JP2019104062A - 熱プレス用クッション材 - Google Patents

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Abstract

【課題】吸引搬送が可能であり、プレス盤等との剥離性が良好で、且つ、プレス対象物の反りを生じさせない熱プレス用クッション材を提供する。【解決手段】少なくとも2層のゴム層4と、ゴム層4同士の間に介在する多重織クロスからなる中間層5と、が積層された積層体2との表面に積層される表面層6を織布60で形成する。耐熱性樹脂が、表面層6の内部に含浸され、且つ、凹凸を覆わず、凹凸を保持する程度に薄く表面に付着している。表面層6の表面粗さは、算術平均粗さRa20μm以上であり、且つ、Ra60μm以下である。熱プレス用クッション材全体の硬度が90度以下である。【選択図】図2

Description

本発明は、熱プレス盤とプレス対象物との間に介在させて用いる熱プレス用クッション材に関する。
一般的に、銅張積層板、フレキシブルプリント基板、層積層板等のプリント基板、ICカード、セラミックス積層板、液晶表示板等、積層構造を持つ積層板の製造工程において、プレス成形又は熱圧着のために熱プレスが行われる。熱プレスを行う際には、プレス対象物に対して均一に熱と圧力を加えるため、熱プレス盤とプレス対象物との間に平板状の熱プレス用クッション材及びステンレス板からなる鏡面板が配置される。このような熱プレス用クッション材には、クッション性、熱伝導性、耐熱性及び耐久性が要求される。このような熱プレス用クッション材としては、フッ素ゴム等からなるゴム層と、ガラス繊維や芳香族ポリアミド繊維等の耐熱性繊維の多重織クロスからなる中間層と、ガラス繊維や芳香族ポリアミド繊維等の繊維部材からなる表面の表面層が積層されたものが一般的である。このような熱プレス用クッション材を製造する際には、通常、ゴム層となるゴムシートと中間層となる多重織クロスや表面層となる繊維部材を組み合わせて積層し、加硫により一体化させる。その後、所定の熱プレス盤に適合するサイズに切断する。
そして、熱プレス用クッション材の表面層に用いられる部材には、熱プレス用クッション材としてのクッション性に加え、自動積層装置等で吸引搬送される場合の気密性、熱プレス後の熱プレス盤や鏡面板との剥離性等の特性が求められる。このような熱プレス用クッション材としては、例えば、特許文献1には、中間層であるガラス繊維クロスの両面に、耐熱性良好なフッ素ゴムのゴム層を形成し、その上部にアラミド繊維等の耐熱性良好な全芳香族繊維からなる表面層が積層された熱プレス用クッション材が記載されている。また、特許文献2には、フッ素樹脂を含有した離型性塗膜を表面層に被覆させた熱プレス用クッション材の作製について記載されている。この熱プレス用クッション材は、図4(a)に示すように、離型性塗膜が表面層を構成する繊維を完全に被覆しているため、表面層の気密性が高く、吸引搬送が可能である。
しかし、特許文献1に記載の熱プレス用クッション材は、表面層の気密性が不十分であるため、自動積層装置などで吸引搬送する場合に落下するなどの不具合があり、更なる改善が求められていた。
また、特許文献2に記載の熱プレス用クッション材は、表面層を構成する繊維部材の織り目などの凹凸が表面全体に亘って凹凸が現れた上で、表面のひけやへこみが発生しないように、塗布された離型性塗膜の量が調整されているが、表面層全体が完全に離型性塗膜で被覆されてしまっているため、表面層の表面粗さが小さくなるという問題がある。そして、表面粗さが小さい熱プレス用クッション材をプレスに使用すると、熱プレス用クッション材とプレス盤等との間に空気が入りにくいため、熱プレス用クッション材が熱プレス盤や鏡面板に粘着してしまい、熱プレス盤等との剥離性が悪くなるという問題がある。また、繰り返しプレスで使用した場合には、図4(b)に示すように、凹凸がつぶれて表面粗さがさらに小さくなるため、熱プレス盤や鏡面板との真空密着により、剥離できなくなるという問題がある。
更に、表面層の表面粗さが小さい熱プレス用クッション材においては、熱プレス用クッション材の硬度が比較的高く、これらの硬度が高いクッション材を用いてプレス対象物をプレス成形すると、クッション材表面がプレス対象物に追随しにくく、圧力が均等にかかりにくいため、プレス対象物に反りが生じやすいという問題がある。特に、プレス対象物の厚みが小さい場合には、反りが目立って発生しやすいという問題が生じる。
特開平6−305091号公報 特開2004−344962号公報
本発明は、上記のような課題を解決するものであり、吸引搬送が可能であり、プレス盤等との剥離性が良好で、且つ、プレス対象物の反りを生じさせない熱プレス用クッション材を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る熱プレス用クッション材は、熱プレス盤とプレス対象物との間に介在させて用いる熱プレス用クッション材であって、少なくとも2層のゴム層と、前記ゴム層同士の間に介在する多重織クロスからなる中間層と、が積層された積層体と、前記積層体の表面に積層され、耐熱性繊維部材を基材とし、表面に凹凸を形成する織布または編物からなる表面層と、を備え、耐熱性樹脂が、前記繊維部材の内部に含浸され、且つ、前記凹凸を覆わない程度の薄さで前記織布または編物の表面に付着していることを特徴とする。
