JP2019105296A - ボールねじ装置の調整方法及び製造方法 - Google Patents

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Ryuta Suzuki
竜太 鈴木
平光 明
Akira Hiramitsu
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鈴木 隆之
Takayuki Suzuki
隆之 鈴木
弘樹 上林
Hiroki Kamibayashi
弘樹 上林
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【課題】製造コストが低いボールねじ装置の調整方法及び当該調整方法を用いたボールねじ装置の製造方法を提供する。【解決手段】ボールねじ装置40の調整方法は、転動ボール24を被選択転動ボール24aとすることにより、軸線方向におけるボールねじ軸20とボールナット21の相対移動量γを所定の相対移動量γ1内に規制する。調整方法は、保持部材42,43を固定し、保持するマスタボール41を外周転動溝23及び内周転動溝21aに対して所定の径方向位置にそれぞれ配置する第一工程S10と、マスタボールと外周転動溝との間の第一相対移動量β1及びマスタボールと内周転動溝と間の第二相対移動量β2を計測する第二工程S20と、第一相対移動量β1及び第二相対移動量β2に基づき、外周転動溝23及び内周転動溝21aに応じた被選択転動ボール24aの直径φBaを演算する第三工程S40と、を備える。【選択図】図8

Description

本発明は、ボールねじ装置の調整方法及び製造方法に関する。
従来、特許文献1,2に記載されるようなボールねじ装置がある。これらのボールねじ装置は、外周にボール溝を備えたボールねじ軸、ボールねじ軸の外周側に配置され内周にボール溝を備えたボールナット、及びボールねじ軸及びボールナットの各ボール溝間に転動可能に保持される複数の転動ボールを備える。ボールねじ装置は、ボールねじ軸又はボールナットの回転力を、各ボール溝及び複数の転動ボールを介して伝達する。このような構成を有するボールねじ装置は、ボールねじ軸とボールナットとをスラスト方向に相対移動可能とする若干のクリアランス(相対移動量)を各ボール溝と転動ボールとの間に備える。これによって、ボールねじ装置としての作動をスムーズなものとしている。
しかしながら、このクリアランスの大きさが一定の値を超えると、ボールねじ装置の作動時に例えば振動が発生した場合、クリアランス分を移動した各ボール溝(の内面)が転動ボールと衝突し大きな衝突音(ラトル音)を生じさせる虞がある。また、このとき衝突のエネルギーが大きいと各ボール溝と転動ボールとの間で摩耗が生じる虞もある。このため、ボールねじ装置では、通常、上述したスラスト方向におけるクリアランスの大きさが一定の値を超えないよう以下のように管理している。
具体的には、まず、組み付け対象となるボールねじ軸及びボールナットの各ピッチ円径(PCD)をそれぞれ測定する。次に、測定した各ピッチ円径(PCD)に基づき、中心位置が、各溝のPCDに一致して配置可能であるとともに、PCDに一致して配置されたとき、スラスト方向において所望のクリアランスが得られる転動ボールの直径を演算する。そして、演算された直径に最も近い転動ボールを、予めランク分けし選別しておいた複数の転動ボールの中から選択し、ボールねじ装置に組み付けるものである。
特許第5120040号公報 特開2011−43241号公報
しかしながら、上記の管理方法では、各PCDの測定誤差や,製造されたボールねじのリードの誤差等の因子によって、スラスト方向におけるクリアランスを100%所望の大きさの範囲内とすることは困難である。そこで、選択された転動ボールによってボールねじ装置を仮組み付けし、ボールねじ軸とボールナットとの間に生じるスラスト方向のクリアランスを実測して確認する。このとき、測定したクリアランスの大きさが予め設定した所望の規格内にあれば合格とする。
しかし、クリアランスが規格外であれば不合格とする。この場合、仮組み付けした転動ボールを、他のランク品の転動ボールに組み替えてクリアランスを再度、測定し、合否判定を行なう。この作業を、測定したクリアランスが合格判定を得るまで繰り返し行なう。組付けられていた転動ボールは、品質保証が困難であるため全数廃棄する場合が多い。これらにより多大な時間及び部品が必要となり大幅なコスト上昇となる虞がある。
本発明は、製造コストが低いボールねじ装置の調整方法及び当該調整方法を用いたボールねじ装置の製造方法を提供することを目的とする。
(1.ボールねじ装置の調整方法)
(第一の態様)
ボールねじ装置の調整方法は、外周面に外周転動溝を螺旋状に形成したボールねじ軸と、内周面に内周転動溝を螺旋状に形成したボールナットと、径方向における前記外周転動溝と前記内周転動溝との間に循環可能に配列される転動ボールと、を備えるボールねじ装置において、前記転動ボールを前記内周転動溝及び前記外周転動溝に応じて選択された被選択転動ボールとすることにより、軸線方向における前記ボールねじ軸と前記ボールナットの相対移動量を所定の範囲内に規制する。
調整方法は、前記転動ボールの代用とする予め直径データが取得されたマスタボールと、前記マスタボールを保持し、前記マスタボールの中心位置を径方向において予め設定された前記外周転動溝及び前記内周転動のピッチ円径に一致させるとともに、前記マスタボールを前記外周転動溝及び前記内周転動溝に対しそれぞれ軸線方向に相対移動可能とする保持部材と、を用い、前記保持部材を固定し、保持する前記マスタボールを前記外周転動溝及び前記内周転動溝に対して所定の径方向位置にそれぞれ配置する第一工程と、前記軸線方向における前記マスタボールと前記外周転動溝との間の第一相対移動量及び前記軸線方向における前記マスタボールと前記内周転動溝との間の第二相対移動量をそれぞれ計測する第二工程と、計測された前記第一相対移動量及び前記第二相対移動量に基づき、前記外周転動溝及び前記内周転動溝に応じた前記被選択転動ボールの前記直径を演算する第三工程と、を備える。
