JP2019107954A - 自動二輪車用タイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】スチールコードと被覆ゴムとの初期接着性と劣化後接着性が改善されたベルト折れ性が顕著に改善された自動二輪車用タイヤを提供する。【解決手段】左右一対のビードコア間にトロイド状に跨る1層以上のカーカス層と、カーカス層のタイヤ半径方向外側に配置されたベルトとを備える自動二輪車用タイヤである。ベルトのスチールコードが、ブラスめっきの表面からワイヤ半径方向内側に5nmまでの深さの表層領域における、酸化物として含まれるリンの量が炭素の量を除いた全体量の割合で3.2アトミック%以下である、ブラスめっきが施されたスチールワイヤを2本以上撚り合わせたスチールコードであって、応力10〜290MPa区間での伸度が1.0〜2.5%の範囲である。【選択図】なし

Description

本発明は、自動二輪車用タイヤ(以下単に「タイヤ」とも称する)に関し、詳しくは、カーカスプライのタイヤ半径方向外側に、ゴムとの接着性に優れたスチールコードを使用したベルト層を備えるタイヤに関するものである。
空気入りタイヤでは、そのベルトやカーカスに、ブラスめっきが施されたスチールワイヤの複数本を撚り合わせてなる、又はスチールワイヤの単線からなる、スチールコードをゴムで被覆したものを適用し、主にスチールコードによる補強を図っている。スチールコードをタイヤの補強材として活用するには、該スチールコードをその被覆ゴムと確実に接着する必要があり、そのためにスチールコードを構成するスチールワイヤの周面にはブラスめっきが施されている。
従来、ブラスめっき表面の成分とゴム接着の関係については、いろいろな研究によって様々な知見が得られている。例えば、初期接着性に優れることが要求されるのは勿論、タイヤが使用中に劣化環境に置かれた際に、コード及びゴムの接着界面を含むゴム材の劣化に起因する故障が発生しないこと、さらにタイヤ製造工程での作業性や配合コストの抑制など、様々な要求を考慮しなくてはならない。
特に、周方向スチールベルトを用いた自動二輪車用タイヤにあっては、タイヤのトレッドクラウン部の曲率半径が小さいことに起因して、タイヤ転動時にタイヤセンター部でベルト引張−圧縮の繰り返し入力の影響を受けやすい。自動二輪車用タイヤの特徴として、タイヤショルダー部に比べ、タイヤセンター部の接着反応が遅れ、この部分の接着層が脆弱となる傾向にある。タイヤセンター部の初期接着性を確保するためには、加硫時間の延長や加硫温度を上げるといった対策が挙げられるが、加硫時間の延長はタイヤ生産性の悪化を招いてしまい、また、加硫温度の上昇はゴム物性の変化によるタイヤ性能悪化の可能性がある。
また、タイヤは使用中に劣化環境に置かれた際でも、コードおよびゴムの接着界面を含む、ゴム材の劣化に起因する故障が発生しないことが重要であるが、外部から水や酸素などの反応活性な物質が徐々に入り込んでくるため、タイヤの内部に埋め込まれたスチールコードを徐々に腐食し、あるいは、スチールコードと被覆ゴムとの接着性を劣化させる場合がある。これらの要因が重なることによって、スチールコードへの極端な圧縮入力が発生した場合に、接着破壊が起きると同時にベルト折れに至ることが懸念されることから、これまで種々の改良技術が提案されている。例えば、初期接着性と劣化後接着性を改善するために、スチールコードと被覆ゴムとをより確実に接着させる観点から、スチールワイヤに施されるブラスめっきの表層領域のリン酸化合物の量を低減させる方法が検討されている。
例えば、特許文献1には、ワイヤ最表層から5nmまでの深さにおけるリン酸化合物を1.5アトミック%以下に抑制することにより初期接着性と劣化後接着性を改善することが開示されている。
また、特許文献2においても、ブラスめっきの表層領域におけるリン酸化合物の低減により、スチールコードと被覆ゴムとの間の初期接着性と劣化後接着性、更にワイヤの耐腐食疲労性を改善することが開示されている。
