JP2019102896A - アルミニウム合金膜 - Google Patents

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尚敏 坂本
後藤 裕史
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裕史 後藤
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Abstract

【課題】低い電気抵抗率を示し、かつ高い膜硬度と優れた耐熱性を有する、単一組成のAl合金膜を提供する。【解決手段】弾性表面波素子又はパワー半導体用電極に用いられるアルミニウム合金膜であって、Cuを0.3〜1.6原子%、Nd、Gd、La及びMgからなる群Xより選ばれる少なくとも1種を合計で0.03原子%超0.6原子%以下含有するAl−Cu−X合金膜であり、不活性雰囲気中200〜300℃で1時間加熱処理した際にAl結晶粒の三重点にAl−Cu−X結晶析出物が存在し、前記Al−Cu−X結晶析出物は、前記アルミニウム合金膜の断面において5,000,000個/mm2以上の密度で存在し、前記Al−Cu−X結晶析出物は、長辺の長さが10〜50nmであり、かつ前記Al−Cu−X結晶析出物同士の距離は40〜300nmであるアルミニウム合金膜。【選択図】図7

Description

本発明はアルミニウム合金膜に関し、より具体的には、弾性表面波素子又はパワー半導体電極に用いられるアルミニウム合金膜に関する。
表面弾性波(SAW:Surface Acoustic Wave)を利用した素子(SAWデバイス)は、バンドパスフィルターやアンテナ共用器(デュプレクサ)として、携帯端末など多くの通信機器に利用される。SAWデバイスの櫛歯状電極(IDT電極)や反射器(図1及び図2参照)には、比重が軽く、電気抵抗率が低いアルミニウム(Al)が用いられているが、SAWデバイス駆動時の表面弾性波による繰り返し応力によって、AlのIDT電極にヒロック(突起)やボイド(空隙)が発生し、デバイス特性の低下やIDT電極の自己破壊が生じる。
従来の通信機器には数百MHz〜3.6GHzの周波数帯が適用されているが、次世代移動通信システムではより高い周波数帯の利用が検討されている。SAWデバイスのIDT電極の電極幅と間隔は、通信システムの動作周波数と反比例し、GHz帯での電極幅は0.2μm以下で、ストレスマイグレーション耐性の改善が必要となる。
ストレスマイグレーションを抑制し、SAWデバイスの耐電力性(寿命)を改善するため、Al電極の合金化や積層化、結晶配向制御などが有効であることが知られている。
特許文献1によれば、種々の元素を添加することで、結晶粒径が小さくなり、耐電力性が向上することが報告されている。結晶粒径が小さくなることで膜の硬化強度も増加するため、電極材料の硬さと耐電力性に比例関係があることが知られている。一方で、合金化することにより電極の電気抵抗率が増加し、デバイス損失が大きくなる。
これに対し特許文献2では、Alの結晶面(111)を強く配向させることで耐電力性が改善することが報告されているが、エピタキシャル成長にはTi下地層が必要であり、プロセス工数は増加し、製造容易性に課題を有する。
上記の理由より、耐電力性が高く、電気抵抗率が比較的低いAl−Cu合金が、IDT電極に一般的に採用されている。Alに0.5〜2.5重量%(0.2〜1.0原子%)程度のCuを添加することで、Alの結晶粒径を微細化し、Al元素やボイドの拡散を抑制することで、耐電力性が改善する。さらに、特許文献3によれば、Al−Cu合金は適切な熱処理によって、結晶粒界にCu元素が偏析した準安定相が得られ、結晶粒界の三重点にCuAlなどの金属間化合物が析出した過時効状態の安定相により、耐電力性が向上することが報告されている。
特開平6−6173号公報 特許第6036926号公報 特許第3609423号公報 特許第3659455号公報
しかしながら、数十GHz帯に適用するSAWデバイスのIDT電極は線幅が狭く、ストレスマイグレーションが発生しやすいため、従来のAl−Cu合金よりも耐電力性が高い合金が必要となる。
