JP2019105176A - 可変容量圧縮機及びそのスリーブの組み付け方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】可変容量圧縮機における斜板の安定支持及びスリーブの組み付け性向上を図る。【解決手段】可変容量圧縮機100は、駆動軸110に装着されるスリーブ130と係合する係合部112aを有し、スリーブ130により駆動軸110に対する傾斜角θの変更方向の移動がガイドされる斜板112とを含む。スリーブ130の外面133は全周に亘って連続して凸球面状に形成され、係合部112aの係合内面112a1はスリーブ130に合わせた凹球面状に形成される。係合内面112a1に凹設される一対の溝部112f,112fは、斜板112の厚み方向の一端面から所定の溝終端位置まで前記厚み方向に延びる。前記溝終端位置は、係合部112aにおける係合内面112a1により定まる球体の球中心位置C1に対応する前記厚み方向についての第1の位置Z1、又は、第1の位置Z1と斜板112の前記厚み方向の他端面との間の所定の第2の位置に設定される。【選択図】図3
Description
本発明は、駆動軸と一体に回転する斜板の傾斜角を変化させて吐出容量を変更可能な可変容量圧縮機において、斜板の傾斜角の変更方向の移動をガイドするスリーブを備えた可変容量圧縮機に関する。
この種の可変容量圧縮機としては、特許文献1及び2に記載された可変容量圧縮機が知られている。特許文献1には、ヒンジボール(以下、スリーブという)が回転軸(以下、駆動軸という)に遊嵌され、駆動軸と一体に回転するドライブハブ(以下、斜板という)のボス部に凹面状に形成された内周面がスリーブの凸面状に形成された外周面に摺接し、斜板がスリーブの外周面に沿って揺動(傾斜)可能に支持され、シリンダボア内のピストンが斜板の回転運動に伴い往復運動することが開示されている。このスリーブの凸面状の外周面のうちの一部はボス部内への挿入用に切欠かれている。詳しくは、スリーブの前記外周面における互いに対向する部位には、それぞれスリーブ全長方向全体に亘って曲面を有して延びる曲面状の挿入用切欠き面が形成されている。組立て作業者等は、斜板のボス部内にスリーブを組み付ける際に、スリーブ中心軸を斜板中心軸と直交させた姿勢でスリーブをボス部内に挿入させることができる。
特許文献2には、球体状のスリーブが駆動軸に摺動自在に装着され、駆動軸と一体に回転するジャーナル及び斜板(以下、これらをまとめて斜板という)におけるジャーナルに形成された収容部の内周面がスリーブの外周面に摺接し、斜板の傾斜角の変更方向の移動がガイドされ、シリンダボア内のピストンが斜板の回転運動に伴い往復運動することが開示されている。このスリーブの外周面には、一対の凸部がスリーブ中心軸と直交する方向に突設されており、収容部の内周面には、互いに対向するように凹設される一対の係合案内凹部が斜板厚み方向全体に亘って延設されている。組立て作業者等は、斜板の収容部内にスリーブを組み付ける際に、スリーブ中心軸を斜板中心軸と直交させた姿勢でスリーブを一対の係合案内凹部を介して収容部内に挿入させることができる。
ここで、特許文献1に記載の可変容量圧縮機では、組立て作業者等は、スリーブを斜板のボス部内に組み付ける際に、スリーブ中心軸を斜板中心軸と直交させた姿勢でスリーブをボス部内に挿入させた後、ボス部内の所定位置で、スリーブを回転させてスリーブ中心軸を斜板中心軸に一致させてスリーブをボス部内に係合させる必要がある。しかし、スリーブをボス部内で回転させる前記所定位置が容易に定まらず、スリーブの組み付けが容易でない。また、特許文献1に記載のスリーブでは、スリーブ中心軸周りの外面における前記凸面状の部位と前記曲面状の挿入用切欠き面との交差部位に、角部がスリーブ全長方向の全体に亘って設けられているため、圧縮機作動時において、この角部がボス部の凹面状の内周面に接触するおそれがある。その結果、斜板の回転方向及び傾斜方向の動作を滑らかに支持できないおそれがある上、この角部によりボス部の凹面状の内周面を傷つけてしまうおそれもある。
特許文献2に記載の可変容量圧縮機では、一対の係合案内凹部が斜板厚み方向の全体に亘って延設されている。したがって、組立て作業者等がスリーブを収容部内に挿入した後に、スリーブを収容部内で回転させようとしても、回転させる位置が特許文献1と同様に容易に定まらず、スリーブの組み付けが容易にではない。また、一般的に、斜板はその外縁部における駆動軸の軸方向について最もシリンダボアに近い部位と最もシリンダボアから遠い部位との間を結ぶ直線周りに微小に振れ回る特性を有しているところ、特許文献2に記載のスリーブにおける凸面状の外周面には、一対の凸部が円柱状に突設されているため、圧縮機作動時において、この円柱状の凸部の角部が前記係合案内凹部の底面に接触して、斜板の回転方向及び傾斜方向の動作を滑らかに支持できないおそれがある。
そこで、本発明は、斜板の安定支持及びスリーブの組み付け性向上を図ることが可能な構造を有する可変容量圧縮機、及び、スリーブを容易に組み付け可能なスリーブの組み付け方法を提供することを目的とする。