本発明の熱プレス用クッション材によれば、表面層が、耐熱性繊維部材を基材とした表面に凹凸が形成される織布または編物からなり、耐熱性樹脂が、繊維部材の内部に含浸され、且つ、表面の凹凸を覆わない程度の薄さで織布または編物の表面に付着している。これにより、表面層全体が耐熱性樹脂に被覆されておらず、表面層に隙間が多く存在しているため、表面層の表面粗さが大きくなり、プレス盤等との剥離性を良好にすることができる。尚、熱プレス用クッション材を繰り返し使用した後でも、表面層の凹凸が消失しにくいため、プレス盤等との剥離性を良好に維持することができる。また、表面層の表面粗さが大きく、表面層に隙間が多く存在するが、表面層に含浸された耐熱性樹脂と表面層の内側に積層されているゴム層のアンカー効果により、ゴム層のゴムが表面層の隙間に滲入され、表面層の隙間が塞がれて通気が遮断され、気密性を高くすることができ、吸引搬送が可能となる。更に、織り密度が小さく、耐熱性樹脂の量が少ないため、熱プレス用クッション材の硬度が小さくなり、熱プレス用クッション材の柔軟性を備えて、プレス対象物に反りが生じるのを防止することができる。
または、本発明に係る熱プレス用クッション材は、熱プレス盤とプレス対象物との間に介在させて用いる熱プレス用クッション材であって、少なくとも2層のゴム層と、前記ゴム層同士の間に介在する多重織クロスからなる中間層と、が積層された積層体と、前記積層体の表面に積層され、耐熱性繊維部材を基材とし、表面に凹凸を形成する織布または編物からなる表面層と、を備え、耐熱性樹脂が、前記繊維部材の内部に含浸され、且つ、前記凹凸を覆わない程度の薄さで前記織布または編物の表面に付着しており、前記織布または編物の空隙率が、10〜80%であり、且つ、前記耐熱性樹脂の含浸量が100〜200g/m2であることを特徴とする。
本発明の熱プレス用クッション材によれば、表面層を構成する耐熱性繊維部材を基材とした織布または編物の空隙率を、表面に凹凸が形成される程度に調整すると共に、耐熱性樹脂の含浸量を、繊維部材の内部に含浸され、且つ、表面の凹凸を覆わない程度の薄さで織布または編物の表面に付着する程度に調整している。これにより、表面層全体が耐熱性樹脂に被覆されておらず、表面層に隙間が多く存在しているため、表面層の表面粗さが大きくなり、プレス盤等との剥離性を良好にすることができる。尚、熱プレス用クッション材を繰り返し使用した後でも、表面層の凹凸が消失しにくいため、プレス盤等との剥離性を良好に維持することができる。また、表面層の表面粗さが大きく、表面層に隙間が多く存在するが、表面層に含浸された耐熱性樹脂と表面層の内側に積層されているゴム層のアンカー効果により、ゴム層のゴムが表面層の隙間に滲入され、表面層の隙間が塞がれて通気が遮断され、気密性を高くすることができ、吸引搬送が可能となる。更に、織り密度が小さく、耐熱性樹脂の量が少ないため、熱プレス用クッション材の硬度が小さくなり、熱プレス用クッション材の柔軟性を備えて、プレス対象物に反りが生じるのを防止することができる。
ここで、空隙率とは、実体積と見かけの体積の差から算出される物質内にある空間の割合を意味する。
上記熱プレス用クッション材において、前記織布または編物の織り密度が、経糸及び緯糸共に10〜30本/cmであり、且つ、前記織布または編物を構成する前記耐熱性繊維部材の繊維経が、300〜600μmであって良い。
織布または編物の空隙率は、織布または編物の織り密度、繊維径によって変化するため、織布または編物の織り密度を、経糸及び緯糸共に10〜30本/cmとし、且つ、織布または編物を構成する耐熱性繊維部材の繊維経を、300〜600μmとすることにより、表面層を構成する耐熱性繊維部材を基材とした織布または編物の空隙率を、10〜80%に調整することができる。
上記熱プレス用クッション材において、前記ゴム層のゴム硬度が65〜85度であって良い。
ゴム層のゴム硬度を小さくすることで、アンカー効果により、ゴム層のゴムが表面層の隙間に滲入しやすくなり、通気を遮断して気密性を確保することができる。
上記熱プレス用クッション材において、前記熱プレス用クッション材全体の通気度が1.0cm3/cm2・s以下であって良い。
熱プレス用クッション材全体の通気度を1.0cm3/cm2・s以下とすることにより、気密性を確保して吸引搬送を可能とすることができる。
上記熱プレス用クッション材において、前記熱プレス用クッション材全体の硬度が90度以下であって良い。
熱プレス用クッション材全体の硬度を90度以下とすることにより、熱プレス用クッション材の柔軟性を備えて、プレス対象物に反りが生じるのを防止することができる。
上記熱プレス用クッション材において、前記表面層の表面粗さは、算術平均粗さRa20μm以上であり、且つ、Ra60μm以下、より好ましくはRa50μm以下であって良い。
表面層の表面粗さを算術平均粗さRa20μm以上とすることにより、プレス盤等との剥離性を良好にすることができる。そして、表面層の表面粗さをRa60μm、より好ましくはRa50μm以下とすることにより、吸引搬送性を確保することができる。従って、表面層の表面粗さをRa20以上であり、且つ、Ra60μm以下、より好ましくはRa50μm以下とすることにより、剥離性と吸引搬送性とを両立させることができる。算術平均粗さRaは、JIS B 0031で規定されている。
上記熱プレス用クッション材において、前記耐熱性繊維部材がガラス繊維であって良い。
耐熱性繊維部材がガラス繊維であることから、耐熱性が優れ、高強度、高弾性を有する表面層を構成することができる。
上記熱プレス用クッション材において、前記耐熱性樹脂がフッ素樹脂であって良い。
耐熱性樹脂がフッ素樹脂であることから、耐熱性、低圧縮永久歪み性に優れた表面層を構成することができる。
以上の説明に述べたように、本発明によれば、吸引搬送が可能であり、プレス盤等との剥離性が良好で、且つ、プレス対象物の反りを生じさせない熱プレス用クッション材を提供することができる。
本実施形態に係る熱プレス用クッション材を用いた熱プレスを説明する概念図である。 本実施形態に係る熱プレス用クッション材を示す断面図である。 本実施形態に係る熱プレス用クッション材の表面層を示す断面図であり、(a)がプレス前の状態を示し、(b)が繰り返しプレスに用いた後の状態を示す。 従来技術に係る熱プレス用クッション材の表面層を示す断面図であり、(a)がプレス前の状態を示し、(b)が繰り返しプレスに用いた後の状態を示す。
