JP2015209623A - ブラスめっき付きゴム物品補強用スチールワイヤ - Google Patents

ブラスめっき付きゴム物品補強用スチールワイヤ Download PDF

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Abstract

【課題】過加硫接着性を向上することが可能なブラスめっき付きゴム物品補強用スチールワイヤを提供する。【解決手段】本発明は、XPS(X線光電子分光)法による測定において、最表面に、亜鉛が4.93〜14原子%の量で含まれ、且つ、酸素が50原子%以下の量で含まれ、該最表面における、亜鉛に対する銅の原子数量比が2.33超6以下であることを特徴とする、ブラスめっき付きゴム物品補強用スチールワイヤである。【選択図】なし

Description

本発明は、ブラスめっき付きゴム物品補強用スチールワイヤに関する。
自動車用タイヤ、コンベアベルト、ホース等、特に強度が要求されるゴム物品には、ゴムを補強して強度及び耐久性を向上させる目的で、スチールコード等の金属補強材を被覆ゴムで被覆したスチールコード−ゴム複合体が用いられている。ここで、かかるスチールコード−ゴム複合体が高い補強効果を発揮し、信頼性を得るためには、該被覆ゴムと金属補強材との間に安定かつ強力な接着が必要である。
被覆ゴムと金属補強材との間にこうした高い接着性を発揮するスチールコード−ゴム複合体を得るため、亜鉛、真鍮等でめっきされたスチールコード等の金属補強材を硫黄が配合された被覆ゴムに埋設し、加熱加硫時にゴムの加硫と同時にこれらを接着させる、いわゆる直接加硫接着が広く用いられている。これまで、該直接加硫接着による前記被覆ゴムと金属補強材との間のさらなる接着性向上のため、該直接加硫接着に関する様々な検討が行われている。
例えば、特許文献1には、スチールワイヤの周面にブラスめっきを施し、次いで伸線加工を施した後、該スチールワイヤの表面を、遷移金属を塩として含む水溶液にて洗浄することで、該ブラスめっきの表面における、亜鉛および銅を除く遷移金属の濃度を0.01mass%以上としたスチールワイヤが提案されている。
特開2009−91691号公報
ところで、特許文献1に記載されたスチールワイヤは、ゴムとの初期接着性と耐熱接着性の向上は認められるものの、さらに、過加硫時の接着性(以下、過加硫接着性とも称す)の向上が望まれていた。
かかる過加硫接着性が重要視される理由は、例えばタイヤ加硫時、タイヤ内部も含めたゴム全体の加硫度を確保するために、例えば比較的長時間にわたって加硫を行うと、加硫が過度に進行する部分が存在し得ることとなり、その部分は熱履歴の影響により接着性が低下する虞があるからである。この現象のメカニズムは必ずしも明確ではないが、ゴム中の脂肪酸、金属塩などの成分が接着層にアタックする反応が進行することに起因すると考えられる。
また、過加硫接着性、初期接着性および耐熱接着性は、ブラスめっき付きスチールワイヤ表面の酸素の量にも影響されるが、特許文献1のスチールワイヤでは十分に検討されていなかった。
そこで、本発明は、過加硫接着性を向上させることが可能なブラスめっき付きゴム物品補強用スチールワイヤを提供することを目的とする。
本発明のブラスめっき付きゴム物品補強用スチールワイヤは、XPS(X線光電子分光)法による測定において、最表面に、亜鉛が4.93〜14原子%の量で含まれ、且つ、酸素が50原子%以下の量で含まれ、該最表面における、亜鉛に対する銅の原子数量比が2.33超6以下であることを特徴とする。本発明のブラスめっき付きゴム物品補強用スチールワイヤによれば、過加硫接着性を向上させることができる。
なお、本発明において、特定の原子についての「原子%」とは、XPS法で測定された全ての原子の数量に対する、特定の原子の数量の割合を意味し、また、「原子数量比」とは、原子の数量の比を意味する。