さらに、Al−Cu合金電極は局部電池腐食を起こしやすく、特許文献4[図3]に示すとおり、IDT電極形成後にSiOなどの絶縁膜が保護膜として積層されている。SiO薄膜が形成されるCVD工程では200〜350℃のプロセス温度が加わる。そのため、前記プロセス温度の影響を受けた過時効状態でも高い耐電力性を維持することが求められる。この過時効状態における耐電力性の維持可能性の指標として、合金膜の硬さを用いることができる(特許文献1参照)。
上記実情を鑑み、本発明では、従来のAl−Cu合金よりも高い耐電力性、すなわち低い電気抵抗率を示し、過時効状態でも耐電力性を維持可能、すなわち、高い膜硬度を有し、且つ、製造プロセス温度に対して優れた耐熱性を有する、単一組成のAl合金膜を提供することを目的とする。
これに対し、本発明者らは、Al−Cuに加え、所定量の希土類元素(Nd、Gd、La)及びMgの少なくともいずれか1種(X)を含有させたAl−Cu−X合金とすることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
また、当該Al合金膜が、その低い電気抵抗率(高電気伝導性)と高い膜硬度(高機械的強度)という特性から、パワー半導体用電極としても有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
[1] 弾性表面波素子又はパワー半導体用電極に用いられるアルミニウム合金膜であって、
Cuを0.3〜1.6原子%、Nd、Gd、La及びMgからなる群Xより選ばれる少なくとも1種を合計で0.03原子%超0.6原子%以下含有するAl−Cu−X合金膜であり、
不活性雰囲気中200〜300℃で1時間加熱処理した際にAl結晶粒の三重点にAl−Cu−X結晶析出物が存在し、
前記Al−Cu−X結晶析出物は、前記アルミニウム合金膜の断面において5,000,000個/mm以上の密度で存在し、
前記Al−Cu−X結晶析出物は、長辺の長さが10〜50nmであり、かつ
前記Al−Cu−X結晶析出物同士の距離は40〜300nmであるアルミニウム合金膜。
[2] パワー半導体用電極に用いられ、前記Al結晶粒の最小粒径が100nm以上である前記[1]に記載のアルミニウム合金膜。
本発明によれば、トレードオフの関係であった、低い電気抵抗率と高い膜硬度とを両立可能な単層のAl合金膜が得られることから、高い耐電力性を示し、過時効状態においても当該耐電力性が維持可能であり、かつ製造プロセス温度における温度差によるストレスマイグレーション耐性(耐熱性)にも優れたIDT電極を得ることができる。
また、高機械強度と高電気伝導性を有する優れたパワー半導体用エミッタ電極を得ることができる。
図1は、一般的なSAW素子のIDT電極の模式平面図である。 図2は、一般的なSAW素子IDT電極の模式断面図である。 図3は、一般的なSAW素子の製造工程を示すフローチャートである。 図4は、窒素雰囲気中300℃で1時間加熱処理した、Al−Cu合金膜(試験例3)表面の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。 図5は、窒素雰囲気中300℃で1時間加熱処理した、Al−Cu−Nd合金膜(試験例21)表面のSEM画像である。 図6は、窒素雰囲気中300℃で1時間加熱処理した、Al−Cu合金膜(試験例4)断面の透過型電子顕微鏡(TEM)画像である。 図7は、窒素雰囲気中300℃で1時間加熱処理した、Al−Cu−Nd合金膜(試験例21)断面のTEM画像である。
本発明に係るアルミニウム(Al)合金膜は、弾性表面波素子又はパワー半導体用電極に用いられるアルミニウム合金膜であって、Cuを0.3〜1.6原子%、Nd、Gd、La及びMgからなる群Xより選ばれる少なくとも1種を合計で0.03原子%超0.6原子%以下含有するAl−Cu−X合金膜である。
前記Al−Cu−X合金膜はさらに、不活性雰囲気中200〜300℃で1時間加熱処理した際にAl結晶粒の三重点にAl−Cu−X結晶析出物が存在するものである。
前記Al−Cu−X結晶析出物は、前記アルミニウム合金膜の断面において5,000,000個/mm以上の密度で存在し、かつ長辺の長さが10〜50nmであり、かつ前記Al−Cu−X結晶析出物同士の距離は40〜300nmである。