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
本実施形態に係る熱プレス用クッション材は、銅張積層板、フレキシブルプリント基板、層積層板等のプリント基板、ICカード、セラミックス積層板、液晶表示板等、積層構造を持つ積層板の製造工程において、プレス成形又は熱圧着のための熱プレスに用いられる。
[熱プレス]
まず、図1に基づいて、本実施形態に係る熱プレス用クッション材を用いた熱プレスについて説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る熱プレス用クッション材1を使用して、プレス対象物21を熱プレス盤20によってプレス成形する一例を示している。
図1に示すように、2枚の熱プレス盤20の間に、平板状の2枚のクッション材1が配置され、さらに、その2枚のクッション材1の間にステンレス板22を介してプレス対象物21が配置される。即ち、2枚の熱プレス盤20とプレス対象物21との間に、それぞれ、クッション材1及びステンレス板22が介在する。この状態で、熱プレス盤20によって、熱と圧力が加えられる。プレス条件は、例えば、温度が常温〜260℃で、加圧力0.5〜100MPa、プレス時間1〜3時間である。クッション材1は、プレス対象物21に対して均一に圧力と熱を加える目的で用いられる。
[熱プレス用クッション材]
次に、図2及び図3に基づいて、本実施形態に係る熱プレス用クッション材1について説明する。
図2に示すように、クッション材1は、ゴム層4と中間層5と表面層6とが積層されて形成される。本実施形態に係るクッション材1は、3層のゴム層4と、ゴム層4同士の間に介在する2層の中間層5とが積層された積層体2と、積層体2の表面(即ち、積層体2におけるゴム層4の中間層5と反対側の面)に積層される2層の表面層6とから構成される。
即ち、クッション材1は、表面層6、ゴム層4、中間層5、ゴム層4、中間層5、ゴム層4、表面層6の順で図2に示す紙面の上下方向に積層されたものである。尚、中間層5及びゴム層4は、それぞれ、2層及び3層に限定されるものではない。例えば、中間層5を1層とし、2層のゴム層4同士の間に介在させて積層体2を構成してもよい。また、中間層5を3層とし、4層のゴム層4同士の間に介在させて積層体2を構成としてもよい。
ゴム層4は、ゴム組成物から構成される。ゴム成分としては、耐熱性、低圧縮永久歪み性に優れた、フッ素ゴム又はシリコンゴムを用いることができる。圧縮永久歪み性が小さいと耐久性が向上する。また、ゴム組成物のゴム硬度(JIS A)は65〜85度が好ましい。ゴム層4のゴム硬度を65〜85度と比較的小さくすることで、アンカー効果により、ゴム層4のゴムが表面層6の隙間に滲入しやすくなり、通気を遮断して気密性を確保することができるからである。尚、フッ素ゴムの種類としては、含フッ素アクリレートの重合体、フッ化ビニリデンの共重合体、含フッ素珪素ゴム、含フッ素ポリエステルゴムなどが挙げられる。
また、ゴム層4にフッ素ゴム組成物を用いる場合、架橋剤としてジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアリルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2・5−ジメチル−2・5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキサン−3、1・3−ビス(t−ブチルパーオキシ−イソプロピル)ベンゼン、1・1−ジ−ブチルパーオキシ−3、3、5−トリメチルシクロヘキサン等の有機過酸化物系架橋剤、ヘキサメチレンカルバメート、N,N'−ジシアニルジエン−1、6−ヘキサジアミン、ビスフェノールAF、ベンジルトリフェニルホスフォニウムクロライド等のポリオール系架橋剤、およびトリエチレンテトラミン(TETA)、トリエチレンペンタミン(TEPA)、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)等のアミン系架橋剤といった、フッ素ゴムの架橋剤として公知のものを使用することができる。
また、ゴム層4にシリコンゴム組成物を用いる場合、架橋剤として、公知の有機過酸化物系架橋剤を使用することができる。
また、ゴム層4を構成するゴム組成物には、必要に応じて、充填剤、可塑剤、安定剤、加工助剤、着色剤のような通常のゴム配合物に使用されるものが含有される。さらに、ゴム補強のために、ゴム組成物に短繊維を含ませてもよい。短繊維としては、ガラス繊維、アラミド繊維、PBO(ポリベンゾビスオキサゾール)繊維等の耐熱性繊維を用いる。
中間層5は、多重織クロスから構成される。多重織クロスとしては、二重織クロス、三重織クロス又は四重織クロス等があり、捲縮加工糸で織られたもの、又は、クロス状態で嵩高加工したものを用いることができる。
多重織クロスとは、複数組の緯糸及び経糸を用いた多層構造の織物である。例えば、二重織クロスは、上下2組の緯糸を、1組の経糸に絡ませた二重織りの構成になっている。このような多重織クロスの内部では空隙が多く存在する。また、構成糸を捲縮加工したり、クロス状態で嵩高加工したりすることにより、さらにクロス内部の空隙が多くなる。このように中間層5は、内部に空隙が多く存在する構造を備えるため、高いクッション性と、プレスを繰り返した際の変形を阻止する機能を有する。
また、中間層5を構成する多重織クロスの構成糸としては、ガラス繊維、カーボン繊維、セラミックス繊維、アラミド繊維、PBO(ポリベンゾビスオキサゾール)繊維等が用いられる。好ましくはガラス繊維、カーボン繊維、セラミックス繊維等の無機繊維が挙げられる。これらは、耐熱性が優れ、高強度、高弾性を有する。そのため、ゴム組成物からなるゴム層4を補強することが可能となる。