本発明の一側面による可変容量圧縮機は、ハウジングに回転自在に支持された駆動軸と、前記駆動軸の外周面に対して摺動自在に装着されるスリーブと、前記駆動軸と一体化されたロータと、前記駆動軸の軸線に対する傾斜角を変更可能に前記ロータに連結されると共に、前記スリーブを内部に収容して前記スリーブと係合する係合部を有し、前記スリーブにより前記傾斜角の変更方向の移動がガイドされる斜板と、前記ハウジングに形成されるシリンダボア内に配置され前記斜板の回転運動に伴い往復運動するピストンと、を含み、前記斜板の前記傾斜角の変化に応じて前記ピストンのストローク量が変化して吐出容量が変化する。前記スリーブにおけるスリーブ中心軸周りの外面は、全周に亘って連続して凸球面状に形成され、前記係合部における前記スリーブとの係合内面は前記スリーブの前記外面の曲率半径に合わせた曲率半径を有する凹球面状に形成される構成とする。前記可変容量圧縮機は、前記係合部の前記係合内面における斜板中心軸周りの所定角度位置に互いに対向するように凹設される一対の溝部を含む。前記一対の溝部は、それぞれ、前記スリーブの全長より広い溝幅を有し、前記斜板の厚み方向の一端面から所定の溝終端位置まで前記厚み方向に延びる。前記溝終端位置は、前記係合部における前記係合内面により定まる球体の球中心位置に対応する前記厚み方向についての第1の位置、又は、前記第1の位置と前記斜板の前記厚み方向の他端面との間の所定の第2の位置に設定されている。
本発明の一側面による可変容量圧縮機のスリーブの組み付け方法は、前記一側面による可変容量圧縮機のスリーブの組み付け方法に適用され、前記スリーブ中心軸を前記斜板中心軸と直交させた状態で、前記スリーブを前記一対の溝部に沿って前記係合部内に挿入し、前記係合部内に挿入した前記スリーブを、前記係合部の前記係合内面のうちの前記斜板の厚み方向の他端面側の部位に当接させ、前記係合内面のうちの前記斜板の厚み方向の他端面側の部位に当接させた前記スリーブの前記スリーブ中心軸が前記斜板中心軸と一致するように、前記スリーブを回転させることにより、前記スリーブを前記係合部に係合させて前記係合部内に組み付ける構成とした。
前記可変容量圧縮機によれば、スリーブにおけるスリーブ中心軸周りの外面は全周に亘って連続して凸球面状に形成されているため、当該外面に角部(エッジ)はなく、スリーブにより係合部の係合内面を傷つけることを防止又は抑制することができる。また、係合部の係合内面における斜板中心軸周りの所定角度位置に互いに対向するように凹設されると共に、それぞれ、前記スリーブの全長より広い溝幅を有し、前記斜板の厚み方向の一端面から所定の溝終端位置まで斜板の厚み方向に延びる一対の溝部を含んでいる。つまり、斜板の係合部の凹球面状の係合内面に凹設される一対の溝部は、斜板の厚み方向に斜板を貫通することなく、斜板内の溝終端位置で止まっているため、係合内面のうちの溝終端位置より斜板の厚み方向の奥側(斜板の他端面側)の部位は、斜板中心軸周りの全周に亘って連続する凹球面状に維持されている。このため、スリーブにおけるスリーブ中心軸周りの全周に亘って連続した凸球面と、係合部の係合内面における斜板中心軸周りの全周に亘って連続する凹球面の部位とにより、斜板の回転方向及び傾斜方向の動作を滑らかに支持することができ、ひいては、斜板を安定して支持することができる。
前記可変容量圧縮機によれば、前記溝終端位置は、前記係合部における前記係合内面により定まる球体の球中心位置に対応する斜板の厚み方向についての第1の位置、又は、前記第1の位置と斜板の厚み方向の他端面との間の所定の第2の位置に設定されている構成とした。これにより、前記溝終端位置が前記第1の位置又は前記第2の位置のいずれに設定されている場合でも、スリーブが組立て作業者等によりそのスリーブ中心軸を斜板中心軸と直交させた状態で一対の溝部に沿って係合部内に挿入され、係合部の係合内面のうちの斜板の厚み方向の他端面側の部位に当接されると、この当接状態のスリーブの球中心位置が係合部における係合内面により定まる球体の球中心位置に一致又は略一致することになる。したがって、係合部の係合内面のうちの斜板の厚み方向の他端面側の部位がスリーブを係合部に係合させるために係合部内で回転させるための位置を定めるストッパーとして機能し、スリーブを係合部内で回転させる位置が容易に定まり、ひいては、スリーブの組み付け性を向上可能な構造を提供することができる。
前記可変容量圧縮機のスリーブの組み付け方法によれば、スリーブ中心軸を斜板中心軸と直交させた状態で、スリーブを一対の溝部に沿って係合部内に挿入し、係合部内に挿入したスリーブを、係合部の係合内面のうちの斜板の厚み方向の他端面側の部位に当接させるだけで、この当接状態のスリーブの球中心位置を係合部における係合内面により定まる球体の球中心位置に一致又は略一致させることができる。そして、この当接状態のスリーブのスリーブ中心軸が斜板中心軸と一致するように、スリーブを回転させるだけで、スリーブを係合部に係合させて係合部内に容易に組み付けることができる。
このようにして、斜板の安定支持及びスリーブの組み付け性向上を図ることが可能な構造を有する可変容量圧縮機、及び、スリーブを容易に組み付け可能なスリーブの組み付け方法を提供することができる。
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明が適用された可変容量圧縮機の一例であるいわゆる斜板式の可変容量圧縮機100の断面図である。本実施形態では、可変容量圧縮機100は、車両エアコンシステムの冷媒回路に組み込まれ、冷媒を吸入し圧縮して吐出する。