第一の態様に係る調整方法では、第二工程において、保持部材に保持され、予め直径データが取得されたマスタボールを用いて、外周転動溝及び内周転動溝とマスタボールとの間の軸線方向における第一相対移動量(クリアランス)及び第二相対移動量(クリアランス)が計測される。そして、第三工程において、計測された第一相対移動量及び第二相対移動量に基づきボールねじ装置に組み付けるべき被選択転動ボールの直径を演算する。このように、組付けに必要な被選択転動ボールの直径を、実際の第一相対移動量(クリアランス)及び第二相対移動量(クリアランス)から直接を求めるので、従来技術よりもより精度よく、被選択転動ボールの直径が決定できる。
(第二の態様)
ボールねじ装置の調整方法は、外周面に外周転動溝を螺旋状に形成したボールねじ軸と、内周面に内周転動溝を螺旋状に形成したボールナットと、径方向における前記外周転動溝と前記内周転動溝との間に循環可能に配列される転動ボールと、を備えるボールねじ装置において、前記転動ボールを前記内周転動溝及び前記外周転動溝に応じて選択された被選択転動ボールとすることにより、軸線方向における前記ボールねじ軸と前記ボールナットの相対移動量を所定の範囲内に規制する。
調整方法は、前記転動ボールの代用とする予め直径データが取得されたマスタボールと、前記マスタボールを保持し、前記マスタボールの中心位置を径方向において予め設定された前記外周転動溝及び前記内周転動溝のピッチ円径に一致させるとともに、前記マスタボールを前記外周転動溝及び前記内周転動溝に対しそれぞれ軸線方向に相対移動可能とする保持部材と、を用い、前記マスタボールを保持する前記保持部材の径方向内方及び径方向外方に前記ボールねじ軸及び前記ボールナットを組み付け、前記ボールねじ軸の前記外周転動溝内及び前記ボールナットの前記内周転動溝内に前記マスタボールを配置する第四工程と、前記軸線方向において、前記マスタボールを介し相対移動する前記ボールねじ軸と前記ボールナットとの間の第四相対移動量を計測する第五工程と、計測された前記第四相対移動量に基づき、前記外周転動溝及び前記内周転動溝に応じた前記被選択転動ボールの直径を演算する第六工程と、を備える。
第二の態様に係る調整方法によれば、組付けに必要な被選択転動ボールの直径を、実際のボールねじ装置における組み付け状態と同様の組み付け状態にて測定し求めることができるので、より精度よく被選択転動ボールの直径が決定できる。また、保持部材に保持されたマスタボールは、径方向における両側から外周転動溝及び内周転動溝に押さえ込まれた状態で測定される。これにより、保持部材によるマスタボールの保持はズレにくい。
(2.ボールねじ装置の製造方法)
上記調整方法を用いて前記ボールねじ装置を製造するボールねじ装置の製造方法は、調整方法の第三工程、又は第六工程で演算された前記直径を備える前記被選択転動ボールを選択し、前記外周転動溝と前記内周転動溝との間に配列させる第一製造工程を備える。この製造方法により、ボールねじ軸とボールナットとの軸線方向における相対移動量が所定の範囲内にはいっている精度の良いボールねじ装置が低コスト且つ容易に製造できる。
実施形態におけるボールねじ装置を備えるステアリング装置の全体を示す概略図である。 図1におけるボールねじ装置の構成を示す断面図である。 ボールねじ軸,転動ボール及びボールナットの当接状態を示す図である。 複数のマスタボールが固定された二個の保持部材の斜視図である。 第一実施形態に係るボールねじ装置の調整時における、ボールねじ軸と保持部材との配置状態を示す図である。 図5を軸方向から視た図である。 第一実施形態に係るボールねじ装置の調整時における、ボールナットと保持部材との配置状態を示す図である。 第一実施形態に係るボールねじ装置の調整方法のフローチャート1である。 第二実施形態に係るボールねじ装置の調整時における、ボールねじ軸、保持部材及びボールナットとの配置状態を示す図である。 第二実施形態に係るボールねじ装置の調整方法のフローチャート2である。 ボールねじ装置の製造方法のフローチャート3である。
以下、本発明に係る第一実施形態について図面に基づき説明する。図1は、本発明に係る調整方法により調整したボールねじ装置40を備える車両用の電動パワーステアリング装置(ステアリング装置に相当)の全体を示す図である。電動パワーステアリング装置は、操舵補助力によって操舵力を補助するステアリング装置である。
(1.ステアリング装置の構成)
電動パワーステアリング装置10(以後、ステアリング装置10とのみ称する)は、車両の転舵輪28,28に連結される転舵軸20を、転舵軸20の軸線方向と一致するA方向(図1の左右方向)に往復移動させることにより、転舵輪28,28の向きを転舵させる装置である。
図1に示すように、ステアリング装置10は、ハウジング11と、ステアリングホイール12と、ステアリングシャフト13と、トルク検出装置14と、電動モータM(以後、モータMとのみ称す)と、前述した転舵軸20(ボールねじ軸に相当)と、操舵補助機構30と、ボールねじ装置40と、を備える。
ハウジング11は、車両に固定される固定部材である。ハウジング11は、筒状に形成され、第一ハウジング11aと、第一ハウジング11aのA方向他端側(図1中、左側)に固定された第二ハウジング11bとを備える。
ステアリングホイール12は、ステアリングシャフト13の端部に固定され、車室内において回転可能に支持される。ステアリングシャフト13は、運転手の操作によってステアリングホイール12に加えられるトルクを転舵軸20に伝達する。
ステアリングシャフト13の転舵軸20側の端部には、ラックアンドピニオン機構を構成するピニオン13aが形成される。トルク検出装置14は、ステアリングシャフト13の捩れ量に基づいて、ステアリングシャフト13に加えられるトルクを検出する。
転舵軸20は、A方向に延伸している。転舵軸20は、ハウジング11に軸線方向に往復移動可能に支承される。転舵軸20の外周面の一部には、ラック歯22が形成される。ラック歯22は、ステアリングシャフト13のピニオン13aに噛合し、ピニオン13aとともにラックアンドピニオン機構を構成する。ラックアンドピニオン機構は、ステアリング装置10の用途等に基づいて、ステアリングシャフト13と転舵軸20との間で伝達可能な最大軸力が設定される。