尚、中間層5を構成する多重織クロスの構成糸としてガラス繊維を用いる場合、多重織クロスの表面にシランカップリング剤による処理を施してもよい。シランカップリング剤としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(塩酸塩)、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシランなど、公知のものを用いることができる。多重織クロスの表面をシランカップリング剤で処理することにより、ゴム層4をフッ素ゴム組成物で構成した場合に、ゴム層4と中間層5の接着性が向上する。
図3に示すように、表面層6は、耐熱性繊維部材を基材とする織布60で構成される。尚、本実施形態では、表面層6が織布60で構成されているが、それに限らず、表面層6が耐熱性繊維部材を基材とする編物で構成されていてもよい。織布60は、平織や綾織、朱子織等の織物からなる。特に、綾織が、伸縮性、柔軟性の観点から好ましい。織布60は、表面層6の表面に凹凸が存在する程度に、所定の空隙率を備えるように織成される。尚、空隙率とは、実体積と見かけの体積の差から算出される物質内にある空間の割合を意味する。ここで、織布60の所定の空隙率は、小さすぎると、織糸(経糸61及び緯糸62)の間が密になりすぎて、表面層6の表面粗さが小さく、クッション材1の硬度が大きくなり、クッション材1の剥離性及び柔軟性の観点からため好ましくない。一方、織布60の所定の空隙率は、大きすぎると、織糸の間に大きな隙間ができてしまい、クッション材1の通気度が大きくなり、吸引搬送性の観点から好ましくない。そこで、所定の空隙率は、表面層6の表面に凹凸が存在する程度であって、織糸の間に隙間ができる空隙率よりも小さく、且つ、織糸の間が密になりすぎる空隙率よりも小さな織り密度となる。具体的には、所定の空隙率は、例えば、10〜80%である。
そして、織布60の空隙率は、繊維径と織り密度によって変化するため、織布60は、所定の空隙率を備えるように、所定の繊維径の耐熱性繊維部材である経糸61と緯糸62とが所定の織り密度で織成される。ここで、繊維径は、大きすぎると、織り糸の間が密になりすぎて空隙率が小さくなり、小さすぎると、織糸の間に隙間ができて空隙率が大きくなる。また、織り密度は、大きすぎると、織り糸の間が密になりすぎて空隙率が小さくなり、小さすぎると、織糸の間に隙間ができて空隙率が大きくなる。具体的には、所定の繊維径は、300〜600μmである。また、所定の織り密度は、例えば、経糸61及び緯糸62ともに、10〜30本/cmである。
織布60の基材となる耐熱性繊維部材としては、ガラス繊維、カーボン繊維、セラミックス繊維、アラミド繊維、PBO繊維、フッ素繊維等が用いられる。クッション材1の表面層6を、耐熱性繊維部材を基材とする織布60で構成することにより、クッション材1の表面に傷が付きにくいため、均一にプレスすることができる。特に、織布60の基材となる耐熱性繊維部材として、耐熱性が優れ、高強度、高弾性を有するガラス繊維が好ましい。織布60の基材となる耐熱性繊維部材にガラス繊維を使用した場合、成形されるクッション材1がある程度の硬度をもつため、数メートル×数メートルの大きさでクッション材1を成形しても、自重で垂れ下がることなく、吸引搬送装置から落下しない、また、ガラス繊維と耐熱性樹脂の接着力が、アラミド繊維等の他の耐熱性繊維を使用した場合のように弱くなく、高温でも接着力が強いため、260℃まで使用することができる(本発明では180〜240℃の範囲で使用することを想定)、また、高温の熱プレスにおいても繊維が劣化することなく、毛羽などが発生しないという利点がある。
また、織布60には、耐熱性樹脂63が含浸される。耐熱性樹脂63としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラニン樹脂、フッ素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、フラン樹脂、ユリア樹脂、ジアリルフタレート樹脂等の単体、ブレンド系または共重合体が挙げられる。中でも、耐熱性、低圧縮永久歪み性等が良好なフッ素樹脂が最も好ましい。
耐熱性樹脂63は、図3(a)に示すように、織布60を構成する織糸61,62の内部に含浸され、且つ、織布60の表面に形成された凹凸を覆わない程度(凹凸を保持する程度)に薄く付着するように、所定の含浸量で含浸させる。ここで、耐熱性樹脂63の含浸量は、小さすぎると、織糸の内部への含浸及び織布の表面の付着が不十分となり、表面層6の気密性が足りず、クッション材1の通気度が大きくなり、吸引搬送性の観点から好ましくなく、また、大きすぎると、織布60の表面に形成された凹凸がつぶれてしまい、表面層6の表面の表面粗さが小さく、クッション材1の硬度が大きくなり、クッション材1の剥離性及び柔軟性の観点から好ましくない。そこで、所定の含浸量は、織布60を構成する織糸61,62の内部に含浸され、織布60の表面に形成された凹凸を覆わず、凹凸を保持する程度に薄く付着する量(即ち、図4(a)に示すように、織布60の表面に存在する凹凸を含めた表面全体が耐熱性樹脂63に被覆されている状態ではなく、図3(a)に示す状態となる量)に調整される。具体的には、所定の含浸量は、例えば、100〜200g/m2である。
また、織布60への耐熱性樹脂63の含浸は、ブレードコーティング、ナイフコーティング、キャストコーティング等の公知の方法により行うことができる。
[熱プレス用クッション材の製造方法]
次に、本実施形態に係る熱プレス用クッション材を製造する製造方法について説明する。