国際公開WO02/066732号公報 特開2003―342883号公報
しかしながら、自動二輪車用タイヤのベルト折れの改善には、前記ブラスめっきの表層領域に酸化物として含まれるリンの量を抑制するだけでは不十分となる場合があることも判明した。そこで、ブラスめっきの表層領域に含まれるリンの量を抑制する以外の方法による、ベルト折れ性の更なる改善が求められていた。
そこで本発明の目的は、スチールコードと被覆ゴムとの初期接着性と劣化後接着性が改善され、スチールコードのベルト折れが抑制された自動二輪車用タイヤを提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討したところ、ブラスめっきを施したスチールワイヤ表層領域のリンの量を計測するにあたっては、ワイヤの伸線加工の過程で生産性確保のためワイヤに潤滑剤等を塗布する場合に、計測前に行うワイヤ表面の適切な溶媒での洗浄や軽度の乾式クリーニングによってもワイヤ表層領域に多量の炭素原子が検出されることがあるため、その精度に課題があることがわかった。そこで、更に鋭意検討したところ、ブラスめっきの表層領域におけるリンの量の特定を精度良く実現するためには、ワイヤ半径方向内側に5nmまでの表層領域に酸化物として含まれるリンの量について、後述の測定方法で検出される全元素のうち炭素を除いた量と割合で計測する必要があることを見出した。また、そのように計測されたブラスめっき表層領域におけるリンの量の割合を一定の値以下とすることが、スチールコードと被覆ゴムとの初期接着性と劣化後接着性に大きな影響を与える関係にあり、ベルト折れ性の改善にも密接に関係することを見出した。
さらに、本発明者はベルト折れ性のさらなる改善のため、自動二輪車用タイヤ転動時の引張−圧縮入力を緩和する方法を鋭意検討したところ、かかるスチールワイヤを撚り合わせた上に伸度制御を行ったスチールコードをベルトに適用することにより、ベルト折れ性が顕著に改善されることを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明の自動二輪車用タイヤは、左右一対のビードコア間にトロイド状に跨る1層以上のカーカス層と、該カーカス層のタイヤ半径方向外側に配置されたベルトとを備える自動二輪車用タイヤにおいて、
前記ベルトのスチールコードが、ブラスめっきの表面からワイヤ半径方向内側に5nmまでの深さの表層領域における、酸化物として含まれるリンの量が炭素の量を除いた全体量の割合で3.2アトミック%以下である、ブラスめっきが施されたスチールワイヤを2本以上撚り合わせたスチールコードであって、応力10〜290MPa区間での伸度が1.0〜2.5%の範囲であることを特徴とするものである。
本発明の自動二輪車用タイヤにおいては、前記ベルトがタイヤ赤道面に対して、実質上平行な配置となる周方向スチールベルト材を有することが好ましい。また、本発明の自動二輪車用タイヤにおいては、トレッドクラウン部の曲率半径が75mm以下であることが好ましい。また、本発明の自動二輪車用タイヤにおいては、前記スチールコードがスチールワイヤ本数をNとしたとき、N本のスチールワイヤを撚り合わせてなる1×Nで表されるコード構造を有し、該スチールワイヤの本数Nが2≦N≦7の関係を満たすことが好ましい。
本発明によれば、被覆ゴムとの初期接着性と劣化後接着性が改善され、ベルト折れ性が顕著に改善された自動二輪車用タイヤを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
スチールワイヤは、例えば径が5mm程度の線材に伸線加工を施して製造されるのが、一般的である。この製造プロセスにおいては、潤滑剤を使用することになるが、最終伸線工程ではコードとダイスの間に極圧が発生し、温度も非常に高くなることから、極圧かつ高温状態での潤滑性を確保するために、リン酸をベースとする潤滑剤を用いることが一般的である。