転舵軸20は、両端部にジョイント25,25を有する。ジョイント25,25の両端部には、タイロッド26,26が連結される。タイロッド26,26の先端は、ナックルアーム27,27を介して左右の転舵輪28,28に連結される。
これにより、ステアリングホイール12が操舵されると、ステアリングホイール12に連結されるステアリングシャフト13の舵角に応じ、転舵軸20がラックアンドピニオン機構を介してA方向に直線往復移動される。このA方向に沿った移動がタイロッド26,26を介してナックルアーム27,27に伝達されることにより、転舵輪28,28が転舵され、車両の進行方向が所望の量だけ変更される。
ハウジング11のA方向両端には、ブーツ29,29の一端部が固定される。ブーツ29,29は、例えば樹脂製で、主にジョイント25,25とタイロッド26,26とのジョイント部分を覆い、A方向に伸縮可能な筒状の蛇腹部を有する。ブーツ29,29の他端部はタイロッド26,26に固定される。ブーツ29,29は、埃や水などの異物が、ハウジング11の内部およびジョイント25,25の内部に侵入することを抑制する。
また、転舵軸20(ボールねじ軸)は、ラック歯22とは異なる位置の外周面に外周転動溝23が形成される。外周転動溝23は、後述する転動体ナット21(ボールナットに相当)の内周転動溝21aとともにボールねじ装置40を構成し、操舵補助機構30により操舵補助力を伝達される。
操舵補助機構30は、モータMを駆動源として転舵軸20に操舵補助力を付与する機構である。操舵補助機構30は、モータM、モータMを駆動する制御部ECU及び駆動力伝達機構32を備える。モータM、及びモータMを駆動するための制御部ECUは、ハウジング11の第一ハウジング11aに固定されるケース31に収容される。制御部ECUは、トルク検出装置14の出力信号に基づいて、操舵補助トルクを決定し、モータMの出力を制御する。
駆動力伝達機構32は、図2に示すように、駆動プーリ36、従動プーリ34及び歯付きのベルト35を備える。駆動プーリ36は、モータMの出力シャフト37に装着される。出力シャフト37は、転舵軸20の軸線と平行に配置される。従動プーリ34は、転動体ナット21の外周側に転動体ナット21と一体回転可能に固定される。
転動体ナット21のA方向一端側(図2において左側)は、第二ハウジング11bの内周面11b1にボールベアリング33を介して回転可能に支持される。ベルト35は、駆動プーリ36と従動プーリ34とに懸架される。駆動力伝達機構32は、駆動プーリ36と従動プーリ34との間で、モータMが発生させる回転駆動力を、ベルト35を介して伝達する。
上記の構成により、操舵補助機構30は、ステアリングホイール12の回転操作(操舵)に応じてモータMを駆動し、モータMの出力シャフト37及び駆動プーリ36を回転させる。駆動プーリ36の回転は、ベルト35を介して従動プーリ34に伝達され、従動プーリ34に一体的に設けられる転動体ナット21が軸線周りに回転作動する。そして、転動体ナット21が回転作動することにより、転舵軸20の軸線方向への操舵補助力(動力)が、ボールねじ装置40が有する複数の転動ボール24を介して転舵軸20に伝達され、転舵軸20(ボールねじ軸に相当)が軸線方向に移動される。
(2.ボールねじ装置40の構成)
図2に示すように、ボールねじ装置40は、転舵軸20(ボールねじ軸)の外周面に螺旋状に形成された外周転動溝23及び転動体ナット21(ボールナット)の内周面に螺旋状に形成された内周転動溝21aを備える。ボールねじ装置40は、主に第二ハウジング11b内に収容される。内周転動溝21aは、外周転動溝23の外周側に同軸で配置される。
図3に示すように、外周転動溝23のピッチ円外径(ピッチ円径)φDpw1(JISB1192(ボールねじ)に示されるピッチ円径φDpwに相当)は、予め設定された規格(寸法規格)の範囲内に入るよう形成される。図3に示すように、内周転動溝21aのピッチ円内径(ピッチ円径)φDpw2(JISB1192に示されるピッチ円径φDpwに相当)も、予め設定された規格(寸法規格)の範囲内に入るよう形成される。
なお、外周転動溝23のピッチ円外径φDpw1と、内周転動溝21aのピッチ円内径φDpw2とは理論上は、同じ寸法である。また、JISB1192におけるピッチ円径φDpwは、通常、PCD(Pitch Circle Diameter)と表記される寸法である。つまり、転舵軸20の外周転動溝23及び転動体ナット21の内周転動溝21aのピッチ円径φDpw1,φDpw2(PCD)は、外周転動溝23及び内周転動溝21aが、転動ボール24の外周面と理論的な接触点で接触している場合における転動ボール24の中心を包含する円筒の直径である(JISB1192に基づく)。
複数の転動ボール24は、径方向において、転舵軸20の外周転動溝23と転動体ナット21の内周転動溝21aとの間で循環可能に形成される転動路R1を転動する。なお、本実施形態では、軸方向で離間した転動体ナット21の所定の2箇所に図略のデフレクタを備える。そして、デフレクタ内及び転動体ナット21内に形成された図略の通路と転動路R1とが接続されて循環路が形成され、転動ボール24が循環路を無限循環する。
また、本実施形態においては、循環路を転動する転動ボール24は、所定の公差幅を有する一種類の直径φBで形成された転動ボールである。ただし、この態様に限らず、転動ボール24より小さな直径で形成されるスペーサボールが、周方向において隣接する転動ボール24の間に一つずつ配置されていてもよい。なお、スペーサボールとは、一方向に転動される転動ボール24の間に配置されることで転動ボール24とは逆方向に自在に回転し、転動ボール24間に発生する摩擦を防止するものである。スペーサボールの技術は公知(例えば、特開2006−349148号公報参照)であるので、詳細な説明については省略する。
転動ボール24は、後述する調整方法によって、各ボールねじ装置40にそれぞれ組み付けるべき直径φBaが演算によって割り出される。なお、演算によって割り出される直径φBaで形成された転動ボール24を、被選択転動ボール24aと称す。直径φBaは、直径φBの公差範囲を複数段階(例えば10段階)にランク分けしたものの内の一部である。つまり、直径φBaは、直径φBの一部であり直径φBに含まれる。例えば、転動ボール24の直径の規格がφB±α(公差)であった場合、被選択転動ボール24aは、公差2αの幅を例えば等分に10分割(α1〜α10)したもののうちの一分割分(一ランク分)の公差幅で形成された転動ボールの集合体であると考えればよい。
