JP2019106287A - 光学部材、面状発光装置およびディスプレイ装置 - Google Patents

光学部材、面状発光装置およびディスプレイ装置 Download PDF

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Shinsei Isshiki
眞誠 一色
佐々木 崇
Takashi Sasaki
崇 佐々木
雄介 荒井
Yusuke Arai
雄介 荒井
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克巳 鈴木
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Abstract

【課題】ガラス製の導光板とレンチキュラーレンズを備える光学部材において、出射面からの出光効率が高い光学部材および該光学部材を用いた耐熱性および剛性に優れるとともに出光効率が高い面状発光装置およびそれを用いたディスプレイ装置の提供。【解決手段】出光面である第1の主面と前記第1の主面に対向する反射面である第2の主面と入光端面とを有するガラス板と、前記ガラス板の前記第1の主面上に配置された粘着層と、前記粘着層上に配置されたレンチキュラー層とを備え、波長594nmにおける前記ガラス板の屈折率をn1、前記粘着層の屈折率をn2、前記レンチキュラー層の屈折率をn3としたときに、下記式(1)を満たすことを特徴とする光学部材。【数1】【選択図】図1

Description

本発明は、光学部材、面状発光装置およびディスプレイ装置に関する。
従来、携帯電話機、PDA、液晶テレビ等に液晶表示装置が用いられている。液晶表示装置のバックライトは面状の発光装置であり、直下型とエッジライト型のものがある。エッジライト型は液晶表示装置の表示面に対して直交方向となる側面に光源が配置されるため、液晶表示装置の大画面化、薄型化に適している。
エッジライト方式のバックライトを用いた液晶表示装置では、さらにローカルディミング(local dimming)技術を組み合わせることにより、ダイナミックコントラストを上げることができる。さらに導光板の出射面にレンチキュラーレンズを備えることで、光源であるLEDからの光の指向性を向上させ、ローカルディミングを実施した際のディスプレイ性能を向上できるとされている(特許文献1)。
導光板としては樹脂材料製の導光板が広く使用され、例えば、特許文献2には、樹脂材料製の導光板の表面にプリズム列を多数形成したプリズムシートを設置する方法として、導光板本体とは異なる屈折率の樹脂材料を用いる技術が記載されている。
一方、エッジライト方式のバックライトの導光板としては、樹脂材料製の導光板に比べて耐熱性が高く、熱膨張が少ない材料として、ガラス材料製の導光板を使用することが行われている。例えば、特許文献3には、ガラス製の導光板に樹脂製のレンチキュラーレンズを備えた光学部材が記載されている。
特開2013−127966号公報 特開平09−166713号公報 国際公開第2017/086322号
しかしながら、ガラス製の導光板に樹脂製のレンチキュラーレンズを備えた構成とすると、屈折率が異なる界面での反射による光のロスが生じて、出射面からの出光効率が低下する課題があった。
本発明は、ガラス製の導光板とレンチキュラーレンズを備える光学部材において、出射面からの出光効率が高い光学部材、および該光学部材を用いた耐熱性および剛性に優れるとともに出光効率が高い面状発光装置およびそれを用いたディスプレイ装置の提供を目的とする。
本発明の光学部材は、出光面である第1の主面と前記第1の主面に対向する反射面である第2の主面と入光端面とを有するガラス板と、前記ガラス板の前記第1の主面上に配置された粘着層と、前記粘着層上に配置されたレンチキュラー層とを備え、波長594nmにおける前記ガラス板の屈折率をn、前記粘着層の屈折率をn、前記レンチキュラー層の屈折率をnとしたときに、下記式(1)を満たすことを特徴とする。
Figure 2019106287
また、本発明は、上記本発明の光学部材と、前記ガラス板の前記入光端面に近接して配置された光源とを備える、面状発光装置を提供する。
さらに、本発明は、上記本発明の面状発光装置を有するディスプレイ装置を提供する。
本発明によれば、ガラス製の導光板とレンチキュラーレンズを備える光学部材において、出射面からの出光効率が高い光学部材、および該光学部材を用いた耐熱性および剛性に優れるとともに出光効率が高い面状発光装置およびそれを用いたディスプレイ装置の提供が可能である。
実施形態に係る光学部材の一例のレンチキュラー層側から見た全体平面図である。 図1に示す光学部材のA−A線における概略断面図である。 図1に示す光学部材のB−B線における概略断面図である。 図3に示す光学部材断面のレンチキュラー層側の拡大図である。 実施形態に係る光学部材の別の一例のガラス板の反射面側から見た全体平面図である。 図5に示す光学部材のA−A線における概略断面図である。 図5に示す光学部材のB−B線における概略断面図である。 図5に示す光学部材を用いた本発明の面状発光装置の一例の全体平面図である。 図8に示す面状発光装置のA−A線における概略断面図である。 実施例における輝度の測定位置を示す図である。
以下に、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、これらの実施形態を、本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく、変更または変形できる。
本明細書において、レンチキュラー層とは、直線状に延在する複数個の集光構造体を、直線方向を略同一方向に合わせて、並列配置した構成を有する層である。集光構造体とは、レンズやプリズム等の集光特性を有する構造体である。
本明細書において屈折率は、特に断りのない限り、波長594nmにおける屈折率をいう。数値範囲を表す「〜」では、上下限を含む。本明細書において、「同形、同寸」は、幾何学的な厳密な意味での同一形状、同一大きさだけを意味するものではなく、目視したとき実質的に同一形状、同一大きさと認められるものを意味する。目視したとき実質的に同一の場合を「略同一」という。他の場合も「略」は、これと同様の意味に用いられる。
[光学部材]
図1は実施形態に係る光学部材の一例のレンチキュラー層側から見た全体平面図である。図2は図1に示す光学部材のA−A線における概略断面図である。図3は図1に示す光学部材のB−B線における概略断面図である。図4は、図3に示す光学部材断面のレンチキュラー層側の拡大図である。
図1、図2および図3に示す光学部材10Aは、出光面である第1の主面1aと第1の主面1aに対向する反射面である第2の主面1bと入光端面1cとを有するガラス板1と、ガラス板1の第1の主面1a上に配置された粘着層2と、粘着層2上に配置されたレンチキュラー層3とを備える。
図1において、光学部材10Aが有するガラス板1は、平面形状が矩形であり、すなわち、第1の主面1aと第2の主面1bが矩形であり、その短辺がY軸方向に平行に位置し、長辺がX軸方向に平行に位置する。光学部材10Aにおいて、レンチキュラー層3は、平面形状がガラス板1の平面形状と同形の基材32上に、短辺に平行して直線状に延在する複数のシリンドリカルレンズ31が、シリンドリカル面3aを基材32と反対側に向けて、長辺方向に並列に配置された構成を有する。レンチキュラー層3は短辺方向がY軸方向となるように、すなわち、シリンドリカルレンズ31の直線状に延在する方向がY軸方向となるように、ガラス板1の第1の主面1a上に、粘着層2を介して接着されている。
なお、ガラス板1の長辺方向がY軸方向になるように配置してもよく、この場合はシリンドリカルレンズ31の直線状に延在する方向が長辺方向となるようにレンチキュラー層3を配置する。
レンチキュラー層3においては、シリンドリカルレンズ31が集光構造体に相当する。シリンドリカルレンズとは、少なくとも片面がシリンドリカル面、すなわち一方向には曲率を持つがそれと直交する方向には曲率を持たない面を有するレンズであり、その垂直断面はたとえば半円弧を有する。レンチキュラー層が有する集光構造体は、シリンドリカルレンズに限定されない。集光構造体の直線状に延在する方向と直交する方向を含む面での断面形状としては、例えば、シリンドリカルレンズの場合の半円状の他、プリズム形状、プリズム形状の先端が丸い形状等が挙げられる。プリズム形状の先端の開き角は60〜120°のものが利用できる。
