JP2019105337A - 高圧タンク - Google Patents

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Abstract

【課題】ライナのドーム部とストレート部に対応して分割された離型材の固定を確実にするとともに皺の発生を抑制した高圧タンクを得ること。【解決手段】高圧タンクのライナアッセンブリ20に用いられるフィルム状の離型材30は、ライナ12のドーム部21,22に取り付けられるドーム状離型材部31,32と、ライナ12のストレート部23に取り付けられるストレート状離型材部33とに分割されており、分割されることで個別に形成することが可能になり、皺が生じるのが抑制される。ドーム状離型材部31,32の端部35,36はストレート部23の領域まで延ばされ、巻回されるストレート状離型材部33で覆われて重ねられた状態で締め付けられる。当該締め付け力によって、ドーム状離型材部31,32が確実に固定される。【選択図】図2

Description

本発明は、高圧タンクに関する。
特許文献1には、石膏型の表面に耐熱離型フィルムを全面に巻回してその上にFRP層を設ける技術が示されている。
特開昭63−139734号公報
この特許文献1の技術を、ライナの外側がCFRP層で覆われた高圧タンクの製造方法に適用しようとすると、ストレート部とドーム部を有するライナの外周に耐熱離型フィルムを巻回したときに、ドーム部の位置に皺が発生するおそれがある。この皺の発生を抑制するために、ドーム部を覆う部分とストレート部を覆う部分とで離型フィルムを分けると、ドーム部用の離型フィルムがライナから外れてしまい、固定することができない。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ドーム部を覆う離型材をライナに確実に固定できる高圧タンクを得ることである。
上記課題を解決する本発明の高圧タンクは、
ストレート部及び該ストレート部の両端に接続されるドーム部を有するライナと、
前記ライナのドーム部の開口部に配置された口金と、
前記ライナ及び前記口金の外周に配置されたCFRP層と、
を備える高圧タンクであって、
前記ライナと前記口金の外周にフィルム状の離型材が配置され、該離型材の外周に前記CFRP層が配置されており、
前記フィルム状の離型材は、前記ライナのストレート部用とドーム部用に分けられており、
前記ドーム部用の離型材の端部は前記ライナのストレート部の領域まで延ばされ、前記ストレート部用の離型材で覆われている
ことを特徴とする。
この高圧タンクにおいては、フィルム状の離型材はライナのストレート部用とドーム部用に分割されており、ドーム部用の離型材の端部はライナのストレート部の領域まで延ばされ、当該延ばされたドーム部用の離型材の端部はストレート部用の離型材で覆われて、離型材が重ねられた状態で締め付けられる。そして、これらの離型材の外周にCFRP層が配置される。
本発明の高圧タンクによれば、ドーム部に取り付けられる離型材の端部がストレート部の領域まで延ばされ、ドーム部に取り付けられる離型材は、その延びた端部において、ストレート部用の離型材で覆われる。離型材は、ドーム部用とストレート部用に分割されているので、分割されたいずれの部分にも皺が入るのを抑制することができる。また、ドーム部用の離型材の端部をストレート部用の離型材で締め付けているので、当該締め付け力でドーム部用の離型材の固定力を向上させることができる。このように、離型材がドーム部用とストレート部用に分割されたタイプのものでありながら、ドーム部用の離型材がライナから外れて固定されないというような事態が回避され、離型材を確実に固定することができる。
本発明による高圧タンクの一実施形態を示す縦断面図。 高圧タンクに用いられるライナアッセンブリ、及びライナアッセンブリに適用される離型材の一例を示す縦断面図。 図1に示す高圧タンクの特徴的な部分を拡大して示す断面図であって、(a)は図1に示す高圧タンクのストレート部であるA部を拡大して示す縦断面図、(b)及び(c)は図1に示す高圧タンクの口金とその周囲であるB部又はC部をそれぞれ拡大して示す縦断面、(d)は図1に示す高圧タンクのストレート部とドーム部の接続部であるD部を拡大して示す縦断面。 比較例としての高圧タンクの断面図であり、図4(a)は比較例としての高圧タンクのライナアッセンブリの一例を示す縦断面図、図4(b)は(a)に示すライナアッセンブリのE部を拡大して示す断面図、図4(c)は(a)に示すライナアッセンブリのF部を拡大して示す断面図。
例えば従来から、内部の高い圧力に耐えつつ軽量化を図ることができる圧力容器として、繊維強化複合材料製の高圧タンクが開発されている。このような高圧タンクは、一般に、タンクの外側層を構成しており繊維強化複合材料からなる繊維強化プラスチック層、タンクの内側層を構成しておりガスバリア性を有するライナ、及びライナの長手方向両端に設けられている口金を備えている。そして、ライナの外周と繊維強化プラスチック層の内側との間には、ライナと繊維強化プラスチック層との固着を抑制するために離型フィルムが配置されている。
離型フィルムが有効に機能せずライナと繊維強化プラスチック層が固着してしまうと、例えば、低温環境の場合にライナの柔軟性が低下したときには、タンクの内圧による応力がライナの局所に集中し、ライナが歪む或いは割れる可能性がある。そうした事態を回避するために、ライナの外表面に補強層を備え、ライナの補強層と接触する領域の少なくとも一部に補強層との固着を抑制する固着抑制加工(離形層)を施すことで、ライナが高圧タンクの内圧によって受ける応力の集中を避け、応力の分散を図っているものがある。