(3.ボールねじ装置の調整について)
ボールねじ装置40の調整に関し、調整方法及び調整に使用する装置について説明する。ボールねじ装置40の調整方法は、対向し同軸で配置される外周転動溝23と内周転動溝21aとの間の転動路R1に配列する複数の転動ボール24(被選択転動ボール24a)の直径φBaを演算し決定する方法である。
被選択転動ボール24aの直径φBaは、転動路R1に複数の被選択転動ボール24a(転動ボール24)が配置された状態で、転舵軸20と転動体ナット21とを軸線方向に相対移動させた際、生じる相対移動量γ(クリアランス)を所定の相対移動量γ1内に収めることができる直径である。なお、図3において、相対移動量γは、γaとγbとを加算した大きさである(γ=γa+γb)。
また、所定の相対移動量γ1は、ボールねじ装置40が作動したときに、作動をスムーズにする大きさのクリアランスであり、予め設定される値である。相対移動量γが一定の値を超えると、ボールねじ装置40の作動時に例えば振動が発生した場合、相対移動量γ(クリアランス分)を移動した外周転動溝23の溝面及び内周転動溝21aの溝面が転動ボール24と衝突し大きな衝突音(ラトル音)を生じさせる虞がある。また、このとき衝突のエネルギーが大きいと各溝23,21aと転動ボール24との間で摩耗が生じる虞もある。このため、所定の相対移動量γ1は、このような作用が生じない範囲内に設定される(規制される)。
ボールねじ装置40の調整方法では、複数のマスタボール41と、二個の保持部材42,43とを用いて実施する(図4参照)。マスタボール41は、調整時において転動ボール24の代用とするため、予め直径データφBb1〜φBbnがそれぞれ取得された転動ボールである。マスタボール41は、転動ボール24の中からランダムに抜き取ってもよいが、その直径の分布の幅は狭いほうが好ましい。
なお、図4に示すように、本実施形態においては、マスタボール41は、保持部材42,43にそれぞれ十五個ずつ保持される。ただし、この数は任意であり、二個の保持部材42,43にそれぞれ一個ずつ保持されるだけでも良いし、それぞれ一個から十四個の間のマスタボール41が保持されてもよい。また、保持部材42,43が、マスタボール41を、それぞれ十五個を超えて有していても良い。また、二個の保持部材42,43には、同数ではなく、異なる数のマスタボール41をそれぞれ保持してもよい。
図4に示すように、保持部材42,43は、円筒状部材の第一端部から第二端部まで達するとともに、軸線方向に沿った面によって分割し形成される。具体的には、円筒状部材を、例えば、軸線を含む平面によって等分に二分割して形成される。ただし、保持部材42,43は、不等分割して形成されてもよいし、平面ではなく曲面によって分割し形成されてもよい。複数のマスタボール41は、保持部材42,43に貫通して設けられた複数の保持孔44に、固定(圧入)されている。なお、保持部材42,43は、同様の形状で形成されるが、複数のマスタボール41を保持する位置は同一ではない。
複数のマスタボール41は、保持部材42,43の内周面及び外周面から、ほぼ同じ高さだけ突出して保持される(図5,図6参照)。そして、保持部材42,43は、このように複数のマスタボール41を保持した状態で、転舵軸20(ボールねじ軸)の外周転動溝23の径方向外方に、外周転動溝23と内周面とが対向するとともに、外周転動溝23を覆うように配置される(図5,図6参照)。
そして、図5に示すように、保持部材42,43の内周面側に突出した複数のマスタボール41の一部は、外周転動溝23内に進入し、螺旋状の外周転動溝23に沿って配置される。このとき、複数のマスタボール41は、転舵軸20(ボールねじ軸)の軸線方向から見た図6に示すように、外周転動溝23の周方向において60degずつ位相がずれた状態で配置されることが好ましい。これにより、外周転動溝23の形状が精度よく計測できる。
このように、保持部材42,43は、外周転動溝23が延在する周方向に複数のマスタボール41を保持する。また同時に、保持部材42,43は、複数のマスタボール41を軸線方向に整列した状態で保持する(図4,図5参照)。
なお、上記においては、マスタボール41は、外周転動溝23の周方向において60degずつ位相がずれた状態で配置すると述べたが、この態様には限らない。外周転動溝23の周方向において配列するマスタボール41の位相の間隔は任意に設定しても良い。これにより、保持部材42,43の軸線方向に配列されるマスタボール41の並びは、軸線と平行にはならない場合もあるが、これによっても、被選択転動ボール24aの直径φBaは、十分精度よく得られる。
そして、マスタボール41の中心Xの位置(中心位置)が、外周転動溝23のピッチ円外径φDpw1の位置に一致するよう保持部材42,43がそれぞれ所定の手段(図略)によって固定される。このとき、固定する所定の手段はどのようなものでもよい。
また、このとき、保持部材42,43及び転舵軸20(ボールねじ軸)の少なくとも一方は、軸線方向に移動可能である。本実施形態では、転舵軸20(ボールねじ軸)が軸線方向に移動するものとする。これにより、保持部材42,43、即ち、複数のマスタボール41と、外周転動溝23と、は軸線方向において相対移動量β1(第一相対移動量)分だけ相対移動可能となる。
そして、軸線方向に移動可能な転舵軸20(ボールねじ軸)の端面の相対移動量β1(第一相対移動量)が、非接触式のレーザ変位計45によって、測定可能に構成される。レーザ変位計で計測した相対移動量β1(第一相対移動量)は、制御装置46が備える記憶部47に送信される。なお、相対移動量β1は、レーザ変位計に限らず、どのような計測器で計測してもよい。
また、上記における複数のマスタボール41と外周転動溝23との間の相対移動量β1の測定とは別に、マスタボール41と内周転動溝21aとの間の相対移動量β2も測定する(図7参照)。このため、保持部材42,43は、複数のマスタボール41を保持した状態で、転動体ナット21(ボールナット)の内周転動溝21aの径方向内方に、内周転動溝21aと外周面とが対向するように配置される。
