方向における中心線M1上に上底の中点T1を有し、且つ、中心線M1を基準として対称な等脚台形状(上底が下底よりも短い)をなす。内角θ1(上底の両側の内角)の角度は、例えば、90°超〜160°(好ましくは、110°〜150°)である。
切欠き部54の形状は、台形状に限定されるものではなく、他の形状としてもよい。例えば、三角形状や半円形状であってもよい。これら他の形状を採用する場合でも、切欠き部54は、先端部側に移行するに連れてY方向に沿った開口幅が漸次に拡大していることが好ましい。また、切欠き部54は、必須の構成ではなく省略してもよいし、両長壁部51,51の一方のみに設けられていてもよい。
ノズル孔53は、ノズル5の基端部側に形成されて溶融ガラスGを流入させる流入口と、先端部側に形成されて溶融ガラスGを流出させる流出口とを有し、流入口から流出口までが均一な形状に形成されている。ここで、複数のノズル5に形成された各ノズル孔53は、相互に同一な構成(形状、寸法、後述の内周面Sの表面粗さ)となっている。なお、流入口と流出口との間でノズル孔53の形状は異なっていてもよい。つまり、流入口から流出口に至るまでにノズル孔53の形状が変化していてもよい。
図4(d)に示すように、ノズル孔53のX方向に沿った長さ(短径方向の長さ)をL1とし、Y方向に沿った長さ(長径方向の長さ)をL2としたとき、(L2/L1)の値は3〜15の範囲内となっている。なお、流入口から流出口に至るまでにノズル孔53の形状が変化する場合には、変化の前後で(L2/L1)の値が3〜15の範囲内となるようにする。この場合、変化の前後で(L2/L1)の値が異なっていてもよい。
ノズル孔53は、白金、又は、白金合金で構成された内周面Sを備える。内周面Sの表面粗さRa(算術平均粗さ)の平均値は、2μm以下となっている。内周面Sは、X方向(ノズル孔53の短径方向)で対向する一対の第一面Saと、Y方向(ノズル孔53の長径方向)で対向する一対の第二面Sbとを有する。第二面Sbにおける表面粗さRaの平均値は、第一面Saにおける表面粗さRaの平均値よりも大きくなっている。なお、内周面Sの表面粗さRaの平均値は、0.1μm〜2μmの範囲内であることが好ましく、0.3μm〜1.5μmの範囲内であることがより好ましい。
上記の表面粗さRaの値、ひいては、表面粗さRaの平均値は、例えば、以下のようにして調節が可能である。つまり、ドリルを用いた孔開け加工でノズル孔53を形成するに際して、ドリルの形状を変更したり、ドリルを振動させたりして調節が可能である。また、形成後のノズル孔53に対し、再度ドリルを接触させたり、焼きなましを施したりすることでも調節が可能である。
ここで、表面粗さRaの平均値は、未使用の状態(溶融ガラスGを流通させる前の状態)における値である。具体的な表面粗さRaの平均値の測定態様は、以下の(1)〜(4)のとおりである。(1)本製造装置に組み込むことが可能なノズル5を同一の作製条件の下で複数作製した後、これらの中から測定対象となるノズル5をサンプルとして抜き取る。(2)抜き取ったサンプルをノズル孔53の孔軸が延びる方向(本製造装置に組み込んだ場合にZ方向となる方向)に沿って切断する。(3)ノズル孔53の内周面S(第一面Saおよび第二面Sb)について、JIS B 0601:2001に準拠し、孔軸が延びる方向に沿って測定を行う。なお、測定には小坂研究所社製のサーフコーダ(製品名:ET4000)を使用し、測定距離は1mmとした。ここで、測定は相互に位置が異なる6箇所(第一面Saと第二面Sbとの各々について3箇所ずつ)に対して実施した。(4)6箇所のそれぞれで測定された表面粗さRaの値の平均をとり、内周面Sの表面粗さRaの平均値とした。さらに、第一面Saおよび第二面Sbのそれぞれで測定された3個の表面粗さRaの値の平均をとり、それぞれ第一面Saおよび第二面Sbの表面粗さRaの平均値とした。その上でサンプル以外のノズル5の内周面S、第一面Sa、及び、第二面Sbにおける各表面粗さRaの平均値を、サンプルについて測定された各表面粗さRaの平均値と同じ値と見做した。
