JP2019107591A - 処理水の製造方法、水処理装置及び該水処理装置の運転方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】地下水を処理するに際し、前処理を実施せず、地下水を逆浸透膜へ直接導入して処理するのみでは地下水中のアンモニアの除去が不十分であったが、前処理を実施せずに、地下水を直接逆浸透膜に導入する処理水の製造方法の提供。【解決手段】アンモニアを含む地下水を直接逆浸透膜に供給し、その後、逆浸透膜の透過水をカチオン交換樹脂に供給して地下水を処理することで、地下水中のアンモニアを除去する方法。好ましくは、逆浸透膜の透過水に酸を添加する、処理水の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、地下水を、逆浸透膜を用いて処理する水処理方法に関する。
逆浸透膜は、エネルギー消費量が少ない水処理膜として知られており、様々な分野で使用され、排水、海水、地下水などの処理にも使用されている。
例えば特許文献1には、地下水を化学的手段又は物理的手段により還元状態に調整する還元処理装置と、還元状態に調整された地下水をナノろ過膜又は逆浸透膜により処理し、透過水を製造する膜分離装置を備えた水処理システムが開示されている。
また、特許文献2には、半導体製造工程からの排出水、工水、市水、又は井水よりなる被処理水を、膜処理装置及びイオン交換樹脂を内蔵したイオン交換塔を備える超純水処理手段と、微生物による生物処理手段と、により処理する超純水を製造する方法が開示されている。
特開2011−189242号公報 特開2001−38390号公報
逆浸透膜を用いる場合、逆浸透膜に導入する被処理水については、被処理水中の不純物等の総量を一定量以下とすることが推奨されている。そのため、逆浸透膜に導入する被処理水は、予め前処理を実施することが通常である。特許文献1では、逆浸透膜へ被処理水を導入する前に、サンドセパレータ、カチオン交換体、紫外線照射、フィルター濾過などの前処理を行っている。また、特許文献2では、逆浸透膜へ被処理水を導入する前に、凝集、ろ過などの前処理を行っている。
本発明者らは、地下水を処理するに際し、上記特許文献で行われているような前処理を実施せず、地下水を逆浸透膜へ直接導入することを検討したところ、直接逆浸透膜に導入して処理するのみでは地下水中のアンモニアの除去が不十分であり、後処理において処理水に対して次亜塩素酸などのアンモニア除去剤を多量に使用してアンモニアを除去することが必要であることが判明した。本発明は、前処理を実施せず、地下水を逆浸透膜へ導入する処理水の製造方法における上記課題を解決する。
本発明者らは、地下水を直接逆浸透膜へ導入する場合における上記課題を解決すべく、アンモニア除去について更に検討し、逆浸透膜の透過水をカチオン交換樹脂に供給することで、課題を解決できることを見出した。
本発明は、以下のものを含む。
[1]地下水を直接逆浸透膜に供給し、該逆浸透膜の透過水をカチオン交換樹脂に供給する、処理水の製造方法。
[2]前記地下水はアンモニアを含む、[1]に記載の処理水の製造方法。
[3]前記逆浸透膜の透過水は、pHが7.0以下である、[1]または[2]に記載の処理水の製造方法。
[4]前記逆浸透膜の透過水に酸を添加する工程を含む、[3]に記載の処理水の製造方
法。
[5]地下水を直接逆浸透膜に供給して処理するための水処理装置であって、逆浸透膜と、該逆浸透膜の透過水の少なくとも一部を該逆浸透膜に導入し得る返送手段と、を有する、水処理装置。
[6]カチオン交換樹脂を有する、[5]に記載の水処理装置。
[7][5]または[6]に記載の水処理装置の運転方法であって、
前記逆浸透膜の透過水が流速を有した後、透過水の単位時間当たりの導電率の変化(ΔμS/t)が15μS/cm・sec以下となるまでの間、前記逆浸透膜の透過水の少なくとも一部を前記返送手段により逆浸透膜に導入する、水処理装置の運転方法。
本発明により、地下水を直接逆浸透膜へ導入する場合において、後処理で使用する次亜塩素酸の量を低減することができる。また、仮に逆浸透膜の不具合によって、透過水中のアンモニア量が増加した場合であっても、透過水中のアンモニアなどをカチオン交換樹脂により除くことが可能となり、処理水の品質を維持できる。
本発明の一実施形態を示す、処理フロー図である。 実験1の結果を示すグラフである。 実験2の結果を示すグラフである。 実験3の結果を示すグラフである。 実験4の結果を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に限定されない。