また、本発明のブラスめっき付きゴム物品補強用スチールワイヤでは、イオン化傾向が亜鉛より小さく銅よりも大きい金属が0.01〜2.0原子%の量でさらに含まれることが好ましい。この構成によれば、スチールワイヤを被覆する被覆ゴム中のコバルト塩の含有量を減らすことができるので、被覆ゴムの耐久性が向上する。
また、本発明のブラスめっき付きゴム物品補強用スチールワイヤでは、リンが0.5〜5原子%の量で含まれることが好ましい。これによれば、ブラスめっき付きゴム物品補強用スチールワイヤと被覆ゴムとの接着を容易に行いつつ、初期接着速度を確保することができる。
本発明によれば、過加硫接着性を向上させることが可能なブラスめっき付きゴム物品補強用スチールワイヤを提供することができる。
以下、本発明についてその実施形態に基づき具体的に説明する。
本発明のブラスめっき付きゴム物品補強用スチールワイヤ(以下、スチールワイヤとも称す)は、XPS(X線光電子分光)法による測定において、最表面に、亜鉛が4.93〜14原子%の量で含まれ、且つ、酸素が50原子%以下の量で含まれ、該最表面における、亜鉛に対する銅の原子数量比が2.33超6以下であることを特徴とする。
ここで本明細書において、ブラスめっき付きゴム物品補強用スチールワイヤの最表面とは、かかるスチールワイヤ表面からその深さ方向の厚みがXPS(X線光電子分光)法により測定される領域を意味し、より具体的には、ブラスめっき付きゴム物品補強用スチールワイヤ表面にX線を照射した際に発生する光電子の放出深さに相当する数nm程度の厚みを意味する。
本発明のブラスめっき付きゴム物品補強用スチールワイヤは、かかるスチールワイヤの最表面を上記XPS法により測定した際、その最表面に、亜鉛が4.93〜14原子%、好ましくは4.95〜13.5原子%、より好ましくは5.0〜13原子%の量で含まれる。亜鉛が4.93原子%以上であると、得られるスチールワイヤ−ゴム複合体の接着耐久性(耐熱接着性)が不十分になることを防止することができる。また、亜鉛が14原子%以下であると、亜鉛、特に酸化亜鉛の量が多くなりすぎることによる初期接着速度の低下を防止することができる。
また、本発明のブラスめっき付きゴム物品補強用スチールワイヤは、上記最表面における、亜鉛に対する銅の原子数量比が2.33超6以下、好ましくは2.33超3以下である。亜鉛が上記範囲内の量で含まれるブラスめっき付きゴム物品補強用スチールワイヤであれば、過加硫接着性を向上させることができる。具体的には、スチールワイヤとその被覆ゴムとを加硫する際、銅と被覆ゴム中の硫黄が反応して銅の硫化物からなる接着層が生成するところ、亜鉛に対する銅の原子数量比が2.33超であることにより、銅が十分存在することとなり、接着層が十分に生成するため、過加硫においても良好な接着性が得られる。なお、亜鉛に対する銅の原子数量比が6以下であることにより、接着層の肥大化による初期接着性の低下を防止することができる。なお、過加硫接着性とは、被覆ゴムを、通常よりも長時間加硫させた場合における、スチールワイヤ−ゴム複合体の接着性を意味する。
ところで、本発明のブラスめっき付きゴム物品補強用スチールワイヤでは、上記XPS法により測定した際、その最表面に、イオン化傾向が亜鉛より小さく銅よりも大きい金属が0.01〜2.0原子%の量でさらに含まれることが好ましく、より好ましくは0.02〜1.5原子%、さらに好ましくは0.05〜1.0原子%の量で含まれる。かかる金属を含むことにより、スチールワイヤを被覆する被覆ゴム中のコバルト塩の含有量を減らすことができるので、被覆ゴムの耐久性が向上する。また、2.0原子%を超えると被覆ゴムの耐久性のさらなる向上が確認されなくなるため、かかる金属の上限を2.0原子%とする。