また、ノズル孔53の内周面Sにおける表面粗さRz(最大高さ)の平均値は、3μm〜20μmの範囲内であることが好ましい。なお、第二面Sbの表面粗さRzの値は、第一面Saの表面粗さRzの値よりも大きい。
上記のように構成された本製造装置により製造されるガラス繊維Gmの各々は、図5に示すように、扁平な断面形状(引き出し方向に垂直な断面における形状)を有する異形断面ガラス繊維となる。本製造装置によれば、複数のノズル孔53の各々より流出する溶融ガラスGの流量を可及的に均一にできることから、製造される複数のガラス繊維Gmの相互間で断面形状及び断面積の均一化が図られる。
上記の効果が得られる理由を詳述すると、複数のノズル孔53の各々における内周面Sの表面粗さは、ガラス繊維Gmの製造中に、内周面S自体の熱と溶融ガラスGの熱で徐々に小さくなっていく。このとき、高温の溶融ガラスGがノズル孔53に流入するほど、表面粗さの小さくなる速度が速くなる。そして、複数のノズル孔53において、中央側に位置するノズル孔53に流入する溶融ガラスGの温度は、周辺側に位置するノズル孔53に流入する溶融ガラスGの温度よりも高いため、相対的に高温の溶融ガラスGが流入するノズル孔53と、相対的に低温の溶融ガラスGが流入するノズル孔53との間で、内周面Sの表面粗さにバラつきが発生する。この表面粗さのバラつきにより、従来においては、複数のノズル孔53の相互間で溶融ガラスGに作用する摩擦抵抗の大きさに差異が生じ、各ノズル孔53から流出する溶融ガラスGの流量にバラつきが生じていた。その結果、製造される複数のガラス繊維Gmの相互間で断面形状及び断面積を均一にすることが困難となっていた。しかしながら、本製造装置のように、ノズル孔53の内周面Sにおける元来の表面粗さ(未使用の状態における表面粗さ)を小さくし、表面粗さRaの平均値が2μm以下となるようにしておけば、複数のノズル孔53の各々より流出する溶融ガラスGの流量のバラつきを抑制できる。これにより、複数のガラス繊維Gmの相互間で断面形状及び断面積を均一にすることが可能となる。
<ガラス繊維の製造装置および製造方法の第二実施形態>
以下、第二実施形態について説明する。なお、第二実施形態の説明において、上記の第一実施形態で説明済みの要素と実質的に同一な要素については、同一の符号を付すことで重複する説明を省略している。
以下、第二実施形態について説明する。なお、第二実施形態の説明において、上記の第一実施形態で説明済みの要素と実質的に同一な要素については、同一の符号を付すことで重複する説明を省略している。
図6(a)〜(d)に示すように、第二実施形態が上記の第一実施形態と相違している点は、以下の二点である。すなわち、ノズル5に形成されたノズル孔53の形状が相違している点と、ノズル5の長壁部51に設けられた切欠き部54の形状が相違している点である。
ノズル孔53は、Y方向に細長いスリット部53aと、スリット部53aの両端部に設けられ、スリット部53aよりもX方向の寸法が大きい拡大部53bとを有する。つまり、ノズル孔53は、拡大部53bが略円形状をなすダンベル形状に形成されている。切欠き部54は、ノズル5の先端部側に移行するに連れてY方向に沿った開口幅が拡大することなく、均一幅に形成されている。なお、ノズル孔53の第二面Sbは、拡大部53bの内周面に沿って取り付けられた可撓性を有する板材の板面(表面粗さRaの平均値が0.1μm〜2μm)で構成されていてもよい。
<ガラス繊維の製造装置および製造方法の第三実施形態>