Al−Cu合金において、電気抵抗率と膜硬度とはトレードオフの関係にあり、熱処理を行うことで低い電気抵抗率が実現できる一方で、膜硬度は低下する。これは、Al結晶粒中のCu元素が熱処理をすることで粒界に偏析し、最終的にはCuAl等の金属間化合物を形成する過程でAl−Cu合金の硬さが低下するものと考えられる。
そこで本発明に係るAl合金膜は、Cu及び添加する元素(群X)の種類と量とを最適化することで熱処理前の膜硬度を高めることができ、それによって熱処理後であっても低い電気抵抗率と共に高い膜硬度の実現を可能にしたものである。
Al−Cu−X合金膜におけるCuは、0.3原子%以上とすることにより高い膜硬度を得ることができ、1.6原子%以下とすることにより低い電気抵抗率を実現することができる。膜硬度と電気抵抗率のバランスから、Cuの含有量は0.5原子%以上が好ましく、また、1.0原子%以下が好ましい。
Al−Cu−X合金膜においてXで表されるNd、Gd、La及びMgからなる群Xより選ばれる少なくとも1種の元素は、希土類元素及び/又はAl中に固溶できる元素(Mg)である。これら元素の合計の含有量を0.03原子%超とすることにより高い膜硬度と優れた耐熱性を実現することができる。また、0.6原子%以下とすることにより低い電気抵抗率を得ることができる。この膜硬度と電気抵抗率のバランスから、群Xより選ばれる少なくとも1種の元素は、その合計の含有量が0.05原子%以上が好ましく、また、0.3原子%以下が好ましい。
群Xより選ばれる元素として、Nd、La、Gdを含むことが膜硬度の点から好ましく、また、X群より選ばれる元素は1種であっても2種以上であってもよい。
また、群Xから選択される元素の種類によって、群Xの最適な合計の含有量や、最適なCu含有量は異なる。
Al−Cu−X合金膜には、本発明の効果を損なわない範囲において、他の元素が含まれていてもよい。含まれていてもよい元素としては、例えばNi、Fe、Zn等が挙げられる。これら他の元素の含有量は、合計で0.3原子%以下が好ましい。
Al−Cu−X合金膜の残部はAl及び不可避的不純物であり、不可避的不純物としてはC、O、N、Fe、Ca、Na、K等が挙げられるが、これらの含有量は合計で0.03原子%以下とすることが好ましい。
Al−Cu−X合金膜を不活性雰囲気中200〜300℃で1時間加熱処理した際、Al結晶粒(図7符号A参照)の三重点にAl−Cu−X結晶析出物(図7符号B参照)が存在する。前記加熱処理は、SiO保護膜を形成する際の過時効状態を意味し、不活性雰囲気には、窒素雰囲気や希ガス雰囲気が挙げられる。
Al結晶粒とは、図6及び図7において符号Aで表されるものであり、マトリクス相と称されることもある。Al結晶粒の粒径は、その長辺の長さが100〜300nm程度である程度に微細化されていることが、より高い膜硬度が得られることから好ましく、100〜200nm程度がより好ましい。ここで、Al結晶粒の長辺の長さとは、Al−Cu−X合金膜断面のTEM画像において任意のAl結晶粒を20個選択し、各々の長辺の長さを測定した際の相加平均の値である。
また、パワー半導体用電極の用途においては、上記に加え、Al結晶粒の最小粒径が100nm以上であることが、段差被覆性に優れることから好ましく、150nm以上がより好ましい。
段差被覆性とはトレンチ構造を有するSi基板上にAl合金を成膜し、SEM画像において任意のトレンチ構造の空隙の有無を確認した結果である。
Al−Cu−X結晶析出物は、Al−Cu−X合金膜の断面において5,000,000個/mm以上の密度で存在し、長辺の長さが10〜50nmであり、かつ当該結晶析出物同士の距離が40〜300nmである。
かかる要件を満たすことにより、所定の大きさのAl−Cu−X結晶析出物が適度に分散して多数存在することを意味する。
Al−Cu−X結晶析出物の密度は、Al−Cu−X合金膜の断面のTEM画像において、Al結晶粒界に存在する析出物数により求めることができる。
前記密度は20,000,000個/mm以上が膜硬度の点から好ましく、また、150,000,000個/mm以下が析出物サイズの微細化の点から好ましい。
Al−Cu−X結晶析出物の長辺の長さは、Al−Cu−X合金膜の断面のTEM画像において、任意のAl−Cu−X結晶析出物を7個選択し、各々の長辺の長さを測定した際の相加平均の値である。