まず、ゴム層4となる3枚のゴムシートと、中間層5となる2枚の多重織クロスとを、ゴムシートが外側になるように交互に積層して積層体2を成形する。次に、この積層体2の表面を、表面層6となる2枚の耐熱性樹脂を含浸させた織布60ではさみ、温度150〜180℃、プレス時間10〜40分の条件でプレス加硫を行い、一体化させる。そして、所定の熱プレス盤に適合するサイズに切断してクッション材1を作製する。
尚、圧縮永久歪み性を向上させるために、所定のサイズに切断する前のクッション材1に対して、アフターキュアを200〜250℃、30分〜4時間実施してもよい。
以上のように、本実施形態に係る熱プレス用クッション材1によれば、表面層6を構成する耐熱性繊維部材を基材とした織布60の空隙率を、表面に凹凸が形成される程度に調整すると共に、耐熱性樹脂の含浸量を、織布60を構成する経糸61と緯糸62の内部と表面とに付着して、表面層6に隙間が多く存在する程度に調整している(図3(a)参照)。これにより、表面層6全体が耐熱性樹脂に被覆されないため、表面層6の表面粗さが大きくなり、プレス盤等との剥離性を良好にすることができる。尚、熱プレス用クッション材1を繰り返し使用した後でも、図3(b)に示すように、表面層6の凹凸が消失しにくいため、プレス盤等との剥離性を良好に維持することができる。また、表面層6の表面粗さが大きく、表面層6に隙間が多く存在するが、表面層6に含浸された耐熱性樹脂と表面層6の内側に積層されているゴム層4のアンカー効果により、ゴム層4のゴムが表面層6の隙間に滲入され、表面層6の隙間が塞がれて通気が遮断され、気密性を高くすることができ、吸引搬送が可能となる。更に、表面層6に用いる織布60の織り密度が小さく、耐熱性樹脂の量が少ないため、熱プレス用クッション材の硬度が小さくなり、表面層6が柔軟性を備えて、プレス対象物に反りが生じるのを防止することができる。
(熱プレス用クッション材)
実施例では、図2に示す本実施形態に係るクッション材1として、3層のゴム層4と、ゴム層4同士の間に介在する2層の中間層5と、が積層された積層体2と、積層体2の表面に積層される2層の表面層6とから構成されたクッション材1を用いた。
ゴム層4で用いるゴム組成物として、フッ素ゴム組成物を使用した。また、中間層5で用いる多重織クロスとして、2重折りガラスクロスを使用した。また、表面層6で用いる耐熱性樹脂63を含浸させた織布60として、PTFE含浸ガラスクロスを使用した。ここで、PTFE含浸ガラスクロスとは、ガラス繊維にフッ素樹脂を含浸させたガラスクロスである。ガラス繊維のため、耐熱性に優れ、高強度、高弾性を有すると共に、フッ素樹脂が含浸されているため、耐熱性、低圧縮永久歪み性に優れた表面層6を構成することができる。本実施例では、繊維径、織り密度、PTFEの含浸量の異なる複数種類のガラスクロスを表面層6として使用した。これらを積層し、通常のプレス加硫装置に温度170℃で12分間、無圧状態で放置してゴム材料の架橋を行った。その後、そのままの温度で面圧を1.6MPaに高め、12分間これらを加硫し、織り密度、PTFEの含浸量の異なる複数種類のガラスクロスを表面層6とした実施例1〜6及び比較例1〜9のクッション材1を作製した。
そして、実施例及び比較例のクッション材1について、それぞれ、表面層6に用いられるガラスクロスの繊維径、織り密度、PTFE含浸量、表面層6の表面粗さRaを測定した。ここで、ガラスクロスの繊維径は、ガラスクロス1枚からガラス繊維の写真を撮影し、短径と長径の平均値より、ガラス繊維1本の繊維径を算出し、算出した10本の繊維径から平均値を算出した。ガラスクロスの織り密度は、一辺5cmの試料の織り密度をJIS L 1096に準拠した方法により測定し、単位cmあたりの値を算出した。ガラスクロスのPTFE含浸量は、示差熱熱重量同時測定装置を用いて650℃昇温後の重量変化により測定した。表面層6の表面粗さは、表面性状測定機((株)ミツトヨ製SURF
TEST500、標準スタイラス型番996133)を用いて、表面層を経糸方向に倣い速度2mm/sで40mmの範囲を計測し、表面粗さRa(JIS B 0031で規定された算術平均粗さ)を測定した。実施例及び比較例のクッション材1について、表面層6に用いられるガラスクロスの織り密度、PTFE含浸量、表面層6の表面粗さRaの測定結果を、表1に示す。
そして、実施例及び比較例のクッション材1について、それぞれ、PTFEの除いたガラスクロスの空隙率を求めた。実施例及び比較例のクッション材1について、ガラスクロスの空隙率の計算結果を、表1に示す。尚、ガラスクロスの空隙率は、下記の手順に従って計算した。・PTFE含浸ガラスクロスから一辺10cmの試料を切り出し、重量を測定する。・測定した重量とPTFE含浸量の差より、ガラスクロスのみの重量を算出する。・切り出した試料の面積に厚みを乗じて、ガラスクロスの体積を算出する。・算出したガラスクロスの体積とガラス繊維の比重から、空隙率0%の場合の重量を算出する。・算出したガラスクロスのみの重量と算出した空隙率0%の場合の重量からガラスクロスの占める割合を算出し、そこから空隙率を求める。
また、実施例及び比較例のクッション材1について、それぞれ、クッション材1の気密性(通気度)、硬度を測定した。ここで、クッション材1の通気度は、JIS R 3420(2006年)に準拠した方法でフラジール試験機により測定した。また、クッション材1の硬度は、タイプA硬度計により測定した。実施例及び比較例のクッション材1について、通気度と硬度の測定結果を、表1に示す。
[吸引搬送性、剥離性、柔軟性の評価試験]
次に、実施例及び比較例のクッション材1について、それぞれ、吸引搬送性、剥離性、柔軟性について評価を行う評価試験を実施した。
(吸引搬送性の評価試験)
吸引搬送性の評価試験では、実施例及び比較例の各クッション材1を、自動積層装置(クッション材を吸着パッドで吸引して搬送し、積層する装置)などで吸引搬送して、クッション材1が落下しないかどうかに基づいて、吸引搬送性を評価した。吸引搬送性の評価は各クッション材について5回ずつ行い、吸引搬送した際に、5回全て搬送できた場合は◎、5回の内に搬送できたりできなかったりした場合には○、5回の内に1回も搬送できなかった場合は×の3段階で判定した。
