JP2019102492A - 半導体レーザ素子及び半導体レーザ装置 - Google Patents

半導体レーザ素子及び半導体レーザ装置 Download PDF

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Abstract

【課題】活性層における自然放出光のピーク波長の均一性が高い半導体レーザ素子などを提供する。【解決手段】半導体レーザ素子10は、窒化物半導体からなる第1導電型クラッド層102と、第1導電型クラッド層102の上方に配置され、Inを含む窒化物半導体からなる活性層103と、活性層103の上方に配置され、窒化物半導体からなる第2導電型クラッド層104と、を備え、第1導電型クラッド層102、活性層103及び第2導電型クラッド層104を含む積層構造体12の一方側の端面と他方側の端面との間に導波路が形成され、一方側の端面は、光出射側端面であり、他方側の端面は、光反射側端面であり、活性層103において、一方側の端面に近い側の方が、他方側の端面に近い側の方より、In組成比が少ない。【選択図】図2

Description

本開示は、半導体レーザ素子及び半導体レーザ装置に関する。
従来、プロジェクタなどに用いられる高出力かつ高効率な光源として、半導体レーザ素子が検討されている(例えば、特許文献1)。半導体レーザ素子において、高出力動作を行う場合、半導体レーザ素子の導波路において温度分布が不均一となる。ここで半導体レーザ素子の活性層から放出される自然放出光の波長分布は温度依存性を有する。このため、導波路の温度分布が不均一となる場合には、活性層における自然放出光の波長分布が不均一となる。これに伴い半導体レーザ素子の出力特性が低下する。
特許文献1に記載された発明においては、導波路における温度分布を均一化するために、半導体レーザ素子の導波路の各位置における放熱特性を調整している。図9は、特許文献1に記載された半導体レーザ素子1050の構成を示す模式的な断面図である。図9に示されるように、特許文献1に記載された半導体レーザ素子1050は、基台(つまり、サブマウント)1030上に、厚さが不均一な導電性接着剤1040を介して接着されている。これにより、半導体レーザ素子1050の導波路における温度分布を均一化しようとしている。
特開2009−4760号公報
しかしながら、特許文献1に記載された半導体レーザ素子1050においては、半導体レーザ素子1050と基台1030とを接着させる導電性接着剤1040の厚さが不均一であるため、導電性接着剤1040の厚さが厚い部分が存在する。これにより半導体レーザ素子1050と基台1030との間の熱抵抗が上昇するため、動作時における半導体レーザ素子1050の温度が上昇する。このため、環境温度が高い場合、又は、半導体レーザ素子1050を高出力動作させる場合に、半導体レーザ素子1050の活性層においてキャリアのオーバーフローが増大する。その結果、半導体レーザ素子1050のスロープ効率が低下し、電力変換効率が低下したり、熱飽和時の光出力が低下したりするという問題が発生する。
本開示は、このような課題を解決するものであり、活性層における自然放出光のピーク波長の均一性が高い半導体レーザ素子及び半導体レーザ装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本開示に係る半導体レーザ素子の一態様は、窒化物半導体からなる第1導電型クラッド層と、前記第1導電型クラッド層の上方に配置され、Inを含む窒化物半導体からなる活性層と、前記活性層の上方に配置され、窒化物半導体からなる第2導電型クラッド層と、を備え、前記第1導電型クラッド層、前記活性層及び前記第2導電型クラッド層を含む積層構造体の一方側の端面と他方側の端面との間に導波路が形成され、前記一方側の端面は、光出射側端面であり、前記他方側の端面は、光反射側端面であり、前記活性層において、前記一方側の端面に近い側の方が、前記他方側の端面に近い側の方より、In組成比が少ない。
このような半導体レーザ素子においては、動作時に光出射側端面に近い側の方が光反射側端面に近い側の方より活性層の温度が高くなるため、光出射側端面に近い側の方が、自然放出光のピーク波長の長波長側へのシフト量が大きくなる。しかしながら、本開示に係る半導体レーザ素子においては、活性層の一方側の端面(つまり、光出射側端面)に近い側において、他方側の端面(つまり、光反射側端面)に近い側より、In組成比が少ないため、自然放出光のピーク波長が短くなる。これにより、光出射側端面に近い側と光反射側端面に近い側との、温度差に起因する自然放出光のピーク波長シフト量の差の少なくとも一部を、In組成比に起因する自然放出光の波長の差によって相殺できる。したがって、半導体レーザ素子の活性層における自然放出光のピーク波長の均一性を高めることができる。
また、本開示に係る半導体レーザ素子の一態様において、前記活性層の前記In組成比は、前記一方側の端面に近くなるに従い少なくなるよう傾斜していてもよい。
このような半導体レーザ素子においては、動作時の活性層の温度は、光出射側端面に近くなるに従い高くなるよう傾斜している。このため、活性層のIn組成比を、一方側の端面(つまり、光出射側端面)に近くなるに従い少なくなるよう傾斜させることで、活性層の温度に起因する自然放出光のピーク波長シフト量に対応させて、In組成比を変化させることができる。したがって、活性層のIn組成比が傾斜している領域において、温度差に起因する自然放出光のピーク波長シフト量の差の少なくとも一部を、In組成比に起因する自然放出光のピーク波長の差によって相殺できる。これにより、活性層における自然放出光のピーク波長の均一性をより一層高めることができる。
また、本開示に係る半導体レーザ素子の一態様において、前記活性層の前記In組成比は、前記一方側の端面から前記他方側の端面までの全体にわたって、前記一方側の端面に近くなるに従い少なくなるよう傾斜していてもよい。
これにより、活性層の全体にわたって、温度差に起因する自然放出光のピーク波長シフト量の差の少なくとも一部を、In組成比に起因する自然放出光のピーク波長の差によって相殺できる。これにより、活性層における自然放出光のピーク波長の均一性をより一層高めることができる。