前記長辺の長さは15nm以上また、40nm以下が析出物がAl結晶の三重点に存在でき、Al結晶の成長を阻害できること(ピン止め効果)の点から好ましい。
Al−Cu−X結晶析出物同士の距離は、Al−Cu−X合金膜の断面のTEM画像において、任意のAl−Cu−X結晶析出物と、最短の距離に位置する結晶析出物との距離を7個測定した際の相加平均の値である。
結晶析出物同士の距離は50nm以上が結晶析出物の微細化の点から好ましく、また、200nm以下がAl結晶の微細化と膜硬度の点から好ましい。
Al−Cu−X結晶析出物の密度、長辺の長さ、結晶析出物同士の距離は、Al−Cu−X合金膜におけるX群より選ばれる元素の濃度と熱処理条件(温度、保持時間)を変更することにより調整することができる。
本発明に係るアルミニウム合金膜(Al−Cu−X合金膜)は、従来公知の合金膜の製造方法と同様の方法により製造することができる。すなわち、所望する合金膜と同じ組成の純金属又は合金のスパッタリングターゲットを用い、Arガス等の不活性ガスをスパッタガスとして成膜装置により成膜を行う。スパッタガス圧や放電出力等は適宜変更することができる。
Al合金膜の高温加熱処理後の電気抵抗率は、弾性表面波素子用途においては、4.1μΩ・cm以下が好ましく、SAWデバイス損失の低減の点から4.0μΩ・cm以下がより好ましく、3.7μΩ・cm以下がさらに好ましい。また、パワー半導体用電極用途においては、4.0μΩ・cm以下が好ましく、3.9μΩ・cm以下がより好ましい。
電気抵抗率は、窒素雰囲気中200〜300℃で1時間の高温加熱処理を行ったAl合金膜に対し、4深針法により求めることができる。
Al合金膜の高温加熱処理後の膜硬度は、弾性表面波素子用途においては、超微小負荷硬さ(HTL)の値が170以上であればよく、180以上が好ましく、190以上がより好ましい。また、パワー半導体用電極用途においては、HTLの値が127以上が好ましく、150以上がより好ましい。
HTLの値は、窒素雰囲気中200〜300℃で1時間の高温加熱処理を行ったAl合金膜に対し、ナノインデンテーション試験法により、超微小押し込み硬さ試験機を用いて、試験荷重を1〜20mN、三角錘圧子の押し込み量をAl合金膜表面から深さ100〜500nmまでとし、1荷重で3点以上測定した際の、合計15〜25点の平均値とする。
Al合金膜は、高温加熱処理後にボイド(孔)とヒロック(突起)がいずれも存在しないことが耐熱性が高く、熱処理による電気抵抗率の増加を抑えられ、耐電力性に優れることから好ましい。ボイドとヒロックの有無は、窒素雰囲気中200〜300℃で1時間の高温加熱処理を行ったAl合金膜表面のSEM観察により確認することができる。
Al合金膜は、パワー半導体用電極に用いられるに際し、段差被覆性は結晶粒径と相関があり、粒子サイズが大きいほど、トレンチ構造をAl合金で覆う際の空隙が減少する傾向がある。トレンチ構造部分のAl合金膜(オーミック電極)に空隙が存在すると、後のメッキ工程の薬液侵食の原因となる。
Al合金膜を弾性表面波素子に用いる場合、弾性表面波素子は従来公知の方法により製造することができる。例えば、図3に示すように、基板を洗浄する工程、電極薄膜を形成する工程、IDT電極を形成する工程、保護膜(絶縁膜)を形成する工程、基板を切断する工程、外部配線加工工程、及び封止工程をこの順で行うことにより製造することができる。
前記電極薄膜を形成する工程において、本発明に係るAl合金膜を成膜する。
弾性表面波素子に用いる場合のAl合金膜の膜厚は、弾性表面波素子の周波数帯や入出力インピーダンスに合せて任意に設定できる。
Al合金膜をパワー半導体用電極に用いる場合、パワー半導体は従来公知の方法により製造することができる。例えば、SiもしくはSiCなどの半導体基板をトレンチ状にエッチング加工する工程、NiやNiSiなどのオーミックコンタクト層や、MoやTiなどのバリア層を形成する工程、トレンチ構造部分にオーミック電極を形成する工程、及びオーミック電極に金属配線(ワイヤー、リボン)をボンディングする工程をこの順で行うことにより製造することができる。
前記トレンチ構造部分にオーミック電極を形成する工程において、本発明に係るAl合金膜を成膜する。