なお、レンチキュラー層3が有するシリンドリカルレンズ31は、光学部材10Aのようにガラス板1のいずれかの辺に略平行に直線状に延在してもよいし、必要に応じて特定の辺に対して所定の角度をもつような方向に直線状に延在することも可能である。また、レンチキュラー層3は、基材32上にシリンドリカルレンズ31を有する構成として説明したが、シリンドリカルレンズ31のみで構成されてもよい。レンチキュラー層3が、基材32を有する場合、通常、シリンドリカルレンズ31と基材32とは一体に成形されている。
光学部材10Aにおいて、ガラス板1は、第1の主面1aと第2の主面1bに直交するように配置されて両主面を連結する4つの端面を有する。図2に示すように、ガラス板1の入光端面は主面の一方の長辺に沿った端面1cである。後述のとおり、光学部材を光源と組み合わせて面状発光装置として使用する際には、入光端面に対向して光源が配置される。本発明の光学部材において、入光端面は、主面に直交せずに傾斜を有するように設けられてもよい。
また、入光端面は、例えば、光学部材10Aにおける、ガラス板1の場合、主面の両方の長辺に沿った互いに対向する2面であってもよい。光学部材10Aは、通常、レンチキュラー層3が有するシリンドリカルレンズ31の直線状に延在する方向(Y軸方向)に直交する断面と、ガラス板1の入光端面が平行の関係となるように設計される。一方、入光端面をガラス板の短辺側とする場合、光学部材10Aは、レンチキュラー層3が有するシリンドリカルレンズ31の直線状に延在する方向(X軸方向)に直交する断面と、ガラス板1の入光端面とが平行の関係となるように設計される。
光学部材10Aにおいて、ガラス板1の入光端面1cから入射した光は、光学部材10Aの内部を、シリンドリカル面3aとガラス板1の第2の主面1bの間で全反射を繰り返しながら、入光端面1cと対向する端面1dに向かってY軸方向に導光する。それと同時に、光は少なくともその一部をシリンドリカル面3aから光学部材10Aの外部に出射する。
より詳細には、ガラス板1の第1の主面すなわち出光面1a側から出射した光の少なくとも一部は、粘着層2、およびレンチキュラー層3を透過して光学部材10Aの外部に出射するようにしている。これにより、光学部材10Aは、レンチキュラー層3のシリンドリカル面3a側のほぼ全面から発光できる。光学部材10Aにおいては、レンチキュラー層3のシリンドリカル面3aが出光面である。なお、光学部材10Aからの出光はZ軸方向に直進性をもってなされることが好ましい。
実施形態の光学部材10Aにおいて、ガラス板1の屈折率をn、粘着層2の屈折率をn、レンチキュラー層3の屈折率をnとしたときに、式(1)を満たす。
Figure 2019106287
式(1)は、n、nおよびnの関係を示し、(1)を満たすことで、ガラス板1と粘着層2、粘着層2とレンチキュラー層3のそれぞれ界面での反射による光のロスを低減でき、光学部材10Aの出光面からの出光効率が高められる。
式(1)は、nとnとの差に対する、n、nの相乗平均とnとの差の比が取るべき範囲を示す。n、nの相乗平均とnとの差が小さくなることで、上記2つの界面における反射を抑えて光のロスを低減できる。さらに、発明者らによる鋭意検討の結果、この値が、nとnとの差に対して0以上1/2以下の範囲で制御されれば、上記2つの界面における反射が十分に小さく、反射による光のロスを十分に低減できることを見出した。
光学部材10Aは、n、nおよびnの関係において、さらに以下の式(2)のを満たすことが好ましい。
−n < n−n (2)
、nおよびnが式(2)の関係式を満たすことで、光学部材10Aのガラス板1の第1の主面1aを出る光は、ガラス板1と粘着層2、粘着層2とレンチキュラー層3との界面をそれぞれ透過しやすくなる。その結果、光学部材10Aの出光面からの出射しやすさと、導光成分の光学部材10Aの内部を導光しやすさとのバランスがとれて、光学部材10Aからの出射光の面内均一性を高めることができる。
屈折率差(n−n)と屈折率差(n−n)との差は、0.001以上であればよい。屈折率差(n−n)と屈折率差(n−n)の差は、0.1以下が好ましく、0.09以下がより好ましく、0.08以下がさらに好ましく、0.075以下がもっとも好ましい。
さらに、レンチキュラー層3の粘着層2側の主面(以下、「裏面」ともいう)3bの表面粗さRa[nm]は20[nm]以下が好ましい。
ここで、表面粗さRa[nm]は、レンチキュラー層3の裏面のレーザー顕微鏡下での観察や、接触式変位センサ(例えばブルカー社製、Dektak触診式プロファイリングシステム)での測定によって、裏面に対応する輪郭の線プロファイルを求め、得られた線プロファイルからJIS B0601(2001年)に規定される算術平均高さを求める方法で算出できる。
レンチキュラー層3の裏面3bの表面粗さRaを20nm以下にすることで、レンチキュラー層3と粘着層2の界面での光の散乱を抑制できる。それにより、光学部材10Aにおいて、ガラス板1の第1の主面1aに直交するZ軸方向に高い直進性を有する出光が可能となり高い出光効率が達成できる。レンチキュラー層3の裏面3bの表面粗さRaは16nm以下が好ましく、13nm以下がより好ましく、10nm以下がさらに好ましく、8nm以下が特に好ましい。
以下、光学部材10Aの各構成要素を説明する。
(ガラス板)
ガラス板1は、粘着層2、レンチキュラー層3と屈折率の関係が上記式(1)を満たすとともに、導光機能を有する。ガラス板1は、粘着層2、レンチキュラー層3と屈折率の関係がさらに上記式(2)を満たすことが好ましい。ガラス板1の屈折率は具体的には、1.45以上が好ましく、1.46以上がより好ましい。ガラス板1の屈折率は、入光時の反射損失を低減する観点から1.75以下が好ましく、1.61以下がより好ましく、1.59以下がさらに好ましく、1.57以下が特に好ましく1.55以下がもっとも好ましい。ガラス板1の屈折率が上記範囲にあることで、上記式(1)、式(2)を満たしやすい。
ガラス板1の厚さは、導光板のたわみ、変形を防ぐ観点から、0.7mm以上が好ましく、1.0mm以上がより好ましく、1.1mm以上がさらに好ましく、1.5mm以上が特に好ましい。ガラス板1の厚さは、重量が重くなることを防ぐこと、表示素子全体の厚みを抑える観点から3.0mm以下が好ましく、2.5mm以下がより好ましく、2.1mm以下がさらに好ましく、1.9mm以下が特に好ましい。
ガラス板1の厚さの偏差は、輝度ムラを防ぐ観点から、0.1mm以下が好ましく、0.05mm以下がより好ましい。厚さの偏差は、ガラス板1の第1の主面1aを上にした状態で定盤の上にガラス板1を平置きし、接触式変位センサ(例えばKEYENCE社製、高精度接触式デジタルセンサGT2)をガラス板1上で水平移動させることで変位分布を計測し、その最大値と最小値の差分を算出することで得られる。
光学部材10Aにおいてガラス板1の平面形状は矩形であるがこれに限定されない。必要に応じて、多角形や円形、楕円形としてもよい。光学部材10Aを液晶表示装置用の面状発光装置に用いる場合、ガラス板1は、通常、矩形である。ガラス板1の大きさは用途によるが、概ね、主面と平行な面における光が入射する端面から反対側の端面までの距離が40cm以上100cm以下の大きさが挙げられる。
ガラス板1内部を光が導光する光学特性を得るために、ガラス板1は、ソーダライムシリケートガラス、アルミノシリケートガラス、リチウムアルミノシリケートガラス、ホウ珪酸ガラス、無アルカリガラスなどの多成分系の酸化物ガラスからなる、可視光域(380〜780nm)の光線の平均内部透過率が高いガラス板が好ましい。
具体的には、ガラス板1は、50mm長における波長380〜780nmの光の平均内部透過率が85%以上であることが好ましく、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、さらにより好ましくは98%以上、特に好ましくは98.5%以上、最も好ましくは99%以上である。