以下、第三実施形態について説明する。なお、第三実施形態の説明において、上記の第一実施形態で説明済みの要素と実質的に同一な要素については、同一の符号を付すことで重複する説明を省略している。
以下、第三実施形態について説明する。なお、第三実施形態の説明において、上記の第一実施形態で説明済みの要素と実質的に同一な要素については、同一の符号を付すことで重複する説明を省略している。
図7に示すように、第三実施形態が上記の第一実施形態と相違している点は、以下の二点である。すなわち、Z方向から視たときに、各ノズル列Lに属する複数のノズル5の配置される向きが相違している点と、ノズル5の両長壁部51,51の双方において切欠き部54が省略されている点である。
各ノズル5において、長壁部51はX方向に延びると共に、短壁部52はY方向に延びている。また、ノズル孔53の長径方向がX方向と一致すると共に、短径方向がY方向と一致している。これにより、ノズル5の両短壁部52,52がそれぞれ水冷管6と対向している。なお、切欠き部54は、必ずしも省略する必要はなく、長壁部51に設けられていてもよい。この場合、切欠き部54は、上記の第一実施形態と同一形状であってもよいし、第二実施形態と同一形状であってもよい。
<ガラス繊維の製造装置および製造方法の第四実施形態>
以下、第四実施形態について説明する。なお、第四実施形態の説明において、上記の第一実施形態で説明済みの要素と実質的に同一な要素については、同一の符号を付すことで重複する説明を省略している。
以下、第四実施形態について説明する。なお、第四実施形態の説明において、上記の第一実施形態で説明済みの要素と実質的に同一な要素については、同一の符号を付すことで重複する説明を省略している。
図8(a)〜(d)に示すように、第四実施形態が上記の第一実施形態と相違している点は、以下の二点である。すなわち、ノズル5に形成されたノズル孔53の形状が相違している点と、ノズル5の長壁部51に設けられた切欠き部54の形状が相違している点である。
ノズル孔53は、四隅に位置するコーナー部にR(丸み)を有する扁平な長方形状に形成されている。切欠き部54は、ノズル5の先端部側に移行するに連れてY方向に沿った開口幅が拡大することなく、均一幅に形成されている。
ここで、ノズル孔53の開口面積(図8(c)にてクロスハッチングを施した領域の面積)をAとする。さらに、短壁部52の内壁面をなす第二面Sbのうち、切欠き部54の頂部54aよりも下方に位置した壁面領域について、当該壁面領域をY方向から視た場合の投影面積(図8(d)にてクロスハッチングを施した領域の面積)をBとする。このとき、(A/B)の値は2〜50の範囲内に設定されている。好ましくは(A/B)の値を6〜10の範囲内に設定する。なお、本実施形態でのAの面積は、(L1×L2)の値に略等しくなる。一方、本実施形態でのBの面積は、切欠き部54のZ方向に沿った切欠き長さをWとすれば(W×L1)の値に等しい。従って、本実施形態における(A/B)の値は、(L2/W)の値に略等しくなる。
なお、本実施形態では、ノズル5の先端部側に移行するに連れて切欠き部54のY方向に沿った開口幅が拡大することなく均一幅に形成されているが、上記の第一実施形態のように開口幅が変化していてもよい。
ここで、本発明に係るガラス繊維の製造装置および製造方法は、上記の各実施形態で説明した構成や態様に限定されるものではない。例えば、上記の各実施形態では、ガラス繊維として異形断面ガラス繊維を製造しているが、円形断面を有する通常のガラス繊維を製造してもよい。
本発明の実施例として、上記の第四実施形態と同一の態様の下、[表1]のとおり(L2/W)の値と、ノズル孔53の扁平比(L2/L1)の値とを変更しながら、ガラス繊維Gm(異形断面ガラス繊維)を製造した。そして、製造されたガラス繊維Gmの扁平比を割り出した。