また、本開示に係る半導体レーザ素子の一態様において、前記活性層は、井戸層と障壁層とからなる量子井戸構造を有し、前記井戸層において、前記一方側の端面に近い側の方が、前記他方側の端面に近い側の方より、In組成比が少なくてもよい。
これにより、量子井戸構造を有する活性層において、自然放出光のピーク波長の均一性を高めることができる。
また、本開示に係る半導体レーザ素子の一態様は、前記積層構造体が積層される基板をさらに備え、前記基板のオフ角は、前記一方側の端面に近い側の方が、前記他方側の端面に近い側の方より小さくてもよい。
このような半導体レーザ素子において、基板のオフ角が小さいほど、基板上に積層される窒化物半導体層におけるIn組成比が小さくなる。このため、上記基板上に、積層構造体が積層された半導体レーザ素子では、活性層の一方側の端面に近い側において、他方側の端面に近い側より、In組成比が少ない構成を容易に実現できる。
また、本開示に係る半導体レーザ装置の一態様は、多面体状の形状を有するサブマウントと、前記サブマウントの一つの面に固定された半導体レーザ素子と、を備える半導体レーザ装置であって、前記半導体レーザ素子は、窒化物半導体からなる第1導電型クラッド層と、前記第1導電型クラッド層の上方に配置され、Inを含む窒化物半導体からなる活性層と、前記活性層の上方に配置され、窒化物半導体からなる第2導電型クラッド層と、を備え、前記第1導電型クラッド層、前記活性層及び前記第2導電型クラッド層を含む積層構造体における一方側の端面が、他方側の端面より前記サブマウントの前記一つの面の端の近くに配置され、前記活性層において、前記一方側の端面に近い側の方が、前記他方側の端面に近い側の方より、In組成比が少ない。
このような半導体レーザ装置において、半導体レーザ素子が固定されたサブマウントの一つの面の端に近い方が、半導体レーザ素子とサブマウントとの間の熱抵抗が大きくなる。したがって、半導体レーザ素子において、一方側の端面に近い側の方が他方側の端面に近い側の方より活性層の温度が高くなるため、一方側の端面に近い側の方が、自然放出光のピーク波長の長波長側へのシフト量が大きくなる。しかしながら、本開示に係る半導体レーザ素子では、活性層の一方側の端面に近い側において、他方側の端面に近い側より、In組成比が少ないため、自然放出光のピーク波長が短くなる。これにより、一方側の端面に近い側と他方側の端面に近い側との、温度差に起因する自然放出光のピーク波長シフト量の差の少なくとも一部を、In組成比に起因する自然放出光の波長の差によって相殺できる。したがって、半導体レーザ素子の活性層における自然放出光のピーク波長の均一性を高めることができる。さらに、本開示に係る半導体レーザ装置においては、上記従来技術と異なり半導体レーザ素子とサブマウントとの間の熱抵抗が増大することがないため、半導体レーザ素子の高温での動作及び高出力動作が可能となる。
また、本開示に係る半導体レーザ装置の一態様において、前記活性層の前記In組成比は、前記一方側の端面に近くなるに従い少なくなるよう傾斜していてもよい。
このような半導体レーザ装置において、動作時の活性層の温度は、一方側の端面に近くなるに従い高くなるよう傾斜している。このため、活性層のIn組成比を、一方側の端面に近くなるに従い少なくなるよう傾斜させることで、活性層の温度に起因する自然放出光のピーク波長シフト量に対応させて、In組成比を変化させることができる。したがって、活性層のIn組成比が傾斜している領域において、温度差に起因する自然放出光のピーク波長シフト量の差の少なくとも一部を、In組成比に起因する自然放出光の波長の差によって相殺できる。これにより、活性層における自然放出光のピーク波長の均一性をより一層高めることができる。
また、本開示に係る半導体レーザ装置の一態様において、前記活性層の前記In組成比は、前記一方側の端面から前記他方側の端面までの全体にわたって、前記一方側の端面に近くなるに従い少なくなるよう傾斜していてもよい。
これにより、活性層の全体にわたって、温度差に起因する自然放出光のピーク波長シフト量の差の少なくとも一部を、In組成比に起因する自然放出光の波長の差によって相殺できる。これにより、活性層における自然放出光のピーク波長の均一性をより一層高めることができる。
また、本開示に係る半導体レーザ装置の一態様において、前記活性層は、井戸層と障壁層とからなる量子井戸構造を有し、前記井戸層において、前記一方側の端面に近い側の方が、前記他方側の端面に近い側の方より、In組成比が少なくてもよい。
これにより、量子井戸構造を有する活性層において、自然放出光のピーク波長の均一性を高めることができる。
また、本開示に係る半導体レーザ装置の一態様において、前記一方側の端面は、光出射側端面であり、前記他方側の端面は、光反射側端面であってもよい。
これにより、半導体レーザ素子から出射されたレーザ光が、サブマウントに照射されることを低減できる。また、サブマウントにおける半導体レーザ素子が固定された一つの面の端に近い活性層の一方側の端面が光出射側端面であることにより、光出射側端面に近い側の方の温度が、光反射側端面に近い側の方より一層高くなる。このため、光出射側端面に近い側の方が、自然放出光のピーク波長の長波長側へのシフト量がより一層大きくなる。しかしながら、本開示に係る半導体レーザ素子においては、活性層の一方側の端面に近い側において、他方側の端面に近い側より、In組成比が少ないため、自然放出光のピーク波長が短くなる。これにより、一方側の端面に近い側と他方側の端面に近い側との、温度差に起因する自然放出光のピーク波長シフト量の差の少なくとも一部を、In組成比に起因する自然放出光の波長の差によって相殺できる。したがって、半導体レーザ素子の活性層における自然放出光のピーク波長の均一性を高めることができる。
また、本開示に係る半導体レーザ装置の一態様は、前記積層構造体が積層される基板をさらに備え、前記基板のオフ角は、前記一方側の端面に近い側の方が、前記他方側の端面に近い側の方より小さくてもよい。
このような半導体レーザ装置において、基板のオフ角が小さいほど、基板上に積層される窒化物半導体層におけるIn組成比が小さくなる。このため、上記基板上に、積層構造体が積層された半導体レーザ素子では、活性層の一方側の端面に近い側において、他方側の端面に近い側より、In組成比が少ない構成を容易に実現できる。
また、本開示に係る半導体レーザ装置の一態様において、前記半導体レーザ素子は、前記積層構造体が積層される基板をさらに備え、前記半導体レーザ素子は、前記積層構造体が前記基板より前記サブマウント寄りに配置されてもよい。