(剥離性の評価試験)
剥離性の評価試験では、実施例及び比較例の各クッション材1についてのサンプルを、ステンレス板で挟み、真空プレス試験機を用いて、4MPaまで加圧した後、1時間かけて230℃まで昇温して、230℃で1時間保持し、30分間かけて50℃まで冷却後、0MPaに減圧するという工程を1サイクルとして、この工程を100サイクル繰り返したときに、クッション材1が剥離するかどうかに基づいて、剥離性を評価した。剥離性の評価は3段階であり、クッション材1が熱プレス盤20に粘着していなければ〇、クッション材1がステンレス板に粘着していても人手により剥離することができれば△、クッション材1がステンレス板に粘着して人手によっても剥離することができなければ×とした。
(柔軟性の評価試験)
柔軟性の評価試験では、実施例及び比較例の各クッション材1を使用した場合に、プレス対象物に反りが生じるかどうかに基づいて、プレス対象物の反りの有無を評価すると共に、プレス対象物の反りの程度に基づいて、柔軟性を評価した。柔軟性の評価は3段階であり、プレス対象物に反りが生じなければ〇、プレス対象物に反りが生じており、反りの程度が小さければ△、プレス対象物に反りが生じており、反りの程度が大きければ×とした。
実施例及び比較例のクッション材1について、吸引搬送性、剥離性、柔軟性、プレス対象物の反りの評価結果を、表1に示す。
Figure 2019104062
表1の結果に基づいて、クッション材1の通気度と、吸引搬送性との関係を検討した。その結果、ガラスクロスの繊維径の最小値が300μm以上で、または、ガラスクロスの織り密度が経糸及び緯糸共に10本/cm以上で、且つ、PTFE含浸量が100g/m2以上の実施例1〜6及び比較例3,6,7,9のクッション材1は、通気性が1.0cm3/cm2・s以下とほとんどなく、気密性に優れていたので、吸引搬送が可能であった。しかし、PTFE含浸量が100g/m2未満である比較例1及び比較例2のクッション材1と、ガラスクロスの織り密度が経糸及び緯糸共に10本/cm未満である比較例4のクッション材1と、ガラスクロスの繊維径の最小値が300μm未満である比較例8のクッション材1は、通気性が高く、気密性が低かったので、吸引搬送することができなかった。これは、比較例4のクッション材1に用いられるガラスクロスの織り密度が経糸及び緯糸共に10本/cm未満と小さく、また、比較例8のクッション材1に用いられるガラスクロスの繊維径が300μm未満と小さく、空隙率が80%より大きいため、織糸の間に大きな隙間ができていると考えられる。また、比較例1と比較例2のクッション材1は、空隙率が80%以下であるが、PTFE含浸量が100g/m2未満と小さく、織糸の内部への含浸及び織布の表面の付着が不十分であると考えられる。尚、比較例5のクッション材1は、PTFE含浸量が100g/m2未満であるが、気密性が高く、通気性がなく、吸引搬送が可能であった。これは、比較例5のクッション材1は、PTFE含浸量が100g/m2未満と小さく、織糸の内部への含浸及び織布の表面の付着が不十分であったとしても、比較例5のクッション材1に用いられるガラスクロスの織り密度が、経糸及び緯糸共に50本/cm以上と多く、織布の間が密になっているからであると考えられる。
また、表1の結果に基づいて、表面層6の表面粗さRaと、吸引搬送性との関係について検討した。その結果、表面粗さRaが60μm以下の実施例1〜6及び比較例3,5,6,7,9のクッション材1は、吸引搬送が可能であった。特に、表面粗さRaが50μm以下である実施例5,6及び比較例3,5,6,7,9は、5回とも吸引搬送でき、◎と評価した。表面粗さRaが60μm以下であることにより、クッション材1の表面層と自動積層装置との間で高い気密性が十分に確保されたからであると考えられる。しかし、表面粗さRaが60μmより大きい比較例1,2,4,8のクッション材1は、吸引搬送することができなかった。これは、比較例1,2,4,8のクッション材1は、表面粗さRaが60μmより大きく、気密性が低いため、自動積層装置でクッション材1の表面層を吸引できなかったからであると考えられる。
また、表1の結果に基づいて、表面層6の表面粗さRaと、剥離性との関係について検討した。その結果、ガラスクロスの空隙率が10%以上(即ち、ガラスクロスの最大値の繊維径が600μm以下、または、ガラスクロスの織り密度が経糸及び緯糸共に30本/cm以下)で、且つ、PTFE含浸量が200g/m2以下であり、表面粗さRa20μm以上の実施例1〜6及び比較例1,2,4,8のクッション材1は、100サイクル繰り返し使用した場合でもステンレス板に粘着しなかった。しかし、PTFE含浸量が200g/m2より多い比較例3のクッション材1、ガラスクロスの織り密度が経糸及び緯糸共に30本/cmより多い比較例5,6,7のクッション材1、ガラスクロスの繊維径の最大値が600μmより大きい比較例9のクッション材1は、表面粗さRa20μm未満であり、100サイクルもつことなく、ステンレス板に粘着してしまった。尚、比較例3,6,7,9のクッション材1はステンレス板に完全に粘着してしまい、剥がすことができなかったため、×と評価した。一方、比較例5のクッション材1は、ステンレス板に粘着していたが、力をかけて引っ張ると剥がすことができたため、△と評価した。これは、比較例5,6,7のクッション材1に用いられるガラスクロスの織り密度が経糸及び緯糸共に30本/cmより多く、また、比較例9のクッション材1に用いられるガラスクロスの繊維径が600μmより大きく、空隙率が10%未満と小さいため、織糸の間が密になりすぎていると考えられる。尚、比較例3のクッション材1は、空隙率が10%以上であるが、表面粗さRaが20μm未満であり、ステンレス板に粘着してしまった。これは、比較例3のクッション材1に用いられるガラスクロスのPTFE含浸量が200g/m2より多く、織布60の表面に形成された凹凸がつぶれてしまっているからであると考えられる。
