JP2019107036A - 培養装置および培養方法 - Google Patents

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【課題】密閉容器内の培地に対して効率良く酸素を溶け込ませることにより、密閉容器内の培地を迅速に培養することが可能な、培養装置および培養方法を提供する。【解決手段】培養装置10は、密閉容器35内に充填された培地を培養するものである。この培養装置10は、密閉容器35を保持する容器保持部12と、容器保持部12に保持された密閉容器35に対して密閉容器35の外方から物理的な運動を付与する運動付与部15とを備えている。【選択図】図1

Description

本発明は、培養装置および培養方法に関する。
殺菌された容器(PETボトル)に殺菌された内容物を無菌環境下で充填し、その後容器をキャップによって閉栓する無菌充填システム(アセプティック充填システム)が知られている。具体的には、無菌充填システムにおいて、成形した容器を無菌充填システムに供給し、無菌充填システム内で、容器に殺菌剤としての過酸化水素水溶液をスプレーする。その後これを乾燥して容器を殺菌し、次いで、容器に内容物を無菌充填する。
このような無菌充填システムの初期段階で実際に容器の充填を開始する前には、システムの無菌性が確保されているか否かを確認する必要がある。このため、システムの無菌性を確認する各種のテストが行われている。このような各種のテストを行った後、最終段階において無菌充填システムの無菌性を総合的に評価するため、無菌充填システムによって容器に培地を充填し、この培地入りの容器を用いて評価することが行われている。
この場合、培地を充填した容器を恒温庫で静置して培養することが一般的である。そして所定期間(例えば7日以上)の経過後、培地を充填した容器を恒温庫から取り出し、容器内の培地に菌が生残あるいは繁殖しているか否かを検証する。しかしながら、従来、容器を恒温庫で培養するのに要する時間が長いため、この間、無菌充填システムを使用することが難しいという問題がある。
特開2010−233563号公報
好気性の微生物にとって、酸素呼吸は、エネルギーを獲得するために必須である。一方、従来、微生物を好気的に培養するための培養装置として、培養容器の上から力を与えて撹拌する培養装置や培養容器を回転させて撹拌する培養装置等が存在しており、培養の目的や条件に応じて、微生物に酸素を供給する培養装置が知られている。
例えば、培養容器の上面から外力を与えて培養液を撹拌する培養装置が知られている(特許文献1参照)。このような培養装置は、微生物の凝集塊の形成や分解を妨げることがないように考えられたものである。しかしながら、特許文献1に示す培養装置において、培養容器は外力によって撹拌が行える様に柔らかい材質のものを用いる必要があるため、外力によって変形することができない硬い材質の培養容器を用いた場合、撹拌ができないなどの制約が生じる。
他の例では、培養容器を左右方向に運動(回転又は往復運動等)させて培養液を撹拌する培養装置が知られている。このような培養装置は、微生物の酸素供給を効率良くするように考えられたものである。しかしながら、培養容器及び培養容器を梱包する収容容器は外力に耐えられる様に強い材質のものを用いる必要があるため、培養容器及び収容容器が紙などの弱い材質からなる場合は、培養容器及び収容容器が外力によって変形、場合によっては破損してしまうなどの恐れがある。したがって、上述した培養装置を例えば無菌充填システムの検証のために用いることは実質的に困難である。
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、密閉容器内の培地に対して効率良く酸素を溶け込ませることにより、密閉容器内の培地を迅速に培養することが可能な、培養装置および培養方法を提供することを目的とする。
本発明は、密閉容器内に充填された培地を培養する培養装置であって、前記密閉容器を保持する容器保持部と、前記容器保持部に保持された前記密閉容器に対して前記密閉容器の外方から物理的な運動を付与する運動付与部とを備えたことを特徴とする培養装置である。
本発明は、前記容器保持部に、前記密閉容器の落下を防止ないし抑制するガイド部が設けられていることを特徴とする培養装置である。
本発明は、前記運動付与部は、前記密閉容器に対して上下左右に運動を付与し、前記運動が振動である場合は、前記密閉容器に対して振動を付与する振動付与部であることを特徴とする培養装置である。