このように、半導体レーザ素子が積層構造体側においてサブマウントに固定される場合には、基板側においてサブマウントに固定される場合より、積層構造体の放熱特性に対するサブマウントの影響が大きくなる。したがって、活性層の一方側の端面に近い側と、他方側の端面に近い側との温度差が大きくなる。このような場合にも、活性層のIn組成比を上述のとおり分布させることで、半導体レーザ素子の活性層における自然放出光のピーク波長の均一性を高めることができる。
本開示によれば、活性層における自然放出光の波長分布の均一性が高い半導体レーザ素子及び半導体レーザ装置を提供できる。
図1は、実施の形態に係る半導体レーザ素子の共振方向に垂直な断面における模式的な断面図である。 図2は、実施の形態に係る半導体レーザ素子の共振方向に平行な断面における模式的な断面図である。 図3は、実施の形態に係る半導体レーザ装置の全体構成を示す断面図である。 図4は、実施の形態に係る半導体レーザ素子の発光波長の活性層の位置に対する分布を示すグラフである。 図5Aは、実施の形態に係る半導体レーザ素子の製造方法の第1工程を示す模式的な断面図である。 図5Bは、実施の形態に係る半導体レーザ素子の製造方法の第2工程を示す模式的な断面図である。 図5Cは、実施の形態に係る半導体レーザ素子の製造方法の第3工程を示す模式的な断面図である。 図5Dは、実施の形態に係る半導体レーザ素子の製造方法の第4工程を示す模式的な断面図である。 図5Eは、実施の形態に係る半導体レーザ素子の製造方法の第5工程を示す模式的な断面図である。 図5Fは、実施の形態に係る半導体レーザ素子の製造方法の第6工程を示す模式的な断面図である。 図6は、実施の形態に係る半導体レーザ素子の活性層におけるIn組成比の分布形成方法を示す模式図である。 図7Aは、オフ角が位置に応じて徐々に変化する基板の形成方法の第1工程を示す模式図である。 図7Bは、オフ角が位置に応じて徐々に変化する基板の形成方法の第2工程を示す模式図である。 図7Cは、オフ角が位置に応じて徐々に変化する基板の形成方法の第3工程を示す模式図である。 図8Aは、オフ角が位置に応じて徐々に変化する基板の他の形成方法の第1工程を示す模式図である。 図8Bは、オフ角が位置に応じて徐々に変化する基板の他の形成方法の第2工程を示す模式図である。 図9は、従来技術の半導体レーザ素子の構成を示す模式的な断面図である。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、及び、構成要素の配置位置や接続形態などは、一例であって本開示を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、各図において縮尺等は必ずしも一致していない。なお、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
また、本明細書において、「上方」及び「下方」という用語は、絶対的な空間認識における上方向(鉛直上方)及び下方向(鉛直下方)を指すものではなく、積層構成における積層順を基に相対的な位置関係により規定される用語として用いる。また、「上方」及び「下方」という用語は、2つの構成要素が互いに間隔をあけて配置されて2つの構成要素の間に別の構成要素が存在する場合のみならず、2つの構成要素が互いに接する状態で配置される場合にも適用される。
(実施の形態)
実施の形態に係る半導体レーザ素子について説明する。
[全体構成]
まず、本実施の形態に係る半導体レーザ素子の全体構成について図面を用いて説明する。図1は、本実施の形態に係る半導体レーザ素子10の共振方向に垂直な断面における模式的な断面図である。図2は、本実施の形態に係る半導体レーザ素子10の共振方向に平行な断面における模式的な断面図である。図2においては、図1に示されるII−II線における断面が示されている。また、図2には、半導体レーザ素子10における活性層103のIn組成比の分布を示すグラフが併せて示されている。図2に示されるグラフの横軸の位置は、その上方に示される断面図の水平方向の位置に対応する。例えば、図2のグラフの横軸が0μmの位置は、断面図の活性層103の左端の位置に対応し、グラフの横軸が2000μmの位置は、断面図の活性層103の右端の位置に対応する。
半導体レーザ素子10は、共振器を形成する光出射側端面及び光反射側端面を有するレーザ素子である。図1においては、半導体レーザ素子10の共振方向に垂直な断面が示されている。
図1に示されるように、半導体レーザ素子10は、基板101と、積層構造体12と、第2導電側電極107と、パッド電極108と、第1導電側電極109と、を備える。また、図2の断面図に示されるように、半導体レーザ素子10は、光出射側端面コート膜116と、光反射側端面コート膜117と、をさらに備える。
積層構造体12は、第1導電型クラッド層102、活性層103及び第2導電型クラッド層104を含む。本実施の形態では、積層構造体12は、コンタクト層105と、絶縁層106と、をさらに含む。積層構造体12の一方側の端面と他方側の端面との間に導波路が形成される。図2の断面図に示されるように、積層構造体12の一方側の端面には光出射側端面コート膜116が配置され、他方側の端面には光反射側端面コート膜117が配置される。これにより、積層構造体12の一方側の端面は、光出射側端面となり、他方側の端面は、光反射側の端面となる。
基板101は、半導体レーザ素子10の基材である。本実施の形態では、基板101は、GaN単結晶基板である。基板101は、GaN単結晶基板に限定されず、窒化物半導体層を積層し得る基板であればよい。例えば、基板101は、SiC基板、サファイア基板などであってもよい。
第1導電型クラッド層102は、基板101の上方に配置される第1導電型の窒化物半導体からなるクラッド層である。本実施の形態では、第1導電型クラッド層102は、Siがドープされ、3μmの膜厚を有するn型のAlGa1−xN(x=0.03)層である。第1導電型クラッド層102におけるSi濃度は1×1017cm−3である。第1導電型クラッド層102の構成はこれに限定されない。第1導電型クラッド層102は、1μm以上の膜厚を有する第1導電型のAlGa1−xN(0<x<1)層であればよい。