図1は、本発明が適用された可変容量圧縮機の一例であるいわゆる斜板式の可変容量圧縮機100の断面図である。本実施形態では、可変容量圧縮機100は、車両エアコンシステムの冷媒回路に組み込まれ、冷媒を吸入し圧縮して吐出する。
図1に示すように、可変容量圧縮機100は、複数のシリンダボア101aが形成されたシリンダブロック101と、シリンダブロック101の一端にセンターガスケット102aを介して設けられたフロントハウジング102と、シリンダブロック101の他端にバルブプレート103を介して設けられたシリンダヘッド104と、を備えている。
フロントハウジング102、センターガスケット102a、シリンダブロック101、シリンダガスケット(図示省略)、バルブプレート103、ヘッドガスケット(図示省略)及びシリンダヘッド104などが複数の通しボルト105によって締結されることにより、可変容量圧縮機100のハウジングが形成される。
シリンダブロック101とフロントハウジング102とによってクランク室H1が形成され、このクランク室H1内を横断するように駆動軸110が設けられている。駆動軸110は、シリンダブロック101、フロントハウジング102及びシリンダヘッド104等からなる前記ハウジングに回転自在に支持されている。
駆動軸110の一端は、フロントハウジング102のボス部102bを貫通してフロントハウジング102の外側まで延在して、図示省略した動力伝達装置に連結されている。なお、駆動軸110とボス部102bとの間には軸封装置120が挿入されており、クランク室H1の密閉が保たれている。
駆動軸110は、ラジアル方向においてはラジアル軸受121、122によって支持され、スラスト方向においてはスラストプレート123によって支持されている。なお、駆動軸110の他端とスラストプレート123との間は、調整ネジ124によって所定の隙間を有するように調整されている。そして、駆動軸110は、図示省略した外部駆動源からの動力が前記動力伝達装置に伝達されることにより、前記動力伝達装置と同期して回転する。
駆動軸110のクランク室H1内における軸線X0方向の所定位置には、スリーブ130が駆動軸110の外周面に対して摺動自在に装着されている。詳しくは、スリーブ130は、駆動軸110の外周面に対して駆動軸110の軸線X0周りに相対回転及び軸線X0の延伸方向に摺動自在に駆動軸110に装着されている。なお、このスリーブ130の形状については後に詳述する。
また、クランク室H1内には、ロータ111と斜板112が互いに対向するように配置されている。駆動軸110は、図1〜図3に示すように、ロータ111の中央部及び斜板112の中央部を貫通している。図2は、可変容量圧縮機100のスリーブ130、ロータ111及び斜板112を含む要部の断面図であり、図3は、斜板112が傾斜した状態の一例を示す要部の断面図である。
ロータ111は、スリーブ130とクランク室H1内における軸封装置120側の内壁面との間において、駆動軸110と一体化されており、駆動軸110と一体に回転する。ロータ111は、概ね円盤状に形成され、スラスト方向においては、クランク室H1の軸封装置120側の内壁に固定されるスラスト軸受125によって支持されている。ロータ111の軸封装置120側の面には、駆動軸110の軸線X0と直交する受け面111aが形成され、この受け面111aがスラスト軸受125と当接する。
斜板112は、図2及び図3に示すように、駆動軸110の軸線X0に対する傾斜角θ(図3参照)を変更可能にロータ111に連結されると共に、スリーブ130を内部に収容してスリーブ130と係合する係合部112aを有し、スリーブ130により傾斜角θの変更方向の移動がガイドされている。例えば、斜板112が図2に示すように駆動軸110に対して直交した状態(換言すると、斜板112とロータ111が平行な状態)を、傾斜角θの基準、つまり、0度とし、傾斜角θは斜板112がこの状態から傾動するほど大きくなる。
斜板112は、例えば、斜板本体部112bと、斜板本体部112bを支持する斜板ボス部112cとを含んで構成されている。斜板本体部112bは、中央部に貫通孔112b1を有した円盤状に形成されている。斜板ボス部112cは、斜板本体部112bの貫通孔112b1に嵌合するボス部112c1を有する。ボス部112c1が貫通孔112b1に嵌合した状態で、斜板本体部112bと斜板ボス部112cとがリベット112dにより互いに締結されている。係合部112aは、斜板ボス部112cに形成されている。なお、係合部112a(係合内面112a1)の形状については後に詳述する。
斜板112は、詳しくは、リンク機構140を介してロータ111に連結されている。リンク機構140は、ロータ111の斜板側端面における径方向外側の所定部位に突設された第1アーム111bと、斜板112(斜板ボス部112c)の径方向外縁部の所定位置にロータ111側に向って延びるように突設された第2アーム112c2と、一端が第1連結ピン141を介して第1アーム111bに回動可能に連結されると共に他端が第2連結ピン142を介して第2アーム112c2に回動可能に連結されたリンクアーム143と、を含む。