本発明は、前記運動付与部が前記密閉容器に付与する運動の運動回数は、600回/分以上であることを特徴とする培養装置である。
本発明は、前記運動付与部が前記密閉容器に付与する運動の運動幅(前記運動が振動である場合は振幅)は、5mm以下であることを特徴とする培養装置である。
本発明は、前記容器保持部は上下方向に複数設けられ、各容器保持部にそれぞれ前記密閉容器が保持されることを特徴とする培養装置である。
本発明は、密閉容器内に充填された培地を培養する培養方法であって、容器保持部によって前記密閉容器を保持する工程と、前記容器保持部に保持された前記密閉容器に対して前記密閉容器の外方から物理的な運動を付与する工程とを備えたことを特徴とする培養方法である。
本発明は、前記物理的な運動を付与する工程は、前記密閉容器に対して上下左右に運動(振動等)を付与する工程であることを特徴とする培養方法である。
本発明は、前記運動(振動等)を付与する工程において、前記密閉容器に付与される運動の運動回数は、600回/分以上であることを特徴とする培養方法である。
本発明は、前記運動(振動等)を付与する工程において、前記密閉容器に付与される運動の運動幅(振動である場合は振幅)は、5mm以下であることを特徴とする培養方法である。
本発明によれば、密閉容器内の培地に対して効率良く酸素を溶け込ませることにより、密閉容器内の培地を迅速に培養することができる。
図1は、本発明の一実施の形態による培養装置を示す概略断面図。 図2は、本発明の一実施の形態による培養装置を示す概略平面図。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1および図2は本発明の一実施の形態を示す図である。
(培養装置)
まず図1および図2により本実施の形態による培養装置について説明する。
図1および図2に示す培養装置10は、密閉容器35内に充填された培地Mを培養する装置である。とりわけ培養装置10は、密閉容器35内の培地Mに菌が生残し、繁殖するか否かを早期に確認するものである。このような培養装置10は、密閉容器35を保持するテーブル(容器保持部)12と、テーブル12に保持された密閉容器35に対して、密閉容器35の外方から振動(運動)を付与する振動子(運動付与部、振動付与部)15とを備えている。
この場合、密閉容器35は、ボトル(容器)30と、ボトル30を密閉するキャップ33とを含む。このボトル30は、合成樹脂材料を射出成形して製作したプリフォームを二軸延伸ブロー成形することにより作製される。ボトル30の材料としては、熱可塑性樹脂、特にPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、又はPEN(ポリエチレンナフタレート)を使用することが好ましい。このほか、密閉容器35としては、ガラス、缶、紙、パウチ、またはこれらの複合容器であっても良い。本実施の形態においては、密閉容器35としてボトルを用いる場合を例にとって説明する。
また密閉容器35は、複数並べられた状態で箱等の収容容器37に収容され、この状態でテーブル12上に配置される。
テーブル12は、平坦な平面略矩形状の板状部材からなる。また、テーブル12は上下方向に互いに離間して複数(この場合は2つ)設けられている。各テーブル12には、それぞれ収容容器37に収容された密閉容器35が保持されている。
また下方に位置するテーブル12には、密閉容器35及び/又は収容容器37の落下を防止するガイド部14が設けられている。具体的には、テーブル12の周囲にそれぞれ板状のガイド部14が立設され、各ガイド部14は、それぞれ上下方向に向けて延びている。このガイド部14の上方には、もう1つのテーブル12が取り付けられている。なお、ガイド部14は、テーブル12の両端部にそれぞれ設けられている。また、ガイド部14は、図1の紙面手前方向及び/又は紙面奥方向の端部にも設けられている。また、上方に位置するテーブル12にも、密閉容器35及び/又は収容容器37の落下を防止ないし抑制するガイド部14が設けられている。
例えば、テーブル12上に着脱可能にガイド部14を設け、ガイド部14上に順次テーブル12を取り付けても良い。これにより、テーブル12を多段に配置し、培養装置10に多数の密閉容器35及び/又は収容容器37を配置することが可能となる。