活性層103は、第1導電型クラッド層102の上方に配置され、Inを含む窒化物半導体からなる発光層である。活性層103において、半導体レーザ素子10の光出射側端面に相当する一方側の端面に近い側の方が、光反射側端面に相当する他方側の端面に近い側の方より、In組成比が少ない。なお、ここで、In組成比とは、窒化物半導体における13族(IIIA族)の元素におけるInの割合である。本実施の形態では、活性層103は、5nmの膜厚を有しInGa1−xNからなる井戸層と、10nmの膜厚を有しGaNからなる障壁層とが交互に2層ずつ積層された量子井戸活性層を含む。井戸層において、半導体レーザ素子10の光出射側端面に相当する一方側の端面に近い側の方が、光反射側端面に相当する他方側の端面に近い側の方より、In組成比xが少ない。
図2のグラフに示されるように、本実施の形態では、活性層103のIn組成比は、光出射側端面コート膜116近傍では5.85%程度、光反射側端面コート膜117近傍では6.15%程度であり、光出射側端面から、光反射側端面に向かって漸増している。
なお、活性層103の構成はこれに限定されない。活性層103は、InGa1−xN(0<x<1)からなる井戸層と、AlInGa1−x−yN(x≧0、y≧0)からなる障壁層とが交互に積層された量子井戸活性層であって、井戸層において、一方側の端面に近い側の方が、他方側の端面に近い側の方より、In組成比xが少なければよい。なお、活性層103は、量子井戸活性層の上方及び下方の少なくとも一方に形成されたガイド層を含んでもよい。
第2導電型クラッド層104は、活性層103の上方に配置され、第2導電型の窒化物半導体からなるクラッド層である。本実施の形態では、第2導電型クラッド層104は、Mgがドープされたp型のAlGaN/GaN超格子層を含む。第2導電型クラッド層104におけるMg濃度は1×1019cm−3である。AlGaN/GaN超格子層は、Alの平均組成比が3%であり、3nmの膜厚を有するAlGaN層と、3nmの膜厚を有するGaN層とが交互にそれぞれ100層積層された層である。第2導電型クラッド層104の構成はこれに限定されない。第2導電型クラッド層104は、Mgがドープされ、0.1μm以上1μm以下の膜厚を有する第2導電型のAlGa1−xN(0<x<1)層であればよい。
コンタクト層105は、第2導電型クラッド層104の上方に配置され、第2導電型の窒化物半導体からなる層である。本実施の形態では、コンタクト層105は、Mgがドープされ、5nmの膜厚を有するGaN層である。コンタクト層105におけるMg濃度は1×1020cm−3である。コンタクト層105の構成はこれに限定されない。コンタクト層105は、Mgがドープされた第2導電型のGaN層であればよい。
絶縁層106は、第2導電型クラッド層104の上方に配置される絶縁材料からなる層である。本実施の形態では、絶縁層106は、コンタクト層105の側面及び第2導電型クラッド層104の上面に配置され、200nmの膜厚を有するSiOからなる層である。絶縁層106の構成は、これに限定されない。絶縁層106は、100nm以上500nm以下の膜厚を有する絶縁材料で形成された層であればよい。
第2導電側電極107は、コンタクト層105の上方に配置される導電材料からなる層である。第2導電側電極107は、コンタクト層105と接触する。本実施の形態では、第2導電側電極107は、コンタクト層105側から順にPd及びPtが積層された積層膜である。第2導電側電極107の構成はこれに限定されない。第2導電側電極107は、例えば、Cr、Ti、Ni、Pd、Pt及びAuの少なくとも一つで形成された単層膜又は多層膜であってもよい。本実施の形態では、第2導電側電極107の幅は30μmである。ここで、第2導電側電極107の幅とは、基板101の主面に平行で、半導体レーザ素子10の共振方向に垂直な方向における第2導電側電極107の寸法のことを意味する。第2導電側電極107の幅は30μmに限定されず、10μm以上150μm以下であればよい。また、第2導電側電極107は、絶縁層106上にも形成されてもよい。
パッド電極108は、第2導電側電極107の上方に配置されたパッド状の電極である。本実施の形態では、パッド電極108は、第2導電側電極107側から順にTi及びAuが積層された積層膜である。パッド電極108の構成はこれに限定されない。パッド電極108は、例えば、Ti及びAu、Ti、Pt及びAu、Ni及びAuなどの積層膜であってもよい。
第1導電側電極109は、基板101の下方に配置される電極である。本実施の形態では、第1導電側電極109は、基板101側から順にTi、Pt及びAuが積層された積層膜である。第1導電側電極109の構成はこれに限定されない。第1導電側電極109は、例えば、Ti及びAu、Ti、Pt及びAuなどの積層膜であってもよい。
光出射側端面コート膜116は、半導体レーザ素子10の共振器における光出射側反射ミラーを構成する膜である。本実施の形態では、光出射側端面コート膜116は、AlN、Al及びSiOからなる多層膜であり、反射率は5%である。なお、光出射側端面コート膜116の構成はこれに限定されず、Al、Siなどの酸化物、窒化物又は酸窒化物の多層膜であればよい。また、光出射側端面コート膜116の反射率は、20%以下であればよい。
光反射側端面コート膜117は、半導体レーザ素子10の共振器における光反射側反射ミラーを構成する膜である。本実施の形態では、光反射側端面コート膜117は、AlN、AlON及びSiOからなる多層膜であり、反射率は95%である。光反射側端面コート膜117において、AlON及びSiOが6組以上積層される。なお、光反射側端面コート膜117の構成はこれに限定されず、Al、Siなどの酸化物、窒化物又は酸窒化物の多層膜であればよい。また、光反射側端面コート膜117の反射率は、90%以上であればよい。なお、光出射側端面コート膜116及び光反射側端面コート膜117の反射率は、必ずしも上記数値の範囲に限られず、光出射側端面コート膜116の反射率が光反射側端面コート膜117の反射率よりも低いことを満たしていればよい。
[半導体レーザ装置の構成]
次に、本実施の形態に係る半導体レーザ素子10を備える半導体レーザ装置の構成について、図面を用いて説明する。図3は、本実施の形態に係る半導体レーザ装置20の全体構成を示す断面図である。図3においては、半導体レーザ装置20が備える半導体レーザ素子10の共振方向に平行な方向の断面が示されている。