図1は、本発明の一実施形態を示す、処理フロー図である。当該処理フローが適用される水処理装置100の一形態では、逆浸透膜1、酸処理手段2、pH計3、CD計4、切替弁5、カチオン交換樹脂6、及びアンモニア分解手段7を含む。これら以外の手段や計測器を含んでもよい。
水処理装置100は、汲み上げられた地下水10が、直接逆浸透膜1に供給され得る。
地下水は、地中に存在する水であって、地層中の間隙を満たして存在している水であり、地域により水質が若干異なるものの、本実施形態では地域によって又は国によって特段限定されるものではない。
地下水10には、様々な物質が含まれる。本実施形態の処理水の製造方法、水処理装置は、特にアンモニアを含有する地下水に好適に使用できる。アンモニアを含有する場合には、その濃度が50ppm以下であることが好ましく、20ppm以下であることがより好ましく、10ppm以下であることが更に好ましい。下限は特段限定されず、0.01ppm以上であってよく、0.1ppm以上であってよく、1ppm以上であってよい。
アンモニアを上記範囲で含有する場合、本実施形態中に含まれるカチオン交換樹脂6によるアンモニア処理が好適に行われる。
その他、地下水10は鉱物などに由来する各種ミネラル、例えばカルシウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、塩化物イオン、硫酸イオン、鉄イオン、シリカなどを含んでいてもよく、有機物を含んでいてもよい。連続運転時間を長くするためには、これらの物質の含有量が低いことが好ましく、アンモニア以外の物質の
含有量が2000ppm以下であることが好ましく、1000ppm以下であることがより好ましく、500ppm以下であることが更に好ましい。
本実施形態では、地下水が直接逆浸透膜に供給され得る。ここでいう「直接」とは、通常地下水を逆浸透膜に導入する際に行う前処理、例えば金属除去、有機物除去、滅菌などを目的として行われる処理をすることなく、地下水を逆浸透膜に導入することを意味する。逆浸透膜を用いる場合、逆浸透膜に導入する被処理水を、被処理水中の不純物等の総量を一定量以下としてから逆浸透膜に導入することが推奨されている。これは、不純物等の総量が低減されないまま逆浸透膜に導入されることで、逆浸透膜に詰まりが生じて透過能が減少する、透過能を維持するため圧力差を大きくすることで逆浸透膜が破損する、などの恐れがあるためである。しかしながら本発明者らは、逆浸透膜を連続的に長時間運転するのではなく、間欠的に運転する場合には、地下水を直接逆浸透膜に供給できるとの結論に至った。
逆浸透膜1は特段限定されず、市販のものを用いることができる。また、通常逆浸透膜と称される膜よりも孔径が若干大きいナノフィルター膜(NF膜ともいう)も、本実施形態において逆浸透膜に含まれ得る。
逆浸透膜1への地下水10の導入量は、逆浸透膜1の処理能力により適宜設定すればよいが、膜ろ過流束が通常0.2m/m/Day以上であり、また通常2.0m/m/Day以下であり、0.6m/m/Day以下であることが好ましく、0.3m/m/Day以下であることがより好ましい。
地下水10は逆浸透膜1に導入され、逆浸透膜1を透過した透過水は酸処理手段2で酸処理されてもよい。酸処理手段2は、本実施形態においては必須の要件ではないが、後述するカチオン交換樹脂6におけるアンモニア交換効率の観点からカチオン交換樹脂6に導入する透過水のpHを7.0以下とすることが好ましいため、酸処理手段2により酸を添加してもよい。
酸処理手段2により添加される酸としては、透過水のpHを低下させるものであれば特に制限されないが、例えば硫酸、塩酸、硫酸、硝酸、炭酸等の無機酸や有機酸があげられるが、無機酸が好ましく、硫酸がより好ましい。酸の添加量は透過水のpHの数値により適宜設定することから、pH計3に示されるpHの値を確認しながら、透過水のpHを7.0以下となるように酸を添加することが好ましく、6.0以下となるように酸を添加することがより好ましい。
なお、逆浸透膜1を透過しなかった濃縮水のうち一部はフィードバックされて地下水10と合流させ、再度逆浸透膜1に導入されてもよく、別の一部は濃縮水11として排水されてもよい。
酸処理手段2によりpHを調整した透過水は、カチオン交換樹脂6に導入される。カチオン交換樹脂6は、透過水中のカチオン、特にアンモニアイオン、鉄イオン、マンガンイオンなどを除去できる。