斜板112(斜板ボス部112c)の中央部における駆動軸110が貫通する係合部112aを含む貫通部位は、斜板112が最大傾斜角から最小傾斜角の範囲で傾動可能な形状に形成されている。具体的には、前記貫通部位のロータ111とは反対側の開口部における第2アーム112c2側に寄せた部位に、斜板112の最大傾斜角への傾動を許容するように抉られた凹部112eが形成されている。また、斜板112(斜板ボス部112c)の径方向外縁部における第2アーム112c2とは反対側の部位には、斜板112の傾斜角を増大させる方向の斜板112の傾斜角変位(傾動)を規制する最大傾斜角規制部112c3がロータ111側に向って延びるように突設されている。最大傾斜角規制部112c3がロータ111に当接することによって、斜板112の傾斜角θを増大させる方向の傾動が規制される。したがって、斜板112の傾斜角は、斜板112がロータ111に当接したときに最大傾斜角となる。
駆動軸110には、図1に示すように、傾斜角θを減少させる方向に斜板112を付勢する傾斜角減少バネ113と、傾斜角θを増大させる方向に斜板112を付勢する傾斜角増大バネ114とが、斜板112を挟んで装着されている。具体的には、傾斜角減少バネ113は、斜板112の係合部112a内に収容されたスリーブ130のスリーブ全長方向の一端面(後述する一対の端面部132,132の一方)とロータ111との間に装着されており、傾斜角増大バネ114は、スリーブ130のスリーブ全長方向の他端面(後述する一対の端面部132,132の他方)と駆動軸110に固定又は形成されたバネ支持部材115との間に装着されている。
ここで、斜板112の傾斜角θが最小傾斜角であるときに、傾斜角増大バネ114の付勢力の方が傾斜角減少バネ113の付勢力よりも大きくなるように設定されている。このため、駆動軸110が回転していないとき、すなわち、可変容量圧縮機100が停止しているときに、斜板112は、傾斜角減少バネ113の付勢力と傾斜角増大バネ114の付勢力とがバランスする傾斜角(>最小傾斜角)に位置する。この傾斜角減少バネ113の付勢力と傾斜角増大バネ114の付勢力とがバランスする傾斜角は、後述するピストン126による圧縮動作が確保される最小の傾斜角範囲として設定されており、例えば1〜3度の範囲に設定することができる。
シリンダブロック101に形成される各シリンダボア101a内には、ピストン126がそれぞれ配置されている。ピストン126は、斜板112の回転運動に伴い往復運動する。
本実施形態では、可変容量圧縮機100は、ピストン126の斜板側端部に突設される突出部126aと、一対のシュー127,127とを更に含む。一対のシュー127,127は、突出部126aに摺動自在に収容されると共に、斜板112(詳しくは、斜板本体部112b)の外縁部の厚み方向の両端面を摺動自在に挟持するように形成され、斜板112とピストン126との間を連結する。斜板112の回転運動が一対のシュー127,127を介してピストン126の往復運動に変換可能に構成されている。このように、ピストン126は、斜板112の回転運動に伴い往復運動する。
シリンダヘッド104には、その中央部に吸入室H2が形成されると共に、吸入室H2を環状に取り囲む位置に吐出室H3が形成される。吸入室H2は、バルブプレート103に形成された吸入孔103a及び吸入弁(図示省略)を介して、各シリンダボア101aと連通する。吐出室H3は、バルブプレート103に形成された吐出孔103b及び吐出弁(図示省略)を介して、シリンダボア101aと連通する。
シリンダヘッド104には、吸入ポート104aを備えた吸入通路104bが形成されている。吸入ポート104aは前述の車両用エアコンシステムの低圧側冷媒回路(吸入側冷媒回路)と接続し、吸入通路104bはシリンダヘッド104の外周から吐出室H3の上方の一部を横切るように直線状に延設される。これにより吸入通路104bから冷媒ガスが吸入室H2に流入する。
シリンダブロック101の側部には、冷媒の脈動による騒音・振動を低減するマフラ150が設けられている。マフラ150は、シリンダブロック101の側壁に突設されたマフラ形成壁101bに図示省略したシール部材を介して蓋部材106をボルトにより締結することにより形成される。マフラ150内のマフラ空間H4には、吐出側冷媒回路から吐出室H3への冷媒ガスの逆流を抑制する逆止弁200が配置されている。
逆止弁200は、シリンダヘッド104、バルブプレート103、シリンダブロック101に跨って形成されて吐出室H3に連通する連通路150aとマフラ空間H4との接続部に配置されている。逆止弁200は、連通路150a(上流側)とマフラ空間H4(下流側)との圧力差に応答して動作し、前記圧力差が所定値より小さい場合には連通路150aを遮断し、前記圧力差が所定値より大きい場合には連通路150aを開放する。従って、吐出室H3は、連通路150a、逆止弁200、マフラ空間H4、及び、蓋部材106に形成される吐出ポート106aにより構成される吐出通路を介して、車両エアコンシステムの吐出側冷媒回路に接続される。