図3に示されるように、半導体レーザ装置20は、サブマウント113と、半導体レーザ素子10と、を備える。本実施の形態では、半導体レーザ装置20は、パッケージ115をさらに備える。
サブマウント113は、多面体状の形状を有する部材であり、一つの面に半導体レーザ素子10が固定される。本実施の形態では、サブマウント113は、直方体状の形状を有する。サブマウント113は、半導体レーザ素子10の熱伝導率が高い材料で形成され、半導体レーザ素子10のヒートシンクとして機能する。サブマウント113には、金属層112及び素子側接着層111を介して半導体レーザ素子10が固定される。また、サブマウント113は、パッケージ側接着層114を介してパッケージ115に接着される。本実施の形態では、サブマウント113は、厚さ300μmの多結晶ダイヤモンドで形成される。なお、サブマウント113を形成する材料は、これに限定されず、例えば、AlN、SiC、CuW、銅ダイヤモンド、銀ダイヤモンドなどでもよい。
金属層112は、パッド電極108に電力を供給するワイヤなどが接続される導電性部材である。本実施の形態では、金属層112は、5μmの膜厚を有し、サブマウント113側から順にTi、Pt及びAuが積層された積層膜である。金属層112の構成はこれに限定されない。金属層112は、例えば、1μm以上10μm以下の膜厚を有し、Ti、Ni、Pt及びAuの少なくとも一つを有する単層膜又は積層膜であってもよい。
素子側接着層111は、サブマウント113と半導体レーザ素子10とを接着する導電性接着部材である。本実施の形態では、素子側接着層111は、2μmの膜厚を有するAuSnで形成される。素子側接着層111を形成する材料は、これに限定されず、他の導電性接着材料であってもよい。
パッケージ側接着層114は、サブマウント113とパッケージ115とを接着する部材である。本実施の形態では、パッケージ側接着層114は、2μmの膜厚を有するAuSnで形成される。パッケージ側接着層114を形成する材料は、これに限定されず、他の接着材料であってもよい。
半導体レーザ装置20においては、積層構造体12における一方側の端面が、他方側の端面よりサブマウント113の一つの面の端の近くに配置される。本実施の形態では、上述のとおり、一方側の端面は光出射側端面であり、他方側の端面は光反射側端面である。これにより、半導体レーザ素子10から出射されたレーザ光が、サブマウント113に照射されることを低減できる。また、上述のとおり、活性層103において、一方側の端面に近い側の方が、他方側の端面に近い側の方より、In組成比が少ない。
また、本実施の形態では、図3に示されるように、半導体レーザ素子10は、積層構造体12が基板101よりサブマウント113寄りに配置される。
[作用及び効果]
次に、本実施の形態に係る半導体レーザ素子10及び半導体レーザ装置20の作用及び効果について図面を用いて説明する。図4は、本実施の形態に係る半導体レーザ素子10の発光波長の活性層103の位置に対する分布を示すグラフである。図4には、半導体レーザ素子10の低出力動作時における発光波長(つまり、自然放出光のピーク波長)の分布を示すグラフ(b)と、通常の動作時の発光波長の分布を示すグラフ(c)が示されている。なお、ここで、低出力動作とは、半導体レーザ素子10における温度の影響が無視できる程度に出力が低い動作を意味し、通常の動作とは、例えば、定格出力で動作する場合などの高出力動作を意味する。また、図4には、半導体レーザ素子10の断面図と、活性層103のIn組成比の分布を示すグラフ(a)が併せて示されている。図4に示される各グラフの横軸の位置は、図2と同様に、その上方に示される断面図の水平方向の位置に対応する。また、各グラフには、比較例として、活性層103におけるIn組成比が均一な場合のIn組成比及び発光波長についても併せて破線で示されている。
図4のグラフ(a)に示されるように、比較例の半導体レーザ素子では、活性層103におけるIn組成比が均一である。このような構成では、活性層103において発生する熱の影響を無視できる低出力動作時には、図4のグラフ(b)に示されるように、発光波長は、活性層103の全域にわたって均一である。しかしながら、通常動作時には、熱の影響が無視できなくなる。半導体レーザ素子10では、光出射側端面(一方側の端面)に近い側の方が、光反射側端面(他方側の端面)に近い側の方より、熱の発生量が大きくなる。これは、光出射側端面に近い方が、導波路内の光強度が高く、かつ、電流密度も高くなることに起因する。したがって、半導体レーザ素子10では、通常動作時においては、光出射側端面に近い側の方が、光反射側端面に近い側の方より、活性層103の温度が高くなる。
また、半導体レーザ装置20のように、半導体レーザ素子10の光出射側端面が、光反射側端面よりサブマウントの一つの面の端の近くに配置される場合には、光出射側端面に近い側の方が、光反射側端面(他方側の端面)に近い側の方より、半導体レーザ素子10とサブマウント113との間の熱抵抗が大きくなる。これは、サブマウント113の一つの面の端部付近においては、一つの面の中央付近より、サブマウント113内において熱が伝導できる方向が制限されることに起因する。このような熱抵抗の分布も、活性層103の光出射側端面に近い側の方が光反射側端面に近い側より温度が高くなる原因となる。本実施の形態に係る半導体レーザ素子10の活性層103においては、光出射側端面に近い側の方が光反射側端面に近い側より、温度が10℃から20℃程度高くなる。
通常動作時の活性層103がこのような温度分布を有することにより、図4のグラフ(c)に示されるように、比較例の活性層においては、温度上昇に起因する発光波長のシフト量が、共振方向における位置に応じて異なる。これにより、発光波長が活性層103の位置に対して不均一となる。