パワー半導体用電極に用いる場合のAl合金膜の膜厚は1μm以上がエミッタ電極の電気抵抗の点から好ましく、4μm以上がより好ましい。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
[試験例1〜34]
純Alスパッタリングターゲットに各合金元素のチップを配置し、表1の「組成」に示す合金組成となる複合スパッタリングターゲットを用意し、ロードロック付DCマグネトロンスパッタリング装置(アルバック社製、CS−200)を用いて無アルカリガラス(イーグルXG、コーニング社製)基板上に膜厚1000nmのAl合金膜を成膜した。スパッタガスはアルゴンガスを用い、ガス圧2mTorr、ガス流量19sccm、放電出力DC100〜800W、極間距離120mm、基板温度25℃とした。
表1中、「pAl」とは純Al(Al+不可避的不純物)を意味し、例えば「Al−0.3Cu−0.1Nd」とはCuを0.3原子%、Ndを0.1原子%含み、残部がAl及び不可避的不純物である合金組成であることを意味する。
得られたAl合金膜に対して窒素雰囲気中で300℃、1時間の高温加熱処理を1回行い、高温加熱処理後のAl合金膜について、Al結晶粒の三重点に析出したAl−Cu−X結晶析出物の密度、長辺の長さ、及び析出物同士の距離をTEM観察の結果から求めると共に、Al合金膜の電気抵抗率、膜硬度、耐熱性の評価を行った。
(TEM観察)
日本電子社製電界放出形透過電子顕微鏡(JEM−2010F)を用いて、Al結晶粒の三重点に存在するAl−Cu−X結晶析出物の観察を行った。
具体的には、440nmの範囲に存在するAl−Cu−X結晶析出物の数を数えることにより、Al−Cu−X結晶析出物の密度(個/mm)を求めた。
また、TEM画像から任意のAl−Cu−X結晶析出物を7個選択し、各々の長辺の長さを測定した際の相加平均の値を長辺の長さ(nm)とした。
さらに、TEM画像から、任意のAl−Cu−X結晶析出物と、最短の距離に位置する結晶析出物との距離を7個測定し、その相加平均の値を結晶析出物同士の距離(nm)とした。
TEM観察の結果、試験例1〜5ではAl結晶粒の三重点に結晶析出物の存在が確認できなかった。一方試験例21では、Al−Cu−X結晶析出物のアルミニウム合金膜断面における密度が5,000,000個/mm以上、長辺の長さが(最小で)15nm、かつ析出物同士の距離が(最短で)40nmであった。また、実施例に相当する他の試験例についても、当該結晶析出物のアルミニウム合金膜断面における密度が5,000,000個/mm以上、長辺の長さが10〜50nm、かつ析出物同士の距離が40〜300nmとなるものと考えられる。
(電気抵抗率)
電気抵抗率はHIOKI社製の絶縁抵抗計(3450 ミリオームハイテスタ)を用いて、25℃における電気抵抗率を4深針法にて測定した。
結果を表1の「電気抵抗率」に示すが、弾性表面波素子用途を見据えて4.1μΩ・cm以下を合格(○)とし、4.2μΩ・cm以上を不合格(×)とした。ただし、パワー半導体用電極用途の場合には、4.0μΩ・cm以下で合格とすることができる。
(膜硬度)
膜硬度は、超微小押し込み硬さ試験機(エリオニクス社製、ENT−1100a)を用いてナノインデンテーション試験法にて測定した。試験荷重を1〜20mN、三角錘圧子の押し込み量をAl合金膜表面から深さ100〜500nmまでとし、1荷重で3点以上測定した際の、合計15〜25点の平均値をHTL値として算出した。
結果を表1の「押込み硬さ」に示すが、HTL値が180以上を合格(○)とし、170〜179を許容範囲(△)とし、170未満を不合格(×)とした。
(耐熱性)
耐熱性は、Al合金膜表面のSEM(日立製作所社製、電界放出形走査型電子顕微鏡(S−4000))観察を行い、ボイド(孔)とヒロック(突起)の有無を確認した。
結果を表1の「ヒロック・ボイド」に示すが、ヒロック、ボイドのいずれも存在しないものを合格(○)とし、ヒロック及びボイドの少なくともいずれか一方が存在するものを不合格(×)とした。
また、上記電気抵抗率、膜硬度、耐熱性の評価の結果、いずれも合格(○)であるものを「総合評価」として○とし、電気抵抗率と耐熱性は合格であり、膜硬度が許容範囲であるものを△とし、電気抵抗率、膜硬度及び耐熱性のうち1つ以上が不合格であるものを×とした。