シリンダヘッド104には、制御弁300が設けられている。この制御弁300は、吐出室H3とクランク室H1との間を接続する圧力供給通路104cの開度を調整することでクランク室H1に導入する吐出ガス量を制御する。また、クランク室H1内の冷媒は、シリンダヘッド104に形成される連通路101c、空間101d、バルブプレート103に形成されたオリフィス103cを経由して吸入室H2へ流れるように構成されている。これにより、制御弁300によってクランク室H1の圧力を変化させ、斜板112の傾角、つまりピストン126のストローク量を変化させることにより、シリンダボア101aからの冷媒の吐出容量を可変制御できるようになっている。このようにして、斜板112の傾斜角の変化に応じてピストン126のストローク量が変化して吐出容量が変化する可変容量圧縮機100が構成される。
次に、スリーブ130の形状について、図4及び図5を参照して詳述する。図4はスリーブ130の縦断面図であり、図5はスリーブ130の斜視図である。
スリーブ130は、駆動軸110を挿通可能な挿通孔131と、挿通孔131の中心軸と一致するスリーブ中心軸X1の延伸方向の両端部が切欠かれてなる円環状の一対の端面部132,132とを有する。挿通孔131は、スリーブ130が駆動軸110の外面に対して相対回転及び摺動可能に駆動軸110の外径に合わせた内径を有して開口されている。一対の端面部132,132は、それぞれスリーブ中心軸X1と直交し、互いに平行で且つ平坦な面を有している。したがって、スリーブ130の全長(つまり、スリーブ中心軸X1の延伸方向の長さ)は、一対の端面部132,132の間の距離により定まる。
スリーブ130におけるスリーブ中心軸X1周りの外面133は、全周に亘って連続して凸球面状に形成されている。スリーブ130の外面133により定まる球体の球中心位置C0は、スリーブ中心軸X1上に位置する。また、球中心位置C0は、例えば、一対の端面部132,132の中間の位置に一致している。
次に、斜板112に形成される係合部112aの形状について、図2、図3、及び、図6〜図9を参照して詳述する。図6は、斜板112の下面図(ロータ111側から視た図)であり、図7は斜板112の上面図(ピストン126側から視た図)であり、図8は図7に示すY−Y矢視断面図であり、図9は斜板112の係合部112aの内面の形状を説明するための斜視図であり、図9(A)から図9(D)は斜板112の下面側からの斜視位置をそれぞれ変化させて示されている。
図6及び図7に示すように、係合部112aは、斜板112の径方向の中央部位であるボス部112c1を貫通している。係合部112aにおけるスリーブ130との係合内面112a1は、スリーブ130の外面133と摺動可能に、外面133の曲率半径に合わせた曲率半径を有する凹球面状に形成されている。係合部112aの係合内面112a1により定まる球体の球中心位置C1は、斜板中心軸X2上(図8参照)、及び、駆動軸110の軸線X0上(図3参照)に位置し、スリーブ130が係合部112a内に収容された状態で、スリーブ130の球中心位置C0と一致又は略一致している(図2及び図3参照)。
図6及び図8に示すように、係合部112aの係合内面112a1には、スリーブ130の挿入用の一対の溝部112f,112fが形成されている。一対の溝部112f,112fは、係合内面112a1における斜板中心軸X2周りの所定角度位置に互いに対向するように凹設されている。一対の溝部112f,112fは、それぞれ、スリーブ130の全長より広い溝幅を有し、斜板112の厚み方向(つまり、斜板中心軸X2の延伸方向)の一端面(斜板112のロータ111側の端面)から所定の溝終端位置まで斜板112の厚み方向に延びている。
一対の溝部112f,112fは、斜板112の厚み方向に斜板112を貫通することなく、斜板112内の前記溝終端位置で止まっているため、係合内面112a1のうちの前記溝終端位置より斜板の厚み方向の奥側(斜板112の他端面側)の部位112a11は、図8及び図9に示すように、斜板中心軸X2周りの全周に亘って連続する凹球面状に維持されている。
本実施形態では、一対の溝部112f,112fの前記溝終端位置は、図2、図3及び図8に示すように、係合部112aにおける係合内面112a1により定まる球体の球中心位置C1に対応する斜板112の厚み方向(斜板中心軸X2の延伸方向)についての第1の位置Z1に設定されている。第1の位置Z1は、例えば、斜板本体部112bの厚み方向の概ね中間位置に設定されている。
本実施形態では、一対の溝部112f,112fは、具体的には、係合内面112a1のうちの、傾斜状態の斜板112の外縁部における駆動軸110の軸線X0方向について最もシリンダボア101aに近い部位P1(図6参照、図3では左側端部)と最もシリンダボア101aから遠い部位P2(図6参照、図3では右側端部)との間を結ぶ直線X3と交わる部位Wを避けた角度部位に形成されている。つまり、一対の溝部112f,112fの凹設される前記所定角度位置は、傾斜状態の斜板本体部112bの外縁部のうち直線X3と重なる角度位置を避けた角度位置に設定されている。なお、斜板112の外縁部における前記P1の部位は、シリンダボア101a内で上死点に位置するピストン126に一対のシュー127,127を介して連結する部位(換言すると、斜板112の上死点位置)であり、斜板112の外縁部における前記P2の部位は、シリンダボア101a内で下死点に位置するピストン126に一対のシュー127,127を介して連結する部位(換言すると、斜板112の下死点位置)である。