また、表1の結果に基づいて、クッション材1の硬度と、クッション材1の柔軟性及びプレス対象物反りの有無との関係について検討した。その結果、ガラスクロスの空隙率が10%以上(即ち、ガラスクロスの繊維径の最大値が600μm以下、または、ガラスクロスの織り密度が経糸及び緯糸共に30本/cm以下で、且つ、PTFE含浸量が200g/m2以下の実施例1〜6及び比較例1,2,4,8のクッション材1の硬度は、90度以下であり、そのクッション材1を使用してプレスを行っても、プレス対象物に反りは見られず、柔軟性が高いことがわかった。しかし、ガラスクロスの織り密度が30本/cmより多い比較例5,6,7のクッション材1、PTFE含浸量が200g/m2より多い比較例3,7のクッション材1、ガラスクロスの繊維径の最大値が600μmより大きい比較例9のクッション材1の硬度は90度より大きく、そのクッション材1を使用してプレスを行った場合にはプレス対象物に反りが見られ、柔軟性が低いことがわかった。尚、比較例5,9のクッション材1を使用した場合は、プレス対象物の反りが見られたが、比較例3,6,7のクッション材1を使用した場合と比べると反りが小さかったため、柔軟性を△と評価した。これは、比較例5,6,7のクッション材1に用いられるガラスクロスの織り密度が経糸及び緯糸共に30本/cmより多く、また、比較例9のクッション材1に用いられる繊維径は600μmより大きく、空隙率が10%未満となっているため、ガラスクロスの織糸の間が密になりすぎていると考えられる。また、比較例3のクッション材1は、空隙率が10%以上であるが、PTFE含浸量が200g/m2より多く、織布60自体がPTFEにより硬くなってしまっていると考えられる。
尚、実施例及び比較例のクッション材1の各試料を用いた場合、プレス対象物に反り以外で外観や物性などに変化がないか確認を行ったが、違いは見られなかった。
[吸引搬送性、剥離性、柔軟性の評価試験についての考察]
上述の吸引搬送性、剥離性、柔軟性の評価試験より、以下のことが明らかになった。
吸引搬送性の評価試験の結果より、ガラスクロスの繊維径の最小値が300μm以上、または、織り密度が経糸及び緯糸共に10本/cm以上で、且つ、PTFE含浸量が100g/m2以上のクッション材1が、クッション材1の通気度が1.0cm3/cm2・s以下であり、吸引搬送性に優れていることが確認できた。また、ガラスクロスの空隙率が80%を超えると、吸引搬送性を備えないことが確認できた。
そして、吸引搬送性の評価試験の結果より、表面層6の表面粗さRaが60μm以下であることが、吸引搬送性に優れていることが確認できた。更に、表面層6の表面粗さRaが50μm以下であることが、特に、吸引搬送性に優れていることが確認できた。
また、剥離性の評価試験の結果より、ガラスクロスの繊維径の最大値が600μm以下、または、ガラスクロスの織り密度が経糸及び緯糸共に30本/cm以下で、且つ、PTFE含浸量が200g/m2以下のクッション材1が表面層6の表面粗さRaが20μm以上であり、剥離性に優れていることが確認できた。また、ガラスクロスの空隙率が10%未満であると、剥離性を満足しないことが確認できた。
更に、柔軟性の評価試験の結果より、ガラスクロスの繊維径の最大値が600μm以下、または、ガラスクロスの織り密度が経糸及び緯糸共に30本/cm以下で、且つ、PTFE含浸量が200g/m2以下のクッション材1が、クッション材の硬度が90度以下であり、プレス対象物に反りは見られず、柔軟性が高いことが確認できた。また、ガラスクロスの空隙率が10%未満であると、プレス対象物に反りが生じることが確認できた。
以上より、吸引搬送が可能であり、プレス盤等との剥離性が良好で、且つ、プレス対象物の反りを生じさせないためには、クッション材1の通気度が1.0cm3/cm2・s以下であり、表面層6の表面粗さRaが20μm以上60μm以下であり、クッション材1の硬度が90度以下であるように、クッション材1を形成すればよい。従って、ガラスクロスの空隙率が10〜80%(即ち、ガラスクロスの繊維径が300〜600μmであり、且つ、ガラスクロスの織り密度が経糸及び緯糸共に10〜30本/cm)で、且つ、PTFE含浸量が100〜200g/m2となるように、クッション材1を形成すればよいことが明らかとなった。
[表面粗さRaを変化させた場合の吸引搬送性と剥離性の評価試験]
更に、実施例1のクッション材1を基準として、実施例1で表面層6の表面粗さRaを実験的に変化させて、実施例7〜10の4種類のクッション材1を作製した。そして、実施例1及び実施例7〜10のクッション材1について、表面層6の表面粗さRaと吸引搬送性との相関関係を検証した。尚、実施例7〜10のクッション材1については、まず、実施例1の表面層6として用いたものと同様のガラスクロスに対して、プレス盤に挟んで圧縮するプレス時間を変えて、表面粗さの異なる4種類のガラスクロスを作製した。この4種類のガラスクロスの表面粗さは、実施例1のクッション材1よりも表面層6の表面粗さRaが小さくなるように変量させた。その後、この4種類のガラスクロスを表面層6として、実施例7〜10のクッション材1を、実施例1と同様に作製した。尚、実施例7〜10のクッション材1の表面層6の表面粗さは、クッション材1の作製後に、表面性状測定機((株)ミツトヨ製SURF TEST500、標準スタイラス型番996133)を用いて、表面層6を経糸方向に倣い速度2mm/sで40mmの範囲を計測し、表面粗さRa(JIS B 0031で規定された算術平均粗さ)を測定した。
(吸引搬送性の評価試験)