テーブル12の下方には、連結部材13を介して振動子15が取り付けられている。この振動子15がテーブル12に対して振動を付与することにより、テーブル12が振動し、テーブル12上の密閉容器35にも振動が加えられる。この振動子15としては、例えば超音波振動子等が用いられても良い。とりわけ運動付与部として振動子15を用いることにより、培養容器35及び収容容器37が紙などの弱い材質であっても外力によって変形、破損しない様に振幅を小さく、密閉容器35内の酸素を培地Mに効率良く溶け込ませるために運動回数を多くすることができる。
振動子15がテーブル12及び密閉容器35に付与する振動の運動回数は、600回/分以上である。振動子15が付与する振動の運動回数を上記範囲とすることにより、密閉容器35内の酸素を培地Mに効率良く溶け込ませることができ、培地Mの培養の速度を向上させることができる。
また、振動子15がテーブル12及び密閉容器35に付与する振動の振幅は、5mm以下である。振動子15が付与する振動の振幅を上記範囲とすることにより、密閉容器35内の酸素を培地Mに効率良く溶け込ませることができ、且つ、密閉容器35及び収容容器37が紙などの弱い材質であっても、密閉容器35及び収容容器37が外力によって変形することを防ぐことができ、培地Mの培養の速度を向上させることができる。
振動子15は、振動子固定ボルト16を用いて取付板17に固定されている。この取付板17は、ベース11に取り付けられている。ベース11は、例えば図示しない恒温槽内の平坦な水平面上に載置される。
(培養方法)
次に、上述した培養装置10を用いて、密閉容器35内の培地Mを培養する培養方法について説明する。
本実施の形態による培養方法は、例えば、図示しない無菌充填システム(アセプティック充填システム)の無菌性が確保されているか否かを確認するために実施される。この無菌充填システムは、通常の生産時には、殺菌されたボトル(PETボトル)30に殺菌された内容物を無菌環境下で充填し、その後ボトル30をキャップ33によって閉栓するものである。本実施の形態による培養方法は、例えば上述した無菌充填システムが完成した直後の初期段階、すなわち実際に無菌充填システムを用いてボトル30への充填を行い製品ボトルの製造を開始するよりも前に行われても良い。あるいは、本培養方法は、無菌充填システムにおける工程又は装置に何らかの変更が生じた場合や、無菌充填システムを一定期間使用しなかった場合等、無菌性に影響を及ぼすおそれが生じた場合に行っても良い。あるいは、本培養方法は、無菌性に影響を及ぼすおそれが生じたか否かに関わらず、所定の充填サイクル毎に定期的に行われても良い。
まず、本実施の形態による培養方法を行う前に、無菌充填システムの個々の要素に対してそれぞれ無菌性が確保されているか否かのテストを個別に行う。具体的には、例えば、内容物の供給ラインが正しく昇温されるか否かのテスト(SIP昇温確認テスト)、ボトル30やキャップ33が正しく殺菌されるか否かのテスト(ボトル殺菌テスト、キャップ殺菌テスト)、及び、無菌充填システムが配置される無菌チャンバが殺菌されるか否かのテスト(チャンバー殺菌テスト)等が行われる。
このようなテストを行った後、ボトル30の無菌性を評価するため、無菌充填システムの無菌性を検証する。具体的には、無菌充填システムに多数のボトル30を流し、各ボトル30に、実際に充填される内容物に代えて、所定の培地Mを充填してキャップ33により閉栓する。その後、このようにして作製された多数の密閉容器35を収容容器37に入れた後、収容容器37ごと培養装置10に載置し、培養装置10を用いて密閉容器35内の培地Mを培養する。そして一定期間の経過後に密閉容器35内の培地Mが腐敗しないことを確認するものである。
以下、本実施の形態による培養方法について、更に説明する。
まず、上述した無菌充填システムにおいて、殺菌された多数のボトル30に殺菌された培地Mを充填し、キャップ33を用いて閉栓することにより、密閉容器35を作製する。
ボトル30の本数は予め定められており、例えば100本以上300,000本以下(好ましくは1,000本以上30,000本以下)の所定の本数とすることができる。
次に、培地Mが充填された密閉容器35は、無菌充填システムから外部へ搬出され、箱等の収容容器37に詰められる。収容容器37は、コンベア上で手動又は自動で傾け(あるいは反転させ)、密閉容器35の内面に培地Mを確実に接触させる。
次いで、密閉容器35は、収容容器37に収容された状態で、培養装置10に搬送される。この培養装置10は、例えば予め25℃以上40℃以下の所定温度に維持された恒温庫内に配置されていても良い。なお、対象とする製品ボトルがホットベンダーなどで加温販売される場合は、高温菌の無菌性も確認する方が望ましく、培養装置10は、上記培養条件に加え、40℃以上65℃以下の温度の恒温庫内に配置されていても良い。