バックライトの光源として、青色LEDを用いる構成の場合、青色領域(450〜500nm)の光線の平均内部透過率が高いガラス板が好ましい。この場合、ガラス板1は、50mm長における波長450〜500nmの光の平均内部透過率が85%以上であることが好ましく、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、さらにより好ましくは98%以上、特に好ましくは98.5%以上、最も好ましくは99%以上である。
平均内部透過率は次の手順で測定する。まず、対象となるガラス板の略中央部分から、ガラス板の第1の主面に垂直な方向で割断することにより、縦51mm×横51mmの寸法のサンプルを採取する。
次に、このサンプルを、縦50mm×横50mm×高さ1.8mmの直方体となるように研削した後、全ての面(2つの主面および4つの端面)の算術平均粗さRaがいずれも5nm以下となるように研磨する。研磨には、コロイダルシリカまたは酸化セリウムの遊離砥粒を用いる。このようにして得られたサンプルAは、隣り合う面のなす角が全て90度である。なお、ガラス板の厚さが1.8mm未満の場合には、高さ方向の研削は不要である。
次に、このサンプルAにおいて、相互に対向する端面をそれぞれ第1、第2の端面とすると、第1の端面の法線方向への入射光がサンプルAを透過して第2の端面から出射するときの測定波長範囲における透過率、すなわち50mm長での、測定波長範囲における透過率TAを測定する。透過率TAの測定においては、50mm長での測定が可能な分光測定装置(例えば、UH4150:日立ハイテクノロジーズ社製)を使用し、スリット等によって、入射光のビーム幅を板厚よりも狭くして測定する。
次に、Vブロック法によって、サンプルAの、g線(435.8nm)、F線(486.1nm)、e線(546.1nm)、d線(587.6nm)、C線(656.3nm)の各波長における屈折率を、精密屈折計により室温で測定する。
上記屈折率の値にフィットするようにSellmeierの分散式[下記の(I)式]の各係数B1、B2、B3、C1、C2、C3を最小二乗法によって決定することにより、サンプルAの屈折率nを得る:n=[+{Bλ/(λ−C)}+{Bλ/(λ−C)}+{Bλ/(λ−C)}]0.5 (I)
なお、(I)式において、λは波長である。
サンプルAの上記第1および第2の端面における反射率Rを、下記の理論式[(II)式]によって求める:R=(1−n/(1+n (II)
次に、下記の(III)式を用いて、サンプルAの50mm長での透過率TAから、反射の影響を除外することにより、サンプルAにおける、第1の端面から法線方向の50mm長での内部透過率Tinを得る:Tin=[−(1−R+{(1−R+4T }0.5]/(2T ) (III)
各波長で得られた内部透過率Tinを測定波長域にわたって平均化することにより、ガラス板の平均内部透過率Taveが算定される。
平均内部透過率が高く、屈折率を所望の範囲で精密に制御したガラス板を得るために、ガラス板1を構成するガラスの組成として好ましい組成の例を以下に示す。以下、ガラスの組成に係る各成分の含有量の単位「%」は、特に断りのない限り、酸化物基準の質量百分率表示である。また、ある成分を実質的に含有しないとは、該成分を積極的には含有させないが、不可避不純物による混入を許容することを意味する。
<組成1>
本発明に係るガラスの組成1は、酸化物基準の質量百分率表示で、SiOを60〜85%、Alを0〜10%、MgOを0〜10%、CaOを0〜20%、SrOを0〜15%、BaOを0〜15%、NaOを2〜20%、KOを0〜10%、Bを0〜20%含有する。
SiOはガラスの主成分である。SiOの含有量は、ガラスの耐候性、失透特性を保つため、60%以上であることが好ましく、より好ましくは62%以上、さらに好ましくは63%以上である。一方、溶解を容易にし、泡品質を良好なものとする観点から、SiOの含有量は85%以下であることが好ましく、より好ましくは80%以下、さらに好ましくは72%以下、特に好ましくは68%以下である。
Alの含有量が多くなると、溶解時の粘性が増加し、泡がぬけにくくなるおそれがある。したがって、Alの含有量は10%以下が好ましく、より好ましくは9%以下、さらに好ましくは8%以下、特に好ましくは6%以下である。
また、Alを含有する場合、Alの含有量は0.5%以上が好ましく、より好ましくは1%以上、さらに好ましくは2%以上、特に好ましくは2.5%以上である。Alはガラス中の非架橋酸素を減少させる効果をもつため、ガラスの耐候性の向上に寄与する。
MgOは、ガラス溶解時の粘性を下げ、溶解を促進する作用がある。また、比重を低減させ、ガラス物品に疵がつきにくいようにする作用があるため含有させてもよい。MgOを含有する場合、その含有量は好ましくは0.1%以上であり、より好ましくは0.5%以上、さらに好ましくは2%以上である。
一方で、MgOを含有するとガラスの熱膨張係数が増加し、失透特性が悪化するおそれがある。よって、MgOの含有量は、好ましくは10%以下、より好ましくは8%以下、さらに好ましくは5%以下、特に好ましくは3%以下である。
CaOは、ガラス原料の溶融を促進し、また粘性、熱膨張等を調整する成分であり、かかる効果を得るために、含有させてもよい。CaOを含有する場合、その含有量は、好ましくは1%以上、より好ましくは3%以上、さらに好ましくは5%以上である。また、ガラスの失透特性を悪化させないためには、好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは12%以下である。
組成1はSrOおよびBaOを含んでいてもよい。これらの成分はMgOやCaOと同様に、ガラス原料の溶融を促進し、熱膨張、粘性等を調整するのに有用な成分である。また、ガラスの屈折率を高くするためにも有用な成分である。
SrOは、熱膨張係数の増大およびガラスの高温粘度を下げる効果がある。かかる効果を得るために、SrOを含有できる。SrOを含有する場合、その含有量は好ましくは1%以上であり、より好ましくは2%以上である。ただし、ガラスの熱膨張係数を低く抑え、耐候性を悪化させないため、SrOの含有量は、好ましくは15%以下、より好ましくは12%以下、さらに好ましくは8%以下、特に好ましくは5%以下である。
BaOは、SrO同様に熱膨張係数の増大およびガラスの高温粘度を下げる効果がある。上記の効果を得るためにBaOを含有できる。BaOを含有する場合、その含有量は好ましくは2%以上であり、より好ましくは4%以上であり、さらに好ましくは6%以上である。ただし、ガラスの熱膨張係数を低く抑え、耐候性を悪化させないため、BaOの含有量は、好ましくは15%以下、より好ましくは12%以下、さらに好ましくは10%以下、特に好ましくは8%以下である。
NaO、KOおよびLiOといったアルカリ金属酸化物は、ガラス原料の溶融を促進し、熱膨張または粘性等を調整するのに有用な成分である。これらの成分の合計の含有量は、好ましくは2%以上、さらに好ましくは5%以上、特に好ましくは10%以上である。また、熱膨張係数を低く抑え、失透特性を良好にするためには、好ましくは25%以下、さらに好ましくは20%以下である。
NaOの含有量は、2%以上であることが好ましく、より好ましくは5%以上、さらに好ましくは8%以上、特に好ましくは10%以上である。ただし、溶解時の清澄性を保持し、製造されるガラスの泡品質を保つため、NaOの含有量は、20%以下とするのが好ましく、より好ましくは15%以下である。
Oは耐候性に寄与する成分だが、ガラスの失透特性を維持するために、KOの含有量は、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは2%以下であり、含まなくてもよい。
LiOはガラスの屈折率や溶解性を制御するために用いることができる任意成分であるが、原料コストを低く抑えるために、その含有量は好ましくは3%以下、より好ましくは2%以下、さらに好ましくは1%以下である。
は、ガラス原料の溶融を促進し、機械的特性や耐候性を向上させ、ガラスの屈折率を低くするためにも有用な成分であるため含有してもよく、含有する場合、その含有量は好ましくは1%以上、より好ましくは2%以上、さらに好ましくは3%以上である。一方、ソーダライムシリケート系のガラスにおいては、揮発による脈理(ream)の生成、炉壁の浸食等の不都合を生じさせないために20%以下であることが好ましく、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下、特に好ましくは5%以下であり、実質的に含有しないことが最も好ましい。