吸引搬送性を簡易的に評価するために、アスピレータ(アルバック製MDA−015)に吸引評価用の吸着パッド(型式PCG−30)を装着した簡易吸引装置を使用して、簡易吸引試験を行った。そして、先ず、吸引力の基準を明確にするため、この簡易吸引装置を表面粗さRaが5μm以下のステンレス製平板に吸着させて、真空計が0.02MPaになる様、簡易吸引装置の吸引力を調整した。続けて、実施例1及び実施例7〜10の各クッション材1の簡易吸引試験を実施し、真空計の値を記録し、吸引力の指標とした。
そして、吸引搬送性の評価試験として、実施例1及び実施例7〜10の各クッション材1を、自動積層装置(クッション材を吸着パッドで吸引して搬送し、積層する装置)などで吸引搬送して、クッション材1が落下しないかどうかに基づいて、吸引搬送性を評価した。吸引搬送性の評価は各クッション材について5回ずつ行い、吸引搬送した際に、5回全て搬送できた場合は◎、5回の内に搬送できたりできなかったりした場合には○、5回の内に1回も搬送できなかった場合は×の3段階で判定した。
(剥離性の評価試験)
剥離性の評価試験では、実施例1及び実施例7〜10の各クッション材1についてのサンプルを、ステンレス板で挟み、真空プレス試験機を用いて、4MPaまで加圧した後、1時間かけて230℃まで昇温して、230℃で1時間保持し、30分間かけて50℃まで冷却後、0MPaに減圧するという工程を1サイクルとして、この工程を100サイクル繰り返したときに、クッション材1が剥離するかどうかに基づいて、剥離性を評価した。剥離性の評価は3段階であり、クッション材1が熱プレス盤20に粘着していなければ〇、クッション材1がステンレス板に粘着していても人手により剥離することができれば△、クッション材1がステンレス板に粘着して人手によっても剥離することができなければ×とした。
実施例1及び実施例7〜10のクッション材1について、簡易吸引試験、吸引搬送性、剥離性の評価結果を、表2に示す。
Figure 2019104062
表2の結果に基づいて、表面層6の表面粗さRaを変化させた場合の表面層6の表面粗さRaと吸引搬送性との相関関係を検討した。その結果、表面粗さRaが50μm以下となる実施例9、10が、表面粗さRaが50μm〜60μmである実施例1、7、8と比較して、吸引搬送性がより優れていた。
また、表2の結果に基づいて、表面層6の表面粗さRaを変化させた場合の表面層6の表面粗さRaと剥離性との相関関係を検討した。その結果、表面粗さRaが20μm以上である実施例7〜10は、実施例1と同様に、剥離性に優れていた。
[表面粗さRaを変化させた場合の吸引搬送性と剥離性の評価試験についての考察]
上述の表面層6の表面粗さRaを変化させた場合の吸引搬送性と剥離性の評価試験より、以下のことが明らかになった。
剥離性の評価試験の結果より、上述の表1に示す剥離性の評価試験の結果と同様に、表面層6の表面粗さRaを20μm以上とすると、剥離性に問題ないことが確認できた。
また、吸引搬送性の評価試験の結果より、表面層6の表面粗さRaが60μm以下であると、吸引搬送性を備えることが分かる。更に、表面層6の表面粗さRaを50μm以下に仕上げることにより、表面層と吸引搬送装置の吸着パッドとの間で高い気密性が十分に確保され、安定した吸引搬送が実現でき、優れた吸引搬送性を備えることがわかる。
以上から、剥離性と吸引搬送性とを両立させ得るためには表面層6の表面粗さRaが20〜60μm、特に、表面層6の表面粗さRaが20〜50μmであることがより好ましい範囲であることが明らかとなった。
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態及び実施例に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態及び実施例の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
本発明を利用すれば、吸引搬送が可能であり、プレス盤等との剥離性が良好で、且つ、プレス対象物の反りを生じさせない熱プレス用クッション材を提供することができる。
1 熱プレスクッション材
2 積層体
4 ゴム層
5 中間層
6 表面層
60 繊維材料
61 経糸
62 緯糸

Claims (5)

  1. 熱プレス盤とプレス対象物との間に介在させて用いる熱プレス用クッション材であって、
    少なくとも2層のゴム層と、前記ゴム層同士の間に介在する多重織クロスからなる中間層と、が積層された積層体と、
    前記積層体の表面に積層され、耐熱性繊維部材を基材とし、表面に前記耐熱性繊維部材が形成する凹凸を有する織布または編物からなる表面層と、を備え、
    耐熱性樹脂が、前記耐熱性繊維部材の内部に含浸され、且つ、前記凹凸を覆わず、前記凹凸を保持する程度に薄く前記織布または編物の表面に付着しており、
    前記表面層の表面粗さは、算術平均粗さRa20μm以上であり、且つ、Ra60μm以下であり、
    前記熱プレス用クッション材全体の硬度が90度以下であることを特徴とする熱プレス用クッション材。
  2. 前記表面層の表面粗さは、算術平均粗さRa20μm以上であり、且つ、Ra50μm以下である請求項1記載の熱プレス用クッション材。
  3. 前記熱プレス用クッション材全体の通気度が1.0cm3/cm2・s以下である請求項1または請求項2に記載の熱プレス用クッション材。
  4. 前記耐熱性繊維部材がガラス繊維であることを特徴とする請求項1〜3に記載の熱プレス用クッション材。
  5. 前記耐熱性樹脂がフッ素樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱プレス用クッション材。
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