その後、収容容器37に収容された密閉容器35は、培養装置10の各テーブル12上に配置され、テーブル12に保持される。
続いて、培養装置10の電源を投入し、振動子15を作動させることにより、テーブル12を上下左右方向(図1の矢印方向)に振動させる。これにより、テーブル12を介してテーブル12に保持された密閉容器35に振動を付与する。このときの振動の運動回数は、600回/分以上であり、振動の振幅(運動幅)は、5mm以下である。またこのとき、振動子15は常時一定の運動回数及び/又は振幅で密閉容器35に振動を付与しても良く、あるいは、運動回数及び/又は振幅を周期的に変化させながら密閉容器35に振動を付与しても良い。あるいは、振動子15は断続的に密閉容器35に振動を付与しても良い。
所定の培養期間(例えば3日以上、好ましくは7日以上)の経過後、培養装置10を停止するとともに、全ての密閉容器35を培養装置10から取り出し、密閉容器35内の培地Mに菌が生残あるいは繁殖しているか否かを検証する。この検証の結果、菌が生残あるいは繁殖した密閉容器35が所定本数以下(例えばゼロ)であれば、無菌充填システムの無菌性が確保されていると判断する。一方、検証の結果、菌が生残あるいは繁殖した密閉容器35が所定本数以上(例えば1本以上)あれば、無菌充填システムの無菌性が不十分であると判断し、対策を講じる。例えば、ボトル30の搬送及び搬入経路の殺菌を実施したり、あるいは、無菌充填システムにおけるボトル30の殺菌条件を調製(強化)したりしても良い。
このように、振動子15を用いて密閉容器35に振動を付与することにより、密閉容器35内の培地Mに物理的な動きが加わり、培地Mが動いている状態で密閉容器35が保管される。これにより、密閉容器35内の培地Mを培養装置10内で培養する期間を短くすることができる。すなわち、培地Mに振動が加わることにより、培地M内への酸素の溶け込みが促進されるため、好気的に菌が培養され、これにより菌の培養速度を速めることができる。この結果、上記培養に必要な所定の培養期間(例えば3日以上好ましくは7日以上)を短縮することができ、密閉容器35に菌が生じているか否かの判定を迅速に行うことができる。
例えば、本発明者らの実験によれば、培地Mを充填した密閉容器35に対して培養装置10を用いて振動を加えることにより(実施例A)、密閉容器35に振動を加えなかった場合(比較例B)と比較して、菌の培養が促進できることが判明した。
具体的には、それぞれ液体の中性培地を充填した複数の密閉容器35を、そのヘッドスペース中に実験室内に浮遊する落下菌を含む状態で閉栓し、22℃乃至27℃で保管した。この間、一方のグループの密閉容器35(実施例A)には、培養装置10によって常時運動回数3,000回/分、振幅1mmの振動を加え、別のグループのボトル30(比較例B)には、振動を加えないようにして静置した。これにより、下記表のように、とりわけ培養日数2日乃至3日で陽性率が上昇した。このことは、密閉容器35に振動を加えない場合よりも、振動を加えることで、短い日数で菌を培養できることを示している。ここで、陽性率とは、最終的に菌が生残あるいは繁殖した(陽性となった)密閉容器35の本数(全陽性本数)に占める、所定の時点で陽性となっている密閉容器35の本数の割合をいう。具体的には、陽性率は、「陽性率(%)=(目視で陽性と確認できた本数/全陽性本数)×100」という式に基づいて算出される。なお、全陽性本数は、培養13日後に陽性と目視確認できた本数とした。
Figure 2019107036
以上のように本実施の形態によれば、振動子15により、テーブル12に保持された密閉容器35に対して、密閉容器35の外方から振動を付与する。これにより、密閉容器35内の培地Mを培養装置10内で培養する期間を短くすることができる。この結果、例えば無菌性を検証する対象である無菌充填システムを使用できない期間を短縮し、無菌充填システムを効率良く用いることができる。
また、本実施の形態によれば、振動子15により密閉容器35の外方から振動を付与するので、例えば培養容器の上から力を与えて培地を撹拌する培養装置や培養容器内の培地を直接撹拌する培養装置とは異なり、密閉容器35を変形させたり密閉容器35を開放したりする必要がない。さらに、テーブル12上に保持可能なものであれば、密閉容器35及び収容容器37の材質や梱包状態に制約されることがなく、好気的に培地Mを培養することが可能になる。