<組成2>
本発明に係るガラスの組成2は、酸化物基準の質量百分率表示で、SiOを45〜80%、Alを10%超30%以下、Bを0〜15%、MgOを0〜15%、CaOを0〜6%、SrOを0〜5%、BaOを0〜5%、NaOを2〜20%、KOを0〜10%、ZrOを0〜10%含有する。
SiOの含有量は45%以上であることが好ましく、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは55%以上、特に好ましくは60%以上である。また、80%以下であることが好ましく、より好ましくは75%以下、さらに好ましくは70%以下である。
Alの含有量は10%超が好ましく、より好ましくは11%以上、さらに好ましくは12%以上、特に好ましくは13%以上である。Alの含有量が7%超であることにより、ガラスの耐候性を向上できる。また、30%以下が好ましく、より好ましくは25%以下、さらに好ましくは20%以下、特に好ましくは15%以下である。Alの含有量が30%以下であることにより、溶解時の粘性の増加によって泡がぬけにくくなるのを抑制できる。
は、ガラス原料の溶融を促進し、機械的特性や耐候性を向上させ、ガラスの屈折率を低くするためにも有用な成分であるため含有してもよく、含有する場合、その含有量は好ましくは1%以上、より好ましくは2%以上、さらに好ましくは3%以上である。一方、ソーダライムシリケート系のガラスにおいては、揮発による脈理(ream)の生成、炉壁の浸食等の不都合を生じさせないために15%以下であることが好ましく、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは7%以下、特に好ましくは4%以下であり、実質的に含有しないことが最も好ましい。
MgOを含有する場合、その含有量は好ましくは1%以上であり、より好ましくは2%以上、さらに好ましくは3%以上である。また、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下、より好ましくは8%以下、特に好ましくは5%以下である。
CaOを含有する場合、その含有量は、好ましくは1%以上、より好ましくは2%以上、さらに好ましくは3%以上である。また、ガラスの失透特性を悪化させないためには、好ましくは6%以下、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは4%以下である。
SrOを含有する場合、その含有量は好ましくは1%以上であり、より好ましくは2%以上である。また、好ましくは5%以下、より好ましくは4%以下、さらに好ましくは3%以下である。
BaOを含有する場合、その含有量は好ましくは1%以上であり、より好ましくは2%以上である。また、好ましくは5%以下、より好ましくは4%以下、さらに好ましくは3%以下である。
NaOの含有量は、2%以上であることが好ましく、より好ましくは5%以上、さらに好ましくは8%以上、特に好ましくは10%以上である。また、20%以下とするのが好ましく、より好ましくは15%以下である。
Oの含有量は、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは2%以下であり、含まなくてもよい。
ガラスの耐熱性および表面硬度の向上のために、任意成分としてZrOを含有させてもよい。ZrOを含有する場合、その含有量は好ましくは0.1%以上、より好ましくは0.3%以上、さらに好ましくは0.5%以上である。ただし、失透特性の維持、低密度の維持の点から、ZrOの含有量は好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下、特に好ましくは2%以下であり、実質的に含有しないことが特に好ましい。
<組成3>
本発明に係るガラスの組成3は、酸化物基準の質量百分率表示で、SiOを45〜70%、Alを10〜30%、Bを0〜15%、MgO、CaO、SrOおよびBaOを合計で5〜30%、LiO、NaOおよびKOを合計で0%以上、2%未満含有する。
SiOの含有量は45%以上であることが好ましく、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは55%以上である。また、70%以下であることが好ましく、より好ましくは65%以下、さらに好ましくは60%以下である。
Alの含有量は10%以上が好ましく、より好ましくは12%以上、さらに好ましくは14%以上、特に好ましくは16%以上である。Alの含有量が10%以上であることにより、ガラスの耐候性を向上できる。また、30%以下が好ましく、より好ましくは25%以下、さらに好ましくは23%以下、特に好ましくは20%以下である。
を含有する場合、その含有量は好ましくは0.5%以上、より好ましくは3%以上、さらに好ましくは5%以上である。また、15%以下であることが好ましく、より好ましくは13%以下、さらに好ましくは10%以下、特に好ましくは7%以下である。
MgO、CaO、SrOおよびBaOといったアルカリ土類金属酸化物は、ガラス溶解時の粘性を下げ、溶解を促進するために有用な成分である。そのため、これらの成分の合計の含有量は、好ましくは5%以上、より好ましくは8%以上、さらに好ましくは12%以上、特に好ましくは13%以上である。一方、熱膨張係数を低く抑え、失透特性を良好にするために、これらの成分の合計の含有量は、好ましくは30%以下、より好ましくは25%以下、さらに好ましくは20%以下、特に好ましくは18%以下である。
NaO、KOおよびLiOの合計含有量は、好ましくは0%以上である。また、熱膨張係数を低く抑え、失透特性を良好にするためには、好ましくは2%未満であり、より好ましくは1%以下である。
また、本発明に係るガラスは、清澄剤としてSOを含有してもよい。ただし、SOを含有する場合、アンバー発色を生じ、平均内部透過率が低下する場合がある。したがって、SOを含有する場合、その含有量は、0.5%以下が好ましい。より好ましくは0.4%以下、さらに好ましくは0.3%以下、特に好ましくは0.25%以下である。ただし、清澄剤としての効果を得るために0%超であることが好ましい。
また、本発明に係るガラスは、酸化剤および清澄剤としてSbおよびAsのうちの一つ以上を含有してもよい。この場合、SbまたはAsの含有量は、0〜0.5%が好ましい。0.2%以下がより好ましく、0.1%以下がさらに好ましく、実質的に含有しないことがさらに好ましい。
ただし、Asは、環境面から意図的に含有させないことが好ましい。Sbは還元雰囲気下において着色し、可視光域の平均内部透過率に影響する性質を有するため、意図的には含有させないことが好ましい。
なお、本発明に係るガラスの組成は、蛍光X線法により測定できる。また、軽元素であり蛍光X線法での測定が困難なホウ素Bと、1000質量ppm以下の微量元素についてはICP発光分光分析法により測定可能である。
ガラス板1は、得られるガラスの組成が所定の組成となるように原料を調製し、通常の方法で溶融成形することで製造できる。成形後、主面および端面について研磨等の表面処理によりそれぞれ所望の形状特性とする。
例えば、ガラス板1の第2の主面1bには、ガラス板1の第1の主面1a側から光を取り出すための散乱構造が形成される。散乱構造としては、例えば、凹凸形状、複数のレンズを配列した形状が挙げられる。なお、出光面である第1の主面1aにおける輝度を均一にするために、入光端面1cからの距離が離れるにつれて高散乱性に形成することが好ましい。なお、ガラス板1の第2の主面1bに散乱構造を形成する代わりに、後述の光学部材10Bのように、ガラス板1の第2の主面1b上にドットパターン等の散乱機能層4を設けてもよい。
(レンチキュラー層)
レンチキュラー層3は、ガラス板1、粘着層2と屈折率の関係が上記式(1)を満たすとともに、光学部材10Aにおいてガラス板1から出射した光を集光して出光方向(光学部材10AにおいてはZ軸方向)への指向性を高める機能を有する。レンチキュラー層3の、ガラス板1、粘着層2との屈折率の関係はさらに、上記式(2)を満たすことが好ましい。