本実施形態では地下水が直接逆浸透膜に供給されるが、直接逆浸透膜に地下水が供給された場合、地下水中のアンモニアの除去が不十分であり、処理水とするためには、透過水に対して次亜塩素酸などのアンモニア除去剤を多量に使用して、アンモニアを除去することが必要であることを見出した。そのため本実施形態においては、カチオン交換樹脂6を用いてアンモニアを除去する。また、カチオン交換樹脂6を配置することで、より上流の工程において何らかの不具合が生じてアンモニア濃度が上昇した場合や、陽イオン性物質の含有量が増加した場合であっても、カチオン交換樹脂6によりこれらを除去することができる。
カチオン交換樹脂6は、一定期間の使用によりカチオン交換能力が低下するため、塩化ナトリウムなどの再生剤を供給することでカチオン交換能力を再生させるか、カチオン交換樹脂を交換する必要がある。
カチオン交換樹脂6への、透過水の導入量は、カチオン交換樹脂6の処理能力により適宜設定すればよいが、空間速度SV(Space Velocity)が通常5以上であり、10以上であることが好ましく、また通常50以下であり、30以下であることがより好ましい。
以下に、カチオン交換樹脂6を設けるに際し、諸条件を検討した実験結果を示す。
<実験1:カチオン交換樹脂への透過水の導入量>
カチオン交換樹脂(三菱ケミカル社製 ダイヤイオンUBK10)に対しアンモニアを含む原水を、そのまま(図2中の原水)又は逆浸透膜を透過させた後(図2中の処理水)、空間速度(SV)を一定(SV=30(1/hr))として導入し、カチオン交換樹脂を通過した処理水のアンモニア濃度を測定した。その結果を図2に示す。
図2に示すとおり、逆浸透膜を透過させた透過水は、通水倍量(BV)が一定以下であでは、アンモニア濃度が高い井戸水であっても、確実にアンモニアの除去が可能となることが理解できる。アンモニア濃度を0.1mg/L以下とするためには、通水倍量が14000以下であることが好ましく、11000以下であることが好ましい。
<実験2:透過水のpH>
カチオン交換樹脂(三菱ケミカル社製 ダイヤイオンUBK10)に対しアンモニアを含む原水のpHを1〜13まで1ずつ変化させ、原水中におけるアンモニアとアンモニウムイオンとの存在比を確認した。結果を図3に示す。
図3に示すとおり、pH7以下であることで、原水中でアンモニウムイオンが支配的となり、カチオン交換樹脂によりアンモニウムイオンを効率的に除去できることが理解できる。
カチオン交換樹脂6によりカチオンが除去された透過水は、アンモニア分解手段7へ導入され、アンモニアが除去されて処理水12が得られる。アンモニア分解手段7は、典型的には次亜塩素酸の添加によるが、その他の手段であってもよい。カチオン交換樹脂6によりカチオン除去された透過水中のアンモニア濃度は、0.1mg/L以下であることが好ましい。カチオン交換樹脂6により、アンモニア濃度を上記範囲とすることで、アンモニア分解手段7で添加される次亜塩素酸の濃度調整がほとんど不要となる。
水処理装置100は、酸処理手段2とカチオン交換樹脂6との間に、切替弁5を有する。切替弁5での切り換えにより、逆浸透膜を透過した透過水は、逆浸透膜1に再度導入され得る。特に再稼働時に、水処理装置100に既に導入された地下水であって、カチオン交換樹脂6よりも上流に存在する透過水は、稼働直後、アンモニア濃度が高く、そのままカチオン交換樹脂6に導入すると、その後のカチオン交換樹脂処理においてアンモニアが吸着されカチオン交換樹脂の吸着能を低下させる。また、当該透過水はアンモニア以外のイオンも高濃度である。そのため、このような返送手段を設けることで、再稼働時に水処理装置100に存在するアンモニア濃度が高い地下水及び/又は透過水を再度逆浸透膜1に導入し得るため、再稼働時の次亜塩素酸等の消費量を抑制することが可能となる。
切替弁5を用いた具体的な運転方法としては、逆浸透膜の透過水が流速を有した後、透過水の単位時間当たりの導電率の変化(ΔμS/t)が15μS/cm・sec以下となるまで、逆浸透膜の透過水の少なくとも一部を前記返送手段により逆浸透膜に導入することが好ましい。このような運転方法により、再稼働後の水処理装置の運転を安定化させる
ことができる。
先に述べたように、本発明者らは、逆浸透膜を備えた水処理装置を連続的に長時間運転するのではなく、間欠的に運転することで、地下水を直接逆浸透膜に導入できることを見出した。水処理装置の運転条件としては、逆浸透膜の地下水透過能(地下水処理能)が著しく低下する前に、一度運転を停止し、膜に付着した不純物を除去(以下、膜の清掃ともいう。)する、又は逆浸透膜を交換することが好ましい。