[表1]に示す実施例1〜7の具体的な実施条件は、ノズル孔53の内周面Sにおける表面粗さRaの平均値が、1.5μmであるノズル5を100個配列したブッシング4を用いて、溶融ガラスGの粘度が103.0dPa・sとなる成形温度で、800m/分から3000m/分の速度で紡糸を行った。得られたガラス繊維Gmの断面形状を観察し異形断面糸の扁平比(長径/短径比)を算出した。なお、100個の各ノズル5について、ノズル孔53の内周面Sにおける表面粗さRaの平均値は、上記の第一実施形態で説明した測定態様と同様の態様の下で測定した値である。
実施例1〜7において、ガラス繊維Gmの扁平比の標準偏差が0.15以下となった。[表1]に示す結果から、(L2/W)の値が2〜50の範囲内との条件と、(L2/L1)の値が3〜15の範囲内との条件の双方を満たす実施例1〜5では、製造されたガラス繊維Gm(異形断面ガラス繊維)の扁平比が、特に大きくなっていることが分かる。
4 ブッシング
51 長壁部
52 短壁部
53 ノズル孔
54 切欠き部
54a 頂部
A 開口面積
B 投影面積
G 溶融ガラス
Gm ガラス繊維
L1 ノズル孔の短径方向に沿った長さ
L2 ノズル孔の長径方向に沿った長さ
S ノズル孔の内周面
Sa 第一面
Sb 第二面
51 長壁部
52 短壁部
53 ノズル孔
54 切欠き部
54a 頂部
A 開口面積
B 投影面積
G 溶融ガラス
Gm ガラス繊維
L1 ノズル孔の短径方向に沿った長さ
L2 ノズル孔の長径方向に沿った長さ
S ノズル孔の内周面
Sa 第一面
Sb 第二面
Claims (6)
- 複数のノズル孔が設けられたブッシングを備え、前記複数のノズル孔の各々より流出する溶融ガラスからガラス繊維を製造するように構成されたガラス繊維の製造装置であって、
前記ノズル孔の内周面における表面粗さRaの平均値が、2μm以下であることを特徴とするガラス繊維の製造装置。 - 前記ノズル孔の形状が扁平に形成され、
前記ガラス繊維として異形断面ガラス繊維を製造するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のガラス繊維の製造装置。 - 前記ノズル孔の短径方向に沿った長さをL1とし、長径方向に沿った長さをL2としたとき、(L2/L1)の値が3〜15の範囲内であることを特徴とする請求項2に記載のガラス繊維の製造装置。
- 前記ノズル孔を囲う壁部が、該ノズル孔の短径方向で対向する一対の長壁部と、長径方向で対向する一対の短壁部とを有し、
前記一対の長壁部の各々が、下方に向けて口を開けた切欠き部を有し、
前記ノズル孔の開口面積をAとし、
前記一対の短壁部の各々における内壁面のうち、前記切欠き部の頂部よりも下方に位置した壁面領域について、該壁面領域を前記ノズル孔の長径方向に沿う方向から視た場合の投影面積をBとしたとき、
(A/B)の値が2〜50の範囲内であることを特徴とする請求項3に記載のガラス繊維の製造装置。 - 前記内周面が、前記ノズル孔の短径方向で対向する一対の第一面と、長径方向で対向する一対の第二面とを有し、
前記第二面における表面粗さRaの平均値が、前記第一面における表面粗さRaの平均値よりも大きいことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のガラス繊維の製造装置。 - 複数のノズル孔が設けられたブッシングを用いて、前記複数のノズル孔の各々より流出させた溶融ガラスからガラス繊維を製造するガラス繊維の製造方法であって、
前記ノズル孔の内周面における表面粗さRaの平均値を、2μm以下としたことを特徴とするガラス繊維の製造方法。
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