レンチキュラー層3の屈折率は具体的には、1.44以上であることが好ましく、1.45以上であることがより好ましく1.46以上であることが特に好ましい。一方高すぎると光の取り出し効率に影響が生じるため、1.59以下が好ましく、1.58以下がより好ましく、1.57以下がさらに好ましく、1.56以下が特に好ましい。レンチキュラー層3の屈折率が上記範囲にあることで、上記式(1)、式(2)を満たしやすい。
本発明の光学部材におけるレンチキュラー層について、光学部材10Aの光学部材10Aが有するレンチキュラー層3、すなわち、集光構造体がシリンドリカルレンズ31の場合について、図4に示す、シリンドリカルレンズ31の垂直断面を含む拡大断面図を参照しながら説明する。
レンチキュラー層3は厚さ一定の基材32上にシリンドリカルレンズ31が配置された構成であり、全体の厚さT1は、基材32の厚さとシリンドリカルレンズ31の高さHの合計である。シリンドリカルレンズ31の高さHは、垂直断面に含まれる、複数のシリンドリカルレンズ31の高さの平均高さである。複数のシリンドリカルレンズ31における高さの偏差の平均高さに対する百分率は10%以下が好ましい。
シリンドリカルレンズ31の高さHの例として5〜250μmが挙げられる。レンチキュラー層3において、シリンドリカルレンズ31の垂直断面の幅は、円弧の頂点間距離Wと等しく、例えば、高さHとの関係でH/Wとして0.05〜0.5が挙げられる。基材32の厚さは、シリンドリカルレンズ31の高さHの1〜300%が好ましく、全体の厚さT1は、50〜300μm程度とできる。なお、レンチキュラー層3に関するこれらの数値は例示であって、これに限定されない。レンチキュラー層3の裏面3bにおける表面粗さRaは、上記のとおりである。
レンチキュラー層3の材料としては、屈折率が上記式(1)の関係を満たす材料が用いられる。レンチキュラー層3の材料はさらに、上記式(2)の関係を満たす屈折率を有することが好ましい。成形性に優れる点から樹脂材料が好ましい。樹脂材料の例としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、MS樹脂(メチルメタクリレート・スチレン共重合樹脂)、COP(シクロオレフィンポリマー)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)等が挙げられる。基材32とシリンドリカルレンズ31とは、同一の材料で構成されてもよく、異なる材料で構成されてもよい。基材32とシリンドリカルレンズ31とが異なる材料で構成される場合、各式に用いる屈折率nは、基材32の屈折率である。
基材32上にシリンドリカルレンズ31を形成する方法としては、基材32上にインプリントでシリンドリカルレンズ31用の樹脂を転写する方法、スクリーン印刷、グラビア印刷、ディスペンサ、インクジェット等でシリンドリカルレンズ31用の樹脂を線状に塗布する方法、シリンドリカルレンズ31用の樹脂を基材32に塗布した後、ストライプ形状を形成しつつ硬化させる方法、樹脂膜を硬化させた後レーザーや砥石でシリンドリカルレンズ形状に加工する方法などが挙げられる。
レンチキュラー層3は、基材32とシリンドリカルレンズ31が同一の材料で一体成形することも可能であり、生産効率の点から好ましい。基材32とシリンドリカルレンズ31が一体化されたレンチキュラー層3は、例えば、押し出し成形、射出成形、熱プレス成形により製造できる。また、例えば、厚さがT1の樹脂基板の一方の主面をレーザーや砥石でシリンドリカルレンズ形状に加工することで、基材32とシリンドリカルレンズ31が一体化されたレンチキュラー層3を得てもよい。
レンチキュラー層3の線膨張率は、耐熱信頼性の観点から、10×10−5−1以下が好ましく、8×10−5−1以下がより好ましい。レンチキュラー層材料が10×10−5−1以下であれば、温度変化時の材料変形や反り、基板からのはがれが起こりにくくなる。上記のCOPやPC、MS樹脂は線膨張率が8×10−5−1以下と低いので、レンチキュラー層3の材料として好ましい。なお、線膨張率は、JIS K7197にしたがって、熱機械分析(TMA)法で測定できる。
(粘着層)
粘着層2は、ガラス板1、レンチキュラー層3と屈折率の関係が上記式(1)を満たす光学機能層であるとともに、光学部材10Aにおいてレンチキュラー層3をガラス板1上に接着性をもって固定する機能を有する。粘着層2の、ガラス板1、レンチキュラー層3との屈折率の関係はさらに、上記式(2)を満たすことが好ましい。粘着層2の屈折率は具体的には、1.46以上が好ましく、1.47以上がより好ましく、1.48以上がさらに好ましく、1.49以上が特に好ましい。また粘着層2の屈折率は1.54以下が好ましく、1.53以下がより好ましく、1.52以下がさらに好ましい。粘着層2の屈折率が上記範囲にあることで、ガラス板、レンチキュラー層との関係で上記式(1)、式(2)を満たしやすい。
粘着層2の厚さの平均は6μm以上60μm以下が好ましく、10μm以上50μm以下がより好ましい。以下、「粘着層の厚さの平均」を「粘着層の厚さ」という。粘着層2の厚さが6μm以上であることで、レンチキュラー層3をガラス板1上に十分な接着性をもって固定可能である。粘着層2の厚さが60μm以下であることで、粘着層2の平坦性を十分に確保でき、それによりレンチキュラー層3と粘着層2の界面での光の散乱を抑制できる。結果として、光学部材10Aにおいて、ガラス板1の第1の主面1aに直交するZ軸方向に高い直進性を有する光出射が可能となり高い出光効率が達成できる。
なお、粘着層2の厚さは、例えば、その断面を光学顕微鏡下で観察することにより測定できる。粘着層2の面内の任意の9箇所での測定値の平均値を、粘着層2の厚さとし、粘着層2の平均厚さともいう。また、各測定点での測定値と平均値との差を、厚さの偏差(以下、厚み偏差ともいう)とする。
粘着層2は、光学部材10Aを面状発光装置に用いた際の出射光の面内の輝度ムラを抑制する観点から、厚み偏差が粘着層の厚さの20%以下であるのが好ましく、10%以下がより好ましい。厚み偏差が粘着層の厚さの20%以下とは、9箇所の測定点全てにおいて厚み偏差が粘着層の厚さの20%以下であることを意味する。
粘着層2の線膨張率は、耐熱信頼性の観点から、10×10−5―1以下が好ましく、8×10−5―1がより好ましい。粘着層材料が10×10−5―1以下であれば、温度変化時の材料変形や反り、はがれが起こりにくくなる。線膨張率は、レンチキュラー層3と同様にして測定できる。
粘着層2は粘着剤または接着剤からなる。粘着剤として、好ましい具体例としては、アクリル酸エステル共重合体等のアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂、ポリウレタン、酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル共重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、スチレン−ブタジエン共重合体系ゴム、ブチルゴム、またはシリコーン樹脂等を主成分とする粘着剤が挙げられる。これら粘着剤には屈折率を調整するために臭素などのハロゲン原子、硫黄原子やリン原子、フルオレン等の芳香環を有する化合物や、ジルコニウムやチタンなど高屈折率無機粒子を含んでいてもよい。なお、芳香環を有する化合物は樹脂の重合単位として粘着剤に含有されてもよい。本発明においては市販されている粘着剤を使用できる。
これら粘着剤が含有する樹脂は、ガラス板1の第1の主面1aやレンチキュラー層3の裏面3bとの接着性を高めるために、ヒドロキシ基、カルボニル基、アルデヒド基、ハロホルミル基、カーボネートエステル基、カルボキシレート基、カルボキシル基、エステル基、ヒドロペルオキシ基、ペルオキシ基、エーテル基、ヘミケタール基、アセタール基、オルトエステル基、オルトカーボネートエステル基、カルボン酸基、アミド基、アミン基、イミン基、アジド基、アゾ化合物基、シアネート基、ニトレート基、ニトリル基、ニトロ化合物基、ニトロソ化合物基、チオール基、スルホン酸基、およびこれらの組み合わせからなる群から選択された一つもしくは複数の官能基を有してもよい。