また、本実施の形態によれば、テーブル12に、密閉容器35の落下を防止ないし抑制するガイド部14が設けられている。これにより、密閉容器35の外方から振動を付与している間に、密閉容器35や収容容器37がテーブル12から落下する不具合を防止することができる。
また、本実施の形態によれば、振動子15は、密閉容器35に対して振動を付与するので、密閉容器35を微細に動かすことが可能となる。この結果、密閉容器35内の培地M内への酸素の溶け込みをより効果的に促進することができる。
また、本実施の形態によれば、振動子15が付与する振動の運動回数は、600回/分以上であり、振動子15が付与する振動の振幅は、5mm以下である。これにより、密閉容器35内の培地M内への酸素の溶け込みをより効果的に促進することができる。
さらに、本実施の形態によれば、テーブル12は上下方向に複数設けられ、各テーブル12にそれぞれ密閉容器35が保持される。このように上下にテーブル12を多段に配置することにより、多数の密閉容器35に対してまとめて振動を付与することができるので、多数の密閉容器35内の培地Mに対して効率良く酸素を溶け込ませ、効率良く培地Mを培養することができる。
なお、密閉容器35に対して付与される動きとしては、上述した振動のほか、従来の培養装置で使用されている運動方式、例えば回転、反転、往復等の運動であっても良い。すなわち、振動子15(振動付与部)に代えて、密閉容器35の外方から回転運動、反転運動、往復運動等の物理的な運動を付与する、各種の運動付与部(回転運動付与部、反転運動付与部、往復運動付与部)を用いても良い。この場合、培地Mに例えば回転、反転、往復等の物理的な運動を付与することにより、培地M内への酸素の溶け込みが促進されるため、好気的に菌が培養され、これにより菌の培養速度を速めることができる。表2は、振動子15からなる運動付与部のほか、往復運動や回転運動等の物理的な運動を付与する運動付与部を用いる場合の運動方式、運動回数等を示す。
Figure 2019107036
なお、上述の通り、本実施の形態においては、密閉容器35及び収容容器37が紙などの弱い材質であっても、密閉容器35及び収容容器37が外力によって変形することを防ぐことができる。一方、比較例1、2、3の様な振幅の大きい培養装置は、培養容器35及び培養容器35を梱包する収容容器37は外力に耐えられる様に強い材質のものを用いる必要があり、培養容器35及び収容容器37が紙などの弱い材質の場合は、培養容器35及び収容容器37が外力によって変形してしまうなどの恐れがあり、場合によっては(例えば運動幅の値を変更するなど)条件を調整することが必要である。
また、上記において、培養装置10は、無菌充填システムにおいて培地Mを充填した密閉容器35を載置し、この密閉容器35内の培地Mを培養するものである場合を例にとって説明した。しかしながら、培養装置10の用途はこれに限られるものでなく、培地Mを充填した任意の密閉容器35に対して用いることができる。例えば、培養装置10は、微生物増殖の過程で生成される産物を得る等の用途に用いられても良い。
10 培養装置
11 ベース
12 テーブル
13 連結部材
14 ガイド部
15 振動子
16 振動子固定ボルト
17 取付板
30 ボトル
33 キャップ
35 密閉容器
37 収容容器

Claims (5)

  1. 密閉容器内に充填された培地を培養する培養方法であって、
    無菌充填システムにおいて、殺菌された複数のボトルに殺菌された培地を充填し、キャップを用いて閉栓することにより、密閉容器を作製する工程と、
    前記培地が充填された密閉容器を、前記無菌充填システムから外部へ搬出し、収容容器に詰める工程と、
    前記収容容器をコンベア上で手動又は自動で傾け、あるいは反転させ、前記密閉容器の内面に前記培地を確実に接触させる工程とを備えた、培養方法。
  2. 前記収容容器を培養装置に保持し、前記培養装置を用いて前記収容容器に対して前記収容容器の外方から物理的な運動を付与する工程を更に備えた、請求項1記載の培養方法。
  3. 前記物理的な運動を付与する工程は、前記密閉容器に対して上下左右に運動を付与する工程である、請求項2記載の培養方法。
  4. 前記運動を付与する工程において、前記密閉容器に付与される運動の運動回数は、600回/分以上である、請求項3記載の培養方法。
  5. 前記運動を付与する工程において、前記密閉容器に付与される運動の運動幅は、5mm以下である、請求項3又は4記載の培養方法。
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