本実施形態では、一対の溝部112f,112fは、より具体的には、係合内面112a1のうちの、直線X3と直交する角度部位に形成されている。つまり、一対の溝部112f,112fの凹設される前記所定角度位置は、直線X3と直交する角度位置に設定されている。
次に、スリーブ130の組み付け方法について、図10を参照して説明する。なお、以下で説明するスリーブ130の組み付け方法は、本発明に係る可変容量圧縮機のスリーブの組み付け方法の一例である。
STEP1では、例えば、斜板112の単体を用意する。
STEP2では、スリーブ中心軸X1を斜板中心軸X2と直交させた状態で、スリーブ130を一対の溝部112f,112fに沿って係合部112a内に挿入する。
STEP3では、係合部112a内に挿入したスリーブ130を、係合部112aの係合内面112a1のうちの斜板112の厚み方向の他端面側の部位112a11(図8及び図9参照)に当接させる。そして、係合内面112a1のうちの斜板112の厚み方向の他端面側の部位112a11に当接させたスリーブ130のスリーブ中心軸X1が斜板中心軸X2と一致するように、スリーブ130を回転させることにより、STEP4に示すように、スリーブ130を係合部112aに係合させて係合部112a内に組み付ける。
本実施形態に係る可変容量圧縮機100によれば、スリーブ130におけるスリーブ中心軸X1周りの外面133は全周に亘って連続して凸球面状に形成されているため、この外面133に角部(エッジ)はなく、スリーブ130により係合部112aの係合内面112a1を傷つけることを防止又は抑制することができる。また、係合内面112a1における斜板中心軸X2周りの所定角度位置に互いに対向するように凹設されると共に、それぞれ、スリーブ130の全長より広い溝幅を有し、斜板112の厚み方向の一端面から所定の溝終端位置まで斜板112の厚み方向に延びる一対の溝部112f,112fを含んでいる。つまり、一対の溝部112f,112fは、斜板112の厚み方向に斜板112を貫通することなく、斜板112内の前記溝終端位置で止まっているため、係合内面112a1のうちの前記溝終端位置より斜板112の厚み方向の奥側(斜板112の他端面側)の部位112a11は、斜板中心軸X2周りの全周に亘って連続する凹球面状に維持されている。このため、スリーブ130におけるスリーブ中心軸X1周りの全周に亘って連続した凸球面と、係合部112aの係合内面112a1における斜板中心軸X2周りの全周に亘って連続する凹球面の部位(つまり、部位112a11)とにより、斜板112の回転方向及び傾斜方向の動作を滑らかに支持することができ、ひいては、斜板112を安定して支持することができる。
そして、可変容量圧縮機100によれば、前記溝終端位置は、係合部112aにおける係合内面112a1により定まる球体の球中心位置C1に対応する斜板112の厚み方向についての第1の位置Z1に設定されている構成とした。これにより、スリーブ130が組立て作業者等によりそのスリーブ中心軸X1を斜板中心軸X2と直交させた状態で一対の溝部112f,112fに沿って係合部112a内に挿入され、係合部112aの係合内面112a1のうちの斜板112の厚み方向の他端面側の部位112a11に当接されると、この当接状態のスリーブ130の球中心位置C0が係合部112aにおける係合内面112a1により定まる球体の球中心位置C1に一致又は略一致することになる。したがって、係合部112aの係合内面112a1のうちの斜板112の厚み方向の他端面側の部位112a11がスリーブ130を係合部112aに係合させるために係合部112a内で回転させるための位置を定めるストッパーとして機能し、スリーブを係合部112a内で回転させる位置が容易に定まり、ひいては、スリーブ130の組み付け性を向上可能な構造を提供することができる。
本実施形態に係る可変容量圧縮機100のスリーブ130の組み付け方法によれば、スリーブ中心軸X1を斜板中心軸X2と直交させた状態で、スリーブ130を一対の溝部112f,112fに沿って係合部112a内に挿入し、係合部112a内に挿入したスリーブ130を、係合部112aの係合内面112a1のうちの斜板112の厚み方向の他端面側の部位112a11に当接させるだけで、この当接状態のスリーブ130の球中心位置C0を係合部112aにおける係合内面112a1により定まる球体の球中心位置C1に一致又は略一致させることができる。そして、この当接状態のスリーブ130のスリーブ中心軸X1が斜板中心軸X2と一致するように、スリーブ130を回転させるだけで、スリーブ130を係合部112aに係合させて係合部112a内に容易に組み付けることができる。
このようにして、斜板112の安定支持及びスリーブ130の組み付け性向上を図ることが可能な構造を有する可変容量圧縮機100、及び、スリーブ130を容易に組み付け可能なスリーブ130の組み付け方法を提供することができる。