なお、タイヤのゴム組成物に配合したコバルト塩を可能なかぎり低減することが好ましい。具体的には、ゴム組成物中のコバルト塩は、一般にタイヤ等に用いられている直接加硫接着における被覆ゴムと金属補強材との初期接着性を向上させるために、被覆ゴムに接着プロモーターとして配合されるところ、被覆ゴムの劣化及び亀裂成長性等に対する耐久性の向上の観点からは、コバルト塩を可能なかぎり低減することが好ましい。
ここで、イオン化傾向が亜鉛より小さく銅よりも大きい金属としては、例えば、クロム(Cr)、鉄(Fe)、カドミウム(Cd)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、鉛(Pb)等が挙げられる。なかでも、コバルトが好ましい。コバルトは、さらなる接着性向上を図るべく、接着プロモーターとして通常多くの被覆ゴムに配合されるが、かかる被覆ゴム中に含有されるコバルトの量によっては、熱や湿気、酸化に対する被覆ゴム自体の耐久性が低下する要因となりかねない。しかしながら、かかるコバルトをブラスめっき付きゴム物品補強用スチールワイヤに存在させることで、被覆ゴム中のコバルト含有量を低減することができるとともに、ゴム物性の低下を効果的に抑制しつつコストを削減することも可能となる。
また、本発明のブラスめっき付きゴム物品補強用スチールワイヤは、上記XPS法により測定した際、その最表面に、リンが0.5〜5原子%の量で含まれることが好ましく、より好ましくは1.0〜3.0原子%、さらに好ましくは1.5〜2.5原子%の量で含まれる。リンはブラスめっき付きゴム物品補強用スチールワイヤと被覆ゴムとの接着速度を調整する役割があるため、上記範囲に制御することにより、さらに良い接着性能が得られる。
上記ブラスめっき付きゴム物品補強用スチールワイヤは、例えば、以下の方法により製造することができる。スチールワイヤの周面にブラスめっきを施し、次いで伸線加工を施す。かかるめっき組成は、通常銅が70質量%以下、好ましくは60〜65質量%であり、亜鉛が30質量%以上、好ましくは35〜40質量%である。得られたスチールワイヤの表面を、イオン化傾向が亜鉛より小さく銅よりも大きい金属を金属塩として含む水溶液に浸漬した後、これらスチールワイヤを複数本撚り合せてもよく、またこれらスチールワイヤを複数本撚り合せてスチールコードとした後、該スチールコードの表面を、上記金属塩を含む水溶液に浸漬してもよい。
かかる金属塩としては、水に対して高い溶解性を示す限り特に制限されないが、例えば、金属塩化物、炭酸金属塩、硝酸金属塩、硫酸金属塩、酢酸金属塩、クエン酸金属塩、グルコン酸金属塩、アセチルアセトン金属塩等が挙げられる。なかでも、この金属塩を含む水溶液が後述する好適なpH値を実現するには、酢酸金属塩であるのが好ましい。
イオン化傾向が亜鉛より小さく銅よりも大きい金属の金属塩を含む水溶液は、当該金属塩の濃度が通常0.001〜1mol/L、好ましくは0.005〜0.5mol/L、より好ましくは0.01〜0.2mol/Lである。当該水溶液のpHは通常5.0〜8.0、好ましくは5.5〜7.5、より好ましくは6.0〜7.0である。上記範囲内の濃度とpH値とを有する金属塩を含む水溶液であると、ブラスめっきに悪影響を及ぼすおそれがないとともに、スチールワイヤの最表面における亜鉛及びイオン化傾向が亜鉛より小さく銅よりも大きい金属を所定の量で存在させることが容易に可能となる。また、かかるpH値は、環境上や製造時における安全性に配慮する観点からも好適である。
なお、上記金属塩を含む水溶液にスチールワイヤを浸漬する時間は、適宜設定すればよいが、通常0.05〜30秒、好ましくは0.1〜20秒である。