粘着層2は、具体的には、予め調製された粘着剤組成物を、例えば、バーコート法、リバースコート法、グラビアコート法、ダイコート法、ロールコート法などのような一般的な塗膜形成方法により、剥離層上に均一な厚さで塗布する。または、レンチキュラー層3の裏面3bに、その積層部分の段差を解消するように塗布する。このようにして、表面が平坦となる膜厚の粘着剤組成物塗膜を比較的容易に形成できる。粘着剤組成物は、例えば、粘着剤の主成分である樹脂または反応して該樹脂となる樹脂原料、さらに必要に応じて適宜配合される任意成分を含む粘着剤と溶媒とからなる。粘着剤組成物塗膜は、その後、乾燥、必要に応じて熱や光による硬化処理を経て粘着層2となる。
なお、粘着層2は、通常、剥離性を有する剥離層上に形成され、レンチキュラー層3の裏面3bと貼り合わされ、次いで、剥離層を剥がしてガラス板1に貼り合わせる。粘着層2を、剥離性を有する剥離層上に形成した後に、さらに粘着層2上に別の剥離層を貼り合わせてもよい。この場合、片方の剥離フィルムを剥がしてレンチキュラー層3の裏面3bと貼り合わせ、残りの剥離フィルムを剥がしてガラス板1に貼り合わせる方法と、片方の剥離フィルムを剥がしてガラス板1に貼り合わせ、残りの剥離フィルムを剥がしてレンチキュラー層3の裏面3bに貼り合わせる方法がある。これらの方法から、適宜選択した方法が用いられる。
このようにして、レンチキュラー層3とガラス板1を貼り合わせることで光学部材10Aが得られるが、粘着層2とレンチキュラー層3との間およびガラス板1と粘着層2との間に気泡が残る場合がある。気泡が残ると、光学部材10Aの光学特性に悪影響をおよぼすため、好ましくない。この気泡を効果的に消失させる方法としては、光学部材10Aを、常温を超え、かつ常圧を超える雰囲気下で熱処理する方法が挙げられる。
熱処理の条件としては、特に40〜90℃、0.5〜1.5MPaの雰囲気下で20〜100分程度保持することが好ましい。温度を60〜90℃とすることで、粘着層2と、粘着層2と接するレンチキュラー層3やガラス板1との間の気泡を効果的に消失させることができる。熱処理は、50〜80℃、0.6〜1.0MPaの雰囲気下で20〜80分程度保持することがより好ましい。
粘着層が接着剤からなる場合は、ガラス板1に接着剤を塗布し、レンチキュラー層3で貼り合わせた後に、熱硬化させる方法が挙げられる。
以上、ガラス板1、粘着層2、およびレンチキュラー層3をその順に有する光学部材10Aを用いて本発明の光学部材の一例について説明した。本発明の光学部材は、ガラス板1、粘着層2、およびレンチキュラー層3に加えて、ガラス板1の第2の主面上に散乱機能層を備える構成であってもよく、出射光の輝度の面内均一性の観点から散乱機能層を備える構成が好ましい。
本発明の光学部材が散乱機能層を有する場合、散乱機能層の屈折率をnとしたときに、ガラス板および粘着層の屈折率との関係において、以下の式(3)を満たすことが好ましい。
−n ≧ n−n (3)
式(3)を満たすためには、散乱機能層の屈折率nとガラス板の屈折率nとの関係は、n>nが成り立つ。散乱機能層とガラス板との屈折率差(n−n)が粘着層とガラス板との屈折率差(n−n)以上であれば、散乱機能層とガラス板との界面での反射率が粘着層とガラス板との界面での反射率よりも大きくなるので、光が出光面側に出やすくなる傾向があり好ましい。屈折率差(n−n)と屈折率差(n−n)の差は、0.001以上が好ましく、0.003以上がより好ましく、0.005以上がさらに好ましく、0.008以上が一層好ましく、0.01以上が特に好ましい。ただし差が大きすぎると光学性能に悪影響が生じるため0.03以下が好ましく、0.027以下がより好ましく、0.025以下がさらに好ましく、0.023以下が一層好ましく0.02以下が特に好ましい。
図5は実施形態に係る光学部材の散乱機能層を備える一例のガラス板の反射面側から見た全体平面図である。図6は図5に示す光学部材のA−A線における概略断面図であり、図7は図5に示す光学部材のB−B線における概略断面図である。
図5、図6および図7に示す光学部材10Bは、出光面である第1の主面1aと第1の主面1aに対向する反射面である第2の主面1bと入光端面1cとを有するガラス板1と、ガラス板1の第1の主面1a上に配置された粘着層2と、粘着層2上に配置されたレンチキュラー層3と、ガラス板1の第2の主面1b上に配置された散乱機能層4を備える。
光学部材10Bにおいて、ガラス板1、粘着層2およびレンチキュラー層3は光学部材10Aと同様にできる。なお、ガラス板1については、第2の主面1bは散乱構造を有してもよい。
(散乱機能層)
散乱機能層4は、光学部材10Bにおいて、ガラス板1の入射面1cから入射しガラス板1内部をY軸方向に導光する光を、出光面1aに対向する第2の主面1b近傍で部分的に散乱させることで、出光面1aから光出射させる機能を有するとともに、ガラス板1および粘着層2の屈折率の関係が上記式(3)を満たすことが好ましい。散乱機能層4の屈折率は具体的には、1.46以上が好ましく、1.47以上であることがより好ましく、1.48以上であることがさらに好ましく、1.49以上であることが一層好ましく1.50以上であることが特に好ましい。ただし散乱層4の屈折率が高すぎると光取り出し効率に悪影響が生じるため、1.62以下が好ましく、1.60以下がより好ましい。散乱機能層4の屈折率が上記範囲にあることで、上記式(3)を満たしやすい。
散乱機能層4の形成に用いる、光を乱反射する塗料としては、紫外線硬化塗料、赤外線硬化塗料等の有機塗料が挙げられる。これらは、上記屈折率を勘案して適宜選択される。たとえば中空粒子とバインダーとの混合溶液をガラスに塗工した後、紫外線照射により硬化させる方法を適用可能である。散乱機能層4は導光板用樹脂板で広く使われる中実微粒子で形成されてもよい。
中空粒子による光散乱では、長波長ほど散乱強度が強く、また後方へ強く散乱される傾向がある。このため、散乱機能層4が中空粒子で形成されている場合、吸収係数を適切に設計したガラスに中実粒子を用いる場合に比べ、色ムラがさらに抑制される。ここでいう色ムラとは、出光面から取出される光の色度が、光源からの距離に応じて大きく変動することを言う。
中空粒子は、例えば外殻と、外殻の内部に形成される空隙とを有する。外殻は、例えば重合体で形成される。中空粒子の外径は、例えば0.4μm以上であり、0.5μm以上が好ましい。中空粒子の外形は5μm以下であり、好ましくは4μm以下、より好ましくは3μm以下、さらに好ましくは2μm以下である。中空粒子の製造方法の詳細については、国際公開第2005/071014号に記載された方法に従うことが望ましい。
バインダーとしては、可視光に対して高い透過性を有する樹脂が用いられる。そのような樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂および光硬化性樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
バインダーに使用する熱硬化性樹脂としては、公知のものが使用できるが、好ましくは、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂である。これらは単独でも2種以上の混合でもよい。
バインダーに使用する熱可塑性樹脂としては、公知のものが使用できるが、好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂、MS樹脂、スチレン系樹脂、ポリフッ化ビニリデンなどのフルオロオレフィン系樹脂であり、より好ましくは、アクリル樹脂、MS樹脂、スチレン系樹脂、ポリフッ化ビニリデンなどのフルオロオレフィン系樹脂である。これらは単独でも2種以上の混合でもよい。
バインダーに使用する光硬化性樹脂としては、高分子量の光硬化性樹脂を挙げることができる。高分子量の光硬化性樹脂としては、ポリマー骨格に光重合性基が導入されたものであれば、特に制限なく公知のものが使用できる。このようなポリマー骨格としては、ポリエチレン骨格、ポリウレタン骨格、ポリエステル骨格、ポリアミド骨格、ポリイミド骨格、ポリオキシアルキレン骨格、ポリフェニレン骨格などが挙げられ、好ましくは、ポリエチレン骨格、ポリウレタン骨格である。