一方、本実施の形態では、図4のグラフ(a)に示されるように、活性層103において、積層構造体12の光出射側端面に相当する一方側の端面に近い側の方が、光反射側端面に相当する他方側の端面に近い側の方より、In組成比が少ない。これにより、本実施の形態に係る半導体レーザ素子10における熱の影響が無視できる低出力動作時には、発光波長は、図4のグラフ(b)に示されるように活性層103の位置に対して不均一となる。しかしながら、通常動作時には、上述のとおり、半導体レーザ素子において、光出射側端面に近い側の方が光反射側端面に近い側の方より活性層103の温度が高くなるため、光出射側端面に近い側の方が、発光波長の長波長側へのシフト量が大きくなる。これにより、光出射側端面に近い側と光反射側端面に近い側との、温度差に起因する発光波長のシフト量の差の少なくとも一部を、In組成比に起因する発光波長の差によって相殺できる。したがって、図4のグラフ(c)に示されるように、半導体レーザ素子10及び半導体レーザ装置20の活性層103における発光波長の均一性を高めることができる。
また、本実施の形態では、特許文献1に記載された従来技術と異なり、このような効果を、半導体レーザ素子10とサブマウント113との間の熱抵抗を増大させることなく実現できる。このため、半導体レーザ素子10の高温での動作及び高出力動作が可能となる。
上述したように、通常動作時の半導体レーザ素子10の活性層103の温度は、光出射側端面に近くなるに従い高くなるよう傾斜している。そこで、本実施の形態においては、活性層103のIn組成比は、積層構造体12の一方側の端面に近くなるに従い少なくなるよう傾斜している。つまり、活性層103のIn組成比は、活性層103の少なくとも一部において積層構造体12の一方の端面に近くなるに従い少なくなるよう変化している。これにより、活性層103の温度に起因する発光波長のシフト量に対応させて、In組成比を変化させることができる。したがって、活性層のIn組成比が傾斜している領域において、温度差に起因する発光波長のシフト量の差の少なくとも一部を、In組成比に起因する発光波長の差によって相殺できる。これにより、活性層103における発光波長の均一性をより一層高めることができる。
また、活性層103のIn組成比は、積層構造体12の一方側の端面から他方側の端面までの全体にわたって、一方側の端面に近くなるに従い少なくなるよう傾斜している。これにより、活性層103の全体にわたって、温度差に起因する発光波長のシフト量の差の少なくとも一部を、In組成比に起因する発光波長の差によって相殺できる。これにより、活性層103における発光波長の均一性をより一層高めることができる。
また、本実施の形態では、活性層103は、井戸層と障壁層とからなる量子井戸構造を有し、井戸層において、光出射側端面に近い側の方が、光反射側端面に近い側の方より、In組成比が少ない。これにより、量子井戸構造を有する活性層103において、発光波長の均一性を高めることができる。
また、本実施の形態では、半導体レーザ素子10は、積層構造体12が基板101よりサブマウント113寄りに配置される。このように、半導体レーザ素子10が積層構造体12側においてサブマウント113に固定される場合には、基板101側においてサブマウント113に固定される場合より、積層構造体12の放熱特性に対するサブマウント113の影響が大きくなる。したがって、活性層103の一方側の端面に近い側と、他方側の端面に近い側との温度差が大きくなる。このような場合にも、活性層103のIn組成比を上述のとおり分布させることで、半導体レーザ素子10の活性層103における発光波長の均一性を高めることができる。
[製造方法]
次に、本実施の形態に係る半導体レーザ素子10の製造方法の概要について、図面を用いて説明する。図5A〜図5Fは、それぞれ、本実施の形態に係る半導体レーザ素子10の製造方法の各工程を示す模式的な断面図である。
まず、図5Aに示されるように、基板101を準備し、基板101上に、基板101側から順に、第1導電型クラッド層102、活性層103、第2導電型クラッド層104及びコンタクト層105を形成する。本実施の形態では、有機金属気相成長法(MOCVD)により、各層の成膜を行う。なお、活性層103におけるIn組成比分布の形成方法については、後述する。
次に、図5Bに示されるように、コンタクト層105上に、SiOなどからなるマスク110を形成する。本実施の形態では、プラズマCVDにより、膜厚300nm程度のマスク110を形成する。
次に、図5Cに示されるようにマスク110をパターニングする。本実施の形態では、フォトリソグラフィー及びエッチングを用いて、マスク110の一部を選択的に除去する。これにより、帯状のマスク110を形成する。
次に、図5Dに示されるように、帯状に形成されたマスク110を用いて、コンタクト層105及び第2導電型クラッド層104をエッチングすることで、コンタクト層105及び第2導電型クラッド層104にリッジ部10Rを形成する。コンタクト層105及び第2導電型クラッド層104のエッチングとしては、例えば、Clなどの塩素系ガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE)法によるドライエッチングを用いるとよい。
次に、マスク110をフッ酸などのウェットエッチングによって除去した後、コンタクト層105及び第2導電型クラッド層104を覆うように、絶縁層106を成膜する。絶縁層106としては、プラズマCVDにより、膜厚300nmのSiOを形成する。続いて、フォトリソグラフィーとウェットエッチングにより、図5Eに示されるようにリッジ部10R上の絶縁層106のみを除去して、コンタクト層105の上面を露出させる。
次に、真空蒸着法及びリフトオフ法を用いて、コンタクト層105上に第2導電側電極107を形成する。続いて、第2導電側電極107及び絶縁層106を覆うようにパッド電極108を形成する。具体的には、フォトリソグラフィーなどによって、パッド電極108を形成しない部分にレジストをパターニングし、基板101の上方の全面に真空蒸着法などによってパッド電極108を形成し、リフトオフ法を用いて不要な部分を除去する。これにより、所定形状のパッド電極108を形成する。これにより、図5Fに示されるように、半導体レーザ素子10が形成される。
次に、本実施の形態に係る活性層103におけるIn組成比分布の形成方法について、図面を用いて説明する。図6は、本実施の形態に係る半導体レーザ素子10の活性層103におけるIn組成比の分布形成方法を示す模式図である。図6においては、半導体レーザ素子10の活性層103における井戸層を構成するInGaN層などをMOCVDによって形成する際の基板の加熱方法が示されている。