この潤滑剤は、伸線加工中にスチールワイヤ表面と反応して潤滑被膜層、すなわちリン酸化合物層を生成し、極圧高温条件の下での入力を緩和し、ワイヤの量産を実現している。従って、製造プロセス上、スチールワイヤのブラスめっき中にリン酸が取り込まれることは避けられないことである。
そこで、本発明者は、リン酸が含まれたブラスめっき中の銅がゴム側に拡散し、CuSを形成して接着が行われる接着反応について、とりわけ、ブラスめっき側のリン酸がゴムとの接着を阻害する機構について鋭意検討を行った。
その結果、ゴムとの接着を妨害するのは、ブラスめっき全体に取り込まれたリン酸ではなく、ゴムと接触するブラスめっきのごく表層、具体的にはブラスめっきの表面からワイヤ半径方向内側に5nmの深さまでの表層領域に存在するリン酸化合物に限定されることに加えて、後述の計測方法において、ブラスめっきの表層領域に存在する全元素のうち炭素を除いた全体量に対するリンの量の割合を計測する必要があることを見出した。すなわち、表層領域に残存するリンの量について高い精度で計測することと併せて、最終伸線後のワイヤの上記表層領域にリン酸化合物が残存しないことが、ゴム接着性を改善する本質であり、従来のようにめっき層全体のリン酸またはリンの量、例えば、希塩酸で溶解して測定されるようなリン酸やリンの量を抑制することだけでは解決し得ないことが分かった。
以下に、上記の知見を得るに至った経緯を説明する。まず、該スチールワイヤを得るための伸線工程において、そのパススケジュールやダイスの材質、そして潤滑材の成分組成、熟成条件または、液温度などを種々に変更して作製したワイヤのゴム接着性を評価したところ、ワイヤによってゴム接着性が異なることが明らかになった。次に、ゴム接着性の良好なワイヤに共通の条件を調査した結果、ゴム接着性に関する従来の一般的指標である、ブラスめっき表面における銅やリンの含有量では包括しきれないことが判明した。そこで、ゴム接着性に影響を与える要因について鋭意究明したところ、ブラスめっきのごく表層の領域、具体的にはブラスめっきの表面からワイヤ半径方向内側に5nmまでの表層領域における、酸化物として含まれるリンの量がゴム接着性と相関していることを見出した。
ここで、上記表層領域における酸化物として含まれるリンの量は、X線光電子分光法に従って計測することができる。すなわち、X線光電子分光法に従って計測され光電子の脱出深さ領域において、全元素の原子数と酸化物中のリンの原子数とを検出し、全元素のうち炭素を除いた原子数を100としたときの酸化物中のリンの原子数を指数で表示したものを当該領域におけるリンのアトミック%とした。なお、酸化物としてのリンと他のリンとの判別は、リン原子のX線光電子スペクトルで測定されるP=p光電子の結合エネルギーの化学シフトに基づいて行うことができる。また、この5nmの深さまでの表層領域は、固体の光電子分光に関する一般的な文献にて示される、電子の運動エネルギーと脱出深度とによって認識することができる。
本発明においては、上記表層領域において、酸化物として含まれるリンの量を炭素の量を除いた全体量の割合で3.2アトミック%以下に抑制することが肝要である。なぜなら、リンの量が3.2アトミック%を超えて増加するにつれて、ゴムとの接着速度は遅くなり、所望のゴム接着性を確保するにはゴム配合を厳密に規制するなどの難しい操作が必要となり、またゴム中の水分率の影響が大きくなり、該水分の低下する冬季の製造ではゴム接着性を確保できなくなるからである。結果として、リンの量を3.2アトミック%以下にすることによって、劣化環境下であっても優れたゴム接着性を安定して得ることが可能になる。
また、本発明においては、ベルトを構成するスチールコードが、応力10〜290MPa区間においての伸度が1.0%〜2.5%の範囲であることも重要である。伸度をこの範囲に制御することにより、タイヤ転動時の引張−圧縮入力を緩和し、ベルト折れ性を効果的に改善し、抑制することができる。