光重合性基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、アルケニル基、シンナモイル基、シンナミリデンアセチル基、ベンザルアセトフェノン基、スチリルピリジン基、α−フェニルマレイミド、フェニルアジド基、スルフォニルアジド基、カルボニルアジド基、ジアゾ基、o−キノンジアジド基、フリルアクリロイル基、クマリン基、ピロン基、アントラセン基、ベンゾフェノン基、ベンゾイン基、スチルベン基、ジチオカルバメート基、キサンテート基、1,2,3−チアジアゾール基、シクロプロペン基アザジオキサビシクロ基などが挙げられ、好ましい光重合性基は(メタ)アクリロイル基およびシンナモイル基であり、特に好ましくは(メタ)アクリロイル基である。これらは単独でも2種以上の混合でもよい。
バインダーとしての樹脂と中空粒子との比率は、ガラスへの塗工方法や粘度等に応じて適宜調整できる。
図5、図6および図7に示すとおり、光学部材10Bにおいて、散乱機能層4は、上記散乱機能を発揮させるために、複数のドットから構成されるドットパターンで設けられる。光学部材10Bにおいては、ドットパターンは、ガラス板1の出光面1aから出射される光の輝度が、面内で、すなわちY軸方向で一定となるように設けられている。
具体的には、入光端面1cから距離が離れるにつれて所定の面積内においてドットの占める割合が大きくなるようにドットパターンが形成されている。光学部材10Bでは、入光端面1cから距離が離れるにつれて個々のドットの大きさを大きくすることで割合を調整している。なお、ドットの大きさを変えずにドット間の間隔を調整することで、ドットの占める割合を調整してもよい。また、例えば、ガラス板1の入光端面が端面1cと端面1cに対向する端面1dである場合、端面1cと端面1dの近傍においては、ドットの占める割合が小さく、中央部においてドットの占める割合が大きくなるように形成される。
散乱機能層4は、例えば、ガラス板1の反射面である第2の主面1b上に光を乱反射する塗料をスクリーン印刷することで形成できる。ドットパターンを形成することにより、隣接するドット間に空気層(図示せず)を形成でき、ガラス板1の反射面1b、特に隣接するドット間に露出する反射面1bに屈折率の低い空気を接触させることができる。これにより、全反射条件を満たすものとすることができ、ガラス板1の内部に光を十分に伝播させ、出光面1aにおける輝度の不均一等を抑制できる。散乱機能層4の厚さは、印刷時のインク粘度を一定の範囲にする必要があるために一定の範囲に限られており、例えば、5μm以上50μm以下が好ましい。
光学部材10Bにおいて、散乱機能層4のドットの形状は円形であるが、ドットの形状はこれに限定されない。ドットの形状としては、例えば、円形、楕円形、方形、三角形、多角形等が挙げられる。ガラス板1の内部を導光する光の導光方向を乱して光出射面に導くことができるものであれば特に制限されない。なお、ドットの形状についても、上記で説明した大きさ等と同様に、必要に応じて反射面1bの部分毎に変更できる。
ドットは通常、ガラス板1の反射面である第2の主面1b上に凸状に配置されるが、第2の主面1bを凹状に設けてもよい。このような凹状ドットは、レーザーやブラスト処理、エッチング処理によって設置可能である。
(その他の層)
本発明の光学部材は、上に説明した、ガラス板、粘着層、レンチキュラー層、散乱機能層以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の層を有してもよい。
その他の層としては、光学部材に耐擦傷性を付与する目的で、レンチキュラー層の最も空気界面側の表面や散乱機能層の表面に設けられるハードコート層や、粘着層のガラス板との密着性向上の目的で、ガラス板と粘着層との間に設けられるプライマー層や、信頼性向上のためにガスバリア層等が挙げられる。ハードコート層は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等で形成できる。ガスバリア層は、例えば、SiO、SiO、Al、CaF、MgO、MgAl等からなり、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法等によって形成できる。
本発明の光学部材は、出射面からの出光効率が高い光学部材であり、これを光源と共に用いて面状発光装置として使用すれば、耐熱性および剛性に優れるとともに出光効率が高い面状発光装置が得られる。
[面状発光装置]
本発明の面状発光装置は、本発明の光学部材と、光学部材のガラス板が有する入光端面に近接して配置された光源とを備える。図8は図5に示す光学部材10Bを用いた本発明の面状発光装置の一例の全体平面図である。図9は図8に示す面状発光装置のA−A線における概略断面図である。なお「近接して配置する」とは、光源(例えばLEDの発光面)と光学部材のガラス板が有する入光端面との距離が0mm以上3mm以下程度の範囲内にある状態を指す。ガラス板が有する入光端面と光源との間の距離は2.5mm以下が好ましく、2.0mm以下がより好ましく、1.5mm以下がさらに好ましく、1.0mm以下が一層好ましく、0.8mm以下が特に好ましく、0.5mm以下がもっとも好ましい。
図8および図9に示される面状発光装置100は光学部材10Bと、光学部材10Bのガラス板1が有する入光端面1cに対向するように光源5が設けられている。光源5は、光源本体51と、この光源本体51を搭載する光源基板52とから構成される。入光効率を向上させる観点から光源5と入光端面1cとは近接させて配置する。たとえば光源5の最上部と入光端面1cとの距離は、0.5mm以下である。光源本体51は光源本体51の中心から発せられる光がガラス板1の入光端面1cと直交するように配置される。
光源本体としては、冷陰極管(Cold Cathode Fluorescent Lamp)等の線光源、発光ダイオード(Light Emitting Diode:以下LEDと称する)等の点光源を用いることができる。点光源には、上記LED以外にレーザーダイオード(Laser Diode)等が用いられる。LEDには、例えば、青色等の単色を発光する半導体発光素子と、この半導体発光素子から発せられる青色光の一部を吸収して黄色光を発する蛍光体とからなる擬似白色LEDが用いられる。また、LEDには、例えば、赤色、緑色、青色の各色を発光する素子を備え、3つの単色光の合成光で白色光を発するものが用いられる。また、青色LEDを用いて、光学部材10Aから出光した後に、蛍光シートや量子ドットシートなどの変調シートによって白色とすることもできる。
面状発光装置100は、光源本体51が点光源、例えば、LEDである場合を示す。光源5は、点光源としての光源本体51を複数個有し、複数個の光源本体51はX軸方向に沿って所定の間隔をおいて光源基板52に搭載される。光源基板52には、光源本体51を実装するとともに、光源本体51に電力を供給するための回路パターンが形成されている。
面状発光装置100では、光源5は、ガラス板1の入光端面1cに対向する位置にのみ設けられている。必要に応じて、光源5は、ガラス板1の入光端面1cに対向する端面1dに対向する位置にさらに設けられてもよい。
以上の説明において本発明の光学部材およびそれを用いた面状発光装置は、出光面の面内での輝度を均一とする例を中心に説明した。本発明の光学部材およびそれを用いた面状発光装置においては、例えば、光源の配置を変更する、一列に並んだ光源のうち一部分だけを点灯させる、場所によって、光源(LED)の出力を変化させる等により、ローカルディミングに用いることも可能である。
[ディスプレイ装置]
本発明のディスプレイ装置は本発明の面状発光装置を有する。本発明のディスプレイ装置としては、液晶表示装置が好適である。液晶表示装置は、典型的には、面状発光装置と、該面発光装置の光出射面側に配置された液晶ユニットと、を有する。
液晶ユニットは、液晶の複屈折性を応用しており、ガラス等の絶縁性基板上に着色層、遮光層、対向電極等が設けられた対向基板と、ガラス等の絶縁性基板上にスイッチング素子となる薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、以下「TFT」と記す)、画素電極等が設けられたTFTアレイ基板とを備えている。また、対向基板とTFTアレイ基板との間隔を保持するためのスペーサ、対向基板とTFTアレイ基板とを貼り合わせるためのシール材、対向基板とTFTアレイ基板との間に挟持させる液晶、液晶を注入する注入口の封止材、液晶を配光させる配向膜、および偏光板等により構成されている。