そして、保持部材42,43の外周面側に突出した複数のマスタボール41の一部は、内周転動溝21a内に進入し、螺旋状の内周転動溝21aに沿って配置される。このとき、複数のマスタボール41は、上記と同様、内周転動溝21aの周方向において60degずつ位相がずれた状態で配置されることが好ましい。
これにより、保持部材42,43は、内周転動溝21aが延在する周方向に複数のマスタボール41を保持する。また同時に、保持部材42,43は、複数のマスタボール41を軸線方向に整列した状態で保持する。
なお、上記においては、マスタボール41は、内周転動溝21aの周方向において60degずつ位相がずれた状態で配置すると述べたが、この態様には限らない。内周転動溝21aの周方向において配列するマスタボール41の位相の間隔は任意に設定しても良い。これにより、保持部材42,43の軸線方向に配列されるマスタボール41の並びは、軸線と平行にはならない場合もあるが、被選択転動ボール24aの直径φBaは、十分精度よく得られる。
そして、マスタボール41の中心Xの位置が、内周転動溝21aのピッチ円内径φDpw2(=ピッチ円外径φDpw1)の位置に一致するよう保持部材42,43を配置し、それぞれ所定の手段によって固定する。このとき、固定する所定の手段はどのようなものでもよい。
なお、このとき、保持部材42,43及び転動体ナット21(ボールナット)の少なくとも一方は、軸線方向に移動可能である。本実施形態では、転動体ナット21(ボールナット)が移動するものとする。これにより、保持部材42,43、即ち、複数のマスタボール41と内周転動溝21aとは軸線方向において相対移動可能となる。
そして、軸線方向に移動可能な転動体ナット21(ボールナット)の端面の相対移動量β2(第二相対移動量)が、非接触式のレーザ変位計45によって、測定可能に構成される。レーザ変位計45で計測した相対移動量β2(第二相対移動量)は、制御装置46が備える記憶部47に送信される。なお、上記と同様、相対移動量β2は非接触式のレーザ変位計に限らず、接触式の変位計を用いて計測してもよい。また、その他の計測器で計測してもよい。
(4.第一実施形態に係るボールねじ装置の調整方法)
次に、ボールねじ装置40の調整方法について、図8のフローチャート1等に基づき説明する。図8に示す調整方法の工程S10(第一工程)では、マスタボール41と外周転動溝23との間の相対移動量である第一相対移動量β1、又はマスタボール41と内周転動溝21aとの間の相対移動量である第二相対移動量β2の計測を行なうための準備を行なう。
工程S10(第一工程)では、第一相対移動量β1を計測するため、上述したように、マスタボール41の中心Xの位置が、外周転動溝23のピッチ円外径(ピッチ円径)φDpw1の位置(所定の径方向位置に相当)に一致するよう、保持部材42,43を外周転動溝23の径方向外方に配置する(図5参照)。若しくは、保持するマスタボール41の中心Xの位置が、内周転動溝21aのピッチ円内径(ピッチ円径)φDpw2の位置(所定の径方向位置に相当)に一致するよう保持部材42,43を内周転動溝21aの径方向内方に配置する。そして、保持部材42,43が配置された位置において、保持部材42,43をそれぞれ所定の手段によって固定する(図7参照)。
次に、工程S20(第二工程)において、転舵軸20(ボールねじ軸)、又は転動体ナット21(ボールナット)を軸線方向に往復動(変位)させる。そして、移動した転舵軸20(又は転動体ナット21)の相対移動量である第一相対移動量β1(又は第二相対移動量β2)をレーザ変位計45で計測する。計測された第一相対移動量β1(又は第二相対移動量β2)は、制御装置46が備える記憶部47に送信されて記憶される。
次に、工程S30(判定工程)では、第一相対移動量β1及び第二相対移動量β2が何れもすでに計測されたか否かが判定される。計測されていなければ、Noに従い、工程S10(第一工程)に移動し、第二相対移動量β2(又は第一相対移動量β1)の計測を行なうための準備を行なう。しかし、計測されていれば、Yesに従い、工程S40(第三工程)に移動する。
Noに従った場合、計測されていない第二相対移動量β2、又は第一相対移動量β1を計測するため、工程S10(第一工程)〜工程S30が順次処理される。工程S30(判定工程)において、Yesに従い、工程S40(第三工程)に移動した場合には、演算部48が、記憶部47に記憶された第一相対移動量β1及び第二相対移動量β2に基づき、外周転動溝23及び内周転動溝21aに応じた被選択転動ボール24aの直径φBaを演算する。
このとき、被選択転動ボール24aの直径φBaは、上述したように、転動路R1に複数の被選択転動ボール24a(転動ボール24)が配置された状態において、転舵軸20と転動体ナット21とを軸線方向に相対移動させた際に生じる相対移動量γを所定の相対移動量γ1とγ2(γ2<γ1)との間に収めることを可能とする直径である。
工程S40(第三工程)において、演算部48では、相対移動量γが所定の相対移動量γ1とγ2(γ2<γ1)との間に収まるよう被選択転動ボール24aの直径φBaを演算し決定する。詳細には、計測した第一相対移動量β1及び第二相対移動量β2に基づいて、相対移動量γの大きさを予測した場合、予測した相対移動量γが所定の相対移動量γ1より大きくなる場合には、被選択転動ボール24aの直径φBaとして、マスタボール41の直径は小さすぎると判断できる。これにより、被選択転動ボール24aの直径を、マスタボール41の直径より所定量だけ大きくするよう演算する。
また、予測した相対移動量γが所定の相対移動量γ1以下で、かつγ2以上である場合には、被選択転動ボール24aの直径φBaは、マスタボール41の直径と同等でよいと判断できる。さらに、予測した相対移動量γが所定の相対移動量γ2より小さくなる場合には、被選択転動ボール24aの直径φBaとして、マスタボール41の直径は大きすぎると判断できる。そこで、被選択転動ボール24aの直径φBaを、マスタボール41の直径より所定量だけ小さくするよう演算する。演算された被選択転動ボール24aの直径φBaは、記憶部47に送信され、記憶される。