このような高圧タンクは、軽量で且つライナにおける応力集中を避けることができるものであるが、ドーム部とストレート部とを備えている高圧タンクでは、ドーム部の外周に配置された離型フィルムに皺が入り易く、皺を抑制するためにドーム部とストレート部で離型フィルムを分割するとドーム部の離型フィルムが外れて固定されないおそれがある。また、口金をライナに圧入するのに当該ライナと口金との間の圧入部位に隙間部が必要であるが、当該隙間部に起因した樹脂や異物の侵入という課題も残されている。
また、高圧タンクの製造方法として、フィラメント・ワインディング法(以下、「FW法」という)が知られているが、FW法では、ライナの外周にエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂が含浸されている強化繊維(炭素繊維が使われる)を巻き付け、その熱硬化性樹脂を加熱して熱硬化させることで炭素繊維強化プラスチック(以下、「CFRP」という)の層を形成している。CFRPは、硬化するまでの未硬化の状態のときに、ライナアッセンブリと接触するため、CFRPのエポキシ樹脂がライナと口金の隙間部に入り込むことがある。エポキシ樹脂が隙間部に入り込むと、その硬化時にライナと口金を固着する。その後、低温時にライナの柔軟性が低下した状態でライナが膨張収縮すると、ライナに応力集中が発生し、ライナが歪む又は割れる等の現象が生じる可能性がある。また、ライナと口金の隙間部に例えばCFRPの欠けたもの(異物)などが挟まり、その後、ガスの充填・放出や環境温度によりライナの膨張収縮が繰り返されると、異物はライナと口金との間のシール部まで落ち込み、シール部のシール性能を低下させる可能性がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、下記にその一実施形態を説明する。
図1〜図3を参照して、高圧タンクの基本的な構造について説明する。図1に示す高圧タンク10は、例えば、車載用の燃料電池システムに用いる燃料ガスとしての水素を貯蔵するために利用されるタンクである。高圧タンク10は、ライナ12と、口金14, 16と、炭素繊維強化プラスチック層(以下、「CFRP層」という)40とを備えている。口金14,16は、内側のライナ12の長手方向両端に取り付けられている。ライナ12と口金14, 16とからなる構成はライナアッセンブリ20とも呼ぶ。図1には図示していないが、ライナアッセンブリ20のライナ12の外周には、タンクの外表面となるCFRP層40との間に、図2(b)に示すような離型材30が配置されている。
ライナ12は、例えばナイロン系樹脂など水素ガスに対するガスバリア性を有する樹脂が成型されることによって構成されている。ライナ12は、長手方向の両端近傍に形成された曲面形状部分であるドーム部21,22と、ドーム部21,22に接続されてこれらの間を繋ぐ筒状部分であるストレート部23とを備えている。図2(a)において破線で示す範囲がドーム部21,22であり、一点鎖線で示す範囲がストレート部23である。ドーム部21,22の開口部には口金14,16が配置されている。なお、本実施形態においては、ライナ12は樹脂製であるとしたが、金属製であってもよい。
CFRP層40は、FW法によって、予め熱硬化性樹脂を含浸された炭素繊維が巻回されて形成されている。具体的には、熱硬化性樹脂を含浸された炭素繊維は、離型材30が適用されたライナ12の周囲に巻回される。繊維の巻回の態様としては、フープ巻き、低角度・高角度のヘリカル巻き等を採用することができる。また、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂を採用することができる。巻回する繊維としては炭素繊維の他、ガラス繊維、アラミド繊維等を採用してもよい。CFRP層40は、エポキシ樹脂を含浸させた炭素繊維を巻回したライナアッセンブリ20を加熱炉で加熱し、エポキシ樹脂を熱硬化させることで形成される。
離型材30は、離型剤からなるフィルムによって形成されている。フィルム状の離型材30は、ライナアッセンブリ20とCFRP層40との間の全領域に形成されている。離型材30は、ライナアッセンブリ20とCFRP層40との固着を抑制している。離型材30は、特に図2(b)に示すように、ライナ12のドーム部21,22とストレート部23に対応して分割されている。即ち、離型材30は、ドーム部21,22に取り付けられるドーム部用の離型材であるドーム状離型材部31,32(破線で囲む部分)と、ストレート部23に取り付けられるストレート部用の離型材であるストレート状離型材部33(一点鎖線で囲む部分)とに分けた構成とされている。
図3(a)に示すように、フィルム化された離型材30は、ライナ12が吸水した水分がCFRP層40に入り込むのを阻止するので、外側のCFRP層40の硬化が水分によって阻害されるのを防止することができる。離型材30としては、フッ素系離型材、或いはシリコン系離型材を用いることができる。