ここで、斜板112を直線X3で二つの領域に二分した場合、斜板112の回転方向先行側の領域(つまり、圧縮工程の領域)には、ピストン126からの圧縮反力(つまり、ピストン126から離れる方向の力)が作用する。そして、斜板112の回転方向後行側の領域(つまり、吸引工程の領域)には、ピストン126側に引き付ける方向の力が作用する。そのため、一般的に、斜板112は直線X3周りに微小に振れ回る特性を有している。
この点、スリーブ130の外面133には角部(エッジ)がないため、斜板112が直線X3周りに微小に振れ回ったとしても、スリーブ130により係合部112aの係合内面112a1を傷つけることを防止又は抑制することができる。
また、圧縮機作動時において、係合内面112a1のうちの、傾斜状態の斜板112の外縁部における駆動軸110の軸線X0方向について最もシリンダボア101aに近い部位P1と最もシリンダボア101aから遠い部位P2との間を結ぶ直線X3と交わる部位W(図6参照)は、ピストン126からの圧縮反力等の分力(直線X3方向の分力)が最も大きく作用する部位である。
この点、本実施形態では、この部位Wを避けた角度部位に、一対の溝部112f,112fが形成されているため、係合内面112a1のうちのピストン126からの圧縮反力等の分力が最も大きく作用する部位には、溝部112f形成に起因する角部(エッジ)が位置しない。したがって、係合内面112a1のうちのピストン126からの圧縮反力等の分力が最も大きく作用する部位に、スリーブ130の外面133の形状に倣った滑らかな凹面形状を確保することができる。その結果、斜板112の回転方向及び傾斜方向の動作をより滑らかに支持することができ、斜板112をより安定して支持することができる。
本実施形態では、一対の溝部112f,112fは、より具体的には、係合内面112a1のうちの直線X3と直交する角度部位に形成されている。つまり、一対の溝部112f,112fは、係合内面112a1のうちのピストン126からの圧縮反力及び引張力の分力が略作用しない部位に形成されている。これにより、溝部112f形成に起因する角部の位置を係合内面112a1のうちのピストン126からの圧縮反力及び引張力の分力の比較的に小さい部位に設定することができると共に、係合内面112a1のうちの直線X3の延伸方向上下方向の領域に、凹面形状を最大限に確保することができる。その結果、斜板112をより確実に安定して支持することができる。
本実施形態では、一対の溝部112f,112fの前記溝終端位置は、係合部112aにおける係合内面112a1により定まる球体の球中心位置C1に対応する斜板112の厚み方向についての第1の位置Z1に設定されている。これにより、係合内面112a1のうちの斜板112の厚み方向の他端面側の部位112a11を、スリーブ130を回転させるための位置を定めるためのストッパーとして機能させつつ、係合内面112a1における斜板中心軸X2周りの全周に亘って連続する凹球面の部位(つまり、部位112a11)の最大限に確保することができる。その結果、斜板112をさらに確実に安定して支持することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に制限されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形及び変更が可能である。
例えば、一対の溝部112f,112fの前記溝終端位置は、係合部112aにおける係合内面112a1により定まる球体の球中心位置C1に対応する第1の位置Z1に設定されているものとしたが、これに限らず、図11に示すように、第1の位置Z1と斜板112の厚み方向の他端面との間の所定の第2の位置Z2に設定されていてもよい。この場合、第2の位置Z2は、具体的には、斜板112における係合部112aを含む貫通部位に、斜板112の最大傾斜角への傾動を許容するように抉られた凹部112eにおける球中心位置C1側の端部位置と第1の位置Z1(球中心位置C1)との間に設定する。これにより、係合内面112a1のうちの凹部112eの前記端部位置と第2の位置Z2との間の部位を、斜板中心軸X2周りの全周に亘って連続する凹球面状に維持することができ、この部位により、斜板112を確実に安定して支持することができる。
また、一対の溝部112f,112fの係合内面112a1における形成角度位置は、斜板112を安定して支持可能な範囲で適宜に設定することができる。
そして、本実施形態では、いわゆる斜板式の可変容量圧縮機100を一例として説明したが、本発明は、斜板式の可変容量圧縮機に限らず、例えば、いわゆる揺動板式の可変容量圧縮機についても適用できる。揺動板式の可変容量圧縮機の場合、斜板112の回転運動をピストン126の往復運動に変換する手段として揺動板を設ければよい。また、本発明は、電磁クラッチを装着した圧縮機や、クラッチレス圧縮機にも適用でき、また、電動モータで駆動される圧縮機にも適用できる。
100…可変容量圧縮機
101…シリンダブロック(ハウジング)
101a…シリンダボア
102…フロントハウジング(ハウジング)
104…シリンダヘッド(ハウジング)
110…駆動軸
111…ロータ
112…斜板
112a…係合部
112a1…係合内面
112f,112f…一対の溝部
126…ピストン
126a…突出部
127,127…一対のシュー
130…スリーブ
133…外面
C1…球中心位置
P1…最もシリンダボアに近い部位
P2…最もシリンダボアから遠い部位