上記実施形態の調整方法によれば、第二工程S20において、保持部材42,43に保持され、予め直径データが取得されたマスタボール41を用いて、外周転動溝23及び内周転動溝21aとマスタボール41との間の軸線方向における第一相対移動量β1(クリアランス)及び第二相対移動量β2(クリアランス)が計測される。そして、第三工程S40において、計測された第一相対移動量β1及び第二相対移動量β2に基づきボールねじ装置40に組み付けるべき被選択転動ボール24aの直径φBaが演算される。このように、組付けに必要な被選択転動ボール24aの直径φBaを、実際の第一相対移動量β1(クリアランス)及び第二相対移動量β2(クリアランス)から直接求めるので、従来技術よりもより精度よく且つ安価に被選択転動ボール24aの直径φBaが決定できる。
(5.第二実施形態に係るボールねじ装置の調整方法)
次に、第二実施形態に係るボールねじ装置40の調整方法について、図9及び図10のフローチャート2等に基づき説明する。上記第一実施形態の調整方法では、マスタボール41と外周転動溝23との間の相対移動量である第一相対移動量β1、及びマスタボール41と内周転動溝21aとの間の相対移動量である第二相対移動量β2の計測をそれぞれ行なった。そして、第一相対移動量β1及び第二相対移動量β2の値に基づきボールねじ装置40に組み付けるべき被選択転動ボール24aの直径φBaを演算した。
しかし、第二実施形態の調整方法では、保持部材42,43,転動体ナット21(ボールナット),及び転舵軸20(ボールねじ軸)を組み付けた状態とする。そして、組み付けた状態において、軸線方向における転動体ナット21と、転舵軸20との相対移動量を計測し、計測した相対移動量に基づき、ボールねじ装置40に組み付けるべき被選択転動ボール24aの直径φBaを演算する。なお、第二実施形態の調整方法にて使用する保持部材42,43、転舵軸20(ボールねじ軸)及び転動体ナット21(ボールナット)等は全て第一実施形態の調整方法で使用したものと同様のものである。よって同じ符号を用いて説明する。
図10に示すように、工程S100(第四工程)では、マスタボール41を保持する保持部材42,43の径方向内方及び径方向外方に転舵軸20(ボールねじ軸)及び転動体ナット21(ボールナット)を組み付ける(図9参照)。これにより、転舵軸20の外周転動溝23内及び転動体ナット21の内周転動溝21a内にマスタボール41を配置する。このとき、上述したように、マスタボール41の中心Xの位置は、外周転動溝23のピッチ円外径(ピッチ円径)φDpw1の位置(所定の径方向位置に相当)及び内周転動溝21aのピッチ円内径(ピッチ円径)φDpw2の位置(所定の径方向位置に相当)に一致するように形成されている。
次に、工程S101(第五工程)において、転舵軸20(ボールねじ軸)又は転動体ナット21(ボールナット)を軸線方向にマスタボール41を介し往復動(変位)させる(なお、図9では、例として転舵軸20を移動させる図が記載されている)。そして、移動した転舵軸20(又は転動体ナット21)の相対移動量である第四相対移動量β3をレーザ変位計45で計測する。計測された第四相対移動量β3は、制御装置46が備える記憶部47に送信されて記憶される。
次に、工程S102(第六工程)において、演算部48が、記憶部47に記憶された第四相対移動量β3に基づき、外周転動溝23及び内周転動溝21aに応じた被選択転動ボール24aの直径φBaを演算する。直径φBaの決定方法は、上記第一実施形態で説明したとおりである。
上記実施形態の調整方法によれば、組付けに必要な被選択転動ボール24aの直径φBaを、実際のボールねじ装置40における組み付け状態と同様の組み付け状態にて測定し求めることができるので、より精度よく被選択転動ボール24aの直径φBaが決定できる。また、保持部材42,43に固定されたマスタボール41は、径方向における両側から外周転動溝23及び内周転動溝21aに押さえ込まれた状態で測定される。これにより、マスタボール41は保持部材42,43の保持孔44に対して、ズレる等の相対移動が良好に抑制できる。
(6.ボールねじ装置の製造方法)
次に、ボールねじ装置40の製造方法について、図11のフローチャート3等に基づき説明する。
第一製造工程S110では、調整方法の工程S40(第三工程)、又は工程S102(第六工程)において演算され記憶部47に記憶された直径φBaに基づき、例えば10段階にランク分けされた転動ボール24のうち、最も演算された直径φBaに近い被選択転動ボール24aを選択する。このとき、選択は、制御装置が行っても良いし、図略の表示装置に表示された直径φBaに基づき作業者が行ってもよい。そして、選択された被選択転動ボール24aを外周転動溝23と内周転動溝21aとの間の転動路R1に組み付ける。
第二製造工程S120では、被選択転動ボール24aを外周転動溝23と内周転動溝21aとの間の転動路R1に組み付け配列させたのち、被選択転動ボール24aを介した転舵軸20(ボールねじ軸)と転動体ナット21(ボールナット)との間の軸線方向における第三相対移動量γ(=前述の相対移動量γ)を計測する(図略)。このとき、第三相対移動量γを計測する方法は、上記において、第一相対移動量β1を測定したのと同様、転舵軸20(ボールねじ軸)の端部の移動量(変位量)をレーザ変位計45によって、計測すればよい。なお、測定装置の詳細については、説明を省略する。
次に、第三製造工程S130(判定工程)では、第三相対移動量γが、所定の範囲内である、相対移動量γ1とγ2との間に入っているか(γ2≦γ≦γ1)否か(γ<γ2又はγ>γ1)を判定する。第三相対移動量γが、所定の相対移動量γ1とγ2との間に入っている(γ2≦γ≦γ1)と判定された場合、Noに従いプログラムを終了する。しかし、第三相対移動量γが、判定基準である所定の相対移動量γ1を超えた(γ>γ1)と判定された場合、又は所定の相対移動量γ2を下回った(γ<γ2)と判定された場合には、Yesに従い、組み付けた被選択転動ボール24aを分解する(製造工程S140A)。そして、その後、製造工程S140Bにおいて、図8に示す調整方法における工程S10−工程S40、又は図10に示す調整方法における工程S101−工程S102の処理を再び実施し、第一製造工程S110に移動する。