スチールコードの伸度が1.0%未満であるとタイヤ転動時の引張−圧縮入力を緩和できず、ベルト折れを抑制することができない。一方、スチールコードの伸度が2.5%を超えるとスチールコードに螺旋型付けを過剰に付与しなければならず、スチールワイヤへのダメージが大きくなり、結果として疲労性を損なうことが判明した。
本発明においては、上記ベルトに、タイヤ赤道面に対して、実質上平行な配置となる周方向スチールベルト材を好適に用いることができる。ここで、本発明において、タイヤ赤道面に対して実質上平行な配置であるとは、例えば、コード角度がタイヤ周方向に対し、±0〜10°の範囲内であることを意味する。上記ベルトに、タイヤ赤道面に対して、実質上平行な配置となる周方向スチールベルト材を用いることで、自動二輪車における操縦安定性、特に高速での操縦安定性を向上することができる。
また、本発明においては、トレッドクラウン部の曲率半径が75mm以下であることが好ましい。かかる曲率半径のときに本発明の効果が顕著となる。より好ましくは60mmから75mmの範囲である。
さらに、本発明においては、ブラスめっきの平均層厚さが0.13〜0.35μmであることが好ましい。すなわち、ブラスめっきの平均層厚さが0.13μm未満では鉄地が露出する部分が増加することにより初期接着性が阻害され、一方0.35μmを超えると、タイヤ使用中の熱によって過剰に接着反応が進行し、脆弱な接着しか得られなくなるからである。
さらにまた、ブラスめっきにおける銅および亜鉛の総量に対する銅の比率が60〜66質量%であることが好ましい。まず、ブラスめっきにおける銅および亜鉛の総量に対する銅の比率が60質量%未満になると、伸線性が悪化して断線することにより生産性が阻害され、量産することが難しくなる。一方、同66質量%を超えると、耐熱接着性や耐水分接着性が低下し、タイヤが曝される環境に対して十分な耐久性を維持することが難しくなる。
また、スチールワイヤの直径は疲労性とコード生産性を確保する観点から0.15〜0.30mmが好ましい。0.15mm未満となると、スチールワイヤの伸線生産性が著しく低下することになる。0.30mmを超えると、使用したタイヤが曲げ変形下で繰り返し歪みを受けたときに、表面歪が大きくなることで耐疲労性を悪化させるからである。さらに、スチールコードの直径はタイヤ重量と強度確保の観点から、0.30〜1.10mmが好ましい。0.30mm未満ではスチールコード強度が著しく低下する為、タイヤ補強に支障がでてしまう。1.10mmを超えるとスチールコードを被覆するコーティングゴム量の増大が顕著となる。
また、上記のワイヤを2〜7本撚り合わせることによって、タイヤのベルトの補強材に適したスチールコードとすることができる。特に自動二輪車用タイヤにおいては、タイヤセンター部とゴムとの接着時間が早くなることによって、タイヤセンター部の初期接着性を確保することができ、タイヤの加硫時間も大幅に短縮可能となる。
なお、極圧高温条件の下で伸線を行った場合に、表層領域における酸化物に含まれるリンの量を炭素の量を除いた全体量の割合で3.2アトミック%以下に制御するために、次の製造工程を経ることが好ましい。
すなわち、伸線加工のパススケジュール、ダイスのエントランスやアプローチの形状並びに角度、ダイスの材質および潤滑剤組成などの調整を、単独または適宜組み合わせて行うことによって、上記表層領域における酸化物に含まれるリンの量を抑制することができる。とりわけ、最終伸線工程において、極圧添加剤を含む潤滑剤を通常と同様に用いて、最終伸線工程の概略20パスのダイスのうち最終パスまたは最終パスを含む後段数パス程度に、優れた自己潤滑性に併せて優れた切削性を有する材質からなるダイス、例えば焼結ダイヤモンドダイスを適用して伸線加工を行うことが特に好ましい。
以下、本発明を実施例に基づき説明する。