またなお、ブラスめっき付きゴム物品補強用スチールワイヤの、上記最表面における、亜鉛濃度、及び亜鉛に対する銅の原子数量比は、ブラスめっきの組成自体を調整すること以外、例えば、水溶液による処理(浸漬)時間及び/又は水溶液のpHの調整により調整することができ、例えば、水溶液による処理時間を長くするか、水溶液のpHを下げるかで、亜鉛原子数を減少させ、亜鉛に対する銅の原子数量比を増加させることができる。
このような浸漬処理を介することで、スチールワイヤ又はスチールコードの表面が洗浄され、本発明のスチールワイヤの被覆ゴムとの接着を阻害するといわれている成分(ZnO)が程よく除去されることによって、前記スチールワイヤと被覆ゴムとの初期接着性をより向上させることができる。
また、上記金属塩を含む水溶液にスチールワイヤを浸漬処理した後、スチールワイヤの表面が活性化するところ、当該浸漬処理後空気中の酸素に触れると、酸化反応により表面の酸素量が高くなり活性が低下する可能性がある。特に、ワイヤ表面を酸素存在下で加熱乾燥する場合上記の活性の減少が顕著となる。スチールワイヤ表面の酸素量が50原子%を超えると、接着反応を阻害してしまうため、本発明のブラスめっき付きスチールワイヤは、上記最表面における酸素の量は50原子%以下である。
したがって、上記金属塩を含む水溶液にスチールワイヤを浸漬処理した後、45℃以上の加熱による乾燥は行わないこととする。
上記金属塩を含む水溶液の浸漬処理を行った後のスチールワイヤの乾燥法は、例えば、スチールワイヤの表面を圧縮空気で噴射することにより行うことができる。さらに、その後の酸素量の増加を防止するため、スチールワイヤを45℃未満の環境下で保存することが好ましい。
なお、上記ブラスめっき付きゴム物品補強用スチールワイヤの最表面に、イオン化傾向が亜鉛より小さく銅よりも大きい金属としてコバルトを含む場合、上記ブラスめっき付きゴム物品補強用スチールワイヤを被覆するゴム組成物にコバルトを配合する際にその量を低減することができ、例えば、ゴム成分100質量部に対し、コバルトを0.04質量部未満の量で含有させてもよく、必ずしもコバルトを配合しなくてもよい。この場合、被覆ゴムにおける物性の低下を効果的に抑制しつつ、コストを削減することも可能となる。かかる観点からすれば、コバルトを一切含有しないのが望ましい。
また、タイヤに、カーカスプライやベルトプライ等の補強材として本発明のスチールワイヤと、当該スチールワイヤを被覆するゴム組成物との複合体(スチールワイヤ−ゴム複合体)を用いることが好ましい。かかるタイヤの構造自体は、特に制限されず、公知のタイヤ構造をそのまま採用することができる。なお、上記のスチールワイヤ−ゴム複合体は、初期接着性、耐熱接着性に優れるので、タイヤなどの屈曲頻度の多いものに、上記のスチールコード−ゴム複合体を用いると、特に効果的である。
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
黄銅めっき(Cu:63質量%、Zn:37質量%)スチールワイヤを撚り合わせて、1×3構造のスチールコードを作製し、次いで、このスチールコードを、酢酸コバルトが0.1mol/Lで含まれている水溶液(酢酸でpH6.5に調整)中に10秒間浸漬させ、余分な付着液をエアーブローで除去した後、1.5時間常温保存した。該スチールコードを平行に並べ、上下両方向から表1に示す配合のゴム組成物でコーティングし、表1に記載の条件で加硫してサンプルを作製した。該サンプルについて、以下の方法で過加硫接着性、劣化物性及び亀裂成長性を評価した。得られた評価結果、並びに上記浸漬後のスチールワイヤの最表面の組成をX線光電子分光(X−ray photoelectron Spectroscopy:XPS、Quantera SXM、アルバック・ファイ(株)製)にて、リン(P)、亜鉛(Zn)、酸素(O)及びコバルト(Co)の量(原子%)、並びに亜鉛に対する銅の原子数量比(Cu/Zn)を測定した結果を表1に示す。