そして、第一製造工程S110において、工程S40(工程S102)で決定した被選択転動ボール24aの直径φBaに基づき選択された被選択転動ボール24aを外周転動溝23と内周転動溝21aとの間の転動路R1に組み付ける。その後、第三製造工程S130(判定工程)において、Noとなるまで、順次、一連の処理が実施される。この一連の処理工程を第四製造工程S140とする。そして、第三製造工程S130(判定工程)において、Noとなった場合に、プログラムを終了する。これにより、耐久性がありラトル音の発生が抑制された低コストのボールねじ装置40が容易に得られる。
(7.実施形態による効果)
上記実施形態によれば、ボールねじ装置40の調整方法において、保持部材42,43は、外周転動溝23及び内周転動溝21aが延在する周方向に複数のマスタボール41を保持する。これにより、外周転動溝23及び内周転動溝21aの形状のばらつきが平均化されるので、ばらつきが少なく安定した状態で精度のよい被選択転動ボール24aの直径φBaが決定できる。
また、上記実施形態の調整方法によれば、保持部材42,43は、軸線方向に複数のマスタボール41を保持する。これにより、外周転動溝23及び内周転動溝21aのリードのばらつきが平均化されるので、より精度よく被選択転動ボール24aの直径φBaが決定できる。
また、上記実施形態の調整方法によれば、保持部材42,43は、円筒状部材を、軸線を含む平面によって等分に分割し形成される。このように、調整方法の第一工程S10、又は第四工程S100において、保持部材42,43を外周転動溝23の径方向外方、又は内周転動溝21aの径方向内方に配置する際、ボ−ルねじを形成する部分に径方向から短時間でダイレクトに組み付けることができる。これにより、調整にかかるコストの削減ができ、低コスト化に寄与する。
また、上記実施形態に係るボールねじ装置の製造方法によれば、調整方法の第三工程S40、又は第六工程S102で演算された直径φBaを備える被選択転動ボール24aを外周転動溝23と内周転動溝21aとの間に配列させる第一製造工程S110を備える。この製造方法により、ボールねじ軸(転舵軸20)とボールナット(転動体ナット21)との軸線方向における相対移動量γが所定の範囲内である、相対移動量γ1とγ2との間にはいっている(γ2≦γ≦γ1)精度の良いボールねじ装置40が低コスト且つ容易に製造できる。
また、上記実施形態に係るボールねじ装置の製造方法によれば、第一製造工程S110によって、被選択転動ボール24aを外周転動溝23と内周転動溝21aとの間に配列させたのち、軸線方向における被選択転動ボール24aを介したボールねじ軸(転舵軸20)とボールナット(転動体ナット21)との間の第三相対移動量γを計測する第二製造工程S120と、第三相対移動量γが、所定の相対移動量γ1の範囲内に入っているか否かを判定する第三製造工程S130と、第三相対移動量γが、所定の相対移動量γ1を超えた場合に、調整方法の第一工程S10〜第三工程S40、又は第四工程S100〜第六工程S102によって被選択転動ボール24aの直径φBaを演算し、演算した直径φBaを備える被選択転動ボール24aを第一製造工程S110によって組みなおす第四製造工程S140と、を備える。このように、第三相対移動量γを実測して確認し、第三相対移動量γが所定の相対移動量γ1の範囲内にないときは、ボールねじ装置を分解して再び被選択転動ボール24aを選択し組みなおすので、ボールねじ装置40の耐久性の向上及びラトル音の抑制に対してはさらに向上する。
(8.その他)
上記実施形態においては、保持部材42,43に複数(十五個)のマスタボール41をそれぞれ保持させた状態で、第一相対移動量β1及び第二相対移動量β2、又は第四相対移動量β3を計測した。しかしながら、この態様には限らない。マスタボール41は、保持部材42,43に一個ずつ保持させ、第一相対移動量β1及び第二相対移動量β2、又は第四相対移動量β3を計測してもよい。これによっても、相応の効果が得られる。
また、上記実施形態においては、保持部材42,43を二体に分割した。しかし、この態様には限らず、保持部材は円筒部材により一体で形成してもよい。この場合、転舵軸20(ボールねじ軸)の径方向外方から、又は転動体ナット21(ボールナット)の径方向内方からそれぞれダイレクトに組み付けすることはできない。しかし、転舵軸20(ボールねじ軸)の端部、又は転動体ナット21(ボールナット)端部から外周転動溝23又は内周転動溝21aにそれぞれ螺着させて組み付けできる。従って、保持部材42,43を、保持するマスタボール41の中心Xが外周転動溝23又は内周転動溝21aのPDCに一致するよう固定する手間を省くことができ安価に対応できる。
また、上記実施形態においては、ボールねじ装置の製造方法において、第二製造工程S120〜第四製造工程S140を設けたが、この態様には限らず、第二製造工程S120〜第四製造工程S140は廃止しても良い。これによっても、十分な効果が得られる。
また、上記実施形態においては、ボールねじ装置40を、電動パワーステアリング装置10に適用した例について述べたが、本発明は、例えば、工作機械等に用いられるボールねじ装置にも同様に適用できる。さらには、ボールねじ装置40は、他のどのようなボールねじ装置にも適用できる。
20;転舵軸(ボールねじ軸)、 21;転動体ナット(ボールナット)、 21a;内周転動溝、 23;外周転動溝、 24;転動ボール、 24a;被選択転動ボール、 40;ボールねじ装置、 41;マスタボール、 42,43;保持部材、 45;レーザ変位計、 48;演算部、 R1;転動路、 S10;第一工程、 S20;第二工程、 S40;第三工程、 S100;第四工程、 S101;第五工程、 S102;第六工程、 S110;第一製造工程、 S120;第二製造工程、 S130;第三製造工程、 S140;第四製造工程、 S140A;製造工程、 S140B;製造工程、 X;中心、 β1;相対移動量(第一相対移動量)、 β2;相対移動量(第二相対移動量)、 β3;第四相対移動量、 γ;相対移動量(第三相対移動量)、 γ1;所定の相対移動量、 φB,φBa;直径、 φDpw1;ピッチ円外径(ピッチ円径)、 φDpw2;ピッチ円内径(ピッチ円径)。