X0…駆動軸の軸線
X1…スリーブ中心軸
X2…斜板中心軸
X3…直線
Z1…第1の位置
Z2…第2の位置
W…避けた角度部位
θ…傾斜角
101…シリンダブロック(ハウジング)
101a…シリンダボア
102…フロントハウジング(ハウジング)
104…シリンダヘッド(ハウジング)
110…駆動軸
111…ロータ
112…斜板
112a…係合部
112a1…係合内面
112f,112f…一対の溝部
126…ピストン
126a…突出部
127,127…一対のシュー
130…スリーブ
133…外面
C1…球中心位置
P1…最もシリンダボアに近い部位
P2…最もシリンダボアから遠い部位
X0…駆動軸の軸線
X1…スリーブ中心軸
X2…斜板中心軸
X3…直線
Z1…第1の位置
Z2…第2の位置
W…避けた角度部位
θ…傾斜角
Claims (5)
- ハウジングに回転自在に支持された駆動軸と、
前記駆動軸の外周面に対して摺動自在に装着されるスリーブと、
前記駆動軸と一体化されたロータと、
前記駆動軸の軸線に対する傾斜角を変更可能に前記ロータに連結されると共に、前記スリーブを内部に収容して前記スリーブと係合する係合部を有し、前記スリーブにより前記傾斜角の変更方向の移動がガイドされる斜板と、
前記ハウジングに形成されるシリンダボア内に配置され前記斜板の回転運動に伴い往復運動するピストンと、
を含み、前記斜板の前記傾斜角の変化に応じて前記ピストンのストローク量が変化して吐出容量が変化する可変容量圧縮機であって、
前記スリーブにおけるスリーブ中心軸周りの外面は、全周に亘って連続して凸球面状に形成され、
前記係合部における前記スリーブとの係合内面は前記スリーブの前記外面の曲率半径に合わせた曲率半径を有する凹球面状に形成される構成とし、
前記係合部の前記係合内面における斜板中心軸周りの所定角度位置に互いに対向するように凹設されると共に、それぞれ、前記スリーブの全長より広い溝幅を有し、前記斜板の厚み方向の一端面から所定の溝終端位置まで前記厚み方向に延びる一対の溝部を含み、
前記溝終端位置は、前記係合部における前記係合内面により定まる球体の球中心位置に対応する前記厚み方向についての第1の位置、又は、前記第1の位置と前記斜板の前記厚み方向の他端面との間の所定の第2の位置に設定されている、可変容量圧縮機。 - 前記一対の溝部は、前記係合内面のうちの、傾斜状態の前記斜板の外縁部における前記駆動軸の軸線方向について最も前記シリンダボアに近い部位と最も前記シリンダボアから遠い部位との間を結ぶ直線と交わる部位を避けた角度部位に形成されている、請求項1に記載の可変容量圧縮機。
- 前記一対の溝部は、前記係合内面のうちの、前記直線と直交する角度部位に形成されている、請求項2に記載の可変容量圧縮機。
- 前記ピストンの斜板側端部に突設される突出部と、
前記突出部に摺動自在に収容されると共に、前記斜板の外縁部の厚み方向の両端面を摺動自在に挟持するように形成され、前記斜板と前記ピストンとの間を連結する一対のシューと、
を更に含み、
前記斜板の回転運動が前記一対のシューを介して前記ピストンの往復運動に変換可能に構成された、請求項1〜3のいずれか一つに記載の可変容量圧縮機。 - ハウジングに回転自在に支持された駆動軸と、
前記駆動軸の外周面に対して摺動自在に装着されるスリーブと、
前記駆動軸と一体化されたロータと、
前記駆動軸の軸線に対する傾斜角を変更可能に前記ロータに連結されると共に、前記スリーブを内部に収容して前記スリーブと係合する係合部を有し、前記スリーブにより前記傾斜角の変更方向の移動がガイドされる斜板と、
前記ハウジングに形成されるシリンダボア内に配置され前記斜板の回転運動に伴い往復運動するピストンと、
を含み、前記斜板の前記傾斜角の変化に応じて前記ピストンのストローク量が変化して吐出容量が変化する揺動板式可変容量圧縮機のスリーブの組み付け方法であって、
前記スリーブにおけるスリーブ中心軸周りの外面は、全周に亘って連続して凸球面状に形成され、
前記係合部における前記スリーブとの係合内面は凹球面状に形成され、
前記係合部の前記係合内面における斜板中心軸周りの所定角度位置に互いに対向するように凹設されると共に、それぞれ、前記スリーブの全長より広い溝幅を有し、前記斜板の厚み方向の一端面から所定の溝終端位置まで前記厚み方向に延びる一対の溝部を含み、
前記溝終端位置は、スリーブ収容状態の前記係合部における前記スリーブの球中心位置に対応する前記厚み方向についての中心位置、又は、前記中心位置と前記斜板の前記厚み方向の他端面との間の所定位置に設定されている構成とし、
前記スリーブ中心軸を前記斜板中心軸と直交させた状態で、前記スリーブを前記一対の溝部に沿って前記係合部内に挿入し、
前記係合部内に挿入した前記スリーブを、前記係合部の前記係合内面のうちの前記斜板の厚み方向の他端面側の部位に当接させ、
前記係合内面のうちの前記斜板の厚み方向の他端面側の部位に当接させた前記スリーブの前記スリーブ中心軸が前記斜板中心軸と一致するように、前記スリーブを回転させることにより、前記スリーブを前記係合部に係合させて前記係合部内に組み付ける、可変容量圧縮機のスリーブの組み付け方法。
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