図6には、基板101に第1導電型クラッド層102、活性層103、第2導電型クラッド層104及びコンタクト層105を形成する際に用いる基板トレイ130及びスペーサ120が示されている。基板トレイ130は、基板101を加熱するためのトレイであり、上面に基板101を配置するための凹部が形成されている。基板トレイ130は、MOCVDにおいて使用する加熱用ヒータの上に配置される。なお、図6に示される基板101は、個片化される前のウェハであり、図6の水平方向において50mm程度の長さを有する。また、図6には、本実施の形態に係る活性層103に含まれるInGaN層(つまり井戸層)の成長温度及びIn組成比の分布をそれぞれ示すグラフ(a)及びグラフ(b)が併せて示されている。
図6の模式図に示されるスペーサ120は、基板101を基板トレイ130に対して傾斜させて配置するための部材である。図6に示されるように、基板101の一方の端部と基板トレイ130との間にスペーサ120が配置されることにより、基板101と基板トレイ130との間の距離が基板101の一方側の端部から他方側の端部に向かって漸増する。また、スペーサ120は、空気と同等の断熱性能を有する材料で形成される。本実施の形態では、スペーサ120は、石英で形成され、1mm程度の厚さを有する。なお、スペーサ120を形成する材料は、空気と同等の断熱性能を有する材料であれば特に限定されず、例えば、アルミナなどでもよい。
このように、基板101を、スペーサを介して基板トレイ130に配置することにより、基板101の加熱時における温度を、基板トレイ130に接している端部から、スペーサ120によって、基板トレイ130から離隔されている端部に向かって漸減させることができる。図6に示される例では、基板101の基板トレイ130に接している端部におけるInGaN層の成長温度は805℃程度であるが、スペーサ120によって、基板トレイ130から隔離されている端部におけるInGaN層の成長温度は、795℃程度となる。ここで、InGaN層などをMOCVDによって形成する際に、成長温度が高いほど、InGaN層におけるIn取り込み量が少なくなる。このため、図6に示される状態でInGaN層を形成した場合、基板101のうち、基板トレイ130に接する端部から、他方の端部に向かって、In組成比を漸減させることができる。図6に示される例では、基板101の基板トレイ130に接している端部における活性層103のIn組成比は4.5%程度であり、他方の端部における活性層103のIn組成比は7.5%程度となる。このようにしてInGaN層を形成した後、個片化することで、本実施の形態に係る半導体レーザ素子10を形成できる。
なお、活性層103のIn組成比分布の形成方法は、これに限定されない。図6に示される例では、基板101を傾斜させているが、基板トレイ130の凹部の底面を傾斜させることによって、基板101を水平に維持したままIn組成比分布を形成することも可能である。例えば、基板101のうち、凹部の傾斜した底面のうちが低い領域に配置される部分と基板トレイ130との間にスペーサを配置することによって、基板101を水平に維持することも可能である。この例においても、基板101と基板トレイ130との間の距離を漸増させることができる。
以上で述べた活性層103におけるIn組成比分布の形成方法において、スペーサ120の高さは、基板トレイ130の凹部の深さより低くてもよい。これにより、MOCVDによる活性層103などの形成時に、基板101などによってガスフローが乱れることを抑制できる。
また、活性層103のIn組成比分布は、例えば、基板101の主面に対する結晶軸の傾き角であるオフ角と、InGaN層形成時におけるIn取り込み量との相関を用いて形成してもよい。InGaN層形成時に、基板101のオフ角が大きいほど、Inの取り込み量は多くなる。したがって、基板101のオフ角を基板101の一方の端部側から他方の端部側にわたって漸増させることで、InGaN層におけるIn組成比分布を形成できる。
以下、このようなオフ角が位置に応じて徐々に変化する基板101の形成方法について図面を用いて説明する。図7A〜図7Cは、それぞれオフ角が位置に応じて徐々に変化する基板101の形成方法の各工程を示す模式図である。なお、図7A〜図7Cにおいて、結晶軸の方向が矢印で示されている。図7Aにおいては、オフ角が均一な基板母材101Mの側面が示されている。このような基板母材101Mの一方の主面(図7Bの下側の主面)に、格子定数が基板母材101Mより小さい薄膜118を設けることで、図7Bに示されるように基板母材101Mにおいて反りを生じさせる。続いて、基板母材101Mの他方の湾曲した主面を、図7Bに示される平坦面101Gに沿って研磨し、続いて、図7Bに示される、破線の枠で示される面に沿って切断又は研磨する。これにより、図7Cに示されるようなオフ角が位置に応じて徐々に変化する基板101を形成できる。このような基板101に積層構造体12、電極などを形成した後で、個片化することによって、本実施の形態に係る半導体レーザ素子10を形成できる。
また、このようなオフ角が位置に応じて徐々に変化する基板101の形成方法は図7A〜図7Cに示される方法に限定されない。以下、オフ角が位置に応じて徐々に変化する基板101の他の形成方法について図面を用いて説明する。図8A及び図8Bは、それぞれオフ角が位置に応じて徐々に変化する基板101の他の形成方法の各工程を示す模式図である。図8A及び図8Bには、各工程における基板母材101M及び基板101の側面が示されている。なお、図8A及び図8Bにおいては、結晶軸の方向が矢印で示されている。
図8Aに示されるように、主面に対する結晶軸の方向が均一である基板母材101Mを準備し、基板母材101Mの主面上に、基板母材101Mの一方の端面側(図8Aの右側)から、他方の端面側(図8Aの左側)に向かって、厚さが非線形的に小さくなるレジストを形成する。
ここで、エッチングによってレジストを除去することで、基板母材101Mの上方に位置するレジストの厚さに応じた厚さだけ基板母材101Mの主面をエッチングできる。この場合、形成されたレジストの厚さが小さいほど、エッチングによって除去される基板母材101Mの厚さは大きくなる。これにより、図8Bに示されるように、主面の結晶軸に対する傾き、つまり、オフ角が、一方側の端面から他方側の端面に向かって漸増する基板101を形成できる。