なお、試験例17〜19、21及び23〜28は実施例であり、試験例1〜16、20、22及び29〜34は比較例である。また、試験例2〜4は弾性表面波素子に、試験例8はパワー半導体用電極に、それぞれ一般的に用いられるAl合金膜(Al−Cu合金膜又はAl−Si合金膜)であり、各々標準材として評価の基準として扱うことができる。
評価の結果、弾性表面波素子の標準材であるAl−Cu合金膜(試験例2〜4)は、高温加熱処理前の電気抵抗率はいずれも3.9〜4.4μΩ・cmであったのに対し、高温加熱処理を行うことで、その電気抵抗率は3.3〜3.7μΩ・cmとなった。一方、高温加熱処理によってHTL値が200超から179〜187まで低下し、さらにはヒロックやボイドが存在する(図4参照)結果となった。また、図6に示す試験例4の断面TEM画像によれば、Al−Cu合金膜の結晶粒は300〜400nm程度(最大で800nm)であった。
また、パワー半導体用電極の標準材であるAl−Si合金膜(試験例8)は、高温加熱処理前の電気抵抗率は7.5μΩ・cmであったのに対し、高温加熱処理を行うことで、その電気抵抗率は4.0μΩ・cmとなった。一方、高温加熱処理によってHTL値が235から127まで低下し、さらにはヒロックやボイドも存在する結果となった。
試験例2〜4に対し、Cuに代えてTiやTaといった高融点金属を添加すると、合金膜の電気抵抗率が増加し、また、Al中に当該高融点金属が固溶できないためHTL値が低く、さらにヒロックやボイドが発生し、耐熱性も悪い結果となった(試験例9、11)。
また、Cuに代えてNiやMg、Fe、Zn、Nd、Gd、La、Siを添加すると、電気抵抗率、HTL値、耐熱性のいずれかの性能は良好であるが、それら全ての特性を満足することはできなかった(試験例6〜8、10、12〜16)。
これに対し、Al−Cu合金をベースに、第3元素(群X)として、希土類元素であるNd、Gd及びLa、並びに、Cuと同じくAl中に固溶できるMgから選ばれる少なくとも1の元素を所定量添加したAl−Cu−X合金膜は、電気抵抗率の増加を抑え、標準材よりも高いHTL値が得られ、ヒロックやボイドの存在も認められなかった(図5参照)(試験例17〜19、21、23〜28)。また、図7に示す試験例21の断面TEM画像によれば、Al結晶粒の3重点に、長辺の長さが10〜50nmであるAl−Cu−X又はCu−Ndの金属間化合物が微細析出しており、さらに、Al結晶粒が100〜200nm(最大で300nm程度)と微細化されていた。これらが、高い膜硬度の実現に寄与したものと推察される。
以上より、Al−Cu合金に群Xより選ばれる少なくとも1の元素を所定量添加したAl−Cu−X合金膜は、低電気抵抗率を維持しつつ、膜硬度を高め、耐熱性にも優れる。そのため、本発明に係るAl合金膜をIDT電極等の弾性表面波素子に用いると、熱処理後であっても低い電気抵抗率及び高い膜硬度が期待でき、耐熱性も良好である。また、パワー半導体用電極に用いると、高電気伝導性及び高機械的強度が期待でき、さらには耐熱性及び段差被覆性の実現も可能である。
1 IDT電極
2 反射器
A Al結晶粒
B Al−Cu−X結晶析出物

Claims (2)

  1. 弾性表面波素子又はパワー半導体用電極に用いられるアルミニウム合金膜であって、
    Cuを0.3〜1.6原子%、Nd、Gd、La及びMgからなる群Xより選ばれる少なくとも1種を合計で0.03原子%超0.6原子%以下含有するAl−Cu−X合金膜であり、
    不活性雰囲気中200〜300℃で1時間加熱処理した際にAl結晶粒の三重点にAl−Cu−X結晶析出物が存在し、
    前記Al−Cu−X結晶析出物は、前記アルミニウム合金膜の断面において5,000,000個/mm以上の密度で存在し、
    前記Al−Cu−X結晶析出物は、長辺の長さが10〜50nmであり、かつ
    前記Al−Cu−X結晶析出物同士の距離は40〜300nmであるアルミニウム合金膜。
  2. パワー半導体用電極に用いられ、前記Al結晶粒の最小粒径が100nm以上である請求項1に記載のアルミニウム合金膜。
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