ガラス板、粘着層、レンチキュラー層の各構成要素において以下の材料を用いて、図5〜図7に示すのと同様の構成の光学部材10Bを製造し、出光効率を評価した。例1〜7、16〜21が実施例であり、例8〜15が比較例である。なお、以下の材料において、商品名の記載がないものは公知の方法により製造した材料である。
(構成要素および材料)
なお、各材料の括弧内に屈折率を示す。屈折率は、メトリコン社製のプリズムカプラ屈折率測定器M2010を用いて、10μmのバルクモードで、波長594nmにおいて測定した。
ガラス板A;導光板用高透過ガラス(旭硝子社製、商品名;XCV(登録商標)、n=1.525、平均内部透過率;99%)
ガラス板B;ボロシリケートガラス(n=1.492、平均内部透過率;99%)
ガラス板C;シリカガラス(n=1.458、平均内部透過率;99%)
レンチキュラー層A;ポリカーボネート樹脂(帝人化成社製、商品名;Panlite AD−5503、n=1.584)
レンチキュラー層B;メタクリル酸メチル−スチレン共重合樹脂(n=1.533)
レンチキュラー層C;UV硬化型エポキシシリコーン樹脂(荒川化学社製、商品名;シリコリースUV POLY201、n=1.430)
粘着層A;UV硬化型光学接着剤(カネダ社製、商品名;アーデルオプトクレーブOPM55、n=1.531)
粘着層B;UV硬化型光学接着剤(ダイキン社製、商品名;オプトダインUV3200、n=1.513)
粘着層C;UV硬化型光学接着剤(ダイキン社製、商品名;オプトダインUV1100、n=1.462)
[例1〜15]
(ガラス板A〜Cへの散乱機能層4の形成)
ガラス板A〜Cについて、ガラス板1の第2の主面1b上に拡散インキをドットパターン状に印刷し、紫外線照射によって硬化させることで、散乱機能層4付きガラス板1を作製した。ガラス板1は、平面視で、略長方形であって、横300mm、縦170mm、厚さ2.1mmであった。ガラス板1の4つの端面のうち、入光端面1cは鏡面加工し、残りの3面は粗削り加工した。拡散インキとしては、紫外線硬化性の中空粒子を含有するインキ(JSR社製、品番:SX8034)を用いた。
(レンチキュラー層3の作製)
レンチキュラー層3としてのレンチキュラー層AおよびBは、押し出し成形にて、レンチキュラー層Cはインプリント法で全て同形、同寸になるように作製した。レンチキュラー層3の厚さT1は100μm、シリンドリカルレンズ31の高さHは25μm、シリンドリカルレンズ31の垂直断面の幅W(=円弧の頂点間距離W)は100μm、H/W=0.25とした。また、レンチキュラー層3の裏面3bの表面粗さRaは、5.0nmとした。
(光学部材10Bの作製)
次に、粘着層2の形成に用いるUV硬化型光学接着剤を、アプリケータを用いて、レンチキュラー層3の裏面3b上に塗布した。これをガラス板1の第1の主面1a上に貼り合わせた後に高圧水銀灯で照射量10〜100mJ/cmの紫外光を照射した。照射後60℃、1時間加熱処理を行った。処理後の粘着層A〜Cの厚さは、25μmであった。このようにして光学部材10Bと同様の構成の光学部材サンプルを得た。ガラス板、粘着層、レンチキュラー層の組み合わせは表1に示すとおりとした。表1中、レンチキュラー層を「レンチ層」と表記した。
なお、粘着層は、以下のようにしても得られる。UV硬化型接着剤を、アプリケータを用いて、ガラス板1の第1の主面1a上に塗布する。これにレンチキュラー層3をロールプレス機で貼り合わせ、後に高圧水銀灯で照射量10〜100mJ/cmの紫外光を照射する。照射後60℃1時間加熱処理を行う。
作製した各例の光学部材サンプルを、既製の液晶ディスプレイ(SONY株式会社製、KD−55X8500B)から取出したバックライトユニットのアクリル導光板と置き換えた。光学部材サンプルに照射される領域以外のバックライトからは光が出ないように調整した後、暗室内でバックライトユニットの光源を点灯させ、光学部材サンプルの出光面から取出される光の輝度を測定した。輝度[cd/m]は、コニカミノルタ社製のCA−2000により測定し、出光面の9点の平均値とした。
図10に出光面Sにおける輝度の9点の測定点Mを示す。測定点Mは、光学部材サンプルを平面視したとき、縦方向の辺を10等分する線と横方向の辺の10等分する線(縦横をそれぞれ10等分する線は図10中、点線で示される。)との交点の中から、4隅、各辺中央部、重心の計9点を選択したものである。
結果を各構成要素の屈折率が式(1)、(2)を満足するか否かと合わせて表1に示す。式(1)、(2)については、満足する場合を「○」、満足しない場合を「×」とした。また、輝度の値は例14の測定結果を100とした相対値(相対輝度)として示す。
Figure 2019106287
[例16〜21]
粘着層A〜C、レンチキュラー層A〜C、ガラス板A〜Cの組み合わせを表2に示すとおりとして例1〜15と同様にして光学部材サンプルを得た。ただし、各例において、粘着層の厚さ(平均)および厚さの最大値、最小値を表2に示す値とした。また、最大値の偏差の平均厚さに対する百分率を「最大値偏差」、最小値の偏差の平均厚さに対する百分率を「最小値偏差」として表2に示す。表2中レンチキュラー層を「レンチ層」と表記した。
作製した各例の光学部材サンプルを用いて、例1〜15と同様にして輝度[cd/m]を測定した。各々の光学部材サンプルにおける9点の輝度データのうち、最小値を最大値で除して、百分率表示にて輝度の面内均一性を求めた。結果をUniformity[%]として、各構成要素の屈折率が式(1)、(2)を満足するか否かと合わせて表2に示す。式(1)、(2)については、満足する場合を「○」、満足しない場合を「×」とした。
Figure 2019106287
表1および表2から、本発明の光学部材は、出射面からの出光効率が高いことがわかる。また、条件によって、輝度の高い面内均一性を示すことがわかる。
本発明の光学部材は、ガラス製の導光板とレンチキュラー層を備え、出射面からの出光効率が高く、面状発光装置用として有用である。本発明の面状発光装置は、耐熱性および剛性に優れるとともに出光効率が高く、液晶表示装置用として有用である。
10A、10B…光学部材、1…ガラス板、2…粘着層、3…レンチキュラー層、4…散乱機能層、100…面状発光装置、5…光源、51…光源本体、52…光源基板

Claims (7)

  1. 出光面である第1の主面と前記第1の主面に対向する反射面である第2の主面と入光端面とを有するガラス板と、前記ガラス板の前記第1の主面上に配置された粘着層と、前記粘着層上に配置されたレンチキュラー層とを備え、
    波長594nmにおける前記ガラス板の屈折率をn、前記粘着層の屈折率をn、前記レンチキュラー層の屈折率をnとしたときに、下記式(1)を満たすことを特徴とする光学部材。
    Figure 2019106287
  2. 前記レンチキュラー層は、前記粘着層側の主面の表面粗さRa[nm]が20[nm]以下である請求項1に記載の光学部材。
  3. 前記粘着層の平均厚さが6μm以上60μm以下である請求項1または2に記載の光学部材。
  4. 前記粘着層の厚み偏差が粘着層の平均厚さの20%以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学部材。
  5. さらに、前記ガラス板の第2の主面上に散乱機能層を備え、波長594nmにおける前記散乱機能層の屈折率をnとしたときに、下記式(3)を満たす請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学部材。
    −n ≧ n−n (3)
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学部材と、前記ガラス板の前記入光端面に近接して配置された光源とを備える、面状発光装置。
  7. 請求項6に記載の面状発光装置を有するディスプレイ装置。
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