逆浸透膜の運転は、定流量制御が好ましく、逆浸透膜の清掃の目安としては、地下水を定量供給する際の圧力が、初期の供給圧力から5%以上上昇した時点であってよく、10%以上上昇した時点であってよい。具体的な運転時間としては、2週間の連続運転後に逆浸透膜の清掃又は交換を行ってよく、1ヶ月の連続運転後に行ってよく、3か月の連続運転後に行ってよく、6か月の連続運転後に行ってよく、1年間の連続運転後に行ってよい。
ここで、膜を製造又は交換するために一旦水処理装置を停止した後、再稼働する際においては、透過水の単位時間当たりの導電率の変化(ΔμS/t)が15μS/cm・sec以下となるまで、逆浸透膜の透過水の少なくとも一部を前記返送手段により逆浸透膜に導入することが好ましい。10μS/cm・sec以下となるまでがより好ましく、5μS/cm・sec以下となるまでが更に好ましい。透過水を逆浸透膜へ返送する時間は、おおよそ5秒以上であってよく、10秒以上であってよく、20秒以上であってよく、30秒以上であってよく、また180秒以下であってよく、150秒以下であってよく、120秒以下であってよく、90秒以下であってよい。
このように再稼働する際に、透過水の一部を逆浸透膜に返送する理由としては、一旦水処理装置を停止すると、再稼働直後の装置の透過水であって、カチオン交換樹脂よりも上流に存在する水は、再稼働直後アンモニア(アンモニウムイオン)が高濃度で含まれることになるため、カチオン交換樹脂処理においてアンモニアが吸着されカチオン交換樹脂の吸着能を低下させる。また当該透過水は、アンモニア以外のイオンも高濃度である。そのため、透過水中のアンモニウムイオン濃度が定常状態となるまで、すなわち透過水の単位時間当たりの導電率の変化が一定値以下となるまでの間は、透過水を前記返送手段により逆浸透膜へと返送することが好ましい。以下に、再稼働時の透過水を逆浸透膜に返送することに想到するまでに、行った実験結果を示す。
<実験3:水処理装置再稼働時の透過水導電率と残留塩素との関係>
水処理装置100を稼働させた状態から一旦停止し、再稼働させた際の全塩素量、遊離塩素量、及び逆浸透膜出口導電率、を図4に示す。
図4に示すとおり、再稼働させた直後の透過水は、塩素消費量が大きく、導電率が高いことが確認できる。そのため、再稼働時には、逆浸透膜の透過水を逆浸透膜に返送することが好ましいことが理解できる。
<実験4:一定時間(60秒間)透過水を逆浸透膜に返送した際の、透過水導電率と残留塩素との関係>
再稼働後、一定時間(60秒間)透過水を返送することで、透過水の導電率を低く抑えることができた。結果を図5に示す。図5中、7:12〜60秒間、12:00〜60秒間、16:48〜60秒間、21:36〜60秒間、それぞれ透過水を逆処理膜に返送を行った。処理水中の導電率が安定していることが理解できる。
このように、再稼働時の返送時間を制御するため、導電率を測定するCD計4を設けることが好ましい。
100 水処理装置
10 地下水
11 濃縮水
12 処理水
1 逆浸透膜
2 酸処理手段
3 pH計
4 CD計
5 切替弁
6 カチオン交換樹脂
7 アンモニア分解手段

Claims (7)

  1. 地下水を直接逆浸透膜に供給し、該逆浸透膜の透過水をカチオン交換樹脂に供給する、処理水の製造方法。
  2. 前記地下水はアンモニアを含む、請求項1に記載の処理水の製造方法。
  3. 前記逆浸透膜の透過水は、pHが7.0以下である、請求項1または2に記載の処理水の製造方法。
  4. 前記逆浸透膜の透過水に酸を添加する工程を含む、請求項3に記載の処理水の製造方法。
  5. 地下水を直接逆浸透膜に供給して処理するための水処理装置であって、逆浸透膜と、該逆浸透膜の透過水の少なくとも一部を該逆浸透膜に導入し得る返送手段と、を有する、水処理装置。
  6. カチオン交換樹脂を有する、請求項5に記載の水処理装置。
  7. 請求項5または6に記載の水処理装置の運転方法であって、
    前記逆浸透膜の透過水が流速を有した後、透過水の単位時間当たりの導電率の変化(ΔμS/t)が15μS/cm・sec以下となるまでの間、前記逆浸透膜の透過水の少なくとも一部を前記返送手段により逆浸透膜に導入する、水処理装置の運転方法。
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