以上のような方法により形成される半導体レーザ素子10は、積層構造体12が積層される基板101を備え、基板101のオフ角は、光出射側端面に相当する一方側の端面に近い側の方が、光反射側端面に相当する他方側の端面に近い側の方より小さい。このような基板101において、オフ角が小さいほど、基板101上に積層される窒化物半導体層におけるIn組成比が小さくなる。このため、基板101上に、積層構造体12が積層された半導体レーザ素子10では、活性層103の一方側の端面に近い側において、他方側の端面に近い側より、In組成比が少ない構成を容易に実現できる。
(変形例など)
以上、本開示に係る半導体レーザ素子について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態においては、半導体レーザ素子10には、リッジ部10Rが形成されているが、リッジ部10Rは、必須の構成ではない。
また、上記実施の形態においては、活性層103のIn組成比は、一方側の端面から他方側の端面までの全体にわたって、一方側の端面に近くなるに従い少なくなるよう傾斜しているが、必ずしも全体にわたって傾斜していなくてもよい。例えば、活性層103は、共振方向の位置に対してIn組成比が変化しない(つまり、均一である)領域を有してもよい。
また、上記実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で上記実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
本開示の半導体発光素子は、例えば、高出力かつ高効率な光源としてプロジェクタなどに適用できる。
10、1050 半導体レーザ素子
10R リッジ部
12 積層構造体
20 半導体レーザ装置
101 基板
101G 平坦面
101M 基板母材
102 第1導電型クラッド層
103 活性層
104 第2導電型クラッド層
105 コンタクト層
106 絶縁層
107 第2導電側電極
108 パッド電極
109 第1導電側電極
111 素子側接着層
112 金属層
113 サブマウント
114 パッケージ側接着層
115 パッケージ
116 光出射側端面コート膜
117 光反射側端面コート膜
118 薄膜
120 スペーサ
130 基板トレイ
1030 基台
1040 導電性接着剤

Claims (12)

  1. 窒化物半導体からなる第1導電型クラッド層と、
    前記第1導電型クラッド層の上方に配置され、Inを含む窒化物半導体からなる活性層と、
    前記活性層の上方に配置され、窒化物半導体からなる第2導電型クラッド層と、を備え、
    前記第1導電型クラッド層、前記活性層及び前記第2導電型クラッド層を含む積層構造体の一方側の端面と他方側の端面との間に導波路が形成され、
    前記一方側の端面は、光出射側端面であり、
    前記他方側の端面は、光反射側端面であり、
    前記活性層において、前記一方側の端面に近い側の方が、前記他方側の端面に近い側の方より、In組成比が少ない
    半導体レーザ素子。
  2. 前記活性層の前記In組成比は、前記一方側の端面に近くなるに従い少なくなるよう傾斜している
    請求項1記載の半導体レーザ素子。
  3. 前記活性層の前記In組成比は、前記一方側の端面から前記他方側の端面までの全体にわたって、前記一方側の端面に近くなるに従い少なくなるよう傾斜している
    請求項1又は2記載の半導体レーザ素子。
  4. 前記活性層は、井戸層と障壁層とからなる量子井戸構造を有し、
    前記井戸層において、前記一方側の端面に近い側の方が、前記他方側の端面に近い側の方より、In組成比が少ない
    請求項1〜3のいずれか1項記載の半導体レーザ素子。
  5. 前記積層構造体が積層される基板をさらに備え、
    前記基板のオフ角は、前記一方側の端面に近い側の方が、前記他方側の端面に近い側の方より小さい
    請求項1〜4のいずれか1項記載の半導体レーザ素子。
  6. 多面体状の形状を有するサブマウントと、
    前記サブマウントの一つの面に固定された半導体レーザ素子と、を備える
    半導体レーザ装置であって、
    前記半導体レーザ素子は、
    窒化物半導体からなる第1導電型クラッド層と、
    前記第1導電型クラッド層の上方に配置され、Inを含む窒化物半導体からなる活性層と、
    前記活性層の上方に配置され、窒化物半導体からなる第2導電型クラッド層と、を備え、
    前記第1導電型クラッド層、前記活性層及び前記第2導電型クラッド層を含む積層構造体における一方側の端面が、他方側の端面より前記サブマウントの前記一つの面の端の近くに配置され、
    前記活性層において、前記一方側の端面に近い側の方が、前記他方側の端面に近い側の方より、In組成比が少ない
    半導体レーザ装置。
  7. 前記活性層の前記In組成比は、前記一方側の端面に近くなるに従い少なくなるよう傾斜している
    請求項6記載の半導体レーザ装置。
  8. 前記活性層の前記In組成比は、前記一方側の端面から前記他方側の端面までの全体にわたって、前記一方側の端面に近くなるに従い少なくなるよう傾斜している
    請求項6又は7記載の半導体レーザ装置。
  9. 前記活性層は、井戸層と障壁層とからなる量子井戸構造を有し、
    前記井戸層において、前記一方側の端面に近い側の方が、前記他方側の端面に近い側の方より、In組成比が少ない
    請求項6〜8のいずれか1項記載の半導体レーザ装置。
  10. 前記一方側の端面は、光出射側端面であり、
    前記他方側の端面は、光反射側端面である
    請求項6〜9のいずれか1項記載の半導体レーザ装置。
  11. 前記積層構造体が積層される基板をさらに備え、
    前記基板のオフ角は、前記一方側の端面に近い側の方が、前記他方側の端面に近い側の方より小さい
    請求項6〜10のいずれか1項記載の半導体レーザ装置。
  12. 前記半導体レーザ素子は、前記積層構造体が積層される基板をさらに備え、
    前記半導体レーザ素子は、前記積層構造体が前記基板より前記サブマウント寄りに配置される
    請求項6〜11のいずれか1項に記載の半導体レーザ装置。
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