図3(b)、図3(c)に示すように、ドーム状離型材部31は口金14の首元15まで延びて配置されている(図3(b)に示す円で囲われた部分を参照)。それによって、ドーム状離型材部31は、CFRP層40が直接に口金14に接しておらず、ライナ12のドーム部21と口金14との間に生じる可能性のある隙間部18を覆っている。CFRP層40からエポキシ樹脂やCFRPが欠けた異物などが隙間部18を通して内側へ入り込まないようにすることができ、それによって口金14とライナ12の接着に起因したライナ破壊やシール不良を防止している。なお、口金16側においても、ドーム状離型材部32が口金の首元17にまで延びており、ライナ12のドーム部22やCFRP層40、ドーム部22と口金14との隙間部19等との関係性は同様である。
ドーム状離型材部31,32は、フィルム状の形態ではあるが、ある程度剛性を持たせることで、ドームの形状を保ったものとされている。こうした形状保持性によって、皺が入ることが元来、抑制されている。また、形状保持性は、ライナ12と口金14,16との間にフィルム状の離型材が入り込まないようにする機能も備える。ドーム状離型材部31,32は、形状を保ったものとされているので、ライナ12のドーム部21,22に対して、外側から嵌め込み式に取り付けられる。
一方、ストレート状離型材部33は、ライナ12のストレート部23にフィルムを巻回して形成される。ライナ12の円筒状のストレート部23にフィルムを巻回させて貼り付けるので、ドーム表面のような立体的な曲面部分に貼り付けるのとは異なり、ストレート状離型材部33に皺が発生するのを防止することができる。
図2(b)にも示されているように、ドーム状離型材部31,32の端部35,36はライナ12のストレート部23の領域まで延ばされている。図3(d)に示すように、ドーム状離型材部31,32は、その延ばされた端部35,36において、巻回されるストレート状離型材部33によって重ねられ且つ覆われた状態で締め付けられる。即ち、ドーム状離型材部31,32は、ストレート状離型材部33で締め付けて巻くことで固定される。分割された離型材30の固定力を当該締め付け力で向上させることができるので、離型材30がドーム状離型材部31,32とストレート状離型材部33とに分割されたタイプのものでありながら、ドーム状離型材部31,32がライナ52に固定されないというような事態が回避され、離型材を確実に固定することができる。CFRP層40は、分割されるが重ねられた状態のフィルム状の離型材の外周に配置される。
図4には、高圧タンクの比較例が断面で示されている。
高圧タンクのライナアッセンブリ50は、内側のライナ52、ライナ52の両端に配置された口金54, 56を備えている。口金54, 56をライナ52に圧入するのに当該ライナ52と口金54, 56との間の圧入部位に、必要な隙間部58(図4(b)において円で囲まれた部分)が設けられている。ライナアッセンブリ50の外側にCFRP層(図示せず)がFW法で適用される。CFRP層は、硬化するまでの未硬化の状態のときに、ライナアッセンブリ50のライナ52と口金54, 56に接触するため、CFRPのエポキシ樹脂が隙間部58に入り込むことがある。エポキシ樹脂が隙間部58に入り込むと、その硬化時にライナ52と口金54(56)を固着する。比較例は、そうした固着が生じた場合、その後、低温時にライナ52の柔軟性が低下した状態でライナ52が膨張収縮すると、ライナ52に応力集中が発生し、ライナ52が歪む又は割れる等の現象が生じる可能性があるという課題を示している。
比較例はまた、ライナ52と口金54,56の隙間部58に例えばCFRPの欠けたもの(異物)などが挟まり、その後、ガスの充填・放出や環境温度によりライナ52の膨張収縮が繰り返されると、異物が隙間部58からライナ52と口金14(16)との間のシール部59(図4(c)において円で囲まれた部分)まで落ち込み、シール部59のシール性能を低下させる可能性があるという課題を示している。更にまた、ライナ52とその外側のCFRP層との間に接着を防止するフィルム状の離型材を適用する場合も、離型材に皺が入り易いという課題も示している。
以上、本発明による高圧タンクに関して、好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能であることは明らかである。
10 高圧タンク 12 ライナ
14, 16 口金 15,17 首元
18,19 隙間部
20 ライナアッセンブリ
21,22 ドーム部 23 ストレート部
30 離型材 31,32 ドーム状離型材部
33 ストレート状離型材部 35,36 ドーム状離型材部の端部
40 CFRP層
50 ライナアッセンブリ 52 ライナ
54, 56 口金
58 隙間部 59 シール部

Claims (1)

  1. ストレート部及び該ストレート部の両端に接続されるドーム部を有するライナと、
    前記ライナのドーム部の開口部に配置された口金と、
    前記ライナ及び前記口金の外周に配置されたCFRP層と、
    を備える高圧タンクであって、
    前記ライナと前記口金の外周にフィルム状の離型材が配置され、該離型材の外周に前記CFRP層が配置されており、
    前記フィルム状の離型材は、前記ライナのストレート部用とドーム部用に分けられており、
    前記ドーム部用の離型材の端部は前記ライナのストレート部の領域まで延ばされ、前記ストレート部用の離型材で覆われている
    ことを特徴とする高圧タンク。
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