なお、X線光電子分光による測定条件は、以下のとおりである。
X線源:単色化Al−Kα線
測定領域:50μmΦ
測定ピーク:C1s、O1s、N1s、P2p、Cu2p2/3、Zn2p2/3
データ処理:Multipak(アルバック・ファイ(株)製)
定量:得られたピーク面積から相対感度係数法を用いて定量
*Cu/Znは、Cu2p2/3、Zn2p2/3の定量値の比である。
[実施例2〜4、比較例1〜5]
表1に示すように、各配合量を変化させた以外、実施例1と同様にしてサンプルを作製して評価した。得られた結果を表1に示す。なお、亜鉛濃度、及び亜鉛に対する銅の原子数量比は、例えば、水溶液による処理時間を長くするか、水溶液のpHを下げるかで、亜鉛原子数が減少し、Cu/Znが増加する。
[比較例6]
スチールコードの浸漬処理後の乾燥条件などを表1に示すように変化させた以外、実施例1と同様にしてサンプルを作製して評価した。得られた結果を表1に示す。
《過加硫接着性の評価方法》
各サンプルを160℃で200分加硫した後、ASTM−D−2229に準拠し、各サンプルからスチールコードを引き抜き、ゴムの被覆状態を目視で観察して、比較例1のサンプルのゴム被覆率を100として、各サンプルを指数評価した。数値が大きいほど、過加硫接着性が優れることを意味する。
《ゴムの劣化物性の評価方法》
未加硫ゴムを160℃で20分加硫後、100℃で24時間(熱劣化条件)で劣化させた後に、JIS K6251に準拠して引張試験を行うことによってEb(切断時伸び(%))及びTb(引張強さ(MPa))を測定し、熱劣化後のTF(タフネス:Eb×Tb)を求め、比較例1を100として、各サンプルを指数評価した。数値が大きいほど、ゴムの劣化物性が優れること(熱劣化条件で劣化しにくいこと)を意味する。
《ゴムの耐亀裂成長性の評価方法》
各サンプルについて上島製疲労試験機を用いて定応力疲労試験を行い、破断するまでの回数を測定し、比較例1を100として指数表示した。該数値が大きいほど耐亀裂成長性に優れることを示す。
Figure 2015209623
※1 大内新興化学工業(株)製、ノクラック6C、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン
※2 大内新興化学工業(株)製、ノクセラーDZ、N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド
※3 OMG製、マノボンドC22.5、コバルト含有量22.5質量%
表1の結果から明らかなように、XPS法による測定で最表面に、Znが特定の量で、且つ、Oが特定の量で含有され、且つ、最表面におけるCu/Znが特定の値であるスチールコードを採用した実施例1〜4は、比較例1〜6に比して、優れた過加硫接着性を発揮できることがわかる。
本発明によれば、過加硫接着性を向上することが可能なブラスめっき付きゴム物品補強用スチールワイヤを提供することができる。

Claims (3)

  1. XPS(X線光電子分光)法による測定において、
    最表面に、亜鉛が4.93〜14原子%の量で含まれ、且つ、酸素が50原子%以下の量で含まれ、
    該最表面における、亜鉛に対する銅の原子数量比が2.33超6以下であることを特徴とする、ブラスめっき付きゴム物品補強用スチールワイヤ。
  2. イオン化傾向が亜鉛より小さく銅よりも大きい金属が0.01〜2.0原子%の量でさらに含まれることを特徴とする、請求項1に記載のブラスめっき付きゴム物品補強用スチールワイヤ。
  3. リンが0.5〜5原子%の量で含まれることを特徴とする、請求項1又は2に記載のブラスめっき付きゴム物品補強用スチールワイヤ。
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