下記表1〜3に示す仕様に従って製造されたスチールコードの劣化後接着性、耐ベルト折れ性、応力10〜290MPa区間での伸度について試験を行った。空気(酸素)存在下で相対湿度:85%および温度:60℃の雰囲気中に8日から2日おきに16日後まで保持したスチールコードを、JIS G3510−1992の参考に規定されたゴム接着試験方法に準拠して、ゴム接着性試験を行って劣化後接着性を評価した。また、自動二輪車用タイヤ(サイズ120/70ZR17)を作製し、2万km走行した後、供試タイヤを解剖してベルト層内のコードを採取し、折れた状態にあるコードの本数を調査しその比率を求めた。この比率が小さいほど、耐ベルト折れ性に優れていることを示す。なお、スチールコードの伸度は、スチールコードに余分な応力がかからないようにスプールより取り出し、JIS G3510−1992に準拠した引張り試験を行い、算出した値である。これらの結果を、下記表1〜3に併記する。
Figure 2019107954
*ブラスめっきの表面からワイヤ半径方向内側に5nmの深さまでの表層領域
Figure 2019107954
Figure 2019107954
また、ブラスめっきの表層領域におけるリンの定量は、X線光電子分光法を用いて、スチールワイヤの曲率の影響を受けないように20〜30μmφの分析面積にて、ワイヤのめっき表層領域に存在する原子から炭素を除いた原子、つまりCu,Zn,O,PおよびNの原子数を計測し、Cu,Zn,O,PおよびNの合計原子数を100としたときの、Pの原子数の比率を求めた。各原子の原子数は、O:O1S,P:P2P,Cu:Cu2p3/2,Zn:Zn2p3/2およびN:N1Sの光電子のカウント数を用いて、それぞれの感度係数で補正して求めた。
リンの検出原子数[P]は下式にて求めた。
[P]=Fp(P2Pの感度係数)×(一定時間当たりのP2P光電子のカウント)
他の原子についても同様に検出原子数を求め、それらの結果からリンの相対原子%を
次式
P(%)={[P]/([Cu]+[Zn]+[O]+[N]+[P])}×100
に従って求めた。
なお、分析前のワイヤの表面がオイル等で覆われていたり有機物で汚染されていたりする場合には、適切な溶媒で洗浄し、さらに必要に応じて表面を改質しない程度の軽度の乾式クリーニングを施した。
上記表1〜3の結果が示すように、スチールワイヤに施されるブラスめっきの表層領域において、酸化物として含まれるリンの量が炭素の量を除いた全体量の割合で3.2アトミック%以下に抑制されたとき、また、ベルトを構成するスチールコードが、応力10〜290MPa区間においての伸度において1.0%〜2.5%の範囲であるときに、初期接着性と劣化後接着性、特に8日〜16日経過時のゴム付きによって測定される劣化後接着性が非常に良好であった。このことから、ベルト折れ性が顕著に改善されることがわかる。即ち、本発明のスチールコードに係る自動二輪車用タイヤは、従来からのタイヤと比較してベルト折れ性が顕著に改善したタイヤである。

Claims (4)

  1. 左右一対のビードコア間にトロイド状に跨る1層以上のカーカス層と、該カーカス層のタイヤ半径方向外側に配置されたベルトとを備える自動二輪車用タイヤにおいて、
    前記ベルトのスチールコードが、ブラスめっきの表面からワイヤ半径方向内側に5nmまでの深さの表層領域における、酸化物として含まれるリンの量が炭素の量を除いた全体量の割合で3.2アトミック%以下である、ブラスめっきが施されたスチールワイヤを2本以上撚り合わせたスチールコードであって、応力10〜290MPa区間での伸度が1.0〜2.5%の範囲であることを特徴とする自動二輪車用タイヤ。
  2. 前記ベルトがタイヤ赤道面に対して、実質上平行な配置となる周方向スチールベルト材を有する請求項1記載の自動二輪車用タイヤ。
  3. トレッドクラウン部の曲率半径が75mm以下である請求項1または2記載の自動二輪車用タイヤ。
  4. 前記スチールコードがスチールワイヤ本数をNとしたとき、N本のスチールワイヤを撚り合わせてなる1×Nで表されるコード構造を有し、該スチールワイヤの本数Nが2≦N≦7の関係を満たす請求項1〜3のうちいずれか一項記載の自動二輪車用タイヤ。
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