Claims (9)

  1. 外周面に外周転動溝を螺旋状に形成したボールねじ軸と、内周面に内周転動溝を螺旋状に形成したボールナットと、径方向における前記外周転動溝と前記内周転動溝との間に循環可能に配列される転動ボールと、を備えるボールねじ装置において、前記転動ボールを前記内周転動溝及び前記外周転動溝に応じて選択された被選択転動ボールとすることにより、軸線方向における前記ボールねじ軸と前記ボールナットの相対移動量を所定の範囲内に規制するボールねじ装置の調整方法であって、
    前記転動ボールの代用とする予め直径データが取得されたマスタボールと、
    前記マスタボールを保持し、前記マスタボールの中心位置を径方向において予め設定された前記外周転動溝及び前記内周転動溝のピッチ円径に一致させるとともに、前記マスタボールを前記外周転動溝及び前記内周転動溝に対しそれぞれ軸線方向に相対移動可能とする保持部材と、を用い、
    前記保持部材を固定し、保持する前記マスタボールを前記外周転動溝及び前記内周転動溝に対して所定の径方向位置にそれぞれ配置する第一工程と、
    前記軸線方向における前記マスタボールと前記外周転動溝との間の第一相対移動量及び前記軸線方向における前記マスタボールと前記内周転動溝との間の第二相対移動量をそれぞれ計測する第二工程と、
    計測された前記第一相対移動量及び前記第二相対移動量に基づき、前記外周転動溝及び前記内周転動溝に応じた前記被選択転動ボールの直径を演算する第三工程と、を備えるボールねじ装置の調整方法。
  2. 外周面に外周転動溝を螺旋状に形成したボールねじ軸と、内周面に内周転動溝を螺旋状に形成したボールナットと、径方向における前記外周転動溝と前記内周転動溝との間に循環可能に配列される転動ボールと、を備えるボールねじ装置において、前記転動ボールを前記内周転動溝及び前記外周転動溝に応じて選択された被選択転動ボールとすることにより、軸線方向における前記ボールねじ軸と前記ボールナットの相対移動量を所定の範囲内に規制するボールねじ装置の調整方法であって、
    前記転動ボールの代用とする予め直径データが取得されたマスタボールと、
    前記マスタボールを保持し、前記マスタボールの中心位置を径方向において予め設定された前記外周転動溝及び前記内周転動溝のピッチ円径に一致させるとともに、前記マスタボールを前記外周転動溝及び前記内周転動溝に対しそれぞれ軸線方向に相対移動可能とする保持部材と、を用い、
    前記マスタボールを保持する前記保持部材の径方向内方及び径方向外方に前記ボールねじ軸及び前記ボールナットを組み付け、前記ボールねじ軸の前記外周転動溝内及び前記ボールナットの前記内周転動溝内に前記マスタボールを配置する第四工程と、
    前記軸線方向において、前記マスタボールを介し相対移動する前記ボールねじ軸と前記ボールナットとの間の第四相対移動量を計測する第五工程と、
    計測された前記第四相対移動量に基づき、前記外周転動溝及び前記内周転動溝に応じた前記被選択転動ボールの直径を演算する第六工程と、を備えるボールねじ装置の調整方法。
  3. 前記保持部材は、前記外周転動溝及び前記内周転動溝が延在する周方向に複数の前記マスタボールを保持する、請求項1又は2に記載のボールねじ装置の調整方法。
  4. 前記保持部材は、前記軸線方向に複数の前記マスタボールを保持する、請求項1−3の何れか1項に記載のボールねじ装置の調整方法。
  5. 前記保持部材は、円筒状部材を、前記円筒状部材の第一端部から第二端部まで達するとともに前記軸線方向に沿った面によって分割し形成される、請求項1−4の何れか1項に記載のボールねじ装置の調整方法。
  6. 請求項1及び請求項1を引用する請求項3−5の何れか1項に記載の調整方法を用いて前記ボールねじ装置を製造するボールねじ装置の製造方法であって、
    前記調整方法の前記第三工程で演算された前記直径を備える前記被選択転動ボールを選択し前記外周転動溝と前記内周転動溝との間に配列させる第一製造工程を備える、ボールねじ装置の製造方法。
  7. 請求項2及び請求項2を引用する請求項3−5の何れか1項に記載の調整方法を用いて前記ボールねじ装置を製造するボールねじ装置の製造方法であって、
    前記調整方法の前記第六工程で演算された前記直径を備える前記被選択転動ボールを選択し前記外周転動溝と前記内周転動溝との間に配列させる第一製造工程を備える、ボールねじ装置の製造方法。
  8. 前記第一製造工程によって、前記被選択転動ボールを前記外周転動溝と前記内周転動溝との間に配列させたのち、前記軸線方向における前記被選択転動ボールを介した前記ボールねじ軸と前記ボールナットとの間の第三相対移動量を計測する第二製造工程と、
    前記第三相対移動量が、前記所定の範囲内に入っているか否かを判定する第三製造工程と、
    前記第三相対移動量が、前記所定の範囲内に入っていない場合に、前記調整方法の前記第一工程〜前記第三工程によって前記被選択転動ボールの前記直径を演算し、演算した前記直径を備える前記被選択転動ボールを前記第一製造工程によって組みなおす第四製造工程と、
    を備える、請求項6に記載のボールねじ装置の製造方法。
  9. 前記第一製造工程によって、前記被選択転動ボールを前記外周転動溝と前記内周転動溝との間に配列させたのち、前記軸線方向における前記被選択転動ボールを介した前記ボールねじ軸と前記ボールナットとの間の第三相対移動量を計測する第二製造工程と、
    前記第三相対移動量が、前記所定の範囲内に入っているか否かを判定する第三製造工程と、
    前記第三相対移動量が、前記所定の範囲内に入っていない場合に、前記調整方法の前記第四工程〜前記第六工程によって前記被選択転動ボールの前記直径を演算し、演算した前記直径を備える前記被選択転動ボールを前記第一製造工程によって組みなおす第四製造工程と、
    を備える、請求項7に記載のボールねじ装置の製造方法。
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